IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社北川鉄工所の特許一覧

<>
  • 特開-混合装置 図1
  • 特開-混合装置 図2
  • 特開-混合装置 図3
  • 特開-混合装置 図4
  • 特開-混合装置 図5
  • 特開-混合装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048776
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 35/10 20220101AFI20230331BHJP
   B01F 27/70 20220101ALI20230331BHJP
   B28C 5/14 20060101ALI20230331BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B01F15/00 D
B01F7/04 C
B28C5/14
B08B3/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158277
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000154901
【氏名又は名称】株式会社北川鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 敦資
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 翔
【テーマコード(参考)】
3B201
4G037
4G056
4G078
【Fターム(参考)】
3B201AA33
3B201AB53
3B201BB22
3B201BB32
3B201BB43
3B201BB47
3B201BB62
3B201CD42
3B201CD43
4G037DA14
4G037EA03
4G056CD44
4G078AA03
4G078AA11
4G078AA17
4G078AA20
4G078AB02
4G078BA01
4G078BA07
4G078DA03
4G078DB03
(57)【要約】
【課題】
シンプルな構造で導入コストを抑えることができるにも関わらず、重点的な洗浄が必要な箇所を狙って洗浄水を当てることができ、効率的な洗浄を行うことができる自動洗浄機能付きの混合装置を提供する。
【解決手段】
混合槽10内に入れられた被混合物を混合するための回転羽根20,30と、混合槽10の上部を覆うための上部カバー40と、回転羽根20,30を自動洗浄するための自動洗浄手段50とを備えた混合装置において、自動洗浄手段50を、上部カバー40周辺から支持された洗浄ノズル51と、洗浄ノズル51を互いに非平行な2軸(中心線L,L)回りに回転可能な状態で支持する回転支持手段52と、洗浄ノズル51を中心線L,L回りに回転駆動することで洗浄ノズル51の向きを変化させる回転駆動手段53と、回転駆動手段53を制御することで洗浄ノズル51の向きを自動的に制御する制御手段を備えたものとした。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合槽と、
混合槽内に入れられた被混合物を混合するための回転羽根と、
混合槽の上部を覆うための上部カバーと、
回転羽根を自動洗浄するための自動洗浄手段と
を備えた混合装置であって、
自動洗浄手段が、
上部カバー周辺から支持された洗浄ノズルと、
洗浄ノズルを互いに非平行な2軸回りに回転可能な状態で支持する回転支持手段と、
洗浄ノズルを前記2軸回りに回転駆動することで、洗浄ノズルの向きを変化させる回転駆動手段と、
回転駆動手段を制御することで、洗浄ノズルの向きを自動的に制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする混合装置。
【請求項2】
制御手段が、少なくとも、洗浄ノズルの前記2軸回りのそれぞれの回転角度と、回転羽根の回転角度と、これらの回転角度を維持する時間との組み合わせからなる洗浄パラメータを時系列で並べた洗浄プログラムに基づいて、制御を実行する請求項1記載の混合装置。
【請求項3】
洗浄プログラムをティーチングするためのティーチング手段が備えられた請求項2記載の混合装置。
【請求項4】
制御手段が、洗浄ノズルから噴射される洗浄水が被洗浄面に対して斜めに当たるように制御する請求項1~3いずれか記載の混合装置。
【請求項5】
洗浄ノズルが、洗浄水噴射口を周壁に有するパイプ材とされ、
回転支持手段が、
第一軸受と、
第一軸受に軸支されたシャフトと、
前記シャフトに固定され、洗浄ノズルとなる前記パイプ材を軸支する第二軸受と
で構成され、
回転駆動手段が、
前記シャフトを回転駆動する第一モータと、
洗浄ノズルとなる前記パイプ材を回転駆動する第二モータと
で構成された
請求項1~4いずれか記載の混合装置。
【請求項6】
洗浄ノズルを、上部カバー内に進入した洗浄位置と、上部カバー外に退避した格納位置との間で進退させる洗浄ノズル進退手段を備えた請求項1~5いずれか記載の混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合用の回転羽根等を自動的に洗浄する機能を有する混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多関節ロボットのアーム先端にノズルを取り付けて混合装置を洗浄する方法が知られている。特許文献1の図1には、洗浄水を噴射するノズル(同図におけるノズル3A,3B,3C)を、多関節ロボット(同図におけるマニピュレータ2)のアーム先端に取り付けた自動洗浄装置が開示されている。
同文献の自動洗浄装置は、混合装置(同図のコンクリートミキサ10)の脇に設置される。混合槽内の洗浄対象箇所を洗浄する際には、混合槽の上部カバーに設けられた窓を開け、その窓からノズル3A,3B,3Cを混合槽内に挿入する。多関節ロボット2におけるノズル3A,3B,3Cの位置は、予め入力されたプログラムに基づいて制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-055526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、多関節ロボットは、高価であるため、これを混合装置の洗浄のみに使用することは現実的ではない。また、多関節ロボットは、関節が多い分、その機械的な剛性が低くなる。このため、多関節ロボットのアーム先端に取り付けたノズルから洗浄水を高圧で噴射すると、洗浄水から受ける反力によってノズルの向きが変わり、洗浄水が狙った箇所に当たらなくなるおそれがある。さらに、混合装置の近くに多関節ロボットを設置するスペースを確保する必要がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、シンプルな構造で導入コストを抑えることができるにも関わらず、重点的な洗浄が必要な箇所を狙って洗浄水を当てることができ、効率的な洗浄を行うことができる自動洗浄機能付きの混合装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、
混合槽と、
混合槽内に入れられた被混合物を混合するための回転羽根と、
混合槽の上部を覆うための上部カバーと、
回転羽根を自動洗浄するための自動洗浄手段と
を備えた混合装置であって、
自動洗浄手段が、
上部カバー周辺から支持された洗浄ノズルと、
洗浄ノズルを互いに非平行な2軸回りに回転可能な状態で支持する回転支持手段と、
洗浄ノズルを前記2軸回りに回転駆動することで、洗浄ノズルの向きを変化させる回転駆動手段と、
回転駆動手段を制御することで、洗浄ノズルの向きを自動的に制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする混合装置
を提供することによって解決される。
【0007】
洗浄ノズルを2軸回りに回転できる構造とすることで、洗浄ノズルを全球方向におけるいずれの方向にも向けることができる。また、洗浄ノズルを支持する機構をシンプルにするだけでなく、その機械的な剛性を高めることもできる。このため、洗浄水から強い反力を受けても、洗浄ノズルの向きが変わりにくくすることができる。したがって、狙った箇所に洗浄水を正確に当てることができる。
さらに、洗浄ノズルの向きを制御手段によって制御するため、重点的な洗浄が必要な箇所には洗浄水を長時間当てる一方、あまり洗浄する必要がない箇所には洗浄水を短時間のみ当てるといったことも可能である。このため、洗浄対象箇所を効率的に洗浄するだけでなく、洗浄水を節約することもできる。
さらにまた、自動洗浄手段は、上部カバー周辺に取り付けられるため、多関節ロボットで見られたような設置スペースの問題を解決することができる。加えて、混合装置のオペレータ等が自動洗浄手段に緩衝するのを防ぐために、自動洗浄手段の周辺に安全策で囲う等の対策を行う必要がなくなる。
【0008】
本発明の混合装置においては、制御手段を、少なくとも、洗浄ノズルの前記2軸回りのそれぞれの回転角度と、回転羽根の回転角度と、これらの回転角度を維持する時間との組み合わせからなる洗浄パラメータを時系列で並べた洗浄プログラムに基づいて、制御を実行するものとすることが好ましい。
これにより、洗浄プログラムを実行するといった簡単な操作で、一連の洗浄工程を実行することが可能になる。洗浄プログラムは、複数種類(例えば本格洗浄用の洗浄プログラムと、簡易洗浄用の洗浄プログラム等)を用意しておくことが好ましい。これにより、状況に応じた適切な洗浄を行うことができる。
したがって、あるバッチから次のバッチへと切り替わる際の短い時間(5~10分程度)でも有効に活用して、洗浄することができる。
【0009】
本発明の混合装置においては、洗浄プログラムをティーチングするためのティーチング手段を設けることも好ましい。これにより、被混合物の種類や、洗浄を実行するタイミング等に応じた適切な洗浄プログラムを容易に組むことが可能になる。
【0010】
本発明の混合装置においては、制御手段によって、洗浄ノズルから噴射される洗浄水が被洗浄面に対して斜めに当たるように制御することが好ましい。これにより、回転羽根等に付着した被混合物を洗い落としやすくなる。また、洗浄水が当たることによって被洗浄面から剥離された被混合物が、洗浄ノズルの側に跳ね返りにくくすることもできる。このため、自動洗浄手段の動作不良(例えば、跳ね返って回転支持手段に付着した被混合物が硬化して洗浄ノズルが2軸回りに回転できなくなる不具合や、跳ね返った被混合物が洗浄ノズルに詰まって洗浄水が所望の圧力で噴射されなくなる不具合等)の発生を抑えることも可能になる。
【0011】
本発明の混合装置においては、洗浄ノズルを、洗浄水噴射口を周壁に有するパイプ材とし、回転支持手段を、第一軸受と、第一軸受に軸支されたシャフトと、前記シャフトに固定され、洗浄ノズルとなる前記パイプ材を軸支する第二軸受とで構成し、回転駆動手段を、前記シャフトを回転駆動する第一モータと、洗浄ノズルとなる前記パイプ材を回転駆動する第二モータとで構成することが好ましい。このように、洗浄ノズルとなるパイプ材自体を回転駆動する構造を採用することで、回転支持手段等をよりシンプルに実現し、その機械的剛性をより高めることができる。
【0012】
本発明の混合装置においては、洗浄ノズルを、上部カバー内に進入した洗浄位置と、上部カバー外に退避した格納位置との間で進退させる洗浄ノズル進退手段を設けることも好ましい。これにより、被混合物を混合する際には、洗浄ノズルを邪魔にならない位置(格納位置)に退避させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によって、シンプルな構造で導入コストを抑えることができるにも関わらず、重点的な洗浄が必要な箇所を狙って洗浄水を当てることができ、効率的な洗浄を行うことができる自動洗浄機能付きの混合装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】混合装置の主要部を前方から見た状態を示した図である。
図2】混合装置の主要部を上方から見た状態を示した図である。
図3図1の混合装置における洗浄ボックス周辺を前方から見た図であって、洗浄ノズルが格納位置にある状態を示した図である。
図4図3における洗浄ノズルが洗浄位置にある状態を示した図である。
図5図4におけるα部を拡大して示した図である。
図6図1の混合装置における洗浄ボックス周辺を側方から見た図であって、洗浄ノズルが洗浄位置にある状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の混合装置の好適な実施形態について、図面を用いてより具体的に説明する。後掲する図1~6には、x軸、y軸及びz軸を示している。x軸、y軸及びz軸の向きは、異なる図であっても、互いに一致させている。以下においては、説明の便宜上、x軸方向正側を「右」側、x軸方向負側を「左」側、y軸方向正側を「後」側、y軸方向負側を「前」側、z軸方向正側を「上」側、x軸方向負側を「下」側と呼んでいる。
【0016】
図1は、混合装置の主要部を前方から見た状態を示した図である。図2は、混合装置の主要部を上方から見た状態を示した図である。図1及び図2では、混合槽10や上部カバー40や洗浄ボックス60の内部機構を透視した状態で表している。本実施形態の混合装置は、図1及び図2に示すように、混合槽10と、回転羽根20,30と、上部カバー40(図1)と、自動洗浄手段50とを備えている。
【0017】
混合槽10は、被混合物を入れるためのものである。好ましくは、上部カバー40に取り付けた投入シュート(図示省略)を通じて、混合槽10内に被混合物を投入する。
上部カバー40は、混合槽10の上部を覆うためものである。混合槽10内の被混合物は、回転羽根20,30によって跳ね上げられることがある。この上部カバー40によって、被混合物が混合槽10の外部へ飛散しないようになっている。
【0018】
回転羽根20,30は、混合槽10内に入れられた被混合物を混合するためのものである。好ましくは、1つの混合槽10に対して2つの回転羽根20,30を設ける。図2に示すように、回転羽根20,30は、それぞれ、螺旋状を為している。回転羽根20の中心線Lと回転羽根30の中心線Lは、略平行となっている。回転羽根20,30には、回転羽根駆動用モータ23,33が接続されている。回転羽根駆動用モータ23,33を駆動して、回転羽根20,30をそれぞれ中心線L,L回りに回転させることで、被混合物が混合される。
一般的な混合装置では、中心線L,Lに沿って配置した中心軸体の外周部に複数枚の板材を螺旋状に取り付けることで、回転羽根20,30を構成する。
一方、本実施形態の混合装置では、回転羽根20,30が中心軸体を有さない構造となっている。このため、被混合物を効率的に混合することが可能となっている。
【0019】
回転羽根20は、混練羽根21と切り返し羽根22とで構成され、混練羽根21と切り返し羽根22とで、螺旋の向きが反対になっている。同様に、回転羽根30も、混練羽根31と切り返し羽根32とで構成され、混練羽根31と切り返し羽根32とで、螺旋の向きが反対になっている。
回転羽根20の切り返し羽根22は、回転羽根30の混練羽根31の側方に配されている。同様に、回転羽根30の切り返し羽根32は、回転羽根20の混練羽根21の側方に配されている。
これにより、図2の矢印A,Aに示すように、回転羽根20,30を逆方向に回転させると、混合槽10内の被混合物が、同図の矢印Aに示すように、混合槽10内を循環移送されながら混合される。
したがって、被混合物をより効率的に混合することができる。混合槽10内で混合された被混合物は、混合槽10の底部に設けた取り出し口(図示省略)を通じて混合槽10外へと送出することができる。
【0020】
自動洗浄手段50は、回転羽根20,30や、混合槽10の内壁や、上部カバー40の内壁を洗浄するためのものである。これによって、回転羽根20,30等に付着した被混合物を自動で洗い落とすことができる。
図1に示すように、自動洗浄手段50のメカ部分(後述する洗浄ノズル51、回転支持手段52及び回転駆動手段53)は、上部カバー40の周辺に設けられる。好ましくは、上部カバー40の外面に固定した洗浄ボックス60に、自動洗浄手段50のメカ部分を支持させる。自動洗浄手段50は、1台の混合装置につき、1箇所のみ設けてもよいが、図2に示すように、混合槽10の対角近傍の計2箇所に、自動洗浄手段50を設けてもよい。このように、複数の自動洗浄手段50を設けることで、自動洗浄手段50の死角を無くし、回転羽根20,30等に洗い残しが生じないようにすることができる。
【0021】
上部カバー40における、洗浄ボックス60が取り付けられた箇所には、開閉窓41を設けている。自動洗浄手段50を使用しないとき(混合槽10内で被混合物を混合しているとき)には、図1の左側の自動洗浄手段50のように、洗浄ボックス60内に自動洗浄手段50が格納される(このとき、開閉窓41は閉じられる。)。
一方、自動洗浄手段50を使用するとき(混合槽10内で被混合物の混合を行う前や混合を行った後)には、図1の右側の自動洗浄手段50のように、洗浄ボックス60から上部カバー40内に自動洗浄手段50が進入する(このとき、開閉窓41は開かれる。)。
この進退動作(自動洗浄手段50の洗浄ノズル51を洗浄位置と格納位置との間で進退させる動作)は、後述する洗浄ノズル進退手段54(図4)によって実現される。
【0022】
図3及び図4に、混合装置における洗浄ボックス60周辺を前方から見た状態を示す。図3は、自動洗浄手段50の洗浄ノズル51が格納位置にある状態を示し、図4は、自動洗浄手段50の洗浄ノズル51が洗浄位置にある状態を示している。また、図5に、図4におけるα部(洗浄ノズル51の周辺)を拡大して示す。さらに、図6に、混合装置における洗浄ボックス60周辺を側方から見た状態を示す。図6は、洗浄ノズル51が洗浄位置にある状態を示している。図3~6では、洗浄ボックス60の内部機構を透視した状態で表している。
【0023】
自動洗浄手段50は、図3~6に示すように、洗浄ノズル51と、回転支持手段52と、回転駆動手段53と、制御手段56と、洗浄ノズル進退手段54とを備えている。
【0024】
洗浄ノズル51は、洗浄水を噴射するためのものである。図5に示すように、好ましくは、洗浄ノズル51は、洗浄水噴射口51aを周壁に有するパイプ材である。この洗浄ノズル51には、洗浄水供給管55の一端部が接続されている。一方、洗浄水供給管55の他端部は、洗浄ボックス60の上部に配された支軸54a(図6)に接続されている。
支軸54aは、好ましくは中空のパイプであり、図示省略のポンプによって支軸54aの内部に洗浄水を供給すると、その洗浄水が洗浄水供給管55を通じて洗浄ノズル51内に導入され、洗浄水噴射口51a(図4)から噴射される。
洗浄水供給管55の先端部付近の外周部は、保持部材57に保持されている。保持部材57は、回転支持手段52におけるシャフト52bの外周部に固定されている。
【0025】
洗浄ノズル51には、洗浄水噴射口51aを1つのみ設けてもよいが、2つの洗浄水噴射口51aを、前記パイプ材の長手方向に沿って並べてもよい。このように、複数の洗浄水噴射口51aを設けることで、洗浄水が当たる範囲を広くして、効率的な洗浄を行うことが可能になる。
【0026】
洗浄ノズル51は、それから噴射される洗浄水が狙った箇所に当たるように、その向き(洗浄水噴射口51aの向き)を変化させることができる。これは、回転支持手段52と、回転駆動手段53と、制御手段56とによって実現されている。
【0027】
回転支持手段52は、洗浄ノズル51を互いに非平行な2軸(中心線L3,L)回りに回転可能な状態で支持するためのものである。好ましくは、回転支持手段52を、第一軸受52aと、シャフト52bと、第二軸受52cとで構成する。
第一軸受52aは、後述する吊り下げ部材54bの下端部に固定されている。シャフト52bは、中心線L回りに回転可能な状態で第一軸受52aに軸支されている。
第二軸受52cは、シャフト52bの先端部に固定されている。この第二軸受52cには、中心線L回りに回転可能な状態で洗浄ノズル51が軸支されている。シャフト52bを中心線L回りに回転させると、洗浄ノズル51及び第二軸受52cも、シャフト52とともに中心線L回りに回転するようになっている。
【0028】
回転駆動手段53は、洗浄ノズル51を中心線L,L回りに回転駆動するためのものである。好ましくは、回転駆動手段53は、第一モータ53aと第二モータ53bである。
第一モータ53aは、シャフト52bに連結されており、このシャフト52bを回転駆動することで、洗浄ノズル51を中心線L回りに回転駆動する。
第二モータ53bは、洗浄ノズル51に連結されており、この洗浄ノズル51を中心線L回りに回転駆動する。
第一モータ53a及び第二モータ53bは、正逆回転が可能で、その回転角度を制御可能な電気モータ(IPMモータ、SPMモータ、ステッピングモータ又はサーボモータ等)が用いられる。
これら第一モータ53a及び第二モータ53bの回転角度をそれぞれ独立して制御することによって、洗浄ノズル51の洗浄水噴射口51aの向きを、全球方向におけるいずれの方向にも向けることができる。したがって、回転羽根20,30等の洗浄対象を、ピンポイントで狙って洗い残しのない状態で綺麗に洗浄することができる。また、特定の洗浄対象をピンポイントで狙う洗浄だけでなく、広い範囲を均一に洗浄する(例えば、混合槽10内や上部カバー40内を万遍なく洗浄する)こともできる。
【0029】
このように、洗浄ノズル51は、中心線L,L回りに回転駆動される。既述のように、洗浄ノズル51には、洗浄水供給管55が接続されている。このため、洗浄ノズル51が中心線L,L回りに回転すると、洗浄水供給管55に捩じり力が加わる。
この点、洗浄水供給管55の中途部分にジョイント55aを設けることで、洗浄水供給管55の中心線L回りの回転を許容している。
加えて、洗浄水供給管55と洗浄ノズル51との接続部分では、中心線L回りの回転を許容している。
したがって、洗浄ノズル51が中心線L,L回りに回転しても、洗浄水供給管55に大きな負荷が掛からないようになっている。
【0030】
制御手段56は、回転駆動手段53、回転羽根20,30及びノズル進退手段54を制御するためのものである。図2に示すように、制御手段56には、動力線L10~L15及びエンコーダ線L20,L21が接続されている。
動力線L10は、回転羽根20側の自動洗浄手段50における第一モータ53a(図3)及び第二モータ53b(図3)されており、動力線L11は、回転羽根20側の自動洗浄手段50におけるノズル進退手段54の伸縮手段54d(図3)に接続されている。
動力線L12は、回転羽根30側の自動洗浄手段50における第一モータ53a(図3)及び第二モータ53b(図3)されており、動力線L13は、回転羽根30側の自動洗浄手段50におけるノズル進退手段54の伸縮手段54d(図3)に接続されている。
動力線L14は、回転羽根20を回転駆動する回転羽駆動用モータ23に接続されており、動力線L15は、回転羽根30を回転駆動する回転羽駆動用モータ33に接続されている。
エンコーダ線L20は、回転羽根20の回転角度を検知するエンコーダ24に接続されており、エンコーダ線L21は、回転羽根30の回転角度を検知するエンコーダ34に接続されている。
【0031】
制御手段56からの制御信号が、動力線L10~L15を介して、第一モータ53a及び第二モータ53bや、回転羽根駆動用モータ23,33や、ノズル進退手段54の伸縮手段54d(伸縮シリンダ)に入力されることで、それぞれのモータの回転角度や伸縮シリンダの伸縮量が制御される。
これによって、洗浄ノズル51の洗浄水噴射口51aが狙った箇所を向くように、洗浄ノズル51の向きが自動的に制御される。また、回転羽根20,30の向き(回転角度)も制御される。
制御手段56は、中央処理装置(CPU)と記憶装置とを備えたコンピュータ(プログラマブルコントローラ等)が用いられる。
既述のように、自動洗浄手段50のメカ部分(洗浄ノズル51、回転支持手段52及び回転駆動手段53)は、上部カバー40(図1)周辺(洗浄ボックス60の内部)に収容されている。一方、この制御手段56は、混合装置の制御盤(図示省略)に収容される。制御手段56は、回転駆動手段53の制御を行う部分と、回転羽根20,30の制御を行う部分とで、同じ制御盤に収容してもよいし、別の制御盤に収容してもよい。
【0032】
制御手段56には、洗浄を実行するためのプログラム(洗浄プログラム)が記憶される。洗浄プログラムは、各段階における、洗浄ノズル51の中心線L回りの回転角度(第一モータ53aの回転角度)と、洗浄ノズル51の中心線L回りの回転角度(第二モータ53bの回転角度)と、回転羽根20,30(図1)のそれぞれの回転角度と、これらの回転角度を維持する時間との組み合わせからなる洗浄パラメータを時系列で並べたものを用いている。
この洗浄プログラムを実行することによって、回転羽根20,30等の洗浄を、人手によらず、自動的に行うことができる。また、洗浄パラメータには、第一モータ53a及び第二モータ53bの回転速度や、回転羽根20,30の回転速度等、他のパラメータを含ませることもできる。
【0033】
洗浄プログラムは、複数種類を用意しておくことが好ましい。例えば、本格洗浄用の洗浄プログラムと、簡易洗浄用の洗浄プログラムとを用意することができる。これにより、混合装置がその日の稼働を終えたときには、本格洗浄用の洗浄プログラムを実行することで、本格的な洗浄を行い、あるバッチから次のバッチへと切り替わる際には、簡易洗浄用の洗浄プログラムを実行することで、簡易的な洗浄を行うといった具合に、状況に応じた適切な洗浄を行うことが可能になる。
【0034】
洗浄プログラムは、既定のもの(混合装置の工場出荷時に予め設定されたもの)を用いてもよいが、洗浄プログラムを事後的にティーチングできるようにしておくことが好ましい。これにより、被混合物の種類や、洗浄を実行するタイミング等に応じた適切な洗浄プログラムを、現場で容易に組むことが可能になる。
【0035】
洗浄プログラムをティーチングする手段(ティーチング手段)は、特に限定されない。好ましくは、第一モータ53a、第二モータ53b、及び、回転羽根20,30を回転駆動するモータ等を手動で操作できるようにしておき、所定のタイミングでボタン(ティーチング用のボタン)を押すとともに、その状態を維持する時間を入力することで、洗浄プログラムを構成する各段階の洗浄パラメータ―をティーチングできるようにする。このティーチングを時系列に沿って繰り返すことで、一連の洗浄プログラムが完成する。
【0036】
洗浄プログラムは、洗浄水噴射口51aから噴射される洗浄水が被洗浄面に対して垂直に当たるように設定してもよい。しかし、この場合には、洗浄水が当たることによって被洗浄面から剥離した被混合物が、洗浄ノズル51の側に跳ね返りやすくなる。このため、跳ね返って回転支持手段52に付着した被混合物が硬化して洗浄ノズル51が2軸L,L回りに回転できなくなる不具合や、跳ね返った被混合物が洗浄ノズル51に詰まって洗浄水が所望の圧力で噴射されなくなる不具合等が生じるおそれがある。
この点、洗浄水噴射口51aから噴射される洗浄水が被洗浄面に対して斜めに当たるように、洗浄プログラムを設定している。これにより、上記の不具合を防止するだけでなく、洗浄面に付着している被混合物を洗い落としやすくなる。洗浄水は、被洗浄面の法線方向に対して、30°以上傾けて入射させることが好ましい。
【0037】
ノズル進退手段54は、洗浄ノズル51を、洗浄ボックス60内に格納(上部カバー40(図1)外に退避)した格納位置(図3)と、洗浄ボックス60外に突出(上部カバー40(図1)内に進出)した洗浄位置(図4)との間で進退させるためのものである。好ましくは、図4及び図6に示すように、ノズル進退手段54を、支軸54aと、吊り下げ部材54bと、作用部材54cと、伸縮手段54dと、ベース部材54eとで構成する。
【0038】
支軸54aは、図6に示すように、洗浄ボックス60の上部を前後方向(y軸方向)に貫いた状態で設けられている。この支軸54aは、前後方向(y軸方向)に平行な中心線Lを中心として回転可能な状態で支持されている。
【0039】
吊り下げ部材54bは、自走洗浄手段50における洗浄ノズル51、回転支持手段52及び回転駆動手段53を吊り下げ支持するためのものである。
図4に示すように、吊り下げ部材54bの下端部には、回転支持手段52の第一軸受52aが固定され、吊り下げ部材54bの上端部は、支軸54aの外周部に固定される。この吊り下げ部材54bは、支軸54aと一体となって中心線L回りに回転するようになっている。
吊り下げ部材54bは、好ましくは、アーム状とされ、図6に示すように、回転支持手段52を挟んだ両側に対に設けられる。
【0040】
作用部材54cは、後述する伸縮手段54dの伸縮部分を作用させるためのものである。このため、作用部材54cの一方の端部には、伸縮手段54dの伸縮部分が連結される。作用部材54cの他方の端部は、支軸54aの外周部に固定される。作用部材54cは、上記の支軸54aと一体となって中心線L回りに回転するようになっている。
【0041】
伸縮手段54dは、伸縮動作を行うためのものである。好ましくは、伸縮手段54dは、伸縮シリンダである。この伸縮シリンダのピストンロッドの上端部が、上記の作用部材54cに連結される。伸縮手段54dの下端部は、ベース部材54eに連結されている。ベース部材54eは、洗浄ボックス60乃至は上部カバー40(図1)に対して動かない状態で固定される。
【0042】
このノズル進退手段54は、図3に示すように、伸縮手段54dを伸長させたときに、洗浄ノズル51が格納位置で維持される。一方、図3の状態から伸縮手段54dを収縮させると、図4に示すように、作用部材54cが伸縮手段54dによって下方に引っ張られることで、作用部材54cが中心線L回りに回転するとともに、支軸54a及び吊り下げ部材54bも中心線L回りに回転する。これにより、回転支持手段52の第一軸受52a周辺が左右方向(x軸方向)に押され、洗浄ノズル51が洗浄位置へと移動される。
【0043】
以上のように、本実施形態の混合装置は、自動洗浄手段50が比較的シンプルな構造でありながらも、洗浄ノズル51の向きを自動的に変化させることで、混合羽根20,30等の洗浄作業を省力化できるものとなっている。
また、重点的な洗浄が必要な箇所に、洗浄水を長時間当てる一方、あまり洗浄する必要がない箇所には、洗浄水を短時間のみ当てるといった効率的な洗浄を行うこともできる。
さらに、自動洗浄手段50(特に、回転支持手段52)の機械的な剛性が高く、洗浄水を高圧で噴射しても、洗浄ノズル51の向きがずれにくくなっている。このため、狙った箇所に洗浄水を正確に当てることができる。
【0044】
本発明の混合装置の用途は、特に限定されない。本発明の混合装置では、各種の被混合物を混合することができる。ただし、本発明の混合装置は、回転羽根20,30等の洗浄を省力化できるものであるため、比較的粘性の高い被混合物(回転羽根20,30等に付着しやすい被混合物)を混合するのに好適に採用することができる。このような被混合物は、生コンクリート(水(練混ぜ水)、砂、砂利及びセメント等の混合物)や、モルタル(水(練混ぜ水)、砂及びセメント等の混合物)が例示される。
【符号の説明】
【0045】
10 混合槽
20 回転羽根
30 回転羽根
40 上部カバー
50 自動洗浄手段
51 洗浄ノズル
51a 洗浄水噴射口
52 回転支持手段
52a 第一軸受
52b シャフト
52c 第二軸受
53 回転駆動手段
53a 第一モータ
53b 第二モータ
54 ノズル進退手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6