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特開2023-48817熱交換器を備えた蛍光体ホイール装置、及び投写型映像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048817
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】熱交換器を備えた蛍光体ホイール装置、及び投写型映像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/16 20060101AFI20230331BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20230331BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20230331BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230331BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20230331BHJP
   F21V 7/30 20180101ALI20230331BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20230331BHJP
   F21V 29/502 20150101ALI20230331BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20230331BHJP
   F21V 29/78 20150101ALI20230331BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20230331BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20230331BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230331BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/14 A
G03B21/14 Z
G03B21/00 D
F21S2/00 377
F21S2/00 340
F21V9/32
F21V7/30
F21V9/40 200
F21V29/502 100
F21V29/67 100
F21V29/78
F21V29/67 200
H04N5/74 Z
H04N9/31 440
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158345
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】山岸 成多
(72)【発明者】
【氏名】西川 勇作
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C060
【Fターム(参考)】
2K203FA07
2K203FA25
2K203FA45
2K203GA35
2K203HA30
2K203KA73
2K203LA04
2K203LA13
2K203LA22
2K203LA37
2K203MA04
2K203MA12
2K203MA32
2K203MA35
5C058EA52
5C060HC17
5C060HD00
5C060JA29
5C060JB06
(57)【要約】
【課題】安価に発熱した蛍光体を冷却する蛍光体ホイール装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る蛍光体ホイール装置は、蛍光体ホイールを収容する筐体、及び筐体との間で循環気体の流れが連通する熱交換器を備える。筐体は、循環ファンを有する第1空間、循環ファンにより第1空間から送風される第2空間、蛍光体ホイールが配置された第3空間、熱交換器と第1空間とを連通する第1開口部、第1空間と第2空間とを連通する第2開口部、第2空間と第3空間とを連通する第3開口部、及び第3空間と熱交換器とを連通する第4開口部を有し、熱交換器は、循環気体が流れる循環流路及び外部から送風される外部気体が流れる外気流路を有する。筐体は、循環気体が第1空間と第2空間と第3空間とを、順に通過する循環経路を形成し、循環経路と循環流路とは循環気体が流れる閉流路を構成し、循環流路と外気流路とは循環気体と外部気体とが互いに混合することなく熱的に接して流れるように構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体ホイールを収容する筐体と、
前記筐体との間で循環気体の流れが連通する熱交換器と、
を備え、
前記筐体は、
循環ファンを有する第1空間と、前記循環ファンにより前記第1空間から送風される第2空間と、前記蛍光体ホイールが配置された第3空間と、
前記熱交換器と前記第1空間とを連通する第1開口部と、前記第1空間と前記第2空間とを連通する第2開口部と、前記第2空間と前記第3空間とを連通する第3開口部と、前記第3空間と前記熱交換器とを連通する第4開口部と、
を有し、
前記熱交換器は、前記循環気体が流れる循環流路と、外部から送風される外部気体が流れる外気流路と、を有し、
前記筐体は、前記循環気体が前記第1空間と、前記第2空間と、前記第3空間とを、順に通過する循環経路を形成し、
前記循環経路と前記循環流路とは、前記循環気体が流れる閉流路を構成し、
前記循環流路と前記外気流路とは、前記循環気体と前記外部気体とが互いに混合することなく熱的に接して流れるように構成されている、
蛍光体ホイール装置。
【請求項2】
前記熱交換器は、波板を備え、
前記波板は、薄板を交互に向きを変えて繰り返し折り曲げた形状を有し、ジグザグ状の端面が前記熱交換器の両端部に配置され、
前記循環流路と前記外気流路とは、それぞれが前記熱交換器の両端部の間で連通し、前記連通の方向に沿って前記波板の一方の面と他方の面とのそれぞれにのみ接し、前記循環気体と前記外部気体とが前記両端部の間で流れるように構成されている、
請求項1に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項3】
前記循環流路は、前記循環気体が前記両端部のうちの一方の端部から他方の端部に向かって流れるように構成され、
前記外気流路は、前記外部気体が前記他方の端部から前記一方の端部に向かって流れるように構成されている、
請求項2に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項4】
前記熱交換器の両端部は、それぞれが前記筐体の長手方向の両端の近傍に位置する、
請求項2又は3に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項5】
前記蛍光体ホイールは、回転する基板を有し、
前記基板は、第1の面において、蛍光体層が配置され、前記第1の面に対向する第2の面において、複数の凸形状の羽部が回転対称に設けられ、
前記第2の面が前記第2開口部に面して配置されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項6】
前記第3開口部は、前記基板よりも小さく、前記基板の中央部に向けて配置されている、
請求項5に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項7】
前記循環ファンは、吐出口が前記第2開口部と密接して接続するように配置されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項8】
前記循環ファンは、シロッコファンである、
請求項1から7のいずれか1項に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項9】
前記循環流路は、前記筐体の上面又は一側面に隣接して配置されている、
請求項1から8のいずれか1項に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項10】
光源と、請求項1から9のいずれか1項に記載の前記蛍光体ホイール装置とを備える照明システムと、
前記照明システムからの入射光を空間的に変調し、映像情報に応じた映像光を生成する光変調素子と、
生成された前記映像光を投射して表示する投写光学系と、
を備える、
投写型映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型映像表示装置の照明システムに使用される蛍光体ホイール装置に関し、より詳しくは、熱交換器を備えた蛍光体ホイール装置、並びに、そのような蛍光体ホイール装置を備えた投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、投写型映像表示装置は、半導体レーザ素子のような固体レーザ光源が主に用いられている。また、複数個の半導体レーザ素子をアレイ状に配列して一体化したハイパワーデバイスも提供されている。このような半導体レーザ素子アレイを用いることにより、例えば、5000ルーメンを超えるようなハイパワーの投写型映像表示装置を提供することが可能である。
【0003】
半導体レーザ素子のうち、特に、青色光を発生する半導体レーザ素子が、効率及びパワーの点で優れている。投写型映像表示装置では、白色光を得るために、青色光を発生する半導体レーザ素子と、青色光から黄色光を生ずる蛍光体とを組み合わせた構成が主流になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/159536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固体レーザ光源を搭載した投写型映像表示装置の出力パワーを増大することが求められる。しかしながら、蛍光体に入射した光のエネルギーは、一部のみ光エネルギーとして蛍光に変換し、残りは熱エネルギーとして放出される。この熱エネルギーによる蛍光体の発熱によって、蛍光体の蛍光変換効率の低下やその周辺の光学素子の損傷が生じる。従って、発熱した蛍光体を冷却する構成が必要となる。
【0006】
発熱した蛍光体を冷却するためには、円盤形状の基板の面に蛍光体を円環状に形成してモータで回転させることで(本明細書では、このような構成を「蛍光体ホイール装置」という)、蛍光体の実効的な表面積を広げて、空気との熱交換を促進する構成が採用されている。近年は、さらなる投写型映像表示装置の高輝度化が求められ、入射光を高効率で変換するための蛍光体及びその冷却手段が必要となっている。
【0007】
このような課題を鑑み、従来、例えば、特許文献1の発明が提案されている。
【0008】
特許文献1の蛍光体ホイール装置の場合、防塵且つ防音のため、蛍光体ホイールは密閉のケース部に収容され、当該ケース部に吸熱器が取り付けられている。吸熱器は、冷媒としての水を封入し、封入された水は、ヒートパイプを介して、ケース部内の吸熱器とケース部の外部に配置された排熱器との間で移動することによって、蛍光体の発熱をケース部から排出する。
【0009】
投写型映像表示装置の更なる低コスト化、小型化についての要望があり、従来の蛍光体ホイール装置においては、安価に発熱した蛍光体を冷却することができる構成が求められている。
【0010】
そこで、本開示の目的は、前記課題を解決することにあって、安価に発熱した蛍光体を冷却することができる蛍光体ホイール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本開示に係る蛍光体ホイール装置は、蛍光体ホイールを収容する筐体と、筐体との間で循環気体の流れが連通する熱交換器と、を備え、筐体は、循環ファンを有する第1空間と、循環ファンにより第1空間から送風される第2空間と、蛍光体ホイールが配置された第3空間と、熱交換器と第1空間とを連通する第1開口部と、第1空間と第2空間とを連通する第2開口部と、第2空間と第3空間とを連通する第3開口部と、第3空間と熱交換器とを連通する第4開口部と、を有し、熱交換器は、循環気体が流れる循環流路と、外部から送風される外部気体が流れる外気流路と、を有し、筐体は、循環気体が第1空間と、第2空間と、第3空間とを、順に通過する循環経路を形成し、循環経路と循環流路とは、循環気体が流れる閉流路を構成し、循環流路と外気流路とは、循環気体と外部気体とが互いに混合することなく熱的に接して流れるように構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様に係る蛍光体ホイール装置によれば、スペース効率が向上した構成を有し、安価に発熱した蛍光体を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る蛍光体ホイール装置を備えた照明システムの構成を示す概略図である。
図2図1の蛍光体ホイール装置の一例を示す平面図(a)及び正面図(b)である。
図3図1の蛍光体ホイールの受光面の構成を示す平面図である。
図4図1の蛍光体ホイールの背面の構成を示す斜視図である。
図5図1の蛍光体ホイールの径方向の部分断面図である。
図6図1の蛍光体ホイール装置内の循環経路の一例を示す図である。
図7図1の蛍光体ホイール装置の熱交換器の構成を示す斜視図(a)及びB-B面の断面図(b)である。
図8図1の蛍光体ホイール装置の熱交換器のケース部(a)及び波板(b)を示す斜視図である。
図9図1の蛍光体ホイール装置の熱交換器の一体化構成の一例を示す斜視図(a)、及び出入り口の気体の流れを示す図(b)である。
図10図1の蛍光体ホイール装置の熱交換器の一体化構成の他の一例を示す斜視図(a)、及び出入り口の気体の流れを示す図(b)である。
図11】実施の形態2に係る投写型映像表示装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の第1態様によれば、蛍光体ホイールを収容する筐体と、筐体との間で循環気体の流れが連通する熱交換器と、を備え、筐体は、循環ファンを有する第1空間と、循環ファンにより第1空間から送風される第2空間と、蛍光体ホイールが配置された第3空間と、熱交換器と第1空間とを連通する第1開口部と、第1空間と第2空間とを連通する第2開口部と、第2空間と第3空間とを連通する第3開口部と、第3空間と熱交換器とを連通する第4開口部と、を有し、熱交換器は、循環気体が流れる循環流路と、外部から送風される外部気体が流れる外気流路と、を有し、筐体は、循環気体が第1空間と、第2空間と、第3空間とを、順に通過する循環経路を形成し、循環経路と循環流路とは、循環気体が流れる閉流路を構成し、循環流路と外気流路とは、循環気体と外部気体とが互いに混合することなく熱的に接して流れるように構成されている、蛍光体ホイール装置を提供する。
【0015】
この態様によれば、スペース効率が向上した構成を有し、安価に発熱した蛍光体を冷却することができる蛍光体ホイール装置を提供することができる。
【0016】
本開示の第2態様によれば、熱交換器は、波板を備え、波板は、薄板を交互に向きを変えて繰り返し折り曲げた形状を有し、ジグザグ状の端面が熱交換器の両端部に配置され、循環流路と外気流路とは、それぞれが熱交換器の両端部の間で連通し、連通の方向に沿って波板の一方の面と他方の面とのそれぞれにのみ接し、循環気体と外部気体とが両端部の間で流れるように構成されている、第1態様に記載の蛍光体ホイール装置を提供する。
【0017】
本開示の第3態様によれば、循環流路は、循環気体が両端部のうちの一方の端部から他方の端部に向かって流れるように構成され、外気流路は、外部気体が他方の端部から一方の端部に向かって流れるように構成されている、第2態様に記載の蛍光体ホイール装置を提供する。
【0018】
本開示の第4態様によれば、熱交換器の両端部は、それぞれが筐体の長手方向の両端の近傍に位置する、第2又は第3態様に記載の蛍光体ホイール装置を提供する。
【0019】
本開示の第5態様によれば、蛍光体ホイールは、回転する基板を有し、基板は、第1の面において、蛍光体層が配置され、第1の面に対向する第2の面において、複数の凸形状の羽部が回転対称に設けられ、第2の面が第2開口部に面して配置されている、第1から第4態様のいずれか1つに記載の蛍光体ホイール装置を提供する。
【0020】
本開示の第6態様によれば、第3開口部は、基板よりも小さく、基板の中央部に向けて配置されている、第5態様に記載の蛍光体ホイール装置を提供する。
【0021】
本開示の第7態様によれば、循環ファンは、吐出口が第2開口部と密接して接続するように配置されている、第1から第6態様のいずれか1つに記載の蛍光体ホイール装置を提供する。
【0022】
本開示の第8態様によれば、循環ファンは、シロッコファンである、第1から第7態様のいずれか1つに記載の蛍光体ホイール装置を提供する。
【0023】
本開示の第9態様によれば、循環流路は、筐体の上面又は一側面に隣接して配置されている、第1から第8態様のいずれか1つに記載の蛍光体ホイール装置を提供する。
【0024】
本開示の第10態様によれば、光源と、第1から第9態様のいずれか1つに記載の蛍光体ホイール装置とを備える照明システムと、照明システムからの入射光を空間的に変調し、映像情報に応じた映像光を生成する光変調素子と、生成された映像光を投射して表示する投写光学系と、を備える、投写型映像表示装置を提供する。
【0025】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0026】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0027】
本開示の実施の形態1に係る蛍光体ホイール装置について、図1乃至図10を参照しながら説明する。添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供するものであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。また、各図においては、説明を容易なものとするため、各要素を誇張して示している。
【0028】
<実施の形態1>
(照明システム100の構成)
図1を参照して本開示の実施の形態1に係る照明システム100の一例について説明する。図1は、実施の形態1に係る蛍光体ホイール装置200を備えた照明システム100の構成を示す概略図である。
【0029】
図1を参照すると、照明システム100は、光学系150と、蛍光体ホイール装置200とを備えている。蛍光体ホイール装置200は、蛍光体ホイール220を備え、蛍光体ホイール220に設けられた蛍光体層222は、光学系150より発された青色光を受けて黄色光の蛍光を発生する。
【0030】
図1に示すように、照明システム100の光学系150は、半導体レーザ素子101a,101b,101cと、コリメートレンズ102a,102b,102cと、アフォーカスレンズ103,104と、レンズ107,108,109と、拡散板105と、ダイクロイックミラー106と、ロッドインテグレータ110と、を含む。蛍光体ホイール装置200は、蛍光体ホイール220と、熱交換器260と、ファン232とを備えている。
【0031】
光学系150において、半導体レーザ素子101a~101cは、青色光を発生するレーザ光源であってもよい。半導体レーザ素子101a~101cにより発された青色光は、図示-Z方向に出射され、コリメートレンズ102a~102cによってコリメートされた後、アフォーカルレンズ(アフォーカル光学系を構成するレンズの意として以降使用する)103及び104で集束されて拡散板105に入射する。入射した青色光は拡散板105によって拡散され、次に、ダイクロイックミラー106に入射する。
【0032】
ダイクロイックミラー106は、青色光を透過し、それ以外の色成分光を反射する特性を有し、入射光の光軸に対して45度傾斜して配置されている。拡散板105からダイクロイックミラー106に入射され、透過した青色光は、レンズ107,108を介して蛍光体ホイール装置200に入射する。
【0033】
蛍光体ホイール装置200において、図1に示すように、蛍光体ホイール220は、モータ装置224の駆動により回転し、蛍光体ホイール220の前面に配置された環状の蛍光体層222は、入射した青色光によって励起されて黄色光の蛍光を発生する。蛍光体ホイール220が回転することによって、蛍光体層222の一点に集中的に青色光が照射されることが回避され、青色光の照射による発熱に起因する蛍光体層に含まれる蛍光体粒子の劣化が抑制される。蛍光体ホイール装置200の構成については、後段において詳述する。
【0034】
次に、蛍光体層222により発生された黄色光は、レンズ107,108を介して図示Z方向にダイクロイックミラー106に入射する。入射した黄色光はダイクロイックミラー106により反射され、-X方向に進み、レンズ109によって、その前方に配置された矩形開口を有するロッドインテグレータ110の入射面に集光される。
【0035】
このように、蛍光体ホイール装置200を用いることにより、光源からの青色光から黄色光を生成することができる。なお、蛍光体層222に含まれる蛍光体粒子は、黄色蛍光体粒子に限定されず、赤色蛍光体粒子、または、緑色蛍光体粒子など、発光色が異なる他の蛍光体粒子であってもよい。また、照明システム100は、ロッドインテグレータ110に代えて、複数のレンズからなるレンズアレイを備えてもよい。
【0036】
(蛍光体ホイール装置200の構成)
蛍光体ホイール装置200の構成は、図2を参照して説明する。図2は、図1の蛍光体ホイール装置200の一例を示す平面図(a)及び正面図(b)である。なお、図2(a)において、説明を容易なものとするため、蛍光体ホイール装置200の内部に収容されている蛍光体ホイール220を、蛍光体ホイール装置200の筐体を透過して示している。
【0037】
図2に示すように、蛍光体ホイール装置200は、内部に蛍光体ホイール220を収容している筐体240と、熱交換器260と、ファン232とを備えている。筐体240は略直方体形状であって、前面240aと、後面240bと、上面240cとを有する。蛍光体ホイール220は、筐体240の前面240aの内側付近に設置され、光源からの入射光を受光し、蛍光を出射するために、前面240aにおいて開口241が蛍光体層222の位置に対応するように設けられている。
【0038】
熱交換器260は、筐体240と隣接して設置され、本実施の形態の場合、熱交換器260は筐体240の上面240cに隣接して設置されている。なお、熱交換器260は、上面240cに設置される場合には限定されない。例えば、筐体240の一側面、例えば、後面240bに隣接して配置することができる(後段において説明する)。筐体240内の蛍光体層222を放熱させるために、筐体240の内部に循環気体が流れ、熱交換器260と筐体240との間で循環気体の流れが連通している。蛍光体層222に生じた熱を伴う循環気体は、熱交換器260に送入されて冷却された後、再び筐体240に戻って循環することによって蛍光体ホイール220の蛍光体層222を放熱させる。図6に示すように、熱交換器260は、循環気体が流れる循環流路261と、外部から送風される外部気体が流れる外気流路262とを有する。循環流路261と外気流路262とは、内部で流れる循環気体と前記外部気体とが互いに混合することなく熱的に接して流れるように構成されている。ファン232は、熱交換器260の端部、例えば、260bの外側付近に設置され、外部から空気を外気流路262に送風する。熱交換器260の詳細な構成については、後段において詳述する。
【0039】
(蛍光体ホイール220の構成)
以下、図3乃至図5を参照して、図1の蛍光体ホイール220の構成を説明する。
【0040】
図3は、図1の蛍光体ホイールの受光面220Aの構成を示す平面図である。図4は、図1の蛍光体ホイールの背面220Bの構成を示す斜視図である。さらに、図5は、図1の蛍光体ホイール220の径方向の部分断面図である。
【0041】
図5に示すように、本実施の形態に係る蛍光体ホイール220は、基板221を備えている。基板221は、例えば、円盤形状であって、熱伝導材料から構成され、互いに対向する第1の面221A及び第2の面221Bを有し、モータ装置224(図1)の駆動によって、回転軸Oを中心に回転することができる。なお、本明細書では、蛍光体ホイール装置220において、半導体レーザ素子101a~101cからの入射光を受ける面(図1の+Z側の面、図2に示す面)を「受光面」又は「第1の面」といい、その対向側の面(図1の-Z側の面、図3に示す面)を「背面」又は「第2の面」という。
【0042】
図3に示す蛍光体ホイールの受光面220Aにおいて、蛍光体層222は、例えば、基板221の第1の面221Aの外周付近に、環状に形成されている。蛍光体層222は、例えば、セラミックであって、青色光によって励起されて蛍光を発生する特性を有する。
【0043】
図4に示す蛍光体ホイールの背面220Bにおいて、複数の凸形状の羽部223が基板221の第2の面221Bに設けられている。蛍光体ホイール220が安定に回転するように、複数の凸形状の羽部223は、回転対称に配置されている。本実施の形態の場合、図示のように、複数の凸形状の羽部223は、基板221の外周側に向けて、蛍光体ホイール220の回転方向Aに弯曲するように構成されている。これによって、基板221の第2の面において渦巻き形状の隙間を形成することができる。また、図5に示すように、凸形状の羽部223は、径方向において、基板221の第1の面221Aに配置された蛍光体222範囲よりも広い範囲にわたって配置されている。すなわち、基板221の第2の面221Bにおける渦巻き形状の隙間の内周は、環状の蛍光体層222よりも基板221の中心寄りに位置する。
【0044】
本実施の形態の場合、弯曲する複数の凸形状の羽部223を設けることによって、蛍光体ホイール220がA方向に回転するとき生じた空気流を、基板221の中央部から渦巻き形状の隙間を通って、a1,a2,a3の方向にスムーズに径方向の外側へ誘導することができる。このとき、蛍光体ホイールの背面220Bの中央部付近に効果的に送風することで、蛍光体ホイールの受光面220Aにおける発熱した蛍光体222を効率よく冷却することができる。
【0045】
なお、基板221の第2の面221Bに設置された凸形状の羽部は、弯曲する形状には限定されない。光体ホイール220の背面220Bにおいて隙間を形成し、蛍光体ホイール220の回転により生じた空気流を、径方向外側へ誘導することができる任意の形状であってもよい。
【0046】
(蛍光体ホイール装置200内の循環経路の構成)
図6は、図1の蛍光体ホイール装置200内の循環経路の一例を示す図である。図6において、循環経路の説明を容易なものとするため、熱交換器260が筐体240の後面240bに隣接して配置された構成を示している。図示のように、熱交換器260は、好ましくは、両端部260a,260bは、それぞれが前記筐体の長手方向の両端の近傍に位置するように配置され、更に好ましくは、循環流路261が筐体240の上面240c、又は一側面、例えば、後面240bに隣接して配置される。これによって、循環気体を迅速且つ効果的に冷却することができるとともに、蛍光体ホイール装置200をコンパクトに構成することができる。
【0047】
図6に示すように、本実施の形態において、筐体240は、後面240bに隣接する第1空間S1と、第2空間S2と、蛍光体ホイール220が配置されている第3空間S3とによって構成されている。熱交換器260は、循環流路261が筐体240の後面240bに隣接するように配置され、第1開口部P1において第1空間S1と連通し、第4開口部P4において第3空間S3と連通している。第1空間S1内には、循環ファン231が配置されている。第2空間S2は、第2開口部P2において第1空間S1と連通し、第3開口部P3において第3空間S3と連通している。第3空間S3内には、蛍光体ホイール220が配置されている。
【0048】
図6の矢印C1乃至C5は筐体240内の循環経路を示している。図示のように、循環気体が第1開口部P1を通って熱交換器260の循環流路261の端部260bから第1空間S1内に送入され(C1)、第1空間S1内に設置された循環ファン231によって、第2開口部P2を通って第2空間S2に送入される(C2)。
【0049】
第2空間S2は、循環気体を第1空間S1から第3空間S3へ送入する経路を形成している。第1空間S1内の循環ファン231は、吐出口が第2開口部P2と密接して接続するように配置することができる。これによって、循環気体が、循環ファン231の静圧により第1空間S1から第2空間S2に迅速に送入され、更に第3開口部P3を通って第3空間S3に効率よく送入することができる。
【0050】
第3空間S3内の蛍光体ホイール220は、好ましくは、背面220B、すなわち、基板221の第2の面221Bが第2開口部P2に面して配置され、更に好ましくは、第3開口部P3は、蛍光体ホイール220の基板221よりも小さく、基板221の中央部に向けて配置される。これによって、第2空間S2から送入された循環気体が基板221に触れることなく蛍光体ホイール220の外周の外側から抜けて通過することを抑制し、蛍光体ホイールの背面220Bの中央部付近に対して効果的に送風することができる(C3)。これによって、図4を参照して前述したように、送入された循環気体が蛍光体ホイールの背面220Bに形成された隙間を通して径方向外側へ流れることによって、受光面220Aにおける発熱した蛍光体222を効率よく冷却することができる。
【0051】
次に、蛍光体層222に生じた熱を伴う循環気体は、第3空間S3を通過して(C4)、第4開口部P4を通って第3空間S3から熱交換器260の端部260aから循環流路261に送入される(C5)。
【0052】
このように、筐体240は、空間S1~S3によりコンパクトに構成され、循環気体が第1空間S1と、第2空間S2と、前記第3空間S3とを順に通過する、C1からC5に示す循環経路を形成している。これによって、効果的に蛍光体ホイール220の蛍光体層222を放熱させるとともに、蛍光体ホイール装置200内のスペース効率が向上できる。
【0053】
また、筐体240内の空間S1~S3は、それぞれの間を仕切るように構成されてもよく、例えば、第1空間S1と第2空間S2との間は第2開口部P2のみを介して、第2空間S2と第3空間S3との間は第3開口部P3のみを介して連通するように構成されてもよい。これによって、循環ファン231による風圧を生かして循環気体をC1からC5の循環方向に沿って流れるように誘導することができ、効果的に蛍光体222を放熱させることができる。なお、筐体240は、循環気体を更にスムーズに誘導するために、例えば、循環経路に沿って形成された斜面(図示せず)等を更に含んでもよい。
【0054】
また、循環ファン231は、図6では軸流ファンを示しているが、これに限定されない。本実施の形態において、シロッコファンでも使用することができる。シロッコファンを用いた循環ファン231は、小型であり、且つ静圧(空気を送り出す力)が高く、筐体240の空間内において効率よく循環気体を循環させることができる。なお、循環ファン231は、例えば、複数の軸流ファンを直列に配置して構成することもできる。
【0055】
次に、熱交換器260の端部260aから送入された循環気体は、端部260bに向かって流れて循環流路261を通過する(D1)。このとき、外部からファン232によって送風された気体が、循環流路261と熱的に接している外気流路262内で流れている(D2)。これによって、循環気体が循環流路261を通過する間に、外部気体と熱交換することによって冷却され、冷却された循環気体は、第1開口部P1を通って再び第1空間S1に戻って筐体240内で循環する。このように、筐体240内における空間S1からS3を順に通過する循環経路と、熱交換器260内の循環流路261とは、循環気体が流れる閉流路を構成し、当該閉流路内で循環する気体が冷媒として発熱した蛍光体222を冷却する。
【0056】
好ましくは、図6に示すように、循環気体は、端部260aから循環流路261に送入され、端部260bに向かって、D1方向に循環流路261を通過し、外部気体は、端部260bから外気流路262に送風され、端部260aに向かって、D2方向に外気流路262を通過する。これによって、循環流路261内の循環気体と外気流路262内の外部気体とは、熱交換器260を通過する間に効果的な熱交換が実現できる。
【0057】
(熱交換器260の構成)
以下、図7乃至図10を参照して、図1の蛍光体ホイール装置200の熱交換器260の構成を説明する。
【0058】
図7は、図1の蛍光体ホイール装置200の熱交換器260の構成を示す斜視図(a)及びB-B面の断面図(b)である。図8は、図1の蛍光体ホイール装置200の熱交換器260のケース部(a)及び波板(b)を示す斜視図である。なお、図8(a)は、上面を取り除いた状態の熱交換器260のケース部271を示している。
【0059】
図7(a)に示すように、熱交換器260は、略直方体形状のケース部271(図8(a))と、ケース部271内に設置される波板272(図8(b))とによって構成することができる。循環気体と外部気体とは、熱交換器260の両端部260a,260bの間で、長手方向D1,D2に沿って流れる。なお、循環気体と外部気体との出入り口は、両端部260a,260bに形成されてもよく、両端部260a,260b付近の上面又は底面において形成されてもよい(後段で説明する図9及び図10に示す)。
【0060】
図7(a),(b)に示すように、波板272は、薄板を交互に向きを変えて繰り返し折り曲げた形状を有する。図示のように、繰り返し折り曲げて形成した辺m1n1,辺n1m2,辺m2n2,辺n2m3,辺m3n3・・・・により構成されたジグザグ状の端面が熱交換器260の両端部260a,260bに配置されている。当該波板272によって、熱交換器260の内部において図示X方向に延びる上下に分かれた多数の溝が形成され、上下の溝のそれぞれに沿って流れる気体は、互いに混合することなく、熱交換器260の両端部260a,260bの間で流れることができる。本実施の形態において、図7(b)に示すように、波板272の下方の面とケース部271の下面271bとは、循環気体が流れる循環流路261を構成し、波板272の上方の面とケース部271の上面271aとは、外部気体が流れる外気流路262を構成している。循環流路261と外気流路262とは、それぞれが熱交換器の両端部260a,260bの間で連通し(図7(a))、連通の方向(D1,D2)に沿って、循環流路261は、波板272の下方の面にのみ接し、外気流路262は、波板272の上方の面にのみ接している。
【0061】
なお、本実施の形態において、波板272により形成されたX方向に延びる多数の溝は等間隔dで配列されているが、本開示はこれに限定されない。多数の溝が異なる間隔で配列されてもよい。また、本実施の形態において、波板272のジグザグ状の端面は、繰り返すV字線形状で構成されているが、本開示はこれに限定されない。例えば、波板272のジグザグ状の端面は、一部が湾曲の形状を含むように構成されてもよい。更に、本実施の形態において、波板272のジグザグ状の端面における繰り返すV字形状の高さhが同一に形成されているが、本開示はこれに限定されない。繰り返すV字形状の高さが異なってもよい。
【0062】
波板272は、導熱性材料、例えば、アルミニウム、SUSを用いて作製されている。したがって、循環流路261内で流れる循環気体と外気流路262内で流れる外部気体とは、互いに混合することなく、波板272の延びる方向に沿って波板272を介して熱的に接して流れている。波板272の端面をジグザグ状に形成することによって、循環流路261と外気流路262との熱的に接する表面積が増加し、循環気体と外部気体との熱交換の効率を向上させることができる。
【0063】
波板272を構成する材料が薄いほど熱交換の効果が向上するが、波板272を一定の強度に保持するため、本実施の形態において、例えば、厚さ0.05mm程度のアルミ箔や0.5mm程度のアルミ板を用いて波板272を作製してもよい。波板272により形成されたX方向に延びる多数の溝の配列間隔dは、これに限定されないが、例えば、4mm以上であってもよく、ジグザグ状の端面における繰り返すV字形状の高さhは、例えば、40mm以上であってもよい。なお、波板272の寸法により熱交換器260の熱交換機能が規定されるため、蛍光体ホイール装置200の出力に応じて、要求される冷却機能に基づいて波板272を設計してもよい。ただし、対応できる熱量は循環ファン231やファン232の能力を考慮する必要があることは言うまでもない。
【0064】
このような熱交換器260は、シンプルな構造で循環気体を効果的に冷却し、冷却された循環気体が再び筐体240に戻って循環することによって、安価に蛍光体が発光時に生じた熱を冷却することができる。また、熱交換器260は、図7に示すように、ケース部271と波板272とを別々に作製し、組み立てることによって構成されてもよく、例えば、インサート成形等により、ケース部を含む循環流路261と外気流路262とを一体化構成として作製してもよい。以下、図9及び図10を参照して熱交換器260の一体化構成について説明する。
【0065】
図9は、図1の蛍光体ホイール装置200の熱交換器の一体化構成の一例を示す斜視図(a)、及び出入り口の気体の流れを示す図(b)である。図10は、図1の蛍光体ホイール装置200の熱交換器の一体化構成の他の一例を示す斜視図(a)、及び出入り口の気体の流れを示す図(b)である。
【0066】
図9に示す一体化構成を有する熱交換器の一例である280aは、蓋部273と流路部材274とによって構成されている。流路部材274は、ケース部を含む循環流路261と外気流路262とを、例えば、インサート成形によって一部品として一体に作製された部材である。インサート成形等の製法によれば、熱交換器内部に隙間の発生による気体漏れを防止することができるとともに、製造工数を削減できるため、熱交換器の作製を低コスト化することができる。
【0067】
また、図9に示す熱交換器280aにおいて、外部気体は、例えば、流路部材274の端部274a,274bを出入り口として、図9に示すG1,G2の方向に流れる。そのため、図9(a)に示すように、熱交換器280aは、両端部274a,274bが開放構造を有する。循環気体は、流路部材274の端部274a,274b付近の上面開口部274c,274dより送入又は送出され、図9に示すE1,E2の方向に流れる。
【0068】
図10に示す一体化構成を有する熱交換器の他の一例である280bは、図9の280aに類似し、蓋部275と流路部材276とによって構成されている。インサート成形によって一部品として一体に作製された流路部材276は、図9に示す流路部材274とは、外部気体の出入り口の構成において異なる。熱交換器280bにおいて、外部気体は、例えば、流路部材276の端部276a,276b付近の下面開口部276e,276fを出入り口として、図10に示すG3,G4の方向に流れる。循環気体は、図9に示す流路部材274と同様に、流路部材276の端部276a,276b付近の上面開口部276c,276dより送入又は送出され、図10に示すE3,E4の方向に流れる。この場合、図10(a)に示すように、熱交換器280bは、両端部端部276a,276bが封止構造で構成されている。流路部材276の両端付近の上面及び下面に開口部を設けて循環気体又は外部気体の出入り口とすることで、流路部材276の端面276a,276bの封止を更に簡単にすることができ、熱交換器の作製を更に低コスト化することができる。
【0069】
以上説明したように、このように構成された蛍光体ホイール装置200は、スペース効率が向上した構成を有し、且つ安価に発熱した蛍光体を冷却することができる。
【0070】
<実施の形態2>
以下、図11を参照して、本開示の実施の形態2に係る投写型映像表示装置600について説明する。なお、以下の説明において、実施の形態1と同様な部分を省略する。
【0071】
(投写型映像表示装置600の構成)
図11は、実施の形態2に係る投写型映像表示装置600の構成を示す概略図である。投写型映像表示装置600は、高輝度タイプのプロジェクタであってもよく、家庭用の低輝度タイプのプロジェクタであってもよい。図11に示すように、投写型映像表示装置600は、照明システム300と、光変調素子420と、投写光学系430と、これらを収容する第1~第3の筐体501,502,503とを備えている。
【0072】
照明システム300は、光学系350と、蛍光体ホイール装置200aとを備えている。蛍光体ホイール装置200aは、蛍光体ホイール220aを備え、蛍光体ホイール220aに設けられた蛍光体層222aは、光学系350より発された青色光を受けて黄色光の蛍光を発生する。
【0073】
図11に示すように、照明システム300の光学系350は、半導体レーザ素子301a,301b,301c,301d,301eと、コリメートレンズ302a,302b,302c,302d,302eと、アフォーカルレンズ303,304と、レンズ307,308,309,313,314と、拡散板305,315と、ダイクロイックミラー306と、ロッドインテグレータ310と、を含む。蛍光体ホイール装置200aは、は、蛍光体ホイール220aと、熱交換器260aと、ファン232aとを備えている。
【0074】
光学系350において、半導体レーザ素子301a,301b,301cは、青色光を発生するレーザ光源であってもよい。半導体レーザ素子301a,301b,301cから出射された青色光は、コリメートレンズ302a、302b、302cでそれぞれコリメートされた後、アフォーカスレンズ303,304により集束される。集束された青色光は、拡散板305に入射し、拡散され、ダイクロイックミラー306に入射する。
【0075】
入射光の光軸に対して45度傾斜して配置されているダイクロイックミラー306は、青色光を透過し、青色光以外の発光色を有する光を反射する特性を有する。したがって、拡散板305から入射した青色光は、ダイクロイックミラーを透過し、レンズ307,308を更に透過した後、蛍光体ホイール装置200aに入射する。
【0076】
蛍光体ホイール装置200aにおいて、入射した青色光は、蛍光体ホイール220aの蛍光体層222aを照射する。このとき、蛍光体ホイール220aは、モータ(図示せず)によって回転されている。これによって、青色光が蛍光体層222aの一点に集中的に照射することが回避され、青色光の照射による発熱によって蛍光体層222aに含まれる蛍光体粒子の劣化を抑制することができる。
【0077】
蛍光体層222aに含まれる蛍光体粒子は、青色光によって励起され黄色光を発する。黄色光は、図示Z方向に出射され、ダイクロイックミラー306に入射する。入射した黄色光は、ダイクロイックミラー306により反射され、図示-X方向にレンズ309に入射した後、ロッドインテグレータ310に入射する。
【0078】
一方で、半導体レーザ素子301d,301eは、それぞれ青色光を出射し、出射された青色光は、コリメートレンズ302d,302eでそれぞれコリメートされる。コリメートされた青色光は、レンズ313によって集光された後、拡散板315によって略平行化される。略平行化された青色光は、レンズ314、ダイクロイックミラー306、及び、レンズ309をこの順に透過した後、図示-X方向にロッドインテグレータ310に入射する。
【0079】
このように、ロッドインテグレータ310において、黄色光及び青色光が合成し、白色光が出射される。なお、照明システム300は、ロッドインテグレータ310に代えて、複数のレンズからなるレンズアレイを備えてもよい。
【0080】
ロッドインテグレータ310から出射した白色光は、リレー光学系を構成するレンズ401,402を通過する。次いで、ミラー403,404によって反射されて光変調素子420に入射する。光変調素子420は、蛍光体層222aから発せられる光を映像信号に基づいて空間的に変調し、映像情報に応じた映像光を生成する。光変調素子420によって生成された映像光は、図示+Z方向に投写光学系430に入射し、投写光学系430によって拡大され、表示部、例えば、スクリーン(図示せず)に投射され、表示される。
【0081】
本実施の形態において、防塵及び防音のため、図11に示すように、照明システム300の光学系350は、第1の筐体501内に収容されている。蛍光体ホイール装置200aは、第2の筐体502に収容されている。蛍光体ホイール装置200aの周辺は発熱量が多いため、照明システム300の他の部分と分離して蛍光体ホイール装置200aを第2の筐体502に収容することによって、冷媒として利用される外気を効率的に送風し、熱交換の効果を向上させることができる。第3の筐体503には、レンズ401,402と、ミラー403,404と、光変調素子420と、投写光学系430とが収容されている。光変調素子420は、例えば、ディジタルマイクロミラーデバイス(DMD)であってもよい。蛍光体ホイール装置200aは、前述した実施の形態1に係る蛍光体ホイール装置200と同様な構成を有するため、詳細の説明を省略する。
【0082】
投写型映像表示装置600を小型化するために、第2の筐体502はコンパクトな構成を有したほうがよい。そこで、本開示に係る蛍光体ホイール装置200aは、スペース効率が向上した構成を有し、安価に発熱した蛍光体を冷却することができる。このような蛍光体ホイール装置200aを用いた投写型映像表示装置600は、小型且つ安価であり、ハイパワーで映像光を生成して投写することができる。
【0083】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。そのような変更、及び異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本開示は、蛍光体ホイール装置に適用可能であり、また、そのような蛍光体ホイール装置を備えた照明システム又は投写型映像表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
100,300 照明システム
150,350 光学系
200,200a 蛍光体ホイール装置
220,220a 蛍光体ホイール
221 基板
222,222a 蛍光体層
223 羽部
224 モータ装置
231 循環ファン
240 筐体
241 開口
232,232a ファン
240a,240b,240c 筐体の面
260,280a,280b 熱交換器
260a,260b 端部
261 循環流路
262 外気流路
271 ケース部
272 波板
S1,S2,S3 空間
P1,P2,P3 開口部
C1,C2,C3,C4,C5 循環経路
D1,D2 流路
E1,E2,E3,E4 流れ方向
G1,G2,G3,G4 流れ方向
273,275 蓋部
274,276 流路部材
101a,101b,101c 半導体レーザ素子
301a,301b,301c,301d,301e 半導体レーザ素子
302a,302b,302c,302d,302e コリメートレンズ
103,104,303,304 アフォーカルレンズ
107,108,109,307,308,309、313、314 レンズ
105,305,315 拡散板
106,306 ダイクロイックミラー
110,310 ロッドインテグレータ
401,402 レンズ
403,404 ミラー
420 光変調素子
430 投写光学系
501,502.503 収容筐体
600 投写型映像表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11