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特開2023-48818洗面化粧台用ヘアキャッチャー及び洗面化粧台
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048818
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】洗面化粧台用ヘアキャッチャー及び洗面化粧台
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/264 20060101AFI20230331BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
E03C1/264
A47K1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158349
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】野田 昇作
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA02
2D061DB03
2D061DE15
2D061DE27
(57)【要約】
【課題】毛髪の絡みつきを抑制可能な洗面化粧台用ヘアキャッチャー及び洗面化粧台を提供することを目的とする。
【解決手段】水を受けるボウル部に形成された開口部に着脱可能に取り付けられ、流入した水を一時的に保水する洗面化粧台用ヘアキャッチャーであって、複数の小穴を有する下部と、前記下部の外周から上方に立ち上がり、前記下部の上に保水された水が所定の水位に達したときに排水するためのオーバーフロー穴を有する、立ち上がり部と、を備え、前記オーバーフロー穴は、前記小穴よりも大きく、前記下部から上方に突出し、前記洗面化粧台用ヘアキャッチャー内に水が流入したときに周囲に旋回流が生じる突起部が設けられたことを特徴とする洗面化粧台用ヘアキャッチャーが提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を受けるボウル部に形成された開口部に着脱可能に取り付けられ、流入した水を一時的に保水する洗面化粧台用ヘアキャッチャーであって、
複数の小穴を有する下部と、
前記下部の外周から上方に立ち上がり、前記下部の上に保水された水が所定の水位に達したときに排水するためのオーバーフロー穴を有する、立ち上がり部と、
を備え、
前記オーバーフロー穴は、前記小穴よりも大きく、
前記下部から上方に突出し、前記洗面化粧台用ヘアキャッチャー内に水が流入したときに周囲に旋回流が生じる突起部が設けられたことを特徴とする洗面化粧台用ヘアキャッチャー。
【請求項2】
前記突起部の上端は、前記オーバーフロー穴の下端よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の洗面化粧台用ヘアキャッチャー。
【請求項3】
前記突起部の前記上端は、前記オーバーフロー穴の上端よりも高いことを特徴とする請求項2に記載の洗面化粧台用ヘアキャッチャー。
【請求項4】
前記突起部の上に設けられ、前記突起部よりも外側に延びる延出部をさらに備えた請求項1~3のいずれか1つに記載の洗面化粧台用ヘアキャッチャー。
【請求項5】
前記延出部は、前記下部を覆うことを特徴とする請求項4に記載の洗面化粧台用ヘアキャッチャー。
【請求項6】
前記延出部は、前記開口部を開閉する排水蓋であることを特徴とする請求項5に記載の洗面化粧台用ヘアキャッチャー。
【請求項7】
前記突起部は、前記開口部を開閉する排水蓋を支持する軸部であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の洗面化粧台用ヘアキャッチャー。
【請求項8】
前記オーバーフロー穴の上面及び下面は、水平であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の洗面化粧台用ヘアキャッチャー。
【請求項9】
前記上面の内側端は、前記下面の外側端よりも外側であることを特徴とする請求項8に記載の洗面化粧台用ヘアキャッチャー。
【請求項10】
前記下部の上面は、水平面を含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載の洗面化粧台用ヘアキャッチャー。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、洗面化粧台用ヘアキャッチャー及び洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面化粧台には、毛髪を捕集するためのヘアキャッチャーが取り付けられることがある。例えば、特許文献1には、洗面ボウルや浴槽等の排水流路に設けられ、毛髪やごみ等の異物を捕集するためのヘアキャッチャーが開示されている。
また、例えば、特許文献2には、浴室の洗い場などの排水トラップに設けられるヘアキャッチャーが開示されている。このヘアキャッチャーにおいては、底面に水抜き穴が形成されたボウル部と、ボウル部の上部から延出するオーバーフロー流出部と、が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-200699号公報
【特許文献2】特開2013-209863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘアキャッチャー内に水と共に流入した毛髪は、ヘアキャッチャーに設けられた穴(網目)にまで押し流されることがある。このとき、毛髪が、穴に入ってしまい、引っ掛かって、ヘアキャッチャーに絡みついてしまうことがある。例えば、毛髪の一端が穴からヘアキャッチャーの外側に垂れた状態になることがある。このため、掃除の時にヘアキャッチャーから毛髪を除去しにくくなってしまう恐れがある。特に、洗面化粧台用ヘアキャッチャー(以下、単に「ヘアキャッチャー」と称する場合がある)においては、毛髪が、オーバーフロー流出部などの穴まで到達しやすく、ヘアキャッチャーに絡みつき、清掃性が低下しやすい場合がある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、毛髪の絡みつきを抑制可能な洗面化粧台用ヘアキャッチャー及び洗面化粧台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、水を受けるボウル部に形成された開口部に着脱可能に取り付けられ、流入した水を一時的に保水する洗面化粧台用ヘアキャッチャーであって、複数の小穴を有する下部と、前記下部の外周から上方に立ち上がり、前記下部の上に保水された水が所定の水位に達したときに排水するためのオーバーフロー穴を有する、立ち上がり部と、を備え、前記オーバーフロー穴は、前記小穴よりも大きく、前記下部から上方に突出し、前記洗面化粧台用ヘアキャッチャー内に水が流入したときに周囲に旋回流が生じる突起部が設けられたことを特徴とする洗面化粧台用ヘアキャッチャーである。
【0007】
この洗面化粧台用ヘアキャッチャーによれば、ヘアキャッチャー内に流入した水は、ヘアキャッチャー内において一時的に保水される。これにより、水と一緒に流入してきた毛髪は、保水された水の中において浮遊することができる。その結果、下部の小穴から毛髪が流れ出ることを抑制し、小穴から毛髪が垂れ下がることを抑制することができる。また、小穴が比較的小さいことにより、小穴からの毛髪の流出と垂れ下がりとを抑制することができる。一方で、ヘアキャッチャー内に保水された水の水位が高くなった場合には、オーバーフロー穴が比較的大きいことにより、ヘアキャッチャー内の水をオーバーフロー穴から排水することができる。
また、この洗面化粧台用ヘアキャッチャーによれば、水がヘアキャッチャー内に流入したときに突起部の周囲に旋回流が発生する。浮遊した毛髪は、旋回流によって突起部の周囲を流れ、突起部の周りに集まり、捕集される。そして、ヘアキャッチャー内に毛髪が捕集されている状態において、さらに水が流れ込んできても、突起部が毛髪の移動を制限し、毛髪を突起部付近に留めることができる。これにより、例えば、オーバーフロー穴まで毛髪が押し流されることを抑制できる。したがって、毛髪の絡みつきを抑制することができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記突起部の上端は、前記オーバーフロー穴の下端よりも高いことを特徴とする洗面化粧台用ヘアキャッチャーである。
【0009】
オーバーフロー穴から水が排出されるとき、ヘアキャッチャー内の水位は、オーバーフロー穴の下端よりも高い位置になることがある。一方、ヘアキャッチャー内の水位が高くなると、突起部の周りに集まっていた毛髪が、突起部よりも上方において浮遊し、突起部から抜けて移動してしまう可能性がある。これに対して、この洗面化粧台用ヘアキャッチャーによれば、突起部の上端がオーバーフロー穴の下端よりも高いことにより、毛髪が突起部から抜けてしまうことを抑制し、より確実に毛髪を突起部付近に留めることができる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、前記突起部の前記上端は、前記オーバーフロー穴の上端よりも高いことを特徴とする洗面化粧台用ヘアキャッチャーである。
【0011】
多量の水が一気にヘアキャッチャーに流入した場合には、ヘアキャッチャー内の水位が、オーバーフロー穴の上端よりも高い位置になることがある。これに対して、この洗面化粧台用ヘアキャッチャーによれば、突起部の上端がオーバーフロー穴の上端よりも高いことにより、毛髪が突起部から抜けてしまうことを抑制し、より確実に毛髪を突起部付近に留めることができる。
【0012】
第4の発明は、第1~3のいずれか1つの発明において、前記突起部の上に設けられ、前記突起部よりも外側に延びる延出部をさらに備えた洗面化粧台用ヘアキャッチャーである。
【0013】
この洗面化粧台用ヘアキャッチャーによれば、突起部の周りに集まっていた毛髪が突起部よりも上に浮遊することを、延出部により抑制することができる。これにより、毛髪が突起部から抜けてしまうことを抑制し、より確実に毛髪を突起部付近に留めることができる。
【0014】
第5の発明は、第4の発明において、前記延出部は、前記下部を覆うことを特徴とする洗面化粧台用ヘアキャッチャーである。
【0015】
この洗面化粧台用ヘアキャッチャーによれば、突起部に集まった毛髪が浮遊して突起部から抜けて移動してしまうことを防ぎながら、使用者から集まった毛髪を隠すことができる。
【0016】
第6の発明は、第5の発明において、前記延出部は、前記開口部を開閉する排水蓋であることを特徴とする洗面化粧台用ヘアキャッチャーである。
【0017】
この洗面化粧台用ヘアキャッチャーによれば、延出部は、突起部に集まった毛髪が浮遊して突起部から抜けて移動してしまうことを防ぎながら、使用者から集まった毛髪を隠しつつ、排水蓋としての機能をあわせもつことができる。
【0018】
第7の発明は、第1~6のいずれか1つの発明において、前記突起部は、前記開口部を開閉する排水蓋を支持する軸部であることを特徴とする洗面化粧台用ヘアキャッチャーである。
【0019】
この洗面化粧台用ヘアキャッチャーによれば、突起部に集まった毛髪が浮遊して突起部から抜けて移動してしまうことを防ぎながら、突起部は、排水蓋を支持する軸部としての機能をあわせもつことができる。
【0020】
第8の発明は、第1~7のいずれか1つの発明において、前記オーバーフロー穴の上面及び下面は、水平であることを特徴とする洗面化粧台用ヘアキャッチャーである。
【0021】
この洗面化粧台用ヘアキャッチャーによれば、ヘアキャッチャー内に水と共に毛髪が流入し、オーバーフロー穴の上を通過する際に、オーバーフロー穴から毛髪が流れ出にくくすることができる。
【0022】
第9の発明は、第8の発明において、前記上面の内側端は、前記下面の外側端よりも外側であることを特徴とする洗面化粧台用ヘアキャッチャーである。
【0023】
この洗面化粧台用ヘアキャッチャーによれば、金型を上下に抜くことでヘアキャッチャーを製造できるため、生産効率を向上させ、生産コストを抑えることができる。
【0024】
第10の発明は、第1~9のいずれか1つの発明において、前記下部の上面は、水平面を含むことを特徴とする洗面化粧台用ヘアキャッチャーである。
【0025】
この洗面化粧台用ヘアキャッチャーによれば、下部の上面の広い範囲においてヘアキャッチャー内に流入した水を保水することができる。例えば、ヘアキャッチャー内に流入した水の量が少なくても、下部の全体において保水することができる。これにより、水と共に下部に流入した毛髪を浮遊させやすく、毛髪が流れ出ることをより抑制することができる。
【0026】
第11の発明は、第1~10のいずれか1つの発明の洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台である。
【0027】
この洗面化粧台によれば、毛髪の絡みつきを抑制することができ、清掃性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の態様によれば、毛髪の絡みつきを抑制可能な洗面化粧台用ヘアキャッチャー及び洗面化粧台が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1(a)及び図1(b)は、実施形態に係る洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台を例示する斜視図及び平面図である。
図2】実施形態に係る洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台を例示する斜視図である。
図3図3(a)~図3(c)は、実施形態に係る洗面化粧台用ヘアキャッチャーを例示する平面図、側面図、及び断面図である。
図4図4(a)~図4(c)は、ヘアキャッチャーを例示する斜視図である。
図5図5(a)~図5(c)は、実施形態に係る別の洗面化粧台用ヘアキャッチャーを例示する平面図、側面図、及び断面図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る別の洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台を例示する断面図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、実施形態に係る別の洗面化粧台用ヘアキャッチャーを例示する斜視図である。
図8】実施形態に係る別の洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台を例示する断面図である。
図9】実施形態に係る別の洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台を例示する断面図である。
図10】実施形態に係る洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台を例示する断面図である。
図11】実施形態に係る実施形態に係る洗面化粧台用ヘアキャッチャーを例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1(a)及び図1(b)は、実施形態に係る洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台を例示する斜視図及び平面図である。
実施形態に係る洗面化粧台100は、ボウル部110(洗面ボウル)と、スパウト120と、排水口装置200と、を有する。ボウル部110は、例えば床面などに設置された洗面台(不図示)の上部などに設けられる。
【0031】
ボウル部110は、水(例えばスパウト120から吐出された水)を受ける。この例では、ボウル部110は、底面111と、第1側面113と、第2側面115と、を有する。ボウル部110には、開口部117(排水口)が形成されている。例えば、開口部117は、底面111に設けられ、ボウル部110の片隅の奥部に位置する。図1に表した洗面化粧台100では、開口部117は、ボウル部110の奥部の位置であって、第1の側面113(右側面)と第2の側面115(後側面)とで形成されたコーナ部の位置に設けられている。
【0032】
ここで、本願明細書においては、ボウル部110を向いて洗面化粧台100の前に立つ使用者からみて上方を「上方」とし、下方を「下方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とし、手前側を「前方」とし、奥側を「後方」とする。左右方向は、いわゆる間口方向である。
【0033】
図1(a)に表したように、底面111は、例えば略平坦な形状を呈し、開口部117へ向かって傾斜している。図1(b)に表したように、上方からみたときに、底面111は、略矩形の形状を呈する。第1の側面113および第2の側面115のそれぞれは、底面111からみて比較的急な傾斜を有する。
【0034】
開口部117の部分には、排水口装置200が設けられている。排水口装置200は、排水蓋220と、洗面化粧台用ヘアキャッチャー10(図2参照)と、を有する。排水蓋220は、開口部117を開閉する。ヘアキャッチャー10は、開口部117に設けられ、毛髪やごみなどを捕捉することができる。
【0035】
スパウト120は、ボウル部110の上方に位置し、ボウル部110へ向けて水を吐出する。例えば、スパウト120は、ボウル部110の左右方向の中央付近に設けられる。ボウル部110上の水は、ボウル部110の形状に従って、開口部117へ流れる。
【0036】
一般に、洗面化粧台においては、ボウル部上の水は、開口部を中心とする全方向から均一には、開口部に流れ込まない。ボウル部上の水は、ボウル部の形状に従って、開口部の一方側から流れ込みやすい。例えば、図1の例においては、ボウル部110上の水は、底面111の勾配に従って、左側から開口部117に流れ込みやすい場合がある。または、ボウル部110上の水は、側面113に沿って流れ、前方から開口部117に流れ込みやすい場合がある。なお、スパウト120の位置や、ボウル部110の形状(開口部117の位置や底面111の勾配)は、上記に限らず、ボウル部110が受けた水が開口部117へ導かれる任意の位置・形状でよい。
【0037】
図2は、実施形態に係る洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台を例示する斜視図である。
図2は、図1に示した開口部117の近傍を拡大して表している。また、図2においては、排水蓋220の図示を省略している。
【0038】
図2に表したように、洗面化粧台100には、洗面化粧台用ヘアキャッチャー10が設けられる。ヘアキャッチャー10は、開口部117に着脱可能に取り付けられている。また、ヘアキャッチャー10は、ヘアキャッチャー10内に流入した水を一時的に保水する(滞留させる)。
【0039】
具体的には、ヘアキャッチャー10は、下部20と、立ち上がり部30と、係合部40と、突起部50と、を有する。
【0040】
図3(a)~図3(c)は、実施形態に係る洗面化粧台用ヘアキャッチャーを例示する平面図、側面図、及び断面図である。
図3(a)は、ヘアキャッチャー10を上方から見た平面図であり、図3(b)は、ヘアキャッチャー10を側方から見た側面図である。図3(c)は、図3(a)に示したA-A線における断面図である。
【0041】
下部20は、例えば、ヘアキャッチャー10の底面を形成する底部である。この例では、下部20は、上方から見たときに円形の平板状である。例えば、下部20は、水平方向に延在する。下部20の上面20fの少なくとも一部(例えば全体)は、水平面である。ただし、下部20は、湾曲していてもよい。例えば、下部20は、下方に湾曲したボウル状(すり鉢状)でもよい。また、下部20の平面形状は、円形に限らず、例えば楕円形や多角形でもよく、任意である。
【0042】
下部20は、複数の小穴21を有する。小穴21は、例えば、上下方向において下部20を貫通している。この例では、小穴21は、円形である。ただし、小穴21は、円形に限らず、例えば楕円形や多角形でもよく、任意である。小穴21は、例えば水抜き穴である。また、下部20の少なくとも一部は、網目状や格子状であってもよい。
【0043】
下部20は、ヘアキャッチャー10内に流入した水を一時的に保水可能である。すなわち、ヘアキャッチャー10内に流入した水は、下部20上に一時的に滞留することができる。
【0044】
立ち上がり部30は、下部20の外周20pから上方に立ち上がっている。立ち上がり部30は、下部20の外周20pの全周から上方に延びる。この例において、立ち上がり部30は、ヘアキャッチャー10の側面を形成する側壁部である。また、立ち上がり部30は、ヘアキャッチャーの中心から見て外側に向かって傾斜している。
【0045】
この例では、立ち上がり部30は、下部20よりも比較的急な傾斜で、下部20から立ち上がっている。言い換えれば、下部20は、立ち上がり部30よりも水平に近い。但し、これに限らず、例えば下部20がボウル状等である場合、立ち上がり部30の少なくとも一部の傾斜は、下部20の少なくとも一部の傾斜と同等でもよいし、下部20の少なくとも一部の傾斜よりも水平に近くてもよい。下部20と立ち上がり部30とで、ボウル状(すり鉢状)が形成されてもよい。立ち上がり部30は、断面視において、直線状に立ち上がっていてもよいし、曲線状に立ち上がっていてもよい。
【0046】
立ち上がり部30は、オーバーフロー穴31を有する。オーバーフロー穴31は、下部20の上に保水された水が所定の水位に達したときに排水する。言い換えれば、ヘアキャッチャー10内に流入して下部20の上に滞留した水のうち、所定の水位を超えた水は、オーバーフロー穴31からヘアキャッチャー10の外へ排出される。なお、所定の水位とは、オーバーフロー穴31の下端の高さ(上下方向における位置)に対応する。オーバーフロー穴31の下端は、下部20から上方に離れた位置に形成されている。
【0047】
オーバーフロー穴31は、少なくとも1つ設けられればよい。この例では、同じ形状のオーバーフロー穴31が複数設けられている。例えば、図3(a)に表したように、複数のオーバーフロー穴31は、ヘアキャッチャー10の中心から見て等方的に配置されている。各オーバーフロー穴31は、角丸の矩形状であり、その上辺及び下辺は、水平方向に延びている。但し、オーバーフロー穴31の形状は、矩形状に限らず、例えば、円形、楕円形、多角形などでもよく、任意である。立ち上がり部30の少なくとも一部は、網目状や格子状であってもよい。
【0048】
オーバーフロー穴31は、小穴21よりも大きい。例えば、1つのオーバーフロー穴31の開口面積は、1つの小穴21の開口面積よりも大きい。例えば、図3(a)に表したように、1つのオーバーフロー穴31の幅w31(水平方向における長さ)は、1つの小穴21の幅w21よりも大きい。
【0049】
オーバーフロー穴31が比較的大きいことにより、ヘアキャッチャー10の排水性能を確保することができる。一方、小穴21が比較的小さいことにより、小穴21から流出する水量が少ないため、ヘアキャッチャー10内において保水することができる。一例として、小穴21の幅w21(直径)は、1mm以上3mm以下である。小穴21の幅w21が大きすぎると、小穴21からの流量が大きくなり、ヘアキャッチャー10に流入した水を保水しにくくなる場合がある。また、小穴21が大きすぎると、小穴21から毛髪が流出しやすくなる可能性がある。小穴21を小さくすることで、小穴21から毛髪が垂れ下がり絡みつくことを抑制できる。一方、小穴21の幅w21が1mm未満の場合は、水の表面張力によって、時間が経過しても、下部20から水が抜けにくい場合がある。
【0050】
係合部40は、立ち上がり部30の上に設けられている。係合部40は、例えば、立ち上がり部30の外周30pの全周から上方に延びる。係合部40は、例えば、立ち上がり部30よりも外側に向かって傾斜した鍔状である。図2に表したように、係合部40の径は、開口部117の少なくとも一部の径よりも大きい。これにより、係合部40は、開口部117に係合可能である。具体的には、係合部40は、開口部117の周囲のボウル部110の上に載置される。これにより、ヘアキャッチャー10は、係合部40においてボウル部110に支持され、下部20及び立ち上がり部30などは、開口部117内に収納される。このようにして、ヘアキャッチャー10は、開口部117に対して着脱可能である。なお、係合部40には、排水のための穴は設けられなくてもよい。
【0051】
突起部50は、下部20から上方に突出した凸部である。ヘアキャッチャー10内に水が流入したときに、突起部50の周囲には旋回流が生じる。例えば、図2に表した矢印A1のように、ボウル部110上から流入した水の少なくとも一部は、下部20の上においてヘアキャッチャー10内を回るように流れる。旋回流は、上方から見たときに突起部50の少なくとも一部を囲むように生じる。この例では、突起部50は、円柱状である。
【0052】
以上、説明したように、実施形態によれば、ヘアキャッチャー10内に流入した水は、ヘアキャッチャー10内において一時的に保水される。これにより、水と一緒に流入してきた毛髪は、保水された水の中において浮遊することができる。その結果、下部20の小穴21から毛髪が流れ出ることを抑制し、小穴21から毛髪が垂れ下がることを抑制することができる。また、小穴21が比較的小さいことにより、小穴からの毛髪の流出と垂れ下がりとを抑制することができる。
【0053】
一方で、ヘアキャッチャー10内に保水された水の水位が高くなった場合には、オーバーフロー穴31が比較的大きいことにより、ヘアキャッチャー10内の水をオーバーフロー穴31から排水することができる。これにより、水がヘアキャッチャーから溢れることを抑制し、例えば、ボウル部110内に水が滞留して開口部117やヘアキャッチャー10が詰まっているように見えてしまう、という使用者の不快感を抑制することができる。
【0054】
また、実施形態によれば、水がヘアキャッチャー10内に流入したときに突起部50の周囲に旋回流が発生する。浮遊した毛髪は、旋回流によって突起部50の周囲を流れ、突起部の周りに集まり、捕集される。これにより、毛髪のヘアキャッチャー10の穴への絡みつきを抑制することができる。
【0055】
図4(a)~図4(c)は、ヘアキャッチャーを例示する斜視図である。
これらは、ヘアキャッチャーによる毛髪の捕集状態を例示している。図4(a)及び図4(b)は、参考例に係るヘアキャッチャー10Rを表し、図4(c)は、実施形態に係るヘアキャッチャー10を表す。
【0056】
参考例に係るヘアキャッチャー10Rは、小穴を有する下部と、オーバーフロー穴を有する立ち上がり部と、を有するが、下部に突起部が設けられていない。図4(a)は、水と共に流入した毛髪Hが捕集された状態を表し、図4(b)は、図4(a)の後に、再び、水(及び毛髪)が流入した後の状態を表す。
【0057】
この参考例のヘアキャッチャー10Rにおいては、ヘアキャッチャー10R内に毛髪Hが捕集されている状態(図4(a))において、さらにヘアキャッチャー内に水が流入すると、例えば図4(b)の例のように、捕集されていた毛髪が、水の勢いによって、ヘアキャッチャー10Rの外側へ向けて押し流され、オーバーフロー穴まで達することがある。例えば、参考例のヘアキャッチャー10Rに捕集された毛髪Hは、下部の小穴に絡まっていないため、押し流されてオーバーフロー穴の高さまでせり上がる可能性がある。その結果、オーバーフロー穴に達した毛髪は、オーバーフロー穴から垂れ下がる可能性がある。特に、洗面化粧台用ヘアキャッチャーは、浴室用などのヘアキャッチャーに比べて小型であり、大きさ及び深さの確保が困難な場合がある。このような洗面化粧台用ヘアキャッチャーにおいては、オーバーフロー穴と下部(底面)との間の距離が短くなりやすいため、排水を繰り返したときに毛髪がオーバーフロー穴まで達することが頻繁に起こることが懸念される。
【0058】
これに対して、実施形態に係るヘアキャッチャー10によれば、図4(c)の例のように、ヘアキャッチャー10内に毛髪Hが捕集されている状態において、さらに水が流れ込んできても、突起部50が毛髪Hの移動を制限し、毛髪Hを突起部50付近に留めることができる。よって、毛髪Hが、立ち上がり部30のオーバーフロー穴31まで押し流されることが減り、オーバーフロー穴31から毛髪が流れ出ることが少ない。したがって、実施形態によれば、毛髪の絡みつきを抑制することができる。また、上述したように、実施形態においては、ヘアキャッチャー内に保水された水に浮遊した毛髪Hは、旋回流によって突起部50の周囲を流れる。そのため、図4(c)の例では、毛髪Hは、突起部50に巻き付くようにして捕集されている。
【0059】
また、突起部50は、立ち上がり部30から水平方向において離れている。言い換えれば、突起部50の周りを下部20が取り囲んでいる。例えば、図3(a)に表したように、突起部50は、上方から見たときに下部20の中央部C内に設けられる。これにより、突起部50が旋回流を妨げることを抑制できる。また、突起部50の周囲に集められた毛髪をオーバーフロー穴31から遠ざけることができる。これにより、毛髪がオーバーフロー穴31から垂れ下がって絡みつくことをさらに抑制できる。
【0060】
なお、下部20の中央部Cとは、例えば、図3(a)のような上面視において、下部20の中心G(外周20pの平面形状の重心)から距離R以内の範囲である。一例として、距離Rは、下部20の半径(下部20の水平方向の最大幅の半分)の0.5倍、好ましくは0.1倍程度である。
【0061】
また、例えば、図3(a)のように、突起部50の中心(突起部50の外周の平面形状の重心)は、下部20の中心Gと一致していてもよい。なお、一致とは、厳密に一致している場合のみならず、実質的に一致している場合(例えば中心同士が3mm程度以内の範囲で僅かにずれている場合)を含んでもよい。
【0062】
例えば、下部20には、中央部Cの外側においては突起が設けられない。この例では、下部20には、1つの突起部50以外の突起が設けられていない。例えば、下部20の上には、突起部50よりも高い突起は設けられず、下部20の全体は、突起部50よりも低い。
【0063】
また、1つの小穴21の形状は、別の1つの小穴21の形状と同じでよい。例えば、複数の小穴21は、図3(a)に表した上面視において、ヘアキャッチャー10の中心から見て等方的に配置される。例えば、複数の小穴21は、上面視において、下部20上に均一に分散して配置される。小穴21の形状や配置によって、下部20上で生じた旋回流が妨げられることをより抑制できる。
【0064】
また、前述したように、下部20の上面20fは、水平面を含む。これにより、下部20の上面20fの広い範囲(例えば全体)においてヘアキャッチャー10内に流入した水を保水することができる。例えば、ヘアキャッチャー10内に流入した水の量が少なくても、下部20の全体において保水することができる。これにより、水と共に下部20に流入した毛髪を浮遊させやすく、毛髪が流れ出ることをより抑制することができる。なお、上面20fが水平面であることは、上面20fが水平方向に延在していればよく、上面20fが厳密に水平面であることのみならず、実質的に水平面である場合(例えば、3°程度以下の範囲で水平から僅かに傾いている場合や、3mm程度以下の僅かな凹凸が形成されている場合)を含んでもよい。なお、ヘアキャッチャー10の直径(水平方向の最大幅)は、例えば、80mm程度である。
【0065】
また、図1に関して説明したように、開口部117は、ボウル部110の片隅や奥部に位置する。また、ボウル部110の底面111には、開口部117へ向かう勾配が設けられている。これにより、水は、より強い旋回力あるいはより速い旋回速度で旋回しつつ開口部117へ流れ込みやすいと考えられる。この場合、ヘアキャッチャー10内に水が流入したときに、より旋回流が生じやすくなる。
【0066】
なお、図3(b)及び図3(c)に表したように、ヘアキャッチャー10は、筒部25を有していてもよい。筒部25は、下部20の底面中央から下方に延びる筒状である。
【0067】
図5(a)~図5(c)は、実施形態に係る別の洗面化粧台用ヘアキャッチャーを例示する平面図、側面図、及び断面図である。
図5(a)は、ヘアキャッチャー10aを上方から見た平面図であり、図5(b)は、ヘアキャッチャー10aを側方から見た側面図である。図5(c)は、図5(a)に示したB-B線における断面図である。
【0068】
図5(a)~図5(c)に表したヘアキャッチャー10aは、図3(a)~図3(c)に表したヘアキャッチャー10と、突起部50の形状において異なる。これ以外については、ヘアキャッチャー10aは、ヘアキャッチャー10と同様である。
【0069】
ヘアキャッチャー10aにおいては、突起部50は、円筒状である。図5(c)に表したように、突起部50は、下部20の底面に設けられた筒部25と連続している。つまり、突起部50及び筒部25は、下部20を貫通する筒状となっている。
【0070】
ヘアキャッチャー10aにおいても、ヘアキャッチャー10と同様に、毛髪がヘアキャッチャーに絡みつくことを抑制することができ、清掃性を向上させることができる。
【0071】
このように、突起部50は、柱状でもよいし、筒状でもよい。また、上面視において、突起部50の外形は、円形に限らず、任意であり、例えば多角形や楕円でもよい。また、突起部50の少なくとも一部は、上方に延びる板状(リブ状)であってもよい。
【0072】
また、図3(c)または図5(c)に表したように、ヘアキャッチャー10、10aにおいて、突起部50は、鉛直方向に延びる側面50sを有する。突起部50の側面50sと下部20の上面との間の角度θ1は、例えば90°である。ただし、これに限らず、実施形態においては、突起部50の側面50sの少なくとも一部は、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。突起部50の側面50sは、角度θ1が90°よりも大きいテーパ状でもよいし、角度θ1が90°未満の逆テーパ状でもよい。
【0073】
また、図3(c)や図5(c)のような断面視において、突起部50の側面50sは、直線状である。ただし、これに限らず、断面視において、突起部50の側面50sは、曲線状でもよい。突起部50の上端は、平面でもよいし、曲面でもよいし、尖っていてもよい。すなわち、突起部50は、山状または針状であってもよい。下部20の中央部に複数の突起部50を設けてもよい。
【0074】
図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る別の洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台を例示する断面図である。
ヘアキャッチャー10b、10cは、突起部50の高さにおいて、ヘアキャッチャー10と異なる。これ以外については、ヘアキャッチャー10b、10cは、ヘアキャッチャー10と同様である。
【0075】
図6(a)に表したヘアキャッチャー10bにおいては、突起部50の上端50tは、オーバーフロー穴31の下端31bよりも高い。すなわち、上端50tの上下方向における位置H1は、下端31bの上下方向における位置H2よりも上方である。
【0076】
オーバーフロー穴31から水が排出されるとき、ヘアキャッチャー10b内の水位は、オーバーフロー穴31の下端31bよりも高い位置になることがある。一方、ヘアキャッチャー10b内の水位が高くなると、突起部50の周りに集まっていた毛髪が、突起部50よりも上方において浮遊し、突起部50から抜けて移動してしまう可能性がある。これに対して、ヘアキャッチャー10bにおいては、突起部50の上端50tがオーバーフロー穴31の下端31bよりも高いことにより、毛髪が突起部50から抜けてしまうことを抑制し、より確実に毛髪を突起部50付近に留めることができる。
【0077】
図6(b)に表したヘアキャッチャー10cにおいては、突起部50の上端50tは、オーバーフロー穴31の上端31tよりも高い。すなわち、上端50tの上下方向における位置H3は、上端31tの上下方向における位置H4よりも上方である。
【0078】
例えば、多量の水が一気にヘアキャッチャー10cに流入した場合には、ヘアキャッチャー10c内の水位が、オーバーフロー穴31の上端31tよりも高い位置になることがある。これに対して、ヘアキャッチャー10cにおいては、突起部50の上端50tがオーバーフロー穴31の上端31tよりも高いことにより、毛髪が突起部50から抜けてしまうことを抑制し、より確実に毛髪を突起部50付近に留めることができる。
【0079】
図7(a)及び図7(b)は、実施形態に係る別の洗面化粧台用ヘアキャッチャーを例示する斜視図である。
図7(a)及び図7(b)に表したヘアキャッチャー10d、10eは、延出部55をさらに有する。これ以外については、ヘアキャッチャー10d、10eは、ヘアキャッチャー10と同様である。
【0080】
図7(a)に表したヘアキャッチャー10dのように、延出部55は、突起部50の上に設けられる。例えば、延出部55は、突起部50の上端に直接的または間接的に接続されている。延出部55は、突起部50よりも外側に延びている。すなわち、上面視において、延出部55は、突起部50の中心から見て、突起部50よりも水平方向に延びた部分を有する。この例では、延出部55は、突起部50の上端の全外周から外側に延出している。例えば、延出部55は、皿状または円板状の皿部である。
【0081】
突起部50の周りに集まっていた毛髪は、ヘアキャッチャー内の水に浮遊しても、延出部55に引っ掛かることによって、上方への浮遊を遮られる。このように、延出部55によって、突起部50の周りに集まっていた毛髪が突起部50よりも上に浮遊することをより抑制することができる。これにより、毛髪が突起部から抜けてしまうことを抑制し、より確実に毛髪を突起部付近に留めることができる。
【0082】
なお、延出部55は、嵌合や挿抜などの任意の手段によって、突起部50に対して着脱可能であってもよいし、突起部50と一体でもよい。また、延出部55の平面形状は、円形に限らず、任意であり、例えば多角形や楕円でもよい。また、延出部55の上面、下面及び側面は、平面でもよいし、曲面でもよい。
【0083】
図7(b)に表したヘアキャッチャー10eにおいては、延出部55は、下部20を覆う。これにより、突起部50に集まった毛髪が浮遊して突起部50から抜けて移動してしまうことを防ぎながら、使用者から集まった毛髪を隠すことができる。例えば、上面視において、下部20の全体が延出部55によって隠蔽されている。
【0084】
図8は、実施形態に係る別の洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台を例示する断面図である。
図8に表したように、この例において、洗面化粧台100は、開口部117を有するボウル部110と、フランジ部材119と、ヘアキャッチャー10fと、排水管230と、ワイヤ240と、を有する。
【0085】
排水管230は、開口部117の下方に接続されている。フランジ部材119は、円筒状の部材であり、上端側が外側に広がったフランジ形状となっている。フランジ部材119の外周の一部と、排水管230との内周の一部とには、互いに係合するネジ溝が形成されている。フランジ部材119は、排水管230および開口部117に挿入され、排水管230に螺合されている。また、フランジ部材119の上端部は、開口部117を形成するボウル部110と接している。フランジ部材119により、開口部117と排水管230とを水密に接続することができる。
【0086】
ヘアキャッチャー10fは、延出部55を有する。これ以外については、ヘアキャッチャー10fは、図5(a)~図5(c)に関して説明したヘアキャッチャー10aと同様である。この例では、延出部55は、図1(a)等に関して説明した排水蓋220を兼ねている。すなわち、延出部55は、開口部117を開閉する排水蓋220でもよい。
【0087】
延出部55の外周には、シール部材222が設けられている。シール部材222には、例えば、ゴムなどの弾性体を含む平パッキンが用いられる。延出部55が下降すると、シール部材222が、開口部117を形成するボウル部110の内周面に接する。これにより、延出部55(排水蓋220)は、開口部117を水密に塞ぐことができ、ボウル部110内の水は、排水管230へ流れない。延出部55が上昇すると、開口部117を形成するボウル部110の内周面と、シール部材222との間に隙間が生じる。この隙間を通って、ボウル部110内の水は、排水管230へ流れることができる。このように、延出部55が昇降することで、開口部117が開閉する。
【0088】
延出部55の下部には、上下方向に延びる栓軸221が接続されている。延出部55は、栓軸221に支持されている。栓軸221は、ヘアキャッチャー10fの円筒状の突起部50及び筒部25に、摺動可能に挿入されている。
【0089】
ワイヤ240の一端は、栓軸221に直接的または間接的に接続されている。ワイヤ240の他端は、操作部241と直接的または間接的に接続されている。なお、図8において、操作部241は模式的に表している。操作部241は、例えば、使用者が操作するレバーまたはボタンである。使用者は、操作部241を操作することでワイヤ240を進退させることができる。ワイヤ240が進出すると、栓軸221が上昇し、延出部55が上昇する。一方、ワイヤ240が後退すると、栓軸221が下降し、延出部55が下降する。
【0090】
このように、延出部55は、操作部241によって昇降可能な排水蓋220であってもよい。延出部55は、突起部50に集まった毛髪が浮遊して突起部50から抜けて移動してしまうことを防ぎながら、使用者から集まった毛髪を隠しつつ、排水蓋220としての機能をあわせもつことができる。
【0091】
図9は、実施形態に係る別の洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台を例示する断面図である。
図9に表したヘアキャッチャー10gは、延出部55を有する。これ以外については、ヘアキャッチャー10gは、ヘアキャッチャー10と同様である。この例においても、延出部55は、排水蓋220を兼ねている。
【0092】
図9に表した例では、排水蓋220は、突起部50の上に載置される。この状態において、排水蓋220は、開口部117を水密に塞いでいる。すなわち、突起部50は、開口部117を開閉する排水蓋220を支持する軸部である。このような構成により、突起部50に集まった毛髪が浮遊して突起部50から抜けて移動してしまうことを防ぎながら、突起部50は、排水蓋220を支持する軸部としての機能をあわせもつことができる。なお、排水蓋220の昇降は、排水蓋220等に接続したワイヤ等による方式でもよいし、使用者が排水蓋220を直接、手で着脱する方式でもよい。
【0093】
図10は、実施形態に係る洗面化粧台用ヘアキャッチャーを備えた洗面化粧台を例示する断面図である。
図10は、ヘアキャッチャー10の断面の一部を拡大して表している。図10に表したようにオーバーフロー穴31は、上面31f及び下面31gを有する。上面31fは、オーバーフロー穴31の上端を形成する立ち上がり部30の面に対応する。下面31gは、オーバーフロー穴31の下端を形成する立ち上がり部30の面に対応する。
【0094】
上面31f及び下面31gは、それぞれ、水平である。言い換えれば、オーバーフロー穴31は、立ち上がり部30を水平方向に貫通する貫通穴である。これにより、ヘアキャッチャー10内に水と共に毛髪が流入し、矢印A2のようにオーバーフロー穴31の上を通過する際に、オーバーフロー穴31から毛髪が流れ出にくくすることができる。
【0095】
なお、上面31f及び下面31gが水平であることは、上面31f及び下面31gが厳密に水平であることだけでなく、実質的に水平である場合(例えば20°程度以下の範囲で僅かに水平から傾いている場合)を含んでもよい。また、オーバーフロー穴31の鉛直方向からの傾斜角度、すなわち立ち上がり部30の鉛直方向からの傾斜角度θ2は、例えば、0°よりも大きく30°以下である。
【0096】
図11は、実施形態に係る実施形態に係る洗面化粧台用ヘアキャッチャーを例示する断面図である。
図11に表したように、オーバーフロー穴31の上面31fは、内側端31pを有する。オーバーフロー穴31の下面31gは、外側端31qを有する。内側端31pは、外側端31qよりも外側に位置する。
【0097】
例えば、ヘアキャッチャー10は、上金型M1と下金型M2との間に、樹脂等の材料を充填することで成型される。この際、内側端31pが、外側端31qよりも外側に位置することにより、金型を上下に抜くことができる。これにより、ヘアキャッチャーの生産効率を向上させ、生産コストを抑えることができる。
【0098】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、洗面化粧台、洗面化粧台用ヘアキャッチャーなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0099】
10、10a~10g、10R 洗面化粧台用ヘアキャッチャー
20 下部
20f 上面
20p 外周
21 小穴
25 筒部
30 立ち上がり部
30p 外周
31 オーバーフロー穴
31b 下端
31f 上面
31g 下面
31p 内側端
31q 外側端
31t 上端
40 係合部
50 突起部
50s 側面
50t 上端
55 延出部
100 洗面化粧台
110 ボウル部
111 底面
113 側面
115 側面
117 開口部
119 フランジ部材
120 スパウト
200 排水口装置
220 排水蓋
221 栓軸
222 シール部材
230 排水管
240 ワイヤ
241 操作部
H 毛髪
M1 上金型
M2 下金型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11