(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048823
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20230331BHJP
H04N 1/52 20060101ALI20230331BHJP
H04N 1/405 20060101ALI20230331BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230331BHJP
B41J 5/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
H04N1/60
H04N1/60 160
H04N1/52
H04N1/405
G06T1/00 510
B41J5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158357
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】307015301
【氏名又は名称】武藤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳成 一博
【テーマコード(参考)】
2C187
5B057
5C077
5C079
【Fターム(参考)】
2C187AC08
2C187AD14
2C187AE01
2C187BF42
2C187CD12
2C187CD17
2C187CD22
5B057AA11
5B057CA01
5B057CA07
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE17
5B057CE18
5B057CH07
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC25
5C077LL11
5C077MP08
5C077NN01
5C077PP37
5C077PQ08
5C077PQ23
5C077RR05
5C077SS06
5C077TT05
5C079HA19
5C079HB01
5C079HB03
5C079HB08
5C079HB12
5C079KA12
5C079LA31
5C079LB01
5C079LC01
5C079MA04
5C079NA29
5C079PA03
5C079PA05
(57)【要約】
【課題】マルチサイズドット印刷により印刷出力される画像を正確且つ詳細に表示装置の表示画面上に表示する。
【解決手段】画像処理装置は、入力された画像データに基づく画像を、表示装置の表示画面上に表示する画像処理装置において、画像データを入力してマルチサイズドットにより形成される印刷用画像を構成する印刷用画像データを生成する第1画像生成部と、印刷用画像データに含まれる色情報のうち、表示画面上に表示する色の色情報の選択を受け付ける入力部と、入力部により受け付けられた選択された色情報に基づく印刷用画像データを、ドットサイズ及びドットの色情報に基づき色変換してシングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成する表示用画像データを生成する第2画像生成部と、表示用画像データを表示装置に出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データに基づく画像を、表示装置の表示画面上に表示する画像処理装置において、
前記画像データを入力してマルチサイズドットにより形成される印刷用画像を構成する印刷用画像データを生成する第1画像生成部と、
前記印刷用画像データに含まれる色情報のうち、前記表示画面上に表示する色の色情報の選択を受け付ける入力部と、
前記入力部により受け付けられた選択された前記色情報に基づく印刷用画像データを、ドットサイズ及びドットの色情報に基づき色変換してシングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成する表示用画像データを生成する第2画像生成部と、
前記表示用画像データを前記表示装置に出力する出力部と、を備えた
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1画像生成部は、前記画像データの入力プロファイル及び印刷出力装置の出力プロファイルを参照して前記印刷用画像データを生成し、
前記第2画像生成部は、前記表示装置の表示プロファイル及び前記ドットサイズに応じて前記色情報を色変換するための変換テーブルを参照して前記表示用画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2画像生成部は、前記変換テーブルを参照して前記色情報の輝度を変換する
ことを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2画像生成部は、前記表示用画像を所定領域毎に分割した複数の分割画像を構成する前記表示用画像データを縮小表示したナビゲーション画像と、前記複数の分割画像の一つを拡大表示したプルーフ画像とを生成する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項5】
入力された画像データに基づく画像を、表示装置の表示画面上に表示する画像処理方法において、
前記画像データを入力してマルチサイズドットにより形成される印刷用画像を構成する印刷用画像データを生成する第1画像生成工程と、
前記印刷用画像データに含まれる色情報のうち、前記表示画面上に表示する色の色情報の選択を受け付ける入力工程と、
前記入力工程で受け付けられた選択された前記色情報に基づく印刷用画像データを、ドットサイズ及びドットの色情報に基づき色変換してシングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成する表示用画像データを生成する第2画像生成工程と、
前記表示用画像データを前記表示装置に出力する出力工程と、を有する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
入力された画像データに基づく画像を、表示装置の表示画面上に表示する画像処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記画像データを入力してマルチサイズドットにより形成される印刷用画像を構成する印刷用画像データを生成させる第1画像生成工程と、
前記印刷用画像データに含まれる色情報のうち、前記表示画面上に表示する色の色情報の選択を受け付けさせる入力工程と、
前記入力工程で受け付けられた選択された前記色情報に基づく印刷用画像データを、ドットサイズ及びドットの色情報に基づき色変換してシングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成する表示用画像データを生成させる第2画像生成工程と、
前記表示用画像データを前記表示装置に出力させる出力工程と、を実行させる
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、線や文字、図形、写真などの画像等の印刷データをラスタライズして印刷用の画像を生成し、その画像を印刷出力する前に、表示装置の表示画面上でその画像の仕上がり状態を確認する色校正(ソフトプルーフ)が行われている(下記特許文献1,2参照)。
【0003】
このソフトプルーフによれば、実際に画像の印刷物を出力することなく表示画面上で画像の校正・確認作業を行うことができるので、印刷用紙やインク等の印刷資源の無駄を省き作業時間を短縮することができる等の利点がある。また、表示装置の表示画面上で拡大した部分の確認ができる画像処理装置が存在する(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-191240号公報
【特許文献2】特開2010-166113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェットプリンタでは、印刷を行う際にインクのドットサイズを使い分けて印刷を行うマルチサイズドット印刷が知られているが、上記特許文献1,2に開示された従来技術のソフトプルーフでは、マルチサイズドットによる色の変化を踏まえた画像を表示画面上に表示することは考慮されず、拡大表示した場合にインクのドットサイズ或いはインクの使用色による変化等の確認ができない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、マルチサイズドット印刷により印刷出力される画像を正確且つ詳細に表示装置の表示画面上に表示することができる画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像処理装置は、入力された画像データに基づく画像を、表示装置の表示画面上に表示する画像処理装置において、前記画像データを入力してマルチサイズドットにより形成される印刷用画像を構成する印刷用画像データを生成する第1画像生成部と、前記印刷用画像データに含まれる色情報のうち、前記表示画面上に表示する色の色情報の選択を受け付ける入力部と、前記入力部により受け付けられた選択された前記色情報に基づく印刷用画像データを、ドットサイズ及びドットの色情報に基づき色変換してシングルサイズドットにより構成される表示用画像を構成する表示用画像データを生成する第2画像生成部と、前記表示用画像データを前記表示装置に出力する出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記第1画像生成部は、前記画像データの入力プロファイル及び印刷出力装置の出力プロファイルを参照して前記印刷用画像データを生成し、前記第2画像生成部は、前記表示装置の表示プロファイル及び前記ドットサイズに応じて前記色情報を色変換するための変換テーブルを参照して前記表示用画像データを生成する。
【0009】
本発明の他の実施形態において、前記第2画像生成部は、前記変換テーブルを参照して前記色情報の輝度を変換する。
【0010】
本発明の更に他の実施形態において、前記第2画像生成部は、前記表示用画像を所定領域毎に分割した複数の分割画像を構成する前記表示用画像データを縮小表示したナビゲーション画像と、前記複数の分割画像の一つを拡大表示したプルーフ画像とを生成する。
【0011】
本発明に係る画像処理方法は、入力された画像データに基づく画像を、表示装置の表示画面上に表示する画像処理方法において、前記画像データを入力してマルチサイズドットにより形成される印刷用画像を構成する印刷用画像データを生成する第1画像生成工程と、前記印刷用画像データに含まれる色情報のうち、前記表示画面上に表示する色の色情報の選択を受け付ける入力工程と、前記入力工程で受け付けられた選択された前記色情報に基づく印刷用画像データを、ドットサイズ及びドットの色情報に基づき色変換してシングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成する表示用画像データを生成する第2画像生成工程と、前記表示用画像データを前記表示装置に出力する出力工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る画像処理プログラムは、入力された画像データに基づく画像を、表示装置の表示画面上に表示する画像処理プログラムであって、コンピュータに、前記画像データを入力してマルチサイズドットにより形成される印刷用画像を構成する印刷用画像データを生成させる第1画像生成工程と、前記印刷用画像データに含まれる色情報のうち、前記表示画面上に表示する色の色情報の選択を受け付けさせる入力工程と、前記入力工程で受け付けられた選択された前記色情報に基づく印刷用画像データを、ドットサイズ及びドットの色情報に基づき色変換してシングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成する表示用画像データを生成させる第2画像生成工程と、前記表示用画像データを前記表示装置に出力させる出力工程と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、マルチサイズドット印刷により印刷出力される画像を正確且つ詳細に表示装置の表示画面上に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】同画像処理装置のハードウェア構成を概略的に示す構成図である。
【
図3】マルチサイズドットとそのドットサイズ及びデータ構成を説明するための図である。
【
図4】同画像処理装置による色変換に用いられる変換テーブルの一例を示す図である。
【
図5】変換テーブルを用いた変換例を示す図である。
【
図6】同画像処理装置による画像処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】表示装置の表示画面上への表示用画像の表示例を示す図である。
【
図8】表示用画像の一部を構成するドット群を説明するための図である。
【
図9】表示装置の表示画面上への表示用画像の他の表示例を示す図である。
【
図10】表示装置の表示画面上への表示用画像の他の表示例を示す図である。
【
図11】表示装置の表示画面上への表示用画像の他の表示例を示す図である。
【
図12】表示装置の表示画面上への表示用画像の他の表示例を示す図である。
【
図13】表示装置の表示画面上への表示用画像の他の表示例を示す図である。
【
図14】同画像処理装置による画像処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【
図15】表示装置の表示画面上での編集画面の一例を示す図である。
【
図16】修正が反映された印刷用画像に基づく表示用画像の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、本実施形態においては、各構成要素の配置、縮尺及び寸法等が誇張或いは矮小化されて示されている場合、並びに一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置1の概略構成を示すブロック図であり、機能的な構成を示している。
図1に示すように、本実施形態の画像処理装置1は、例えばRIP(Raster Image Processor)装置として構成され得る。画像処理装置1は、例えばラスタイメージ変換部2と、印刷用画像データ生成部3と、表示用画像データ生成部4と、記憶部5と、操作部6と、を備える。
【0017】
なお、画像処理装置1には、外部に、画像データを含む印刷データを入力する印刷データ生成装置等の印刷データ入力部7、表示装置としてのディスプレイ8、及び印刷出力装置としてのインクジェットプリンタ9等が接続され得る。なお、ディスプレイ8は、画像処理装置1の操作部6に含まれていても良い。
【0018】
ラスタイメージ変換部2は、外部の印刷データ入力部7からPDF(Portable Document Format)及びPS(PostScript:登録商標)等の線、文字、図形、写真などの画像データからなる印刷データを入力し、ラスタデータからなるTIFF画像等の画像データであるラスタイメージデータ(CMYKデータ)に変換する。
【0019】
印刷用画像データ生成部3は、色変換部3a及びハーフトーン処理部3bを有し、ラスタイメージ変換部2からの画像データ(ラスタイメージデータ)に各種変換処理を施してマルチサイズドットの印刷用画像データを生成する。なお、印刷用画像データは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の4色のみならず、これらにライトシアン(Lc)及びライトマゼンタ(Lm)を追加した6色、これらにライトブラック(Lk)及び特色カラーインクのオレンジ(O)又はグリーン(G)を追加した8色、又はCMYKにホワイト(W)及びバーニッシュ(V)(クリアインク)を加えた6色データで構成されていても良い。
【0020】
表示用画像データ生成部4は、印刷用画像データ生成部3からの印刷用画像データから、プレビュー用の表示用画像データを生成する。そして、表示用画像データ生成部4は、画像データをディスプレイ8に出力する出力部としても機能する。
【0021】
記憶部5は、各種のプロファイル及び変換テーブル等のデータ、ディスプレイドライバ及びプリンタドライバ等のデータ、並びに各部により変換・生成された各種の画像データ等を記憶する。操作部6は、画像処理装置1のユーザによる操作入力を、入力部6aを介して受け付ける。
【0022】
上記印刷用画像データ生成部3の色変換部3aは、少なくとも画像データの入力プロファイル及びインクジェットプリンタ9の出力プロファイルを記憶部5から参照して、画像データに色変換処理を施す。色変換部3aは、具体的には、まず、カラーマネジメント処理として、記憶部5に記憶されたJapan Color(登録商標)等の入力プロファイル(ICCプロファイル)を参照して、画像データ(例えば、8-bit_CMYKデータ)を、例えばL*a*b*表色系の色空間に展開し、デバイスインディペンデントカラーのL*a*b*値に色変換する。
【0023】
そして、色変換部3aは、使用されるインクジェットプリンタ9に使用することができる出力プロファイル(ICCプロファイル)を参照して、L*a*b*値をデバイスディペンデントカラーのCMYK値(8-bit_CMYKデータ)に再度色変換する。
【0024】
その他、色変換部3aは、カラーキャリブレーション処理として、ライトインクカラー(Lc,Lm,Lk)の生成、下地色印刷及び厚盛印刷のための特色インクカラー(W:White/V:Varnish)の生成、インク量の調整(トーンカーブ調整)等を実行し得る。このように、色変換部3aは、カラーマネジメント処理及びカラーキャリブレーション処理を含む、いわゆるカラーマッチング処理全般を実行する。
【0025】
印刷用画像データ生成部3のハーフトーン処理部3bは、色変換部3aからのCMYK値(8-bit_CMYKLcLmLkWVデータ)に基づいて、誤差拡散法等を用いてハーフトーン処理を施し、印刷用画像データであるデバイスディペンデントカラーのマルチサイズドットのCMYK値(2-bit_CMYKLcLmLkWVデータ)に変換する。なお、マルチサイズドット(SML)情報の詳細については後述する。
【0026】
印刷用画像データ生成部3から出力されたマルチサイズドットのCMYK値(2-bit_CMYKLcLmLkWVデータ)は、印刷用画像のラスタイメージデータを形成するプリントデータとしてインクジェットプリンタ9に出力される。なお、例えばインクジェットプリンタ9の出力プロファイルに含まれるインクセットの情報は、画像処理装置1がインクジェットプリンタ9から取得し得る。
【0027】
表示用画像データ生成部4は、ハーフトーン処理部3bから出力されたマルチサイズドットのCMYK値(2-bit_CMYKLcLmLkWVデータ)を、記憶部5に記憶された変換テーブル30(
図4参照)に基づいて、シングルサイズ(統一サイズ)ドットにより形成される表示用画像を構成するデバイスディペンデントカラーのRGB値(8-bit_RGBデータ)に変換する。表示用画像データ生成部4は、この8-bit_RGBデータからなる表示用画像データをディスプレイ8に出力する。なお、変換テーブル30の詳細については後述する。
【0028】
本実施形態の画像処理装置1は、このように構成されることにより、インクジェットプリンタ9にてマルチサイズドット印刷により印刷出力される印刷用画像(CMYKデータ)を、ディスプレイ8の表示画面上に表示される表示用画像(RGBデータ)に適切に変換することができるので、例えば実際の印刷出力前に、印刷用画像を正確にディスプレイ8上に表示することが可能となる。これにより、印刷資源の無駄を省き作業時間を短縮することが可能となる。なお、上記印刷用画像データ生成部3及び表示用画像データ生成部4は、それぞれ印刷用画像データを生成する第1画像生成部及び表情画像データを生成する第2画像生成部として機能する。
【0029】
図2は、画像処理装置1のハードウェア構成を概略的に示す構成図である。
図2に示すように、画像処理装置1は、ハードウェア構成として、コンピュータと同様に、CPU11と、RAM12と、ROM13と、HDD(ハードディスクドライブ)14と、SSD(ソリッドステートドライブ)15と、を備える。また、画像処理装置1は、入力I/F(インタフェース)16と、出力I/F(インタフェース)17と、通信I/F(インタフェース)18と、を備える。画像処理装置1の各構成部11~18は、それぞれバス10によって互いに通信可能に接続されている。
【0030】
CPU11は、RAM12、ROM13、HDD14、SSD15等に記憶された各種プログラムを実行することで画像処理装置1の全体を制御すると共に、画像処理プログラムを実行することで上記ラスタイメージ変換部2、印刷用画像データ生成部3及び表示用画像データ生成部4の機能を実現する。RAM12は、CPU11の作業領域として、例えば各種の画像データの描画・展開処理等に使用され得る。ROM13は、上記各種プログラムを、例えば読み出し可能に格納する。HDD14及びSSD15は、各種のデータを読み書き可能に記憶し、上記記憶部5の機能を実現する。
【0031】
入力I/F16には、上記操作部6の入力部6aとして機能するキーボード19a、マウス19b及びタッチパネル19cが接続され、ユーザからの操作入力に伴う情報を受け付ける。入力I/F16には、インクジェットプリンタ9が接続されていても良い。出力I/F17には、例えばディスプレイ8及びインクジェットプリンタ9が接続され、プリントデータ及びモニタデータが出力される。タッチパネル19cは、ディスプレイ8上に設けられていても良い。なお、画像処理装置1は、通信I/F18により、ネットワーク28を介して外部機器29に接続され得る。外部機器29は、例えば遠隔地の他の画像処理装置等を含む。
【0032】
図3は、マルチサイズドットとそのドットサイズ及びデータ構成を説明するための図である。
図3(a)に示すように、マルチサイズドット印刷における印刷用画像は、ドット径が異なる複数のドットサイズのドットにより構成され得る。マルチサイズドットは、例えば小滴(Sドット)21と、小滴よりも大径の中滴(Mドット)22と、中滴よりも大径の大滴(Lドット)23と、により構成され、例えばCMYKの4色による色表現をシングルサイズドットによるものと比較して、最大限に引き出して高品質な印刷用画像を形成することが可能である。
【0033】
マルチサイズドット(SML)情報20は、
図3(b)に示すように、このマルチサイズドットを構成するSドット21、Mドット22及びLドット23を、例えば2ビットのデータ表現により規定するもので、Sドット21を「01」、Mドット22を「10」、及びLドット23を「11」と表すことができる。なお、ドットなしの場合は、「00」と表される。
【0034】
図4は、画像処理装置1の表示用画像データ生成部4による色変換に用いられる変換テーブル30の一例を示す図である。
図4に示すように、変換テーブル30には、印刷用画像のマルチサイズドットのドットサイズ及び色情報を表すCMYK値(2-bit_CMYKLcLmLkWVデータ)と、これを表現するシングルサイズドットの表示用画像のRGB値(8-bit_RGBデータ)との対応関係が格納されている。
【0035】
変換テーブル30には、例えばシアン(C)テーブル31、マゼンタ(M)テーブル32、イエロー(Y)テーブル33、ブラック(K)テーブル34、ライトシアン(Lc)テーブル35、ライトマゼンタ(Lm)テーブル36の各色テーブルが含まれている。なお、ライトブラック(Lk)、ホワイト(W)、バーニッシュ(V)、オレンジ(O)、グリーン(G)等の各色テーブルに関しては、図示は省略しているが変換テーブル30に含まれていても良い。ただし、ホワイト(W)及びバーニッシュ(V)は他のインクカラーと一緒に使用しないで単独の色として使用されることも多く、例えばその場合は全体がすべて同じ色(W,V)となり、またバーニッシュ(V)はクリア(透明、ワニス)なインクであるため、代替色(例えば、ブラック)テーブル(図示せず)により対応付けするようにして、どの位置にドットがあるのかを確認しやすくしても良い。
【0036】
各色テーブル31~36において、ドットなしの場合のRGB値は、例えば「255,255,255」の値で表現されている。シアン(C)テーブル31においては、Sドット21のRGB値は「170,255,255」の値で表現され、Mドット22のRGB値は「85,255,255」の値で表現され、Lドット23のRGB値は「0,255,255」で表現されている。
【0037】
同様に、Sドット21、Mドット22及びLドット23の各RGB値は、マゼンタ(M)テーブル32においては、それぞれ「255,170,255」、「255,85,255」、「255,0,255」の値で表現され、イエロー(Y)テーブル33においては、それぞれ「255,255,170」、「255,255,85」、「255,255,0」の値で表現され、ブラック(K)テーブル34においては、それぞれ「170,170,170」、「85,85,85」、「0,0,0」の値で表現されている。
【0038】
また、ライトシアン(Lc)テーブル35においては、それぞれ「234,255,255」、「213,255,255」、「191,255,255」の値で表現され、ライトマゼンタ(Lm)テーブル36においては、それぞれ「255,234,255」、「255,213,255」、「255,191,255」の値で表現されている。
【0039】
このように構成された変換テーブル30を参照することによって、表示用画像データ生成部4は、出力用画像を適切に変換した表示用画像をRGB値(8-bit_RGBデータ)で表すモニタデータを生成する。なお、表示用画像データ生成部4は、例えば記憶部5に記憶されたディスプレイ8の表示プロファイルも同時に参照して、上記モニタデータを生成するようにしても良い。上述した変換テーブル30は、色情報としてのRGB値の色濃度を変更して、各色のマルチサイズドットに対応させたものを例として挙げたが、例えば、
図5に示すように、RGBの輝度値を変更して各色のマルチサイズドットに対応させるもの等であっても良い。
【0040】
具体的には、例えば各色テーブル31~36のうち、シアン(C)テーブル31を例に挙げると、Sドット21のRGB値「170,255,255」を、RGB輝度「67%,100%,100%」で表現し、Mドット22のRGB値「85,255,255」を、RGB輝度「33%,100%,100%」で表現し、Lドット23のRGB値「0,255,255」を、RGB輝度「0%,100%,100%」で表現することも可能である。ディスプレイ8では、このようなRGB値をRGBの輝度信号として読み替えて色を表現し得る。
【0041】
図6は、画像処理装置1による画像処理手順の一例を示すフローチャートであり、
図7はディスプレイ8の表示画面上への表示用画像の表示例を示す図である。また、
図8は、表示用画像の一部を構成するドット群を説明するための図であり、
図9~
図13は、ディスプレイ8の表示画面上への表示用画像の他の表示例を示す図である。なお、
図6の画像処理は、画像処理装置1によるソフトプルーフにおける表示・印刷処理例を表している。
【0042】
図6に示すように、画像処理装置1は、印刷データ入力部7から印刷データを入力する(ステップS100)。次に、画像処理装置1のラスタイメージ変換部2は、入力された印刷データをラスタイメージデータに変換するラスタライズ処理を実行する(ステップS101)。次に、印刷用画像データ生成部3は、上述したように各種変換処理及びハーフトーン処理を施して、Sドット21、Mドット22及びLドット23に対応するマルチサイズドットの印刷用画像データを生成する(ステップS102)。
【0043】
その後、操作部6を介したユーザからの操作入力による指示を受け付け(ステップS103)、受け付けられた指示が印刷実行を示す場合(ステップS103の「印刷」)は、インクジェットプリンタ9により印刷用画像を印刷出力して(ステップS110)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0044】
一方、受け付けられた指示が表示を示す場合(ステップS103の「表示」)は、更に操作部6を介したユーザからの操作入力による表示するインクカラーの選択を受け付ける(ステップS104)。受け付けられたインクカラーの選択が混色(フルカラー)を示す場合(ステップS104の「混色」)、表示用画像データ生成部4は、印刷用画像データ生成部3からの印刷用画像データに基づいて、Sドット21、Mドット22及びLドット23のマルチサイズドットに応じた拡大表示並びに縮小分割表示に対応する混色の表示用画像データを生成する(ステップS105)。すなわち、このステップS105では、例えば印刷用画像データがシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の4色データで構成された場合は、CMYK混色で表すことが可能な表示用画像を構成する表示用画像データが生成される。
【0045】
また、受け付けられたインクカラーの選択が単色を示す場合(ステップS104の「単色」)、表示用画像データ生成部4は、混色の場合と同様に、マルチサイズドットに応じた上記各表示態様に対応する選択されたインクカラーの単色の表示用画像データを生成する(ステップS106)。すなわち、このステップS106では、例えば選択されたインクカラーがイエロー(Y)の単色である場合は、Y単色で表すことが可能な表示用画像を構成する表示用画像データが生成される。なお、各表示用画像データは、例えばLドット23の吐出に対して100%、Mドット22の吐出に対して67%、Sドット21の吐出に対して33%というように、ドットサイズによって色濃度を変更してピクセルを描画可能に構成されている。この単色の表示用画像データでは、例えばイエロー(Y)のインクドットが吐出される場合、イエロー(Y)のピクセルをブラック(K)で描画可能なように構成されていても良く、シアン(C)、マゼンタ(M)等の単色についても、ブラック(K)で描画可能なように構成されていても良い。
【0046】
なお、上記ステップS105及びステップS106において生成される各表示用画像データは、例えば、表示用画像を所定領域毎に分割した複数の分割画像を構成するものであっても良い。このようにすれば、画像処理(例えば、演算や描画に関する処理)の高速化及び処理負担の軽減を図ることが可能である。
【0047】
その後、ディスプレイ8の表示画面上に、生成された混色又は単色の表示用画像データに基づく表示用画像を表示する(ステップS107)。ここで、表示用画像データが上記のような複数の分割画像により形成される表示用画像を構成するものである場合、更に表示用画像データは、上述したようにマルチサイズドットに対応する表示用画像を拡大表示したり、複数の分割画像を縮小表示(すなわち、縮小分割表示)したりするものであっても良い。例えば上記ステップS107にてディスプレイ8に表示される表示用画像は、
図7に示すように表示され得る。
【0048】
すなわち、
図7に示すように、ディスプレイ8の表示画面上には、表示用画像を表示するためのプレビューウィンドウ40が表示される。プレビューウィンドウ40は、例えば、メイン表示領域41と、サブ表示領域42と、を有する。サブ表示領域42には、表示画像全体を複数に分割し、縮小したナビゲーション画像43が表示される。このナビゲーション画像43で表示された複数の分割画像のうち、例えば操作部6を介したユーザの操作によって、任意の分割画像を選択フレーム44で選択すると、メイン表示領域41にその選択された分割画像を拡大表示したプルーフ画像(図示せず)が表示され得る。ユーザは、更に、必要な部分を拡大フレーム46で選択指定し、拡大メニュー47を操作して拡大率表示窓48に表示される拡大率を変更することによって、メイン表示領域41に指定部分を拡大表示した拡大プルーフ画像45が表示される(ステップS108)。ユーザは、この拡大プルーフ画像45を視認して、色表現を確認し得る。
【0049】
なお、例えばプレビューウィンドウ40の下方側には、プルーフ画像のインクカラーを、例えば「Color」、「White」及び「Varnish」から選択するためのラジオボタン49a,49b,49cが設けられる。これらラジオボタン49a~49cは、「Color」、「White」及び「Varnish」に限定されるものではなく、更にプレビューウィンドウ40の下方側に設けられるものとは限らない。また、例えばラジオボタン49a~49cの向かって右側には、インクセットの情報に基づくメイン表示領域41に表示されるインクカラーを選択するためのプルダウンメニュー49dが設けられる。このプルダウンメニュー49dも、ラジオボタン49a~49cの向かって右側に設けられるものに限定されない。
【0050】
「Color」ラジオボタン49aは、例えば、表示用画像データがCMYK混色表示可能な表示用画像を構成する場合、CMYKカラー(基本色インク:CMYK)のプルーフ画像を表示する際に選択され得る。その他、「Color」ラジオボタン49aは、表示用画像データの構成によって、ライトインクカラー(ライト色インク:LcLmLk)、特色カラー(特色カラーインク:O,G)等を適宜合成したプルーフ画像を表示する際に選択され得る。「White」ラジオボタン49b及び「Varnish」ラジオボタン49cは、ホワイト(W)カラー(特色インク)及びバーニッシュ(V)カラー(特色インク)により構成されるプルーフ画像をそれぞれ表示する際に選択され得る。
【0051】
プルダウンメニュー49dには、図示は省略するが、印刷用画像データに関連付けられて表示用画像データに引き継がれたインクセットの情報に基づくインクカラーがプルダウンにより表示される。なお、プルダウンメニュー49dには、画像処理装置1がインクジェットプリンタ9から取得したインクセットの情報に基づいたインクカラーがプルダウンにより表示されるようにしても良い。プルダウンメニュー49dには、例えば、「カラー」、「シアン」、「マゼンタ」、「イエロー」、「ブラック」、「シアン+ブラック」等のプレビューウィンドウ40に表示されるインクカラーの選択肢が表示され得る。
【0052】
ここで、インクセットの情報は、インクジェットプリンタ9のメーカや種別毎にそれぞれ異なるもので、例えば(a)KCMYのセット、(b)KCMYLcLmのセット、(c)KCMYLcLmLkOのセット、(d)KCMYWWVVのセット等が挙げられる。
【0053】
インクジェットプリンタ9のインクセットが(a)のKCMYのセットである場合、プルダウンメニュー49dには、「カラー」、「ブラック」、「シアン」、「マゼンタ」、「イエロー」の選択肢が表示される。また、インクセットが(b)のKCMYLcLmのセットである場合は、プルダウンメニュー49dには、「カラー」、「ブラック」、「シアン」、「マゼンタ」、「イエロー」、「ライトシアン」、「ライトマゼンタ」の選択肢が表示される。また、インクセットが(c)のKCMYLcLmLkOのセットである場合は、プルダウンメニュー49dには、「カラー」、「ブラック」、「シアン」、「マゼンタ」、「イエロー」、「ライトシアン」、「ライトマゼンタ」、「ライトブラック」、「オレンジ」の選択肢が表示される。更に、インクセットが(d)のKCMYWWVVのセットである場合は、プルダウンメニュー49dには、「カラー」、「ブラック」、「シアン」、「マゼンタ」、「イエロー」、「ホワイト」、「バーニッシュ」の選択肢が表示される。
【0054】
プルダウンメニュー49dにおいて、「カラー」の選択肢を選択した場合は、メイン表示領域41に、表示用画像を構成する全てのインクカラーのプルーフ画像が表示される。また、「シアン」、「マゼンタ」、「イエロー」、「ブラック」の選択肢、或いは「シアン+ブラック」と表示される選択肢等を選択した場合には、メイン表示領域41に、表示用画像を構成する選択された単色のプルーフ画像、或いは組み合わせの場合は各色を一つずつ切替表示(例えば、所定間隔毎に切り替えて表示する等)可能なプルーフ画像又は各色を同時に表示可能なプルーフ画像が表示される。
【0055】
例えば、上記ステップS105にて混色の表示用画像データが生成され、ステップS107にてこの混色の表示用画像データに基づく混色の表示用画像が表示され、ステップS108にて指定部分の拡大表示がなされた際に、「Color」ラジオボタン49aを選択した段階では、表示用画像を構成する全てのインクカラーのプルーフ画像がメイン表示領域41に表示される。ここから、例えばプルダウンメニュー49dで「カラー」の選択肢を選択した場合はそのまま混色のプルーフ画像が表示されるが、混色に含まれる単色或いは色の組み合わせ(例えば、「シアン」と表示される選択肢或いは「シアン」+「マゼンタ」+「イエロー」等と表示される選択肢)を選択した場合は、メイン表示領域41にはその単色のインクカラーによるプルーフ画像、又は上記のような態様の色の組み合わせのインクカラーによるプルーフ画像が表示される(ステップS109)。
【0056】
なお、上記ステップS106にて単色の表示用画像データが生成されて、ステップS107にて単色の表示用画像が表示される場合は、ステップS108の指定部分の拡大表示如何に拘わらずに、「Color」ラジオボタン49a、「White」ラジオボタン49b及び「Varnish」ラジオボタン49cのいずれか一つを選択した段階でその単色のプルーフ画像がメイン表示領域41に表示され、プルダウンメニュー49dはグレーアウトして選択不能に表示されても良い。
【0057】
また、プルダウンメニュー49dに表示される選択肢が多岐にわたる場合や複数のインクカラーの選択肢を選択可能にする場合は、プルダウンメニュー49dに代えて、或いはプルダウンメニュー49dと共に、例えば図示しないチェックボックスによりインクカラーの選択を行うようにしても良い。また、プレビューウィンドウ40には、図示しない「印刷」ボタンが配置されていても良い。「印刷」ボタンを押して印刷を実行すれば、プレビューウィンドウ40で視認したプルーフ画像の内容を印刷して確認することができる。こうしてユーザは、拡大プルーフ画像45と共にインクカラーによる表示を視認して、色表現によるニュアンスが意図したものとなっているかを確認し、本フローチャートによる一連の処理を終了する。なお、上記ステップS108及びステップS109は、処理の順番が入れ替わっても良い。
【0058】
通常、大型のインクジェットプリンタにより印刷を行う画像などは、画像のデータ量も非常に大きくなるため、本実施形態の画像処理装置1では画像に適した分割数を自動で計算して決定を行い、その決定した分割数により分割の縮小表示を行うことで、対象となる画像データを取り扱いがしやすい大きさにして処理を高速化している。
【0059】
例えば、印刷サイズが1,615mm×1,142.2mmの画像を印刷解像度720dpi×720dpiにて印刷を行う場合に画像全体のピクセルサイズは16,838×11,906となるため、分割数を108個(12×9)に設定すると、分割1枚当たりのピクセルサイズは1,403×1,322となる。また、分割データ表示の有無に関係なく全画面分のデータを作成しておくことで、選択部分の画像の拡大表示などもスムーズに行え、また拡大率を大きくすることにより、選択部分のドットの表示も容易に行える。
【0060】
拡大プルーフ画像45においては、ディスプレイ8の表示画面におけるドットサイズは一定であるが、上述したようにRGB輝度を各色毎に変更すること、すなわち、例えば
図8に示すように、Sドット21群は比較的明るく、Lドット23群は比較的暗く、更にMドット22群はこれらの中間の明るさで表示することによって、印刷用画像におけるドットサイズの相違を適切に表現している。ユーザは、このように表示される拡大プルーフ画像45を視認することによって、例えばインクのドットサイズによる変化に伴い、印刷用画像で意図した色表現が実際に再現されているか否かを容易且つ簡単に確認することが可能となる。
【0061】
また、インクのドットサイズによる変化に伴う色表現のみならず、インクの使用色による変化に伴う色表現も確認することができる。例えば、印刷用画像において、複数のインクカラー(例えば、CMY)が同時に吐出されるピクセル(画素)においては、ブラック(K)インクによる色表現と見分けがつかなくなる場合がある。すなわち、上述した輝度値に対応した変換テーブル30においては、ブラック(K)テーブル34においてLドット23のRGB輝度は「0%,0%,0%」となっている。
【0062】
一方、シアン(C)テーブル31におけるLドット23のRGB輝度は「0%,100%,100%」となり、マゼンタ(M)テーブル32におけるLドット23のRGB輝度は「100%,0%,100%」となり、更にイエロー(Y)テーブル33におけるLドット23のRGB輝度は「100%,100%,0%」となっている。これら3色が同時に吐出されるピクセルのドット色表現は、RGB輝度が「0%,0%,0%」となるため、ブラック(K)インクのLドット23と区別をつけるのが困難となる。
【0063】
一般的に、黒色を色表現する場合、ブラック(K)インクによる黒色と、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)インクの組み合わせによる黒色とでは、表示画面上に表示される表示用画像による色表現と、印刷用画像により実際に印刷出力される色表現とが、黒の濃度等が異なることにより違ってしまう場合がある。本実施形態の画像処理装置1では、このようなインクの使用色による色表現の変化も、ディスプレイ8の表示画面上で確認可能なように構成されている。
【0064】
以下に、CMYKカラーの混色の表示用画像データに基づく例について説明する。具体的には、
図9に示すように、CMYK混色で表示されたナビゲーション画像43において選択フレーム44で選択され拡大フレーム46で選択指定された分割画像について、「Color」ラジオボタン49aが選択され、プルダウンメニュー49dで「カラー」が選択された場合、上記ステップS109にてメイン表示領域41に表示される拡大プルーフ画像45のピクセルのドット色表現は、CMYK混色で表示される。
【0065】
ここで、
図10に示すように、プルダウンメニュー49dで「ブラック」が選択された場合は、ナビゲーション画像43及びメイン表示領域41に表示される拡大プルーフ画像45は、RGB輝度が「0%,0%,0%」のブラック(K)の単色のインクカラーによるピクセルのドット色表現でのみ表示される(他のインクカラーのドットは表示されない)。
【0066】
また、同様に、プルダウンメニュー49dで「シアン」が選択された場合、「マゼンタ」が選択された場合、及び「イエロー」が選択された場合は、それぞれ
図11、
図12及び
図13に示すように、ナビゲーション画像43及びメイン表示領域41に表示される拡大プルーフ画像45は、それぞれRGB輝度が「0%,0%,0%」のシアン(C)の単色、マゼンタ(M)の単色及びイエロー(Y)の単色のインクカラーによるピクセルのドット色表現でのみ表示される(他のインクカラーのドットは同様に表示されない)。なお、上記シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)のインクカラーについては、上述したものの他、それぞれのインクカラーに準じた所定の輝度信号でピクセルのドット色表現を行い、他のインクカラーのドットを表示しないようにしても良い。
【0067】
これにより、プルーフ画像において、拡大フレーム46で選択指定した箇所の着目ピクセルのドット色表現が、拡大プルーフ画像45を視認することで、例えば黒の表現についてはブラック(K)の単色により構成されているのか、或いはシアン+マゼンタ+イエロー(CMY)の混色により構成されているのか、混色ならばどのインクカラーがどのような割合で吐出されているのかなど、どのようなインクカラーのインクで構成されているかを容易且つ詳細に(所望の色或いは色の組み合わせなどを適宜選択して)確認することが可能となる。
【0068】
本実施形態の画像処理装置1によれば、マルチサイズドット印刷の印刷用画像を、このような表示用画像を用いたソフトプルーフによって正確且つ詳細に確認することができるので、マルチサイズドット印刷の印刷用画像の色表現や使用するインクカラー、レイアウト等の細部に亘って正確且つ詳細なシミュレーションを実現することができ、印刷資源の無駄を省き作業時間を短縮するのみならず、表示される画像と印刷される画像の差異を極力少なくして、ユーザの負担軽減を図ることも可能となる。
【0069】
図14は、画像処理装置1による画像処理手順の他の例を示すフローチャートである。また、
図15は、ディスプレイ8の表示画面上での編集画面の一例を示す図であり、
図16は、修正が反映された印刷用画像に基づく表示用画像の表示例を示す図である。
なお、
図14を含む以降の説明においては、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0070】
図14に示すように、本例の画像処理装置1においては、印刷データ入力部7から印刷データを入力し(ステップS200)、ラスタイメージ変換部2によって、入力された印刷データをラスタイメージデータに変換するラスタライズ処理を実行する(ステップS201)。
【0071】
次に、印刷用画像データ生成部3は、上述したように各種変換処理及びハーフトーン処理を施してマルチサイズドットの印刷用画像データを生成し(ステップS202)、操作部6を介した操作入力による指示を受け付け(ステップS203)、受け付けられた指示が印刷実行を示す場合(ステップS203の「印刷」)は、印刷用画像をインクジェットプリンタ9により印刷出力して(ステップS213)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0072】
一方、受け付けられた指示が表示を示す場合(ステップS203の「表示」)は、更に操作入力によるインクカラーの選択を受け付け(ステップS204)、インクカラーの選択が混色を示す場合(ステップS204の「混色」)、表示用画像データ生成部4によって、印刷用画像データに基づき上記マルチサイズドットに応じた拡大及び縮小分割等の各表示態様に対応する混色の表示用画像データを生成する(ステップS205)。
【0073】
また、インクカラーの選択が単色を示す場合(ステップS204の「単色」)、表示用画像データ生成部4により混色の場合と同様にマルチサイズドットに応じた各表示態様に対応する単色の表示用画像データを生成する(ステップS206)。その後、表示用画像データ生成部4は、インクジェットプリンタ9による印刷用画像の印刷出力前に、ディスプレイ8にこれら各表示用画像データを出力して、表示用画像をディスプレイ8に上述したように表示する(ステップS207)。
【0074】
そして、ユーザは、上記拡大プルーフ画像45を視認することによって、印刷用画像で意図した色表現等が実際に再現されているか否かをディスプレイ8上で容易且つ詳細に確認し、例えばディスプレイ8に表示した選択された指定色の画像をインクジェットプリンタ9で印刷するか否かを判断する(ステップS208)。印刷して実際に確認する場合(ステップS208の「する」)、その指定色の印刷用画像データを生成し(ステップS209)、インクジェットプリンタ9へ印刷出力して(ステップS210)、画像の修正があるか否かを確認する(ステップS211)。印刷しない場合(ステップS208の「しない」)は、上記ステップS209及びステップS210を経ずに画像の修正の有無を確認する(ステップS211)。画像の修正が必要ない場合(ステップS211のNO)は、上述したようにインクジェットプリンタ9によって印刷用画像を印刷出力し(ステップS213)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0075】
一方、画像の修正が必要なことが確認された場合(ステップS211のYES)は、ユーザは操作部6を介して各種の修正操作(ステップS212)を行う。このステップS212における修正操作は、例えばディスプレイ8の表示画面上に表示される次のような編集画面を用いて行われる。
【0076】
すなわち、
図15に示すように、ディスプレイ8の表示画面上には、表示用画像を調整して印刷用画像に反映させる各種の修正操作を行うための編集ウィンドウ50が表示される。編集ウィンドウ50は、例えば、メイン表示領域51と、編集メニュー選択領域52と、を有する。メイン表示領域51には、修正操作等が行われる表示用画像に基づくプルーフ画像55が表示される。
【0077】
編集メニュー選択領域52には、「全般」、「プリンタープロファイル」、「レイアウト」、「カラーマネジメント」、「カラー調整」、「インク量調整」、「スポットカラー置換」、「クロップマーク」、「後加工」、「タイリング」、「クリッピング&トリミング」、「ステップ&リピート」、「治具レイアウト」、「プリントノート」、「設定の一覧」等の各編集メニュー選択用のタブが複数表示される。
【0078】
ここで、図示のように編集メニュー選択領域52における「インク量調整」タブ52aが選択された場合、メイン表示領域51の向かって左側には、例えばインク種別毎のインク量調整パラメータ表示領域53と、調整間隔パラメータ表示領域54と、が表示される。また、メイン表示領域51の下方側には、「印刷環境の更新」ボタン56aと、「保存」ボタン56bと、「プリンターへ送信」ボタン56cと、「キャンセル」ボタン56dと、が配置表示されている。拡大メニュー57、拡大率表示窓58、ラジオボタン59a,59b,59cは、プレビューウィンドウ40のものと同様である。
【0079】
ユーザは、「インク量調整」タブ52aの各パラメータ表示領域53,54を操作することによって、プルーフ画像55におけるインクによる色表現(ピクセルのドット色表現)を微調整することができ、この修正を印刷用画像に反映させることができる。修正操作が終わった後は、上記ステップS202に移行して修正を反映させた印刷用画像データを生成し(ステップS202)、以降の処理を繰り返す。
【0080】
図16は、上記ステップS212の修正操作で、例えばブラック(K)について、インクの吐出量を僅かに少なくなるように修正した拡大プルーフ画像45Aが表示されたプレビューウィンドウ40を示している。この拡大プルーフ画像45Aによれば、例えば修正前の拡大プルーフ画像45(
図10参照)と比較して、ブラック(K)によるピクセルのドット色表現が抑えられていることが視認できる。ブラック(K)以外の各色についても、同様に修正を行って、ピクセルのドット色表現を微調整することができる。このように、本実施形態の画像処理装置1によれば、マルチサイズドット印刷の印刷用画像を、このようなソフトプルーフによって正確且つ詳細に確認して修正等をすることも可能である。なお、編集ウィンドウ50の各領域51~54やボタン類の各構成部の配置態様等は、上述したものに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0081】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 画像処理装置
2 ラスタイメージ変換部
3 印刷用画像データ生成部
3a 色変換部
3b ハーフトーン処理部
4 表示用画像データ生成部
5 記憶部
6 操作部
6a 入力部