(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048831
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】凝集フロック分離装置、及び同装置を備えた廃水処理装置
(51)【国際特許分類】
B01D 21/08 20060101AFI20230331BHJP
B01D 21/24 20060101ALI20230331BHJP
B01D 21/26 20060101ALI20230331BHJP
B01D 21/01 20060101ALI20230331BHJP
B01D 21/02 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B01D21/08 C
B01D21/24 D
B01D21/26
B01D21/01 D
B01D21/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158372
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】301019367
【氏名又は名称】株式会社オクト
(74)【代理人】
【識別番号】100142941
【弁理士】
【氏名又は名称】京和 尚
(72)【発明者】
【氏名】増田 伊三雄
(57)【要約】
【課題】 凝集フロックが沈殿するか浮上するか予測できない廃水を現場内処理でき、さらには廃水を接線方向に流入させ旋回流を起こさせることで凝集フロックを効率的に分離できる凝集フロック分離装置を提案する。
【解決手段】 分離タンク12と、分離タンク12中央にその中心軸14が上下方向となるよう配置される分離促進筒13と、を備え、分離促進筒13は、円筒部15と、円筒部15の高さ方向中央部に設置され廃水を円筒部内周の接線方向に流入させる流入部17と、から構成され、凝集フロックが水より重い場合は、凝集フロックが旋回降下しながら集合し沈殿分離され、凝集フロックが水より軽い場合は、凝集フロックが旋回上昇しながら集合し浮上分離される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集フロックを形成させた廃水の固液分離を行う凝集フロック分離装置であって、
分離タンクと、
当該分離タンク中央にその中心軸が上下方向となるよう配置される分離促進筒と、を備え、
当該分離促進筒は、円筒部と、前記円筒部の高さ方向中央部に設置され前記廃水を前記円筒部内周の接線方向に流入させる流入部と、から構成され、
前記凝集フロックが水より重い場合は、前記凝集フロックが旋回降下しながら集合し沈殿分離され、
前記凝集フロックが水より軽い場合は、前記凝集フロックが旋回上昇しながら集合し浮上分離される、凝集フロック分離装置。
【請求項2】
前記分離促進筒は、さらに前記円筒部上端に内フランジ部を有する、請求項1に記載された凝集フロック分離装置。
【請求項3】
前記分離タンク側面に設けられた処理水の排出口に近い前記分離タンク内部に配置される可動仕切板を備え、
前記可動仕切板は、前記分離タンク内の上部領域を連通する連通姿勢と、前記上部領域を遮断する遮断姿勢とに変位可能となっており、
前記凝集フロックが水より重い場合は、前記可動仕切板が連通姿勢となり、前記分離促進筒から流出する処理水が前記上部領域を通って前記排出口に排出され、
前記凝集フロックが水より軽い場合は、前記可動仕切板が遮断姿勢となり、前記分離促進筒から浮上する前記凝集フロックの前記排出口への排出が遮断される、請求項1又は2に記載された凝集フロック分離装置。
【請求項4】
請求項1~3に記載された凝集フロック分離装置を備えた廃水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝集フロックが沈殿しても浮上しても固液分離できる凝集フロック分離装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
廃水処理する際には、廃水に凝集剤又は凝集吸着剤を投入し撹拌することで凝集フロックを形成してから、分離タンクで固液分離を行う。この固液分離において、凝集フロックの比重が大きいもの(無機質のコンクリート切断廃水など)は沈殿し、凝集フロックの比重が小さいもの(有機質の生活排水など)は浮上するのが一般的である。
【0003】
そのため、廃水性状に適した廃水処理装置を選択しなければならない。
【0004】
ところが、塗膜剥離廃水においては、その廃水性状からは凝集フロックが沈殿するか浮上するか予測できないことが多く、現場内処理を行う場合、適した処理装置の選択に苦慮していた。
【0005】
一方、凝集フロックの凝集沈殿装置として、円筒形凝集沈殿装置の周辺部に凝集フロックを形成させた廃水を接線方向に流入させ旋回流で流すことで凝集フロックを効率的に沈殿分離するものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された凝集沈殿装置も凝集フロックが沈殿することを前提としており、凝集フロックが浮上する場合は想定されていない。
【0008】
そこで、本発明は、凝集フロックが沈殿するか浮上するか予測できない廃水を現場内処理でき、さらには廃水を接線方向に流入させ旋回流を起こさせることで凝集フロックを効率的に分離できる凝集フロック分離装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る凝集フロック分離装置は、凝集フロックを形成させた廃水の固液分離を行う凝集フロック分離装置であって、分離タンクと、当該分離タンク中央にその中心軸が上下方向となるよう配置される分離促進筒と、を備え、当該分離促進筒は、円筒部と、前記円筒部の高さ方向中央部に設置され前記廃水を前記円筒部内周の接線方向に流入させる流入部と、から構成され、前記凝集フロックが水より重い場合は、前記凝集フロックが旋回降下しながら集合し沈殿分離され、前記凝集フロックが水より軽い場合は、前記凝集フロックが旋回上昇しながら集合し浮上分離されることを特徴とする。
【0010】
第1の発明に係る凝集フロック分離装置では、凝集フロックが水より重い場合は、旋回降下しながら集合し沈殿分離され、凝集フロックが水より軽い場合は、旋回上昇しながら集合し浮上分離される。したがって、凝集フロックが沈殿するか浮上するか予測できない場合であっても、同じ廃水処理装置を使うことができる。
【0011】
第2の発明に係る凝集フロック分離装置は、前記分離促進筒は、さらに前記円筒部上端に内フランジ部を有することを特徴とする。
【0012】
第2の発明に係る凝集フロック分離装置では、分離促進筒の円筒部内周に沿って凝集フロックが旋回上昇する過程で、円筒部上端の内フランジ部によってより中心軸側に集中する旋回流が発生する。そのため、凝集フロックが水より軽い場合は、円柱状となって旋回上昇するのでより効率的に凝集フロックが集合し浮上分離することができる。
【0013】
第3の発明に係る凝集フロック分離装置は、前記分離タンク側面に設けられた処理水の排出口に近い前記分離タンク内部に配置される可動仕切板を備え、前記可動仕切板は、前記分離タンク内の上部領域を連通する連通姿勢と、前記上部領域を遮断する遮断姿勢とに変位可能となっており、前記凝集フロックが水より重い場合は、前記可動仕切板が連通姿勢となり、前記分離促進筒から流出する処理水が前記上部領域を通って前記排出口に排出され、前記凝集フロックが水より軽い場合は、前記可動仕切板が遮断姿勢となり、前記分離促進筒から浮上する前記凝集フロックの前記排出口への排出が遮断されることを特徴とする。
【0014】
第3の発明に係る凝集フロック分離装置は、凝集フロックが水より重い場合は、凝集フロックを分離タンクの底部に集積しながら処理水を取り出すことができる。また、凝集フロックが水より軽い場合は、凝集フロックを分離タンクの上部に集積しながら処理水を取り出すことができる。したがって、凝集フロックが沈殿するか浮上するか予測できない場合であっても、同じ廃水処理装置を使って廃水処理することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の凝集フロック分離装置は、凝集フロックが沈殿するか浮上するか予測できない場合であっても、廃水を現場内処理することができる。また、廃水を接線方向に流入させ旋回流で流すことにより凝集フロックを効率的に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る凝集フロック分離装置を備えた廃水処理装置である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る凝集フロック分離装置の平面図である。
【
図3】
図2に示した凝集フロック分離装置のA-A断面図である。
【
図4】廃水が凝集フロック分離装置の分離促進筒に円筒部内周の接線方向に流入している様子を平面視する図である。
【
図5】
図4のB-B矢視断面図であって、凝集フロックが水より重い場合に円筒部の内部での廃水の旋回流の様子を断面視する図である。
【
図6】
図4のB-B矢視断面図であって、凝集フロックが水より軽い場合に円筒部の内部での廃水の旋回流の様子を断面視する図である。
【
図7】凝集フロックが水より重い場合の凝集フロック分離装置の作用を説明する図である。
【
図8】凝集フロックが水より軽い場合の凝集フロック分離装置の作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る凝集フロック分離装置1を備えた廃水処理装置2の斜視図である。3は、貯留された廃水に凝集剤又は凝集吸着剤が投入され撹拌される撹拌タンクである。4は、撹拌タンク3から移送された廃水が内部を通過する際に内装された撹拌翼によって撹拌されるインナー撹拌器である。
【0018】
インナー撹拌器を通過した廃水は、本発明の実施の形態に係る凝集フロック分離装置1に移送される。凝集フロック分離装置1の詳細は後述する。
【0019】
6は、凝集フロック分離装置1で分離されて凝集フロックを高濃度に含む廃水が脱水ケーキと処理水とに分離される脱水槽である。7は、凝集フロック分離装置1から凝集フロックを高濃度に含む廃水を脱水槽6に移送するダイアフラムポンプである。また、ダイアフラムポンプ7は、脱水槽6から処理水を中和タンク8に移送もする。中和タンク8では、処理水が貯留された後、中和剤が投入され再生水が生成される。上述した廃水処理装置2を構成する各装置の素材としては、腐食に強いステンレス鋼が主に使用される。
【0020】
図1に示した廃水処理装置2には、さらに、上述した装置あるいはタンク等を連絡する図示しない配管が設置される。10は、作業者が立てるようにその上方が開放されている踏み台である。踏み台10の上に立った作業者は、上述した撹拌タンク3、凝集フロック分離装置1、中和タンク8の中の廃水を直接視認できる。それにより、作業者は、廃水処理装置2による廃水処理状況を正確に観察することができる。
【0021】
11は、廃水処理装置2の制御盤である。廃水処理装置2には、センサー、アクチュエーター、モーター等の多くの電気・電子部品が用いられている。これらの電気・電子部品は制御盤11と電気的に連絡されている。廃水処理装置2の電気・電子部品は、記憶された廃水処理フローに従って自動で動作するよう制御盤11によって制御される。また、作業者は、制御盤11の操作部を操作することによって、廃水性状によって異なる廃水処理フローを選択することもできる。
【0022】
図1に示すように、廃水処理装置2は、全体が長さL×幅W×高さHの直方体に形成されている。廃水処理装置2を構成する全ての機器、装置等が直方体の内部に整然とコンパクトに配置されている。また、この直方体の3辺は、トラックの荷台に収まる寸法とされている。このため、廃水処理装置2は、トラックへの積載性に優れており、廃水処理が必要となる現場へ容易に搬送することができる。
【0023】
ここから、本発明の実施の形態に係る凝集フロック分離装置1の詳細な構成を説明する。
図2は、凝集フロック分離装置1の平面図である。また、
図3は、
図2に示した凝集フロック分離装置1のA-A断面図である。以降、
図2と
図3を用いて凝集フロック分離装置1の構成を説明する。
【0024】
凝集フロック分離装置1は、分離タンク12と、分離タンク12の中央にその中心軸14が上下方向となるよう配置された分離促進筒13とから構成されている。
【0025】
分離促進筒13は、下部が開放された円筒部15と、円筒部15の上端から内側に向かって先端部が円周状に張り出された内フランジ部16と、円筒部15の高さ方向中央部に設置され廃水を円筒部内周の接線方向に流入させる流入部17とから構成されている。
【0026】
図2と
図3に示すように、分離タンク12は、全体がほぼ直方体の形状となっており、底部18は下方に向け凸となる四角錐の形状となっている。分離タンク12の上部19は開放されており、内部が視認できるようになっている。分離タンク12は、ステンレスの薄板を折り曲げたり溶接したりして製作される。
【0027】
インナー撹拌器と連結されている流入パイプ20は、流入部17と連絡されている。また、分離タンク12の他方の側面26の高さ方向上方には、処理水の排出口21が設けられている。分離タンク12の底部中央には、沈殿フロックの取出し口22が設けられている。
【0028】
図2と
図3に示すように、分離タンク12の他方の側面26の排出口21に近い分離タンク12内部には、可動仕切板23が分離タンク12の内面と接合されて配置されている。可動仕切板23の直近には固定仕切板24が配置されている。
図2に示すように、固定仕切板24の左右方向の長さは、分離タンク12の左右方向の内側寸法と同じである。
図3に示すように、固定仕切板24の下端27は分離タンク12の底部18と離れており、空間が設けられている。また、固定仕切板24の上端28は、排出口21の開口断面の下端とほぼ同じ高さとなっている。固定仕切板24と分離タンク12の他方の側面26との間には、処理水の流路29が形成されている。
【0029】
図2に示すように、可動仕切板23の左右方向の長さは、分離タンク12の左右方向の内側寸法よりもわずかに小さくなっている。また、
図3に示すように、可動仕切板23の下端は、ヒンジ30により固定仕切板24に対し揺動自在に枢着されている。
図3では、可動仕切板23が分離タンク12の上部領域31を遮断する遮断姿勢を実線で表示している。遮断姿勢にある可動仕切板23の上端部は、排出口21の高さよりもやや高くなっている。また、可動仕切板23が分離タンク12の上部領域31を連通する連通姿勢を二点鎖線で表示している。連通姿勢にある可動仕切板23の上端部は、固定仕切板24の上端28とほぼ同じ高さとなっている。なお、可動仕切板23を揺動させるのに代えて、スライドさせるようにしても良い。
【0030】
可動仕切板23の姿勢変更のための機構は特に図示しないが、公知の各種の機構を採用することができる。例えば、油圧により駆動されるシリンダー、モーターを用いる機構、電気により駆動されるモーター、減速機等を用いる機構などを採用することができる。これらの機構は、
図1に示した制御盤11により制御することができる。なお、可動仕切板23は手動により姿勢変更してもよい。
【0031】
以上その構成を説明した本発明の実施の形態に係る凝集フロック分離装置1、及びその凝集フロック分離装置1を備えた廃水処理装置2の作用と効果は以下の通りである。
【0032】
(凝集フロックが水より重い場合)
図1に示した廃水処理装置2では、撹拌タンク3で廃水に凝集剤又は凝集吸着剤が投入され撹拌された後、インナー撹拌器4を経由して廃水が移送されることでさらに撹拌される。これにより、廃水内に凝集フロックが形成される。凝集フロックが形成された廃水は、凝集フロック分離装置1に移送される。
【0033】
図4は、流入パイプ20の中を流れてきた廃水が、凝集フロック分離装置1の分離促進筒13の円筒部15内周の接線方向に流入している様子を平面視する図である。
【0034】
図4に示すように、凝集フロック33(凝集フロックの粒を+で表す。)を含んだ廃水32は、円筒部15の内周にそって、右回りの旋回流となっている。旋回流の流れる方向を矢印34で示す。
【0035】
図5は、
図4のB-B矢視断面図であって、円筒部15の内部での廃水32の旋回流の様子を断面視する図である。
図5に示すように、凝集フロック33が水より重いため、凝集フロック33を含んだ廃水32は、円筒部15の内周に沿って旋回しながら円筒状となって降下している。その際に凝集フロック33は集合し沈殿分離されている。
【0036】
図7は、凝集フロック33が水より重い場合の凝集フロック分離装置1の作用・効果を説明する図である。この時、可動仕切板23は、連通姿勢となっており、分離タンク12の上部領域31は連通状態となっている。
【0037】
凝集フロック33は、分離タンク12の底部18に沈殿している。廃水32から凝集フロック33が分離された後の処理水35(処理水を・で表す。)の一部は、分離促進筒13の下部から分離タンク12の底部18方向に流れた後、流路29を通って排出口21から排出される。処理水の流れを破線の矢印で表す。
【0038】
処理水35の残りは、分離促進筒13の内フランジ部16の開口部36を通って分離タンク12の上部領域31に流れる。この時、上部領域31では可動仕切板23が連通姿勢となっているので、処理水35は排出口21から排出される。
【0039】
このように、凝集フロック33が水より重い場合には、凝集フロック33が分離タンク12の底部18に沈殿凝集される。また、処理水35は、排出口21から排出され、中和タンク8に移送される。
【0040】
以上のように、実施の形態に係る凝集フロック分離装置1によれば、分離促進筒13の円筒部15内周に沿って凝集フロック33を含んだ廃水32が旋回する過程で、廃水32から凝集フロック33を効率的に分離することができる。このように、凝集フロック33が水より重い場合は、旋回降下しながら円筒状となって集合し沈殿分離することができる。
【0041】
なお、分離タンク12の底部18に沈殿した水を含んだ高濃度の凝集フロック33は、取出し口22からダイアフラムポンプ7(
図1参照)によって脱水槽6に移送され、脱水槽6で処理水と脱水ケーキとに分離される。
【0042】
(凝集フロックが水より軽い場合)
図4に示すように、流入パイプ20の中を流れてきた廃水が凝集フロック分離装置1の分離促進筒13の円筒部15内周の接線方向に流入している様子は、凝集フロックが水より重い場合と同じである。
【0043】
図6は、
図4のB-B矢視断面図であって、円筒部15の内部での廃水32の旋回流の様子を断面視する図である。
図6に示すように、凝集フロック33が水より軽いため、凝集フロック33を含んだ廃水32は、円筒部15の中心で旋回しながら円柱状となって上昇している。凝集フロック33を含んだ廃水32は、分離タンク12の内フランジ部16の内側の開口部36を通って上方に向かう。凝集フロック33は集合しながら浮上分離されている。このように、内フランジ部16によってより中心軸14側に集中する旋回流が発生する。
【0044】
図8は、凝集フロック33が水より軽い場合の凝集フロック分離装置1の作用・効果を説明する図である。この時、可動仕切板23は、遮断姿勢となっており、分離タンク12の上部領域31は遮断状態となっている。
【0045】
凝集フロック33は、分離タンク12の上部19に浮上凝集している。廃水32から凝集フロック33が分離された後の処理水35(処理水を・で表す。)の全量は、分離促進筒13の下部から分離タンク12の底部18に流れた後、流路29を通って排出口21から排出される。
【0046】
上述したように、凝集フロック33が水より軽い場合には、凝集フロック33が分離タンク12の上部19に浮上凝集される。また、処理水35は、排出口21から排出され中和タンク8に移送される。
【0047】
このように、実施の形態に係る凝集フロック分離装置1によれば、凝集フロックが水より軽い場合は、分離促進筒13の円筒部15内周に沿って凝集フロック33が旋回上昇しながら円柱状となって集合し浮上分離することができる。その際、内フランジ部16によってより中心軸14側に集中する旋回流が発生するので、廃水32から凝集フロック33をより効率的に分離することができる。
【0048】
なお、分離タンク12の上部19に浮上した水を含んだ凝集フロック33は、フロート式吸入口37からダイアフラムポンプ7(
図1参照)によって脱水槽6に移送される。脱水槽6では、処理水と脱水ケーキとに分離される。
【0049】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る凝集フロック分離装置1によれば、凝集フロック33が沈殿しても、浮上しても、凝集分離することができる。すなわち、本発明の凝集フロック分離装置1を備えた廃水処理装置2は、凝集フロック33が沈殿するか浮上するか予測できない場合であっても、廃水32を現場内処理することができる。
【0050】
ここまで、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0051】
1:凝集フロック分離装置
2:廃水処理装置
12:分離タンク
13:分離促進筒
14:中心軸
15:円筒部
16:内フランジ部
17:流入部
23:可動仕切板
32:廃水
33:凝集フロック