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特開2023-48832通信用ポール、街路灯及び通信機モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048832
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】通信用ポール、街路灯及び通信機モジュール
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20230331BHJP
   F21S 8/08 20060101ALI20230331BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20230331BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230331BHJP
【FI】
H05K5/02 E
F21S8/08 400
H04B1/38
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158373
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松本 匡弘
(72)【発明者】
【氏名】樹下 浩
(72)【発明者】
【氏名】松田 次弘
(72)【発明者】
【氏名】山下 卓哉
【テーマコード(参考)】
4E360
5K011
【Fターム(参考)】
4E360AA03
4E360AB64
4E360BA01
4E360BA08
4E360BB11
4E360BB22
4E360BB23
4E360BC03
4E360BD02
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA05
4E360EA11
4E360EA18
4E360EA21
4E360EA28
4E360EB02
4E360EC05
4E360EC11
4E360EC12
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED30
4E360FA13
4E360GA04
4E360GA07
4E360GA12
4E360GA22
4E360GA31
4E360GA41
4E360GA52
4E360GA53
4E360GB25
4E360GB51
4E360GB92
4E360GB93
4E360GC02
4E360GC08
5K011AA05
5K011KA12
(57)【要約】
【課題】通信機の取り付けが容易な通信用ポールを提供する。
【解決手段】通信用ポール2は、ポール10と、通信機モジュール100と、を備える。通信機モジュール100は、無線機111と、無線機111を収容する筐体120と、筐体120をポール10に固定する筐体固定具130と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポールと、
第1通信機モジュールと、を備え、
前記第1通信機モジュールは、
第1通信機と、
前記第1通信機を収容する第1筐体と、
前記第1筐体を前記ポールに固定する第1固定具と、を含む、
通信用ポール。
【請求項2】
さらに、1以上の第2通信機モジュールを備え、
前記1以上の第2通信機モジュールはそれぞれ、
第2通信機と、
前記第2通信機を収容する第2筐体と、
前記第2筐体を前記ポールに固定する第2固定具と、を含み、
前記第2筐体は、前記第1筐体と同じ大きさ及び同じ形状である、
請求項1に記載の通信用ポール。
【請求項3】
前記1以上の第2通信機モジュールの1つは、前記第1通信機モジュールの直上に接触して配置されている、
請求項2に記載の通信用ポール。
【請求項4】
前記第1筐体は、配線用の第1シャフトを有し、
前記第2筐体は、配線用の第2シャフトを有し、
前記第1シャフトと前記第2シャフトとは、連通している、
請求項3に記載の通信用ポール。
【請求項5】
前記第1シャフトは、前記ポールを挟んで両側に配置されている、
前記第2シャフトは、前記ポールを挟んで両側に配置されている、
請求項4に記載の通信用ポール。
【請求項6】
前記1以上の第2通信機モジュールの1つは、前記第1通信機モジュールの前記ポールを挟んだ反対側に配置されている、
請求項2~5のいずれか1項に記載の通信用ポール。
【請求項7】
前記第1筐体は、前記ポールを挟んで両側に位置する配線用の一対のシャフトを有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の通信用ポール。
【請求項8】
前記第1筐体の外表面は、前記ポールの軸方向に直交する断面視で、角部に曲線が形成されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の通信用ポール。
【請求項9】
前記第1筐体は、前記ポールの軸方向における両端面が互いに平行かつ同じ大きさの平面であり、当該両端面には同じ大きさの開口が設けられている、
請求項1~8のいずれか1項に記載の通信用ポール。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の通信用ポールと、
前記ポールの先端に取り付けられた灯具と、を備える、
街路灯。
【請求項11】
通信機と、
前記通信機を収容する筐体と、
前記筐体をポールに固定する固定具と、を備える、
通信機モジュール。
【請求項12】
前記筐体は、開閉式の筐体であり、前記開閉を制限するロック機構を有する、
請求項11に記載の通信機モジュール。
【請求項13】
前記筐体は、前記ポールを挟んで両側に位置する配線用の一対のシャフトを有する、
請求項11又は12に記載の通信機モジュール。
【請求項14】
前記筐体の外表面は、前記ポールの軸方向に直交する断面視で、角部に曲線が形成されている、
請求項11~13のいずれか1項に記載の通信機モジュール。
【請求項15】
前記筐体は、前記ポールの軸方向における両端面が互いに平行かつ同じ大きさの平面であり、当該両端面には同じ大きさの開口が設けられている、
請求項11~14のいずれか1項に記載の通信機モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信用ポール、街路灯及び通信機モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、取付支柱に取り付けられるアンテナユニットが開示されている。また、特許文献1には、複数のアンテナユニットを、取付支柱の高さ方向に並べて設けたアンテナシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-171205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、通信機の取り付けが容易な通信用ポール、街路灯及び通信機モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る通信用ポールは、ポールと、第1通信機モジュールと、を備える。前記第1通信機モジュールは、第1通信機と、前記第1通信機を収容する第1筐体と、前記第1筐体を前記ポールに固定する第1固定具と、を含む。
【0006】
本発明の一態様に係る街路灯は、上記一態様に係る通信用ポールと、前記ポールの先端に取り付けられた灯具と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る通信機モジュールは、通信機と、前記通信機を収容する筐体と、前記筐体をポールに固定する固定具と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信機の取り付けが容易な通信用ポール、街路灯及び通信機モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る街路灯の概略側面図である。
図2図2は、実施の形態に係る街路灯において、ポールに1つの通信機モジュールを取り付けた例を示す図である。
図3図3は、実施の形態に係る街路灯において、ポールに2つの通信機モジュールを取り付けた例を示す図である。
図4図4は、実施の形態に係る街路灯において、ポールに3つの通信機モジュールを取り付けた例を示す図である。
図5図5は、実施の形態に係る通信機モジュールの斜視図である。
図6図6は、実施の形態に係る通信機モジュールの上面図である。
図7図7は、実施の形態の変形例に係る通信用ポールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明の実施の形態に係る通信用ポール、街路灯及び通信機モジュールについて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0012】
また、本明細書において、円柱、角柱などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0013】
また、本明細書において、「第1」、「第2」などの序数詞は、特に断りの無い限り、構成要素の数又は順序を意味するものではなく、同種の構成要素の混同を避け、区別する目的で用いられている。
【0014】
(実施の形態)
[概要]
まず、実施の形態に係る街路灯の概要について、図1を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る街路灯1の概略側面図である。図1に示される街路灯1は、道路、通路、駐車場、広場若しくは公園などの地面、又は、橋梁、高架若しくは建物などの建造物に設置され、下方(地面)を照らす照明装置である。図1に示されるように、街路灯1は、通信用ポール2と、灯具20と、を備える。通信用ポール2は、ポール10と、通信機モジュール100及び101と、蓋30と、を備える。
【0016】
ポール10は、鉛直上方に延びるように地面に立設されている。ポール10の高さは、例えば数mから十数m程度である。ポール10は、例えば、内部の少なくとも一部が中空の円柱体(例えば、円筒体)であるが、これに限定されない。ポール10は、内部の少なくとも一部が中空の角柱体(例えば、角筒体)であってもよい。あるいは、ポール10は、下端から上端に向かって先細る形状であってもよい。また、ポール10は、地面又は接地面に対して斜め上方に向かって延びるように設けられていてもよい。ポール10は、金属製であるが、樹脂製であってもよい。
【0017】
灯具20は、ポール10の先端部(上端部)に取り付けられている。灯具20は、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子を含む照明器具である。灯具20の形状及び大きさは、特に限定されない。
【0018】
通信機モジュール100及び101はそれぞれ、通信機を含む箱型のモジュールである。通信機モジュール100及び101の具体的な構成は後で説明する。
【0019】
蓋30は、通信機モジュール101の上面を覆う蓋である。詳細については後述するが、通信機モジュール101の上面には開口が設けられており、蓋30は、当該上部開口を塞いでいる。
【0020】
[通信機モジュールの配置]
次に、通信用ポール2に取り付けられる通信機モジュールの配置について、図2図4を用いて説明する。図2図4はそれぞれ、本実施の形態に係る街路灯1において、ポール10に1つ、2つ、3つの通信機モジュールを取り付けた例を示す図である。
【0021】
各通信機モジュールは、それに内蔵させる通信機器類のメンテナンスを考慮した場合には、地面(又は接地面)の近傍に取り付ける方が良いが、位置を限定するものでは無い。
【0022】
本実施の形態に係る街路灯1及び通信用ポール2では、1以上の通信機モジュールを取付可能である。図2では、1つのみの通信機モジュール100が取り付けられた例が示されている。図1及び図3では、2つの通信機モジュール100及び101が取り付けられた例が示されている。図4では、3つの通信機モジュール100、101及び102が取り付けられた例が示されている。
【0023】
図2図4に示される通信機モジュール100は、第1通信機モジュールの一例である。図3及び図4に示される通信機モジュール101、並びに、図4に示される通信機モジュール102はそれぞれ、第2通信機モジュールの一例である。第2通信機モジュールは、第1通信機モジュールに加えて追加的に設けられる追加モジュールである。通信用ポール2に要求される通信性能に合わせて、第2通信機モジュールの増設又は取り外しが可能である。
【0024】
図2に示される通信用ポール2aに対して、通信機モジュール101を増設したものが、図1及び図3に示される通信用ポール2である。具体的には、図2に示される蓋30を取り外し、通信機モジュール100の上に通信機モジュール101を固定した後、通信機モジュール101上に蓋30を取り付ける。通信機モジュール102をさらに増設する場合も同様である。図3に示される通信用ポール2に対して、通信機モジュール102を増設することで、図4に示される通信用ポール2bになる。
【0025】
通信機モジュール100、101及び102は、互いに同様の構成を有する。具体的には、通信機モジュール100、101及び102はいずれも、筐体120と、筐体固定具130と、機器固定具140と、を備える。本実施の形態では、通信機モジュール100、101及び102の各々において、筐体120、筐体固定具130及び機器固定具140は、互いに同じである。
【0026】
通信機モジュール100、101及び102はそれぞれ、1以上の通信機を含んでいる。具体的には、図2図4に示されるように、通信機モジュール100は、無線機111と、電源盤112と、を含む。通信機モジュール101は、無線機111aと、周波数共用機113と、を含む。通信機モジュール102は、無線機111bを含む。
【0027】
無線機111は、第1通信機の一例である。無線機111a及び111bはそれぞれ、第2通信機の一例である。無線機111、111a及び111bはそれぞれ、アンテナ(図示せず)を介して所定の通信規格に基づいた無線信号の送受信を行う。無線機111aは、例えば、処理する無線信号の周波数が無線機111と異なっている。無線機111bは、例えば、無線機111及び111aのいずれとも、処理する無線信号の周波数が異なってるが、同じであってもよい。なお、アンテナは、例えば、ポール10の上部において、灯具20と通信機モジュール100との間に取り付けられている。
【0028】
電源盤112は、無線機111及びアンテナなどに電力を供給する装置である。図3に示される例では、電源盤112は、さらに、無線機111a及び周波数共用機113に電力を供給する。図4に示される例では、電源盤112は、さらに、無線機111bに電力を供給する。例えば、電源盤112は、変圧器、変流器、遮断器などを含んでいる。
【0029】
周波数共用機113は、複数の無線機111及び111aとアンテナ(図示せず)との間で無線信号の共用又は分波を行う機器である。図4に示される例では、周波数共用機113は、複数の無線機111、111a及び111bとアンテナとの間で無線信号の共用又は分波を行う。
【0030】
なお、通信機モジュール102に含まれる機器は、無線機111bのみであるので、他の機器を収容するためのスペースがある。必要に応じて無線機などの機器を通信機モジュール102に追加することができる。
【0031】
また、通信機モジュール100、101及び102に含まれる機器の種類、個数及び組み合わせは、図2図4に示される例には限定されない。例えば、通信機モジュール毎に電源盤112が設けられていてもよい。
【0032】
また、通信用ポール2に取り付けられる通信機モジュールの個数も1~3個には、限定されず、4個以上であってもよい。また、複数の通信機モジュールが上下に積み重ねられた例を示したが、通信機モジュールの配置はこれに限定されない。通信機モジュールの配置が異なる例については、後で説明する。
【0033】
[通信機モジュールの構成]
続いて、通信機モジュール100、101及び102の具体的な構成について説明する。上述したとおり、通信機モジュール100、101及び102は、内部に収納される機器の種類及び個数に違いはあるものの、他の構成は互いに同じである。以下では、代表して通信機モジュール100について、図5及び図6を用いて説明する。
【0034】
図5は、本実施の形態に係る通信機モジュール100及び101の斜視図である。図6は、本実施の形態に係る通信機モジュール100の上面図である。
【0035】
図5では、通信機モジュール100については、筐体120の前面カバー121を外した状態でモジュール内部の構造を表している。通信機モジュール100が備える無線機111及び電源盤112の図示は省略されている。
【0036】
通信機モジュール100は、図2図4にも示されたとおり、筐体120と、筐体固定具130と、機器固定具140と、を含む。また、図6に示されるように、通信機モジュール100は、ロック機構150を含む。
【0037】
筐体120は、開閉式の筐体である。筐体120は、無線機111などの通信機を収容する箱型の容器である。筐体120は、通信機の周囲を覆っている。なお、筐体120は、通信機の周囲全体を覆っていなくてもよい。例えば、本実施の形態に係る筐体120は、通信機の上方及び下方を覆っていない。
【0038】
筐体120は、図5及び図6に示されるように、前面カバー121と、背面カバー122と、を含む。筐体120は、前面カバー121と背面カバー122とが組み合わされることによって筒状に構成されている。
【0039】
筐体120には、開閉を制限するロック機構150が設けられている。ロック機構150は、例えば電子錠であるが、これに限定されない。ロック機構150は、特殊な工具がなければ開閉できない構成を有してもよい。
【0040】
筐体120は、上面及び下面の双方に開口が設けられている。筐体120の上面及び下面はそれぞれ、互いに平行であり、かつ、互いに同じ大きさ及び同じ形状である。筐体120の上面に設けられた開口と、筐体120の下面に設けられた開口とは、同じ大きさ及び同じ形状である。これにより、複数の筐体120を隙間なく上下に積み重ねることができる。
【0041】
通信機モジュール101の筐体120の上部の開口は、図5に示されるように蓋30が載置されることによって閉じられる。蓋30は、筐体120に係止されるが、ネジなどによって筐体120に固定されてもよい。
【0042】
本実施の形態では、筐体120の背面カバー122が筐体固定具130に固定されている。例えば、背面カバー122は、筐体固定具130にネジ止めされている。前面カバー121は、背面カバー122に嵌め合わせられることによって固定される。なお、前面カバー121と背面カバー122との固定方法は、特に限定されない。前面カバー121及び背面カバー122はいずれも、金属製であるが、樹脂製であってもよい。
【0043】
図5に示されるように、筐体120には、多数の空気孔121aが設けられている。空気孔121aによって筐体120内部に熱がこもるのを抑制することができる。なお、空気孔121aは設けられていなくてもよい。空気孔121aは、筐体120の側面に設けられているが、位置は特に限定されない。
【0044】
ポール10の軸方向(上下方向)に直交する断面における筐体120の形状(断面視形状)は、切断面の位置によらず、ほぼ同じである。つまり、筐体120の上面視形状は、筐体120の下面視形状と同じであり、任意の位置における断面形状ともほぼ同じである。
【0045】
本実施の形態では、図6に示されるように、筐体120の断面視形状は、後方側(紙面上側)に位置する半円形状と、前方側(紙面下側)に位置し、当該半円形状よりも幅広の矩形状と、を組み合わせた形状である。半円形状の部分は、背面カバー122の一部によって形成されており、ポール10が挿通されるための空間123を形成している。半円形状の部分は、背面カバー122の上下方向における一部部分のみに設けられている(例えば、後述する図7を参照)。幅広の矩形状の部分は、前面カバー121と背面カバー122の一部とによって形成されている。
【0046】
筐体120の外表面は、ポール10の軸方向に直交する断面視で、角部に曲線が形成されている。具体的には、図6に示される断面視において、前方側の矩形状の4つの角部に曲線が形成されている。曲線は、例えば円弧である。例えば、上面視における筐体120の外形を長方形とみなした場合に、長辺の長さをA[mm]とし、短辺の長さをB[mm]とする。この場合に、曲線の曲率kは、1>k≧1/bを満たすが、これに限定されない。なお、筐体120の上面視形状は、長方形には限定されず、所定の寸法内に収まる多角形であってもよい。
【0047】
このように、筐体120では、角部に曲線が設けられていることにより、筐体120に受ける風をスムーズに受け流すことができる。風によって筐体120にかかる力を緩和することができ、通信機モジュール100の脱落又はポール10の破損を抑制することができる。筐体120の直線部分が少なくなり、円形に近づく程、風によって筐体120にかかる力を緩和することができる。
【0048】
なお、筐体120の断面視形状は、図6に示される例に限定されない。例えば、角部の曲線は、前面カバー121のみに設けられていてもよい。あるいは、矩形状の部分は、円形状又は楕円形状であってもよい。筐体120の平面部分を減らすことによって、風を受け流しやすくすることができる。
【0049】
筐体固定具130は、図6に示されるように、2つの帯状部材131及び132を備える。帯状部材131と帯状部材132とによってポール10を挟み込み、ネジで締め付けることによって筐体固定具130がポール10に固定される。筐体固定具130には、筐体120の背面カバー122及び機器固定具140が固定されている。背面カバー122及び機器固定具140は、例えば筐体固定具130にネジ止めされている。1つのネジが筐体固定具130の締め付けと、背面カバー122及び機器固定具140の固定と、に共用されてもよい。
【0050】
図5に示されるように、通信機モジュール100は、2つの筐体固定具130を備えるが、これに限定されない。2つの筐体固定具130は、筐体120の内部に収容されており、上下方向において互いに異なる位置に配置されている。筐体固定具130は、金属製の金具であるが、樹脂製であってもよい。なお、筐体120をポール10に固定できればよく、筐体固定具130の具体的な構成は特に限定されない。
【0051】
機器固定具140は、上下方向に延びる溝を有する。機器固定具140は、断面形状が矩形環状の部材である。図6に示されるように、機器固定具140の一部をネジの頭で挟み込むことによって、無線機111などの機器を固定することができる。機器固定具140は、上下方向に沿って延びているので、上下方向の任意の位置で機器を固定することができる。
【0052】
図5及び図6に示されるように、通信機モジュール100は、2つの機器固定具140を備えるが、これに限定されない。2つの機器固定具140は、筐体120の内部に収容されており、ポール10を挟んで左右に配置されている。機器固定具140は、金属製の金具であるが、樹脂製であってもよい。なお、1つ以上の機器を固定できればよく、機器固定具140の具体的な構成は特に限定されない。
【0053】
図6に示されるように、筐体120は、配線用のシャフト124及び125を有する。シャフト124及び125はそれぞれ、筐体120を上下方向に貫く空間である。複数の筐体120を上下に積み重ねた場合、各筐体120のシャフト124同士、及び、シャフト125同士が上下方向に連通する。例えば、図3に示されるように2つの通信機モジュール100及び101が積み重ねられた場合、通信機モジュール100のシャフト124(第1シャフト)の上端は、通信機モジュール101のシャフト124(第2シャフト)の下端に繋がる。通信機モジュール100のシャフト125(第1シャフト)の上端は、通信機モジュール101のシャフト125(第2シャフト)の下端に繋がる。このため、複数のモジュールに跨がる配線が容易になる。
【0054】
例えば、無線機111及び111aと周波数共用機113には電力及び通信信号を供給するための複数の配線(図示せず)が接続されている。複数の配線は、低圧配線と、弱電流電線と、を含んでいる。低圧配線は、互いに連通する複数のシャフト124に配置される。弱電流電線は、互いに連通する複数のシャフト125に配置される。これにより、互いの配線が離隔されることによりお互いに影響を与えることを抑制することができる。
【0055】
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る通信用ポール2は、ポール10と、通信機モジュール100と、を備える。通信機モジュール100は、第1通信機と、第1通信機を収容する第1筐体の一例である筐体120と、筐体120をポール10に固定する第1固定具の一例である筐体固定具130と、を含む。
【0056】
これにより、通信機が筐体120に収容されてモジュール化されているので、通信機の取り付けが容易である。また、通信機が筐体120に収容されていることで、容易に外部からアクセスできなくなるので、通信機の保護性能も高めることができる。特に、取り付ける通信機モジュールの個数が複数である場合に有効である。
【0057】
また、例えば、通信用ポール2は、さらに、1以上の通信機モジュール101及び/又は102を備える。1以上の通信機モジュール101及び/又は102はそれぞれ、第2通信機と、第2通信機を収容する第2筐体の一例である筐体120と、筐体120をポール10に固定する第2固定具の一例である筐体固定具130と、を含む。第2筐体は、第1筐体と同じ大きさ及び同じ形状である。
【0058】
これにより、複数の通信機モジュール100及び101の各筐体120の形状及び大きさが同じであるので、増設が容易になる。また、ポール10の上部に通信機モジュール100及び101を取り付ける場合には、強い風が吹いた場合でも落下しないように風の影響を予め考慮して取り付け強度及び/又は筐体120の形状などを設計しておく必要がある。複数の通信機モジュール100及び101において各筐体120の形状及び大きさを同じにしておくことによって、1つの通信機モジュール100についての耐風力荷重計算の結果を有効に利用することができる。
【0059】
また、例えば、通信機モジュール101は、通信機モジュール100の直上に接触して配置されている。
【0060】
これにより、上下方向に通信機モジュール100及び101が重ねて配置されているので、道路の専有面積(上面視)を小さくすることができる。また、複数の通信機モジュール100及び101において各筐体120の形状及び大きさを同じにしておくことによって、積み重ねた複数の通信機モジュール100及び101についての耐風力荷重計算を容易に行うことができる。
【0061】
また、例えば、各通信機モジュールの筐体120は、配線用のシャフト124を有する。各筐体120が有するシャフト124は、連通している。
【0062】
これにより、通信機モジュール100及び101間でシャフト124が連通するので、通信機モジュール100及び101間の配線経路の確保が容易に行われる。
【0063】
また、例えば、シャフト124及び125は、ポール10を挟んで両側に配置されている。
【0064】
これにより、シャフト124及び125を離して配置することができる。例えば、シャフト124及び125の一方を低圧配線用の配線経路に利用し、シャフト124及び125の他方を弱電流電線用の配線経路に利用することで、低圧配線が弱電流電線に電磁気的な影響を与えるのを抑制することができる。
【0065】
また、例えば、筐体120の外表面は、ポール10の軸方向に直交する断面視で、角部に曲線が形成されている。
【0066】
これにより、筐体120にかかる風圧を弱めることができる。また、直線状の角部を少なくすることで、通信機モジュール100の取付作業時などにおける作業者の安全性を高めることができる。
【0067】
また、例えば、筐体120は、ポール10の軸方向における両端面が互いに平行かつ同じ大きさの平面であり、当該両端面には同じ大きさの開口が設けられている。
【0068】
これにより、隙間なく筐体120同士を上下に重ねることができるので、例えば、筐体120内への異物の侵入を抑制することができる。また、筐体120間の隙間が小さくなることで、風の影響も抑制することができる。
【0069】
また、本実施の形態に係る街路灯1は、通信用ポール2、2a又は2bと、ポール10の先端に取り付けられた灯具20と、を備える。
【0070】
これにより、通信機が筐体120に収容されてモジュール化されているので、通信機の増設が容易である。
【0071】
また、本実施の形態に係る通信機モジュール100は、通信機と、通信機を収容する筐体120と、筐体120をポール10に固定する筐体固定具130と、を備える。
【0072】
これにより、通信機が筐体120に収容されてモジュール化されているので、通信機の増設が容易である。また、通信機が筐体120に収容されていることで、容易に外部からアクセスできなくなるので、通信機の保護性能も高めることができる。
【0073】
また、例えば、筐体120は、開閉式の筐体であり、開閉を制限するロック機構150を有する。
【0074】
これにより、外部からのアクセスを制限することができ、通信機の保護性能を高めることができる。なお、ロック機構150は設けられていなくてもよい。
【0075】
(その他)
以上、本発明に係る通信用ポール、街路灯及び通信機モジュールについて、上記の実施の形態などに基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0076】
例えば、上記の実施の形態では、通信用ポール2が街路灯1に利用される例を示したが、これに限定されない。通信用ポール2は、通信専用のポールであってもよい。あるいは、通信用ポール2には、灯具20以外の機能モジュールが取り付けられていてもよい。例えば、通信用ポール2には、監視カメラが取り付けられていてもよい。また、監視カメラは、通信機モジュール100の内部に設けられてもよく、通信機モジュール100とは別体で設けられていてもよい。
【0077】
また、例えば、通信機モジュール100、101及び102の各筐体120は、互いに異なる形状又は異なる大きさであってもよい。例えば、モジュール毎に筐体120の高さが異なっていてもよい。各筐体120の上下面の大きさ及び形状が同じであれば、高さが異なっていても隙間なく積み重ねることができる。
【0078】
また、各筐体120の上下面の大きさ及び形状も同じでなくてもよい。例えば、各筐体120が上下方向に沿って先細る形状(テーパ又は階段状)であってもよい。この場合、筐体120の姿勢を交互に上下逆さまにしながら複数の筐体120を隙間なく積み重ねることができる。
【0079】
また、1以上の第2通信機モジュールの1つは、第1通信機モジュールのポール10を挟んだ反対側に配置されていてもよい。
【0080】
図7は、実施の形態の変形例に係る通信用ポールの側面図である。図7に示される例では、4つの通信機モジュール201、202、203及び204がポール10に取り付けられている。通信機モジュール201及び203は、実施の形態と同様に、上下に積み重ねられている。通信機モジュール202及び204も同様に、上下に積み重ねられている。
【0081】
通信機モジュール202は、通信機モジュール201のポール10を挟んだ反対側に配置されている。本変形例に係る通信機モジュール201及び202は、筐体120の代わりに筐体220を備える。筐体220の背面カバー222は、ポール10の側面の一部のみを覆うように構成されている。ポール10の空いたスペースを利用して、他の筐体220を取り付けることができる。
【0082】
これにより、通信機モジュールの上下だけでなく、反対側にも増設が可能になる。空中のポール近傍の空間を有効に利用することができ、通信機モジュールの増設数を増やすことができる。
【0083】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1 街路灯
2、2a、2b 通信用ポール
10 ポール
20 灯具
100、201 通信機モジュール(第1通信機モジュール)
101、102、202、203、204 通信機モジュール(第2通信機モジュール)
111 無線機(第1通信機)
111a、111b 無線機(第2通信機)
120、220 筐体
124、125 シャフト
130 筐体固定具(第1固定具)
150 ロック機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7