(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048847
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】コンベヤベルト
(51)【国際特許分類】
B65G 15/42 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
B65G15/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158391
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】稲吉 舞
【テーマコード(参考)】
3F024
【Fターム(参考)】
3F024AA03
3F024AA11
3F024CB03
3F024CB08
3F024CB10
3F024DA07
3F024DA14
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、耐摩耗性を向上させることができる、コンベヤベルトを提供することである。
【解決手段】コンベヤベルト1は、搬送面f1に、ベルト幅方向に間隔を置いて配置されているとともにベルト長さ方向に延びている、2つの凸部2を有している。凸部2のベルト幅方向外側端2e2は、コンベヤベルト1のベルト幅方向外側端1eからベルト幅方向内側に10mm~100mmの距離Sだけ離れた位置に位置決めされている、凸部2のベルト幅方向幅W2は、50mm~300mmである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤベルトであって、
前記コンベヤベルトの搬送面に、ベルト幅方向に間隔を置いて配置されているとともにベルト長さ方向に延びている、2つの凸部を有しており、前記凸部のベルト幅方向外側端は、前記コンベヤベルトのベルト幅方向外側端からベルト幅方向内側に10mm~100mmの距離だけ離れた位置に位置決めされており、前記凸部のベルト幅方向幅は、50mm~300mmである、コンベヤベルト。
【請求項2】
前記コンベヤベルトの裏面に、ベルト幅方向に間隔を置いて配置されているとともにベルト長さ方向に延びている、2つの凹部を有しており、前記凹部は、前記コンベヤベルトをベルト長さ方向に丸めたときに、前記凸部に対応する位置に配置されているとともに当該凸部に嵌め込み可能に構成されている、請求項1に記載されたコンベヤベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベヤベルトを用いた搬送装置(ベルトコンベヤ)には、搬送物の飛散および落下を防止するため、当該コンベヤベルトの搬送面に向かって「スカート」と呼ばれる部材を垂下させたものがある。このため、従来のコンベヤベルトには、前記搬送面と前記スカートとの接触によって生じる摩耗の促進を軽減させるため、当該搬送面の、当該スカートとの接触部に耐摩耗性の優れたゴムコンパウンドを配設したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のコンベヤベルトであっても、前記スカートとの接触具合を考慮した場合、当該スカートに対する耐摩耗性の向上に改善の余地がある。加えて、上記従来のコンベヤベルトは、当該コンベヤベルトの一部として、摩耗が促進される部分のみに異種ゴムを配設する必要があることから、製造工程が煩雑であり、その結果、製造コストが増加する。
【0005】
本発明の目的は、簡易な構成で、耐摩耗性を向上させることができる、コンベヤベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンベヤベルトは、前記コンベヤベルトの搬送面に、ベルト幅方向に間隔を置いて配置されているとともにベルト長さ方向に延びている、2つの凸部を有しており、前記凸部のベルト幅方向外側端は、前記コンベヤベルトのベルト幅方向外側端からベルト幅方向内側に10mm~100mmの距離だけ離れた位置に位置決めされており、前記凸部のベルト幅方向幅は、50mm~300mmである。本発明に係るコンベヤベルトによれば、簡易な構成で、耐摩耗性を向上させることができる。
【0007】
また、本発明に係るコンベヤベルトは、前記コンベヤベルトの裏面に、ベルト幅方向に間隔を置いて配置されているとともにベルト長さ方向に延びている、2つの凹部を有しており、前記凹部は、前記コンベヤベルトをベルト長さ方向に丸めたときに、前記凸部に対応する位置に配置されているとともに当該凸部に嵌め込み可能に構成されているものとすることができる。この場合、コンベヤベルトをベルト長さ方向に丸めて巻き取るとき、当該コンベヤベルトの幅方向端を一律に揃えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成で、耐摩耗性を向上させることができる、コンベヤベルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、コンベヤベルトを概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1のコンベヤベルトのベルト幅方向中心付近が省略された状態で、当該コンベヤベルトをX-X断面で概略的に示す断面図である。
【
図3】
図1のコンベヤベルトのベルト幅方向中心付近が省略された状態で、当該コンベヤベルトをY-Y断面で概略的に示す断面図である。
【
図4】
図1のコンベヤベルトを長さ方向に丸めて当該コンベヤベルトが重ね合わされた状態をX-X断面で概略的に示す断面図である。
【
図5】
図1のコンベヤベルトを使用可能な搬送装置の一例を、側面から概略的に示す側面図である。
【
図6】
図5の搬送装置を、コンベヤベルトの移動方向から概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、コンベヤベルト1について説明をする。
【0011】
ここで、以下の説明で使用される用語を規定する。「ベルト長さ方向」とは、コンベヤベルトの長手方向をいう。また、コンベヤベルトが無端状である場合、「ベルト周方向」とは、「ベルト長さ方向」の意味を含む。次いで、「ベルト幅方向」とは、コンベヤベルトの短手方向をいう。ここで、ベルト長手方向とベルト短手方向とは直交している。すなわち、ベルト長さ方向とベルト幅方向とは直交している。さらに、「ベルト厚さ方向」とは、ベルト長さ方向およびベルト幅方向に対して直交している方向をいう。また、コンベヤベルトが無端状である場合、「径方向」とは、「ベルト厚さ方向」の意味を含む。加えて、「上側」とは、コンベヤベルトの表面の側を意味する場合を含む。また、「下側」とは、ベルトコンベヤの裏面の側を意味する場合を含む。
【0012】
図1は、コンベヤベルト1を搬送面f1の側から示した平面図である。コンベヤベルト1は、
図1に示すように平面視において、平らに展開された帯状の外形形状を有している。本実施形態では、コンベヤベルト1の搬送面f1は、平らな面である。コンベヤベルト1の搬送面f1には、後述する2つの凸部2が配置されている。本実施形態において、コンベヤベルト1は基本的に、
図1に示すように、平らに展開された状態で使用されるが、搬送物Cを搬送する際には、
図6に示すように、ベルト幅方向中心付近が下側に沈んだ状態で使用される。
【0013】
図1を参照すれば、コンベヤベルト1は、2つの凸部2を有している。2つの凸部2は、コンベヤベルト1の搬送面f1に、ベルト幅方向に間隔を置いて配置されているとともにベルト長さ方向に延びている。凸部2のベルト幅方向外側端2e2(以下、「凸部幅方向外側端2e2」ともいう。)は、コンベヤベルト1のベルト幅方向外側端1eからベルト幅方向内側に10mm~100mmの距離S1だけ離れた位置に位置決めされている(10mm≦S1≦100mm)。凸部2のベルト幅方向内側端2e1(以下、「凸部幅方向内側端2e1」ともいう。)と当該凸部2のベルト幅方向外側端2e2との間のベルト方向幅W2、すなわち、凸部2のベルト幅方向幅W2は、50mm~300mm(50mm≦W2≦300mm)である。
【0014】
さらに、距離S1は、30mm~100mm(30mm≦S1≦100mm)の範囲に収まることが好ましい。より好ましくは、距離S1は、60mm~90mm(60mm≦S1≦90mm)の範囲に収める。また、ベルト幅方向幅W2は、50mm~250mm(50mm≦W2≦250mm)の範囲に収めることが好ましい。より好ましくは、ベルト幅方向幅W2は、150mm~200mm(150mm≦W2≦200mm)の範囲に収める。
【0015】
図2は、コンベヤベルト1のベルト幅方向中心付近が省略された状態で、当該コンベヤベルト1をX-X断面で概略的に示している。X-X断面は、コンベヤベルト1を平らに展開させた状態で、ベルト幅方向およびベルト厚さ方向を含むとともにベルト長さ方向に対して直交する断面である。
【0016】
図2を参照すれば、本実施形態では、凸部2は、幅方向に間隔を置いて配置された2つの側壁(2b1、2b2)と、2つの側壁(2b1、2b2)の上端に連なる頂壁2aとを有している。2つの側壁(2b1、2b2)は、搬送面f1aに対して厚さ方向に垂直に延びている。すなわち、本実施形態では、凸部2の幅方向内側側壁2b1は、凸部幅方向内側端2e1に相当し、凸部2の幅方向外側側壁2b2は、凸部幅方向外側端2e2に相当する。本実施形態では、頂壁2aと幅方向内側側壁2b1との間を面取りまたはR加工することが好ましい。同様に、本実施形態では、頂壁2aと幅方向外側側壁2b2との間を面取りまたはR加工することが好ましい。本実施形態では、
図2に示すように、半径rのR加工がなされている。
【0017】
図3は、コンベヤベルト1のベルト幅方向中心付近が省略された状態で、当該コンベヤベルト1をY-Y断面で概略的に示している。Y-Y断面は、コンベヤベルト1を平らに展開させた状態で、ベルト幅方向およびベルト厚さ方向を含むとともにベルト長さ方向に対して直交する断面である。なお、
図3において、コンベヤベルト1のベルト幅方向中央部は、一部省略されているが、これは、図面縮尺上の問題であり、実際には、コンベヤベルト1は、幅方向に連続している。
【0018】
コンベヤベルト1の内部構造は、特に限定されないが、
図3を参照すれば、コンベヤベルト1は、凸部2に加え、例えば、上側カバーゴム4と、下側カバーゴム5と、芯材6とを有している。
【0019】
上側カバーゴム4は、2つの凸部2とともに、コンベヤベルト1の上側部分を構成している。上側カバーゴム4には、平らな搬送面f1が形成されている。2つの凸部2は、搬送面f1から厚さ方向に突出している。本実施形態では、凸部2の高さh2は、コンベヤベルト1の搬送面f1からの、厚さ方向の高さである。
【0020】
本実施形態では、凸部2は、ゴム製の凸部である。本実施形態では、凸部2および上側カバーゴム4が加硫によって一体化されている。ただし、本発明によれば、凸部2は、前記境界が消失するまで上側カバーゴム4と一体化させることなく、例えば、接着等の手段を用いることによって、搬送面f1に取り付けることもできる。本実施形態では、凸部2および上側カバーゴム4は、同じゴム材料によって形成されている。ただし、本発明によれば、凸部2および上側カバーゴム4は、異なるゴム材料で形成することもできる。
【0021】
下側カバーゴム5は、コンベヤベルト1の下側部分を構成している。下側カバーゴム5には、平らな裏面f2が形成されている。本実施形態では、上側カバーゴム4および下側カバーゴム5は、加硫によって一体化されている。ただし、本発明によれば、上側カバーゴム4および下側カバーゴム5もまた、例えば、接着等の手段を用いることによって、上側カバーゴム4および下側カバーゴム5を取り付けることもできる。本実施形態では、上側カバーゴム4および下側カバーゴム5は、同じゴム材料によって形成されている。ただし、本発明によれば、上側カバーゴム4および下側カバーゴム5は、異なるゴム材料で形成することもできる。
【0022】
芯材6は、下側カバーゴム5の内部に埋設されている。芯材6としては、例えば、帯状の帆布、幅方向に配列されているとともに長さ方向に延びている、複数のスチールコード又はアラミド繊維等の繊維材などを用いることができる。本実施形態では、芯材6は、上下方向に積層された複数の芯材6からなる。本実施形態では、3つの芯材6(6a~6c)が積層されているが、芯材6の層構成は、少なくとも1層とすることができる。
【0023】
さらに、
図3を参照すれば、コンベヤベルト1は、その裏面f2に、2つの凹部3を有している。2つの凹部3は、ベルト幅方向に間隔を置いて配置されているとともにベルト長さ方向に延びている。凹部3は、コンベヤベルト1をベルト長さ方向に丸めたときに、
図4に示すように、凸部2に対応する位置に配置されているとともに当該凸部2に嵌め込み可能に構成されている。
【0024】
図3を参照すれば、本実施形態において、凹部3の幅方向外側端3e2(以下、「凹部幅方向外側端3e2」ともいう。)は、コンベヤベルト1のベルト幅方向外側端1eからベルト幅方向内側に10mm~100mmの距離S5だけ離れた位置に位置決めされている(10mm≦S5≦100mm)。凹部3のベルト幅方向内側端3e1(以下、「凹部幅方向内側端3e1」ともいう。)と当該凹部3のベルト幅方向外側端3e2との間のベルト幅方向幅W3、すなわち、凹部3のベルト幅方向幅W3は、50mm~300mm(50mm≦W3≦300mm)である。具体例としては、S5<S1、かつ、W3>W2が好ましい。
【0025】
さらに、距離S5は、30mm~100mm(30mm≦S5≦100mm)の範囲に収めることが好ましい。より好ましくは、距離S5は、60mm~90mm(60mm≦S5≦90mm)の範囲に収める。また、ベルト幅方向幅W3は、50mm~250mm(50mm≦W3≦250mm)の範囲に収めることが好ましい。より好ましくは、ベルト幅方向幅W3は、150mm~200mm(150mm≦W3≦200mm)の範囲に収める。
【0026】
本実施形態では、凹部3は、幅方向に間隔を置いて配置された2つの側壁(3b1、3b2)と、2つの側壁(3b1、3b2)の上端に連なる底壁3aとを有している。2つの側壁(3b1、3b2)は、搬送面f1aに対してベルト厚さ方向に垂直に延びている。すなわち、本実施形態では、凹部3のベルト幅方向内側側壁3b1は、凹部幅方向内側端3e1に相当し、凹部3のベルト幅方向外側側壁3b2は、凹部幅方向外側端3e2に相当する。
【0027】
凸部2のベルト幅方向幅W2と凹部3のベルト幅方向幅W3との関係は適宜、設定することができる。本実施形態では、凸部2と凹部3との嵌め合いは、すきま嵌めとすることができる。この場合、凸部2を凹部3の内部に容易に挿入させることができる。また、本実施形態では、凸部2と凹部3との嵌め合いは、しまり嵌めとすることができる。この場合、凸部2を凹部3の内部に強固に固定させることができる。また、本実施形態では、凸部2と凹部3との嵌め合いは、中間嵌めとすることもできる。
【0028】
凸部2の高さh2と凹部3の深さD3との関係も適宜、設定することができる。本実施形態では、凹部3の深さD3は、裏面f2からの厚さ方向の深さである。本実施形態では、凹部3の深さD3は、凸部2の高さh2以上(D3≧h2)にすることが好ましい。この場合、コンベヤベルト1を丸めて重ね合わせたとき、
図4に示すように、巻取時に下側に配置されたコンベヤベルト1の搬送面f1と巻取時に上側に配置されたコンベヤベルト1の裏面f2とを一致させることができる。したがって、凹部3の深さD3を凸部2の高さh2以上にすれば、コンベヤベルト1を最もコンパクトに丸めることができる。ただし、本発明によれば、凹部3の深さD3は、凸部2の高さh2よりも浅くすることができる(D3<h2)。
【0029】
図5には、コンベヤベルト1を使用可能なベルトコンベヤ(搬送装置)10の一例が示されている。
【0030】
ベルトコンベヤ10は、コンベヤベルト1と、複数のプーリ11とを有している。この例では、プーリ11は、互いに間隔を置いて配置された、前側プーリ11aおよび後側プーリ11bからなる。この例では、コンベヤベルト1は、前側プーリ11aと後側プーリ11bとに巻き掛けられている。この例では、前側プーリ11aの前方下側には、搬送物Cが取り出される荷受箱20が配置されている。コンベヤベルト1は、例えば、前側プーリ11aをモータ等の駆動装置によって駆動回転させる一方、後側プーリ11bを従動回転させることができる。前側プーリ11aは、正回転または逆回転させることができる。これによって、コンベヤベルト1は、当該コンベヤベルト1の周方向(長さ方向)に回転させることができる。例えば、コンベヤベルト1が
図4の矢印の方向に回転する場合、コンベヤベルト1のうち、後側プーリ11bから前側プーリ11aに向かって移動する部分は、キャリア側ベルト1Cに相当し、前側プーリ11aから後側プーリ11bに向かって移動する部分は、リターン側ベルト1Rに相当する。この例では、キャリア側ベルト1Cは、周方向に間隔を置いて配置された複数のローラ12および13によって、周方向に移動可能に支持されている。また、この例では、リターン側ベルト1Rは、周方向に間隔を置いて配置された複数のローラ14によって、周方向に移動可能に支持されている。
【0031】
図6には、ベルトコンベヤ10が、その移動方向から概略的に示されている。
図6を参照すれば、コンベヤベルト1(キャリア側ベルト1C)の幅方向中央部は、ローラ12によって支持されている。ローラ12は、その回転軸線が水平方向に対して平行になるように配置されている。また、コンベヤベルト1の幅方向外側端部は、ローラ13によって支持されている。ローラ13は、その回転軸線が水平方向に対して傾斜するように配置されている。具体的には、ローラ13は、幅方向内側に向かうにしたがって下向きに傾斜するように配置されている。こうした構成によって、コンベヤベルト1は、その幅方向端部が幅方向外側に向かうにしたがって上側に傾斜した状態のまま、周方向に移動することになる。これによって、搬送物Cは、コンベヤベルト1の搬送面f1の幅方向中央部に形成された窪みに集められることになる。
【0032】
加えて、ベルトコンベヤ10は、スカート部15と、ホッパ(又はシュート)19とを有している。
【0033】
図6を参照すれば、この例において、スカート部15は、搬送物Cの飛散および落下を抑制するためのスカート16と、スカート16が取り付けられる取付枠17と、を有している。この例では、取付枠17には、ホッパ19が取り付けられている。この例では、スカート16は、ブラケット18を介してホッパ19に取り付けられている。
【0034】
スカート16は、取付枠17の内部をコンベヤベルト1の周方向(長さ方向)に沿って延びているプレート状の部材である。スカート16は、例えば、ゴム、樹脂等の軟材質によって形成することができる。この例では、スカート16の下端部16a(以下、「スカート下端部16a」ともいう。)は、上下方向において、コンベヤベルト1の幅方向端部と対向する位置に位置決めされている。また、この例では、スカート下端部16aは、ローラ13に対して平行になるように傾斜している。コンベヤベルト1の凸部2は、スカート下端部16aの直下に位置している。凸部2は、スカート下端部16aに対して接触させることができる。或いは、凸部2は、
図6に示すように、凸部2とスカート下端部16aとの間にわずかに隙間が形成されているようにすることもできる。これによって、搬送物Cがホッパ19を通してコンベヤベルト1の搬送面f1に投入されることによって、コンベヤベルト1の周囲に飛び散るような場合でも、搬送物Cの飛散および落下は、スカート16によって抑制される。
【0035】
一方、コンベヤベルトは、スカート16が搬送面f1と接触すると、搬送面f1の摩耗が局所的に促進されることになる。そこで、従来のコンベヤベルトは、例えば、前記搬送面のうち、摩耗が促進される部分に局所的に、耐摩耗性に優れたゴムコンパウントを配設している。
【0036】
しかしながら、従来のコンベヤベルトの搬送面は、スカート16に対して直接的に接触してしまう。このため、たとえ搬送面の一部が耐摩耗性に優れたゴムコンパウントに置き換えられた従来のコンベヤベルトであるとしても、前記スカートとの接触具合(例えば、接触時間、接触頻度)を考慮した場合、当該スカートに対する耐摩耗性の向上に改善の余地がある。加えて、こうした従来のコンベヤベルトは、その製造時において、摩耗が促進される部分のみに異種ゴムを配設する必要がある。例えば、コンベヤベルトを加硫成形する場合、上側カバーゴム4の表面(搬送面)のうちの、スカート16と接触し得る領域に、耐摩耗性に優れたゴムコンパウントを正確に埋設する必要がある。しかしながら、こうした作業を成形型内で行うことは、煩雑、かつ、困難である。そして、こうした作業の煩雑さ及び困難さは、製造コストの増加を招くこととなる。
【0037】
これに対し、本実施形態に係るコンベヤベルト1は、その幅方向外側端部の搬送面f1に凸部2を設け、当該凸部2が搬送面f1に先んじてスカート16と接触し得るように構成した。本実施形態に係るコンベヤベルト1によれば、スカート16がコンベヤベルト1と接触するとき、凸部2が搬送面f1に先んじて接触させることができる。このように、凸部2が搬送面f1に先んじてスカート16と接触することによって、搬送面f1での摩耗の促進は抑制される。
【0038】
具体的には、上述のとおり、凸部2のベルト幅方向外側端2e2を、コンベヤベルト1のベルト幅方向外側端1eからベルト内側に10mm~100mmの距離S1だけ離れた位置に位置決めするとともに、凸部2のベルト幅方向幅W2を50mm~300mmとする構成とした。上記S1とW2によれば、凸部2は、一般的なベルトコンベヤのスカート(より具体的には、スカート下端部)の位置に対応し、当該スカートの少なくとも一部又は全部と接触できる、凸部とすることができる(よって、スカートとの接触による搬送面の摩耗を抑制できる)。
【0039】
コンベヤベルト1によれば、凸部2を搬送面f1の両端に設けるだけの簡易な構成で、スカート16との接触部における耐摩耗性を向上することができる。したがって、コンベヤベルト1によれば、簡易な構成で、耐摩耗性を向上させることができる。また、コンベヤベルト1によれば、凸部2を搬送面f1上に配置するだけの簡易な方法によって製造することができる。また、コンベヤベルト1によれば、凸部2を搬送面f1上に配置するだけの簡易な方法によって製造することができるため、製造コストの増加を抑制することができる。
【0040】
また、凸部2のベルト幅方向外側端2e2を、コンベヤベルト1のベルト幅方向外側端1eからベルト内側に30mm~100mmの距離S1だけ離れた位置に位置決めするとともに、凸部2のベルト幅方向幅W2を50mm~250mmとする構成とすれば、スカート16との接触部における耐摩耗性をより向上させることができる。
【0041】
さらに、凸部2のベルト幅方向外側端2e2を、コンベヤベルト1のベルト幅方向外側端1eからベルト内側に60mm~90mmの距離S1だけ離れた位置に位置決めするとともに、凸部2のベルト幅方向幅W2を150mm~200mmとする構成とすれば、スカート16との接触部における耐摩耗性をより一層向上させることができる。
【0042】
なお、上述の数値範囲は、一般的なベルトコンベヤ(例えば、製品名「スチールコードコンベヤベルト」株式会社ブリヂストン社製造)を検討した結果、導き出されたものである。
【0043】
また、コンベヤベルト1において、その裏面f2に形成された2つの凹部3のそれぞれは、コンベヤベルト1をベルト長さ方向に丸めたときに、
図4に示すように、2つの凸部2のそれぞれに嵌めこむことができる。この場合、コンベヤベルト1をベルト長さ方向に丸めて巻き取るとき、
図4に示すように、コンベヤベルト1のベルト幅方向外側端1eを一律に揃えることができる。
【0044】
具体的には、コンベヤベルトをベルト長さ方向に丸めて巻き取るとき、巻き取りによって重ね合わされたコンベヤベルトのベルト幅方向外側端1eが幅方向で揃わないことがある。例えば、製品出荷前のコンベヤベルトの巻き取り時に、巻き取りによって重ね合わされたコンベヤベルトのベルト幅方向外側端1eが幅方向で揃わないことがある。このように、コンベヤベルトのベルト幅方向外側端1eの一部が幅方向外側に飛び出していると、当該ベルト幅方向外側端1eの一部が、その周囲に配置された枠などに接触することがある。これは、コンベヤベルトのベルト幅方向端部の折れ曲がりもしくは破損、または、コンベヤベルトの巻崩れを生じさせる。
【0045】
これに対し、本実施形態に係るコンベヤベルト1は、長さ方向に丸めたときに、
図4に示すように、2つの凸部2のそれぞれに、当該2つの凸部2のそれぞれに対応する凹部3を嵌め込ませることができる。この場合、巻き重ねられたコンベヤベルト1は、幅方向にずれることなく、コンベヤベルト1のベルト幅方向外側端1eを一律に揃えることができる。これによって、コンベヤベルト1が巻取時にベルト幅方向にずれることによって生じ得る、コンベヤベルト1のベルト幅方向外側端部の折れ曲がりもしくは破損、または、コンベヤベルト1の巻崩れの発生を抑制することができる。
【0046】
ところで、コンベヤベルトの巻き取り方法としては、例えば、巻き取りドラムを回転させることによって当該巻き取りドラムに巻き取る方法(軸巻方式)と、巻き取りドラムと回転ドラムとの間にコンベヤベルトを挟み込んで巻き取りドラムに巻き取る方法(アンダーロール方式)と、がある。
【0047】
軸巻方式の場合、コンベヤベルトの巻取時に、当該コンベヤベルトに対して周方向にテンションを加えつつ巻き取ることができる。この場合、コンベヤベルトが巻取時に幅方向にずれる現象を抑制することができる。一方、アンダーロール方式の場合も、コンベヤベルトの巻取時に、当該コンベヤベルトに対して周方向にテンションを加えつつ巻き取ることができるが、このテンションは、コンベヤベルトが巻取時に幅方向にずれる現象を抑制するのに十分ではない。
【0048】
これに対し、本実施形態に係るコンベヤベルト1は、上述のとおり、凸部2と凹部3とを合わせることによって、巻取り時に大きなテンションを加えることなく、コンベヤベルトが巻取時に幅方向にずれる現象を抑制するができる。このため、コンベヤベルト1は、アンダーロール方式などの、コンベヤベルトに対して大きなテンションを加え難い方式で巻取られることが想定される場合に使用することが、より有効である。
【0049】
上述したところは、本発明の一実施形態について説明を行ったにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1:コンベヤベルト, 1e:コンベヤベルトの幅方向外側端, f1:搬送面, f2:コンベヤベルトの裏面, 1C:キャリア側ベルト, 1R:リターン側ベルト, 2:凸部, 2a:凸部の頂壁, 2b1:凸部の幅方向内側側壁, 2b2:凸部の幅方向外側側壁, 2e1:凸部の幅方向内側端, 2e2:凸部の幅方向外側端, S1:コンベヤベルトの幅方向外側端から凸部の幅方向外側端までの幅方向の距離, h2:凸部の高さ, W2:凸部の幅(凸部の幅方向内側端と当該凸部の幅方向外側端との間の幅), 3:凹部, 3a:凹部の底壁, 3b1:凹部の幅方向内側側壁, 3b2:凹部の幅方向外側側壁, 3e1:凹部の幅方向内側端, 3e2:凹部の幅方向外側端, S5:コンベヤベルトの幅方向外側端から凹部の幅方向外側端までの幅方向の距離, D3:凹部の深さ, W3:凹部の幅(凹部の幅方向内側端と当該凹部の幅方向外側端との間の幅), 4:上側カバーゴム, 5:下側カバーゴム, 6,6a~6b:芯材, 10:ベルトコンベヤ(搬送装置), 11:プーリ, 12:ローラ, 13:ローラ, 14:ローラ, 15:スカート部, 16:スカート, 17:取付枠, 18:ブラケット, 19:ホッパ(シュート), 20:荷受箱