(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048856
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】認証装置、認証方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/31 20130101AFI20230331BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
G06F21/31
B41J29/00 Z
B41J29/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158404
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】藤村 峻也
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061BB11
2C061CL10
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061CQ34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】認証情報とメンテナンスモードの内容とが変更になった場合に、保守員の利便性を確保しつつ、不適切な者によりメンテナンスが行われるのを抑制する認証装置、認証方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】認証装置(例えば印刷装置)は、被メンテナンス装置(例えば印刷装置)のメンテナンスモードを制御するメンテナンスモード制御部によるメンテナンスモードの実行可否を、認証情報に基づいて判定する認証部を備える。この認証部は、認証情報とメンテナンスモードの内容とが変更になった場合、入力された認証情報が現行の新認証情報であるとき(ステップS8:YES)、新メンテナンスモードの実行を許可し、入力された認証情報が旧認証情報であるとき(ステップS2:YES)、実行可能条件(例えば、旧メンテナンスモードの実行を許可する回数)を満たせば(ステップS3:YES)、旧メンテナンスモードの実行を許可する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被メンテナンス装置のメンテナンスモードを制御するメンテナンスモード制御部によるメンテナンスモードの実行可否を、認証情報に基づいて判定する認証部を備え、
前記認証部は、前記認証情報と前記メンテナンスモードの内容とが変更になった場合、入力された前記認証情報が現行の新認証情報であるとき、当該新認証情報に対応する新メンテナンスモードの前記メンテナンスモード制御部による実行を許可し、入力された前記認証情報が旧認証情報であるとき、実行可能条件を満たせば、前記旧認証情報に対応する旧メンテナンスモードの前記メンテナンスモード制御部による実行を許可する
ことを特徴とする認証装置。
【請求項2】
前記実行可能条件は、前記旧メンテナンスモードの実行を許可する回数を含む
ことを特徴とする請求項1記載の認証装置。
【請求項3】
前記実行可能条件は、前記旧メンテナンスモードの実行を許可する期間を含む
ことを特徴とする請求項1又は2記載の認証装置。
【請求項4】
前記認証部は、前記旧メンテナンスモードごとに実行不可又は前記実行可能条件を設定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の認証装置。
【請求項5】
被メンテナンス装置のメンテナンスモードの実行可否を認証情報に基づいて判定する工程を含み、
前記メンテナンスモードの実行可否を判定する工程では、前記認証情報と前記メンテナンスモードの内容とが変更になった場合、入力された前記認証情報が現行の新認証情報であるとき、当該新認証情報に対応する新メンテナンスモードの実行を許可し、入力された前記認証情報が旧認証情報であるとき、実行可能条件を満たせば、前記旧認証情報に対応する旧メンテナンスモードの実行を許可する
ことを特徴とする認証方法。
【請求項6】
被メンテナンス装置のメンテナンスモードの実行可否を認証情報に基づいて判定する機能をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記メンテナンスモードの実行可否を判定する機能では、前記認証情報と前記メンテナンスモードの内容とが変更になった場合、入力された前記認証情報が現行の新認証情報であるとき、当該新認証情報に対応する新メンテナンスモードの実行を許可し、入力された前記認証情報が旧認証情報であるとき、実行可能条件を満たせば、前記旧認証情報に対応する旧メンテナンスモードの実行を許可する
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンスモードの実行可否を判定する、認証装置、認証方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置などのメンテナンスが行われる被メンテナンス装置において、不適切なメンテナンスが行われると、印刷品質が低下するなど装置の機能を十分に発揮できなかったり、装置の故障や動作不良を招いたりし得る。そのため、メンテナンスモードの実行を許可するためのパスワードが設定される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被メンテナンス装置において、機能向上等の理由からファームウェアのバージョンが更新されると、メンテナンスモードの内容が変更になることがある。また、メンテナンスモードの内容の変更時又はそれ以降にパスワードなどの認証情報が変更になると、変更後の新認証情報を知らない保守員は、新認証情報を知るまで、メンテナンスを行うことができなくなる。
【0005】
変更前の旧認証情報を長期間利用可能としておくことも考えられるが、流出した旧認証情報を知った者によりメンテナンスが行われたり、或いは、旧認証情報を正当に知らされ且つ新認証情報を意図的に知らされない者により変更後の新メンテナンスモードによるメンテナンスが行われたりすることになる。これにより、印刷品質が低下するなど装置の機能を十分に発揮できなかったり、装置の故障や動作不良を招いたりし得る場合が生じてしまう。
【0006】
本発明の目的は、認証情報とメンテナンスモードの内容とが変更になった場合に、保守員の利便性を確保しつつ、不適切な者によりメンテナンスが行われるのを抑制することができる、認証装置、認証方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、認証装置は、メンテナンスモードを制御するメンテナンスモード制御部によるメンテナンスモードの実行可否を、認証情報に基づいて判定する認証部を備え、前記認証部は、前記認証情報と前記メンテナンスモードの内容とが変更になった場合、入力された前記認証情報が現行の新認証情報であるとき、当該新認証情報に対応する新メンテナンスモードの前記メンテナンスモード制御部による実行を許可し、入力された前記認証情報が旧認証情報であるとき、実行可能条件を満たせば、前記旧認証情報に対応する旧メンテナンスモードの前記メンテナンスモード制御部による実行を許可する。
【発明の効果】
【0008】
前記態様によれば、認証情報とメンテナンスモードの内容とが変更になった場合に、保守員の利便性を確保しつつ、不適切な者によりメンテナンスが行われるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態における印刷装置を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態における認証方法を説明するためのフローチャートである。
【
図3】第2実施形態における認証方法を説明するためのフローチャートである。
【
図4】第3実施形態における認証方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1~第3実施形態に係る、認証装置、認証方法、及びプログラムについて、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態における印刷装置1を示すブロック図である。
【0012】
図1に示す印刷装置1は、媒体供給部10と、搬送部20と、印刷部30と、媒体排出部40と、制御部50と、記憶部60と、操作パネル70と、通信部80とを備える。印刷装置1は、被メンテナンス装置(印刷装置1)のメンテナンスモードの実行可否を判定する認証装置の一例である。
【0013】
媒体供給部10は、用紙等の媒体が積載される積載台を有し、この積載台に積載された媒体を印刷装置1の内部に供給する。
【0014】
搬送部20は、例えば、ローラ、ベルトなどを有し、印刷装置1の内部において、媒体を搬送する。
【0015】
印刷部30は、搬送部20によって搬送される媒体に印刷を行う。印刷部30の印刷方式は、特に制限されないが、例えば、インクジェット印刷方式、孔版印刷方式などである。
【0016】
媒体排出部40は、媒体が積載され印刷装置1の外部に露出する積載台を有し、印刷部30による印刷が行われた媒体を積載台に排出する。
【0017】
制御部50は、例えば、印刷装置1の各部の動作を制御する演算処理装置として機能する1つ以上のプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有する。このプロセッサは、例えば、記憶部60から、或いは、印刷装置1に対して着脱可能な記憶媒体(非一過性のコンピュータ読取可能記録媒体)から、所定のプログラムを読み出して実行することにより、メンテナンスモード制御部51及び認証部52として機能する。
【0018】
メンテナンスモード制御部51は、印刷装置1のメンテナンスモードを制御する。また、メンテナンスモード制御部51は、後述する認証部52によってメンテナンスモードの実行が許可された場合に、メンテナンスモードを実行する。このメンテナンスモードは、例えば、搬送部20の搬送設定の変更、印刷部30の印刷設定の変更などのメンテナンスを行うモードである。
【0019】
認証部52は、メンテナンスモード制御部51によるメンテナンスモードの実行可否を、認証情報の一例であるパスワードに基づいて判定する。例えば、パスワードは、数字、文字、記号などを所定の桁数分含むものであり、後述する入力部72又は通信部80を介してユーザによって入力される。なお、認証情報は、例えば、ユーザを特定する識別情報(ID)などであってもよく、パスワードに制限されない。認証情報として識別情報が用いられる場合には、識別情報は、ICカードなどから読み出されることが望ましい。
【0020】
例えば、認証部52は、入力部72のタッチパネル又はテンキーを用いてユーザによって入力された入力パスワードと、記憶部60に記憶された所定のパスワードとが一致するかの照合を行い、これらのパスワードが一致する場合に、メンテナンスモード制御部51によるメンテナンスモードの実行を許可するとよい。
【0021】
記憶部60は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリや、ハードディスク装置などを有する。記憶部60は、後述する新旧のメンテナンスモードの内容及び新旧のパスワードを記憶する。
【0022】
操作パネル70は、各種情報を表示するディスプレイである表示部71と、ユーザ(例えば、一般ユーザ、保守員など)による各種情報の入力を受け付ける入力部72とを有する。表示部71がタッチパネルを有する場合には、表示部71が入力部72を兼ねる。なお、保守員は、一般ユーザから選ばれた者である場合も、保守専門の保守員である場合もあり得る。
【0023】
通信部80は、ネットワークを介して無線で又は有線で接続されるユーザ端末などの各種機器との間での各種情報の授受を行うインターフェース部である。
【0024】
なお、上述の説明では、印刷装置1は、被メンテナンス装置の一例であるとともに、認証装置の一例である。すなわち、認証装置と被メンテナンス装置とが同一の装置である。しかしながら、認証装置は、例えば、被メンテナンス装置のメンテナンスモードの実行可否を判定する、被メンテナンス装置以外の装置であってもよい。例えば、認証装置は、被メンテナンス装置の制御を行う専用の制御装置(例えば、被メンテナンス装置である印刷装置1の制御を行う専用の印刷制御装置)であってもよいし、或いは、被メンテナンス装置の制御を行う、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどのユーザ端末であってもよく、特に制限されない。
【0025】
また、被メンテナンス装置のメンテナンスモードを制御するメンテナンスモード制御部は、被メンテナンス装置に備えられてもよいし、或いは、被メンテナンス装置とは別に配置される認証装置に備えられてもよい。
【0026】
また、被メンテナンス装置(認証装置)は、印刷装置1に限られず、印刷装置1によって印刷が行われた媒体に処理を行う後処理装置、印刷装置1によって印刷が行われる画像データを読み取るスキャナなどの印刷関連装置であってもよい。更には、被メンテナンス装置(認証装置)は、印刷関連装置に限られず、自動車、家電などの他の装置であってもよい。
【0027】
次に、本第1実施形態に係る認証方法について説明する。
【0028】
印刷装置1(被メンテナンス装置)のファームウェアの更新に伴って、メンテナンスモードの内容が変更になることがある(例えば、メンテナンス項目の追加や変更など)。また、メンテナンスモードの内容が変更になるため、ファームウェアの更新時又はそれ以降に自動で又は保守員の選択によりパスワードを変更することがある。なお、メンテナンスモードの内容(及びパスワード)の変更は、ファームウェアの更新に伴うものに限られず、例えば、保守員により行われるものであってもよい。
【0029】
以下、このように旧パスワードが新パスワードに変更になり、旧パスワードに対応する旧メンテナンスモードの内容が新パスワードに対応する新メンテナンスモードの内容に変更になった場合の制御部50の処理について、
図2を参照しながら説明する。
【0030】
図2は、第1実施形態における認証方法を説明するためのフローチャートである。
【0031】
まず、認証部52は、メンテナンスモードへの移行要求が行われたかの判定を繰り返す(ステップS1)。この移行要求は、例えば、入力部72における予め定められた複数キーの押下などのユーザによる所定の操作によって行われる。
【0032】
メンテナンスモードへの移行要求が行われると(ステップS1:YES)、認証部52は、表示部71に図示しないパスワード入力画面を表示させ、ユーザによって入力されたパスワードが変更前の旧パスワードであるかを判定する(ステップS2)。
【0033】
ここで、記憶部60が、複数の旧メンテナンスモードと、これらのそれぞれに対応する複数の旧パスワードとを記憶していれば、認証部52は、ユーザによって入力されたパスワードが、複数の旧パスワードのうちのいずれかの旧パスワードであるかを判定すればよい。
【0034】
入力されたパスワードが旧パスワードであれば(ステップS2:YES)、認証部52は、入力された旧パスワードに対応する旧メンテナンスモードの実行を許可した累積回数が、規定回数(実行可能条件の一例である、旧メンテナンスモードの実行を許可する回数)以下であるかを判定する(ステップS3)。
【0035】
認証部52は、旧メンテナンスモードの実行を許可した累積回数が、規定回数を超えている場合(ステップS3:NO)、旧メンテナンスモードの起動が不可であることを、例えば表示部71による表示によってユーザに報知する(ステップS4)。そして、
図2に示す処理が終了する。なお、認証部52は、旧メンテナンスモードの起動が不可であることをユーザに報知する場合、或いは、後述するように旧メンテナンスモードの実行が許可される場合、旧パスワードが入力されたことをユーザに報知してもよい。また、旧メンテナンスモードの実行を許可した回数などの実行可能条件が満たされない場合(上述のステップS3:NO)、旧メンテナンスモードの情報は
図2に示す処理上では使用されないため、記憶部60から削除してもよい。
【0036】
認証部52は、旧メンテナンスモードの実行を許可した累積回数が、規定回数以下である場合(ステップS3:YES)、累積回数を1回分足して(ステップS5)、メンテナンスモード制御部51による旧メンテナンスモードの実行を許可する。
【0037】
メンテナンスモード制御部51は、認証部52によって旧メンテナンスモードの実行が許可されると、旧メンテナンスモードを起動し(ステップS6)、実行する。
【0038】
その後、メンテナンスモード制御部51は、旧メンテナンスモードの実行が終了したかを繰り返し判定し(ステップS7)、終了すれば(ステップS7:YES)、
図2に示す処理が終了する。
【0039】
上述のステップS2の処理に戻り、認証部52は、ユーザによって入力されたパスワードが変更前の旧パスワードではないと判定した場合(ステップS2:NO)、ユーザによって入力されたパスワードが変更後の新パスワードであるかを判定する(ステップS8)。ここで、印刷装置1等の被メンテナンス装置は、それぞれにパスワードによる認証が行われる複数種類のメンテナンスモード(例えば、印刷部30のメンテナンスモード、搬送部20のメンテナンスモードなど)によるメンテナンスが行われてもよい。この場合には、記憶部60は、複数の新メンテナンスモードと、これらのそれぞれに対応する複数の新パスワードとを記憶し、認証部52は、ユーザによって入力されたパスワードが、複数の新パスワードのうちのいずれかの新パスワードであるかを判定すればよい。
【0040】
ユーザによって入力されたパスワードが新パスワードではない場合(ステップS8:NO)、認証部52は、パスワードの誤りの報知を行ったり、或いは、ユーザにパスワードの再入力を促すように報知を行ったりするとよい。そして、再び、認証部52は、入力されたパスワードが変更前の旧パスワードであるかの判定処理(ステップS2)を行う。
【0041】
ユーザによって入力されたパスワードが新パスワードである場合(ステップS8:YES)、認証部52は、新パスワードに対応する新メンテナンスモードのメンテナンスモード制御部51による実行を許可する。
【0042】
メンテナンスモード制御部51は、認証部52によって新メンテナンスモードの実行が許可されると、新メンテナンスモードを起動し(ステップS9)、実行する。
【0043】
その後、メンテナンスモード制御部51は、新メンテナンスモードの実行が終了したかを繰り返し判定し(ステップS10)、終了すれば(ステップS10:YES)、
図2に示す処理が終了する。
【0044】
以上説明した本第1実施形態では、認証装置の一例である印刷装置1は、被メンテナンス装置の一例である印刷装置1のメンテナンスモードを制御するメンテナンスモード制御部51によるメンテナンスモードの実行可否を、認証情報の一例であるパスワードに基づいて判定する認証部52を備える。この認証部52は、パスワードとメンテナンスモードの内容とが変更になった場合、入力されたパスワードが現行の新パスワードであるとき(ステップS8:YES)、この新パスワードに対応する新メンテナンスモードのメンテナンスモード制御部51による実行を許可し、入力されたパスワードが旧パスワードであるとき(ステップS2:YES)、実行可能条件(例えば、旧メンテナンスモードの実行を許可する回数)を満たせば(ステップS3:YES)、旧パスワードに対応する旧メンテナンスモードのメンテナンスモード制御部51による実行を許可する。
【0045】
また、他の観点では、認証方法は、例えば、印刷装置1(認証装置の一例)によって行われる認証方法であって、被メンテナンス装置の一例である印刷装置1のメンテナンスモードの実行可否を認証情報の一例であるパスワードに基づいて判定する工程を含み、メンテナンスモードの実行可否を判定する工程では、パスワードとメンテナンスモードの内容とが変更になった場合、入力されたパスワードが現行の新パスワードであるとき、この新パスワードに対応する新メンテナンスモードの実行を許可し、入力されたパスワードが旧パスワードであるとき、実行可能条件を満たせば、旧パスワードに対応する旧メンテナンスモードの実行を許可する。
【0046】
また、他の観点では、プログラムは、被メンテナンス装置の一例である印刷装置1のメンテナンスモードの実行可否を認証情報の一例であるパスワードに基づいて判定する機能をコンピュータ(例えば、印刷装置1の制御部50などの認証装置のコンピュータ)に実行させるプログラムであって、メンテナンスモードの実行可否を判定する機能では、パスワードとメンテナンスモードの内容とが変更になった場合、入力されたパスワードが現行の新パスワードであるとき、この新パスワードに対応する新メンテナンスモードの実行を許可し、入力されたパスワードが旧パスワードであるとき、実行可能条件を満たせば、旧パスワードに対応する旧メンテナンスモードの実行を許可する。
【0047】
これにより、パスワードが変更になったことを知らされるべき保守員が、新パスワードを知らされるまでの間でも、実行可能条件(例えば、旧メンテナンスモードの実行を許可する回数)を満たせば、旧メンテナンスモードにおいてメンテナンスを行うことができる。そのため、ユーザの利便性が確保される。また、旧メンテナンスモードの実行可能条件が設定されていることによって、流出した旧パスワードを知った者や、或いは、旧パスワードを正当に知らされ且つ新パスワードを意図的に知らされない者により変更後の新メンテナンスモードによるメンテナンスが行われるのを抑制することができる。よって、本第1実施形態によれば、パスワードとメンテナンスモードの内容とが変更になった場合に、保守員の利便性を確保しつつ、不適切な者によりメンテナンスが行われるのを抑制することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、実行可能条件は、旧メンテナンスモードの実行を許可する回数を含む。これにより、旧メンテナンスモードの実行が所定の回数を超えて繰り返されるのを禁止することができるため、不適切な者によりメンテナンスが行われるのをより一層抑制することができる。
【0049】
<第2実施形態>
本第2実施形態では、上述の実行可能条件について、旧メンテナンスモードの実行を許可する回数に代えて、旧メンテナンスモードの実行を許可する期間(例えば、1週間や1か月など)を例に説明する。それ以外の事項については、上述の第1実施形態と同様にすることができるため、相違する事項についてのみ説明する。なお、実行可能条件は、旧メンテナンスモードの実行を許可する回数と、旧メンテナンスモードの実行を許可する期間との両方を含むものであってもよいし、旧メンテナンスモードの実行を許可する回数や期間以外の条件、例えば、印刷枚数、被メンテナンス装置の稼働時間、被メンテナンス装置に装着される消耗品の使用回数・使用量などを含むものであってもよい。
【0050】
図3は、第2実施形態における認証方法を説明するためのフローチャートである。
【0051】
図3に示すフローチャートは、
図2に示すフローチャートのステップS3の処理に代えてステップS21の処理を行い、
図2に示すフローチャートのステップS5の処理を行わないことを除いて、
図2に示すフローチャートと同様である。そのため、ステップS21の処理に関連する事項のみについて説明する。
【0052】
認証部52は、入力されたパスワードが旧パスワードである場合に(ステップS2:YES)、旧メンテナンスモードの実行を許可する期間(実行可能条件の一例)内であるかを判定する(ステップS21)。
【0053】
認証部52は、旧メンテナンスモードの実行を許可する期間を経過している場合(ステップS21:NO)、上述のように、旧メンテナンスモードの起動が不可であることを、例えば表示部71による表示によってユーザに報知する(ステップS4)。
【0054】
また、認証部52は、旧メンテナンスモードの実行を許可する期間内であれば(ステップS21:YES)、メンテナンスモード制御部51による旧メンテナンスモードの実行を許可する。メンテナンスモード制御部51は、認証部52によって旧メンテナンスモードの実行が許可されると、旧メンテナンスモードを起動し(ステップS6)、実行する。
【0055】
以上説明した第2実施形態では、上述の第1実施形態と同様の事項については同様の効果、すなわち、保守員の利便性を確保しつつ、不適切な者によりメンテナンスが行われるのを抑制することができるなどの効果を得ることができる。
【0056】
また、本実施の形態では、実行可能条件は、旧メンテナンスモードの実行を許可する期間を含む。これにより、パスワードが変更になったことを知らされるべき保守員が新パスワードを知るまでの時間を確保することができるため、保守員の利便性をより一層確保することができる。
【0057】
<第3実施形態>
本第3実施形態では、認証部52が旧メンテナンスモードごとに実行不可又は実行可能条件を設定することにおいて、上述の第1実施形態及び第2実施形態と相違する。それ以外の事項については、上述の第1実施形態及び第2実施形態と同様にすることができるため、相違する事項についてのみ説明する。
【0058】
認証部52は、例えば、旧メンテナンスモードを機能の重要度でランク付けしたランクに基づいて、旧メンテナンスモードに実行不可又は実行可能条件を設定する。旧メンテナンスモードのランクは、認証部52が旧メンテナンスモードの内容に応じて設定してもよいし、ファームウェアに含まれる情報や、ユーザによって選択されるものなどであってもよい。認証部52が旧メンテナンスモードの内容に応じてランクを設定する場合には、例えば、認証部52は、各メンテナンスモードのメンテナンス項目にインク吐出設定、電圧設定などの重要事項(装置の動作不良や故障を招きやすい事項)が含まれるか否か或いは重要事項が含まれる数などに基づいてランクを設定するとよい。
【0059】
一例ではあるが、ランクを、「Aランク:保守員以外のメンテナンスを禁止すべきもの」、「Bランク:保守員がメンテナンスを行わないと被メンテナンス装置の動作に使用をきたす可能性があるもの」、及び「Cランク:被メンテナンス装置の動作に大きな支障をきたさないもの」の3つとして説明する。なお、ランクは3つに限られず、2つであっても4つ以上であってもよい。
【0060】
認証部52は、Aランクの旧メンテナンスモードについては、実行可能条件(実行を許可する回数や期間など)を設定せずに、実行不可にする。また、認証部52は、Bランク及びCランクの旧メンテナンスモードについては、実行可能条件を設定する。例えば、認証部52は、Bランクの旧メンテナンスモードについては、実行を許可する回数(第1実施形態参照)を1回とし、Cランクの旧メンテナンスモードについては、実行を許可する期間(第2実施形態参照)を1か月とする。
【0061】
なお、Bランクの旧メンテナンスモードとCランクの旧メンテナンスモードとが共通の実行可能条件に設定される場合(例えば、Bランク及びCランクの両方の実行可能条件が、実行を許可する回数又は期間で共通する場合)には、Bランクの旧メンテナンスモードがCランクの旧メンテナンスモードよりも厳しい基準(例えば、少ない回数又は短い期間)で実行可能条件を設定されるとよい。また、Aランクの旧メンテナンスモードにも実行可能条件が設定される場合、Aランクの旧メンテナンスモードは、Bランクの旧メンテナンスモードよりも厳しい基準で実行可能条件が設定されるとよい。
【0062】
図4は、第3実施形態における認証方法を説明するためのフローチャートである。
【0063】
図4に示すフローチャートは、
図3に示すフローチャートと比較して、ステップS31の処理を追加し、ステップS21の処理に代えてステップS32の処理を行うことを除いて、
図3に示すフローチャートと同様である。そのため、ステップS31,S32の処理に関連する事項のみについて説明する。
【0064】
認証部52は、入力されたパスワードが旧パスワードである場合に(ステップS2:YES)、旧メンテナンスモードのランクを取得する(ステップS31)。上述のとおり、旧メンテナンスモードのランクは、認証部52が旧メンテナンスモードの内容に応じて設定してもよいし、ファームウェアに含まれる情報や、ユーザによって選択されるものなどであってもよい。
【0065】
次に、認証部52は、ランクに基づいて、旧メンテナンスモードが実行可で且つ実行可能条件を満たすかを判定する(ステップS32)。
【0066】
認証部52は、例えば、Aランクの実行が禁止される旧メンテナンスモードである場合やB又はCランクで実行可能条件を満たさない旧メンテナンスモードである場合など、旧メンテナンスモードが実行不可であるか又は実行可能条件を満たさない場合(ステップS32:NO)、上述のように、旧メンテナンスモードの起動が不可であることを、例えば表示部71による表示によってユーザに報知する(ステップS4)。
【0067】
また、認証部52は、B又はCランクで実行可能条件を満たす旧メンテナンスモードである場合など、旧メンテナンスモードが実行可で且つ実行可能条件を満たす場合(ステップS32:YES)、メンテナンスモード制御部51による旧メンテナンスモードの実行を許可する。メンテナンスモード制御部51は、認証部52によって旧メンテナンスモードの実行が許可されると、旧メンテナンスモードを起動し(ステップS6)、実行する。
【0068】
上述の説明では、認証部52は、ランクを用いて旧メンテナンスモードごとに実行不可又は実行可能条件を設定するが、ランクを用いずに、例えば、旧メンテナンスモードに含まれるメンテナンス項目などに基づいて、或いは、ユーザの選択に基づいて、旧メンテナンスモードごとに実行不可又は実行可能条件を設定してもよい。
【0069】
以上説明した第3実施形態では、上述の第1実施形態又は第2実施形態と同様の事項については同様の効果、すなわち、保守員の利便性を確保しつつ、不適切な者によりメンテナンスが行われるのを抑制することができるなどの効果を得ることができる。
【0070】
また、本実施の形態では、認証部52は、旧メンテナンスモードごとに実行不可又は実行可能条件を設定する。これにより、旧メンテナンスモードの内容などに応じて、実行可能条件を緩い基準で設定し、ユーザの利便性をより一層確保したり、実行可能条件を厳しい基準で設定し、不適切な者によりメンテナンスが行われるのをより一層抑制したりすることができる。
【0071】
なお、本発明は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0072】
[付記1]
被メンテナンス装置のメンテナンスモードを制御するメンテナンスモード制御部によるメンテナンスモードの実行可否を、認証情報に基づいて判定する認証部を備え、
前記認証部は、前記認証情報と前記メンテナンスモードの内容とが変更になった場合、入力された前記認証情報が現行の新認証情報であるとき、当該新認証情報に対応する新メンテナンスモードの前記メンテナンスモード制御部による実行を許可し、入力された前記認証情報が旧認証情報であるとき、実行可能条件を満たせば、前記旧認証情報に対応する旧メンテナンスモードの前記メンテナンスモード制御部による実行を許可する
ことを特徴とする認証装置。
【0073】
[付記2]
前記実行可能条件は、前記旧メンテナンスモードの実行を許可する回数を含む
ことを特徴とする付記1記載の認証装置。
【0074】
[付記3]
前記実行可能条件は、前記旧メンテナンスモードの実行を許可する期間を含む
ことを特徴とする付記1又は2記載の認証装置。
【0075】
[付記4]
前記認証部は、前記旧メンテナンスモードごとに実行不可又は前記実行可能条件を設定する
ことを特徴とする付記1から3のいずれ記載の認証装置。
【0076】
[付記5]
被メンテナンス装置のメンテナンスモードの実行可否を認証情報に基づいて判定する工程を含み、
前記メンテナンスモードの実行可否を判定する工程では、前記認証情報と前記メンテナンスモードの内容とが変更になった場合、入力された前記認証情報が現行の新認証情報であるとき、当該新認証情報に対応する新メンテナンスモードの実行を許可し、入力された前記認証情報が旧認証情報であるとき、実行可能条件を満たせば、前記旧認証情報に対応する旧メンテナンスモードの実行を許可する
ことを特徴とする認証方法。
【0077】
[付記6]
被メンテナンス装置のメンテナンスモードの実行可否を認証情報に基づいて判定する機能をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記メンテナンスモードの実行可否を判定する機能では、前記認証情報と前記メンテナンスモードの内容とが変更になった場合、入力された前記認証情報が現行の新認証情報であるとき、当該新認証情報に対応する新メンテナンスモードの実行を許可し、入力された前記認証情報が旧認証情報であるとき、実行可能条件を満たせば、前記旧認証情報に対応する旧メンテナンスモードの実行を許可する
ことを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0078】
1 印刷装置
10 媒体供給部
20 搬送部
30 印刷部
40 媒体排出部
50 制御部
51 メンテナンスモード制御部
52 認証部
60 記憶部
70 操作パネル
71 表示部
72 入力部
80 通信部