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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048895
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】トイレットロール包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/60 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
B65D75/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158471
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA16
3E067AB76
3E067AC03
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BC06A
3E067EA04
3E067EB01
3E067EB22
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】少なくとも紙基材を含む包装基材でトイレットロールを包装し、ホットメルト接着剤で接着しても、包装後の形態が良好で、トイレットロールの不良品が出にくく、包装基材が適度に接着されていて剥がしやすいトイレットロール包装体を提供する。
【解決手段】少なくとも紙基材を含む包装基材で、2個、4個又は6個のトイレットロールを包装した包装体であって、包装基材の坪量が40g/m以上105g/m以下であり、トイレットロールが、その軸方向に垂直な方向に1列、2列又は3列で、かつ、2列又は3列である場合にいずれの列も両端面が揃うように並び、包装基材の周長方向における一端において、ホットメルト接着剤を包装基材の周長方向と略垂直な方向に塗布し、包装基材の周長方向における他端と接着する接着部を備えることを特徴とする、トイレットロール包装体を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも紙基材を含む包装基材で、2個、4個又は6個のトイレットロールを包装した包装体であって、
前記包装基材の坪量が40g/m以上105g/m以下であり、
前記トイレットロールが、その軸方向に垂直な方向に1列、2列又は3列で、かつ、2列又は3列である場合にいずれの列も両端面が揃うように並び、
前記包装基材の周長方向における一端において、ホットメルト接着剤を前記包装基材の周長方向と略垂直な方向に塗布し、前記包装基材の周長方向における他端と接着する接着部を備えることを特徴とする、トイレットロール包装体。
【請求項2】
前記接着部の形状がスパイラル形状であることを特徴とする、請求項1に記載のトイレットロール包装体。
【請求項3】
前記接着部の幅が3mm以上40mm以下であることを特徴とする、請求項2に記載のトイレットロール包装体。
【請求項4】
前記ホットメルト接着剤の材質がゴム系であることを特徴とする、請求項2又は3に記載のトイレットロール包装体。
【請求項5】
前記接着部の形状がビード形状であることを特徴とする、請求項1に記載のトイレットロール包装体。
【請求項6】
前記接着部の幅が1mm以上20mm以下であることを特徴とする、請求項5に記載のトイレットロール包装体。
【請求項7】
前記ホットメルト接着剤の材質がオレフィン系であることを特徴とする、請求項5又は6に記載のトイレットロール包装体。
【請求項8】
前記トイレットロールのロール密度が0.10g/cm以上0.33g/cm以下であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のトイレットロール包装体。
【請求項9】
前記包装体が、キャラメル包装であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のトイレットロール包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製品、特にトイレットロールを包装するのに好適なトイレットロール包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、包装や容器等に用いられる基材を中心に、プラスチックの減容化が望まれている。
【0003】
例えば、コピー用紙は、紙を主体とする包装基材で包装されている一方で、トイレットペーパー(トイレットロール)の場合、トイレットペーパー(トイレットロール)は柔らかいため(形態が安定しないため)、包装する際に包装基材が意図しない箇所で曲がったりしてしまい、包装後の形態に劣る。また、紙はフィルムに比べて厚くゴワゴワするため、紙が所定の位置で曲がりにくく、そのような点においても包装後の形態に劣る。
【0004】
トイレットロール包装体に係る発明の先行技術文献として、例えば、特許文献1には、所定個数集合させたトイレットロールパックを、紙シートでキャラメル状に包被するトイレットロール包装体の製造方法において、クラフトパルプを主体として抄造した紙シートを使用し、該シートの縦方向(製造時の紙の流れ方向)の中央部にミシン目等の易切断線及び/又は開封テープ等からなる開梱手段をあらかじめ設けて、所定の寸法に裁断した紙シートで前記ロールパックの集合体をキャラメル状に包被した後、キャラメル状包装体の上面で前記紙シートの前後重合端を接着し、さらに再生可能な粘着テープでキャラメル状包装体のサイド重合端部を封止することを特徴とするトイレットロール包装体の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-054504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
接着剤層(ヒートシール層)を全体に有するヒートシール紙を用いてトイレットロールを包装し、周長方向でヒートシールを行うと、通常は図4(a)に示すように、包装後に包装基材20同士が接着部22を介して接着し、トイレットロール21はそのままであるが、場合(熱の伝わり方)によっては、図4(b)に示すように、内側の包装基材30とトイレットロール31が接着部32を介して接着してしまい、不良品となってしまうことがある。
【0007】
そこで、ヒートシールを行わないよう、ホットメルト接着剤を用いて、包装基材を接着することが考えられる。ホットメルト接着剤を用いると、ホットメルト接着剤を塗布した接着部が盛り上がり、段ボールでトイレットロール包装体を梱包した際に、トイレットロール包装体同士が圧縮されることにより、接着部が他のトイレットロール包装体のトイレットロール表面に押し付けられて跡がついてしまい、不良品になる場合がある。
【0008】
それに対して、接着部でトイレットロールに跡がつかないようにするため、包装基材の坪量を高くし、接着部が局所的に他のトイレットロール包装体で圧縮されないようにすると、跡はつきにくくなるが、包装基材が固くなることで、包装基材が所定の位置で曲がりにくくなり、包装後の形態に劣る。
【0009】
また、ホットメルト接着剤の量を少なくすると、跡は付きにくくなるが、包装基材の接着性が悪くなり、包装が部分的に取れてしまい、不良品になる場合がある。また、接着部の面積を広くすると、跡がつきやすくなるとともに、包装基材を剥がしにくくなり、不良品になる場合がある。
そのため、紙基材を含む包装基材でトイレットロールを包装する際、不良品が発生しにくく、かつ、包装性が良好であることは困難であった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、少なくとも紙基材を含む包装基材でトイレットロールを包装し、ホットメルト接着剤で接着しても、包装後の形態が良好で、トイレットロールの不良品が出にくく、包装基材が適度に接着されていて剥がしやすいトイレットロール包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、包装基材の坪量を規定し、更に包装基材の周長方向における一端において、ホットメルト接着剤を包装基材の周長方向と略垂直な方向に塗布し、包装基材の周長方向における他端と接着する接着部を設けることで、少なくとも紙基材を含む包装基材でトイレットロールを包装し、ホットメルト接着剤で接着しても、包装後の形態が良好で、トイレットロールの不良品が出にくく、包装基材が適度に接着されていて剥がしやすいトイレットロール包装体とすることができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0012】
(1)本発明の第1の態様は、少なくとも紙基材を含む包装基材で、2個、4個又は6個のトイレットロールを包装した包装体であって、上記包装基材の坪量が40g/m以上105g/m以下であり、上記トイレットロールが、その軸方向に垂直な方向に1列、2列又は3列で、かつ、2列又は3列である場合にいずれの列も両端面が揃うように並び、上記包装基材の周長方向における一端において、ホットメルト接着剤を上記包装基材の周長方向と略垂直な方向に塗布し、上記包装基材の周長方向における他端と接着する接着部を備えることを特徴とする、トイレットロール包装体である。
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載のトイレットロール包装体であって、上記接着部の形状がスパイラル形状であることを特徴とするものである。
(3)本発明の第3の態様は、(2)に記載のトイレットロール包装体であって、上記接着部の幅が3mm以上40mm以下であることを特徴とするものである。
(4)本発明の第4の態様は、(2)又は(3)に記載のトイレットロール包装体であって、上記ホットメルト接着剤の材質がゴム系であることを特徴とするものである。
(5)本発明の第5の態様は、(1)に記載のトイレットロール包装体であって、上記接着部の形状がビード形状であることを特徴とするものである。
(6)本発明の第6の態様は、(5)に記載のトイレットロール包装体であって、上記接着部の幅が1mm以上20mm以下であることを特徴とするものである。
(7)本発明の第7の態様は、(5)又は(6)に記載のトイレットロール包装体であって、上記ホットメルト接着剤の材質がオレフィン系であることを特徴とするものである。
(8)本発明の第8の態様は、(1)から(7)のいずれかに記載のトイレットロール包装体であって、上記トイレットロールのロール密度が0.10g/cm以上0.33g/cm以下であることを特徴とするものである。
(9)本発明の第9の態様は、(1)から(8)のいずれかに記載のトイレットロール包装体であって、上記包装体が、キャラメル包装であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、少なくとも紙基材を含む包装基材でトイレットロールを包装し、ホットメルト接着剤で接着しても、包装後の形態が良好で、トイレットロールの不良品が出にくく、包装基材が適度に接着されていて剥がしやすいトイレットロール包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るトイレットロール包装体の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の別実施形態に係るトイレットロール包装体の一例を示す斜視図である。
図3】本発明のトイレットロール包装体に包装されるトイレットロールの配置の例を示す斜視図である。
図4】従来のトイレットロール包装体の一例及び不良品の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。
【0016】
1.トイレットロール包装体
図1は、本発明のトイレットロール包装体(以下、単に「包装体」とも言う。)の一例を示す斜視図である。図1に示すように、本発明の包装体1は、少なくとも紙基材を含む包装基材10で、2個、4個又は6個(図1では4個)のトイレットロール11を包装している。トイレットロール11の包装形態に関しては後述する。
なお、包装体1において、包装基材10はトイレットロール11の全体ではなく一部を覆っていてもよく、トイレットロール11は密封されていなくてもよい(図示しない)。
【0017】
また、包装体1は、包装基材10の周長方向Pにおける一端において、ホットメルト接着剤を包装基材10の周長方向Pと略垂直な方向(トイレットロール11の軸方向L)に塗布し、包装基材10の周長方向Pにおける他端と接着する接着部12を備える。接着部12を包装基材10の周長方向Pと略垂直な方向(トイレットロール11の軸方向L)に形成することで、包装後の形態が良好で、トイレットロール11の不良品が出にくく、包装基材10が適度に接着されていて剥がしやすい包装体1とすることができる。
なお、この場合における接着部12が設けられる、包装基材10の周長方向Pにおける一端(他端)とは、包装基材10の末端でなくともよく、末端から数cm程度包装基材10の中央部寄りに接着部12が設けられてもよい。
【0018】
ここで、接着部12の形状は図1に示すようなスパイラル形状であることが好ましい。スパイラル形状であることにより、包装後の形態が良好で、トイレットロール11の不良品が出にくく、包装基材10が適度に接着されていて剥がしやすい包装体1とすることができる。なお、接着部12の形成に用いられるホットメルト接着剤の材質は特に制限されず、エチレン酢酸ビニル系、ゴム系、ポリアミド系、オレフィン系、ポリウレタン系等、公知のものを用いることができる。その中で、ゴム系又はオレフィン系であることが好ましく、ゴム系であることがより好ましい。
また、接着部12の幅(包装基材10の周長方向Pに略平行な方向の長さ)SPが3mm以上40mm以下であることが好ましく、6mm以上33mm以下であることがより好ましく、10mm以上25mm以下であることが更に好ましい。幅SPが3mm未満であると、ホットメルト接着剤の接着性が弱くなりすぎ、包装基材10が意図せず剥がれることがある。幅SPが40mmを超えると、ホットメルト接着性が強くなりすぎ、包装紙を剥がしにくくなる。
【0019】
なお、接着部12の形状は、図2に示す別実施形態に係る包装体1における接着部12のように、ビード形状(一本線の形状)であってもよい。ビード形状である場合は、接着部12の幅(包装基材10の周長方向Pに略平行な方向の長さ)BPが1mm以上20mm以下であることが好ましく、2mm以上15mm以下であることがより好ましく、3mm以上10mm以下であることが更に好ましい。幅BPが1mm未満であると、ホットメルト接着剤の接着性が弱くなりすぎ、包装基材10が意図せず剥がれることがある。幅BPが20mmを超えると、ホットメルト接着性が強くなりすぎ、包装紙を剥がしにくくなる。また、接着部12の形状がビード形状である場合は、接着部12の形成に用いられるホットメルト接着剤の材質は特に制限されず、エチレン酢酸ビニル系、ゴム系、ポリアミド系、オレフィン系、ポリウレタン系等、公知のものを用いることができる。その中で、ゴム系又はオレフィン系であることが好ましく、オレフィン系であることがより好ましい。
【0020】
また、包装体1は包装基材10を破って開封しやすくするためのミシン目を設けてもよい(図示しない)。このミシン目は、例えば、包装基材10におけるトイレットロール11と接しない部分において軸方向L(包装体1の高さ方向h)に平行に設けてもよいし、当該部分以外の包装体1の側面部において軸方向Lに平行に設けてもよい(図示しない)。また、ミシン目は軸方向Lに垂直に設けてもよく、例えば、包装体1の天面部又は底面部に、軸方向Lに垂直で、かつ、2列又は3列に並んだトイレットロール11のそれぞれの軸の中心部を結ぶ方向に設けてもよい(図示しない)。さらに、ミシン目は包装体1の側面部に、軸方向Lに垂直な方向で、かつ、包装基材10の周長方向Pに沿って設けてもよい(図示しない)。なお、ミシン目の長さは自由に設定することができる。
【0021】
2.包装基材
包装基材10は、少なくとも紙基材を含むが、他の層を含んでいてもよく、例えば、防水の観点からPEラミネート紙を用いてもよい。また、紙基材には、包装体1として形成された際、外面側に印刷が施されていてもよい。なお、包装基材10において、ホットメルト接着剤で接着されている部分以外は、紙基材が主体であることが好ましく、紙基材が100%であることがより好ましい。
【0022】
包装基材10の坪量は、40g/m以上105g/m以下であり、50g/m以上90g/m以下であることが好ましく、60g/m以上80g/m以下であることがより好ましい。坪量が40g/m未満であると、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる。坪量が105g/mを超えると、包装する際に包装基材10が所定の位置で曲がりにくく、包装後の形態に劣る。包装基材10の坪量が上記の数値範囲内であることにより、包装後の形態が良好で、トイレットロール11の不良品が出にくく、包装基材10が適度に接着されていて剥がしやすい包装体1を得ることができる。
なお、包装基材10の坪量は、JIS P 8124に準拠して測定することができるが、ホットメルト接着剤を塗布した接着部12を除いて測定する。
【0023】
(1)紙基材
紙基材は、木材パルプを主原料として製造される。ここでのパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプや、新聞紙、チラシ、更系雑誌、コート系雑誌、感熱記録紙、感圧記録紙、模造紙、色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙、あるいはこれらの混合古紙等の古紙パルプ等、従来において公知であるパルプを単独で、あるいは任意の配合率で混合したものを採用することができる。その中でも、クラフト紙が好ましい。
【0024】
本発明の包装体1の紙基材において、用いるパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ30重量%以上100重量%以下、広葉樹クラフトパルプ0重量%以上70重量%以下であることが好ましく、針葉樹クラフトパルプ50重量%以上100重量%以下、広葉樹クラフトパルプ0重量%以上50重量%以下であることがより好ましく、針葉樹クラフトパルプ70重量%以上100重量%以下、広葉樹クラフトパルプ0重量%以上30重量%以下であることが更に好ましい。上記のパルプ配合にすることで包装後の形態が良好で、トイレットロール11の不良品が出にくく、包装基材10が適度に接着されていて剥がしやすい包装体1を得ることができる。また、未晒パルプであることが好ましい。
【0025】
パルプスラリーには、パルプ繊維以外の材料を副資材として配合してもよい。包装体1においては、通常、パルプ繊維の含有割合を70重量%以上100重量%以下とすることが好ましく、80重量%以上100重量%以下とすることがより好ましく、90重量%以上100重量%以下とすることが更に好ましい。上記のパルプ含有量にすることで、包装後の形態が良好で、トイレットロール11の不良品が出にくく、包装基材10が適度に接着されていて剥がしやすい包装体1を得ることができる。
【0026】
なお、パルプ製造における蒸解方法や漂白方法は、特に限定されない。
【0027】
また、紙基材には、必要に応じて、一般的に用いられている各種添加剤、例えば、湿潤紙力向上剤、填料、サイズ剤、乾燥紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色顔料等を適宜、適量にて添加してもよい。
【0028】
湿潤紙力向上剤は、通常用いられる公知のものの中から選択して使用することができる。例えば、ポリアミド・ポリアミン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、メラミン系樹脂等から選択することが好ましい。このような湿潤紙力向上剤の配合量(絶乾状態での質量)は、通常、パルプ(絶乾状態での質量)に対して、湿潤紙力向上剤を0.01重量%以上0.7重量%以下、好ましくは0.02重量%以上0.5重量%以下、より好ましくは0.03重量%以上0.3重量%以下とすることが好ましい。湿潤紙力向上剤の配合量が0.7重量%を超えても、その配合量に見合う効果が得られにくくなり、その結果、コストアップとなり、また離解性が低下して、本発明の包装体1を後に再利用することが困難となる場合がある。また、湿潤紙力向上剤の配合量が0.01重量%未満では、十分な湿潤紙力が得にくいものとなり、水に濡れたときに破れやすく、包装体1としての機能に劣る場合がある。
【0029】
本発明の包装体1において、これらの原料を通常の抄紙工程により抄造して、包装基材10の紙基材を得ることができる。
【0030】
(2)他の層
本発明の包装基材10は、紙基材以外に、他の層を備えていてもよい。他の層としては、例えば、ヒートシール層、水蒸気バリア層、酸素バリア層、印刷層、印刷適性向上層、オーバープリント層、遮光層等が挙げられる。これら他の層は、例えば、紙基材の表面側又は裏面側に設けることができ、1層でもよく、2層以上であってもよい。
【0031】
(3)包装基材全体の物性
後述するように、本発明に係る包装体1の包装形式は種々あり、製造ライン方向(搬送方向;MD方向)からトイレットロール11を包むように包装する場合と、製造ライン方向と直交する幅方向(CD方向)からトイレットロール11を包むように包装する場合とがある。MD方向からトイレットロール11を包む場合、包装基材10のMD方向の引張強度は、2.5kN/m以上7.5kN/m以下であることが好ましく、3.3kN/m以上6.5kN/m以下であることがより好ましく、4.0kN/m以上5.8kN/m以下であることが更に好ましい。MD方向の引張強度が2.5kN/m未満であると、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる。MD方向の引張強度が7.5kN/mを超えると、包装する際に包装基材10が所定の位置で曲がりにくく、包装後の形態に劣る。
【0032】
CD方向からトイレットロール11を包む場合、包装基材10のCD方向の引張強度は、1.5kN/m以上5.0kN/m以下であることが好ましく、2.0kN/m以上4.2kN/m以下であることがより好ましく、2.5kN/m以上3.8kN/m以下であることが更に好ましい。CD方向の引張強度が1.5kN/m未満であると、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる。CD方向の引張強度が5.0kN/mを超えると、包装する際に包装基材10が所定の位置で曲がりにくく、包装後の形態に劣る。
包装基材10のMD方向及びCD方向の引張強度を上記の範囲内にすることで、包装後の形態が良好で、トイレットロール11の不良品が出にくく、包装基材10が適度に接着されていて剥がしやすい包装体1を得ることができる。包装基材10の引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定することができるが、ホットメルト接着剤を塗布した接着部12を除いて測定する。
【0033】
包装基材10の破裂強度は、120kPa以上430kPa以下であることが好ましく、150kPa以上370kPa以下であることがより好ましく、200kPa以上310kPa以下であることが更に好ましい。破裂強度が120kPa未満であると、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる。破裂強度が430kPaを超えると、包装する際に包装基材10が所定の位置で曲がりにくく、包装後の形態に劣る。包装基材10の破裂強度を上記の範囲内にすることで、包装後の形態が良好で、トイレットロール11の不良品が出にくく、包装基材10が適度に接着されていて剥がしやすい包装体1を得ることができる。
包装基材10の破裂強度は、JIS P 8112に準拠して測定することができるが、ホットメルト接着剤を塗布した接着部12を除いて測定する。
【0034】
MD方向からトイレットロール11を包む場合、包装基材10のMD方向の曲げこわさは、60μN・m以上900μN・m以下であることが好ましく、100μN・m以上700μN・m以下であることがより好ましく、200μN・m以上550μN・m以下であることが更に好ましい。MD方向の曲げこわさが60μN・m未満であると、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる。MD方向の曲げこわさが900μN・mを超えると、包装する際に包装基材10が所定の位置で曲がりにくく、包装後の形態に劣る。
【0035】
CD方向からトイレットロール11を包む場合、包装基材10のCD方向の曲げこわさは、30μN・m以上400μN・m以下であることが好ましく、40μN・m以上300μN・m以下であることがより好ましく、70μN・m以上240μN・m以下であることが更に好ましい。CD方向の曲げこわさが30μN・m未満であると、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる。CD方向の曲げこわさが400μN・mを超えると、包装する際に包装基材10が所定の位置で曲がりにくく、包装後の形態に劣る。
包装基材10のMD方向又はCD方向の曲げこわさが上記範囲内にあることで、包装後の形態が良好で、トイレットロール11の不良品が出にくく、包装基材10が適度に接着されていて剥がしやすい包装体1を得ることができる。また、必要とされる包装基材10のしなやかさと柔らかさが達成しやすくなる。
包装基材10の曲げこわさは、ISO 2493に準拠して測定することができるが、ホットメルト接着剤を塗布した接着部12を除いて測定する。なお、曲げこわさは、繊維の長軸方向に負荷がかかる場合において最も強くなるため、繊維配向比が1.0に近いと、MD方向の曲げこわさは小さく、CD方向の曲げこわさは大きくなる傾向がある。
【0036】
本発明の包装基材10の厚さは、50μm以上160μm以下であることが好ましく、70μm以上140μm以下であることがより好ましく、90μm以上120μm以下であることが更に好ましい。厚さが50μm未満であると、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる。厚さが160μmを超えると、包装する際に包装基材10が所定の位置で曲がりにくく、包装後の形態に劣る。包装基材10の厚さを上記の範囲内にすることで、包装後の形態が良好で、トイレットロール11の不良品が出にくく、包装基材10が適度に接着されていて剥がしやすい包装体1を得ることができる。
包装基材10の厚さは、JIS P 8118:1998に準拠して測定することができる。なお、加圧面の圧力条件は100kPaとする。
【0037】
包装基材10の密度は、0.50g/cm以上0.85g/cm以下であることが好ましく、0.55g/cm以上0.80g/cm以下であることがより好ましく、0.60g/cm以上0.75g/cm以下であることが更に好ましい。密度が0.50g/cm未満であると、包装基材10が厚くなりすぎて、包装基材10が所定の位置で曲がりにくく、包装後の形態に劣り、0.85g/cmを超えると、包装基材10が薄くなりすぎて、包装基材10が所定の位置で曲がりにくく、かつ、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる。
包装基材10の密度が上記範囲内にあることで、包装後の形態が良好で、トイレットロール11の不良品が出にくく、包装基材10が適度に接着されていて剥がしやすい包装体1を得ることができる。また、必要とされる包装基材10の強度、しなやかさと柔らかさが達成しやすい。包装基材10の密度は、JIS P 8118:1998に準拠して測定・算出することができるが、後述するホットメルト接着剤を塗布した接着部12を除いて測定する。
【0038】
3.トイレットロール
図3は、本発明の包装体1に包装されるトイレットロール11の配置の例を示す斜視図である。本発明の包装体1は、2個、4個又は6個のトイレットロール11を包装する。ロール数が6個を超えると、包装体1が重くなり、包装基材10が破れやすくなる。
【0039】
また、トイレットロール11が、その軸方向Lに垂直な方向に1列、2列又は3列で、かつ、2列又は3列である場合にいずれの列も両端面が揃うように並んでいるが、配置としては、図3(a)~(e)のいずれかの配置とすることが好ましく、図3(c)又は(d)の配置とすることがより好ましく、図3(c)の配置とすることが更に好ましい。ロールの列(横方向のロール数)が3列(3個)を超えると、包装体1のサイズが大きくなり、包装する際に包装基材10が所定の位置で曲がりにくく、包装後の形態に劣る。ロールの積み重なる個数(縦方向のロール数)が3個を超えると、包装体1のサイズが大きくなり、包装する際に包装基材10が所定の位置で曲がりにくく、包装後の形態に劣る。なお、各々の列の両端面は、各トイレットロール11のロール幅の変動等により数mmずれていてもよい。
【0040】
トイレットロール11のプライ数は、特に制限されないが、1プライ又は2プライであることが好ましく、2プライであることがより好ましい。
トイレットロール11の巻長は、2プライの場合は、35m以上103m以下であることが好ましく、40m以上95m以下であることがより好ましく、55m以上85m以下であることが更に好ましい。1プライの場合は、80m以上203m以下であることが好ましく、100m以上185m以下であることがより好ましく、120m以上173m以下であることが更に好ましい。2プライの場合に35m未満であるか、又は1プライの場合に80m未満であると、一定の巻直径、巻長にする場合、ロール密度が低くなり、包装後の形態に劣る。2プライの場合に103mを超えるか、又は1プライの場合に203mを超えると、一定の巻直径、巻長にする場合、ロール密度が高くなり、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる(トイレットロール11が固巻きになるため、跡が消えにくくなる)。
【0041】
また、トイレットロール11の巻直径は、105mm以上140mm以下であることが好ましく、110mm以上127mm以下であることがより好ましく、115mm以上122mm以下であることが更に好ましい。巻直径が105mm未満であると、一定の巻長、坪量にする場合、ロール密度が高くなり、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる(トイレットロール11が固巻きになるため、跡が消えにくくなる)。140mmを超えると、一定の巻長、坪量にする場合、ロール密度が低くなり、包装後の形態に劣る。
トイレットロール11の巻長及び巻直径を上記の範囲にすることで、所定のロール密度に調整しやすくなる。そして、包装基材10でトイレットロール11を包装する際、包装基材10が破れにくく、かつ、包装する際に所定の位置で曲がりやすくなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。
【0042】
トイレットロール11のコア(紙管)の外径は、25mm以上55mm以下であることが好ましく、30mm以上50mm以下であることがより好ましく、35mm以上45mm以下であることが更に好ましい。コアの外径が25mm未満であると、一定の巻直径、巻長、坪量にする場合、ロール密度が低くなり、包装後に形態が劣る。55mmを超えると、一定の巻直径、巻長、坪量にする場合、ロール密度が高くなり、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる(トイレットロール11が固巻きになるため、跡が消えにくくなる)。
【0043】
また、トイレットロール11の1プライ当たりの坪量は、2プライの場合は、12g/m以上18g/m以下であることが好ましく、13g/m以上17g/m以下であることがより好ましく、14g/m以上16g/m以下であることが更に好ましい。1プライの場合は、13g/m以上22g/m以下であることが好ましく、14g/m以上20g/m以下であることがより好ましく、15g/m以上18g/m以下であることが更に好ましい。2プライの場合に12g/m未満であるか、又は1プライの場合に13g/m未満であると、一定の巻直径、巻長にする場合、ロール密度が低くなり、包装後の形態に劣る。2プライの場合に18g/mを超えるか、又は1プライの場合に22g/mを超えると、一定の巻直径、巻長にする場合、ロール密度が高くなり、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる(トイレットロール11が固巻きになるため、跡が消えにくくなる)。
【0044】
さらに、トイレットロール11のコアを除いた1ロールにおける、ロール幅114mm当たりの重量は、120g以上370g以下であることが好ましく、135g以上330g以下であることがより好ましく、190g以上305g以下であることが更に好ましい。重量が120g未満であると、一定の巻直径にする場合、ロール密度が低くなり、包装後の形態に劣る。重量が370gを超えると、一定の巻直径にする場合、ロール密度が高くなり、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる(トイレットロール11が固巻きになるため、跡が消えにくくなる)。
トイレットロール11のコアの外径、坪量及び重量を上記の範囲にすることで、所定のロール密度に調整しやすくなる。そして、包装基材10でトイレットロール11を包装する際、包装基材10が破れにくく、かつ、包装する際に所定の位置で曲がりやすくなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。
【0045】
また、トイレットロール11のロール密度は、0.10g/cm以上0.33g/cm以下であり、0.12g/cm以上0.31g/cm以下であることが好ましく、0.18g/cm以上0.27g/cm以下であることがより好ましい。ロール密度が0.10g/cm未満であると、包装後の形態に劣る。ロール密度が0.33g/cmを超えると、トイレットロール11に接着部12の跡がつきやすくなる(トイレットロール11が固巻きになるため、跡が消えにくくなる)。トイレットロール11のロール密度を上記の範囲内にすることで、包装基材10が破れにくく、かつ、包装する際に所定の位置で曲がりやすくなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。
【0046】
なお、ロール密度は、コアを除く1個のトイレットロール11の底面積にロール幅(高さ)を乗じた値(すなわち、コアを除く1個のトイレットロール11の体積)を求め、コアを除く1個のトイレットロール11の質量をこの体積で除して求める。
例えば、ロール幅114mmあたりのロール重量(コアを除く)が201g、巻直径130mm、コアの外径が39mmの場合、ロール密度=201g÷[{3.14×(130mm÷2÷10)-3.14×(39mm÷2÷10)}×(114mm÷10)]=0.15g/cmとなる。
このとき、ロール密度の測定は、JIS P 8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行う。
【0047】
なお、トイレットロール11に用いるトイレットペーパー10枚分(1プライの場合は10枚、2プライの場合は5組分で10枚)の紙厚は0.4mm/10枚以上1.2mm/10枚以下であることが好ましく、0.5mm/10枚以上1.1mm/10枚以下であることがより好ましく、0.6mm/10枚以上0.9mm/10枚以下であることが更に好ましい。
紙厚は、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定する。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。また、測定を10回繰り返して測定結果を平均する。
【0048】
4.包装形式
本発明に係る包装体1の包装形式としては、キャラメル包装が好ましい。
【0049】
キャラメル包装とは、被包装物の一方向に沿って延びる包装基材を、この方向と平行な方向又は交差する方向に被包装物を巻き込み、又はあらかじめ筒状に形成された包装基材の軸方向の一端から被包装物を入れ、上述した接着部12を形成する。そして、被包装物の両端側からはみ出た包装基材のうち、対向する2つのフラップ状の辺を互いに折り畳み、次に別の対向する2つのフラップ状の辺を同様に互いに折り畳み、これら折り畳み部分を糊等の接着剤で封止する包装形式である。このキャラメル包装は、既知の装置を利用して行うことができる。なお、図1ではトイレットロール11の軸に平行な方向の両端にフラップを形成しているが、トイレットロール11の軸方向Lに垂直な方向の両端にフラップを形成してもかまわない。また、用いる接着剤としては接着部12と同様にホットメルト接着剤が好ましい。
【0050】
ある実施形態において、例えば、MD方向の曲げこわさが60μN・m以上900μN・m以下である包装基材10を用いる場合、本発明の包装体1は、例えば、包装基材10を連続シートの形態で搬送し、トイレットロール11を配置した後、搬送方向(製造ライン方向;MD方向)からトイレットロール11を包みながら包装し、搬送方向とは直交する幅方向(CD方向)から所定寸法にカットする場合、すなわち、包む方向(包装基材10の周長方向P)が包装基材10のMD方向である場合に、特に好適に適用される。包む方向をMD方向にすると、包装基材10が幅方向(CD方向)で適正に曲がりやすくなり、天面部と底面部でフラップを折り畳んで接着させる際に、包装しやすくなる。この場合、本発明の包装体1においては、包装形式として、キャラメル包装を選択することが好ましい。なお、包装基材10を所定の大きさに切断した後にトイレットロール11を配置してもよく、トイレットロール11を配置した後に包装基材10を所定の大きさに切断してもよい。
【0051】
別の実施形態において、例えば、CD方向の曲げこわさが30μN・m以上400μN・m以下である包装基材10を用いる場合、本発明の包装体1は、例えば、包装基材10を連続シートの形態で搬送し、トイレットロール11を配置した後、搬送方向(製造ライン方向;MD方向)と直交する幅方向(CD方向)からトイレットロール11を包みながら包装する場合、すなわち、包む方向が包装基材10のCD方向である場合に、特に好適に適用される。包む方向を包装基材10のCD方向にすると、包装基材10が包む方向で曲がりやすくなり、包装しやすくなる。なお、この場合も、包装基材10を所定の大きさに切断した後にトイレットロール11を配置してもよく、トイレットロール11を配置した後に包装基材10を所定の大きさに切断してもよい。
【0052】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが、当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例0053】
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0054】
実施例及び比較例において、作製した包装基材の物性値の測定は、次の方法で行った。
【0055】
(包装基材の坪量)
包装基材の坪量は、JIS P 8124に準拠して測定した。
【0056】
(包装基材の厚さ)
包装基材の厚さは、JIS P 8118:1998に準拠し、自動昇降式紙厚計スタンダードモデル TM-600(熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定した。加圧面の圧力条件は100kPaとした。
【0057】
(包装基材の密度)
包装基材の密度は、JIS P 8118:1998に準拠して測定・算出した。
【0058】
(包装基材のMD方向及びCD方向の引張強度)
包装基材のMD方向及びCD方向の引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定した。
【0059】
(包装基材のMD方向及びCD方向の曲げこわさの測定)
包装基材のMD方向及びCD方向の曲げこわさは、ISO 2493に記載された方法に準拠し、L&W ベンディングテスター(Lorentzen & Wettre社製)を用いて測定を行った。包装基材は、幅38mm、長さ100mmの試験片について、曲げ角度を15度、曲げ長(試料台のスパン)を10mmとしたときの測定値を曲げ抵抗(荷重)とし、次の算出式によって曲げこわさ(μN・m)を求めた。
曲げこわさ(μN・m)=60×曲げ抵抗(mN)×曲げ長10(mm)÷(π×曲げ角度15(°)×サンプル幅38(mm))
なお、長さ100mmの試験片を採取できない場合は、試験片の長さを短くすることができる。また、試験片は、ミシン目を含まないようにするが、試験片のサイズを確保する上でミシン目を含まなければならないときは、ミシン目を含んでもよい。
【0060】
(包装基材の破裂強度)
包装基材の破裂強度は、JIS P 8112に準拠して測定した。なお、熊谷理機工業株式会社製のミューレン破裂度試験機を用い、低圧用の測定条件で測定した。
【0061】
<実施例1>
(包装基材)
パルプ原料として針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)100重量%を用いた紙基材(クラフト紙)を用意し、それをそのまま包装基材とした。包装基材の坪量、厚さ、密度、MD方向及びCD方向の引張強度、破裂強度、並びにMD方向及びCD方向の曲げこわさを測定した結果を表1に示す。
【0062】
(トイレットロール)
また、表1に示す巻長、巻直径、プライ数、コアの外径、1プライ当たりの坪量、ロール幅114mm当たりの重量、及びロール密度であるトイレットロールを4個用意した。
【0063】
(トイレットロール包装体(キャラメル包装))
作製した包装基材を用いて、包装基材のMD方向650mm×包装基材のCD方向420mmから包装体を作製した。そして、この包装体の中に、トイレットロールを4個(縦2個×横2個)入れ、ゴム系のホットメルト接着剤を塗布してスパイラル形状の接着部を形成し、その後にキャラメル包装により密封して、トイレットロール包装体を得た。なお、MD方向からトイレットロールを包みながら包装する形式とした。また、接着部の幅は18mmであった。
【0064】
(包装後の形態(美粧性))
作製したトイレットロール包装体について、包装体の外観を目視で観察したときの形態の良さ(美粧性)をモニター30人で評価した。評価基準は以下のとおりである。
5:包装基材が弛んだり、所定の位置で曲がっていなかったりして、美粧性に劣ると感じた人が0~1人で、美粧性が顕著に良好であった。
4:包装基材が弛んだり、所定の位置で曲がっていなかったりして、美粧性に劣ると感じた人が2~3人で、美粧性が良好であった。
3:包装基材が弛んだり、所定の位置で曲がっていなかったりして、美粧性に劣ると感じた人が4~5人で、美粧性が概ね良好であった。
2:包装基材が弛んだり、所定の位置で曲がっていなかったりして、美粧性に劣ると感じた人が6~7人で、美粧性が問題なかった。
1:包装基材が弛んだり、所定の位置で曲がっていなかったりして、美粧性に劣ると感じた人が8~30人で、美粧性に劣った。
【0065】
(接着部の跡のつきにくさ)
作製したトイレットロール包装体について、接着部を別の包装体のトイレットロールに押し付けたときの接着部の跡のつきにくさをモニター30人で評価した。評価基準は以下のとおりである。
5:トイレットロールに接着部の跡がつきやすいと感じた人が0~1人で、跡のつきにくさが顕著に良好であった。
4:トイレットロールに接着部の跡がつきやすいと感じた人が2~3人で、跡のつきにくさが良好であった。
3:トイレットロールに接着部の跡がつきやすいと感じた人が4~5人で、跡のつきにくさが概ね良好であった。
2:トイレットロールに接着部の跡がつきやすいと感じた人が6~7人で、跡のつきにくさは問題なかった。
1:トイレットロールに接着部の跡がつきやすいと感じた人が8~30人で、跡のつきにくさに劣った。
【0066】
(接着部の適度な接着性)
作製したトイレットロール包装体について、包装基材を接着部から剥がしたときの接着部の接着性をモニター30人で評価した。評価基準は以下のとおりである。
5:接着部が弱すぎて剥がれやすい、又は接着部が強すぎて剥がしにくいと感じた人が0~1人で、接着性が顕著に良好であった。
4:接着部が弱すぎて剥がれやすい、又は接着部が強すぎて剥がしにくいと感じた人が2~3人で、接着性が良好であった。
3:接着部が弱すぎて剥がれやすい、又は接着部が強すぎて剥がしにくいと感じた人が4~5人で、接着性が概ね良好であった。
2:接着部が弱すぎて剥がれやすい、又は接着部が強すぎて剥がしにくいと感じた人が6~7人で、接着性に問題はなかった。
1:接着部が弱すぎて剥がれやすい、又は接着部が強すぎて剥がしにくいと感じた人が8~30人で、接着性に劣った。
【0067】
<実施例2>~<実施例58>、<比較例1>~<比較例4>
実施例2~58及び比較例1~4も実施例1と同様にして、表1~表4に示す物性を有する包装基材を作製し、これを用い、実施例1と同様にしてトイレットロール包装体(キャラメル包装)を作製して、包装後の形態、接着部の跡のつきにくさ及び接着部の適度な接着性を評価した。
結果を表1~表4に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
表1~4に示される結果から明らかなとおり、実施例1~58の包装体はいずれも包装後の形態に優れ、接着部の跡がつきにくく、接着部が適度に接着されて剥がしやすいものであった。それに対して、比較例1~4はいずれも包装後の形態に劣るか、接着部の跡がつきやすいか、接着部が剥がしにくいものであった。
よって、本発明の包装体は、少なくとも紙基材を含む包装基材でトイレットロールを包装し、ホットメルト接着剤で接着しても、包装後の形態が良好で、トイレットロールの不良品が出にくく、包装基材が適度に接着されていて剥がしやすいトイレットロール包装体を提供することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 包装体
10、20、30 包装基材
11、21、31 トイレットロール
12、22、32 接着部
h 包装体1の高さ方向
L トイレットロール11の軸方向
P 包装基材10の周長方向
BP、SP 接着部12の幅
図1
図2
図3
図4