(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048909
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20230331BHJP
B62M 6/50 20100101ALI20230331BHJP
B62J 45/41 20200101ALI20230331BHJP
【FI】
B62M6/45
B62M6/50
B62J45/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158491
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(72)【発明者】
【氏名】坂川 優希
(72)【発明者】
【氏名】中島 岳彦
(57)【要約】
【課題】人力駆動車に推進力を付与するモータを好適に制御できる人力駆動車用の制御装置を提供する。
【解決手段】人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車は、前記人力駆動車に推進力を付与するモータを含み、前記モータを制御するように構成される制御部を備え、前記制御部は、第1検出部によって取得される前記人力駆動車の前方における走行路の前方情報から、前記人力駆動車の前方における前記走行路の通過難易度を判定するように構成され、前記通過難易度が所定難易度よりも高い場合、前記通過難易度が前記所定難易度以下の場合とは異なるように前記モータを制御するように構成される、制御装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車は、前記人力駆動車に推進力を付与するモータを含み、
前記モータを制御するように構成される制御部を備え、
前記制御部は、
第1検出部によって取得される前記人力駆動車の前方における走行路の前方情報から、前記人力駆動車の前方における前記走行路の通過難易度を判定するように構成され、
前記通過難易度が所定難易度よりも高い場合、前記通過難易度が前記所定難易度以下の場合とは異なるように前記モータを制御するように構成される、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記走行路の路面状態に関する情報、障害物に関する情報、前記走行路のカーブに関する情報、および、前記走行路の傾斜角度に関する情報の少なくとも1つに応じて前記通過難易度を判定するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記路面状態に関する情報、前記障害物に関する情報、前記カーブに関する情報、および、前記傾斜角度に関する情報の少なくとも2つに応じて前記通過難易度を判定するように構成される、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記通過難易度は、前記走行路を通過するための前記人力駆動車の必要駆動力に応じた駆動力難易度を含み、
前記所定難易度は、所定駆動力難易度を含み、
前記制御部は、前記駆動力難易度が前記所定駆動力難易度よりも高い場合、前記駆動力難易度が前記所定駆動力難易度以下の場合とは異なるように前記モータを制御するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記駆動力難易度が前記所定駆動力難易度よりも高い場合、前記駆動力難易度が前記所定駆動力難易度以下の場合よりも前記モータによるアシストレベルを増加させるように構成される、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記通過難易度は、前記走行路を通過するための前記人力駆動車の操作難度に応じたテクニカル難易度を含み、
前記所定難易度は、所定テクニカル難易度を含み、
前記制御部は、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度よりも高い場合、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度以下の場合とは異なるように前記モータを制御するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度よりも高い場合、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度以下の場合よりも前記モータによるアシストレベルを減少させるように構成される、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記通過難易度は、前記走行路を通過するための前記人力駆動車の操作難度に応じたテクニカル難易度を含み、
前記所定難易度は、所定テクニカル難易度を含み、
前記制御部は、前記駆動力難易度が前記所定駆動力難易度よりも高く、かつ、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度よりも高い場合、前記駆動力難易度に応じて前記モータを制御するように構成される、請求項4または5に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記駆動力難易度が前記所定駆動力難易度以下であり、かつ、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度よりも高い場合、前記テクニカル難易度に応じて前記モータを制御するように構成される、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記人力駆動車に加えられる人力駆動力に応じた前記推進力になるように前記モータを制御するように構成され、
前記推進力を第1時間間隔にて判定するように構成され、
前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度よりも高い場合、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度以下の場合よりも前記第1時間を短くするように構成される、請求項7から9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記人力駆動車に加えられる人力駆動力に応じた前記推進力になるように前記モータを制御するように構成され、
前記推進力を第1時間間隔にて判定するように構成され、
前記通過難易度の判定結果に応じて、前記第1時間を変更するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記人力駆動車は、バッテリをさらに含み、
前記制御部は、前記バッテリの残量に応じて、前記第1時間を変更するように構成される、請求項10または11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記バッテリの残量が所定残量以下の場合、前記モータによるアシストレベルが所定アシストレベル以下になるように前記モータを制御するように構成される、請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、
第2検出部によって取得される前記人力駆動車の走行状態に関する情報に応じて、前記通過難易度が前記所定難易度よりも高い前記走行路を前記人力駆動車が通過したかどうかを判定するように構成され、
前記通過難易度が前記所定難易度よりも高い前記走行路を前記人力駆動車が通過したかどうかの判定結果に基づいて、前記モータを制御するように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記人力駆動車の前方において前記通過難易度が変化する場合、前記通過難易度が変化する地点までの距離に応じて、前記モータを制御するように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記人力駆動車が未舗装路を走行する場合、かつ、前記通過難易度が前記所定難易度よりも高い場合、前記通過難易度が前記所定難易度以下の場合とは異なるように前記モータを制御するように構成される、請求項1から15のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項17】
前記第1検出部は、撮像装置を含み、
前記前方情報は、前記撮像装置によって取得される前方画像を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示される人力駆動車用の制御装置は、人力駆動車の走行状態に応じて人力駆動車に推進力を付与するモータを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の人力駆動車用の制御装置においては、周辺環境については考慮されていない。
本開示の目的の1つは、人力駆動車に推進力を付与するモータを好適に制御できる人力駆動車用の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車は、前記人力駆動車に推進力を付与するモータを含み、前記モータを制御するように構成される制御部を備え、前記制御部は、第1検出部によって取得される前記人力駆動車の前方における走行路の前方情報から、前記人力駆動車の前方における前記走行路の通過難易度を判定するように構成され、前記通過難易度が所定難易度よりも高い場合、前記通過難易度が前記所定難易度以下の場合とは異なるように前記モータを制御するように構成される。
第1側面の制御装置によれば、人力駆動車の前方の走行路の通過難易度に応じてモータを好適に制御できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記制御部は、前記走行路の路面状態に関する情報、障害物に関する情報、前記走行路のカーブに関する情報、および、前記走行路の傾斜角度に関する情報の少なくとも1つに応じて前記通過難易度を判定するように構成される。
第2側面の制御装置によれば、走行路の路面状態に関する情報、障害物に関する情報、走行路のカーブに関する情報、および、走行路の傾斜角度に関する情報の少なくとも1つに応じた通過難易度によって、モータを好適に制御できる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記制御部は、前記路面状態に関する情報、前記障害物に関する情報、前記カーブに関する情報、および、前記傾斜角度に関する情報の少なくとも2つに応じて前記通過難易度を判定するように構成される。
第3側面の制御装置によれば、走行路の路面状態に関する情報、障害物に関する情報、走行路のカーブに関する情報、および、走行路の傾斜角度に関する情報の少なくとも2つに応じて判定される通過難易度によってモータを制御できる。
【0008】
本開示の第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面の制御装置において、前記通過難易度は、前記走行路を通過するための前記人力駆動車の必要駆動力に応じた駆動力難易度を含み、前記所定難易度は、所定駆動力難易度を含み、前記制御部は、前記駆動力難易度が前記所定駆動力難易度よりも高い場合、前記駆動力難易度が前記所定駆動力難易度以下の場合とは異なるように前記モータを制御するように構成される。
第4側面の制御装置によれば、駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高い場合のモータの制御を、駆動力難易度が所定駆動力難易度以下の場合のモータの制御と異なるようにできる。
【0009】
本開示の第4側面に従う第5側面の制御装置において、前記制御部は、前記駆動力難易度が前記所定駆動力難易度よりも高い場合、前記駆動力難易度が前記所定駆動力難易度以下の場合よりも前記モータによるアシストレベルを増加させるように構成される。
第5側面の制御装置によれば、駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高い場合のアシストレベルを、駆動力難易度が所定駆動力難易度以下の場合のアシストレベルよりも大きくできる。このため、駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高い場合に、人力駆動車の駆動力を大きくできるため、人力駆動車が走行路を通過しやすくなる。
【0010】
本開示の第1から第4側面のいずれか1つに従う第6側面の制御装置において、前記通過難易度は、前記走行路を通過するための前記人力駆動車の操作難度に応じたテクニカル難易度を含み、前記所定難易度は、所定テクニカル難易度を含み、前記制御部は、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度よりも高い場合、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度以下の場合とは異なるように前記モータを制御するように構成される。
第6側面の制御装置によれば、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合のモータの制御を、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度以下の場合のモータの制御と異なるようにできる。
【0011】
本開示の第6側面に従う第7側面の制御装置において、前記制御部は、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度よりも高い場合、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度以下の場合よりも前記モータによるアシストレベルを減少させるように構成される。
第7側面の制御装置によれば、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合のアシストレベルを、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度以下の場合のアシストレベルよりも小さくできる。このため、駆動力難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合に、ライダが細やかな操作を行いやすくなるため、人力駆動車が走行路を通過しやすくなる。
【0012】
本開示の第4または第5側面に従う第8側面の制御装置において、前記通過難易度は、前記走行路を通過するための前記人力駆動車の操作難度に応じたテクニカル難易度を含み、前記所定難易度は、所定テクニカル難易度を含み、前記制御部は、前記駆動力難易度が前記所定駆動力難易度よりも高く、かつ、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度よりも高い場合、前記駆動力難易度に応じて前記モータを制御するように構成される。
第8側面の制御装置によれば、駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高く、かつ、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合、テクニカル難易度よりも駆動力難易度を優先してモータを制御できる。
【0013】
本開示の第8側面に従う第9側面の制御装置において、前記制御部は、前記駆動力難易度が前記所定駆動力難易度以下であり、かつ、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度よりも高い場合、前記テクニカル難易度に応じて前記モータを制御するように構成される。
第9側面の制御装置によれば、駆動力難易度が所定駆動力難易度以下であり、かつ、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合、駆動力難易度よりもテクニカル難易度を優先してモータを制御できる。
【0014】
本開示の第7から第9側面のいずれか1つに従う第10側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車に加えられる人力駆動力に応じた前記推進力になるように前記モータを制御するように構成され、前記推進力を第1時間間隔にて判定するように構成され、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度よりも高い場合、前記テクニカル難易度が前記所定テクニカル難易度以下の場合よりも前記第1時間を短くするように構成される。
第10側面の制御装置によれば、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度以下の場合よりも細かくモータの推進力を判定できる。
【0015】
本開示の第1から第9側面のいずれか1つに従う第11側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車に加えられる人力駆動力に応じた前記推進力になるように前記モータを制御するように構成され、前記推進力を第1時間間隔にて判定するように構成され、前記通過難易度の判定結果に応じて、前記第1時間を変更するように構成される。
第11側面の制御装置によれば、通過難易度の判定結果に応じて、異なる第1時間間隔によってモータの推進力を判定できる。
【0016】
本開示の第10または第11側面に従う第12側面の制御装置において、前記人力駆動車は、バッテリをさらに含み、前記制御部は、前記バッテリの残量に応じて、前記第1時間を変更するように構成される。
第12側面の制御装置によれば、バッテリの残量に応じて、異なる第1時間によってモータの推進力を判定できる。
【0017】
本開示の第12側面に従う第13側面の制御装置において、前記制御部は、前記バッテリの残量が所定残量以下の場合、前記モータによるアシストレベルが所定アシストレベル以下になるように前記モータを制御するように構成される。
第13側面の制御装置によれば、バッテリの残量が所定残量以下の場合、モータによるアシストレベルを所定アシストレベル以下になるようにモータを制御するため、バッテリの残量に応じてバッテリの消費を抑制できる。
【0018】
本開示の第1から第13側面のいずれか1つに従う第14側面の制御装置において、前記制御部は、第2検出部によって取得される前記人力駆動車の走行状態に関する情報に応じて、前記通過難易度が前記所定難易度よりも高い前記走行路を前記人力駆動車が通過したかどうかを判定するように構成され、前記通過難易度が前記所定難易度よりも高い前記走行路を前記人力駆動車が通過したかどうかの判定結果に基づいて、前記モータを制御するように構成される。
第14側面の制御装置によれば、第2検出部によって取得される人力駆動車の走行状態に関する情報によって通過難易度が所定難易度よりも高い走行路を人力駆動車が通過したかどうかの判定結果に基づいてモータを制御できる。
【0019】
本開示の第1から第14側面のいずれか1つに従う第15側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の前方において前記通過難易度が変化する場合、前記通過難易度が変化する地点までの距離に応じて、前記モータを制御するように構成される。
第15側面の制御装置によれば、人力駆動車の前方において通過難易度が変化する場合、通過難易度が変化する地点までの距離に応じて、モータを制御できる。
【0020】
本開示の第1から第15側面に従う第16側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車が未舗装路を走行する場合、かつ、前記通過難易度が前記所定難易度よりも高い場合、前記通過難易度が前記所定難易度以下の場合とは異なるように前記モータを制御するように構成される。
第16側面の制御装置によれば、未舗装路において、通過難易度が所定難易度よりも高い場合のモータの制御と、未舗装路において、通過難易度が所定難易度以下の場合のモータの制御と、が異なるようにできる。
【0021】
本開示の第1から第16側面のいずれか1つに従う第17側面の制御装置において、前記第1検出部は、撮像装置を含み、前記前方情報は、前記撮像装置によって取得される前方画像を含む。
第17側面の制御装置によれば、前方画像によって通過難易度を好適に判定できる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車に推進力を付与するモータを好適に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の側面図である。
【
図2】
図1の人力駆動車用の制御装置と人力駆動車用のコンポーネントの電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2の人工知能処理部に含まれる学習モデルの模式図である。
【
図4】
図2の制御部によって実行されるモータを制御する処理を示すフローチャートである。
【
図5】第2実施形態の制御部によって実行されるモータを制御する処理を示すフローチャートである。
【
図6】第3実施形態の制御部によって実行されるモータを制御する処理を示すフローチャートである。
【
図7】変形例の制御部によって実行されるモータを制御する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
図1から
図4を参照して、人力駆動車用の制御装置70が説明される。人力駆動車は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車は、例えば1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車を電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車として説明する。
【0025】
人力駆動車10は、車体12、クランク14、および、少なくとも1つの車輪16を備える。車体12は、フレーム18を含む。クランク14は、クランク軸20、クランクアーム22、および、ペダル24を含む。クランク軸20は、フレーム18に対して回転可能にフレーム18に設けられる。クランク軸20の両端には、クランクアーム22がそれぞれ設けられる。クランクアーム22の一方の端部は、クランク軸20のそれぞれの端部に連結する。ペダル24は、クランクアーム22の他方の端部に連結する。ペダル24に人力駆動力が入力されると、クランク14が回転する。
【0026】
少なくとも1つの車輪16は、前輪16F、および、後輪16Rを含む。前輪16F、および、後輪16Rは、フレーム18にそれぞれ支持される。本実施形態では、後輪16Rは、駆動機構26によって、クランク14に連結される。例えば、後輪16Rは、クランク14が回転することによって駆動される。
【0027】
駆動機構26は、第1回転体28、第2回転体30、および、連結部材32を含む。例えば、第1回転体28は、フロントスプロケットを含む。例えば、第1回転体28は、プーリ、または、ベベルギアを含んでいてもよい。第1回転体28は、クランク軸20と一体回転するように連結されてもよく、第1ワンウェイクラッチに仲介されて連結されてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク14を人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合に、第1回転体28を前転させる。第1ワンウェイクラッチは、クランク14を人力駆動車10が前進する方向と反対に回転させた場合に、クランク14と第1回転体28との相対回転を許容するように構成される。第1ワンウェイクラッチは、例えば、ローラクラッチ、スプラグ式クラッチ、および、爪式クラッチの少なくとも1つを含む。
【0028】
第2回転体30は、後輪16Rに連結される。例えば、第2回転体30は、リアスプロケットを含む。第2回転体30は、プーリ、または、ベベルギアを含んでいてもよい。例えば、第2回転体30と後輪16Rとの間には、第2ワンウェイクラッチが設けられる。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体30を人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合に、後輪16Rを前転させる。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体30を人力駆動車10が前進する方向と反対に回転させた場合に、第2回転体30と後輪16Rとの相対回転を許容するように構成される。連結部材32は、第1回転体28、および、第2回転体30に係合し、第1回転体28の回転力を第2回転体30に伝達する。第2ワンウェイクラッチは、例えば、ローラクラッチ、スプラグ式クラッチ、および、爪式クラッチの少なくとも1つを含む。連結部材32は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0029】
本実施形態では、第1回転体28と、クランク軸20とは、同軸に配置される。第1回転体28と、クランク軸20とは、同軸に配置されなくてもよい。第1回転体28と、クランク軸20とが同軸に配置されない場合、第1回転体28と、クランク軸20とは、第1伝達機構に仲介されて、接続される。第1伝達機構は、ギア、プーリ、チェーン、シャフト、および、ベルトの少なくとも1つを含む。本実施形態では、第2回転体30と、後輪16Rとは、同軸に配置される。第2回転体30と、後輪16Rとは、同軸に配置されなくてもよい。第2回転体30と、後輪16Rとが同軸に配置されない場合、第2回転体30と、後輪16Rとは、第2伝達機構に仲介されて、接続される。第2伝達機構は、ギア、プーリ、チェーン、シャフト、および、ベルトの少なくとも1つを含む。
【0030】
フレーム18には、フロントフォーク34が取り付けられる。フロントフォーク34には、前輪16Fが取り付けられる。フロントフォーク34には、ステム36が取り付けられる。ステム36には、ハンドルバー38が連結される。本実施形態では、後輪16Rが駆動機構26によってクランク14に連結されるが、後輪16Rおよび前輪16Fの少なくとも1つが、駆動機構26によってクランク14に連結されてもよい。
【0031】
人力駆動車10は、人力駆動車10に推進力を付与するモータ40を含む。モータ40は、1または複数の電気モータを含む。モータ40に含まれる電気モータは、例えば、ブラシレスモータである。モータ40は、人力駆動車10のフレーム18に設けられる。モータ40は、連結部材32を駆動するように構成される。例えば、モータ40は、第1回転体28に仲介されて連結部材32を駆動する。例えば、モータ40は、クランク14に入力される人力駆動力に応じて、人力駆動車10に推進力を付与するように構成される。例えば、モータ40は、ペダル24から後輪16Rまでの人力駆動力の動力伝達経路にアシスト力を伝達するように構成される。例えば、モータ40は、第1回転体28に回転力を伝達するように構成される。
【0032】
人力駆動車10は、モータ40が収容されるハウジングをさらに含む。例えば、ハウジングは、フレーム18に取り付けられる。モータ40およびハウジングを含んで、ドライブユニット42が構成される。ハウジングは、クランク軸20を回転可能に支持する。例えば、モータ40は、連結部材32に直接回転力を伝達するように構成されてもよい。例えば、この場合、モータ40の出力軸、または、モータ40の出力軸の力が伝達される伝達部材に連結部材32と係合するスプロケットが設けられる。
【0033】
モータ40と人力駆動力の動力伝達経路との間には、減速機が設けられてもよい。減速機は、例えば、複数の歯車を含んで構成される。例えば、モータ40と人力駆動力の動力伝達経路との間には、第3ワンウェイクラッチが設けられてもよい。例えば、第3ワンウェイクラッチは、クランク14を人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合に、クランク14の回転力がモータ40に伝達することを抑制するように構成される。第3ワンウェイクラッチは、例えば、ローラクラッチ、スプラグ式クラッチ、および、爪式クラッチの少なくとも1つを含む。
【0034】
ドライブユニット42は、出力部を含む。出力部は、例えば、クランク軸20と、減速機とに連結される。出力部には、クランク14に入力される人力駆動力とモータ40の回転力とが入力される。第1回転体28は、出力部と一体回転するように出力部に連結される。
【0035】
人力駆動車10は、人力駆動車用の制御装置70を含む。例えば、制御装置70はドライブユニット42のハウジングに設けられる。制御装置70は、フレーム18に設けられてもよい。制御装置70は、制御部72を備える。制御部72は、モータ40を制御するように構成される。制御部72は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。制御部72に含まれる演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部72に含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部72は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0036】
好ましくは、制御装置70は、記憶部74をさらに含む。記憶部74には、制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部74は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0037】
例えば、制御装置70は、モータ40の駆動回路76をさらに備える。例えば、制御部72、および、駆動回路76は、ドライブユニット42のハウジングに設けられる。制御部72、および、駆動回路76は、例えば同一の回路基板に設けられてもよい。駆動回路76は、インバータ回路を含む。駆動回路76は、バッテリ44からモータ40に供給される電力を制御する。駆動回路76は、導電線、電気ケーブルまたは無線通信装置などによって制御部72と接続される。駆動回路76は、制御部72からの制御信号に応じてモータ40を駆動させる。
【0038】
人力駆動車10は、バッテリ44をさらに含む。バッテリ44は、制御部72に電力を供給する。例えば、バッテリ44は、フレーム18に設けられる。バッテリ44は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。バッテリ44は、制御部72に電力を供給するように構成される。バッテリ44は、制御部72と電気ケーブルまたは無線通信装置を介して通信可能に接続される。バッテリ44は、例えば電力線通信(PLC;Power Line Communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって制御部72と通信可能である。
【0039】
人力駆動車10は、第1検出部46をさらに含む。例えば、第1検出部46は、撮像装置48を含む。撮像装置48は、人力駆動車10の前方画像を取得する。例えば、撮像装置48は、フレーム18、または、ハンドルバー38に設けられる。撮像装置48は、ライダに設けられてもよい。例えば、撮像装置48がライダに設けられる場合、撮像装置48は、ライダが着用するヘルメットに設けられる。
【0040】
例えば、撮像装置48は、カメラを含む。撮像装置48は、前方画像のみを撮影可能なものであってもよい。撮像装置48は、前方画像以外の周辺画像を同時に撮影可能なものであってもよい。撮像装置48は、人力駆動車10の周囲において全周を撮影可能なものであってもよい。撮像装置48は、無線通信装置、および、電気ケーブルの少なくとも1つによって制御部72と通信可能に構成される。撮像装置48は、撮影した前方画像を、制御部72に送信するように構成される。
【0041】
人力駆動車10は、第2検出部50をさらに含む。例えば、第2検出部50は、車速センサ52、クランク回転センサ54、人力駆動力検出部56、および、傾斜検出部58の少なくとも1つを含む。車速センサ52は、人力駆動車10の車速に関する情報を検出するように構成される。車速センサ52は、無線通信装置、および、電気ケーブルの少なくとも1つによって制御部72と通信可能に構成される。本実施形態では、車速センサ52は、人力駆動車10の少なくとも1つの車輪16の回転速度に関する情報を検出するように構成される。車速センサ52は、車輪16の回転速度に応じた信号を出力する。制御部72は、車輪16の回転速度に応じた信号と、車輪16の周長に関する情報とに基づいて人力駆動車10の車速を算出できる。記憶部74には車輪16の周長に関する情報が記憶される。
【0042】
例えば、車速センサ52は、リードスイッチを構成する磁性リード、または、ホール素子などの磁気センサを含む。例えば、車速センサ52は、フレーム18のチェーンステイに取り付けられ、後輪16Rに取り付けられる磁石を検出するように構成される。例えば、車速センサ52は、フロントフォーク34に設けられ、前輪16Fに取り付けられる磁石を検出するように構成されてもよい。本実施形態において、車速センサ52は、車輪16が1回転した場合に、リードスイッチが磁石を1回検出するように構成される。車速センサ52は、人力駆動車10の車速に関する情報を取得できればどのような構成であってもよい。
【0043】
車速センサ52は、車輪16に設けられる磁石を検出する構成に限定されない。例えば、車速センサ52は、センサリングに設けられるスリットを検出するように構成されてもよい。センサリングは、車輪16と一体となって回転する部材である。例えば、車速センサ52は、光学センサなどを含んで構成されてもよい。例えば、車速センサ52は、GPS(Global Positioning System)受信機を含んで構成されてもよい。車速センサ52がGPS受信器を含む場合、制御部72は、時間と移動距離とに応じて車速を算出できる。
【0044】
クランク回転センサ54は、クランク14の回転速度に関する情報を検出するように構成される。クランク回転センサ54は、無線通信装置、および、電気ケーブルの少なくとも1つによって制御部72と通信可能に構成される。クランク回転センサ54は、例えば、人力駆動車10のフレーム18またはドライブユニット42に設けられる。クランク回転センサ54は、ドライブユニット42のハウジングに設けられてもよい。クランク回転センサ54は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石は、クランク軸20、クランク軸20に連動して回転する部材、または、クランク14から第1回転体28までの間の動力伝達経路に設けられる。クランク軸20に連動して回転する部材は、モータ40の出力軸を含んでもよい。
【0045】
クランク回転センサ54は、クランク14の回転速度に応じた信号を出力する。例えば、クランク14と第1回転体28との間に第1ワンウェイクラッチが設けられない場合、磁石は、第1回転体28に設けられてもよい。クランク回転センサ54は、クランク14の回転速度に関する情報を取得できればどのような構成であってもよい。クランク回転センサ54は、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、または、トルクセンサなどを含んでいてもよい。
【0046】
人力駆動力検出部56は、人力駆動力に関する情報を検出するように構成される。人力駆動力検出部56は、無線通信装置、および、電気ケーブルの少なくとも1つによって制御部72と通信可能に構成される。例えば、人力駆動力検出部56は、人力駆動車10のフレーム18、ドライブユニット42、クランク14、または、ペダル24に設けられる。人力駆動力検出部56は、ドライブユニット42のハウジングに設けられてもよい。
【0047】
人力駆動力検出部56は、例えば、トルクセンサを含む。トルクセンサは、人力駆動力によってクランク14に与えられるトルクに応じた信号を出力するように構成される。例えば、トルクセンサは、クランク14と第1回転体28との間に第1ワンウェイクラッチが設けられる場合、クランク14から第1回転体28までの間の動力伝達経路の第1ワンウェイクラッチよりも上流側に設けられる。トルクセンサは、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。
【0048】
トルクセンサは、クランク14から第1回転体28までの間の動力伝達経路、または、クランク14から第1回転体28までの間の動力伝達経路に含まれる部材の近傍に設けられる。例えば、クランク14から第1回転体28までの間の動力伝達経路に含まれる部材は、クランク軸20、クランクアーム22、ペダル24、または、クランク14と第1回転体28との間において人力駆動力を伝達する部材である。人力駆動力検出部56は、人力駆動力に関する情報を取得できればどのような構成であってもよい。例えば、人力駆動力検出部56は、ペダル24に与えられる圧力を検出するセンサ、または、チェーンの張力を検出するセンサなどを含んでいてもよい。
【0049】
傾斜検出部58は、人力駆動車10の傾斜に関する情報を検出するように構成される。例えば、傾斜検出部58は、ジャイロセンサまたは加速度センサを含む。例えば、傾斜検出部58は、GPS受信部を含んでいてもよい。制御部72は、GPS受信部によって取得したGPS情報と、記憶部74に予め記録している地図情報に含まれる路面勾配とに応じて、人力駆動車10の走行する路面の傾斜角度を演算してもよい。
【0050】
制御部72は、例えば、人力駆動力検出部56の出力に応じて人力駆動力の低下を判定してもよい。制御部72が人力駆動力検出部56の出力に応じて人力駆動力の低下を判定する場合、制御部72は、例えば、所定周期において人力駆動力の検出値を取得し、前回検出された検出値と、今回検出された検出値とを比較する。制御部72は、今回検出された検出値が、前回検出された検出値よりも小さい場合、人力駆動力が低下したと判定する。制御部72は、今回検出された検出値が、複数回連続して、前回検出された検出値よりも小さい場合、人力駆動力が低下したと判定してもよい。例えば、所定周期は、クランク14が5度回転する期間よりも短い。人力駆動力は、トルクによって表されてもよく、仕事率によって表されてもよい。
【0051】
例えば、制御部72は、人力駆動車10の車速、クランク14の回転速度、および、人力駆動力の少なくとも1つに応じてモータ40を制御する。例えば、制御部72は、人力駆動車10に加えられる人力駆動力に応じた推進力になるようにモータ40を制御するように構成される。
【0052】
例えば、制御部72は、モータ40によるアシストレベルが所定のアシストレベルになるようにモータ40を制御する。例えば、アシストレベルは、人力駆動力に対するモータ40によるアシスト力の比率、モータ40の出力の上限値、人力駆動力が低下する場合におけるモータ40の出力変化の規制レベル、人力駆動力が増加する場合におけるモータ40の出力の増加速度、および、モータ40の出力の少なくとも1つを含む。
【0053】
人力駆動力に対するモータ40によるアシスト力の比率を、アシスト比率と記載する場合がある。制御部72は、例えば、人力駆動力に対して、モータ40によるアシスト力が所定比率になるように、モータ40を制御するように構成されてもよい。人力駆動力は、ユーザがクランク14を回転させることによって発生する人力駆動車10の推進力に対応する。アシスト力は、モータ40の回転によって発生する人力駆動車10の推進力に対応する。所定比率は、一定でなくてもよい。例えば、所定比率は、人力駆動力に応じて変化してもよく、クランク14の回転速度に応じて変化してもよく、人力駆動車10の車速に応じて変化してもよい。例えば、所定比率は、人力駆動力、クランク14の回転速度、および、人力駆動車10の車速のうちのいずれか2つ、または、全てに応じて変化してもよい。
【0054】
人力駆動力およびアシスト力をトルクによって表わす場合、人力駆動力を人力トルクと記載し、アシスト力をアシストトルクと記載する。人力駆動力およびアシスト力を仕事率によって表わす場合、人力駆動力を人力仕事率と記載し、アシスト力をアシスト仕事率と記載する。人力駆動力に対するモータ40によるアシスト力の比率は、人力駆動車10の人力トルクに対するアシストトルクのトルク比率であってもよく、人力仕事率に対するモータ40によるアシスト仕事率の比率であってもよい。
【0055】
本実施形態のドライブユニット42では、クランク14が減速機または増速機を介さずに第1回転体28に接続され、かつ、モータ40の出力が第1回転体28に入力される。本実施形態において、人力駆動力は、ユーザがクランク14を回転させることによって第1回転体28に入力される駆動力に対応する。本実施形態において、アシスト力は、モータ40が回転することによって第1回転体28に入力される駆動力に対応する。モータ40の出力が減速機を介して第1回転体28に入力される場合は、アシスト力は、減速機の出力に対応する。
【0056】
制御部72は、アシスト力がモータ40の出力の上限値以下になるようにモータ40を制御するように構成される。モータ40の出力が第1回転体28に入力され、かつ、アシスト力がトルクによって表される場合、制御部72は、アシストトルクがモータ40の出力トルクの上限値以下になるようにモータ40を制御するように構成される。例えば、モータ40の出力トルクの上限値は、20Nm以上200Nm以下の範囲の値である。モータ40の出力が第1回転体28に入力され、かつ、アシスト力が仕事率によって表される場合、制御部72は、アシスト仕事率がモータ40の仕事率の上限値以下になるようにモータ40を制御するように構成される。
【0057】
例えば、制御部72は、モータ40の出力変化の規制レベルを変更可能に構成される。モータ40の出力変化の規制レベルが大きくなるほど、モータ40の制御パラメータの単位時間当たりの変化量に対するモータ40の出力の単位時間当たりの変化量が減少する。モータ40の出力変化の規制レベルが小さくなるほど、モータ40の制御パラメータの単位時間当たりの変化量に対するモータ40の出力の単位時間当たりの変化量が増加する。
【0058】
本実施形態において、モータ40の制御パラメータは、人力駆動力に対応する。モータ40の制御パラメータは、クランク14の回転速度に対応してもよい。例えば、モータ40の出力変化の規制レベルは、人力駆動力またはクランク14の回転速度が減少する場合における規制レベルに対応する。モータ40の出力変化の規制レベルは、モータ40の応答速度に反比例する。モータ40の応答速度は、モータ40の制御パラメータの単位時間当たりの変化量に対するモータ40の出力の単位時間当たりの変化量によって表される。モータ40の出力変化の規制レベルが増加すると、モータ40の応答速度は減少する。
【0059】
制御部72は、例えば、フィルタ回路によってモータ40の出力変化の規制レベルを変更する。フィルタ回路は、例えば、時定数を有するローパスフィルタを含む。制御部72は、フィルタの時定数を変更することによってモータ40の出力変化の規制レベルを変更する。制御部72は、人力駆動力からモータ40の出力を算出するためのゲインを変更することによってモータ40の出力変化の規制レベルを変更するようにしてもよい。フィルタ回路は、例えば、演算処理装置において所定のソフトウェアを実行することによって構成される。
【0060】
例えば、制御部72は、走行路の通過難易度に応じてモータ40を制御するように構成される。例えば、制御部72は、第1検出部46によって取得される人力駆動車10の前方における走行路の前方情報から、人力駆動車10の前方における走行路の通過難易度を判定するように構成される。前方情報は、撮像装置48によって取得される前方画像を含む。前方画像は、人力駆動車10の前方画像であってもよく、人力駆動車10の下方の画像であってもよく、人力駆動車10の周辺の画像であってもよい。
【0061】
例えば、制御部72は、走行路の路面状態に関する情報、障害物に関する情報、走行路のカーブに関する情報、および、走行路の傾斜角度に関する情報の少なくとも1つに応じて通過難易度を判定するように構成されてもよい。例えば、制御部72は、路面状態に関する情報、障害物に関する情報、カーブに関する情報、および、傾斜角度に関する情報の少なくとも2つに応じて通過難易度を判定するように構成されてもよい。例えば、傾斜角度に関する情報のみに応じて通過難易度が判定される場合、傾斜角度に関する情報は、単純な登坂に関する情報を含まない。単純な登坂に関する情報に応じた通過難易度の判定は、例えば、走行路が上り坂であるか否かのみ、または、走行路の傾斜角度が所定角度以上か否かのみに基づいた判定である。所定角度は、公道には含まれないような急な傾斜角度と対応する。例えば、傾斜角度に関する情報のみに応じて通過難易度が判定される場合、傾斜角度に関する情報は、例えば、公道には含まれないような急な坂に関する情報を含む。
【0062】
例えば、通過難易度は、走行路を通過するための人力駆動車10の必要駆動力に応じた駆動力難易度を含む。所定難易度は、所定駆動力難易度を含む。例えば、通過難易度は、走行路を通過するための人力駆動車10の操作難度に応じたテクニカル難易度を含む。所定難易度は、所定テクニカル難易度を含む。
【0063】
例えば、制御部72は、人工知能処理部78を備える。例えば、人工知能処理部78は、前方画像から走行路の通過難易度を判定するように構成される。例えば、人工知能処理部78は、演算処理装置を含む。例えば、記憶部74は、ソフトウェアを記憶し、演算処理装置は、記憶部74に記憶されているソフトウェアを実行する。演算処理装置は、例えばCPUまたはMPUを含む。演算処理装置は、CPUまたはMPUに加えて、GPU(Graphics Processing Unit)を含む。演算処理装置は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでいてもよい。人工知能処理部78は、1または複数の演算処理装置を含んでいてもよい。人工知能処理部78は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。
【0064】
例えば、記憶部74は、制御プログラム、学習プログラム、および、学習モデルを記憶する。学習モデルは、所定の学習アルゴリズムによって学習された学習済みのモデルであってもよく、学習アルゴリズムによって更新されるよう構成されるものであってもよい。学習アルゴリズムは、機械学習、深層学習、または、深層強化学習を含む。例えば、学習アルゴリズムは、教師あり学習、教師なし学習、および、強化学習の少なくとも1つを含む。学習アルゴリズムは、人工知能の分野に属する手法を用いて学習モデルを更新させるように構成されていれば、本明細書に記載されている手法以外の手法を用いてもよい。例えば、学習モデルを更新させるための学習処理は、GPUによって行われる。学習アルゴリズムは、ニューラルネットワーク(NN;Neural Network)を用いてもよい。学習アルゴリズムは、リカレントニューラルネットワーク(RNN;Recurrent Neural Network)を用いてもよい。
【0065】
例えば、人力駆動車10は、記憶部74とは別に記憶装置を備えていてもよい。記憶装置は、人力駆動車10の外部に設けられてもよい。記憶装置は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。人力駆動車10が記憶装置を含む場合、ソフトウェア、制御プログラム、学習プログラム、および、学習モデルなどは、記憶装置に記憶されてもよい。
【0066】
図3に示されるように、人工知能処理部78の学習モデルの一例は、入力層80、中間層82、および、出力層84を含む。入力層80には、入力情報が入力される。学習モデルは、入力層80に情報が入力されると、出力層84から出力情報を出力するように予め学習される。中間層82は、教師データを用いることによって、入力層80に入力される情報と、出力層84が出力する出力情報との関係を学習する。
【0067】
例えば、学習モデルは、外部装置によって更新可能に構成されてもよい。外部装置は、例えばスマートフォンまたはパソコンである。例えば、学習モデルが外部装置によって更新可能な場合、外部装置は、中間層82の畳み込み層86、プーリング層88、および、全結合層90の数を更新可能である。例えば、学習モデルが外部装置によって更新可能な場合、外部装置は、入力層80に入力される入力情報と、出力層84が出力する出力情報と、の間の中間層82が学習する関係を、更新可能である。
【0068】
例えば、人工知能処理部78には、前方情報として、前方画像が入力される。例えば、人工知能処理部78は、前方画像に基づいて推定走行路を出力するように構成される。例えば、人工知能処理部78は、前方画像に基づいて人力駆動車10が走行可能な推定走行路、または、ライダが走行しようとする可能性が高い推定走行路を出力する。例えば、人工知能処理部78は、前方画像に基づいて推定走行路の状態を出力する。人工知能処理部78は、前方画像に基づいて推定走行路にカーブ、段差、傾斜、および、障害物の少なくとも1つがあるか否かの状態を出力する。人工知能処理部78は、前方画像が入力されると、前方画像の特徴量に基づいて、推定走行路を出力するように構成される。例えば、人工知能処理部78は、前方画像を画像処理することによって、推定走行路を出力する。例えば、人工知能処理部78は、前方画像をエッジ検出することによって推定走行路を出力する。
【0069】
例えば、人工知能処理部78は、前方情報に基づいて走行路上の対象物を特定する。人工知能処理部78は、対象物に基づいて推定走行路を取得するように構成される。例えば、人工知能処理部78は、前方画像をエッジ検出し、検出されたエッジを対象物として特定する。例えば、対象物は、前方画像における特徴的な部分である。例えば、対象物は、周囲の地表面と異なる特徴的な地表面、樹木、岩石、および、人工物の少なくとも1つの輪郭を含む。
【0070】
例えば、人工知能処理部78は、対象物に基づいて前方情報における走行路である領域と走行路ではない領域との境界Bを特定する。人工知能処理部78は、前方情報における走行路である領域と走行路ではない領域との境界Bに基づいて推定走行路を取得するように構成される。例えば、前方画像における走行路である領域とは、前方画像のうちの地表面であって走行に適した領域を含む。例えば、走行に適した領域は、平坦な土の路面、および、平坦な舗装路を含む。
【0071】
例えば、前方画像における走行路ではない領域とは、前方画像のうちの地表面ではない領域、および、前方画像のうちの地表面であって走行に適しない領域を含む。例えば、地表面ではない領域は、水面、空、および、空間を含む。例えば、走行に適していない領域は、緑地、走破不可能な斜面、および、崖を含む。例えば、走行に適していない領域は、平坦ではない土の路面、および、平坦ではない舗装路を含む。例えば、人工知能処理部78によって取得される推定走行路は、人力駆動車10の走行方向と直交する水平方向において幅を有する。例えば、人工知能処理部78は、人力駆動車10によって通過できない障害物がある場合、その部分を推定走行路として特定しない。
【0072】
例えば、人工知能処理部78は、地表面が平坦な土の領域と、地表面が緑地の領域と、を、色彩で判断する。例えば、人工知能処理部78は、前方画像に地表面が平坦な土の領域と、地表面が緑地の領域と、が隣接する場合、地表面が平坦な土の領域と、地表面が緑地の領域と、が隣接する部分を対象物として特定する。例えば、人工知能処理部78は、特定した対象物をつなぎ合わせ、走行路である領域と走行路ではない領域との境界Bを特定する。
【0073】
例えば、人工知能処理部78は、前方画像から2つの境界Bを特定する。2つの境界Bのうち、一方の境界B1と、他方の境界B2との間の部分を推定走行路として出力する。例えば、人工知能処理部78は、境界Bの形状から、推定走行路にカーブ、段差、傾斜、および、障害物の少なくとも1つがあるか否かを推定する。
【0074】
例えば、人工知能処理部78は、一方の境界B1と、他方の境界B2とが同じ方向に曲がっている場合、推定走行路にカーブがあると判定する。例えば、人工知能処理部78は、境界Bが人力駆動車10の進行方向において途切れている場合、推定走行路に段差があると判定する。例えば、人工知能処理部78は、境界Bが前方において横方向に延び、一方の境界B1と、他方の境界B2とが重なる場合、推定走行路に段差があると判定する。例えば、人工知能処理部78は、境界Bが歪んでいる場合、推定走行路に傾斜があると判定する。
【0075】
例えば、人工知能処理部78は、空と対応する部分と接する境界Bの前方画像上の位置に基づいて、推定走行路に傾斜があると推定する。例えば、人工知能処理部78は、境界Bの歪みに応じて、推定走行路に傾斜の変化があると推定する。例えば、人工知能処理部78は、空と対応する部分と接する境界Bの前方画像上の位置に基づいて、推定走行路に傾斜の変化があると推定する。例えば、人工知能処理部78は、境界Bが、ある領域を囲んでいる場合、推定走行路に障害物があると判定する。
【0076】
例えば、制御部72は、推定走行路の傾斜に応じて、推定走行路の傾斜が、上り、平坦、および、下りのいずれであるかを判定する。推定走行路の傾斜が、上り、平坦、および、下りのいずれであるかは、人工知能処理部78によって推定されてもよい。人工知能処理部78は、推定走行路の傾斜角度を出力するように構成されてもよい。この場合、制御部72は、人工知能処理部78が出力した推定走行路の傾斜角度に応じて、推定走行路の傾斜が、上り、平坦、および、下りのいずれであるかを判定する。
【0077】
例えば、制御部72は、推定走行路の傾斜角度が第1角度以上の場合、推定走行路の傾斜が上りであると判定する。例えば、制御部72は、推定走行路の傾斜角度が第1角度未満、かつ、推定走行路の傾斜角度が第2角度以上の場合、推定走行路の傾斜が平坦であると判定する。例えば、制御部72は、推定走行路の傾斜角度が第2角度未満の場合、推定走行路の傾斜が下りであると判定する。例えば、第1角度は0°以上の角度であり、第2角度は0°未満の角度である。第1角度、および、第2角度の絶対値は等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0078】
例えば、人工知能処理部78は、前方情報に基づいて対象物と人力駆動車10との距離を推定するように構成される。例えば、制御部72は、前方画像からカラー開口撮像技術によって対象物と人力駆動車10との距離を検出する。例えば、制御部72は、前方情報に基づいて境界Bの特定の位置と人力駆動車10との距離を推定する。例えば、制御部72は、人工知能処理部78から出力された推定走行路のカーブ、段差、傾斜、および、障害物の少なくとも1つと人力駆動車10との距離を検出する。例えば、制御部72は、前方画像からカラー開口撮像技術以外によって対象物と人力駆動車10との距離を検出してもよい。
【0079】
例えば、制御部72は、推定走行路から、走行路の通過難易度を判定する。例えば、制御部72は、推定走行路から、走行路の通過難易度の種類を判定する。例えば、推定走行路を通過するための人力駆動車10の必要駆動力が大きい場合、制御部72は、通過難易度の種類を駆動力難易度と判定する。例えば、人工知能処理部78によって推定走行路に段差、および、岩場があると推定される場合、制御部72は、通過難易度の種類を駆動力難易度と判定する。例えば、人工知能処理部78によって傾斜の急な登坂があると推定される場合、制御部72は、通過難易度の種類を駆動力難易度と判定する。
【0080】
例えば、人工知能処理部78によって推定走行路に複数の障害物があると推定される場合、制御部72は、通過難易度の種類をテクニカル難易度と判定する。例えば、推定走行路に岩や木の根が露出していることによって推定走行路に凹凸がある場合、制御部72は、通過難易度の種類をテクニカル難易度と判定する。例えば、制御部72は、人工知能処理部78が走行路にあると判定した障害物の種類に応じて、通過難易度の種類を判定してもよい。
【0081】
通過難易度は、難易度が高い場合と難易度が低い場合の2段階によって表されてもよく、3段階以上によって表されてもよい。例えば、制御部72は、通過難易度が所定難易度よりも高いか否かを判定するように構成される。通過難易度が3段階以上によって表される場合、予め任意の通過難易度が所定難易度として設定されてもよい。
【0082】
制御部72は、通過難易度が所定難易度よりも高い場合、通過難易度が所定難易度以下の場合とは異なるようにモータ40を制御するように構成される。例えば、制御部72は、通過難易度に応じてモータ40によるアシストレベルを変更可能に構成される。
【0083】
例えば、制御部72は、駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高い場合、駆動力難易度が所定駆動力難易度以下の場合とは異なるようにモータ40を制御するように構成される。例えば、制御部72は、駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高い場合、駆動力難易度が所定駆動力難易度以下の場合よりもモータ40によるアシストレベルを増加させるように構成される。
【0084】
例えば、駆動力難易度は、走行路を通過するために必要な人力駆動車10の駆動力が大きい場合、高くなる。例えば、駆動力難易度は、走行路を通過するために必要な人力駆動車10の駆動力が小さい場合、低くなる。
【0085】
例えば、アシストレベルがアシスト比率を含む場合、制御部72は、駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高い場合のアシストレベルが、第1アシストレベルよりも大きくなるようにモータ40を制御するように構成される。例えば、アシストレベルがアシスト比率を含む場合、制御部72は、駆動力難易度が所定駆動力難易度以下の場合のアシストレベルが、第1アシストレベル以下になるようにモータ40を制御するように構成される。アシストレベルが第1アシストレベル以下の場合は、アシストレベルがゼロの場合を含む。
【0086】
例えば、制御部72は、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度以下の場合とは異なるようにモータ40を制御するように構成される。例えば、制御部72は、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度以下の場合よりもモータ40によるアシストレベルを減少させるように構成される。
【0087】
例えば、テクニカル難易度は、走行路を通過するための人力駆動車10の操作難度が高い場合、高くなる。テクニカル難易度は、走行路を通過するための人力駆動車10の操作難度が低い場合、低くなる。
【0088】
例えば、アシストレベルがアシスト比率を含む場合、制御部72は、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合のアシストレベルが、第2アシストレベルよりも小さくなるようにモータ40を制御するように構成される。例えば、アシストレベルがアシスト比率を含む場合、制御部72は、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度以下の場合のアシストレベルが、第2アシストレベル以上になるようにモータ40を制御するように構成される。アシストレベルが第2アシストレベルより小さい場合は、アシストレベルがゼロの場合を含む。第2アシストレベルは、第1アシストレベルと等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0089】
例えば、制御部72は、駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高く、かつ、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合、駆動力難易度に応じてモータ40を制御するように構成される。例えば、制御部72は、駆動力難易度が所定駆動力難易度以下であり、かつ、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合、テクニカル難易度に応じてモータ40を制御するように構成される。例えば、制御部72は、駆動力難易度が所定駆動力難易度以下であり、かつ、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度以下の場合、人力駆動力に応じてモータ40を制御するように構成されてもよい。
【0090】
例えば、制御部72は、第2検出部50によって取得される人力駆動車10の走行状態に関する情報に応じて、通過難易度が所定難易度よりも高い走行路を人力駆動車10が通過したかどうかを判定するように構成される。例えば、制御部72は、通過難易度が所定難易度よりも高い走行路を人力駆動車10が通過したかどうかの判定結果に基づいて、モータ40を制御するように構成される。
【0091】
例えば、走行状態に関する情報は、車速、加速度、人力駆動力、走行路の傾斜、人力駆動車10のピッチ角度、および、クランク14の回転角度に関する情報を含む。例えば、制御部72は、通過難易度が所定難易度よりも高い走行路を人力駆動車10が通過したと判定した場合、通過難易度が所定難易度よりも高い走行路を人力駆動車10が通過する前のアシストレベルになるようにモータ40を制御する。
【0092】
例えば、制御部72は、モータ40による推進力を第1時間間隔にて判定するように構成される。例えば、第1時間は、一定であってもよく、変化するものであってもよい。例えば、制御部72は、モータ40による推進力を第1時間ごとに判定し、判定結果に応じたモータ40による推進力になるようにモータ40を制御するように構成される。
【0093】
例えば、制御部72は、通過難易度の判定結果に応じて、第1時間を変更するように構成される。例えば、制御部72は、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度以下の場合よりも第1時間を短くするように構成される。例えば、制御部72は、駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高い場合、駆動力難易度が所定駆動力難易度以下の場合よりも第1時間を短くするように構成されてもよい。
【0094】
例えば、制御部72は、人力駆動車10が通過した走行路の通過難易度が所定難易度よりも高い場合、第1時間を変更するように構成される。例えば、制御部72は、人力駆動車10が通過した走行路の通過難易度が所定難易度よりも高い場合、第1時間を長くする。例えば、制御部72は、人力駆動車10が通過した走行路の通過難易度が所定難易度よりも高い場合、通過難易度が所定難易度よりも高い走行路を通過する前の第1時間になるように、第1時間を変更する。
【0095】
図4を参照して、制御部72が通過難易度に応じてモータ40を制御する処理が説明される。例えば、制御部72に電力が供給されると、制御部72は処理を開始して
図4に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部72は、
図4のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後に
図4のステップS11からの処理を繰り返す。
【0096】
制御部72は、ステップS11において、人力駆動車10が走行状態か否かを判定する。人力駆動車10が走行状態か否かは、人力駆動車10の車速、人力駆動車10の加速度、人力駆動車10のピッチ角度、人力駆動力、クランク14の角度、クランク14の回転速度、および、モータ40のアシストトルク等に応じて制御部72によって判断される。例えば、人力駆動車10の車速が所定車速以上の場合、制御部72は、人力駆動車10が走行状態と判定する。制御部72は、人力駆動車10が走行状態ではない場合、処理を終了する。制御部72は、人力駆動車10が走行状態である場合、ステップS12に移行する。
【0097】
制御部72は、ステップS12において、人力駆動車10の前方の走行路の駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高いか否かを判定する。例えば、制御部72は、人工知能処理部78による前方の走行路の通過難易度の推定結果によって、通過難易度の種類が駆動力難易度か否かを判定する。通過難易度の種類が駆動力難易度を含む場合、判定した駆動力難易度と、所定駆動力難易度とを比較する。人力駆動車10の前方の走行路の駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高い場合、制御部72は、ステップS13に移行する。制御部72は、通過難易度の種類が駆動力難易度を含まない場合、駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高くないと判定してもよい。制御部72は、ステップS13において、アシストレベルを増加するようにモータ40を制御し、ステップS14に移行する。制御部72は、ステップS14において、第1時間が短くなるように変更し、ステップS15に移行する。
【0098】
人力駆動車10の前方の走行路の駆動力難易度が所定駆動力難易度以下の場合、制御部72は、ステップS16に移行する。制御部72は、ステップS16において、人力駆動車10の前方の走行路のテクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高いか否かを判定する。例えば、制御部72は、人工知能処理部78による前方の走行路の通過難易度の推定結果によって、通過難易度の種類がテクニカル難易度か否かを判定する。通過難易度の種類がテクニカル難易度を含む場合、判定したテクニカル難易度と、所定テクニカル難易度とを比較する。制御部72は、過難易度の種類がテクニカル難易度を含まない場合、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高くないと判定してもよい。制御部72は、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度以下の場合、処理を終了する。
【0099】
人力駆動車10の前方の走行路のテクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合、制御部72は、ステップS17に移行する。制御部72は、ステップS17において、アシストレベルを減少させるようにモータ40を制御し、ステップS18に移行する。制御部72は、ステップS18において、第1時間が短くなるように変更し、ステップS15に移行する。
【0100】
例えば、ステップS17におけるアシストレベルの減少量は、ステップS13におけるアシストレベルの増加量と等しい。例えば、ステップS17におけるアシストレベルの減少量は、ステップS13におけるアシストレベルの増加量と異なっていてもよい。例えば、ステップS18における第1時間の減少量は、ステップS14における第1時間の減少量とは異なる。例えば、ステップS18における第1時間の減少量は、ステップS14における第1時間の減少量よりも大きい。例えば、ステップS18における第1時間の減少量は、ステップS14における第1時間の減少と等しくてもよい。
【0101】
制御部72は、ステップS15において、通過難易度が所定通過難易度より高い走行路を通過したか否かを判定する。制御部72は、通過難易度が所定通過難易度より高い走行路を通過していない場合、ステップS15の処理を繰り返す。制御部72は、通過難易度が所定通過難易度より高い走行路を通過した場合、ステップS19に移行する。制御部72は、ステップS19に移行するまでの期間において、ステップS13において変更されたアシストレベル、および、ステップS14において変更された第1時間を維持する。制御部72は、ステップS19に移行するまでの期間において、ステップS17において変更されたアシストレベル、および、ステップS18において変更された第1時間を維持する。
【0102】
制御部72は、ステップS19において、アシストレベルおよび第1時間をリセットし、処理を終了する。例えば、制御部72は、ステップS19において、アシストレベルをステップS13において変更される前のアシストレベルに戻し、第1時間をステップS14において変更される前の第1時間に戻す。例えば、制御部72は、ステップS19において、アシストレベルをステップS17において変更される前のアシストレベルに戻し、第1時間をステップS18において変更される前の第1時間に戻す。
【0103】
<第2実施形態>
図4および
図5を参照して、第2実施形態の制御装置70について説明する。第2実施形態の制御装置70は、バッテリ44の残量に応じてモータ40を制御する処理を実行する以外は第1実施形態の制御装置70と同様である。第2実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0104】
本実施形態の制御部72は、通過難易度が所定難易度よりも高い場合、バッテリ44の残量に応じてモータ40を制御するように構成される。例えば、制御部72は、駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高い場合、バッテリ44の残量に応じてモータ40を制御するように構成される。例えば、制御部72は、バッテリ44の残量が所定残量以下の場合、モータ40によるアシストレベルが所定アシストレベル以下になるようにモータ40を制御するように構成される。例えば、制御部72は、通過難易度が所定難易度よりも高い場合、かつ、バッテリ44の残量が所定残量以下の場合、アシストレベルが所定アシストレベル以下になるようにモータ40を制御するように構成される。
【0105】
例えば、制御部72は、バッテリ44の残量に応じて、第1時間を変更するように構成される。例えば、制御部72は、通過難易度が所定難易度よりも高い場合、かつ、バッテリ44の残量が所定残量以下の場合、第1時間を所定時間に変更するように構成される。所定時間は、例えば、
図4のステップS14における変更後の第1時間よりも長い。所定時間は、例えば、
図4のステップS18における変更後の第1時間よりも長い。第1時間が長くなると、演算頻度が少なくなるため、電力の消費が抑制される。
【0106】
図4および
図5を参照して、バッテリ44の残量に応じて、制御部72がモータ40を制御する処理が説明される。例えば、制御部72に電力が供給されると、制御部72は処理を開始して
図4に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部72は、
図4および
図5のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後に
図4のステップS11からの処理を繰り返す。
【0107】
制御部72は、ステップS12において、前方の駆動力難易度が所定駆動力難易度よりも高い場合、ステップS21に移行する。制御部72は、ステップS21において、バッテリ44の残量が所定残量以下か否かを判定する。バッテリ44の残量が所定残量よりも多い場合、制御部72はステップS13に移行する。バッテリ44の残量が所定残量以下の場合、制御部72は、ステップS22に移行する。
【0108】
制御部72は、ステップS22において、アシストレベルが所定アシストレベル以下になるようにモータ40を制御し、ステップS23に移行する。制御部72は、ステップS23において、第1時間を所定時間に変更し、処理を終了する。
【0109】
例えば、制御部72は、テクニカル難易度が所定テクニカル難易度よりも高い場合、かつ、バッテリ44の残量が所定残量以下の場合、第1時間を所定時間に変更するように構成されてもよい。制御部72は、ステップS22においてアシストレベルが変更される場合、バッテリ44の残量が所定残量よりも多くなるまで、通過難易度に関わらず、アシストレベルが所定アシストレベル以下になるようにモータ40を制御するように構成されてもよい。制御部72は、ステップS23において第1時間が変更される場合、バッテリ44の残量が所定残量よりも多くなるまで、所定時間間隔においてモータ40の推進力を判定するように構成されてもよい。
【0110】
<第3実施形態>
図6を参照して、第3実施形態の制御装置70について説明する。第3実施形態の制御装置70は、通過難易度が変化する地点までの距離に応じて、モータ40を制御する処理を実行する以外は第1実施形態の制御装置と同様である。第3実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0111】
本実施形態の制御部72は、人力駆動車10の前方において通過難易度が変化する場合、通過難易度が変化する地点までの距離に応じて、モータ40を制御するように構成される。例えば、通過難易度が変化する地点までの距離は、前方画像から人工知能処理部78によって推定される。通過難易度が変化する地点までの距離は、人力駆動車10の現在地点から通過難易度が変化すると推定される地点までの距離である。
【0112】
例えば、制御部72は、現在の走行路の通過難易度が所定通過難易度よりも高い状態であって、走行路の通過難易度が所定通過難易度以下の状態に変化するまでの距離が第1距離以下の場合、走行路の通過難易度が所定通過難易度以下の場合におけるモータ40の制御を行う。例えば、制御部72は、現在の走行路の通過難易度が所定通過難易度以下の状態であって、走行路の通過難易度が所定通過難易度よりも高い状態に変化するまでの距離が第1距離以下の場合、走行路の通過難易度が所定通過難易度よりも高い場合におけるモータ40の制御を行う。
【0113】
例えば、制御部72は、現在の走行路の通過難易度が所定通過難易度よりも高い状態であって、走行路の通過難易度が所定通過難易度以下の状態に変化するまでの距離が第1距離よりも長い場合、走行路の通過難易度が所定通過難易度よりも高い場合におけるモータ40の制御を行う。例えば、制御部72は、現在の走行路の通過難易度が所定通過難易度以下の状態であって、走行路の通過難易度が所定通過難易度よりも高い状態に変化するまでの距離が第1距離よりも長い場合、走行路の通過難易度が所定通過難易度以下の場合におけるモータ40の制御を行う。
【0114】
図6を参照して、通過難易度が変化する地点までの距離に応じて、制御部72がモータ40を制御する処理が説明される。例えば、制御部72に電力が供給されると、制御部72は処理を開始して
図6に示すフローチャートのステップS31に移行する。制御部72は、
図6のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS31からの処理を繰り返す。
【0115】
制御部72は、ステップS31において、人力駆動車10が走行状態か否かを判定する。制御部72は、人力駆動車10が走行状態ではない場合、処理を終了する。制御部72は、人力駆動車10が走行状態である場合、ステップS32に移行する。
【0116】
制御部72は、ステップS32において、人力駆動車10の前方において通過難易度が変化するか否かを判定する。制御部72は、人力駆動車10の前方において通過難易度が変化しない場合、処理を終了する。制御部72は、人力駆動車10の前方において通過難易度が変化する場合、ステップS33に移行する。
【0117】
制御部72は、ステップS33において、通過難易度が変化する地点までの距離に応じてモータ40を制御し、処理を終了する。
【0118】
<変形例>
各実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の制御装置は、例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0119】
・制御部72は、人力駆動車10が未舗装路を走行する場合、かつ、通過難易度が所定難易度よりも高い場合、通過難易度が所定難易度以下の場合とは異なるようにモータ40を制御するように構成されてもよい。例えば、制御部72は、人力駆動車10が未舗装路を通過する場合にのみ、
図4の処理を実行するようにしてもよい。例えば、制御部72は、人力駆動車10が未舗装路を通過しない場合には、通過難易度によらないモータ40の制御を実行する。例えば、制御部72は、人力駆動車10が未舗装路を通過しない場合には、通過難易度の判定を行わないようにしてもよい。例えば、走行路が未舗装路か否かの判定は、人工知能処理部78によって行われる。制御部72は、走行路が未舗装路か否かを設定するための操作部の操作によって、走行路が未舗装路か否かを判定するように構成されてもよい。
図4および
図7を参照して、人力駆動車10が未舗装路を走行する場合、かつ、通過難易度が所定難易度よりも高い場合、制御部72がモータ40を制御する処理が説明される。
制御部72は、ステップS11において、人力駆動車10が走行状態である場合、ステップS41に移行する。制御部72は、ステップS41において、人力駆動車10が未舗装路を走行しているか否かを判定する。人力駆動車10が未舗装路を走行している場合、制御部72は、ステップS12に移行する。人力駆動車10が未舗装路を走行していない場合処理を終了する。
【0120】
・
図2に破線によって示されるように、第1検出部46は、撮像装置48に代えてまたは加えて、レーザ装置60、および、位置情報検出部62の少なくとも1つを含んでいてもよい。第1検出部46がレーザ装置60を含む場合、前方情報は、レーザ装置60によって取得される障害物情報を含む。例えば、障害物情報は、車、自動二輪車、他の人力駆動車、人、動物、木、岩、および、家屋などを含む。第1検出部46が位置情報検出部62を含む場合、前方情報は、位置情報検出部62によって取得される走行路の地図情報を含む。
【0121】
・人力駆動車10は、コンポーネントをさらに含んでいてもよい。例えば、コンポーネントは、変速装置、サスペンション装置、および、電動アジャスタブルシートポスト装置の少なくとも1つを含む。例えば、制御部72は、通過難易度に応じてコンポーネントを制御するように構成される。
【0122】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0123】
10…人力駆動車、40…モータ、44…バッテリ、46…第1検出部、48…撮像装置、50…第2検出部、70…制御装置、72…制御部。