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特開2023-4891頭部装着型電子視覚支援デバイスおよびその視覚的歪み補正方法
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  • 特開-頭部装着型電子視覚支援デバイスおよびその視覚的歪み補正方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004891
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】頭部装着型電子視覚支援デバイスおよびその視覚的歪み補正方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/032 20060101AFI20230110BHJP
   A61F 9/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
A61B3/032
A61F9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022083244
(22)【出願日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】202110712434.4
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522201451
【氏名又は名称】アルテイア テクノロジーズ(スーチョウ) シーオー.,エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ハオティアン
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AA13
4C316FA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】視覚的歪みの補正を達成することが可能な頭部装着型電子視覚支援デバイス、および視覚的歪みの補正方法を提供する。
【解決手段】ユーザ入力ユニットが、リアルタイム画像フィードバック情報に応じてグリッド/グリッド・グループ107内の少なくとも1つの補正対象部分106を選択し、グリッド/グリッド・グループが現在配置されている座標系内の補正対象部分に対する画像補正を行うための補正コントロール信号を処理ユニットへ送信し、処理ユニットが、その座標系内における補正前後の補正対象部分のバリエーションを獲得するべく補正コントロール信号に基づく処理の計算を行い、ストレージ・ユニットが、補正対象部分のバリエーションの複数の組み合わせをストアし、表示ユニットが、ストレージ・ユニット内にストアされているバリエーションの複数の組み合わせに従って視覚的歪み補正後の画像を表示する頭部装着型電子視覚支援デバイス。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ入力ユニットと、ストレージ・ユニットと、処理ユニットと、表示ユニットとを包含する頭部装着型電子視覚支援デバイスであって、
前記表示ユニットが、グリッド/グリッド・グループを移動可能に表示するべく構成されていることと、前記ユーザ入力ユニットが、ユーザによって見られるリアルタイム画像フィードバック情報に応じて前記グリッド/グリッド・グループ内の少なくとも1つの補正対象部分を選択するべく構成され、かつ前記ユーザ入力ユニットは、前記補正対象部分が選択されたとき、前記グリッド/グリッド・グループが現在配置されている座標系内の前記補正対象部分に対する画像補正を行うための補正コントロール信号を前記処理ユニットへ送信することと、前記処理ユニットが、前記座標系内における補正前後の前記補正対象部分のバリエーションを獲得するべく前記補正コントロール信号に基づく処理の計算を行うことと、前記ストレージ・ユニットが、前記補正対象部分の前記バリエーションの複数の組み合わせをストアすることと、前記表示ユニットが、前記ストレージ・ユニット内にストアされている前記バリエーションの前記複数の組み合わせに従って視覚的歪み補正後の画像を表示可能であることと、
を特徴とする頭部装着型電子視覚支援デバイス。
【請求項2】
前記処理ユニットが、前記座標系の前記グリッド/グリッド・グループをコントロールして、任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内で設定されたステップ距離の自動的な移動をもたらすべく構成されること、を特徴とする、請求項1に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイス。
【請求項3】
前記ユーザ入力ユニットが、前記座標系内において前記グリッド/グリッド・グループを移動するための移動コントロール信号を前記処理ユニットへ送信することも可能であることと、前記処理ユニットが、前記移動コントロール信号に従って任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内においてオンデマンドで前記表示ユニットによって表示される前記グリッド/グリッド・グループをコントロールして移動させるべく構成されることと、を特徴とする、請求項1に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイス。
【請求項4】
さらに、視標追跡ユニットを包含し、前記視標追跡ユニットが前記ユーザの注視目標における変化を検出したとき、前記グリッド/グリッド・グループが同期的に変位されて前記座標系が、前記注視目標を追随し、前記表示ユニットが、前記ストレージ・ユニット内にストアされている前記バリエーションの前記複数の組み合わせを前記同期的な変位後の前記座標系に適用し、かつ視覚的歪み補正後の前記画像を表示すること、を特徴とする、請求項1に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイス。
【請求項5】
前記ユーザ入力ユニットを、マウス、リモート・コントローラ、ボタン、ジェスチャ認識デバイス、または音声認識デバイスとし得ること、を特徴とする、請求項1に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイス。
【請求項6】
前記補正コントロール信号が、前記補正対象部分の1つ以上の側を曲げるか、引き伸ばすか、または傾斜させるための信号;または前記補正対象部分の明るさ、コントラスト、およびトーンを調整するための信号;または前記補正対象部分をズームインまたはズームアウトする信号を包含すること、を特徴とする、請求項1に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイス。
【請求項7】
前記グリッド/グリッド・グループの隣り合うグリッドの間の距離が、オンデマンドで調整可能であること、を特徴とする、請求項1に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイス。
【請求項8】
頭部装着型電子視覚支援デバイスの視覚的歪み補正方法であって、前記頭部装着型電子視覚支援デバイスが、ユーザ入力ユニットと、ストレージ・ユニットと、処理ユニットと、表示ユニットとを包含し、前記補正方法が、
A:前記表示ユニットが、グリッド/グリッド・グループを移動可能に表示するステップと、
B:ユーザが、前記ユーザ入力ユニットを通じ、前記表示ユニットによって表示されているリアルタイム画像フィードバック情報に応じて前記グリッド/グリッド・グループ内の少なくとも1つの補正対象部分を選択するステップと、
C:前記ユーザ入力ユニットが、前記グリッド/グリッド・グループが現在配置されている座標系内の前記補正対象部分に対する画像補正を行うための補正コントロール信号を前記処理ユニットへ送信するステップと、
D:前記処理ユニットが、前記座標系内における補正前後の前記補正対象部分のバリエーションを獲得するべく前記補正コントロール信号に基づく処理の計算を行うステップと、
E:前記ストレージ・ユニットが、前記補正対象部分の前記バリエーションの複数の組み合わせをストアするステップと、
F:前記表示ユニットが、前記ストレージ・ユニット内にストアされている前記バリエーションの前記複数の組み合わせに従って視覚的歪み補正後の画像を表示するステップと、
を包含することを特徴とする頭部装着型電子視覚支援デバイスの視覚的歪み補正方法。
【請求項9】
前記補正方法が、さらに前記ステップCとDの間に、前記処理ユニットが、前記座標系のすべての補正対象部分のさらなる自動補正のために、前記座標系の前記グリッド/グリッド・グループをコントロールして任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内で設定されたステップ距離の自動的な移動をもたらすステップC1を包含すること、を特徴とする、請求項8に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイスの視覚的歪み補正方法。
【請求項10】
前記補正方法が、さらに前記ステップCとDの間に、前記ユーザ入力ユニットが前記座標系内において前記グリッド/グリッド・グループを移動させるための移動コントロール信号を前記処理ユニットへ送信し、かつ前記処理ユニットが、前記移動コントロール信号に従って、前記座標系のすべての補正対象部分がオンデマンドでさらに補正されるように、前記表示ユニットによって表示される前記グリッド/グリッド・グループをコントロールし、任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内でオンデマンドで移動させるステップC1を包含すること、を特徴とする、請求項8に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイスの視覚的歪み補正方法。
【請求項11】
前記頭部装着型電子視覚支援デバイスが、さらに、視標追跡ユニットを包含し、前記視標追跡ユニットが前記ユーザの注視目標における変化を検出したとき、前記グリッド/グリッド・グループが同期的に変位されて前記座標系が、前記注視目標を追随し、前記表示ユニットが、前記ストレージ・ユニット内にストアされている前記バリエーションの前記複数の組み合わせを前記同期的な変位後の前記座標系に適用し、かつ視覚的歪み補正後の前記画像を表示すること、を特徴とする、請求項8に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイスの視覚的歪み補正方法。
【請求項12】
前記ステップBにおいて、前記ユーザ入力ユニットをマウス、リモート・コントローラ、ボタン、ジェスチャ認識デバイス、または音声認識デバイスとし得ることと、前記補正対象部分の外側エッジが、前記補正対象部分を選択するべく前記ユーザ入力ユニットによって選択されることと、を特徴とする、請求項8に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイスの視覚的歪み補正方法。
【請求項13】
前記補正方法が、さらに、前記補正コントロール信号を前記ユーザが確認する確認ステップを、前記ステップCと前記ステップC1の間に包含すること、を特徴とする、請求項9または10に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイスの視覚的歪み補正方法。
【請求項14】
前記補正コントロール信号が、前記補正対象部分の1つ以上の側を曲げるか、引き伸ばすか、または傾斜させるための信号;または前記補正対象部分の明るさ、コントラスト、およびトーンを調整するための信号;または前記補正対象部分をズームインまたはズームアウトする信号を包含すること、を特徴とする、請求項8に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイスの視覚的歪み補正方法。
【請求項15】
前記グリッド/グリッド・グループの隣り合うグリッドの間の距離が、オンデマンドで調整可能であること、を特徴とする、請求項8に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイスの視覚的歪み補正方法。
【請求項16】
前記ストレージ・ユニットが、前記ステップEにおいて、異なるユーザの、または異なる時間ポイントにおける同一ユーザの前記補正対象部分の前記バリエーションの前記複数の組み合わせをストアすることが可能であることと、前記ユーザが、前記複数の組み合わせの呼び出しに基づいて前記ステップAからFを繰り返すことが可能であることと、を特徴とする、請求項8に記載の頭部装着型電子視覚支援デバイスの視覚的歪み補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インテリジェント医療機器の分野、特に、頭部装着型電子視覚支援デバイスおよびそれの視覚的歪み補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
黄斑変性症は一般的な内科的疾患であり、高齢者においては特に一般的である。黄斑変性症を煩っている人々は、一般に網膜(特に、網膜の黄斑)の損傷または機能障害を有する。黄斑は、一般に目の中でもっとも高い分解能を有する。一般に、損傷した、または機能障害性の黄斑は、人の正面からの光に対して正常に応答することができない。その結果として、黄斑変性症疾患者は、かすみ目を有するか、または視野の中心もしくはそれの周りの特定の領域の視力を失うことがある。黄斑変性症は、顔識別、運転、読書の能力、およびそのほかの人間的な側面が制限されるおそれがある。黄斑の機能低下は、網膜の中心から外向きに広がることがあるが、網膜の周辺領域に影響を及ぼす可能性は低い。一般に、黄斑変性症の早期段階においては、疾患者が視力低下および視覚的歪みを経験する。
【0003】
AR/VRウェアラブル・デバイスのテクノロジの発展に伴って、ユーザを取り囲むシーンの画像を取り込み、AR表示システムを通じて取り込んだシーンをリアルタイムで表示し、かつ表示されるシーンを拡大または修正して黄斑変性症疾患者の視覚を高める上での支援が可能な頭部装着型デバイス(HMD)の設計が次第次第に増えてきている。従来技術においては、HMDが、中期および末期の段階の黄斑変性症疾患者の視野の中心における中心暗点視野妨害(black shadow occlusion)の問題だけを扱い、中心暗点視野妨害の領域の画像が、疾患者を支援して視覚を高めるべく画像取り込みおよび拡大ユニットを通じて疾患者の視野内に提供されるが、黄斑変性症の早期段階における視覚的歪みを有する疾患者を支援して疾患者の視覚を高めるためのHMDは存在しない。したがって、従来技術の不足を解決する視覚的歪みを補正する機能を伴う頭部装着型電子視覚支援デバイスを求める喫緊の必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術における頭部装着型電子視覚支援デバイスが視覚的歪みを補正する機能を有していないという技術的問題を解決するために、本発明は、ユーザの異なる視覚的要求に対して、便利な操作を用いて直観的に視覚的歪みの補正を達成することが可能な頭部装着型電子視覚支援デバイス、および視覚的歪みの補正方法を提供することをねらいとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上に述べられている本発明の目的のうちの1つを達成するために、本発明の1つの実施態様は、ユーザ入力ユニットと、ストレージ・ユニットと、処理ユニットと、表示ユニットとを含む頭部装着型電子視覚支援デバイスであって、前記表示ユニットが、グリッド/グリッド・グループを移動可能に表示するべく構成されていることと、前記ユーザ入力ユニットが、ユーザによって見られるリアルタイム画像フィードバック情報に応じて前記グリッド/グリッド・グループ内の少なくとも1つの補正対象部分を選択するべく構成され、かつ前記ユーザ入力ユニットは、前記補正対象部分が選択されたとき、前記グリッド/グリッド・グループが現在配置されている座標系内の前記補正対象部分に対する画像補正を行うための補正コントロール信号を前記処理ユニットへ送信することと、前記処理ユニットが、前記座標系内における補正前後の前記補正対象部分のバリエーションを獲得するべく前記補正コントロール信号に基づく処理の計算を行うことと、前記ストレージ・ユニットが、前記補正対象部分の前記バリエーションの複数の組み合わせをストアすることと、前記表示ユニットが、前記ストレージ・ユニット内にストアされている前記バリエーションの前記複数の組み合わせに従って視覚的歪み補正後の画像を表示可能であることと、を特徴とする頭部装着型電子視覚支援デバイスを提供する。
【0006】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記処理ユニットは、前記座標系の前記グリッド/グリッド・グループをコントロールして任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内で設定されたステップ距離の自動的な移動をもたらすべく構成される。
【0007】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記ユーザ入力ユニットは、前記座標系内において前記グリッド/グリッド・グループを移動するための移動コントロール信号を前記処理ユニットへ送信することも可能であり、前記処理ユニットは、前記移動コントロール信号に従って任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内においてオンデマンドで前記表示ユニットによって表示される前記グリッド/グリッド・グループをコントロールして移動させるべく構成される。
【0008】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記頭部装着型電子視覚支援デバイスは、さらに視標追跡ユニットを含み、前記視標追跡ユニットが前記ユーザの注視目標における変化を検出すると、前記グリッド/グリッド・グループが同期的に変位されて前記座標系が、前記注視目標を追随し、前記表示ユニットが、前記ストレージ・ユニット内にストアされている前記バリエーションの前記複数の組み合わせを前記同期的な変位後の前記座標系に適用し、視覚的歪み補正後の画像を表示する。
【0009】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記ユーザ入力ユニットは、マウス、リモート・コントローラ、ボタン、ジェスチャ認識デバイス、または音声認識デバイスとすることが可能である。
【0010】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記補正コントロール信号は、前記補正対象部分の1つ以上の側を曲げるか、引き伸ばすか、または傾斜させるための信号;または前記補正対象部分の明るさ、コントラスト、およびトーンを調整するための信号;または前記補正対象部分をズームインまたはズームアウトする信号を含む。
【0011】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記グリッド/グリッド・グループの隣り合うグリッドの間の距離は、オンデマンドで調整可能である。
【0012】
本発明は、さらに、頭部装着型電子視覚支援デバイスの視覚的歪み補正方法を提供する。前記頭部装着型電子視覚支援デバイスは、ユーザ入力ユニットと、ストレージ・ユニットと、処理ユニットと、表示ユニットとを含み、前記補正方法は:
A:前記表示ユニットが、グリッド/グリッド・グループを移動可能に表示するステップと、
B:ユーザが、前記ユーザ入力ユニットを通じ、前記表示ユニットによって表示されているリアルタイム画像フィードバック情報に応じて前記グリッド/グリッド・グループ内の少なくとも1つの補正対象部分を選択するステップと、
C:前記ユーザ入力ユニットが、前記グリッド/グリッド・グループが現在配置されている座標系内の前記補正対象部分に対する画像補正を行うための補正コントロール信号を前記処理ユニットへ送信するステップと、
D:前記処理ユニットが、前記座標系内における補正前後の前記補正対象部分のバリエーションを獲得するべく前記補正コントロール信号に基づく処理の計算を行うステップと、
E:前記ストレージ・ユニットが、前記補正対象部分の前記バリエーションの複数の組み合わせをストアするステップと、
F:前記表示ユニットが、前記ストレージ・ユニット内にストアされている前記バリエーションの前記複数の組み合わせに従って視覚的歪み補正後の画像を表示するステップと、
を含む。
【0013】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記補正方法は、さらに前記ステップCとDの間に、前記処理ユニットが、前記座標系のすべての補正対象部分のさらなる自動補正のために、前記座標系の前記グリッド/グリッド・グループをコントロールして任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内で設定されたステップ距離の自動的な移動をもたらすステップC1を含む。
【0014】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記補正方法は、さらに前記ステップCとDの間に、前記ユーザ入力ユニットが前記座標系内において前記グリッド/グリッド・グループを移動させるための移動コントロール信号を前記処理ユニットへ送信し、かつ前記処理ユニットが、前記移動コントロール信号に従って、前記座標系のすべての補正対象部分がオンデマンドでさらに補正されるように、前記表示ユニットによって表示される前記グリッド/グリッド・グループをコントロールし、任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内でオンデマンドで移動させるステップC1を含む。
【0015】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記頭部装着型電子視覚支援デバイスは、さらに視標追跡ユニットを含み、前記視標追跡ユニットが前記ユーザの注視目標における変化を検出すると、前記グリッド/グリッド・グループが同期的に変位されて前記座標系が、前記注視目標を追随し、前記表示ユニットが、前記ストレージ・ユニット内にストアされている前記バリエーションの前記複数の組み合わせを前記同期的な変位後の前記座標系に適用し、視覚的歪み補正後の画像を表示する。
【0016】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記ステップBにおいて、前記ユーザ入力ユニットをマウス、リモート・コントローラ、ボタン、ジェスチャ認識デバイス、または音声認識デバイスとすることが可能であり、前記補正対象部分の外側エッジは、前記補正対象部分を選択するべく前記ユーザ入力ユニットによって選択される。
【0017】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記補正方法は、さらに、前記補正コントロール信号を前記ユーザが確認する確認ステップを、前記ステップCと前記ステップC1の間に含む。
【0018】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記補正コントロール信号は、前記補正対象部分の1つ以上の側を曲げるか、引き伸ばすか、または傾斜させるための信号;または前記補正対象部分の明るさ、コントラスト、およびトーンを調整するための信号;または前記補正対象部分をズームインまたはズームアウトする信号を含む。
【0019】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記グリッド/グリッド・グループの隣り合うグリッドの間の距離は、オンデマンドで調整可能である。
【0020】
本発明の1つの実施態様のさらなる改善として述べるが、前記ストレージ・ユニットは、前記ステップEにおいて、異なるユーザの、または異なる時間ポイントにおける同一ユーザの前記補正対象部分の前記バリエーションの前記複数の組み合わせをストアすることが可能であり、前記ユーザは、前記複数の組み合わせの呼び出しに基づいて前記ステップAからFを繰り返すことが可能である。
【0021】
従来技術との比較で述べれば、本発明は、移動可能なグリッド/グリッド・グループを頭部装着型電子視覚支援デバイスの表示ユニットに導入して基本補正座標系を設定することによって、ユーザは、自分自身の視覚状態に応じて補正対象部分を選択した後に視覚的歪みの補正および較正を行うことが可能であり、処理ユニットは、基本補正座標系内の補正前後の補正対象部分のバリエーションを獲得するべく補正コントロール信号に基づく処理の計算を行い、視野内のすべての補正対象部分は、任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内において移動することだけによって補正可能であり、ストレージ・ユニットは、すべての補正対象部分のバリエーションの複数の組み合わせをストアし、表示ユニットは、ストレージ・ユニット内にストアされているバリエーションの複数の組み合わせに従って視覚的歪み補正後の画像を表示し、かつリアルタイムで補正後の画像を検証することが可能であり、ユーザは、便利な操作を用いて視覚的歪みの画像補正を迅速かつ直観的に実現することが可能であり、様々な症状の進行を伴う低視力ユーザの要求が満たされるという有益な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】頭部装着型電子視覚支援デバイス100の1つの実施態様のハードウエア・モジュールを概略図である。
図2】頭部装着型電子視覚支援デバイス100の1つの実施態様のソフトウエア・フローを概略図である。
図3】頭部装着型電子視覚支援デバイス100の1つの実施態様を示した概略の構造図である。
図4】頭部装着型電子視覚支援デバイス100内のユーザの関心目標対象物を決定する選択フレームを示した概略の構造図である。
図5】初回に補正対象部分が発見されたときの頭部装着型電子視覚支援デバイス100の補正動作を示した概略の構造図である。
図6】2回目に補正対象部分が発見されたときの頭部装着型電子視覚支援デバイス100の補正動作を示した概略の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図において、100は頭部装着型電子視覚支援デバイスであり、101はユーザ入力ユニットであり、102はストレージ・ユニットであり、103は処理ユニットであり、104は表示ユニットであり、105視標追跡ユニットはであり、106は補正対象部分であり、107はグリッド/グリッド・グループであり、108は中心点である。
【0024】
以下、本発明の実施態様を詳細に説明する。実施態様の例は、図面に示されており、それにおいて、同じであるかまたは類似する参照記号は、同じであるかまたは類似する機能を伴う同じであるかまたは類似する1つまたは複数の要素を示す。以下に図面を参照して述べる実施態様は、本発明を説明することが意図された例示であり、本発明を限定するとして解釈することは可能でない。
【0025】
本発明の技術的解決策を、図面および具体的な実施態様との関連からさらに以下に述べる。
【0026】
図1を参照すると、上に述べられている本発明の目的のうちの1つを達成する本発明の実施態様が提供されている。本発明の1つの実施態様は、ユーザ入力ユニット101と、ストレージ・ユニット102と、処理ユニット103と、表示ユニット104とを含む頭部装着型電子視覚支援デバイス100を提供する。処理ユニット103は、入力/出力(I/O)回路に接続されたリンクを通じてデータベースと機能的に接続することが可能である。ストレージ・ユニット102は、複数のRAMおよび複数のプログラム・メモリを含むことが可能であり、RAMおよびプログラム・メモリは、たとえば、半導体メモリ、磁気的に読み出し可能なメモリ、および/または光学的に読み出し可能なメモリとすることが可能である。
【0027】
図3を参照するが、頭部装着型電子視覚支援デバイス100は、光学的および電気的ハードウエアおよびソフトウエアを統合したAR拡張現実タイプの視覚支援眼鏡とすることが可能であり、拡大され、かつ補正された画像を頭部装着型AR眼鏡の表示ユニットに表示し、ユーザへ提供することが可能である。ほかの代替実施態様においては、頭部装着型電子視覚支援デバイス100が、有線または無線通信を通じて1つ以上の外部イメージ・プロセッサとの通信結合を形成することも可能であり、外部イメージ・プロセッサは、たとえばラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、モバイル通信端末デバイス、およびそのほかのコンピュータ処理デバイス等のコンピュータを含むことが可能であり、外部イメージ・プロセッサは、1つ以上のプロセッサおよび1つ以上のメモリを含むことが可能である。外部イメージ・プロセッサを含む実施態様においては、補正処理を受けている画像が、対象を表示するために頭部装着型電子視覚支援デバイス100の表示ユニットへ送信される。
【0028】
図4を参照するが、表示ユニット104は、グリッド/グリッド・グループ107を移動可能に表示するべく構成され、本発明のグリッド/グリッド・グループ107のグリッド間隔は、オンデマンドで調整可能であり、細かすぎる間隔にせず、ラインが湾曲しているか否かを低視力ユーザの目で容易に見分けられる間隔が好ましい。たとえば、グリッド/グリッド・グループ107は、図に示されているとおり、座標識別子を有することが可能であり、この座標系においては中心点の座標が(0,0)である。
【0029】
図5を参照するが、補正動作が開始されるとき、補正動作の基本座標系の決定に必要とされることから、ユーザは、両目を用いてグリッド/グリッド・グループ107の中心点108を注視する必要がある。ユーザ入力ユニット101は、ユーザによって見られているリアルタイム画像フィードバック情報に応じてグリッド/グリッド・グループ107内の少なくとも1つの補正対象部分106を選択するべく構成されている。ユーザが初回の補正動作を開始するとき、ユーザが、明らかに変形しているグリッド/グリッド・グループ107の垂直ラインを発見すると仮定した場合(この時点においては、破線によって表示されている第2の明らかに変形している補正対象部分は、グリッド/グリッド・グループ上に位置してなく、したがって、ユーザはそれを見ることが可能でない)。この時点においては、ユーザが、マウス、リモート・コントローラ、ボタン、ジェスチャ認識デバイス、または音声認識デバイス等のユーザ入力ユニット101を操作して、ユーザの視野内において明らかに変形している部分を選択してその明らかに変形している部分を直線に修復することが可能であるが、この選択の操作は、補正対象部分の外側エッジを強調すること、または高コントラストの色に変更することとし得る。補正動作の間は、図5に示されているS字形に曲げられた補正対象部分106の上側部分が右に向かってドラッグされ、そのS字形に曲げられた補正対象部分106の下側部分が左に向かってドラッグされて微調整が行われ、補正対象部分106が直線に変更される。
【0030】
ユーザが補正対象部分106を選択し、補正動作を行ったとき、ユーザ入力ユニット101が、グリッド/グリッド・グループ107が現在配置されている座標系内の補正対象部分106に対する画像補正を行うための補正コントロール信号を処理ユニット103へ送信し、この補正コントロール信号が、限定ではないが、補正対象部分106の1つ以上の側を曲げるか、引き伸ばすか、または傾斜させるための信号;または、補正対象部分106の明るさ、コントラスト、およびトーンを調整するための信号;または補正対象部分106をズームインまたはズームアウトする信号を含む。
【0031】
処理ユニット103は、座標系内における補正前後の補正対象部分106のバリエーションを獲得するべく補正コントロール信号に基づく処理の計算を行い、たとえば、このバリエーションは、複数の座標変数の配列とすることが可能であり、ストレージ・ユニット102は、補正対象部分106のバリエーションの複数の組み合わせをストアし、表示ユニット104は、ストレージ・ユニット102内にストアされているバリエーションの複数の組み合わせに従って視覚的歪み補正後の画像、すなわちユーザの目パラメータに応じた視覚的歪み補正後の画像を表示することが可能である。従来技術との比較で述べれば、移動可能なグリッド/グリッド・グループを頭部装着型電子視覚支援デバイスの表示ユニットに導入して基本補正座標系を設定することによって、ユーザは、自分自身の視覚状態に応じて補正対象部分を選択した後に視覚的歪みの補正および較正を行うことが可能であり、処理ユニットは、基本補正座標系内の補正前後の補正対象部分のバリエーションを獲得するべく補正コントロール信号に基づく処理の計算を行い、視野内のすべての補正対象部分は、任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内において移動することだけによって補正可能であり、ストレージ・ユニットは、すべての補正対象部分のバリエーションの複数の組み合わせをストアし、表示ユニットは、ストレージ・ユニット内にストアされているバリエーションの複数の組み合わせに従って視覚的歪み補正後の画像を表示し、かつリアルタイムで補正後の画像を検証することが可能であり、ユーザは、便利な操作を用いて視覚的歪みの画像補正を迅速かつ直観的に実現することが可能であり、様々な症状の進行を伴う低視力ユーザの要求が満たされる。
【0032】
好ましい実施態様においては、処理ユニット103が、座標系のグリッド/グリッド・グループ107をコントロールして任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内で設定されたステップ距離の自動的な移動をもたらすべく構成される。言い換えると、ユーザは、自動ステップ補正モードを選択することが可能である。自動ステップ補正モードにおいては、グリッド/グリッド・グループ107が、最初の基本座標系内において左方向/右方向または上/下へ自動的に設定距離で移動され、ユーザが移動後のグリッド/グリッド・グループ107内に再び変形した垂直または水平のラインを発見したとき(この時点においては、図5内に破線によって示されている補正対象部分がグリッド/グリッド・グループ上に配置され、したがって、ユーザに可視である)、図6を参照するが、新しく発見された補正対象部分106を再び補正してそれを真っ直ぐにするべくユーザ入力ユニット101が再び操作される。このようにして、任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内において数回にわたって自動的に移動することだけによって視野内のすべての補正対象部分を補正することが可能である。低視力ユーザを、視野内の視覚的歪みの補正において直観的に支援することが可能であり、補正の効果が同時に検証され、かつその操作は便利である。
【0033】
別の好ましい実施態様においては、ユーザがマニュアル・ステップ補正モードを選択することも可能であり、言い換えるとユーザは、自分自身の要求に応じてユーザ入力ユニット101をマニュアル・コントロールしてグリッド/グリッド・グループ107を座標系内で移動するための移動コントロール信号を処理ユニット103へ送信し、処理ユニット103は、その移動コントロール信号に従って任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内においてオンデマンドで表示ユニット104によって表示されるグリッド/グリッド・グループ107をコントロールして移動させるべく構成されている。グリッド/グリッド・グループ107が任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内において自動的に移動された後、ユーザが移動後のグリッド/グリッド・グループ107内に変形した垂直または水平のラインを発見したとき、図6を参照するが、新しく発見された補正対象部分106を再び補正してそれを真っ直ぐにするべくユーザ入力ユニット101が再び操作される。このようにして、任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内において数回にわたって移動することだけによって視野内のすべての補正対象部分を補正することが可能である。低視力ユーザを、視野内の視覚的歪みの補正において直観的に支援することが可能であり、補正の効果が同時に検証され、かつその操作は便利であり、ユーザ経験がより良好になる。
【0034】
本発明の頭部装着型電子視覚支援デバイス100は、さらに視標追跡ユニット105を含み、視標追跡ユニット105がユーザの注視目標における変化を検出すると、グリッド/グリッド・グループ107が同期的に変位されて座標系が注視目標を追随し、表示ユニット104が、ストレージ・ユニット102内にストアされているバリエーションの複数の組み合わせを同期的な変位後の座標系に適用し、視覚的歪み補正後の画像を表示する。言い換えると、すべての補正対象部分をユーザが補正した後は、表示されたグリッド/グリッド・グループ107の中心点108をユーザが凝視する必要性がこの時点においてなくなり、以前に補正された補正対象部分106のバリエーションの複数の組み合わせが、グリッド/グリッド・グループ107を伴う新しい座標系に対してリアルタイムで適用され、かつ補正の間に補正効果のリアルタイム検証が達成されるように、グリッド/グリッド・グループ107の座標系が、視標追跡ユニット105によって検出された注視目標を追随して同期的に変更することが可能であり、ユーザは、自分自身の目を動かすことが可能である。さらにまた、ユーザの使用の間に注視目標の微調整が行われる場合には、視標追跡ユニット105が注視目標と同期させて座標系を移動させ、これが、ユーザの補正操作の一貫性および調整の正確度を確保する。
【0035】
本発明の中で述べられているユーザは、早期段階の黄斑変性症疾患者、加齢性黄斑変性症(AMD)、黄斑円孔およびそのほかのFOV視野関連視覚消失症または中心黄斑の傷等の視覚障害、ヒストプラズマ症、末期段階の緑内障、黄斑変性症、中心性漿液性網膜症、近視性黄斑部変性症、糖尿病性黄斑浮腫、膀胱ID黄斑浮腫、黄斑円孔、黄斑萎縮症、中心黄斑の傷、ヒストプラズマ症、黄斑円孔、前部虚血性視神経症、および網膜色素変性症等々の低視力ユーザを含む。視野内の像の補正対象部分106は、限定ではないが、渦巻き状の歪み、樽形の歪み、または枕型の歪みを含む異なる程度の歪みを一般に有する。
【0036】
図2を参照するが、本発明は、さらに、頭部装着型電子視覚支援デバイス100の視覚的歪み補正方法を提供する。頭部装着型電子視覚支援デバイス100は、ユーザ入力ユニット101と、ストレージ・ユニット102と、処理ユニット103と、表示ユニット104とを含み、この方法は:
A:表示ユニット104が、グリッド/グリッド・グループ107を移動可能に表示するステップと、
B:ユーザが、ユーザ入力ユニット101を通じ、表示ユニット104によって表示されているリアルタイム画像フィードバック情報に応じてグリッド/グリッド・グループ107内の少なくとも1つの補正対象部分106を選択するステップと、
C:ユーザ入力ユニット101が、グリッド/グリッド・グループ107が現在配置されている座標系内の補正対象部分106に対する画像補正を行うための補正コントロール信号を処理ユニット103へ送信するステップと、
D:処理ユニット103が、座標系内における補正前後の補正対象部分106のバリエーションを獲得するべく補正コントロール信号に基づく処理の計算を行うステップと、
E:ストレージ・ユニット102が、補正対象部分106のバリエーションの複数の組み合わせをストアするステップと、
F:表示ユニット104が、ストレージ・ユニット102内にストアされているバリエーションの複数の組み合わせに従って視覚的歪み補正後の画像を表示することが可能になるステップと、
を含む。
【0037】
本発明のグリッド/グリッド・グループ107のグリッド間隔は、オンデマンドで調整可能であるが、低視力ユーザにとって判別や操作が困難になる状況が回避されるように、細かすぎる間隔にせず、ラインが湾曲しているか否かを低視力ユーザの目で容易に見分けられる間隔が好ましい。補正動作が開始されるとき、補正動作の基本座標系の決定に必要とされることから、ユーザは、両目を用いてグリッド/グリッド・グループ107の中心点108を注視する必要がある。図5を参照するが、ユーザが初回の補正動作を開始するとき、ユーザが、明らかに変形しているグリッド/グリッド・グループ107の垂直ラインを発見すると仮定した場合、この時点において、ユーザは、マウス、リモート・コントローラ、ボタン、ジェスチャ認識デバイス、または音声認識デバイス等のユーザ入力ユニット101を操作して、ユーザの視野内において明らかに変形している部分を選択してその明らかに変形している部分を直線に修復することが可能である。たとえば、図5に示されているS字形に曲げられた補正対象部分106の上側部分が右に向かってドラッグされ、そのS字形に曲げられた補正対象部分106の下側部分が左に向かってドラッグされて微調整が行われ、補正対象部分106が直線に変更される。
【0038】
ユーザが補正対象部分106を選択し、補正動作を行ったとき、ユーザ入力ユニット101が、グリッド/グリッド・グループ107が現在配置されている座標系内の補正対象部分106に対する画像補正を行うための補正コントロール信号を処理ユニット103へ送信し、この補正コントロール信号が、限定ではないが、補正対象部分106の1つ以上の側を曲げるか、引き伸ばすか、または傾斜させるための信号;または、補正対象部分106の明るさ、コントラスト、およびトーンを調整するための信号;または補正対象部分106をズームインまたはズームアウトする信号を含む。
【0039】
処理ユニット103は、座標系内における補正前後の補正対象部分106のバリエーションを獲得するべく補正コントロール信号に基づく処理の計算を行い、たとえば、このバリエーションは、複数の座標変数の配列とすることが可能であり、ストレージ・ユニット102は、補正対象部分106のバリエーションの複数の組み合わせをストアし、表示ユニット104は、ストレージ・ユニット102内にストアされているバリエーションの複数の組み合わせに従って視覚的歪み補正後の画像、すなわちユーザの目パラメータに応じた視覚的歪み補正後の画像を表示することが可能である。
【0040】
好ましい実施態様においては、処理ユニット103が、座標系のグリッド/グリッド・グループ107をコントロールして任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内で設定されたステップ距離(たとえば、2つの隣り合うグリッドの間に一様に3回のステップ微調整が配される)の自動的な移動をもたらす。言い換えると、ユーザは、自動ステップ補正モードを選択することが可能である。自動ステップ補正モードにおいては、グリッド/グリッド・グループ107が、最初の基本座標系内において左方向/右方向または上/下へ自動的に設定距離で移動され、ユーザが移動後のグリッド/グリッド・グループ107内に再び変形した垂直または水平のラインを発見したとき、図6を参照するが、新しく発見された補正対象部分106を再び補正してそれを真っ直ぐにするべくユーザ入力ユニット101が再び操作される。このようにして、任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内において数回にわたって自動的に移動することだけによって視野内のすべての補正対象部分を補正することが可能である。低視力ユーザを、視野内の視覚的歪みの補正において直観的に支援することが可能であり、補正の効果が同時に検証され、かつその操作は便利である。
【0041】
別の好ましい実施態様においては、ユーザがマニュアル・ステップ補正モードを選択することも可能であり、言い換えるとユーザは、自分自身の要求に応じてユーザ入力ユニット101をマニュアルで微調整し、かつコントロールしてグリッド/グリッド・グループ107を座標系内で移動するための移動コントロール信号を処理ユニット103へ送信し、処理ユニット103は、その移動コントロール信号に従って任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内においてオンデマンドで表示ユニット104によって表示されるグリッド/グリッド・グループ107をコントロールして移動させる。グリッド/グリッド・グループ107が任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内において自動的に移動された後、ユーザが移動後のグリッド/グリッド・グループ107内に変形した垂直または水平のラインを発見したとき、図6を参照するが、新しく発見された補正対象部分106を再び補正してそれを真っ直ぐにするべくユーザ入力ユニット101が再び操作される。このようにして、任意の隣り合うグリッドの最大間隔の範囲内において数回にわたって移動することだけによって視野内のすべての補正対象部分を補正することが可能である。低視力ユーザを、視野内の視覚的歪みの補正において直観的に支援することが可能であり、補正の効果が同時に検証され、かつその操作は便利である。
【0042】
本発明の頭部装着型電子視覚支援デバイス100は、さらに視標追跡ユニット105を含み、視標追跡ユニットがユーザの注視目標における変化を検出すると、グリッド/グリッド・グループ107が同期的に変位されて座標系が注視目標を追随し、表示ユニット104が、ストレージ・ユニット102内にストアされているバリエーションの複数の組み合わせを同期的な変位後の座標系に適用し、視覚的歪み補正後の画像を表示する。言い換えると、すべての補正対象部分をユーザが補正した後は、表示されたグリッド/グリッド・グループ107の中心点108をユーザが凝視する必要性がこの時点においてなくなり、以前に補正された補正対象部分106のバリエーションの複数の組み合わせが、グリッド/グリッド・グループ107を伴う新しい座標系に対してリアルタイムで適用され、かつ補正の間に補正効果のリアルタイム検証が達成されるように、グリッド/グリッド・グループ107の座標系が、視標追跡ユニット105によって検出された注視目標を追随して同期的に変更することが可能であり、ユーザは、自分自身の目を動かすことが可能である。さらにまた、ユーザの使用の間に注視目標の微調整が行われる場合には、視標追跡ユニット105が注視目標と同期させて座標系を移動させ、これが、ユーザの補正操作の一貫性および調整の正確度を確保する。
【0043】
好ましい実施態様においては、方法が、さらに、ステップCとステップC1の間においてユーザが補正コントロール信号を確認する確認ステップを含み、ユーザが歪み補正効果に満足するまで次のステップが行われる。
【0044】
ストレージ・ユニット102は、ステップEにおいて、異なるユーザの、または異なる時間ポイントにおける同一ユーザの補正対象部分106のバリエーションの複数の組み合わせをストアすることが可能であり、ユーザは、複数の組み合わせの呼び出しに基づいてステップAからFを繰り返すことが可能である。好ましい実施態様においては、ユーザが、メニューのオプションを通じて以前の補正でストアされたバリエーションの複数の組み合わせのデータを選択し、呼び出し、かつそれに基づいて調整を再び行うことも可能である。また低視力ユーザが、当該データに基づいて視野の変化または眼疾患の進展過程を判断することも可能である。
【0045】
この明細書は、実施態様に従って説明されているが、各実施態様だけに独立した技術的解決策が含まれているわけではないことを理解する必要がある。明細書内のこの説明は、明瞭性のためだけであって、当業者は、明細書を全体として捉える必要があり、多様な実施態様内の技術的解決策は、適切に組み合わされて当業者が理解可能なほかの実施態様を形成することも可能である。
【0046】
上にリストされている一連の詳細な説明は、本発明の実現可能な実施態様の具体的な説明に過ぎず、それらが本発明の保護範囲を限定することは意図されてなく、本発明の技術的な精神からの逸脱を伴うことなくなされたあらゆる均等な実施態様または変更は、本発明の保護範囲内にすべて含まれるものとする。
【符号の説明】
【0047】
100 頭部装着型電子視覚支援デバイス
101 ユーザ入力ユニット
102 ストレージ・ユニット
103 処理ユニット
104 表示ユニット
105視標追跡ユニット
106 補正対象部分
107 グリッド/グリッド・グループ
108 中心点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】