(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048911
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置、および、人力駆動車用の制御装置に用いられる学習モデル
(51)【国際特許分類】
B62M 25/08 20060101AFI20230331BHJP
B62M 6/45 20100101ALI20230331BHJP
B62J 45/41 20200101ALI20230331BHJP
【FI】
B62M25/08
B62M6/45
B62J45/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158493
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(57)【要約】
【課題】電動装置を好適に制御できる人力駆動車用の制御装置、および、人力駆動車用の制御装置に用いられる学習モデルを提供する。
【解決手段】人力駆動車用の制御装置は、前記人力駆動車は、ライダが操作可能な操作部と、前記操作部の操作に応じて動作する電動装置と、を含み、前記電動装置を制御するように構成される制御部を備え、前記制御部は、第1検出部によって取得される前記人力駆動車の走行路の前方情報と、前記ライダによる前記操作部の操作履歴とを関連付けた第1情報に応じて前記電動装置を制御可能に構成される第1制御部を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車は、ライダが操作可能な操作部と、前記操作部の操作に応じて動作する電動装置と、を含み、
前記電動装置を制御するように構成される制御部を備え、
前記制御部は、第1検出部によって取得される前記人力駆動車の走行路の前方情報と、前記ライダによる前記操作部の操作履歴とを関連付けた第1情報に応じて前記電動装置を制御可能に構成される第1制御部を含む、制御装置。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記第1情報に基づいて作成される第1学習モデルに応じて前記電動装置を制御するための第2情報を出力する第1人工知能処理部を含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1学習モデルを記憶する記憶部をさらに備える、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記操作部の操作に応じて前記電動装置を制御する第1制御モードと、前記人力駆動車の走行環境および前記人力駆動車の走行状態の少なくとも1つに応じて前記電動装置を制御する第2制御モードとのいずれかにおいて前記電動装置を制御可能に構成され、
前記第1人工知能処理部は、前記第1制御モードにおける前記前方情報と、前記第1制御モードにおける前記操作履歴とに応じて、前記第1学習モデルを更新するように構成される、請求項2または3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2制御モードにおいて、前記操作部の操作に応じて前記電動装置を制御可能に構成され、
前記第1人工知能処理部は、前記第2制御モードにおける前記前方情報と、前記第2制御モードにおける前記操作履歴とに応じて、前記第1学習モデルを更新するように構成される、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記前方情報から前記走行路の状態を決定する第2制御部をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第2制御部は、第2学習モデルに応じて前記前方情報から前記走行路の状態を決定する第2人工知能処理部を含む、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第2制御部は、前記前方情報から前記走行路の状態が複数の所定状態のうちのいずれであるかを決定するように構成され、
前記第1情報は、前記走行路の状態の決定結果と、前記操作履歴とを関連付けた情報である、請求項6または7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記走行路の状態は、前記走行路の土地情報および障害物情報の少なくとも1つを含み、前記土地情報は、前記人力駆動車の走行方向と交差する第1平面に関する情報であり、前記障害物情報は、前記第1平面に関する情報である、請求項6から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1情報と、前記人力駆動車の走行環境および前記人力駆動車の走行状態の少なくとも1つと、に応じて前記電動装置を制御するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記第1情報は、前記前方情報と、前記操作履歴とを、前記人力駆動車の走行環境および前記人力駆動車の走行状態の少なくとも1つに関連付けた情報である、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記電動装置は、前記人力駆動車の変速比を変更する変速装置を含み、
前記制御部は、前記第1情報に基づいて、前記変速装置を制御するように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記電動装置は、前記人力駆動車に推進力を付与するモータを含み、
前記制御部は、前記第1情報に基づいて、前記モータを制御するように構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
前記電動装置はサスペンション装置を含み、
前記制御部は、前記第1情報に基づいて、前記サスペンション装置を制御するように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項15】
前記電動装置はアジャスタブルシートポストを含み、
前記制御部は、前記第1情報に基づいて、前記アジャスタブルシートポストを制御できるように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項16】
前記第1検出部は、撮像装置を含み、
前記前方情報は、前記撮像装置によって取得される前方画像を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項17】
人力駆動車用の制御装置に用いられる学習モデルであって、
請求項2から5のいずれか一項に記載の第1学習モデルを含む、学習モデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の制御装置、および、人力駆動車用の制御装置に用いられる学習モデルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の人力駆動車用の制御装置は、人力駆動車の走行状態に応じて電動装置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の人力駆動車用の制御装置においては、周辺環境については考慮されていない。
本開示の目的の1つは、電動装置を好適に制御できる人力駆動車用の制御装置、および、人力駆動車用の制御装置に用いられる学習モデルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車は、ライダが操作可能な操作部と、前記操作部の操作に応じて動作する電動装置と、を含み、前記電動装置を制御するように構成される制御部を備え、前記制御部は、第1検出部によって取得される前記人力駆動車の走行路の前方情報と、前記ライダによる前記操作部の操作履歴とを関連付けた第1情報に応じて前記電動装置を制御可能に構成される第1制御部を含む。
第1側面の制御装置によれば、前方情報と、操作履歴とを関連付けた第1情報に応じて電動装置を好適に制御できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記第1制御部は、前記第1情報に基づいて作成される第1学習モデルに応じて前記電動装置を制御するための第2情報を出力する第1人工知能処理部を含む。
第2側面の制御装置によれば、第1人工知能処理部によって出力される第2情報に基づいて、電動装置を好適に制御できる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記第1学習モデルを記憶する記憶部をさらに備える。
第3側面の制御装置によれば、第1学習モデルを記憶する記憶部をさらに備えるため、好適に電動装置を制御できる。
【0008】
本開示の第2または第3側面に従う第4側面の制御装置において、前記制御部は、前記操作部の操作に応じて前記電動装置を制御する第1制御モードと、前記人力駆動車の走行環境および前記人力駆動車の走行状態の少なくとも1つに応じて前記電動装置を制御する第2制御モードとのいずれかにおいて前記電動装置を制御可能に構成され、前記第1人工知能処理部は、前記第1制御モードにおける前記前方情報と、前記第1制御モードにおける前記操作履歴とに応じて、前記第1学習モデルを更新するように構成される。
第4側面の制御装置によれば、第1制御モードにおける前方情報と、第1制御モードにおける操作履歴とに応じて更新された第1学習モデルによって、電動装置を好適に制御できる。
【0009】
本開示の第4側面に従う第5側面の制御装置において、前記制御部は、前記第2制御モードにおいて、前記操作部の操作に応じて前記電動装置を制御可能に構成され、前記第1人工知能処理部は、前記第2制御モードにおける前記前方情報と、前記第2制御モードにおける前記操作履歴とに応じて、前記第1学習モデルを更新するように構成される。
第5側面の制御装置によれば、前方情報と、第2制御モードにおける操作履歴とに応じて更新された第1学習モデルによって、電動装置を好適に制御できる。
【0010】
本開示の第1から5側面のいずれか1つに従う第6側面の制御装置において、前記制御部は、前記前方情報から前記走行路の状態を決定する第2制御部をさらに含む。
第6側面の制御装置によれば、第2制御部によって決定した走行路の状態に応じて電動装置を好適に制御できる。
【0011】
本開示の第6側面に従う第7側面の制御装置において、前記第2制御部は、第2学習モデルに応じて前記前方情報から前記走行路の状態を決定する第2人工知能処理部を含む。
第7側面の制御装置によれば、人工知能処理部によって走行路の状態を好適に決定できる。
【0012】
本開示の第6または第7側面に従う第8側面の制御装置において、前記第2制御部は、前記前方情報から前記走行路の状態が複数の所定状態のうちのいずれであるかを決定するように構成され、前記第1情報は、前記走行路の状態の決定結果と、前記操作履歴とを関連付けた情報である。
第8側面の制御装置によれば、走行路の状態の決定結果と、操作履歴とを関連付けた第1情報に応じて、電動装置を好適に制御できる。
【0013】
本開示の第6から第8側面のいずれか1つに従う第9側面の制御装置において、前記走行路の状態は、前記走行路の土地情報および障害物情報の少なくとも1つを含み、前記土地情報は、前記人力駆動車の走行方向と交差する第1平面に関する情報であり、前記障害物情報は、前記第1平面に関する情報である。
第9側面の制御装置によれば、走行路の土地情報および障害物情報の少なくとも1つの決定結果と、操作履歴とを関連付けた第1情報に応じて、電動装置を好適に制御できる。
【0014】
本開示の第1から第9側面のいずれか1つに従う第10側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1情報と、前記人力駆動車の走行環境および前記人力駆動車の走行状態の少なくとも1つと、に応じて前記電動装置を制御するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置。
第10側面の制御装置によれば、第1情報と、人力駆動車の走行環境および人力駆動車の走行状態の少なくとも1つと、に応じて電動装置を好適に制御できる。
【0015】
本開示の第1から第9側面のいずれか1つに従う第11側面の制御装置において、前記第1情報は、前記前方情報と、前記操作履歴とを、前記人力駆動車の走行環境および前記人力駆動車の走行状態の少なくとも1つに関連付けた情報である。
第11側面の制御装置によれば、前方情報と、操作履歴とを、人力駆動車の走行環境および人力駆動車の走行状態の少なくとも1つに関連付けた第1情報に応じて、電動装置を好適に制御できる。
【0016】
本開示の第1から第11側面のいずれか1つに従う第12側面の制御装置において、前記電動装置は、前記人力駆動車の変速比を変更する変速装置を含み、前記制御部は、前記第1情報に基づいて、前記変速装置を制御するように構成される。
第12側面の制御装置によれば、第1情報に基づいて、変速装置を好適に制御できる。
【0017】
本開示の第1から第12側面のいずれか1つに従う第13側面の制御装置において、前記電動装置は、前記人力駆動車に推進力を付与するモータを含み、前記制御部は、前記第1情報に基づいて、前記モータを制御するように構成される。
第13側面の制御装置によれば、第1情報に基づいて、モータを好適に制御できる。
【0018】
本開示の第1から第13側面のいずれか1つに従う第14側面の制御装置において、前記電動装置はサスペンション装置を含み、前記制御部は、前記第1情報に基づいて、前記サスペンション装置を制御するように構成される。
第14側面の制御装置によれば、第1情報に基づいて、サスペンション装置を好適に制御できる。
【0019】
本開示の第1から第14側面のいずれか1つに従う第15側面の制御装置において、前記電動装置はアジャスタブルシートポストを含み、前記制御部は、前記第1情報に基づいて、前記アジャスタブルシートポストを制御できるように構成される。
第15側面の制御装置によれば、第1情報に基づいて、アジャスタブルシートポストを好適に制御できる。
【0020】
本開示の第1から第15側面のいずれか1つに従う第16側面の制御装置において、前記第1検出部は、撮像装置を含み、前記前方情報は、前記撮像装置によって取得される前方画像を含む。
第16側面の制御装置によれば、撮像装置によって取得される前方画像に基づいて、電動装置を好適に制御できる。
【0021】
本開示の第17側面に従う学習モデルは、人力駆動車用の制御装置に用いられる学習モデルであって、第2から第5側面のいずれか1つに記載の第1学習モデルを含む。
第17側面の学習モデルによれば、電動装置を好適に制御できる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の人力駆動車用の制御装置、および、人力駆動車用の制御装置に用いられる学習モデルによれば、電動装置を好適に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の側面図である。
【
図2】
図1の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2の人工知能処理部に含まれる第1学習モデルの模式図である。
【
図5】
図2の第2人工知能処理部によって特定される第1平面の形状に関する複数の画像情報を模式的に示す模式図である。
【
図6】
図2の制御部によって実行される電動装置を制御する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態>
図1から
図6を参照して、人力駆動車用の制御装置70、および、人力駆動車用の制御装置70に用いられる学習モデルが説明される。人力駆動車は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車は、例えば1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車を自転車として説明する。
【0025】
本明細書において、以下の方向を示す用語「前(フロント)」、「後ろ(リア)」、「前方」、「後方」、「左」、「右」、「横」、「上方」、および、「下方」、並びに任意の他の類似の方向を示す用語は、人力駆動車の基準位置(例えば、サドルまたはシート上)においてハンドルバーを向いたライダを基準に決定されるそれらの方向を指す。
【0026】
人力駆動車10は、車体12、クランク14、および、少なくとも1つの車輪16を備える。車体12は、フレーム18を含む。クランク14は、クランク軸20、クランクアーム22、および、ペダル24を含む。クランク軸20は、フレーム18に対して回転可能にフレーム18に設けられる。クランク軸20の両端には、クランクアーム22がそれぞれ設けられる。クランクアーム22の一方の端部は、クランク軸20のそれぞれの端部に連結する。ペダル24は、クランクアーム22の他方の端部に連結する。ペダル24に人力駆動力が入力されると、クランク14が回転する。
【0027】
少なくとも1つの車輪16は、前輪16F、および、後輪16Rを含む。前輪16F、および、後輪16Rは、フレーム18にそれぞれ支持される。本実施形態では、後輪16Rは、駆動機構26によって、クランク14に連結される。例えば、後輪16Rは、クランク14が回転することによって駆動される。
【0028】
駆動機構26は、第1回転体28、第2回転体30、および、連結部材32を含む。例えば、第1回転体28は、フロントスプロケットを含む。例えば、第1回転体28は、プーリ、または、ベベルギアを含んでいてもよい。第1回転体28は、クランク軸20と一体回転するように連結されてもよく、第1ワンウェイクラッチに仲介されて連結されてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク14を人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合に、第1回転体28を前転させる。第1ワンウェイクラッチは、クランク14を人力駆動車10が前進する方向と反対に回転させた場合に、クランク14と第1回転体28との相対回転を許容するように構成される。第1ワンウェイクラッチは、例えば、ローラクラッチ、スプラグ式クラッチ、および、爪式クラッチの少なくとも1つを含む。
【0029】
第2回転体30は、後輪16Rに連結される。例えば、第2回転体30は、リアスプロケットを含む。第2回転体30は、プーリ、または、ベベルギアを含んでいてもよい。例えば、第2回転体30と後輪16Rとの間には、第2ワンウェイクラッチが設けられる。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体30を人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合に、後輪16Rを前転させる。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体30を人力駆動車10が前進する方向と反対に回転させた場合に、第2回転体30と後輪16Rとの相対回転を許容するように構成される。連結部材32は、第1回転体28、および、第2回転体30に係合し、第1回転体28の回転力を第2回転体30に伝達する。第2ワンウェイクラッチは、例えば、ローラクラッチ、スプラグ式クラッチ、および、爪式クラッチの少なくとも1つを含む。連結部材32は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0030】
本実施形態では、第1回転体28と、クランク軸20とは、同軸に配置される。第1回転体28と、クランク軸20とは、同軸に配置されなくてもよい。第1回転体28と、クランク軸20とが同軸に配置されない場合、第1回転体28と、クランク軸20とは、第1伝達機構に仲介されて、接続される。第1伝達機構は、ギア、プーリ、チェーン、シャフト、および、ベルトの少なくとも1つを含む。本実施形態では、第2回転体30と、後輪16Rとは、同軸に配置される。第2回転体30と、後輪16Rとは、同軸に配置されなくてもよい。第2回転体30と、後輪16Rとが同軸に配置されない場合、第2回転体30と、後輪16Rとは、第2伝達機構に仲介されて、接続される。第2伝達機構は、ギア、プーリ、チェーン、シャフト、および、ベルトの少なくとも1つを含む。
【0031】
フレーム18には、フロントフォーク34が取り付けられる。フロントフォーク34には、前輪16Fが取り付けられる。フロントフォーク34には、ステム36が取り付けられる。ステム36には、ハンドルバー38が連結される。フレーム18には、シートポスト40が取り付けられる。シートポスト40には、サドルが設けられる。本実施形態では、後輪16Rが駆動機構26によってクランク14に連結されるが、後輪16Rおよび前輪16Fの少なくとも1つが、駆動機構26によってクランク14に連結されてもよい。
【0032】
人力駆動車10は、ライダが操作可能な操作部42と、操作部42の操作に応じて動作する電動装置44と、を含む。操作部42は、例えば、ハンドルバー38に設けられる。操作部42は、サイクルコンピュータに設けられてもよい。操作部42は、例えば、操作部材と、操作部材の動きを検出する操作検出部とを含む。操作検出部は、スイッチであってもよい。
【0033】
例えば、電動装置44は、人力駆動車10の変速比Rを変更する変速装置46を含む。変速装置46は、ディレーラ46Aと、複数のスプロケット46Bと、を有する。複数のスプロケット46Bは、回転軸心を有し、回転軸心の延びる方向に並ぶ。ディレーラ46Aは、人力駆動車10のクランク14の回転速度Cに対する人力駆動車10の車輪16の回転速度Wの比率である変速比Rを変更するように構成される。変速比Rと、回転速度Wと、回転速度Cとの関係は、式(1)によって表される。
式(1):変速比R=回転速度W/回転速度C
【0034】
例えば、ディレーラ46Aは、フロントディレーラおよびリアディレーラの少なくとも1つを含む。ディレーラ46Aがリアディレーラを含む場合、第1回転体28は、複数のスプロケット46Bを含む。ディレーラ46Aがリアディレーラを含む場合、第2回転体30は、複数のスプロケット46Bを含む。ディレーラ46Aがリアディレーラを含む場合、連結部材32は、チェーンを含む。ディレーラ46Aがリアディレーラを含む場合、ディレーラは、第2回転体30に含まれる複数のスプロケット46Bのうちの1つに係合するチェーンを、複数のスプロケット46Bのうちの他の1つに移動させる。ディレーラ46Aは、連結部材32を操作して、第1回転体28および第2回転体30の少なくとも1つと、連結部材32との係合状態を変更することによって変速比Rを変更させる。
【0035】
例えば、変速装置46は、変速比Rを段階的に変更可能である。例えば、変速装置46は変速比Rを変更するために連結部材32を操作するように構成される。複数のスプロケット46Bのそれぞれのスプロケットには、異なる変速比Rが設定される。例えば、変速段数は、複数のスプロケット46Bの数と等しい。
【0036】
本実施形態では、ディレーラ46Aは、リアディレーラを含む。ディレーラ46Aがリアディレーラを含む場合、複数のスプロケット46Bのうち歯数が最小のスプロケットは、変速比Rが最大の変速段と対応する。ディレーラ46Aがリアディレーラを含む場合、複数のスプロケット46Bのうち歯数が最大のスプロケットは、変速比Rが最小の変速段と対応する。ディレーラ46Aがリアディレーラを含む場合、変速段が大きくなるほど、変速比Rは大きくなる。例えば、ディレーラ46Aがリアディレーラを含む場合、複数のスプロケット46Bのうち歯数の大きいスプロケットは、複数のスプロケット46Bのうち歯数の小さいスプロケットよりも軸心中心面に近い位置に配置される。人力駆動車10の軸心中心面は、人力駆動車10の前後方向に沿う中心軸に沿う面である。人力駆動車10の軸心中心面は、複数のスプロケット46Bの回転軸心と直交する。
【0037】
例えば、人力駆動車10は、電動アクチュエータ46Cをさらに含む。電動アクチュエータ46Cはディレーラ46Aを操作するように構成される。例えば、変速装置46は、電動アクチュエータ46Cによって動作する。電動アクチュエータ46Cは、例えば、電気モータを含む。
【0038】
電動アクチュエータ46Cは、例えば、電気モータの出力軸に連結される減速機をさらに含んでいてもよい。電動アクチュエータ46Cは、ディレーラ46Aに設けられてもよく、人力駆動車10のうちのディレーラ46Aから離れた位置に設けられてもよい。電動アクチュエータ46Cが駆動することによってディレーラ46Aが連結部材32を操作し、変速動作が行われる。
【0039】
ディレーラ46Aがリアディレーラを含む場合、ディレーラ46Aは、例えば、ベース部材と、可動部材と、可動部材をベース部材に対して移動可能に連結するリンク機構と、を含む。可動部材は、連結部材32をガイドするガイド部材を含む。ガイド部材は、例えば、ガイドプレートと、プーリと、を含む。電動アクチュエータ46Cは、例えば、リンク機構を直接駆動してもよい。電動アクチュエータ46Cは、ケーブルを経由して、リンク機構を駆動してもよい。
【0040】
例えば、電動装置44は、人力駆動車10に推進力を付与するモータ48を含む。モータ48は、1または複数の電気モータを含む。モータ48に含まれる電気モータは、例えば、ブラシレスモータである。モータ48は、人力駆動車10のフレーム18に設けられる。モータ48は、連結部材32を駆動するように構成される。例えば、モータ48は、第1回転体28に仲介されて連結部材32を駆動する。例えば、モータ48は、クランク14に入力される人力駆動力に応じて、人力駆動車10に推進力を付与するように構成される。例えば、モータ48は、ペダル24から後輪16Rまでの人力駆動力の動力伝達経路にアシスト力を伝達するように構成される。例えば、モータ48は、第1回転体28に回転力を伝達するように構成される。
【0041】
人力駆動車10は、モータ48が収容されるハウジングをさらに含む。ハウジングは、フレーム18に取り付けられる。モータ48およびハウジングを含んで、ドライブユニットが構成される。ハウジングは、クランク軸20を回転可能に支持する。例えば、モータ48は、連結部材32に直接回転力を伝達するように構成されてもよい。例えば、この場合、モータ48の出力軸、または、モータ48の出力軸の力が伝達される伝達部材に連結部材32と係合するスプロケットが設けられる。
【0042】
モータ48と人力駆動力の動力伝達経路との間には、減速機が設けられてもよい。減速機は、例えば、複数の歯車を含んで構成される。例えば、モータ48と人力駆動力の動力伝達経路との間には、第3ワンウェイクラッチが設けられてもよい。例えば、第3ワンウェイクラッチは、クランク14を人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合に、クランク14の回転力がモータ48に伝達することを抑制するように構成される。第3ワンウェイクラッチは、例えば、ローラクラッチ、スプラグ式クラッチ、および、爪式クラッチの少なくとも1つを含む。
【0043】
ドライブユニットは、出力部を含む。出力部は、例えば、クランク軸20と、減速機とに連結される。出力部には、クランク14に入力される人力駆動力とモータ48の回転力とが入力される。第1回転体28は、出力部と一体回転するように出力部に連結される。
【0044】
例えば、電動装置44はサスペンション装置50を含む。例えば、サスペンション装置50は、フロントサスペンション、および、リアサスペンションの少なくとも1つを含む。例えば、フロントサスペンションは、フロントフォーク34に設けられて前輪16Fに加えられた衝撃を減衰する。例えば、リアサスペンションは、フレーム18に設けられて後輪16Rに加えられた衝撃を減衰する。サスペンション装置50は、第1部分50Aと、第2部分50Bとを備える。第2部分50Bは、第1部分50Aに嵌め込まれる。第2部分50Bは、第1部分50Aに対して相対移動可能である。
【0045】
サスペンション装置50は、油圧式、空気圧式、および、油圧を含むハイブリッド式のサスペンションのいずれであってもよい。サスペンション装置50は、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。サスペンション装置50は、油または空気の流路を開閉するバルブを含む。
【0046】
サスペンション装置50は、複数の動作状態によって動作する。複数の動作状態は、サスペンション装置50のストローク長、サスペンション装置50の反発力、および、サスペンション装置50の減衰力の少なくとも1つが異なる動作状態を含む。サスペンション装置50は、動作指令に応じて、複数の動作状態を切り替えるように構成される。
【0047】
サスペンション装置50のストローク長は、第2部分50Bの第1部分50Aへの嵌め込まれ具合と対応する。サスペンション装置50のストローク長が大きい場合、第2部分50Bの第1部分50Aへの嵌め込まれ具合が深い。サスペンション装置50のストローク長が小さい場合、第2部分50Bの第1部分50Aへの嵌め込まれ具合が浅い。
【0048】
例えば、サスペンション装置50の反発力は、サスペンション装置50のロック状態、アンロック状態、および、半ロック状態の場合の反発力を含む。例えば、サスペンション装置50がロック状態の場合、サスペンション装置50の反発力は最大である。例えば、サスペンション装置50がアンロック状態の場合、サスペンション装置50の反発力は最小である。例えば、サスペンション装置50が半ロック状態の場合、サスペンション装置50の反発力は最大の反発力と、最小の反発力との中間である。
【0049】
例えば、サスペンション装置50がロック状態の場合、第2部分50Bは、第1部分50Aの間を相対移動しない。例えば、サスペンション装置50がアンロック状態の場合、第2部分50Bは、第1部分50Aの間を相対移動する。例えば、サスペンション装置50が半ロック状態の場合、第2部分50Bは、第1部分50Aの間をわずかに相対移動する。
【0050】
例えば、サスペンション装置50の減衰力は、第1部分50Aの内径のオリフィス径を変更することによって調整される。例えば、オリフィス径は、第1部分50Aの内径のうち最も狭くなる部分の直径である。
【0051】
例えば、電動装置44はアジャスタブルシートポスト52を含む。例えば、アジャスタブルシートポスト52は、シートポスト40に取り付けられる。アジャスタブルシートポスト52は、シートポスト40をフレーム18に対して上昇および下降させる。
【0052】
アジャスタブルシートポスト52は、機械式シートポスト、または、電動モータの力によって伸縮する電気式シートポストを含む。機械式シートポストは、油圧式シートポスト、または、空気圧式シートポストを含む。
【0053】
アジャスタブルシートポスト52が機械式シートポストの場合、油または空気の流路を開閉するバルブの開閉によってシートポスト40の上昇と下降を制御する。アジャスタブルシートポスト52が機械式シートポストの場合、バルブが開いている状態では、アジャスタブルシートポスト52は、ばね、および、空気の少なくとも1つの力で伸びようとする。アジャスタブルシートポスト52が機械式シートポストの場合、バルブが閉じている状態では、アジャスタブルシートポスト52の長さは変化しない。
【0054】
アジャスタブルシートポスト52が電気式シートポストの場合、アジャスタブルシートポスト52は、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。アジャスタブルシートポスト52が電気式シートポストの場合、アジャスタブルシートポスト52は、電動アクチュエータまたは電動モータを動作させることによって、シートポスト40の上昇と下降を制御する。
【0055】
アジャスタブルシートポスト52は、シートポスト40の高さが異なる複数の動作状態によって動作する。アジャスタブルシートポスト52は、動作指令に応じて、動作状態を切り替える。機械式シートポストの場合、アジャスタブルシートポスト52は、動作指令を受け取ると、バルブを開く。機械式シートポストの場合、動作指令を受け取ると、所定時間の間バルブを開く構成としてもよい。機械式シートポストの場合、動作指令を受け取ると、次に動作指令を受け取るまでバルブを開く構成としてもよい。電気式シートポストの場合、アジャスタブルシートポスト52は、動作指令を受け取ると、電動アクチュエータまたは電動モータを動作させる。
【0056】
例えば、人力駆動車10は、第1検出部54をさらに含む。第1検出部54は、人力駆動車10の走行路の前方情報を取得可能に構成される。例えば、第1検出部54は、撮像装置56を含む。撮像装置56は、人力駆動車10の前方画像を取得するように人力駆動車10に設けられる。例えば、撮像装置56は、フレーム18またはハンドルバー38に設けられる。例えば、撮像装置56は、ライダに設けられてもよい。撮像装置56がライダに設けられる場合、例えば、撮像装置56は、ライダが着用するヘルメットに設けられる。
【0057】
撮像装置56は、例えばカメラを含む。撮像装置56は、前方画像のみを撮影可能なものであってもよい。撮像装置56は、前方画像以外の周辺画像を同時に撮影可能なものであってもよい。撮像装置56は、人力駆動車10の周囲において全周を撮影可能なものであってもよい。撮像装置56は、無線通信装置、および、電気ケーブルの少なくとも1つによって制御部72と通信可能に構成される。撮像装置56は、撮影した前方画像を、制御部72に送信するように構成される。
【0058】
人力駆動車10は、制御部72に電力を供給するバッテリ58をさらに含む。例えば、バッテリ58は、フレーム18に設けられる。バッテリ58は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。例えば、バッテリ58は、制御部72、および、電動装置44に電力を供給するように構成される。バッテリ58は、制御部72、および、電動装置44と電気ケーブルまたは無線通信装置を介して通信可能に接続される。バッテリ58は、例えば電力線通信(PLC;Power Line Communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって制御部72と通信可能である。
【0059】
人力駆動車10は、制御装置70を含む。例えば、制御装置70は、ドライブユニットに設けられる。制御装置70は、フレーム18に設けられてもよい。制御装置70は、制御部72を備える。制御部72は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。制御部72に含まれる演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部72に含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部72は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0060】
好ましくは、制御装置70は、記憶部74をさらに含む。記憶部74には、制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部74は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0061】
電動装置44がモータ48を含む場合、制御装置70は、例えば、モータ48の駆動回路76をさらに備える。例えば、駆動回路76と、制御部72とは、ドライブユニットのハウジングに設けられる。例えば、駆動回路76と、制御部72とは、同一の回路基板に設けられてもよい。駆動回路76は、インバータ回路を含む。駆動回路76は、バッテリ58からモータ48に供給される電力を制御する。駆動回路76は、制御部72と、導電線、電気ケーブルまたは無線通信装置などを介して接続される。駆動回路76は、制御部72からの制御信号に応じてモータ48を駆動させる。
【0062】
好ましくは、人力駆動車10は、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つを検出するセンサをさらに含む。例えば、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つを検出するセンサは、車速センサ60、クランク回転センサ62、人力駆動力検出部64、および、傾斜検出部66の少なくとも1つをさらに含む。
【0063】
車速センサ60は、人力駆動車10の車速に関する情報を検出するように構成される。車速センサ60は、無線通信装置、および、電気ケーブルの少なくとも1つによって制御部72と通信可能に構成される。本実施形態では、車速センサ60は、人力駆動車10の少なくとも1つの車輪16の回転速度Wに関する情報を検出するように構成される。車速センサ60は、車輪16の回転速度Wに応じた信号を出力する。制御部72は、車輪16の回転速度Wに応じた信号と、車輪16の周長に関する情報とに基づいて人力駆動車10の車速を算出できる。記憶部74には車輪16の周長に関する情報が記憶される。
【0064】
車速センサ60は、例えばリードスイッチを構成する磁性リード、または、ホール素子などの磁気センサを含む。車速センサ60は、フレーム18のチェーンステイに取り付けられ、後輪16Rに取り付けられる磁石を検出するように構成される。車速センサ60は、フロントフォーク34に設けられ、前輪16Fに取り付けられる磁石を検出するように構成されてもよい。本実施形態において、車速センサ60は、車輪16が1回転した場合に、リードスイッチが磁石を1回検出するように構成される。車速センサ60は、人力駆動車10の車速に関する情報を取得できればどのような構成であってもよい。
【0065】
車速センサ60は、車輪16に設けられる磁石を検出する構成に限定されない。例えば、車速センサ60は、センサリングに設けられるスリットを検出するように構成されてもよい。センサリングは、車輪16と一体となって回転する部材である。例えば、車速センサ60は、光学センサなどを含んで構成されてもよい。例えば、車速センサ60は、GPS(Global Positioning System)受信機を含んで構成されてもよい。車速センサ60がGPS受信器を含む場合、制御部72は、時間と移動距離とに応じて車速を算出できる。
【0066】
クランク回転センサ62は、クランク14の回転速度Cに関する情報を検出するように構成される。クランク回転センサ62は、無線通信装置、および、電気ケーブルの少なくとも1つによって制御部72と通信可能に構成される。クランク回転センサ62は、例えば、人力駆動車10のフレーム18またはドライブユニットに設けられる。クランク回転センサ62は、ドライブユニットのハウジングに設けられてもよい。クランク回転センサ62は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石は、クランク軸20、クランク軸20に連動して回転する部材、または、クランク14から第1回転体28までの間の動力伝達経路に設けられる。クランク軸20に連動して回転する部材は、モータ48の出力軸を含んでもよい。
【0067】
クランク回転センサ62は、クランク14の回転速度Cに応じた信号を出力する。例えば、クランク14と第1回転体28との間に第1ワンウェイクラッチが設けられない場合、磁石は、第1回転体28に設けられてもよい。クランク回転センサ62は、クランク14の回転速度Cに関する情報を取得できればどのような構成であってもよい。クランク回転センサ62は、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、またはトルクセンサなどを含んでいてもよい。
【0068】
人力駆動力検出部64は、人力駆動力に関する情報を検出するように構成される。人力駆動力検出部64は、無線通信装置、および、電気ケーブルの少なくとも1つによって制御部72と通信可能に構成される。例えば、人力駆動力検出部64は、人力駆動車10のフレーム18、ドライブユニット、クランク14、または、ペダル24に設けられる。人力駆動力検出部64は、ドライブユニットのハウジングに設けられてもよい。
【0069】
人力駆動力検出部64は、例えば、トルクセンサを含む。トルクセンサは、人力駆動力によってクランク14に与えられるトルクに応じた信号を出力するように構成される。例えば、トルクセンサは、クランク14と第1回転体28との間に第1ワンウェイクラッチが設けられる場合、クランク14から第1回転体28までの間の動力伝達経路の第1ワンウェイクラッチよりも上流側に設けられる。トルクセンサは、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。
【0070】
トルクセンサは、クランク14から第1回転体28までの間の動力伝達経路、または、クランク14から第1回転体28までの間の動力伝達経路に含まれる部材の近傍に設けられる。例えば、クランク14から第1回転体28までの間の動力伝達経路に含まれる部材は、クランク軸20、クランクアーム22、ペダル24、または、クランク14と第1回転体28との間において人力駆動力を伝達する部材である。人力駆動力検出部64は、人力駆動力に関する情報を取得できればどのような構成であってもよい。例えば、人力駆動力検出部64は、ペダル24に与えられる圧力を検出するセンサ、または、チェーンの張力を検出するセンサなどを含んでいてもよい。
【0071】
傾斜検出部66は、人力駆動車10の傾斜に関する情報を検出するように構成される。例えば、傾斜検出部66は、ジャイロセンサまたは加速度センサを含む。例えば、傾斜検出部66は、GPS受信部を含んでいてもよい。制御部72は、GPS受信部によって取得したGPS情報と、記憶部74に予め記録している地図情報に含まれる路面勾配とに応じて、人力駆動車10の走行する路面の傾斜角度を演算してもよい。
【0072】
制御部72は、電動装置44を制御するように構成される。例えば、制御部72は、第1制御モードと、第2制御モードとのいずれかにおいて電動装置44を制御可能に構成される。第1制御モードにおいて、制御部72は、操作部42の操作に応じて電動装置44を制御する。第2制御モードにおいて、制御部72は、人力駆動車10の走行環境および人力駆動車10の走行状態の少なくとも1つに応じて電動装置44を制御する。例えば、制御部72は、第2制御モードにおいて、操作部42の操作に応じて電動装置44を制御可能に構成される。
【0073】
例えば、人力駆動車10は、第1制御モードおよび第2制御モードの一方から他方に切り替える切替操作部をさらに含んでいてもよい。例えば、切替操作部は、ハンドルバー38に設けられる。切替操作部は、サイクルコンピュータに設けられてもよい。制御部72は、人力駆動車10の走行環境および走行状態の少なくとも1つに応じて、第1制御モードおよび第2制御モードのいずれにおいて電動装置44を制御するかを選択可能に構成されてもよい。
【0074】
制御部72は、第1制御部72Aを含む。第1制御部72Aは、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。第1制御部72Aに含まれる演算処理装置は、例えばCPUまたはMPUを含む。第1制御部72Aに含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。第1制御部72Aは、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0075】
例えば、第1制御部72Aは、第1人工知能処理部78を含む。例えば、第1人工知能処理部78は、演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPUまたはMPUを含む。演算処理装置は、CPUまたはMPUに加えて、GPU(Graphics Processing Unit)を含む。演算処理装置は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでいてもよい。第1人工知能処理部78は、1または複数の演算処理装置を含んでいてもよい。第1人工知能処理部78は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。
【0076】
例えば、制御装置70は、記憶部80をさらに備える。記憶部80は、第1学習モデル100を記憶する。例えば、記憶部80は、第1人工知能処理部78に含まれる。記憶部80の少なくとも一部は、記憶部74に含まれていてもよい。例えば、記憶部80は、ソフトウェアを記憶し、演算処理装置は、記憶部80に記憶されているソフトウェアを実行する。例えば、記憶部80は、制御プログラム、および、学習プログラムをさらに記憶する。第1学習モデル100は、所定学習アルゴリズムによって学習された学習済みのモデルであってもよく、学習アルゴリズムによって更新されるよう構成されるものであってもよい。学習アルゴリズムは、機械学習、深層学習、または、深層強化学習を含む。例えば、学習アルゴリズムは、教師あり学習、教師なし学習、および、強化学習の少なくとも1つを含む。
【0077】
学習アルゴリズムは、人工知能の分野に属する手法を用いて第1学習モデル100を更新させるように構成されていれば、本明細書に記載されている手法以外の手法を用いてもよい。例えば、第1学習モデル100を更新させるための学習処理は、GPUによって行われる。学習アルゴリズムは、ニューラルネットワーク(NN;Neural Network)を用いてもよい。学習アルゴリズムは、リカレントニューラルネットワーク(RNN;Recurrent Neural Network)を用いてもよい。
【0078】
図3に示されるように、第1人工知能処理部78の第1学習モデル100の一例は、入力層82、中間層84、および、出力層86を含む。入力層82には、入力情報が入力される。第1学習モデル100は、入力層82に情報が入力されると、出力層86から出力情報を出力するように予め学習される。中間層84は、教師データを用いることによって、入力層82に入力される情報と、出力層86が出力する出力情報との関係を学習する。
【0079】
例えば、第1学習モデル100は、外部装置によって更新可能に構成されてもよい。外部装置は、例えばスマートフォンまたはパソコンである。例えば、第1学習モデル100が外部装置によって更新可能な場合、外部装置は、中間層84の畳み込み層88、プーリング層90、および、全結合層92の数を更新可能である。例えば、第1学習モデル100が外部装置によって更新可能な場合、外部装置は、入力層82に入力される入力情報と、出力層86が出力する出力情報と、の間の中間層84が学習する関係が、更新可能である。
【0080】
第1制御部72Aは、第1検出部54によって取得される人力駆動車10の走行路の前方情報と、ライダによる操作部42の操作履歴とを関連付けた第1情報に応じて電動装置44を制御可能に構成される。例えば、第1情報は、走行路の状態の決定結果と、操作履歴とを関連付けた情報である。例えば、操作履歴は、記憶部80に記憶される。
【0081】
例えば、制御部72は、第1情報と、人力駆動車10の走行環境および人力駆動車10の走行状態の少なくとも1つと、に応じて電動装置44を制御するように構成される。例えば、第1情報は、前方情報と、操作履歴とを、人力駆動車10の走行環境および人力駆動車10の走行状態の少なくとも1つに関連付けた情報である。
【0082】
例えば、第1人工知能処理部78は、第1情報に基づいて作成される第1学習モデル100に応じて電動装置44を制御するための第2情報を出力する。例えば、第1学習モデル100における入力情報は、前方画像である。例えば、第1学習モデル100における出力情報は、第2情報である。例えば、制御部72は、第2情報に基づいて電動装置44を制御するように構成される。例えば、制御部72は、第2制御モードにおいて、人力駆動車10の走行環境および人力駆動車10の走行状態の少なくとも1つと、第2情報との少なくとも1つに基づいて電動装置44を制御するように構成される。
【0083】
電動装置44が変速装置46を含む場合、例えば、操作部42は、変速比Rを増加させるための第1変速操作部と、変速比Rを減少させるための第2変速操作部と、を含む。例えば、制御部72は、第1変速操作部が操作されると、変速比Rを大きくするように電動アクチュエータ46Cを制御するように構成される。例えば、制御部72は、第2変速操作部が操作されると、変速比Rを小さくするように電動アクチュエータ46Cを制御するように構成される。
【0084】
電動装置44が変速装置46を含む場合、例えば、制御部72は、第2制御モードにおいて、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに応じて電動アクチュエータ46Cを制御するように構成される。例えば、制御部72は、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに関するパラメータと対応する変速条件に応じて、変速装置46を制御する。例えば、人力駆動車10の走行状態は、車速、クランク14の回転速度C、人力駆動力、および、人力駆動車10のピッチ角度の少なくとも1つを含む。例えば、人力駆動車10の走行環境は、人力駆動車10の走行路の斜度を含む。例えば、変速条件は、人力駆動車10の走行中に、パラメータが所定範囲内に維持されるように変速装置46を制御するための条件として設定される。変速条件は、例えば、人力駆動車10の走行開始時に、変速比Rを所定変速比RX以下にするための条件として設定される。
【0085】
電動装置44が変速装置46を含む場合、制御部72は、第1情報に基づいて、変速装置46を制御するように構成される。例えば、制御部72は、第2情報に基づいて、変速装置46を制御するように構成される。例えば、第2情報には、変速条件を変更するための情報が含まれる。電動装置44が変速装置46を含む場合、例えば、制御部72は、第2制御モードにおいて、第2情報に基づいて電動アクチュエータ46Cを制御するように構成される。
【0086】
例えば、制御部72は、変速条件が成立すると、変速要求を発生させる。例えば、制御部72は、所定閾値と、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに関するパラメータと、を比較することによって、変速条件が成立するか否かを判定する。例えば、制御部72は、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに関するパラメータが所定閾値よりも大きい場合、変速要求を発生させる。制御部72は、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに関するパラメータが所定閾値よりも小さい場合、変速要求を発生させる。
【0087】
例えば、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに関するパラメータが所定閾値以上になると、制御部72に変速比Rを増加させるための変速要求を発生させ、変速装置46から制御部72に変速要求が送信される。例えば、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに関するパラメータが所定閾値以下になると、制御部72に変速比Rを減少させるための変速要求を発生させる。変速要求が発生すると、制御部72は、変速要求に応じて変速装置46に変速動作を開始させる。
【0088】
電動装置44がモータ48を含む場合、例えば、制御部72は、モータ48によるアシストレベルが所定のアシストレベルになるようにモータ48を制御する。例えば、アシストレベルは、人力駆動力に対するモータ48によるアシスト力の比率、モータ48の出力の上限値、人力駆動力が低下する場合におけるモータ48の出力変化の規制レベル、人力駆動力が増加する場合におけるモータ48の出力の増加速度、および、モータ48の出力の少なくとも1つを含む。
【0089】
人力駆動力に対するモータ48によるアシスト力の比率を、アシスト比率と記載する場合がある。制御部72は、例えば、人力駆動力に対して、モータ48によるアシスト力が所定比率になるように、モータ48を制御するように構成されてもよい。人力駆動力は、ユーザがクランク14を回転させることによって発生する人力駆動車10の推進力に対応する。アシスト力は、モータ48の回転によって発生する人力駆動車10の推進力に対応する。所定比率は、一定ではなくてよい。例えば、所定比率は、人力駆動力に応じて変化してもよく、クランク14の回転速度に応じて変化してもよく、人力駆動車10の車速に応じて変化してもよい。例えば、所定比率は、人力駆動力、クランク14の回転速度、および、人力駆動車10の車速のうちのいずれか2つ、または、全てに応じて変化してもよい。
【0090】
人力駆動力およびアシスト力をトルクによって表わす場合、人力駆動力を人力トルクと記載し、アシスト力をアシストトルクと記載する。人力駆動力およびアシスト力を仕事率によって表わす場合、人力駆動力を人力仕事率と記載し、アシスト力をアシスト仕事率と記載する。人力駆動力に対するモータ48によるアシスト力の比率は、人力駆動車10の人力トルクに対するアシストトルクのトルク比率であってもよく、人力仕事率に対するモータ48によるアシスト仕事率の比率であってもよい。
【0091】
例えば、ドライブユニットは、クランク14が減速機または増速機を介さずに第1回転体28に接続され、かつ、モータ48の出力が第1回転体28に入力される。本実施形態において、人力駆動力は、ユーザがクランク14を回転させることによって第1回転体28に入力される駆動力に対応する。本実施形態において、アシスト力は、モータ48が回転することによって第1回転体28に入力される駆動力に対応する。モータ48の出力が減速機を介して第1回転体28に入力される場合は、アシスト力は、減速機の出力に対応する。
【0092】
制御部72は、アシスト力がモータ48の出力の上限値以下になるようにモータ48を制御するように構成される。モータ48の出力が第1回転体28に入力され、かつ、アシスト力がトルクによって表される場合、制御部72は、アシストトルクがモータ48の出力トルクの上限値以下になるようにモータ48を制御するように構成される。例えば、モータ48の出力トルクの上限値は、20Nm以上200Nm以下の範囲の値である。モータ48の出力が第1回転体28に入力され、かつ、アシスト力が仕事率によって表される場合、制御部72は、アシスト仕事率がモータ48の仕事率の上限値以下になるようにモータ48を制御するように構成される。
【0093】
例えば、制御部72は、モータ48の出力変化の規制レベルを変更可能に構成される。モータ48の出力変化の規制レベルが大きくなるほど、モータ48の制御パラメータの単位時間当たりの変化量に対するモータ48の出力の単位時間当たりの変化量が減少する。モータ48の出力変化の規制レベルが小さくなるほど、モータ48の制御パラメータの単位時間当たりの変化量に対するモータ48の出力の単位時間当たりの変化量が増加する。
【0094】
本実施形態において、モータ48の制御パラメータは、人力駆動力に対応する。モータ48の制御パラメータは、クランク14の回転速度に対応してもよい。例えば、モータ48の出力変化の規制レベルは、人力駆動力またはクランク14の回転速度が減少する場合における規制レベルに対応する。モータ48の出力変化の規制レベルは、モータ48の応答速度に反比例する。モータ48の応答速度は、モータ48の制御パラメータの単位時間当たりの変化量に対するモータ48の出力の単位時間当たりの変化量によって表される。モータ48の出力変化の規制レベルが増加すると、モータ48の応答速度は減少する。
【0095】
制御部72は、例えば、フィルタ回路によってモータ48の出力変化の規制レベルを変更する。フィルタ回路は、例えば、時定数を有するローパスフィルタを含む。制御部72は、フィルタの時定数を変更することによってモータ48の出力変化の規制レベルを変更する。制御部72は、人力駆動力からモータ48の出力を算出するためのゲインを変更することによってモータ48の出力変化の規制レベルを変更するようにしてもよい。フィルタ回路は、例えば、演算処理装置において所定のソフトウェアを実行することによって構成される。
【0096】
電動装置44がモータ48を含む場合、例えば、操作部42は、アシストレベルを増加させるための第1アシスト操作部と、アシストレベルを減少させるための第2アシスト操作部と、を含む。例えば、制御部72は、第1アシスト操作部が操作されると、アシストレベルを大きくするようにモータ48を制御するように構成される。例えば、制御部72は、第2アシスト操作部が操作されると、アシストレベルを小さくするようにモータ48を制御するように構成される。
【0097】
電動装置44がモータ48を含む場合、例えば、制御部72は、第2制御モードにおいて、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに応じてアシストレベルを変更するように構成される。
【0098】
電動装置44がモータ48を含む場合、制御部72は、第1情報に基づいて、モータ48を制御するように構成される。例えば、制御部72は、第2情報に基づいて、モータ48を制御するように構成される。例えば、第2情報には、アシストレベルを変更するための情報が含まれる。電動装置44がモータ48を含む場合、例えば、制御部72は、第2制御モードにおいて、第2情報に基づいてモータ48を制御するように構成される。
【0099】
電動装置44がサスペンション装置50を含む場合、例えば、操作部42は、複数の動作状態を切り替えるサスペンション操作部を含む。例えば、制御部72は、サスペンション操作部が操作されると、動作状態を、複数の動作状態の1つから他の1つに変更する。
【0100】
電動装置44がサスペンション装置50を含む場合、制御部72は、第1情報に基づいて、サスペンション装置50を制御するように構成される。例えば、制御部72は、第2情報に基づいて、サスペンション装置50を制御するように構成される。例えば、第2情報には、動作状態を変更するための情報が含まれる。電動装置44がサスペンション装置50を含む場合、例えば、制御部72は、第2制御モードにおいて、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに応じて動作状態を、複数の動作状態の1つから他の1つに変更するように構成される。
【0101】
電動装置44がサスペンション装置50を含む場合、例えば、制御部72は、第2制御モードにおいて、第2情報に基づいてサスペンション装置50を制御するように構成される。
【0102】
電動装置44がアジャスタブルシートポスト52を含む場合、例えば、操作部42は、シートポスト40の高さを高くするための第1シートポスト操作部と、シートポスト40の高さを低くするための第2シートポスト操作部と、を含む。例えば、制御部72は、第1シートポスト操作部が操作されると、シートポスト40の高さを高くするようにアジャスタブルシートポスト52を制御するように構成される。例えば、制御部72は、第2シートポスト操作部が操作されると、シートポスト40の高さを低くするようにアジャスタブルシートポスト52を制御するように構成される。
【0103】
電動装置44がアジャスタブルシートポスト52を含む場合、例えば、制御部72は、第2制御モードにおいて、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに応じてシートポスト40の高さを変更するように構成される。
【0104】
電動装置44がアジャスタブルシートポスト52を含む場合、制御部72は、第1情報に基づいて、アジャスタブルシートポスト52を制御できるように構成される。例えば、制御部72は、第2情報に基づいて、アジャスタブルシートポスト52を制御できるように構成される。例えば、第2情報には、シートポスト40の高さを変更するための情報が含まれる。電動装置44がアジャスタブルシートポスト52を含む場合、例えば、制御部72は、第2制御モードにおいて、第2情報に基づいてアジャスタブルシートポスト52を制御するように構成される。
【0105】
例えば、第1人工知能処理部78は、第1制御モードにおける前方情報と、第1制御モードにおける操作履歴とに応じて、第1学習モデル100を更新するように構成される。例えば、第1人工知能処理部78は、第2制御モードにおける前方情報と、第2制御モードにおける操作履歴とに応じて、第1学習モデル100を更新するように構成される。第1人工知能処理部78は、第1制御モードにおける前方情報と、第1制御モードにおける操作履歴と、のみに応じて、第1学習モデル100を更新するように構成されてもよい。第1人工知能処理部78は、第2制御モードにおける前方情報と、第2制御モードにおける操作履歴と、のみに応じて、第1学習モデル100を更新するように構成されてもよい。第1人工知能処理部78は、第1制御モードにおける前方情報と、第1制御モードにおける操作履歴とに応じて、第1学習モデル100を更新するように構成され、かつ、第2制御モードにおける前方情報と、第2制御モードにおける操作履歴とに応じて、第1学習モデル100を更新するように構成されてもよい。
【0106】
例えば、制御部72は、第2制御部72Bをさらに含む。第2制御部72Bは、前方情報から走行路の状態を決定する。前方情報は、撮像装置56によって取得される前方画像を含む。例えば、第2人工知能処理部94は、前方画像から走行路の状態を決定する。
【0107】
例えば、第2制御部72Bは、第2人工知能処理部94を含む。例えば、第2人工知能処理部94は、演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPUまたはMPUを含む。演算処理装置は、CPUまたはMPUに加えて、GPUを含む。演算処理装置は、FPGAを含んでいてもよい。第2人工知能処理部94は、1または複数の演算処理装置を含んでいてもよい。第2人工知能処理部94は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。
【0108】
例えば、制御装置70は、記憶部96をさらに備える。記憶部96は、第2学習モデル110を記憶する。例えば、記憶部96は、第2人工知能処理部94に含まれる。記憶部96の少なくとも一部は、記憶部74に含まれていてもよい。例えば、記憶部96は、ソフトウェアを記憶し、演算処理装置は、記憶部96に記憶されているソフトウェアを実行する。例えば、記憶部96は、制御プログラム、および、学習プログラムをさらに記憶する。第2学習モデル110は、所定学習アルゴリズムによって学習された学習済みのモデルであってもよく、学習アルゴリズムによって更新されるよう構成されるものであってもよい。学習アルゴリズムは、機械学習、深層学習、または、深層強化学習を含む。例えば、学習アルゴリズムは、教師あり学習、教師なし学習、および、強化学習の少なくとも1つを含む。
【0109】
学習アルゴリズムは、人工知能の分野に属する手法を用いて第2学習モデル110を更新させるように構成されていれば、本明細書に記載されている手法以外の手法を用いてもよい。例えば、第2学習モデル110を更新させるための学習処理は、GPUによって行われる。学習アルゴリズムは、ニューラルネットワークを用いてもよい。学習アルゴリズムは、リカレントニューラルネットワークを用いてもよい。
【0110】
第2人工知能処理部94の第2学習モデル110は、例えば、第1学習モデル100と同様に構成される入力層、中間層、および、出力層を含む。
【0111】
例えば、第2学習モデル110は、外部装置によって更新可能に構成されてもよい。外部装置は、例えばスマートフォンまたはパソコンである。例えば、第2学習モデル110が外部装置によって更新可能な場合、外部装置は、中間層の畳み込み層、プーリング層、および、全結合層の数を更新可能である。例えば、第2学習モデル110が外部装置によって更新可能な場合、外部装置は、入力層に入力される入力情報と、出力層が出力する出力情報と、の間の中間層が学習する関係が、更新可能である。
【0112】
例えば、第2人工知能処理部94は、第2学習モデル110に応じて前方情報から走行路の状態を決定する。例えば、第2制御部72Bは、前方情報から走行路の状態が複数の所定状態のうちのいずれであるかを決定するように構成される。例えば、第2学習モデル110における入力情報は、前方画像である。例えば、第2学習モデル110における出力情報は、走行路の状態である。
【0113】
例えば、第2人工知能処理部94によって決定される走行路の状態は、走行路の土地情報および障害物情報の少なくとも1つを含み、土地情報は、人力駆動車の走行方向と交差する第1平面Pに関する情報であり、障害物情報は、第1平面Pに関する情報である。第2人工知能処理部94によって決定される走行路の状態は、例えば、走行路の舗装状態、走行路の障害物、走行路の変化、および、走行路の路面勾配の少なくとも1つを含む。走行路の舗装状態は、舗装路および未舗装路を含む。
【0114】
図4は、第1平面Pの一例を示す。第2人工知能処理部94は、第1平面Pにおける走行路の形状Sを決定する。第2人工知能処理部94は、例えば、第1平面Pにおける走行路の形状Sが、予め記憶部96に記憶される複数の画像情報のいずれに最も近いかを特定し、特定した結果を出力する。
図5は、複数の画像情報の一例を示す。
【0115】
例えば、第2人工知能処理部94は、前方画像から舗装路に関連する第1特徴物を特定する。例えば、第2人工知能処理部94は、特定された第1特徴物に基づいて舗装状態を特定する。第1特徴物は、舗装状態が舗装路である場合に前方画像に含まれやすい物体である。例えば、第2人工知能処理部94は、前方画像から未舗装路に関連する第2特徴物を特定する。例えば、第2人工知能処理部94は、特定された第2特徴物に基づいて舗装状態を特定する。第2特徴物は、舗装状態が未舗装路である場合に前方画像に含まれやすい物体である。
【0116】
例えば、第1特徴物は人工物、地形、路面状況、植生、信号、標識、移動体、および、境界物の少なくとも1つを含む。例えば、人工物は、歩道、交差点、ガードレール、縁石、および、ビルなどを含む。例えば、第1特徴物における地形は、坂道、平坦、丘、および、壁などを含む。例えば、第1特徴物における路面状況は、アスファルト、コンクリート、および、階段などを含む。例えば、第1特徴物における植生は、植木などを含む。例えば、第1特徴物における標識は、看板、道路標示、交通標識、中央線、車線境界線、および、停止線などを含む。例えば、第1特徴物における移動体は、車、自動二輪車、自転車、人、および、人に追随する動物などを含む。例えば、人に追随する動物は、犬や猫のペットを含む。例えば、第1特徴物における境界物は、路面の濃淡、および、路面の舗装材料の境界などを含む。
【0117】
例えば、第2特徴物は自然物、地形、路面状況、植生、信号、標識、移動体、および、境界物の少なくとも1つを含む。例えば、自然物は、木、草、岩、川、谷、および、池などを含む。例えば、第2特徴物における地形は、尾根、斜面トラバース、緩やかな片落ち、急な片落ち、平坦、丘、片バンク、緩やかな片斜面、急な片斜面、および、壁などを含む。例えば、第2特徴物における路面状況は、アスファルト、コンクリート、土、砂利、砂、岩、ガレ場、草、泥、および、段差などを含む。例えば、第2特徴物における標識は、看板、道路標示、地図、分岐の記号、コース名称、および、順位が記載された看板や立て札などを含む。例えば、第2特徴物における移動体は、他のライダ、動物、および、観客などを含む。例えば、第2特徴物における境界物は、路面の濃淡、および、草のはげた状態などを含む。
【0118】
第2人工知能処理部94において、入力情報は走行路の前方画像である。第2人工知能処理部94において、出力情報は走行路の舗装状態が舗装路であるか未舗装路であるかに関する情報である。中間層84によって用いられる教師データは、走行路の画像に関する情報と、第1特徴物および第2特徴物の少なくとも1つに関する情報と、第1特徴物および第2特徴物の少なくとも1つに関する情報を特定するための情報と、を含む。
【0119】
例えば、第2人工知能処理部94は、前方画像に基づいて第1特徴物および第2特徴物の少なくとも1つを特定する。例えば、第2人工知能処理部94は、前方画像を画像処理することによって、第1特徴物および第2特徴物の少なくとも1つを特定する。例えば、第2人工知能処理部94は、撮像装置56から送信される前方画像が入力されると、前方画像に基づいて、走行路の舗装状態を推定する。例えば、第2人工知能処理部94は、前方画像からエッジ検出をし、検出されたエッジを第1特徴物および第2特徴物の少なくとも1つとして特定する。
【0120】
例えば、第2人工知能処理部94は、走行路に第1特徴物がある場合、走行路が舗装路であると特定する。例えば、第2人工知能処理部94は、走行路に第2特徴物がある場合、走行路が未舗装路であると特定する。例えば、第2人工知能処理部94は、走行路に第1特徴物および第2特徴物のそれぞれがある場合、第1特徴物および第2特徴物のそれぞれの数の比率、および、第1特徴物および第2特徴物のそれぞれの面積の和の比率に応じて舗装状態を特定してもよい。
【0121】
例えば、第2人工知能処理部94は、特定した第1特徴物および第2特徴物の少なくとも1つに基づいて前方画像における走行路である領域と走行路ではない領域との境界を特定してもよい。第2人工知能処理部94は、特定した境界に基づいて走行路を推定するように構成される。例えば、第2人工知能処理部94は、前方画像からエッジ検出することで走行路を推定する。
【0122】
例えば、前方画像における走行路ではない領域とは、前方画像のうちの地表面ではない領域、および、前方画像のうちの地表面であって走行に適しない領域を含む。例えば、地表面ではない領域は、水面、空、および、空間を含む。例えば、走行に適していない領域は、緑地、走破不可能な斜面、崖などを含む。例えば、第2人工知能処理部94によって推定された走行路は、人力駆動車10の走行方向と直交する人力駆動車10の左右方向において幅を有する。例えば、第2人工知能処理部94は、人力駆動車10によって通過できない障害物がある場合、その部分を走行路として特定しない。
【0123】
例えば、第2人工知能処理部94は、前方に向かう境界に基づいて、走行路の変化があると推定する。例えば、第2人工知能処理部94は、前方に向かう境界が曲がっている場合、走行路にカーブがあると判定する。例えば、第2人工知能処理部94は、前方に向かう境界が人力駆動車10の進行方向において途切れている場合、および、境界が前方において横方向に延び、2つの境界が重なる場合、推定走行路に段差があると判定する。
【0124】
例えば、第2人工知能処理部94は、境界が歪んでいる場合、走行路に路面勾配があると推定する。例えば、第2人工知能処理部94は、空と対応する部分と接する境界の前方画像上の位置に基づいて、走行路に路面勾配があると推定する。例えば、第2人工知能処理部94は、境界の歪みに応じて、走行路に路面勾配の変化があると推定する。例えば、第2人工知能処理部94は、空と対応する部分と接する境界の前方画像上の位置に基づいて、走行路に路面勾配の変化があると推定する。例えば、第2人工知能処理部94は、境界がある領域を囲んでいる場合、走行路に障害物があると推定する。
【0125】
例えば、制御部72は、走行路の舗装状態に応じて、電動装置44を制御するように構成される。例えば、制御部72は、走行路が未舗装路の場合、第1制御状態によって電動装置44を制御するように構成される。例えば、制御部72は、走行路が舗装路の場合、第2制御状態によって電動装置44を制御するように構成される。例えば、第1制御状態は、未舗装路を走行するための制御状態である。例えば、第2制御状態は、舗装路を走行するための制御状態である。
【0126】
例えば、制御部72は、第1制御モードにおいて、走行路が未舗装路の場合、第1情報に基づいて電動装置44を制御するように構成される。例えば、制御部72は、第1制御モードにおいて、走行路が舗装路の場合、第1情報に基づいて電動装置44を制御しないように構成される。制御部72は、第1制御モードにおいて、走行路が舗装路の場合、第1情報に基づいて電動装置44を制御するように構成されてもよい。
【0127】
制御部72は、第1制御状態において、第2情報に基づいて電動装置44を制御するように構成される。例えば、第1人工知能処理部78は、第1平面Pにおける走行路の形状Sが、予め記憶部96に記憶される複数の画像情報のいずれに最も近いかを特定する。例えば、第1人工知能処理部78は、特定した結果と同じ形状Sの場合に操作部42が操作された操作履歴がある場合、電動装置44が操作履歴と同様に制御されるように第2情報を作成する。
【0128】
図6を参照して、制御状態に応じて、制御部72が電動装置44を制御する処理が説明される。例えば、制御部72に電力が供給されると、制御部72は処理を開始して
図6に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部72は、
図6のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後に
図6のステップS11からの処理を繰り返す。
【0129】
制御部72は、ステップS11において、第2制御モードか否かを判定する。制御部72は、第2制御モードの場合、ステップS12に移行する。制御部72は、ステップS12において、走行路が未舗装路か否かを判定する。例えば、制御部72は、第2人工知能処理部94によって決定された走行路の状態が、未舗装路である場合、走行路が未舗装路であると判定する。制御部72は、走行路が未舗装路の場合、ステップS13に移行する。制御部72は、ステップS13において、第1制御状態において電動装置44を制御し、処理を終了する。
【0130】
制御部72は、ステップS12において、走行路が未舗装路ではない場合、ステップS14に移行する。制御部72は、ステップS14において、第2制御状態において電動装置44を制御し、処理を終了する。
【0131】
制御部72は、ステップS11において、第2制御モードではない場合、ステップS15に移行する。制御部72は、ステップS15において、操作部42の操作に応じて電動装置44を制御し、処理を終了する。
【0132】
本実施形態の第1制御部72Aは、前方情報と、操作履歴とを関連付けた第1情報に応じて電動装置44を制御可能に構成されるため、走行路の前方の状態に適した電動装置44の制御を、予め実行できる、または、早期に開始できる。
【0133】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の制御装置は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0134】
・第1学習モデル100を含む人力駆動車用の制御装置70に用いられる学習モデルは、記憶部80から取り出し、および、外部装置から記憶部80に記憶可能に構成されてもよい。この場合、第1学習モデル100は、学習済みモデルである。
【0135】
・記憶部80は、外部装置に設けられてもよい。この場合、制御装置70は、外部装置の記憶部80と通信可能な通信部を備える。外部装置は、例えばインターネット等を介して通信可能なサーバを含む。
【0136】
・第1人工知能処理部78と第2人工知能処理部94とは一体に形成されてもよい。
【0137】
・第1検出部54は、レーザ装置を含んでいてもよい。第1検出部54がレーザ装置を含む場合、前方情報は、レーザ装置によって取得される障害物情報を含む。例えば、障害物情報は、車、自動二輪車、他の人力駆動車、人、動物、木、岩、および、家屋などを含む。
【0138】
・第1検出部54は、位置情報検出部を含んでいてもよい。第1検出部54が位置情報検出部を含む場合、前方情報は、位置情報検出部によって取得される走行路の地図情報を含む。
【0139】
・走行路の状態は、第2人工知能処理部94によって特定された第1特徴物および第2特徴物の少なくとも1つまでの距離に関する情報を含んでいてもよい。この場合、例えば、第1人工知能処理部78は、操作履歴に、特定された第1特徴物および第2特徴物の少なくとも1つまでの距離と同じ距離の場合に操作部42が操作された第1履歴が含まれる場合、電動装置44が第1履歴の場合と同様に制御されるように第2情報を作成する。
【0140】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0141】
10…人力駆動車、42…操作部、44…電動装置、46…変速装置、48…モータ、50…サスペンション装置、52…アジャスタブルシートポスト、54…第1検出部、56…撮像装置、70…制御装置、72…制御部、72A…第1制御部、72B…第2制御部、78…第1人工知能処理部、80…記憶部、100…第1学習モデル。