(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048913
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置
(51)【国際特許分類】
B62M 25/08 20060101AFI20230331BHJP
B62J 45/41 20200101ALI20230331BHJP
【FI】
B62M25/08
B62J45/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158495
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(72)【発明者】
【氏名】白井 豊土
(72)【発明者】
【氏名】坂川 優希
(72)【発明者】
【氏名】中島 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】島津 速人
(57)【要約】
【課題】電動装置を好適に制御できる人力駆動車用の制御装置を提供する。
【解決手段】人力駆動車用の制御装置であって、制御装置は、前記人力駆動車の電動装置を制御するように構成される制御部を備え、前記制御部は、前記人力駆動車の走行路の前方において前記走行路が下り坂から上り坂に変化する場合、前記人力駆動車から前記走行路が前記下り坂から前記上り坂に変化する地点までの第1距離、前記下り坂の第1角度、前記上り坂の第2角度、および、前記第1角度と前記第2角度との差の少なくとも1つに応じて前記電動装置を制御するように構成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車の電動装置を制御するように構成される制御部を備え、
前記制御部は、前記人力駆動車の走行路の前方において前記走行路が下り坂から上り坂に変化する場合、前記人力駆動車から前記走行路が前記下り坂から前記上り坂に変化する地点までの第1距離、前記下り坂の第1角度、前記上り坂の第2角度、および、前記第1角度と前記第2角度との差の少なくとも1つに応じて前記電動装置を制御するように構成される、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記走行路が前記下り坂から前記上り坂に変化する場合、前記第1距離、前記第1角度、前記第2角度、および、前記差の少なくとも1つに応じて第1制御状態または第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1距離が第1所定距離以下の場合、前記第1制御状態において前記電動装置を制御し、
前記第1距離が前記第1所定距離よりも大きい場合、前記第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1角度が第1所定角度以下の場合、前記第1制御状態において前記電動装置を制御し、
前記第1角度が前記第1所定角度よりも大きい場合、前記第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される、請求項2または3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第2角度が第2所定角度以上の場合、前記第1制御状態において前記電動装置を制御し、
前記第2角度が前記第2所定角度よりも小さい場合、前記第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される、請求項2から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記差が所定差以上の場合、前記第1制御状態において前記電動装置を制御し、
前記差が前記所定差よりも小さい場合、前記第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される、請求項2から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、第1検出部から入力される前方情報に応じて、前記走行路を推定するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車の電動装置を制御するように構成される制御部を備え、
前記制御部は、
第1検出部から入力される前方情報に応じて、前記人力駆動車の走行路を推定し、
前記走行路が谷底を横断する場合、前記谷底の底部形状に応じて前記電動装置を制御するように構成される、制御装置。
【請求項9】
前記底部形状は、前記人力駆動車の進行方向に沿った前記谷底の形状である、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記走行路が前記谷底を横断する場合、前記底部形状に応じて第1制御状態または第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される、請求項8または9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記底部形状が第1形状の場合、前記第1制御状態において前記電動装置を制御し、
前記底部形状が前記第1形状よりもなだらかな第2形状の場合、前記第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される、請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記第1形状は、前記人力駆動車から前記走行路が下り坂から上り坂に変化する地点までの第1距離が第1所定距離以下、前記下り坂の第1角度が第1所定角度以下、前記上り坂の第2角度が第2所定角度以上、および、前記第1角度と前記第2角度との差が所定差以上、の少なくとも1つが満たされる形状であり、
前記第2形状は、前記第1距離が前記第1所定距離よりも大きい、前記第1角度が第1所定角度よりも大きい、前記第2角度が第2所定角度よりも小さい、および、前記差が前記所定差よりも小さい、の少なくとも1つが満たされる形状である、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記人力駆動車のピッチ角度が第3所定角度以下の場合、前記第1制御状態または前記第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される、請求項2から6、10から12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記人力駆動車から前記第1角度が第4所定角度以上になる地点までの第2距離に応じて前記電動装置を制御するように構成され、
前記第2距離が第2所定距離以上の場合、第3制御状態において前記電動装置を制御するように構成され、
前記第3制御状態は、前記第1制御状態および前記第2制御状態のいずれとも異なる、請求項2から6、10から13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項15】
前記電動装置は、前記人力駆動車のクランクの回転速度に対する車輪の回転速度の比率と対応する変速比を変更する変速装置を含み、
前記制御部は、
変速条件に応じて前記変速比を変更するように前記変速装置を制御するように構成され、
前記第1制御状態または前記第2制御状態に応じて前記変速条件を変更するよう構成される、請求項2から6、10から14のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記第1制御状態において、前記第2制御状態よりも前記変速比が小さくなるように前記変速比を変更する頻度が多くなるように、前記変速条件を変更するように構成される、請求項15に記載の制御装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記第1制御状態において、前記第2制御状態よりも前記変速比が大きくなるように前記変速比を変更する頻度が少なくなるように、前記変速条件を変更するように構成される、請求項15または16に記載の制御装置。
【請求項18】
前記第1距離は、前記第1角度が第5所定角度以上になる地点から前記第2角度が第6所定角度以上になる地点までの距離である、請求項1から7、12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項19】
前記電動装置は、前記人力駆動車のクランクの回転速度に対する車輪の回転速度の比率と対応する変速比を変更する変速装置を含む、請求項1から14、18のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項20】
前記第1検出部は、撮像装置を含み、
前記前方情報は、前記撮像装置によって取得される前方画像を含む、請求項7から12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項21】
前記第1検出部は、レーザ装置を含み、
前記前方情報は、前記レーザ装置によって取得される地形情報を含む、請求項7から12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項22】
前記第1検出部は、位置情報検出部を含み、
前記前方情報は、前記位置情報検出部によって取得される前記走行路の地図情報を含む、請求項7から12のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1の人力駆動車用の制御装置は、走行状態を検出するセンサの出力に応じて電動装置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の人力駆動車用の制御装置は、人力駆動車の走行状態に応じた制御は実行できるが、周辺環境等については考慮されない。
本開示の目的は、電動装置を好適に制御できる人力駆動車用の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車の電動装置を制御するように構成される制御部を備え、前記制御部は、前記人力駆動車の走行路の前方において前記走行路が下り坂から上り坂に変化する場合、前記人力駆動車から前記走行路が前記下り坂から前記上り坂に変化する地点までの第1距離、前記下り坂の第1角度、前記上り坂の第2角度、および、前記第1角度と前記第2角度との差の少なくとも1つに応じて前記電動装置を制御するように構成される。
第1側面の制御装置によれば、走行路の前方において、走行路が下り坂から上り坂に変化する場合、第1距離、第1角度、第2角度、および、差の少なくとも1つに応じて電動装置を好適に制御できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記制御部は、前記走行路が前記下り坂から前記上り坂に変化する場合、前記第1距離、前記第1角度、前記第2角度、および、前記差の少なくとも1つに応じて第1制御状態または第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される。
第2側面の制御装置によれば、走行路が下り坂から上り坂に変化する場合、第1距離、第1角度、第2角度、および、差の少なくとも1つに好適な制御状態によって電動装置を好適に制御できる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1距離が第1所定距離以下の場合、前記第1制御状態において前記電動装置を制御し、前記第1距離が前記第1所定距離よりも大きい場合、前記第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される。
第3側面の制御装置によれば、走行路が下り坂から上り坂に変化する場合、第1距離に好適な制御状態によって電動装置を制御できる。
【0008】
本開示の第2または3側面に従う第4側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1角度が第1所定角度以下の場合、前記第1制御状態において前記電動装置を制御し、前記第1角度が前記第1所定角度よりも大きい場合、前記第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される。
第4側面の制御装置によれば、走行路が下り坂から上り坂に変化する場合、第1角度に好適な制御状態によって電動装置を制御できる。
【0009】
本開示の第2から4側面のいずれか1つに従う第5側面の制御装置において、前記制御部は、前記第2角度が第2所定角度以上の場合、前記第1制御状態において前記電動装置を制御し、前記第2角度が前記第2所定角度よりも小さい場合、前記第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される。
第5側面の制御装置によれば、走行路が下り坂から上り坂に変化する場合、第2角度に好適な制御状態によって電動装置を制御できる。
【0010】
本開示の第2から5側面のいずれか1つに従う第6側面の制御装置において、前記制御部は、前記差が所定差以上の場合、前記第1制御状態において前記電動装置を制御し、前記差が前記所定差よりも小さい場合、前記第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される。
第6側面の制御装置によれば、走行路が下り坂から上り坂に変化する場合、差に好適な制御状態によって電動装置を制御できる。
【0011】
本開示の第1から6側面のいずれか1つに従う第7側面の制御装置において、前記制御部は、第1検出部から入力される前方情報に応じて、前記走行路を推定するように構成される。
第7側面の制御装置によれば、第1検出部から入力される前方情報に応じて推定した走行路から、走行路が下り坂から上り坂に変化するか否かを推定できる。
【0012】
本開示の第8側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車の電動装置を制御するように構成される制御部を備え、前記制御部は、第1検出部から入力される前方情報に応じて、前記人力駆動車の走行路を推定し、前記走行路が谷底を横断する場合、前記谷底の底部形状に応じて前記電動装置を制御するように構成される、制御装置。
第8側面の制御装置によれば、走行路の前方の底部形状に応じて電動装置を好適に制御できる。
【0013】
本開示の第8側面に従う第9側面の制御装置において、前記底部形状は、前記人力駆動車の進行方向に沿った前記谷底の形状である。
第9側面の制御装置によれば、人力駆動車の進行方向に沿った谷底の形状に応じて電動装置を好適に制御できる。
【0014】
本開示の第8または9側面に従う第10側面の制御装置において、前記制御部は、前記走行路が前記谷底を横断する場合、前記底部形状に応じて第1制御状態または第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される。
第10側面の制御装置によれば、底部形状に好適な制御状態によって電動装置を制御できる。
【0015】
本開示の第10側面に従う第11側面の制御装置において、前記制御部は、前記底部形状が第1形状の場合、前記第1制御状態において前記電動装置を制御し、前記底部形状が前記第1形状よりもなだらかな第2形状の場合、前記第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される。
第11側面の制御装置によれば、第1形状および第2形状のそれぞれに好適な制御状態によって電動装置を制御できる。
【0016】
本開示の第11側面に従う第12側面の制御装置において、前記第1形状は、前記人力駆動車から前記走行路が下り坂から上り坂に変化する地点までの第1距離が第1所定距離以下、前記下り坂の第1角度が第1所定角度以下、前記上り坂の第2角度が第2所定角度以上、および、前記第1角度と前記第2角度との差が所定差以上、の少なくとも1つが満たされる形状であり、前記第2形状は、前記第1距離が前記第1所定距離よりも大きい、前記第1角度が第1所定角度よりも大きい、前記第2角度が第2所定角度よりも小さい、および、前記差が前記所定差よりも小さい、の少なくとも1つが満たされる形状である。
第12側面の制御装置によれば、第1距離、第1角度、第2角度、および、差の少なくとも1つに応じて電動装置を好適に制御できる。
【0017】
本開示の第2から6、10から12側面のいずれか1つに従う第13側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車のピッチ角度が第3所定角度以下の場合、前記第1制御状態または前記第2制御状態において前記電動装置を制御するように構成される。
第13側面の制御装置によれば、ピッチ角度が第3所定角度以下の場合、第1制御状態または第2制御状態によって電動装置を好適に制御できる。
【0018】
本開示の第2から6、10から13側面のいずれか1つに従う第14側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車から前記第1角度が第4所定角度以上になる地点までの第2距離に応じて前記電動装置を制御するように構成され、前記第2距離が第2所定距離以上の場合、第3制御状態において前記電動装置を制御するように構成され、前記第3制御状態は、前記第1制御状態および前記第2制御状態のいずれとも異なる。
第14側面の制御装置によれば、第2距離が第2所定距離より小さい場合と、第2距離が第2所定距離以上の場合とのそれぞれに好適な制御状態によって電動装置を制御できる。
【0019】
本開示の第2から6、10から14側面のいずれか1つに従う第15側面の制御装置において、前記電動装置は、前記人力駆動車のクランクの回転速度に対する車輪の回転速度の比率と対応する変速比を変更する変速装置を含み、前記制御部は、変速条件に応じて前記変速比を変更するように前記変速装置を制御するように構成され、前記第1制御状態または前記第2制御状態に応じて前記変速条件を変更するよう構成される。
第15側面の制御装置によれば、走行路の前方に応じて、変速装置を好適に制御できる。
【0020】
本開示の第15側面に従う第16側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1制御状態において、前記第2制御状態よりも前記変速比が小さくなるように前記変速比を変更する頻度が多くなるように、前記変速条件を変更するように構成される。
第16側面の制御装置によれば、第1制御状態の場合、第2制御状態よりも変速比が小さくなるように変速比を変更する頻度を多くできる。このため、第1制御状態の場合、ライダの負荷が増加しにくい。
【0021】
本開示の第15または16側面に従う第17側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1制御状態において、前記第2制御状態よりも前記変速比が大きくなるように前記変速比を変更する頻度が少なくなるように、前記変速条件を変更するように構成される。
第17側面の制御装置によれば、第1制御状態の場合、第2制御状態よりも変速比が大きくなるように変速比を変更する頻度を少なくできる。このため、第1制御状態の場合、ライダの負荷が増加しにくい。
【0022】
本開示の第1から7、12側面のいずれか1つに従う第18側面の制御装置において、前記第1距離は、前記第1角度が第5所定角度以上になる地点から前記第2角度が第6所定角度以上になる地点までの距離である。
第18側面の制御装置によれば、第1角度が第5所定角度以上になる地点から第2角度が第6所定角度以上になる地点までの距離に応じて電動装置を好適に制御できる。
【0023】
本開示の第1から14、18側面のいずれか1つに従う第19側面の制御装置において、前記電動装置は、前記人力駆動車のクランクの回転速度に対する車輪の回転速度の比率と対応する変速比を変更する変速装置を含む。
第19側面の制御装置によれば、走行路の前方に応じて、変速装置を好適に制御できる。
【0024】
本開示の第7から12側面のいずれか1つに従う第20側面の制御装置において、前記第1検出部は、撮像装置を含み、前記前方情報は、前記撮像装置によって取得される前方画像を含む。
第20側面の制御装置によれば、撮像装置によって取得される前方画像から走行路の前方を好適に推定できる。
【0025】
本開示の第7から12側面のいずれか1つに従う第21側面の制御装置において、前記第1検出部は、レーザ装置を含み、前記前方情報は、前記レーザ装置によって取得される地形情報を含む。
第21側面の制御装置によれば、レーザ装置によって取得される地形情報から走行路の前方を好適に推定できる。
【0026】
本開示の第7から12側面のいずれか1つに従う第22側面の制御装置において、前記第1検出部は、位置情報検出部を含み、前記前方情報は、前記位置情報検出部によって取得される前記走行路の地図情報を含む。
第22側面の制御装置によれば、位置情報検出部によって取得される走行路の地図情報から走行路の前方に関する情報を好適に推定できる。
【発明の効果】
【0027】
本開示の人力駆動車用の制御装置によれば、走行路の前方に応じて電動装置を好適に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の側面図である。
【
図2】
図1の人力駆動車用の制御装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】底部形状が第1形状である谷底の一例を模式的に示す模式図である。
【
図4】底部形状が第2形状である谷底の一例を模式的に示す模式図である。
【
図5】
図2の制御部によって実行され、底部形状に応じて制御状態を変更する処理の第1部分のフローチャートである。
【
図6】
図2の制御部によって実行され、底部形状に応じて制御状態を変更する処理の第2部分のフローチャートである。
【
図7】
図2の制御部によって実行され、変速条件に応じて変速比を変更するように変速装置を制御する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<実施形態>
図1から
図7を参照して、実施形態の人力駆動車用の制御装置50が説明される。以下では、人力駆動車用の制御装置50を、制御装置50と呼称する。人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪14を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪14の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車および2輪以上の車輪14を有する乗り物も含む。人力駆動車10は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車10は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、電気モータによって推進が補助されるマウンテンバイクとして説明する。
【0030】
本明細書において、以下の方向を示す用語「前(フロント)」、「後ろ(リア)」、「前方」、「後方」、「左」、「右」、「横」、「上方」、および、「下方」、並びに任意の他の類似の方向を示す用語は、人力駆動車10の基準位置(例えば、サドル34Aまたはシート上)においてハンドルバー30を向いたライダを基準に決定されるそれらの方向を指す。
【0031】
図1に示すように、人力駆動車10は、クランク12と、少なくとも1つの車輪14と、車体16と、を備える。クランク12は、入力回転軸12A、クランクアーム12B、および、ペダル12Cを含む。入力回転軸12Aは、クランク12に含まれるクランク軸である。クランクアーム12Bは、入力回転軸12Aに連結する。ペダル12Cは、クランクアーム12Bに連結する。ペダル12Cに人力駆動力が入力されると、クランク12が回転する。少なくとも1つの車輪14は、後輪14Aと、前輪14Bと、を含む。車体16は、フレーム18を含む。車体16には、フレーム18に対して回転可能な入力回転軸12Aが設けられる。後輪14Aは、フレーム18に支持される。本実施形態では、後輪14Aは、駆動機構20によって、クランク12に連結される。後輪14Aは、クランク12が回転することによって駆動される。
【0032】
駆動機構20は、第1回転体22を含む。第1回転体22は、入力回転軸12Aに連結される。第1回転体22は、入力回転軸12Aと一体回転するように連結される。第1回転体22は、フロントスプロケットを含む。第1回転体22は、プーリ、または、ベベルギアを含んでいてもよい。
【0033】
駆動機構20は、第2回転体24と連結部材26とを含む。第2回転体24は、後輪14Aに連結される。第2回転体24は、リアスプロケットを含む。第2回転体24は、プーリ、または、ベベルギアを含んでいてもよい。連結部材26は、第1回転体22の回転力を第2回転体24に伝達する。連結部材26は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0034】
フレーム18には、フロントフォーク28を介して前輪14Bが取り付けられる。フロントフォーク28には、ハンドルバー30がステム32を介して連結される。フレーム18には、シートポスト34が取り付けられる。シートポスト34には、サドル34Aが設けられる。
【0035】
人力駆動車10は、電動装置36を含む。例えば、電動装置36は、変速装置38を含む。変速装置38は、人力駆動車10のクランク12の回転速度に対する車輪14の回転速度の比率と対応する変速比Rを変更する。変速装置38は、電力線通信(PLC;Power Line Communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって制御装置50と通信可能に構成される。
【0036】
変速装置38は、人力駆動力の伝達経路に設けられる。変速比Rは、変速装置38に入力される入力回転速度に対する、変速装置38が出力する出力回転速度の比率によって表される。変速比Rを式によって表すと、“変速比R=出力回転速度/入力回転速度”である。本実施形態では、変速装置38は、ディレーラ38Aと、複数のスプロケット38Bとを有する。複数のスプロケット38Bは、回転軸心を有し、回転軸心の延びる方向に並ぶ。ディレーラ38Aがリアディレーラである場合、複数のスプロケット38Bは、第2回転体24を含む。ディレーラ38Aがフロントディレーラである場合、複数のスプロケット38Bは、第1回転体22を含む。変速装置38がフロントディレーラである場合、入力回転速度は、第1回転体22の回転速度に対応する。変速装置38がリアディレーラである場合、出力回転速度は、第2回転体24の回転速度に対応する。変速装置38は、内装変速機であってもよい。
【0037】
変速装置38は、電動アクチュエータを備える。変速装置38がディレーラ38Aである場合、電動アクチュエータは、ディレーラ38Aに設けられて、ディレーラ38Aを動作させる。電動アクチュエータは、ディレーラ38Aおよび内装変速機の少なくとも1つから離れて、例えば、フレーム18に設けられてもよい。電動アクチュエータがフレーム18に設けられる場合、電動アクチュエータは、例えばボーデンケーブルによって、ディレーラ38Aまたは内装変速機の少なくとも1つに接続される。電動アクチュエータは、電気モータおよび減速機を含む。
【0038】
人力駆動車10は、第1検出部40を含む。第1検出部40は、人力駆動車10の前方情報Fを取得する。第1検出部40は、電力線通信、CAN、または、UARTによって制御装置50と通信可能に構成される。第1検出部40は、制御装置50に前方情報Fを出力する。第1検出部40は、人力駆動車10に設けられる。第1検出部40は、フレーム18またはハンドルバー30に設けられる。第1検出部40は、ライダに設けられてもよい。この場合、第1検出部40は、ライダが着用するヘルメットに設けられてもよい。第1検出部40は、ライダによる任意の状況において、前方情報Fを検出するように構成されてもよい。第1検出部40は、人力駆動車10の前方とは異なる方向の情報を同時に検出可能なものであってもよい。第1検出部40は、人力駆動車10の周囲において全周の情報を検出可能なものであってもよい。
【0039】
図2および
図3に示すように、例えば、第1検出部40は、撮像装置40Aを含む。例えば、前方情報Fは、前方画像を含む。前方画像は、撮像装置40Aによって取得される情報である。撮像装置40Aは、走行路Yの前方を、画像情報として検出する。撮像装置40Aは、例えばカメラを含む。
【0040】
例えば、第1検出部40は、レーザ装置40Bを含む。例えば、前方情報Fは、地形情報を含む。地形情報は、レーザ装置40Bによって取得される情報である。レーザ装置40Bは、レーザによって人力駆動車10の前方の地形を、地形情報として検出する。
【0041】
例えば、第1検出部40は、位置情報検出部40Cを含む。例えば、前方情報Fは、地図情報を含む。地図情報は、位置情報検出部40Cによって取得される走行路Yの情報である。位置情報検出部40Cは、GPSセンサを含む。GPSセンサは、人力駆動車10の現在位置を取得する。位置情報検出部40Cは、走行路Yの傾斜角度に関する情報を含む地図情報を予め記憶し、人力駆動車10の現在位置と地図情報を比較し、走行路Yの傾斜角度を前方情報Fとして検出する。
【0042】
図1および
図2に示すように、人力駆動車10は、第2検出部42を含む。第2検出部42は、電力線通信、CAN、または、UARTによって制御装置50と通信可能に構成される。第2検出部42は、人力駆動車10の走行情報を検出する。例えば、第2検出部42は、傾斜センサ42A、車速センサ42B、および、トルクセンサ42Cを含む。人力駆動車10の走行情報は、人力駆動車10のピッチ角度、人力駆動車10のクランク12の回転速度、人力駆動車10の車輪14の回転速度、および、人力駆動力の少なくとも1つを含む。
【0043】
傾斜センサ42Aは、人力駆動車10のピッチ角度を検出する。傾斜センサ42Aは、人力駆動車10のピッチ角度に応じた信号を制御装置50に出力する。傾斜センサ42Aは、例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ、および、GPS(Global Positioning System)センサの少なくとも1つを含む。GPSセンサは、傾斜角度に関する情報を含む地図情報を予め記憶し、人力駆動車10の現在地の傾斜角度をピッチ角度として検出する。
【0044】
車速センサ42Bは、クランク12および車輪14の少なくとも1つの回転速度を検出する。車速センサ42Bは、クランク12および車輪14の少なくとも1つの回転速度に応じた信号を制御装置50に出力する。例えば、車速センサ42Bは、人力駆動車10の少なくとも1つの車輪14の回転速度に関する情報を検出するように構成される。車速センサ42Bは、例えば、人力駆動車10の少なくとも1つの車輪14に設けられる磁石を検出するように構成される。車速センサ42Bは、例えば、人力駆動車10のクランク12に設けられる磁石を検出するように構成される。車速センサ42Bは、例えばリードスイッチを構成する磁性リード、または、ホール素子などの磁気センサを含む。
【0045】
トルクセンサ42Cは、人力駆動車10に与えられる人力駆動力を検出する。人力駆動力は、例えば、ペダル12Cに入力される力である。トルクセンサ42Cは、人力駆動力に応じた信号を制御装置50に出力する。トルクセンサ42Cは、歪センサまたは磁歪センサを含む。トルクセンサ42Cは、入力回転軸12Aと第1回転体22との間の動力伝達経路に設けられる。
【0046】
人力駆動車10は、制御装置50を含む。制御装置50は、第1検出部40から前方情報Fを取得可能に構成される。制御装置50は、第2検出部42から人力駆動車10の走行情報を取得可能に構成される。制御装置50は、制御部52を備える。制御部52は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。制御部52に含まれる演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部52に含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部52は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0047】
制御部52は、第1検出部40から入力される前方情報Fに応じて、人力駆動車10の走行路Yを推定するように構成される。例えば、制御部52は、走行路Yを推定する走行路推定部54を含む。例えば、走行路推定部54は、人工知能処理部54Aを備える。人工知能処理部54Aは、例えば、ソフトウェアを記憶する記憶装置と、記憶装置に記憶されているソフトウェアを実行する演算処理装置と、を備える。演算処理装置は、例えばCPUまたはMPUを含む。演算処理装置は、好ましくは、CPUまたはMPUに加えて、GPU(Graphics Processing Unit)を含んでいる。演算処理装置は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでいてもよい。人工知能処理部54Aは、1または複数の演算処理装置を含んでいてもよい。人工知能処理部54Aは、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。
【0048】
記憶装置は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0049】
記憶装置は、学習モデルを記憶する。学習モデルは、予め定める学習アルゴリズムによって学習された学習済みのモデルであってもよく、学習アルゴリズムによって更新されるよう構成されるものであってもよい。学習アルゴリズムは、機械学習、深層学習、または、深層強化学習を含む。学習アルゴリズムは、例えば、教師あり学習、教師なし学習、および、強化学習の少なくとも1つを含む。学習アルゴリズムとしては、人工知能の分野に属する手法を用いて学習モデルを更新させるように構成されていれば、本明細書に記載されている手法以外の手法を用いてもよい。学習モデルを更新させるための学習処理は、好ましくは、GPUによって行われる。学習アルゴリズムは、ニューラルネットワーク(NN;Neural Network)を用いてもよい。学習アルゴリズムは、リカレントニューラルネットワーク(RNN;Recurrent Neural Network)を用いてもよい。
【0050】
学習モデルは、入力層、少なくとも1つの中間層、および、出力層を含む。入力層には、前方情報Fに関する情報が入力される。中間層は、畳み込み層、プーリング層、および、全結合層を含む。出力層は、走行路Yの走行環境を出力する。学習モデルは、前方情報Fに関する情報と、走行路Yの走行環境との関係を記憶する。
【0051】
前方情報Fに関する情報は、例えば、前方情報Fのうち、走行路Yと推定される区画に関する情報である。走行路Yと推定される区画に関する情報は、例えば、前方情報Fをエッジ検出することによって得られる。走行路Yと推定される区画に関する情報は、走行路Yと推定される区画の大きさ、走行路Yと推定される区画の色、および、走行路Yと推定される区画の形状の少なくとも1つを含む。学習モデルは、例えば、走行路Yを含む画像のうち走行路Yである区画と、走行路Yの走行環境との関係を記憶するように、学習アルゴリズムによって更新される。走行路Yの走行環境は、路面状態、障害物、走行時間、土地、および、天候の少なくとも1つを含む。路面状態は、傾斜角度、芝生、舗装路、および、未舗装路の少なくとも1つを含む。障害物は、盛り土、および、木の根の少なくとも1つを含む。走行時間は、昼間、および、夜間の少なくとも1つを含む。土地は、街、森、および、砂漠の少なくとも1つを含む。天候は、晴れ、雨、および、霧の少なくとも1つを含む。
【0052】
本実施形態では、制御部52は、前方情報Fから、走行路Yの傾斜角度を推定するように構成される。例えば、走行路推定部54は、前方情報Fから、走行路Yの傾斜角度を推定する。走行路推定部54は、走行路Yが下り坂DHから上り坂UHに変化する場合、走行路Yが谷底VBを横断すると推定する。谷底VBは、下り坂DH、平地FG、および、上り坂UHを含む。平地FGは、走行路Yが下り坂DHから上り坂UHに変化する地点までの走行路Yである。走行路推定部54は、走行路Yが谷底VBを横断する場合、谷底VBの底部形状Bを推定する。例えば、底部形状Bは、人力駆動車10の進行方向Cに沿った谷底VBの形状である。
図3および
図4に示すように、谷底VBの形状は、走行路Yを左右方向に見た場合の、下り坂DHの形状、平地FGの形状、および、上り坂UHの形状から構成される。
【0053】
底部形状Bは、第1距離D1、第1角度X1、第2角度X2、および、差Dの少なくとも1つによって定義される。例えば、第1距離D1は、人力駆動車10から走行路Yが下り坂DHから上り坂UHに変化する地点までの距離である。第1距離D1は、人力駆動車10から走行路Yが平地FGから上り坂UHに変化する地点までの距離でもよい。例えば、第1距離D1は、第1角度X1が第5所定角度PX5以上になる地点から第2角度X2が第6所定角度PX6以上になる地点までの距離である。第1角度X1が第5所定角度PX5以上になる地点は、走行路Yが下り坂DHから平地FGになったと推定される地点である。第2角度X2が第6所定角度PX6以上になる地点は、走行路Yが平地FGから上り坂UHになったと推定される地点である。第5所定角度PX5および第6所定角度PX6は、任意に決定できる。
【0054】
例えば、第1角度X1は、下り坂DHの路面傾斜である。例えば、下り坂DHに人力駆動車10が位置する場合、かつ、人力駆動車10の後輪14Aおよび前輪14Bの両方が地面に接触している場合、第1角度X1は、人力駆動車10のピッチ角度と対応する。第1角度X1は、負の値によって表される。第1角度X1が小さいほど、下り坂DHは急な坂になる。
【0055】
例えば、第2角度X2は、上り坂UHの路面傾斜である。例えば、上り坂UHに人力駆動車10が位置する場合、かつ、人力駆動車10の後輪14Aおよび前輪14Bの両方が地面に接触している場合、第2角度X2は、人力駆動車10のピッチ角度と対応する。第2角度X2は、正の値によって表される。第2角度X2が大きいほど、上り坂UHは急な坂になる。
【0056】
差Dは、第1角度X1と第2角度X2との差Dである。例えば、差Dは、第2角度X2から第1角度X1を引いた値である。差Dは正の値である。差Dが大きいほど、第1角度X1および第2角度X2の少なくとも1つが急な坂になる。差Dに代えて、第2角度X2の絶対値と第1角度X1との和を用いてもよい。
【0057】
例えば、底部形状Bは、第1形状B1および第2形状B2を含む。例えば、第1形状B1は、第1距離D1が第1所定距離PD1以下、第1角度X1が第1所定角度PX1以下、第2角度X2が第2所定角度PX2以上、および、差Dが所定差PD以上、の少なくとも1つが満たされる形状である。
【0058】
例えば、第2形状B2は、第1距離D1が第1所定距離PD1よりも大きい、第1角度X1が第1所定角度PX1よりも大きい、第2角度X2が第2所定角度PX2よりも小さい、および、差Dが所定差PDよりも小さい、の少なくとも1つが満たされる形状である。
【0059】
図3に示すように、第1形状B1は、V字形状に類似するV字谷と対応する。
図4に示すように、第2形状B2は、例えば、V字形状よりもU字形状に類似するU字谷と対応する。U字谷は、V字谷に比べて、平地FGが長い。第1所定距離PD1、第1所定角度PX1、第2所定角度PX2、および、所定差PDは、それぞれ谷底VBがV字谷かU字谷かを判定できるように設定される。第1所定距離PD1、第1所定角度PX1、第2所定角度PX2、および、所定差PDは、それぞれ任意に設定できる。
【0060】
制御部52は、前方情報Fから、人力駆動車10が谷底VBを通過したか否かを判定するように構成される。例えば、走行路推定部54は、前方情報Fから谷底VBにおける上り坂UHが確認できなくなった場合、人力駆動車10が谷底VBを通過したか否かを判定する。
【0061】
例えば、制御部52は、第2検出部42から入力される走行情報に応じて、走行路Yにおける現在の傾斜角度、および、人力駆動車10の現在のピッチ角度の少なくとも1つを取得するように構成される。例えば、制御部52は、傾斜センサ42Aが検出した人力駆動車10のピッチ角度を、走行路Yにおける現在の傾斜角度、および、人力駆動車10の現在のピッチ角度の少なくとも1つとして取得する。
【0062】
例えば、制御装置50は、記憶部56を備える。記憶部56には、予め定める制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報が記憶される。憶部は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM、EPROM、EEPROM、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAMを含む。
【0063】
制御部52は、電動装置36を制御するように構成される。例えば、制御部52は、電動装置制御部58を含む。電動装置制御部58は、電動装置36を制御する。制御部52は、人力駆動車10の電動装置36を制御するように構成される。例えば、制御部52は、走行路Yが谷底VBを横断する場合、谷底VBの底部形状Bに応じて電動装置36を制御するように構成される。走行路Yが谷底VBを横断する場合、走行路Yは、下り坂DHから上り坂UHに変化する。
【0064】
走行路Yが谷底VBを横断する場合、制御部52は、第1距離D1、第1角度X1、第2角度X2、および、差Dの少なくとも1つを推定する。制御部52は、人力駆動車10の走行路Yの前方において走行路Yが下り坂DHから上り坂UHに変化する場合、第1距離D1、第1角度X1、第2角度X2、および、差Dの少なくとも1つに応じて電動装置36を制御するように構成される。走行路Yが下り坂DHから上り坂UHに変化する場合は、走行路Yが下り坂DHから平地FGに変化し、さらに平地FGが上り坂UHに変化する場合を含む。制御部52は、第1距離D1、第1角度X1、第2角度X2、および、差Dの少なくとも1つに応じて、底部形状Bを判定する。制御部52は、底部形状Bを判定せず、第1距離D1、第1角度X1、第2角度X2、および、差Dの少なくとも1つに応じて電動装置36を制御してもよい。
【0065】
制御部52は、谷底VBに応じて、第1制御状態A1または第2制御状態A2において、電動装置36を制御するように構成される。例えば、制御部52は、走行路Yが谷底VBを横断する場合、底部形状Bに応じて第1制御状態A1または第2制御状態A2において電動装置36を制御するように構成される。例えば、制御部52は、走行路Yが下り坂DHから上り坂UHに変化する場合、第1距離D1、第1角度X1、第2角度X2、および、差Dの少なくとも1つに応じて第1制御状態A1または第2制御状態A2において電動装置36を制御するように構成される。
【0066】
例えば、制御部52は、底部形状Bが第1形状B1の場合、第1制御状態A1において電動装置36を制御するように構成される。第1制御状態A1は、底部形状Bが第1形状B1である場合に、電動装置36を好適に制御できる制御状態である。例えば、制御部52は、第1制御状態A1において、人力駆動車10が下り坂DHを走行している間に、上り坂UHに好適な制御状態によって、電動装置36を制御するように構成される。
【0067】
例えば、制御部52は、底部形状Bが第1形状B1よりもなだらかな第2形状B2の場合、第2制御状態A2において電動装置36を制御するように構成される。第2制御状態A2は、底部形状Bが第2形状B2である場合に、電動装置36を好適に制御できる制御状態である。例えば、制御部52は、第2制御状態A2において、人力駆動車10が下り坂DHを走行している間は、下り坂DHに好適な制御状態によって、電動装置36を制御するように構成される。例えば、制御部52は、第2制御状態A2において、人力駆動車10が平地FGを走行している間に、上り坂UHに好適な制御状態によって、電動装置36を制御するように構成される。
【0068】
第1距離D1が第1所定距離PD1以下の場合、第1距離D1が第1所定距離PD1よりも大きい場合よりも、底部形状Bが第1形状B1である確率が高い。例えば、制御部52は、第1距離D1が第1所定距離PD1以下の場合、第1制御状態A1において電動装置36を制御するように構成される。制御部52は、第1距離D1が第1所定距離PD1以下の場合、第1形状B1に応じた制御状態において電動装置36を制御するように構成される。
【0069】
例えば、制御部52は、第1距離D1が第1所定距離PD1よりも大きい場合、第2制御状態A2において電動装置36を制御するように構成される。制御部52は、第1距離D1が第1所定距離PD1よりも大きい場合、第2形状B2に応じた制御状態において電動装置36を制御するように構成される。
【0070】
第1角度X1が第1所定角度PX1以下の場合、第1角度X1が第1所定角度PX1よりも大きい場合よりも、底部形状Bが第1形状B1である確率が高い。例えば、制御部52は、第1角度X1が第1所定角度PX1以下の場合、第1制御状態A1において電動装置36を制御するように構成される。制御部52は、第1角度X1が第1所定角度PX1以下の場合、第1形状B1に応じた制御状態において電動装置36を制御するように構成される。
【0071】
例えば、制御部52は、第1角度X1が第1所定角度PX1よりも大きい場合、第2制御状態A2において電動装置36を制御するように構成される。制御部52は、第1角度X1が第1所定角度PX1よりも大きい場合、第2形状B2に応じた制御状態において電動装置36を制御するように構成される。
【0072】
第2角度X2が第2所定角度PX2以上の場合、第2角度X2が第2所定角度PX2よりも小さい場合よりも、底部形状Bが第1形状B1である確率が高い。例えば、制御部52は、第2角度X2が第2所定角度PX2以上の場合、第1制御状態A1において電動装置36を制御するように構成される。制御部52は、第2角度X2が第2所定角度PX2以上の場合、第1形状B1に応じた制御状態において電動装置36を制御するように構成される。
【0073】
例えば、制御部52は、第2角度X2が第2所定角度PX2よりも小さい場合、第2制御状態A2において電動装置36を制御するように構成される。制御部52は、第2角度X2が第2所定角度PX2よりも小さい場合、第2形状B2に応じた制御状態において電動装置36を制御するように構成される。
【0074】
差Dが所定差PD以上の場合、差Dが所定差PDよりも小さい場合よりも、底部形状Bが第1形状B1である確率が高い。例えば、制御部52は、差Dが所定差PD以上の場合、第1制御状態A1において電動装置36を制御するように構成される。制御部52は、差Dが所定差PD以上の場合、第1形状B1に応じた制御状態において電動装置36を制御するように構成される。
【0075】
例えば、制御部52は、差Dが所定差PDよりも小さい場合、第2制御状態A2において電動装置36を制御するように構成される。制御部52は、差Dが所定差PDよりも小さい場合、第2形状B2に応じた制御状態において電動装置36を制御するように構成される。
【0076】
例えば、制御部52は、人力駆動車10のピッチ角度が第3所定角度PX3以下の場合、第1制御状態A1または第2制御状態A2において電動装置36を制御するように構成される。第3所定角度PX3は、人力駆動車10のピッチ角度が第3所定角度PX3以下の場合、人力駆動車10が下り坂DHを走行していると判定できる範囲で、任意に決定できる。制御部52は、人力駆動車10のピッチ角度が第3所定角度PX3より大きい場合、第1制御状態A1において電動装置36を制御せず、かつ、第2制御状態A2において電動装置36を制御しないように構成されてもよい。この場合、制御部52は、人力駆動車10が移動し、人力駆動車10のピッチ角度が第3所定角度PX3以下になると、第1制御状態A1または第2制御状態A2において電動装置36を制御する。
【0077】
例えば、制御部52は、人力駆動車10が谷底VBを通過すると、第1制御状態A1または第2制御状態A2における電動装置36の制御を終了する。制御部52は、前方画像から、人力駆動車10が谷底VBを通過したか否かを判定する。制御部52は、第2検出部42から入力される走行情報から、人力駆動車10が谷底VBを通過したか否かを判定してもよい。この場合、人力駆動車10のピッチ角度、人力駆動車10のクランク12の回転速度、人力駆動車10の車輪14の回転速度、および、人力駆動力の少なくとも1つに応じて、人力駆動車10が谷底VBを通過したか否かを判定する。
【0078】
例えば、制御部52は、第2距離D2に応じて電動装置36を制御するように構成される。第2距離D2は、人力駆動車10から第1角度X1が第4所定角度PX4以上になる地点までの距離である。第4所定角度PX4は、第5所定角度PX5と同じ角度でもよい。この場合、第1角度X1が第4所定角度PX4以上になる地点は、第1角度X1が第5所定角度PX5以上になる地点と同じ地点である。
【0079】
例えば、制御部52は、第2距離D2が第2所定距離PD2以上の場合、第3制御状態A3において電動装置36を制御するように構成される。第3制御状態A3は、第1制御状態A1および第2制御状態A2のいずれとも異なる。第4所定角度PX4が第5所定角度PX5と同じ角度である場合、第2距離D2は、人力駆動車10から、下り坂DHが終わる地点までの距離である。第3制御状態A3は、例えば、走行路Yが谷底VBを横断しない場合の下り坂DHにおける制御である。
【0080】
例えば、制御部52は、第2距離D2が第2所定距離PD2より小さい場合、および、人力駆動車10のピッチ角度が第3所定角度PX3より大きい場合、第4制御状態A4において電動装置36を制御するように構成される。第4制御状態A4は、例えば、走行路Yが谷底VBを横断しない場合の上り坂UHおよび平坦路における制御である。第4制御状態A4は、複数の第4制御状態A4を有し、制御部52は、人力駆動車10の走行環境および走行状態に応じて、複数の第4制御状態A4のうちの1つを選択するように構成されてもよい。第4制御状態A4は、第3制御状態A3を含んでいてもよい。
【0081】
図5および
図6のフローチャートを参照して、制御部52が、谷底VBの底部形状Bに応じて電動装置36を制御する処理を説明する。制御部52は、例えば、制御部52に電力が供給されると、処理を開始して
図5に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部52は、
図5および
図6のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS11からの処理を繰り返す。
【0082】
ステップS11において、制御部52は、前方情報Fが入力されたか否かを判定する。前方情報Fは、第1検出部40から入力される。制御部52は、前方情報Fが入力されたと判定した場合、ステップS12に移行する。制御部52は、前方情報Fが入力されていないと判定した場合、処理を終了する。
【0083】
ステップS12において、制御部52は、走行路Yを推定し、ステップS13に移行する。制御部52は、走行路推定部54に、入力された前方情報Fから走行路Yを推定させる。
【0084】
ステップS13において、制御部52は、推定した走行路Yが下り坂DHか否かを判定する。制御部52は、ステップS12において推定した走行路Yが下り坂DHを含む場合、ステップS14に移行する。
【0085】
ステップS14において、制御部52は、推定した走行路Yが谷底VBを通過するか否かを判定する。例えば、走行路推定部54が、推定した走行路Yが谷底VBを通過するか否かを推定する。制御部52は、推定した走行路Yにおいて、下り坂DHよりも人力駆動車10から離れた位置に上り坂UHがある場合、推定した走行路Yが谷底VBを通過すると判定してもよい。制御部52は、推定した走行路Yが谷底VBを通過する場合、ステップS15に移行する。
【0086】
ステップS15において、制御部52は、人力駆動車10のピッチ角度が第3所定角度PX3以下か否かを判定する。制御部52は、人力駆動車10のピッチ角度が第3所定角度PX3以下と判定した場合、ステップS16に移行する。
【0087】
ステップS16において、制御部52は、第2距離D2が第2所定距離PD2より小さいか否かを判定する。制御部52は、第2距離D2が第2所定距離PD2より小さい場合、ステップS17に移行する。
【0088】
ステップS17において、制御部52は、推定した走行路Yが通過する谷底VBの底部形状Bが第1形状B1か否かを判定する。例えば、制御部52は、第1距離D1、第1角度X1、第2角度X2、および、差Dの少なくとも1つに応じて谷底VBの底部形状Bが第1形状B1か否かを判定する。制御部52は、前方画像から谷底VBの底部形状Bが第1形状B1と推定した場合、谷底VBの底部形状Bが第1形状B1と判定する。制御部52は、推定した走行路Yが通過する谷底VBの底部形状Bが第1形状B1の場合、ステップS18に移行する。制御部52は、推定した走行路Yが通過する谷底VBの底部形状Bが第2形状B2である場合、推定した走行路Yが通過する谷底VBの底部形状Bが第1形状B1ではないと判定してもよい。
【0089】
ステップS18において、制御部52は、制御状態を第1制御状態A1に移行し、ステップS19に移行する。
【0090】
ステップS19において、制御部52は、人力駆動車10が谷底VBを通過したか否かを判定する。制御部52は、前方情報Fから、人力駆動車10が谷底VBを通過したか否かを判定する。制御部52は、走行路Yにおける現在の傾斜角度、および、人力駆動車10の現在のピッチ角度の少なくとも1つから、人力駆動車10が谷底VBを通過したか否かを判定してもよい。例えば、制御部52は、上り坂UHが終了すると、谷底VBを通過したと判定する。制御部52は、人力駆動車10が谷底VBを通過した場合、ステップS20に移行する。制御部52は、人力駆動車10が谷底VBを通過していない場合、ステップS18に移行する。
【0091】
ステップS20において、制御部52は、制御状態を第4制御状態A4に移行し、処理を終了する。制御部52は、ステップS20の処理によって第1制御状態A1による電動装置36の制御が終了する。例えば、制御部52は、ステップS20では、ステップS18において第1制御状態A1に移行する前の第4制御状態A4になるように制御状態を変更する。
【0092】
制御部52は、ステップS17において、推定した走行路Yが通過する谷底VBの底部形状Bが第1形状B1ではない場合、ステップS21に移行する。ステップS21において、制御部52は、制御状態を第2制御状態A2に移行し、ステップS22に移行する。
【0093】
ステップS22において、制御部52は、人力駆動車10が谷底VBを通過したか否かを判定する。制御部52は、前方情報Fから、人力駆動車10が谷底VBを通過したか否かを判定する。制御部52は、走行路Yにおける現在の傾斜角度、および、人力駆動車10の現在のピッチ角度の少なくとも1つから、人力駆動車10が谷底VBを通過したか否かを判定してもよい。制御部52は、上り坂UHが終了すると、谷底VBを通過したと判定する。制御部52は、人力駆動車10が谷底VBを通過した場合、ステップS23に移行する。制御部52は、人力駆動車10が谷底VBを通過していない場合、ステップS21に移行する。
【0094】
ステップS23において、制御部52は、制御状態を第4制御状態A4に移行し、処理を終了する。制御部52は、ステップS23の処理によって第2制御状態A2による電動装置36の制御が終了する。例えば、ステップS23では、制御部52は、ステップS21において第2制御状態A2に移行する前の第4制御状態A4になるように制御状態を変更する。
【0095】
制御部52は、ステップS16において第2距離D2が第2所定距離PD2より小さくない場合、ステップS24に移行する。ステップS24において、制御部52は、制御状態を第3制御状態A3に移行し、ステップS25に移行する。
【0096】
ステップS25において、制御部52は、推定した走行路Yの下り坂DHが終了したか否かを判定する。制御部52は、走行路Yにおける現在の傾斜角度、および、人力駆動車10の現在のピッチ角度の少なくとも1つから、推定した走行路Yの下り坂DHが終了したか否かを判定する。制御部52は、前方情報Fから、推定した走行路Yの下り坂DHが終了したか否かを判定してもよい。制御部52は、推定した走行路Yの下り坂DHが終了した場合、ステップS26に移行する。制御部52は、推定した走行路Yの下り坂DHが終了していない場合、ステップS24に移行する。
【0097】
ステップS26において、制御部52は、制御状態を第4制御状態A4に移行し、処理を終了する。制御部52は、ステップS26の処理によって第3制御状態A3を終了する。制御部52は、ステップS26では、ステップS24において第3制御状態A3に移行する前の第4制御状態A4になるように制御状態を変更する。
【0098】
制御部52は、ステップS13において、推定した走行路Yが下り坂DHではない場合、ステップS27に移行する。制御部52は、ステップS14において、推定した走行路Yが谷底VBを通過しない場合、ステップS27に移行する。制御部52は、ステップS15において、人力駆動車10のピッチ角度が第3所定角度PX3以下ではない場合、ステップS27に移行する。制御部52は、ステップS27において、制御状態を第4制御状態A4に移行し、処理を終了する。制御部52は、制御状態が第4制御状態A4の場合、第4制御状態A4による電動装置36の制御を継続する。
【0099】
例えば、制御部52は、変速装置38を制御するように構成される。例えば、制御部52は、変速条件に応じて変速比Rを変更するように変速装置38を制御するように構成される。変速条件は、第1閾値T1および第2閾値T2を含む。第1閾値T1は、複数の第1閾値T1を含んでもよい。複数の第1閾値T1は、変速装置38の変速比Rごとに設定される。複数の第1閾値T1は、変速装置38の変速比Rと対応して記憶部56に記憶される。第2閾値T2は、複数の第2閾値T2を含んでもよい。複数の第2閾値T2は、変速装置38の変速比Rごとに設定される。複数の第2閾値T2は、変速装置38の変速比Rと対応して記憶部56に記憶される。
【0100】
制御部52は、パラメータPと制御条件との比較に応じて電動装置36を制御するように構成される。パラメータPは、人力駆動車10の走行状態に関するパラメータPである。例えば、パラメータPは、人力駆動車10のクランク12の回転速度、人力駆動車10の車輪14の回転速度、および、人力駆動力の少なくとも1つを含む。第1閾値T1および第2閾値T2は、パラメータPと対応して設定される。パラメータPが人力駆動車10のクランク12の回転速度である場合、第1閾値T1および第2閾値T2はクランク12の回転速度に関する値である。パラメータPが人力駆動車10の車輪14の回転速度である場合、第1閾値T1および第2閾値T2は車輪14の回転速度に関する値である。例えば、パラメータPが人力駆動力を含む場合、第1閾値T1および第2閾値T2は人力駆動力に関する値である。人力駆動力は、トルクによって表されてもよく、仕事率によって表されてもよい。
【0101】
制御部52は、パラメータPと第1閾値T1との比較に応じて、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更するように変速装置38を制御するように構成される。例えば、制御部52は、パラメータPが第1閾値T1よりも大きい場合、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更するように変速装置38を制御するように構成される。この場合、例えば、パラメータPは、ライダの負荷が増加すると小さくなるパラメータPである。ライダの負荷が増加すると小さくなるパラメータPは、例えば、クランク12の回転速度、車輪14の回転速度、および、人力駆動車10の車速の少なくとも1つを含む。
【0102】
制御部52は、パラメータPが第1閾値T1よりも小さい場合、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更するように変速装置38を制御するように構成されてもよい。この場合、例えば、パラメータPは、ライダの負荷が増加すると大きくなるパラメータPである。ライダの負荷が増加すると大きくなるパラメータPは、例えば、人力駆動力である。
【0103】
制御部52は、パラメータPと第2閾値T2との比較に応じて、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更するように変速装置38を制御するように構成される。例えば、制御部52は、パラメータPが第2閾値T2よりも小さい場合、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更するように変速装置38を制御するように構成される。
【0104】
制御部52は、変速条件を変更可能に構成される。制御部52は、第1閾値T1および第2閾値T2を変更することによって、変速条件を変更する。
【0105】
例えば、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更する頻度を多くする場合、制御部52は、第1閾値T1が小さくなるように第1閾値T1を変更する。変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更する頻度を多くする場合は、例えば、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合である。例えば、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更する頻度を少なくする場合、制御部52は、第1閾値T1が大きくなるように第1閾値T1を変更する。変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更する頻度を少なくする場合は、例えば、人力駆動車10が上り坂UHを走行している場合である。
【0106】
例えば、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更する頻度を少なくする場合、制御部52は、第2閾値T2が小さくなるように第2閾値T2を変更する。変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更する頻度を少なくする場合は、例えば、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合である。例えば、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更する頻度を多くする場合、制御部52は、第2閾値T2が大きくなるように第2閾値T2を変更する。変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更する頻度を多くする場合は、例えば、人力駆動車10が上り坂UHを走行している場合である。
【0107】
例えば、制御部52は、第1制御状態A1または第2制御状態A2に応じて変速条件を変更するよう構成される。制御部52は、第1制御状態A1または第2制御状態A2に応じて、下り坂DHにおける変速条件を変更するように構成される。制御部52は、第1制御状態A1において、第2角度X2に応じた制御が行われる頻度が多くなるように、変速条件を変更するように構成される。
【0108】
例えば、制御部52は、第1制御状態A1において、第2制御状態A2よりも変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更する頻度が多くなるように、変速条件を変更するように構成される。制御部52は、第1制御状態A1において、第2制御状態A2よりも変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更する頻度が多くなるように、下り坂DHにおける変速条件を変更するように構成される。
【0109】
制御部52は、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合に、第1制御状態A1において、第2制御状態A2よりも変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更する頻度が多くなるように、下り坂DHにおける変速条件を変更するように構成される。例えば、制御部52は、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合に、第1制御状態A1において、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更する頻度が多くなるように、第2角度X2に応じて第2閾値T2が大きくなるように第2閾値T2を変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10が平地FGを走行している場合に、第1制御状態A1において、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合に変更した第2閾値T2を維持する。
【0110】
例えば、制御部52は、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合に、第2制御状態A2において、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更する頻度が少なくなるように、第1角度X1に応じて第2閾値T2が小さくなるように第2閾値T2を変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10が平地FGを走行している場合に、第2制御状態A2において、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更する頻度が多くなるように、第1角度X1に応じて第2閾値T2が大きくなるように第2閾値T2を変更する。
【0111】
例えば、制御部52は、第1制御状態A1において、第2制御状態A2よりも変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更する頻度が少なくなるように、変速条件を変更するように構成される。制御部52は、第1制御状態A1において、第2制御状態A2よりも変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更する頻度が少なくなるように、下り坂DHにおける変速条件を変更するように構成される。
【0112】
制御部52は、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合に、第1制御状態A1において、第2制御状態A2よりも変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更する頻度が少なくなるように、下り坂DHにおける変速条件を変更するように構成される。例えば、制御部52は、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合に、第1制御状態A1において、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更する頻度が少なくなるように、第2角度X2に応じて第1閾値T1が小さくなるように第1閾値T1を変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10が平地FGを走行している場合に、第1制御状態A1において、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合に変更した第1閾値T1を維持する。
【0113】
例えば、制御部52は、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合に、第2制御状態A2において、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更する頻度が多くなるように、第1角度X1に応じて第2閾値T2が大きくなるように第2閾値T2を変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10が平地FGを走行している場合に、第2制御状態A2において、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更する頻度が少なくなるように、第2角度X2に応じて第2閾値T2が小さくなるように第2閾値T2を変更する。
【0114】
例えば、制御部52は、第3制御状態A3において、変速装置38を制御する。制御部52は、走行路Yの傾斜角度に応じて、変速条件を変更するように構成される。例えば、制御部52は、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合に、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更する頻度が多くなるように、変速条件を変更するように構成される。例えば、制御部52は、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合に、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更する頻度が多くなるように、第1閾値T1が小さくなるように第1閾値T1を変更する。
【0115】
例えば、制御部52は、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合に、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更する頻度が少なくなるように、変速条件を変更するように構成される。例えば、制御部52は、人力駆動車10が下り坂DHを走行している場合に、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更する頻度が多くなるように、第2閾値T2が小さくなるように第2閾値T2を変更する。
【0116】
図7のフローチャートを参照して、制御部52が変速装置38を制御する処理を説明する。制御部52は、例えば、制御部52に電力が供給されると、処理を開始して
図7に示すフローチャートのステップS31に移行する。制御部52は、
図7のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS31からの処理を繰り返す。
【0117】
ステップS31において、制御部52は、パラメータPを取得し、ステップS32に移行する。例えば、制御部52は、人力駆動車10の走行情報に応じて、パラメータPを取得する。ステップS32において、制御部52は、パラメータPが第1閾値T1よりも大きいか否かを判定する。制御部52は、パラメータPが第1閾値T1よりも大きい場合、ステップS33に移行する。制御部52は、ステップS32において、制御状態に応じて設定された第1閾値T1を用いて判定を行う。
【0118】
ステップS33において、制御部52は、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更可能か否かを判定する。制御部52は、例えば、現在の変速比Rが最大の変速比Rではない場合、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更可能であると判定する。制御部52は、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更可能である場合、ステップS34に移行する。制御部52は、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更可能ではない場合、処理を終了する。ステップS34において、制御部52は、変速比Rが大きくなるように変速比Rを変更するように変速装置38を制御し、処理を終了する。
【0119】
制御部52は、ステップS35において、パラメータPが第1閾値T1よりも大きくない場合、ステップS35に移行する。ステップS35において、制御部52は、パラメータPが第2閾値T2よりも小さいか否かを判定する。制御部52は、パラメータPが第2閾値T2よりも小さい場合、ステップS36に移行する。制御部52は、パラメータPが第2閾値T2よりも小さくない場合、処理を終了する。制御部52は、ステップS35において、制御状態に応じて設定された第2閾値T2を用いて判定を行う。
【0120】
ステップS36において、制御部52は、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更可能か否かを判定する。制御部52は、例えば、現在の変速比Rが最小の変速比Rではない場合、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更可能であると判定する。制御部52は、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更可能である場合、ステップS37に移行する。制御部52は、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更可能ではない場合、処理を終了する。ステップS37において、制御部52は、変速比Rが小さくなるように変速比Rを変更するように変速装置38を制御し、処理を終了する。
【0121】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の制御装置は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0122】
・制御部52は、第1制御状態A1または第2制御状態A2に応じて変速比Rを変更するように変速装置38を制御するように構成されてもよい。この場合、制御部52は、制御状態が第1制御状態A1または第2制御状態A2に移行すると、第2角度X2に応じて目標変速比GRを算出する。制御部52は、変速比Rが目標変速比GRとなるように変速装置38を制御する。例えば、目標変速比GRは、第2角度X2が大きいほど、小さい変速比Rになるように設定される。例えば、目標変速比GRは、第2角度X2と対応付けて記憶部56に記憶される。例えば、制御部52は、制御状態が第1制御状態A1に移行すると、下り坂DHにおける変速比Rが目標変速比GRとなるように変速装置38を制御する。例えば、制御部52は、制御状態が第2制御状態A2に移行すると、平地FGにおける変速比Rが目標変速比GRとなるように変速装置38を制御する。制御部52は、変速比Rが目標変速比GRとなるように変速装置38を制御する場合、クランク12の回転速度に応じて、変速比Rを変更するように構成されてもよい。制御部52は、第1制御状態A1および第2制御状態A2の少なくとも1つにおいて、クランク12の回転速度が所定速度PS以上である場合、変速条件を変更することによって、変速比Rが目標変速比GRとなりやすいように変速装置38を制御してもよい。制御部52は、第1制御状態A1および第2制御状態A2の少なくとも1つにおいて、クランク12の回転速度が所定速度PSより小さい場合、変速条件によらず、変速比Rを目標変速比GRに変更するように変速装置38を制御してもよい。例えば、所定速度PSは、ライダが人力駆動力をクランク12に入力しているか否かを判定できる速度が設定される。
【0123】
・底部形状Bが第2形状B2の場合、制御部52は、人力駆動車10から第2角度X2が第5所定角度以上になる地点までの距離が第3所定距離より大きい場合、変速装置38を平地FGに応じて制御してもよい。この場合、第3所定距離は、例えば、制御部52が、人力駆動車10が、第2角度X2が第5所定角度以上になる地点に到着する前に、第2角度X2に応じた変速装置38の制御を行える距離である。制御部52は、第1距離D1が第3所定距離よりも大きい場合に、平地FGに応じて変速装置38を制御できる。
【0124】
・制御部52は、前方情報Fから、オプティカルフローによって、底部形状Bが第1形状B1か第2形状B2かを判定してもよい。この場合、制御部52は、オプティカルフローによって、下り坂DHにおける人力駆動車10の加速度を判定する。下り坂DHにおける人力駆動車10の加速度が大きいほど、第1角度X1が小さい可能性が高い。制御部52は、加速度が所定加速度以上である場合、底部形状Bが第1形状B1であると判定する。制御部52は、加速度が所定加速度より小さい場合、底部形状Bが第2形状B2であると判定する。
【0125】
・制御部52は、第1距離D1、第1角度X1、第2角度X2、および、差Dのいずれか1つのみに応じて、底部形状Bが第1形状B1か第2形状B2かを判定してもよい。第1距離D1、第1角度X1、第2角度X2、および、差Dのいずれか1つが第1距離D1である場合、制御部52は、第1距離D1が第1所定距離PD1以下ならば、第1制御状態A1において電動装置36を制御する。
【0126】
・制御部52は、第3制御状態A3において、走行路Yが谷底VBを横断すると判定した場合、第1制御状態A1または第2制御状態A2において電動装置36を制御するように構成されてもよい。この場合、
図5および
図6のステップS16、ステップS24、ステップS25、および、ステップS26を省略できる。制御部52は、ステップS15においてYESの場合、ステップS17に移行する。
【0127】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0128】
10…人力駆動車、12…クランク、14…車輪、36…電動装置、38…変速装置、40…第1検出部、40A…撮像装置、40B…レーザ装置、40C…位置情報検出部、50…制御装置、52…制御部。