(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048926
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】磁気クランプ装置
(51)【国際特許分類】
B29C 33/32 20060101AFI20230331BHJP
B29C 45/84 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B29C33/32
B29C45/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158514
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(72)【発明者】
【氏名】吉見 昌宏
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AJ08
4F202AM04
4F202CA11
4F202CA30
4F202CL42
4F202CR03
4F202CS07
4F206AJ08
4F206AM04
4F206JA07
4F206JL05
4F206JQ06
4F206JQ82
4F206JQ83
(57)【要約】
【課題】 吸着対象物を取り付けるときに、落下防止機能を発揮可能な状態に簡単にできる磁気クランプ装置を提供する。
【解決手段】 磁気クランプ装置の磁気プレート(7)の上部から支持部材(20)が水平方向に突設される。その磁気プレート(7)の吸着面(8)に吸着固定される吸着対象物としての金型(9)から突出部材(28)が上方に突設される。その支持部材(20)に設けられる係止部(27)によって、突出部材(28)に設けられる係合部(32)が下方から受け止められることができるようになっている。その金型(9)が吸着面(8)の所定位置に吸着固定された状態で、その係合部(32)が前記係止部(27)の上方に所定の隙間をあけて対面するように配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤(2,3)の側壁に設けられる磁気プレート(7)と、
前記磁気プレート(7)の側壁に形成される吸着面(8)であって、当該吸着面(8)の所定位置に吸着対象物(9)を磁気吸着させる吸着面(8)と、
前記磁気プレート(7)に形成される収容孔(11)に挿入される第1永久磁石(15)と、
前記第1永久磁石(15)の外周に巻かれるコイル(13)と、
前記第1永久磁石(15)に当接されると共に、磁性体によって構成される磁極部材(16)と、
前記磁極部材(16)の外周面と前記収容孔(11)の内周面との間に装着される第2永久磁石(17)と、
前記基盤(2,3)または前記磁気プレート(7)の上部から前記吸着面(8)に対して交差する方向に突設される支持部材(20)と、
前記吸着対象物(9)から上方に突設されると共に、前記支持部材(20)に設けられる係止部(27)に下方から受け止められることができるように構成される係合部(32)を有する突出部材(28)と、を備え、
前記吸着対象物(9)が前記吸着面(8)の前記所定位置に吸着固定された状態で、前記係合部(32)が前記係止部(27)の上方に所定の隙間をあけて対面するように配置される、ことを特徴とする磁気クランプ装置。
【請求項2】
請求項1の磁気クランプ装置において、
前記支持部材(20)の上壁に受け面(40)が水平方向に対して傾斜すると共に、前記吸着面(8)に近づくにつれて高さが低くなるように形成され、
前記受け面(40)に前記係止部(27)が設けられ、
前記突出部材(28)の先端部からフランジ部分(31)が当該突出部材(28)の径方向に突設され、
前記フランジ部分(31)の下壁に前記係合部(32)が設けられる、ことを特徴とする磁気クランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸着対象物としての金型等を磁力によって基盤の側壁、例えば、射出成型機の固定盤または可動盤等に吸着固定する磁気クランプ装置に関し、特に磁気クランプ装置から金型等が落下するのを防止する機能を備える磁気クランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の金型落下防止機能を備える磁気クランプ装置には、従来では、特許文献1(日本国・特開2008-018546号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
従来の金型落下防止機能を備える磁気クランプ装置は、射出成型機の固定盤および可動盤に装着される。その磁気クランプ装置の筐体の側壁に吸着面が形成され、その吸着面に金型が磁気吸着可能となっている。その吸着面に開口するように、T字状の断面を有するガイド溝が上端から中央付近まで上下方向に形成される。その金型の側面であって吸着面に当接される側面から、T字状の断面を有する係合突起が当該金型の側面に対して垂直方向に突設される。その係合突起が、筐体の上面に開口される開口部からガイド溝内に挿入可能となっている。その金型を吸着面に取り付けるときには、まず、固定盤と可動盤との間の距離が金型の幅よりも僅かに広くなる位置に可動盤を移動させる。その固定盤と可動盤との間に、クレーンで吊るされた金型が上方から搬入される。次いで、係合突起がガイド溝内に挿入されていき、ガイド溝の下端周壁に形成されるストッパに係合突起が受け止められる。引き続いて、可動盤を固定盤に向けて移動させて、固定盤と可動盤で金型を挟み込んだ状態にした後に、磁気クランプ装置によって金型が吸着面に吸着固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術は次の問題がある。
上記磁気クランプ装置では、ガイド溝を磁気クランプ装置の筐体の厚み内に収めると共に、そのガイド溝の周壁が、金型の自重による荷重に耐えることができる剛性を備える必要があることから、係合突起とガイド溝の周壁までの挿入隙間を大きく設定することが困難であった。このため、上記金型の搬入時において、固定盤と可動盤との間に形成された空間であって、金型の寸法よりわずかに広くした空間に、クレーンに吊られて揺れ動く金型を挿入しながら、係合突起を狭い空間であるガイド溝に挿入することになる。このとき、金型および係合突起が固定盤や可動盤や周辺機器などに衝突して破損や摩耗しないように慎重に作業する必要がある。従って、金型を磁気プレートに取り付けるときに、金型の落下防止機能を発揮可能な状態にするのに手間がかかっていた。
本発明の目的は、吸着対象物を取り付けるときに、落下防止機能を発揮可能な状態に簡単にできる磁気クランプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基盤2,3の側壁に磁気プレート7が設けられる。前記磁気プレート7の側壁に吸着面8が形成される。その吸着面8の所定位置に吸着対象物9が磁気吸着される。前記磁気プレート7に形成される収容孔11に第1永久磁石15が挿入される。前記第1永久磁石15の外周にコイル13が巻かれる。前記第1永久磁石15に当接される磁極部材16が、磁性体によって構成される。前記磁極部材16の外周面と前記収容孔11の内周面との間に第2永久磁石17が装着される。前記基盤2,3、または、前記磁気プレート7の上部から支持部材20が、前記吸着面8に対して交差する方向に突設される。前記吸着対象物9から突出部材28が上方に突設される。その突出部材28は、係合部32を有する。その係合部32が、前記支持部材20に設けられる係止部27によって下方から受け止められることができるように構成される。前記吸着対象物9が前記吸着面8の前記所定位置に吸着固定された状態で、前記係合部32が前記係止部27の上方に所定の隙間をあけて対面するように配置される。
【0006】
上記の本発明は次の作用効果を奏する。
上記の磁気クランプ装置では、基盤の上部、または、磁気プレートの上部から支持部材が吸着面に対して交差する方向に突設される。また、吸着対象物から突出部材が上方に突設されると共に、突出部材が有する係合部が、支持部材に設けられる係止部によって下方から受け止め可能となるように構成されている。また、吸着対象物が吸着面の所定位置に吸着固定された状態で、係合部が係止部の上方に隙間をあけて対面されている。このため、吸着対象物を磁気プレートに取り付けるときに、吸着対象物が磁気プレート等に衝突しないように磁気プレートから水平方向に十分に離した状態で吸着対象物を上方から搬入できる。また、その吸着対象物と基盤とを近づけるように水平方向に相対移動させて、吸着対象物を磁気プレートの所定位置に配置すると、係合部が係止部に上方に隙間をあけて対面される。このため、本発明の磁気クランプ装置は、吸着対象物を基盤などの周辺機器に衝突させて摩耗や破損させることなく、磁気プレート上の所定位置に簡単に取り付けることができ、これにより、係合部が係止部の上方に隙間をあけて対面されるように配置されるので、吸着対象物の落下防止機能を発揮可能な状態に簡単にできる。
【0007】
本発明は、下記構成を加えることが好ましい。
例えば、
図7から
図9に示すように、前記支持部材20の上壁に受け面40が水平方向に対して傾斜すると共に、吸着面8に近づくにつれて高さが低くなるように形成される。前記受け面40に前記係止部27が設けられる。前記突出部材28の先端部からフランジ部分31が当該突出部材28の径方向に突設される。前記フランジ部分31の下壁に前記係合部32が設けられる。
【0008】
この場合、磁気プレートの吸着面上の所定位置に吸着固定される吸着対象物が、意図せずに吸着面から離脱されたときに、吸着対象物が突出部材のフランジ部分と突出部材の受け面とを介して磁気プレートに受け止められる。その吸着対象物は、その自重によって受け面に沿って吸着面側に移動され、磁気クランプ装置の吸着力により吸着対象物が吸着面に吸着される。このため、吸着対象物が磁気プレートから落下して摩耗や破損するのを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態を示し、磁気クランプ装置を備える射出成型機の部分断面図であって、射出成型機の型開状態を示す図である。
【
図2】
図2は、上記射出成型機の動作を説明する図であって、
図1に類似する図である。
【
図3】
図3は、上記射出成型機の動作を説明する図であって、
図1に類似する図である。
【
図4】
図4は、上記射出成型機の型閉状態を示す図であって、
図1に類似する図である。
【
図7】
図7は、上記の実施形態の変形例を示し、磁気クランプ装置の突出部材を示す図である。
【
図8】
図8は、上記の突出部材の動作を説明する図であり、
図7に類似する図である。
【
図9】
図9は、上記の突出部材の動作を説明する図であり、
図7に類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から
図6は、本発明の一実施形態を示している。この実施形態の射出成型機1は、固定盤(基盤)2と可動盤(基盤)3とを備えており、(図示しない)駆動機構によって可動盤3が4本のタイバー4に沿って固定盤2に向けて近づけるように、又は、離れるように移動される。その固定盤2および可動盤3に、それぞれ、磁気クランプ装置5,6が装着されている。固定盤2側の磁気クランプ装置5と可動盤3側の磁気クランプ装置6とは、ほぼ同じ構成となっており、固定盤2側の磁気クランプ装置5に基づいて、その構造を、
図1及び
図6を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、磁気クランプ装置5の筐体としての磁気プレート7が強磁性体材料によって構成される。その磁気プレート7の左側壁に吸着面8が形成され、その吸着面8に金型9が吸着固定可能となっている。その金型(吸着対象物)9は、固定盤2側の磁気クランプ装置5に吸着固定される固定型9aと、可動盤3側の磁気クランプ装置6に吸着固定される可動型9bとを有する。その金型9がクレーンに吊られて射出成型機1に搬入されるときには、固定型9aと可動型9bとが固定金具10によって連結されている。
【0012】
図5に示すように、磁気プレート7内に複数の収容孔11が吸着面8に開口されるように形成される。各収容孔11の底壁に当接されるように永電磁石12が挿入される。その永電磁石12は、コイル13が複数巻かれたリング状のボビン14とそのボビン14の筒孔に挿入される円柱状の第1永久磁石15とを有している。第1永久磁石15はネオジム磁石によって構成される。また、第1永久磁石15に当接するように円柱状の磁極部材16が収容孔11に挿入される。その磁極部材16が強磁性体材料によって構成される。その磁極部材16の外周壁に収容溝が周方向に形成され、収容溝に第2永久磁石17が装着される。その第2永久磁石17がアルニコ磁石によって構成される。
【0013】
図1および
図5に示すように、複数のコイル13が配線18によって接続され、その配線18が磁気制御装置19に接続される。その磁気制御装置19は、CPUやROMやRAMを含むコンピュータとコイル13に電力を供給する電源部(図示しない)などによって構成される。その磁気制御装置19は、磁気プレート7が金型9を吸着した状態とその吸着を解除した状態とを切り換える。
【0014】
図1および
図6に示すように、上記の固定盤2に装着される磁気クランプ装置5の磁気プレート7の上部から支持部材20が、吸着面8に対して交差する方向(以下、交差方向という)に突設されている。その支持部材20がボルト22によって磁気プレート7に固定される。その支持部材20に挿入孔23が、当該支持部材20の左端面に開口するように交差方向に延在して形成されている。その支持部材20は、磁気プレート7に取り付けられる基部分24と、挿入孔23を挟むように基部分24から水平方向に突設される2つの受け止め部分25とを備える。その受け止め部分25の先端から突起部26が上方に突設される。その受け止め部分25の上面に係止部27が形成される。
【0015】
上記の金型9の上部に雌ネジ孔が上下方向に形成され、その雌ネジ孔に突出部材28の本体部分30が螺合されることにより高さ調整可能となっている。その高さ調整された位置で本体部分30がナットによって金型9に固定されている。これにより、金型9の上端面から丸棒状の突出部材28の本体部分30が高さ調整自在に突設される。その先端部からフランジ部分31が当該本体部分30の径方向に突設される。そのフランジ部分31の下面に係合部32が形成される。上記の本体部分30が支持部材20の挿入孔23に挿入できるように構成されると共に、フランジ部分31の係合部32が受け止め部分25の係止部27に下方から受け止めることができるように構成されている。
【0016】
上記金型9を射出成型機1の固定盤2と可動盤3との間に取り付けるときには、まず、
図1および
図2に示すように、固定盤2から可動盤3が十分に離間された射出成型機1の型開状態において、クレーンに吊るされた金型9が、固定盤2と可動盤3との間に形成される空間に上方から搬入される。次いで、作業者によるクレーン操作や手動作業により金型9を磁気プレート7に向けて水平に移動させて、
図3に示すように、金型9の側壁に装着されたロケートリング35が、固定盤2側の磁気プレート7の中央に形成された案内孔36に挿入される。このとき、金型9の固定型9aに設けられる突出部材28の本体部分30が固定盤2の支持部材20の挿入孔23に挿入される。また、このとき、突出部材28のフランジ部分31の下面(係合部)は、支持部材20の突起部26の上面よりも高さHだけ高い位置にあるので、支持部材20の突起部26が突出部材28のフランジ部分31に衝突することが防止される。引き続いて、作業者によって、案内孔36の中心軸回りに金型9を回転移動させて位置調整すると、金型9が磁気プレート7上の所定位置に配置される。次いで、可動盤3を固定盤2に向けて移動させると、
図4に示すように、固定盤2と可動盤3とによって金型9が挟み込まれる。このとき、金型9の可動型9bに固定される突出部材28の本体部分30が、可動盤3に取り付けられる支持部材20の挿入孔23に挿入される。また、このとき、突出部材28のフランジ部分31の係合部32は、支持部材20の突起部26の上面よりも高さHだけ高い位置にあるので、支持部材20の突起部26が突出部材28のフランジ部分31に衝突することが防止されている。その後、作業者が磁気制御装置19を操作して、磁気クランプ装置5,6で金型9を磁気プレート7に吸着固定させる。
【0017】
上記の磁気クランプ装置5に磁気固定された金型9の固定型9a、または、クランプ装置6に磁気固定された可動型9bが、何らかの原因によって磁気クランプ装置5,6から意図せず離間されるときに、固定型9aまたは可動型9bが自重によって下方へ移動され、突出部材28の係止部27と支持部材20の係合部32とを介して磁気クランプ装置5,6に受け止められる。これにより、金型9が射出成型機1から落下して破損することが防止される。
【0018】
上記の実施形態は次の長所を奏する。
上記の固定盤2側のクランプ装置5の上部から、および、可動盤3側のクランプ装置6の上部から支持部材20が吸着面8に対して交差する方向に、それぞれ、突設される。また、金型9から突出部材28が上方に突設されると共に、支持部材20によって下方から受け止められるようになっている。また、金型9が吸着面8の所定位置に吸着固定された状態で、係合部32が係止部27の上方に隙間をあけて対面されている。このため、金型9を磁気プレート7に取り付けるときに、金型9が磁気プレート7等に衝突しないように磁気プレート7から水平方向に十分に離した状態で金型9を上方から搬入できる。また、その固定型9aを固定盤2にまたは可動盤3を可動型9bに近づけるように水平方向に相対移動させて、金型9を磁気プレート7の所定位置に配置することにより、係合部32が係止部27に上方に隙間をあけて対面される。従って、本発明の磁気クランプ装置5,6は、金型9が固定盤2または可動盤3等の周辺機器に衝突して摩耗や破損することなく金型9を磁気プレート7の所定位置に取り付けることができ、これにより、係合部32が係止部27の上方に隙間をあけて対面するように配置されるので、金型落下防止機能を発揮可能な状態に簡単にできる。
【0019】
図7から
図9は、上記実施形態の変形例を示している。この変形例においては、上記の実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。この変形例が上記実施形態と異なる点は次の通りである。
【0020】
図7に示すように、上記変形例の磁気クランプ装置5では、受け止め部分25の上壁に受け面40が水平方向に対して傾斜するように(右下がりに)形成される。これにより、磁気クランプ装置5,6に吸着固定されている金型9が、何らかの原因によって意図せず離脱された場合に、その金型9の突出部材28が有するフランジ部分31の係合部27が、支持部材20Aの受け面40に形成される係止部27に受け止められる。その後に、金型9がその自重によって受け面40に沿って磁気プレート7側に移動されて、金型9が磁気プレート7に近づく。これにより、磁気クランプ装置5から一度離間された金型9が突出部材28と支持部材20とによって磁気クランプ装置5に支持されると共に、磁気クランプ装置5による磁力によって吸着面8に再度吸着固定される。その結果、磁気クランプ装置5から離間された金型9が落下して摩耗や破損するのを確実に防止できる。
【0021】
また、
図7から
図9に示すように、金型9の上端面から上方に突出部材28の枢支部29が設けられ、その枢支部29に突出部材28の本体部分30が回転可能となるようにピン連結される。その本体部分30が棒状に形成され、その先端部からフランジ部分31が当該本体部分30の径方向に突設される。そのフランジ部分31の下面に係合部32が形成される。上記の本体部分30が支持部材20の挿入孔23に挿入できるように構成されると共に、フランジ部分31の係合部32が受け止め部分25の係止部27に下方から受け止め可能に構成されている。また、本体部分30に筒部材33が当該本体部分30の外周面に沿って移動可能に外嵌めされている。また、その筒部材33を下限位置に移動させることにより、その筒部材33が本体部分30と枢支部29とを一度に外嵌めできるようになっている。このため、
図8に示すように、筒部材33を上限位置に移動させることにより、その筒部材33を本体部分30にのみ外嵌めさせるときには、枢支部29に対して本体部分30を回転させることができる。また、
図7に示すように、筒部材33を本体部材30および枢支部29に外嵌めさせるときには、枢支部29に対して本体部分30を回転させることが制限され、本体部分30が金型9の上面から上方に向けて突出させた状態に維持される。従って、金型9を使用しないときには、
図9に示すように、支持部材20を回転させて折りたたんだ状態にしておくことができる。これにより、使用しない金型9を(図示しない)収納棚等に収納する際に、金型9をコンパクトにして収納しやすくすると共に、周辺機器等に突出部材28が当接して摩耗や破損することを防止できる。
【0022】
上記の各実施形態は次のように変更可能である。
上記の吸着対象物は、例示した金型9に限られず、ワーク等であってもよい。
上記の支持部材20は、磁気プレート7の上部から1つ突設されることに限られず、複数突設されるようにしてもよい。この場合、複数の支持部材20のうちのすべて、もしくは、いくつかの支持部材20によって金型9の突出部材28が支持されるようにする。また、1つの支持部材20で1つの突出部材28を支持することに限られず、複数の支持部材20で1つの突出部材28を支持するようにしてもよく、また、1つの支持部材20で複数の突出部材28を支持するようにしてもよい。また、支持部材20は、磁気プレート7の上部にボルト固定されることに限られず、固定盤2または可動盤3に固定されるようにしてもよい。
上記の支持部材20の受け止め部分25と突起部26とが一体に形成されることに代えて、受け止め部分25と突起部26とが別部材に形成されてもよい。この場合、受け止め部分25に板バネ部材を介して突起部26が装着されて、受け止め部分25に対して板バネが突起部26を吸着面8側に付勢するように構成される。これにより、突起部26が金型9の突出部材28を受け止めたときに、板バネの付勢力によって突起部26を介して突出部材28を吸着面8側に押す。その結果、金型9が磁気プレート7に再度吸着される機会が増える。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0023】
2:基盤2,3:基盤,7:磁気プレート,8:吸着面,9:金型(吸着対象物),11:収容孔,13:コイル,15:第1永久磁石,16:磁極部材,17:第2永久磁石,20:支持部材,27係止部,28:突出部材,31:フランジ部分,32:係合部,40:受け面.