IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ツー−シックス デラウェア インコーポレイテッドの特許一覧

特開2023-4895矩形画素を含むLCOSアレイを利用したWSS
<>
  • 特開-矩形画素を含むLCOSアレイを利用したWSS 図1
  • 特開-矩形画素を含むLCOSアレイを利用したWSS 図2
  • 特開-矩形画素を含むLCOSアレイを利用したWSS 図3
  • 特開-矩形画素を含むLCOSアレイを利用したWSS 図4
  • 特開-矩形画素を含むLCOSアレイを利用したWSS 図5
  • 特開-矩形画素を含むLCOSアレイを利用したWSS 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004895
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】矩形画素を含むLCOSアレイを利用したWSS
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20230110BHJP
   G02F 1/31 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022084946
(22)【出願日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】17/304,824
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519146787
【氏名又は名称】ツー-シックス デラウェア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】II-VI Delaware,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン,アームストロング
(72)【発明者】
【氏名】ルーク,スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】グレン ウェイン,バクスター
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン,プラムリッジ
【テーマコード(参考)】
2H088
2K102
【Fターム(参考)】
2H088EA47
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA03
2H088HA06
2H088HA30
2H088KA01
2K102AA21
2K102BA09
2K102BA16
2K102BA26
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD02
2K102CA20
2K102DA01
2K102DC09
2K102DD02
2K102EA02
2K102EA19
2K102EB16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液晶デバイスに関し、特に、直交軸において異なる画素ピッチを有する液晶オンシリコンアレイに関する。
【解決手段】液晶オンシリコン(LCOS)デバイスは、シリコン基板と、上位電極及び下位電極を含む電極のペアと、を含む。下位電極は、シリコン基板に取り付けられ、第1の次元及び第2の次元の両方において延長する画素の二次元アレイを含む。LCOSデバイスはまた、上位電極と下位電極との間に配置され、下位電極の画素に提供された駆動信号によって複数の電気的状態に駆動可能であるように構成された液晶層を含む。画素は、第2の次元においてよりも第1の次元において長い辺を有する、外形において矩形である。更に、二次元アレイは、第2の次元においてよりも第1の次元において大きい画素ピッチを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶オンシリコン(LCOS)デバイスであって、
シリコン基板と、
第1の電極及び第2の電極を含む電極のペアであって、前記第2の電極は、前記シリコン基板に取り付けられ、第1の次元及び第2の次元の両方において延長する画素の二次元アレイを含む、前記電極のペアと、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、前記第2の電極の前記画素に提供された駆動信号によって複数の電気的状態に駆動可能であるように構成された液晶層と、を備え、
前記画素は、前記第2の次元においてよりも前記第1の次元において長い辺を有する矩形外形を含み、
前記二次元アレイは、前記第2の次元においてよりも前記第1の次元において大きい前記画素の画素ピッチを含む、
前記LCOSデバイス。
【請求項2】
前記画素の二次元アレイは、標準的でない表示フォーマットであるアスペクト比を有する、請求項1に記載のLCOSデバイス。
【請求項3】
ディスプレイでない用途、光学切り替えデバイス、及び波長選択スイッチのうちの少なくとも1つにおいて使用されるように構成されている、請求項1に記載のLCOSデバイス。
【請求項4】
前記第2の次元は、前記波長選択スイッチ内の異なるポートの間で異なる波長チャネルを切り替えるために使用される、請求項3に記載のLCOSデバイス。
【請求項5】
前記第1の次元における前記画素ピッチは、前記第2の次元における前記画素ピッチよりも少なくとも1.3倍大きい、請求項1に記載のLCOSデバイス。
【請求項6】
前記画素は、前記第2の次元において8マイクロメートル~12マイクロメートルである第2の長さを有し、前記画素は、前記第1の次元において5マイクロメートル~7マイクロメートルである第1の長さを有する、請求項1に記載のLCOSデバイス。
【請求項7】
前記画素のアレイは、前記第1の次元において1500~1900画素を含み、前記画素のアレイは、前記第2の次元において2500~3000画素を含む、請求項1に記載のLCOSデバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のLCOSデバイスを組み込んだ波長選択スイッチ。
【請求項9】
シリコン基板上に配置された独立して駆動可能な画素の二次元アレイを含む液晶オンシリコン(LCOS)デバイスであって、前記アレイにわたる第1の次元における前記画素の第1のピッチは、前記アレイにわたる第2の次元における前記画素の第2のピッチよりも大きい、前記LCOSデバイス。
【請求項10】
1つ以上の波長選択スイッチ(WSS)の複数の光学ポートの間で光学チャネルを切り替える際の使用のための液晶オンシリコン(LCOS)デバイスであって、前記LCOSデバイスは、
シリコン基板と、
第1の電極及び第2の電極を含む電極のペアであって、前記第2の電極は、前記シリコン基板に取り付けられ、第1の次元及び第2の次元の両方において延長する画素の二次元アレイを含む、前記電極のペアと、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、前記第2の電極の前記画素に提供された駆動信号によって複数の電気的状態に駆動可能であるように構成された液晶層と、を備え、
前記アレイにわたる前記第1の次元及び前記第2の次元のうちの1つまたは2つにおける前記画素のピッチは、前記1つ以上のWSSデバイスの1つ以上の特性に基づいて定義される、
前記LCOSデバイス。
【請求項11】
前記画素の形状は、前記1つ以上のWSSデバイスの前記1つ以上の特性に基づいて定義される、請求項10に記載のLCOSデバイス。
【請求項12】
前記画素の前記ピッチは、
前記1つ以上の特性としての光学ポートの数と、
前記1つ以上の特性としての光学ポートの位置と、
前記1つ以上の特性としての前記1つ以上のWSSデバイスの全体サイズと、
前記1つ以上の特性としての前記1つ以上のWSSデバイスのターゲット電力消費値と、
前記1つ以上の特性としての光学チャネルの数と、
前記1つ以上の特性としての前記1つ以上のWSSデバイスによって切り替えられることになる集合的光学チャネルの帯域幅と、
のうちの少なくとも1つに基づいて定義される、請求項10に記載のLCOSデバイス。
【請求項13】
1つ以上の波長選択スイッチ(WSS)における使用のための液晶オンシリコン(LCOS)デバイスの画素仕様を決定する方法であって、
前記波長選択スイッチに対する光学ポートの数及び/または位置を決定することと、
前記光学ポートの間で光学チャネルを切り替えるために必要とされる切り替え角度の範囲を計算することと、
前記計算された切り替え角度の範囲に基づいて、前記LCOSデバイスの切り替え軸についての第1の画素サイズ及び第1の画素の数を決定することと、
矩形であり、前記切り替え軸についての前記第1の画素サイズ及び前記第1の画素の数に基づいた矩形度を有する、前記LCOSデバイスの前記画素を定義することと、
を備えた、前記方法。
【請求項14】
前記LCOSデバイスの前記切り替え軸についての前記第1の画素サイズ及び前記第1の画素の数を決定することは、前記第1の画素サイズの最小値及び前記第1の画素の数の最小値を決定することを含み、前記方法は、
前記光学ポートの間で切り替えられることが必要とされる光学チャネルの数を決定することと、
前記光学チャネルの数に基づいて、前記切り替え軸に垂直な分散軸における第2の最小画素サイズ及び前記画素の第2の最小数を決定することと、
を更に備えた、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記分散軸における前記第2の最小画素サイズ及び前記画素の前記第2の最小数を決定する前記ステップは、前記1つ以上のWSSデバイスによって切り替えられることになる前記光学チャネルの帯域幅を決定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
切り替えられることになる前記光学チャネルの数を決定する前記ステップは、前記LCOSデバイスまたは前記1つ以上のWSSデバイスの全体サイズを決定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記切り替え軸についての前記第1の画素サイズ及び前記第1の画素の数を決定する前記ステップは、前記LCOSデバイスまたはWSSデバイスのターゲット電力消費値を決定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記LCOSデバイスの前記切り替え軸についての前記第1の画素サイズ及び前記第1の画素の数を決定する前記ステップは、前記光学ポートの隣接するものの間に必要とされるポート隔離を決定することを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、液晶デバイスに関し、特に、直交軸において異なる画素ピッチを有する液晶オンシリコンアレイに関する。
【0002】
本開示の実施形態は、波長選択スイッチなどの光学スイッチにおける使用のために特に適合される。しかしながら、開示がより広義のコンテキスト及び他の用途に適用可能であることが認識されよう。
【背景技術】
【0003】
液晶オンシリコン(LCOS)デバイスは、波長選択スイッチ(WSS)に対して最も一般的に使用される切り替えエンジンの1つである。WSSデバイスでは、切り替えられることになるチャネルをサポートする光ファイバは、1つの軸に沿って分離され、ファイバのいずれか1つにLCOSが向くことができるように光学システムが設計される。これは、ポート切り替えと称される。直交軸では、光が周波数において分散し、その結果、LCOSによって小さい領域のスペクトルに独立して対処することができる。これは、波長選択性と称される。
【0004】
ポート切り替え及び波長選択性を達成するために、個々の波長チャネルを別個に操作するためにLCOSの1つの軸が別個に使用されると共に、異なる光ファイバの間で波長チャネルを切り替えるために画素の他の軸が使用される。
【0005】
デバイスの性能は、画素アレイに包含された画素の数に全体的に比例する。例えば、より高い数の画素を有するLCOSデバイスは、より多くの数の光ファイバの間での切り替えを可能にする。より多くの数の画素を利用可能にすることも、改善された較正処理を実行し、波長軸切り替えの粒度を改善するための追加の画素を提供することができる。
【0006】
大域的なネットワークトラフィックの量が増大するにつれて、WSSデバイスがより良好に機能し、より高い数のファイバの間で切り替えるための必要性が高まっている。加えて、切り替えを実行するために単一の共通LCOSデバイスを活用する複数のWSSデバイスを組み込んだモジュールが開発されている。それらのより高い性能のデバイスでは、切り替え軸においてより多くの数の画素が必要とされる。加えて、ファイバ能力を増大させるために、より広い周波数範囲が推し進められており(例えば、単一のWSSにおける両方のC+L波長帯域への)、それは、波長軸において画素を増大させることを必要とすることがある。
【0007】
残念なことに、LCOSデバイス上での画素の数における増大は、駆動回路の複雑度を増大させ、デバイスの全体的な電力消費を増大させ、利用可能な光学-機械設計空間に限定を課す。これは次いで、デバイスの製造コスト及び持続している操業コストを増大させる。
【0008】
明細書の全体を通じた背景技術のいずれかの議論は、そのような技術が公知であり、または分野における一般常識の一部を形成するとの承認として考慮されるべきではない。
【発明の概要】
【0009】
1つの構成では、本明細書で開示される液晶オンシリコン(LCOS)デバイスは、シリコン基板、電極のペア、及び液晶層を含む。電極のペアは、上位電極及び下位電極を含む。下位電極は、シリコン基板に取り付けられ、画素の二次元アレイを含み、画素の二次元アレイは、第1の次元及び第2の次元の両方において延長する。液晶層は、上位電極と下位電極との間に配置される。液晶層は、下位電極の画素に提供された駆動信号によって複数の電気的状態に駆動可能であるように構成される。画素は、第2の次元においてよりも第1の次元において長い辺を有する、外形において矩形である。二次元アレイは、第2の次元においてよりも第1の次元において大きい画素ピッチを含む。
【0010】
別の配列では、液晶オンシリコン(LCOS)デバイスは、シリコン基板上に配置された独立して駆動可能な画素の二次元アレイを含む。アレイにわたる第1の次元における画素のピッチは、アレイにわたる第2の次元における画素のピッチよりも大きい。
【0011】
更なる別の配列では、1つ以上の波長選択スイッチ(WSS)の複数の光学ポートの間で光学チャネルを切り替える際に液晶オンシリコン(LCOS)デバイスが使用される。LCOSデバイスは、シリコン基板、電極のペア、及び液晶層を含む。電極のペアは、上位電極及び下位電極を含む。下位電極は、シリコン基板に取り付けられ、第1の次元及び第2の次元の両方において延長する画素の二次元アレイを含む。液晶層は、上位電極と下位電極との間に配置され、下位電極の画素に提供された駆動信号によって複数の電気的状態に駆動可能であるように構成される。アレイにわたる1つまたは2つの次元における画素のピッチは、1つ以上のWSSデバイスの1つ以上の特性に基づいて定義される。
【0012】
本開示に従った波長選択スイッチは、本明細書で開示され、上記開示されたLCOSデバイスを組み込んでもよい。
【0013】
1つ以上の波長選択スイッチ(WSS)における使用のための液晶オンシリコン(LCOS)デバイスの画素仕様を決定する方法が開示される。方法は、波長選択スイッチに対する光学ポートの数及び/または位置を決定することと、光学ポートの間で光学チャネルを切り替えるために必要とされる切り替え角度の範囲を計算することと、計算された切り替え角度の範囲に基づいて、LCOSデバイスの切り替え軸に対する画素サイズ及び画素の数を決定することと、を含み、LCOSデバイスの画素は、矩形であり、切り替え軸に対する画素サイズ及び画素の数に基づいている矩形度を有する。
【0014】
ここで、添付図面を参照して、開示の実施例の実施形態が単なる例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】LCOSデバイスの分解斜視断面図である。
図2】画素の二次元アレイを示す、LCOSデバイスの画素化電極の平面図を例示する。
図3】6個の矩形画素を例示する、図2の画素化電極の断面図を例示する。
図4】LCOSデバイスの画素化電極上に入射する光学チャネルを示す波長選択スイッチの概略的な例示である。
図5】LCOSデバイスについての画素仕様を決定する方法における主要ステップのフローチャートである。
図6】LCOSデバイスについての画素仕様を決定する代替的な方法における主要ステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
デバイス概要を最初に見て、図1は、液晶オンシリコン(LCOS)デバイス100を例示する。デバイス100は、それが伝播次元(z次元)において伝播する入射光学信号の位相を変調するので、LCOS光学位相変調器とも称されてもよい。デバイス100は、シリコン基板102と、対抗する電極106及び108のペアの間に配置された液晶材料層104とを含む。第1のまたは「上位」電極106は、液晶層104の上に配置される。第2のまたは「下位」電極108は、シリコン基板102に取り付けられ、デバイス100にわたって第1の(x)横方向次元及び第2の(y)横方向次元の両方において延長する画素の二次元アレイ110を含む。液晶層104は、電気コントローラ112によって下位電極108に提供された電圧駆動信号によって複数の電気的状態に駆動可能であるように構成される。
【0017】
上位電極106は、透過または部分的に透過な酸化インジウムスズであり、デバイス100への及びデバイス100からの光学信号の伝送を可能にする。下位電極108は、反射的であり、個々に制御可能なアルミニウム画素(例えば、114)のアレイ110を含む。下位電極108の画素は、上位電極106と下位電極108との間で液晶層104にわたって電位Vを供給して、予め定められた構成において層104内の液晶を駆動するために電気的に駆動される。アレイ110内の各々の画素114は、入射光学信号に局所的な位相変調をもたらすよう、いくつかの予め定められた電圧レベルの1つにおいて電気コントローラ112によって個々に駆動可能である。画素114の電気制御は、シリコン基板102を通じた電気コントローラ112への相互接続によってもたらされる。
【0018】
層104内の液晶材料のプリアライメントは、アライメント層118及び120によってもたらされる。層118及び120は、液晶材料の遅相軸を定義するよう、予め定められた方向に沿って並べられた複数の小さい溝を含む。
【0019】
ここで本開示の矩形画素構造に目を向けて、図2は、画素の二次元アレイ110を示す下位電極108の平面図を例示する。例示されるように、画素は、y次元においてよりもx次元において長い辺を有する、外形において矩形である。いくつかの実施形態では、画素は、y次元において5マイクロメートル~7マイクロメートルである長さを有する。いくつかの実施形態では、画素は、x次元において8マイクロメートル~12マイクロメートルである長さを有する。しかしながら、特定の用途に応じて他の矩形寸法を有する画素が実装されてもよいことが認識されよう。
【0020】
光学チャネルの能動的な切り替えのために中心画素領域124が使用される。中心画素領域124の周りは、エプロン126及びガスケット領域128である。それらの外部領域は、全体的に画素化されず、及び/または個々に対処可能でなく、したがって、中心画素領域124によって二次元アレイ110が全体として定義される。エプロン126は、中心能動画素領域を即時に囲むエリアであり、対処可能画素の二次元アレイを包含しない。ガスケット領域128は、中心画素領域124及びエプロン126を少なくとも部分的に囲み、上位電極106にシリコン基板102を接続する。それは、液晶材料を物理的に制約することがある。いくつかの実施形態では、異なる機能を実行するために、1つよりも多いエプロン領域が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、LCOSデバイス100は、ここでは示されない他の領域または構成要素を含む。
【0021】
更に、二次元アレイ110は、y次元においてよりもx次元において大きい画素ピッチを含む。いくつかの実施形態では、x次元における画素ピッチは、y次元における画素ピッチよりも1.3~2.0倍大きい。ドットピッチとも称される画素ピッチは、1つの次元に沿ったアレイ110内の画素の間の距離である。これは、図3において概略的に例示され、図3は、アレイ110の2つのx行及び3つのy列にわたる6個の画素を例示する。画素ピッチは、各々の画素の中心から測定され、画素の幅に画素の間の隙間を加えたものを含む。この隙間は、隣接画素を隔離してクロストークを減少させるために定義される。隙間は通常、フィルファクタを最大にするようできるだけ小さく作られる。隙間のサイズは、画素の間の許容レベルの電気クロストーク及び集積回路レイアウトなどの因子によって限定される。実施例として、画素の間の隙間は、0.2マイクロメートルであってもよい。
【0022】
この矩形画素構造は、所与のLCOSデバイスサイズに対してx次元においてよりもy次元において増大した数の画素が実装されることを可能にする。しかしながら、他の実施形態及び用途では、所与のLCOSデバイスサイズに対してy次元においてよりもx次元において増大した数の画素が実装されてもよいことが認識されよう。モニタ、スクリーン、テレビ、及びプロジェクタなどのディスプレイの用途では、アレイ110は典型的には、コンテンツを正確に表示するために標準的な表示フォーマット(アスペクト比)に従うことが必要とされる。よって、x次元及びy次元における画素の比率は、業界によって設定された予め定義された値に制約される。しかしながら、矩形画素アレイを有するLCOSデバイス100についての主要な用途は、波長選択スイッチ(WSS)デバイスまたは同時に動作する複数のWSSデバイスに対するものである。WSSデバイスは、システムの2つの軸において本質的に異なる光学要件を有し、発明者は、最適化されたLCOSデバイスを設計するためにこの特性を使用することができることを認めている。
【0023】
WSSでは、入力ポート及び出力ポートを表す光ファイバは、1つの軸において分離され、ファイバのいずれか1つにLCOSが向くことができるように光学システムが設計される。直交軸では、個々の光学チャネルが異なる波長/周波数に分散することができ、その結果、チャネルがx次元においてデバイス100の異なる画素領域に入射する。チャネル分離は、各々のチャネルが、LCOSの別個のエリアに向かっていくこと、及びLCOSデバイスによって独立して切り替えられることを可能にする。これは、図4において概略的に例示され、図4は、2つの入力共通ポート402及び404、並びに8個のアド/ドロップポート106~413を有するWSSデバイス400を概略的に例示する。最も実用的な用途では、WSSは、はるかに多いポートを有する。図4では、光学チャネル(例えば、125)の2つの行121及び123は、分散要素416によって分散し、アレイ110のx次元にわたって広がる。各々のチャネルは、光学的に符号化された情報を搬送するために使用される異なる波長帯域を表す。
【0024】
中心画素領域124内で、波長選択スイッチ内の異なるポートの間で異なる波長チャネルを切り替えるために、アレイ110のy次元が使用される。光学チャネルのビームは、光学系(図示せず)によってy次元において伸長し、その結果、それらは、その次元におけるいくつかの画素に入射する。デバイス100の平面に対して所与の角度においてそれを反射するウェーブフロントに相変化を課すように、異なる電圧信号によりチャネル領域のy次元に沿って画素を制御することによって切り替えが実行される。異なる予め定義された電圧信号は、WSSデバイスの入力ポートと出力ポートとの間でチャネルを切り替えるための、異なる切り替え角度を様々な波長チャネルにもたらす。
【0025】
チャネルの2つの行121及び123は、光学ポートの異なるセット、または同等に、2つの異なるWSSデバイスを表し、2つの異なるWSSデバイスは、切り替え要素として共通デバイス110を共有する。一部のWSSデバイスは、波長チャネルの単一の行のみを含むと共に、その他は、波長チャネルの2つよりも多い行を含んでもよい。
【0026】
発明者は、切り替えられることになるいくつかの光学ポート及び光学ポートの配列並びにいくつかのチャネルを有する特定の用途に対して、LCOSデバイスの形状及び数を最適化するよう調整することができることを特定している。第1に、各々の次元において特定の要件に適合するよう、画素の形状が矩形であるように設計されてもよい。第2に、各々の次元における画素の数は、切り替え及びチャネル操作のために最適化するよう決定されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、画素のアレイ110は、x次元において1500~1900画素を含む。いくつかの実施形態では、画素のアレイ110は、y次元において2500~2700画素を含む。いくつかの実施形態では、画素の二次元アレイは、標準的でない表示フォーマット(例えば、標準的でないアスペクト比)であるアスペクト比を有するように定義される。標準的な表示フォーマットは、テレビまたはコンピュータスクリーンなどのディスプレイの標準的なX:Yアスペクト比に関連する。実施例の、標準的な表示フォーマットは、16:9(例えば、1366×768または1920×1080画素)、3:2(例えば、2160×1440または2560×1700画素)、及び16:10(例えば、1280×800または1920×1200画素)を含む。標準的でない表示フォーマットは、業界において既知であり且つ使用されるものの外にある態様または画素比率を指す。
【0028】
LCOSデバイス100がWSSの主要な切り替え要素を表すので、WSSのジオメトリ及びLCOS特性(サイズ、画素の数など)は、相互に連動して設計される。特定のWSS用途に対して調整されたLCOSデバイスを設計する例示的な工程が以下で説明される。上記説明されたLCOSデバイス100を組み込んだWSSは、本開示の別の態様である。いくつかの実施形態では、複数のWSSデバイスに対する共通切り替え要素として単一のLCOSデバイス100が使用されてもよく、異なるWSSデバイスは、LCSOデバイスの画素の異なる領域を使用する。
【0029】
WSSの用途を参照して説明されたが、LCOSデバイス100は、他のタイプの光学切り替えデバイス、並びにスクリーン、モニタ、テレビ、及びプロジェクタなどのディスプレイデバイスにおける用途をも有してもよいことが認識されよう。
【0030】
LCOSデバイスを設計する方法
ここで図5を参照して、WSS(または、同時に使用される複数のWSSデバイス)に対する液晶オンシリコン(LCOS)デバイス100についての仕様を決定する方法500が例示される。方法500は、ステップ501において、WSSに対する光学ポートの数及び/または位置を決定することを含む。より広義に、このステップは、LCOSが使用されるWSSデバイスの仕様を達成するために何の制約が必要とされるかを決定することを含んでもよい。実施例として、1つのタイプのデバイスは、切り替え軸における8ミリメートルのデバイスサイズ制限を満たすよう、127マイクロメートル以下のピッチにおいて配置された60(2×1×30)光ファイバポートを有するデュアルWSSを含む。
【0031】
方法500は、ステップ501において、WSSデバイスについてのファイバマップ及び/または較正コンセプトを定義することを含む。これは、ポートがWSS内に位置する場合を含む、WSSのジオメトリを定義する視覚的表現である。最初に、ファイバマップは、無次元であってもよいが、ポート隔離及びサイズ制限など、デバイスの光学的要件及び/または機械的要件の知識は、マップに次元を加える。
【0032】
ステップ502において、光学ポートの間で光学チャネルを切り替えるために必要とされる切り替え角度の範囲が計算される。これは、WSS内で最も角度的に分離したポートの間で切り替えるために必要とされる最高切り替え角度を決定することを含む。図4に例示されるように、異なる切り替え経路は、異なる切り替え角度を必要とする。より大きな切り替え角度を達成するために、位相リセットの間の距離が減少することを必要とする。光学的損失が増大することを防止するために、位相リセットごとの画素の数が維持される必要があり、したがって、y次元においてより多くの画素が必要とされる。したがって、y次元における画素の最小数は、WSSの最大切り替え角度に比例する。この段階においてWSSの知識が組み込まれる必要があり、サイズ制限などの機械的考慮は、LCOSの最大サイズにつながり、ポート隔離などの光学的考慮は、システム焦点長につながり、それは、ステップ501により考慮されるとき、WSSに対して必要とされる切り替え角度の範囲につながる。
【0033】
いくつかの実施形態では、最も厳しい制約は、デバイス内の最大の全体的な切り替え角度ではないが、共通ポートとアド/ドロップポートとの間の最大切り替え角度である。共通ポートは、それらが光学チャネルの全てを搬送するように、最も重要なポートと考えられる。
【0034】
更に、WSSデバイスが図4に例示されるようなデュアルタイプ切り替えデバイスである場合、波長チャネルの2つの行が必要とされる。これは、y次元において必要とされる画素の数を2倍にする。よって、y次元において必要とされる画素の最小数も、LCOSデバイスを利用した切り替えデバイスの数に依存する。デュアルタイプデバイスに加えて、4個のWSSデバイスが共通LCOSデバイスを共有する、クアッドタイプデバイスも可能である。
【0035】
ステップ503において、WSSの更なる光学的要件及び機械的要件が組み込まれるべきであり、光学的要件は、WSSの周波数範囲、及び各々のチャネルの帯域幅などである。また、LCOSの最大サイズなどの機械的要件が考慮される必要がある。いくつかの実施形態では、これは、WSSによって切り替えられることになる集合的光学チャネルの帯域幅を決定することを含む。実施例として、WSSは、1530ナノメートル~1565ナノメートルの範囲の約5.0テラヘルツの帯域幅を網羅する、C-Bandのスパンにわたってチャネルを切り替えるように構成されてもよい。機械的制約は、この実施例について20ミリメートルであってもよい、波長軸における最大LCOSサイズを定義する。
【0036】
ステップ503はまた、光学チャネルに適用されることになるいずれかのチャネル成形(例えば、チャネルごとの光学ビームの幅)を決定することと、チャネルごとにどの同調及び較正が必要とされるかを決定することとを含んでもよい。実施例として、波長軸における粒度(すなわち、画素/周波数範囲)は、チャネルセンタリング及び幅の周波数精度に影響を及ぼす。
【0037】
ステップ504において、切り替え角度の計算された範囲に基づいて、その切り替えを達成するための、LCOSデバイス100の切り替え(y)軸についての最小画素サイズ及び画素の数が決定される。いくつかの実施形態では、ステップ504は、LCOSデバイスまたはWSSデバイスの全体サイズ制約を決定することを含む。ステップ504はまた、LCOSデバイスまたはWSSデバイスのターゲット電力消費制約を適用することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、このターゲット電力消費は、WSSデバイスまたはデバイス(複数可)の所望のフレームレート、データレート、及び画素分解能に基づいてもよい。
【0038】
最後に、ステップ505において、切り替え軸に垂直な分散(x)軸における最小画素サイズ及び画素の最小数が決定される。この計算は、切り替え軸における最小の必要とされる画素に基づいており、利用可能な画素の総数及び/または電力消費を考慮に入れる。
【0039】
追加の制約も設計工程に適用されてもよい。それらは、デバイスによる最大電力消費、例えば、1ワットの電力消費を含む。電力消費は、より高い数の画素を有するデバイスがより多くの電力を消費する、LCOSデバイス内の画素の数に比例する。他の制約は、所望のフレームレート、データレート、または画素レベル分解能を含む。
【0040】
適用される別の制約は、WSSデバイスの全体的な物理的寸法であってもよい。WSSのような光学デバイスは典型的には、標準化された光学ラックユニットに合致することが必要とされる。このサイズ制約は典型的には、顧客によって要求される。物理的制約のフィルタリングされたバージョンを定義する、光学デバイスの全体的な「開口」と命名されるものを定義するために、それらの要件が使用されてもよい。
【0041】
以下のLCOS画素仕様の実施例の計算が含まれる。
【0042】
入力:
●WSS要件
〇2×1×30ポート
〇127マイクロメートルのファイバピッチを駆動する、光学系についての8ミリメートルの機械的高さ許容度
〇5デシベルの挿入損失
〇30デシベルのポート隔離
〇C-Bandにおける周波数ウインドウ(5.0テラヘルツ)
●8ミリメートルの最大LCOSy寸法
●20ミリメートルの最大LCOSx寸法
●WSS光学帯域幅設定要件を満たすための0.5画素/ギガヘルツ
●1ワットの最大電力消費
【0043】
それらの因子は、LCOSの最大切り替え角度及びサイズを定義するよう組み合わされる。この伝播長を通じた外部ポート上で位相リセットごとに6画素の最小値(実施例として、位相リセットごとの画素の最小数)を維持するために:
切り替え軸における画素サイズ<6.2マイクロメートル(または、これについての6マイクロメートル)である。
【0044】
画素回路の必要とされるサイズによって課される画素エリアに対する制限が存在してもよい。実施例として、この画素エリアは、50平方マイクロメートル以上に制約されてもよい。50平方マイクロメートルよりも大きい画素エリアを維持するために:
分散軸における画素サイズ>8.4マイクロメートルである必要がある。
【0045】
5.0テラヘルツのC-Bandにわたって所望のチャネル性能を満たすために、チャネルは、ギガヘルツごとに0.3画素を基準に分散するべきである。それらの数は、様々なWSS/LCOS組み合わせから実験的に決定されてもよい。
【0046】
切り替え軸では、
画素ごとの8ミリメートル@6マイクロメートルは、切り替え(y)次元において1333画素をもたらす。
【0047】
電力制約について、所望の合計画素は、2.4メガピクセルである。したがって、分散軸における画素の最大数は:
(2.4×10)/1333=1800画素である。
【0048】
これは、上記ギガヘルツごとの0.3画素の要件を満たす。
【0049】
最大分散軸画素サイズは次いで、
20ミリメートル/1800画素=11.1マイクロメートルであってもよく、これは、画素エリアを維持するための8.4マイクロメートルの最小値よりも大きい。
【0050】
最終的なLCOS画素サイズ及び数は、
-Py=6.0マイクロメートル
-Px=10.0マイクロメートル
-Ny=1340
-Nx=1600
-画素の数=2.144MPx
-画素エリア=60平方マイクロメートル
であると決定されている。
【0051】
正方形画素ピッチを使用する代替的な設計は、この設計についての問題を有することに留意されよう。画素エリアが画素回路についての適切な空間を可能にせず(6マイクロメートル×6マイクロメートル画素において)、または切り替え軸において必要とされる画素の数について十分な空間が存在しない(10マイクロメートル×10マイクロメートル画素において)かのいずれかである。
【0052】
いくつかの実施形態では、方法500は、分散(x)軸における画素が変化しないままで切り替え(y)軸に対してのみ方法500が実行されてもよい。それらの実施形態では、ステップ501、502、及び504のみが実行される。
【0053】
いくつかの実施形態では、2つの異なる軸についての必要とされる最小画素は、必要とされる画素サイズ及びピッチを決定するために独立して決定されてもよく、組み合わされてもよい。LCOS画素仕様を決定するこの代替的な方法600が図6に例示される。切り替え(y)軸のみに関連して第1の設計工程601が実行される。これは、ステップ602において、LCOSにより使用されることになるWSS製品を定義することと、ステップ603において、WSS製品のタイプについてのファイバマップ及び較正コンセプトを決定することとを伴う。それらのステップは、方法500のステップ501と同等である。ステップ604において、最悪のキャストの切り替え角度が決定される。このステップは、方法500のステップ502と同等である。ステップ605において、切り替え軸に対して画素の最小数が計算される。これは、方法500のステップ504において実行される。
【0054】
設計工程601の出力は、LCOSの切り替え軸において必要とされる画素の最小数である。別個に、分散(x)軸に関連して第2の設計工程606が実行される。ステップ607において、LCOSにより使用されることになるWSS製品が定義される。このステップは、ステップ602と同一であってもよく、またはステップ602と連動して実行されてもよい。ステップ608において、最悪のケースのチャネル形状仕様が決定される。それらは、効率的な切り替えを達成するための最小要件であり、チャネルクロストーク、チャネルの数、及び伝送帯域幅(例えば、C-Band)などの因子を考慮する。ステップ609において、分散軸における画素の最小数が決定される。
【0055】
設計工程601及び606の両方からの出力は、ステップ710において組み合わされ、ステップ711における画素寸法計算において使用される。この画素寸法計算ステップは、切り替え軸及び分散軸の両方における最小の必要とされる画素寸法を計算し、他の制約を取り入れる。それらの他の制約は、ステップ712において決定される、最大の許容できる切り替え開口、及びステップ713において決定される、最大の許容できる分散開口などの機械的制約を含む。それらのステップは、x次元及びy次元の両方における全体的なLCOSサイズを決定するためにステップ714において組み合わされる。それらの寸法は、画素寸法計算ステップ711にフィードされる。また、ステップ715において、画素エリア要件(典型的には、LCOS製造者によって規定された)が、画素寸法計算ステップ711にフィードされる。最終的に、ステップ716において、LCOS電力制約が、画素寸法計算ステップ711に入力される。
【0056】
それらの制約の全てが適用されると共に、両方の軸における適切な画素形状(x軸及びy軸における寸法)並びにピッチが計算されてもよい。ほとんどの用途における最適な結果は、分散軸における画素幅が切り替え軸における画素高さよりも長い矩形画素設計である。また、切り替え軸におけるピッチは、分散軸におけるピッチよりも高い。それらの設計パラメータは、所望の最適化されたデバイスの製造のためにLCOS製造者に提供される。
【0057】
方法500及び600は、WSSデバイスの1つ以上の特性に基づいてアレイにわたる1つまたは2つの次元における画素のピッチが定義される、LCOSデバイス100を定義することをもたらす。画素の形状も、WSSデバイスの1つ以上の特性に基づいて定義されてもよい。WSSデバイスの特性は、
-WSSにおける光学ポートの数及び/もしくは位置、
-WSSデバイスの全体サイズ、
-WSSデバイスのターゲット電力消費値、
-光学チャネルの数、並びに/または
-WSSによって切り替えられることになる集合的光学チャネルの帯域幅
を含む。
【0058】
画素が「正方形」から著しく離れて移動することを可能にすることは、画素及び熱的制約の平衡を保つことを可能にすると共に、光学性能を満たすことがなおも可能である。
【0059】
本明細書で説明される実施形態は、本開示のいずれかの適合または変形を網羅することを意図している。特定の例示的な実施形態に関して本開示が説明及び解説されてきたが、当業者は、本開示の範囲内にある追加の実施形態を容易に想像することができることを理解するであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】