(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049017
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】光干渉フィルタ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20230331BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20230331BHJP
G02B 1/113 20150101ALI20230331BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20230331BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
G02B5/28
G02B5/26
G02B1/113
G02B5/30
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022150331
(22)【出願日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】17/449,150
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100226263
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 未来生
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジンフイ
(72)【発明者】
【氏名】マリウス グリゴニス
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ジェイ オケンファス
(72)【発明者】
【氏名】カレン デニス ヘンドリックス
【テーマコード(参考)】
2H148
2H149
2K009
4M118
【Fターム(参考)】
2H148GA07
2H148GA09
2H148GA12
2H148GA18
2H148GA19
2H148GA33
2H148GA62
2H149AA24
2H149AB26
2H149BA04
2H149BB28
2H149FC08
2K009AA02
2K009BB02
2K009BB06
2K009BB24
2K009CC02
2K009CC03
2K009CC14
2K009DD04
4M118AB01
4M118BA10
4M118BA14
4M118CA02
4M118GC17
4M118GC20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板と基板上に配置される層のセットとを含む光干渉フィルタを提供する。
【解決手段】基板と基板上に配置される層のセットとを含み、層のセットは、窒化アルミニウム(AlN)材料で構成され、かつ応力が-1000~800メガパスカルの間である層の第1のサブセット230と少なくとも一つの他の材料で構成される層の第2のサブセット240とを含む光干渉フィルタ。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光干渉フィルタであって、該光干渉フィルタは:
基板と;
前記基板上に配置される層のセットと、を備え、前記層のセットは:
層の第1のサブセットであって、
前記層の第1のサブセットが、窒化アルミニウム(AlN)材料で構成され、かつ
前記層の第1のサブセットの応力が-1000~800メガパスカルの間である、
層の第1のサブセット;及び
層の第2のサブセットであって、
前記層の第2のサブセットが、少なくとも1つの他の材料で構成される、
層の第2のサブセット;
を含む、層のセットと、
を備える、光干渉フィルタ
【請求項2】
請求項1に記載の光干渉フィルタであって、前記基板の厚さが50ミクロン以上である、光干渉フィルタ。
【請求項3】
請求項1に記載の光干渉フィルタであって、前記基板が、
ガラス基板、
ポリマー基板、
ポリカーボネート基板、
金属基板、
シリコン(Si)基板、
ゲルマニウム(Ge)基板、又は
アクティブデバイスウェハ、
を備える、光干渉フィルタ。
【請求項4】
請求項1に記載の光干渉フィルタであって、前記少なくとも1つの他の材料が、
シリコン(Si)材料、
水素化シリコン(Si:H)材料、
シリコン及び水素(SiH)材料、
アモルファスシリコン(a-Si)材料、
窒化シリコン(SiN)材料、
ゲルマニウム(Ge)材料、
水素化ゲルマニウム(Ge:H)材料、
シリコンゲルマニウム(SiGe)材料、
水素化シリコンゲルマニウム(SiGe:H)材料、
炭化シリコン(SiC)材料、
水素化炭化シリコン(SiC:H)材料、
二酸化シリコン(SiO2)材料、
五酸化タンタル(Ta2O5)材料、
五酸化ニオブ(Nb2O5)材料、
酸化ニオブチタン(NbTiOx)材料、
五酸化ニオブタンタル(Nb2TaO5)材料、
二酸化チタン(TiO2)材料、
酸化アルミニウム(Al2O3)材料、
酸化ジルコニウム(ZrO2)材料、
酸化イットリウム(Y2O3)材料、又は
酸化ハフニウム(HfO2)材料、
のうちの少なくとも1つを含む、光干渉フィルタ。
【請求項5】
請求項1に記載の光干渉フィルタであって、追加の層が、前記層のセット上に配置されており、
前記追加の層は、二酸化シリコン(SiO2)材料で構成される、
光干渉フィルタ。
【請求項6】
請求項1に記載の光干渉フィルタであって、前記層のセットが、前記基板の単一表面上に配置される、光干渉フィルタ。
【請求項7】
請求項1に記載の光干渉フィルタであって、前記層のセットの第1の部分が、前記基板の第1の表面上に配置され、かつ
前記層のセットの第2の部分が、前記基板の第2の表面上に配置される、
光干渉フィルタ。
【請求項8】
請求項1に記載の光干渉フィルタであって、前記層のセットが、マグネトロンスパッタリングプロセスを使用して前記基板上に形成される、光干渉フィルタ。
【請求項9】
請求項1に記載の光干渉フィルタであって、前記層の第1のサブセット及び前記層の第2のサブセットが、交互の層順序で前記基板上に配置される、光干渉フィルタ。
【請求項10】
光干渉フィルタであって、該光干渉フィルタは:
層のサブセットであって、
前記層のサブセットが、窒化アルミニウム(AlN)材料で構成され、かつ
前記層のサブセットの応力が、-1000~800メガパスカルの間である、層のサブセット、
を含む、層のセット、
を備える、光干渉フィルタ。
【請求項11】
請求項10に記載の光干渉フィルタであって、前記光干渉フィルタが、
バンドパスフィルタ、
長波長パスフィルタ、
短波長パスフィルタ、
ビームスプリッタ、
偏光ビームスプリッタ、又は
反射防止フィルタ、
のうちの少なくとも1つを備える、光干渉フィルタ。
【請求項12】
請求項10に記載の光干渉フィルタであって、前記層のセットの正味応力が、ほぼ0メガパスカルである、光干渉フィルタ。
【請求項13】
請求項10に記載の光干渉フィルタであって、前記層のセットが、基板の単一表面上に配置される、光干渉フィルタ。
【請求項14】
請求項10に記載の光干渉フィルタであって、前記層のセットの第1の部分が、基板の第1の表面上に配置され、かつ
前記層のセットの第2の部分が、前記基板の第2の表面上に配置される、
光干渉フィルタ。
【請求項15】
請求項10に記載の光干渉フィルタであって、前記層のセットが、マグネトロンスパッタリングプロセスを使用して基板上に形成される、光干渉フィルタ。
【請求項16】
方法であって、該方法は:
不活性ガスをチャンバーに供給するステップであって、
前記不活性ガスが、アルゴン(Ar)又はヘリウム(He)の少なくとも1つを含む、
ステップと;
窒素(N2)ガスをチャンバーに供給するステップと;
前記不活性ガス及び前記N2ガスを供給するステップに基づいて、アルミニウム(Al)ターゲットをスパッタリングさせて、基板上に窒化アルミニウム(AlN)を備える層の第1のセットを形成するステップであって、
前記層の第1のセットを、少なくとも1つの他の材料で構成される層の第2のセットと交互に前記基板上に形成する、
ステップと;
を備える、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記不活性ガスが、Arを含み、かつ
前記層の第1のセットの応力が、-230~800メガパスカルの間である、
方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、
前記不活性ガスが、Heを含み、かつ
前記層の第1のセットの応力が、-1000~150メガパスカルの間である、
方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法であって、前記少なくとも1つの他の材料が、
シリコン(Si)材料、
シリコン及び水素(SiH)材料、
水素化シリコン(Si:H)材料、
アモルファスシリコン(a-Si)材料、
窒化シリコン(SiN)材料、
ゲルマニウム(Ge)材料、
水素化ゲルマニウム(Ge:H)材料、
シリコンゲルマニウム(SiGe)材料、
水素化シリコンゲルマニウム(SiGe:H)材料、
炭化シリコン(SiC)材料、
水素化炭化シリコン(SiC:H)材料、
二酸化シリコン(SiO2)材料、
五酸化タンタル(Ta2O5)材料、
五酸化ニオブ(Nb2O5)材料、
酸化ニオブチタン(NbTiOx)材料、
五酸化ニオブタンタル(Nb2TaO5)材料、
二酸化チタン(TiO2)材料、
酸化アルミニウム(Al2O3)材料、
酸化ジルコニウム(ZrO2)材料、
酸化イットリウム(Y2O3)材料、又は
酸化ハフニウム(HfO2)材料、
のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項20】
請求項16に記載の方法であって、前記基板、前記層の第1のセット、及び前記層の第2のセットを、光干渉フィルタに含める、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光学デバイスは、光に関する情報を捉えるために利用することができる。例えば、光学デバイスは、光に紐づく波長のセットに関連する情報を捉えることができる。光学デバイスは、情報を捉えるセンサ素子のセット(例えば、光センサ、スペクトルセンサ、及び/又はイメージセンサ)を含む場合がある。例えば、センサ素子のアレイは、多数の波長に関連する情報を捉えるために利用する場合がある。センサ素子のアレイは、光学フィルタと紐づけることができる。光学フィルタは、センサ素子のアレイに渡される光の第1の波長範囲に紐づく通過帯域を含む場合がある。光学フィルタは、センサ素子のアレイに渡される光の第2の波長範囲を遮断することに紐づく場合がある。
【発明の概要】
【0002】
いくつかの実施態様では、光干渉フィルタは:基板と;前記基板上に配置される層のセットと;を含む。前記層のセットは:層の第1のサブセットであって、前記層の第1のサブセットが、窒化アルミニウム(AlN)材料で構成され、かつ前記層の第1のサブセットの応力が-1000~800メガパスカルの間である、層の第1のサブセットと;層の第2のサブセットであって、前記層の第2のサブセットが、少なくとも一つの他の材料で構成される、層の第2のサブセットと:を含む。
【0003】
いくつかの実施態様では、光干渉フィルタは、層のサブセットを含む層のセットを含む。前記層のサブセットはAlN材料で構成され、かつ前記層のサブセットの応力は、-1000~800メガパスカルの間である。
【0004】
いくつかの実施態様では、方法は:チャンバーに不活性ガスを供給するステップであって、前記不活性ガスが、アルゴン(Ar)又はヘリウム(He)の少なくとも1つを含むステップと:窒素(N2)ガスをチャンバーに供給するステップと;前記不活性ガス及び前記N2ガスを供給するステップに基づいて、アルミニウム(Al)ターゲットをスパッタリングさせて、基板上にAlNを備える層の第1のセットを形成するステップであって、前記層の第1のセットを、少なくとも1つの他の材料で構成される層の第2のセットと交互に基板上に形成するステップと;を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本明細書で説明する一例の実施態様の概観の図である。
【
図2】本明細書で説明する一例の光学フィルタの図である。
【
図3】本明細書で説明する光学フィルタを製造するためのスパッタ蒸着システムの一例の図である。
【
図4A】本明細書で説明するスパッタリングプロセスを使用して形成されるAlN層の応力を示す例示的なプロットの図である。
【
図4B】本明細書で説明するスパッタリングプロセスを使用して形成されるAlN層の応力を示す例示的なプロットの図である。
【
図5】本明細書で説明するスパッタリングプロセスを使用して形成されるAlN層のセットの消衰係数及び屈折率のプロットの一例の図である。
【
図6】本明細書で説明する光学フィルタの透過率性能を示すプロットの一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の実施例の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照数字は、同じ又は類似の要素を識別することができる。以下の説明では、例として分光計を使用する。しかしながら、本明細書に記載される技術、原理、手順、及び方法は、他の光センサ及び分光センサを含むがこれらに限定されない、任意のセンサと共に使用することができる。
【0007】
光学フィルタは、基板上に1つ以上の層を形成することによって製造される場合がある。例えば、従来の光学フィルタは、従来の光学フィルタが、特定のスペクトル範囲(例えば、800~1000ナノメートル(nm)の間のスペクトル範囲)に紐づく光の閾値割合(例えば、光の少なくとも65%)を通過させるために、少なくとも第1の材料、第2の材料、及び第3の材料(例えば、水素化シリコン(Si:H)材料、二酸化シリコン(SiO2)材料、及び五酸化タンタル(Ta2O5)材料の交互の層)の交互の層を含むことができる。しかしながら、少なくとも3つの材料の交互の層を形成することは複雑であり、欠陥を導入するか、又は欠陥を従来の光学フィルタを通じて伝播させる低品質の層の形成につながる可能性がある。これは、従来の光学フィルタの性能、製造性、及び/又は信頼性を低下させる可能性がある。
【0008】
さらに、多くの場合、従来の光学フィルタの1つ以上の層の各々の応力が圧縮であり(例えば、層の応力が0メガパスカル(MPa)未満)、これにより、1つ以上の層の応力(例えば、正味応力)が圧縮になる。その結果、これにより、従来の光学フィルタが弓なりになる(例えば、曲がる)。これは、1つ以上の層にコーティングの流出を生じさせ、従来の光学フィルタの性能に影響する。これによりまた、従来の光学フィルタがより壊れやすくなり(例えば、単調な光学フィルタと比較して)、及び/又は従来の光学フィルタの運搬、取り扱い、及び/又は使用が困難になる原因となる。
【0009】
本明細書で説明するいくつかの実施態様は、基板上に配置された層のセットを含む光学フィルタを提供する。層のセットは、窒化アルミニウム(AlN)材料で構成される層の第1のサブセット、及び交互の層順序で配列された少なくとも1つの他の材料(例えば、AlN材料でない少なくとも1つの材料)で構成される層の第2のサブセット、を含んでもよい。いくつかの実施態様では、光学フィルタは、特定のスペクトル範囲(例えば、800~1000nmの間のスペクトル範囲)に紐づく光の閾値割合(例えば、光の少なくとも85%)を通過させる。このようにして、光学フィルタは、従来の光学フィルタと比較して、改善された透過率性能を提供する。さらに、光学フィルタは、たった2つだけの交互の層を含むことになるので、層のセットを形成することに紐づく複雑さを低減する。これは、低品質の層が形成される可能性を減らし、かつそれゆえに、欠陥が光学フィルタに導入される、又は光学フィルタを通じて伝播される可能性を減らす。それゆえに、光学フィルタの性能、製造可能性、及び/又は信頼性は、従来の光学フィルタのものと比較して改善される。
【0010】
いくつかの実施態様では、AlN材料で構成される層の第1のサブセットの応力は、-1000~800MPaの間であってもよい。したがって、いくつかの実施態様では、第2のサブセットの層の応力が圧縮であるとき、AlN材料の応力が引張(例えば、0MPa以上)であるように構成されてもよく、又はその逆であってもよい。このようにして、基板上に配置された層のセットによって引き起こされる弓なりの量を最小化することができる(例えば、光学フィルタの圧縮層の応力と引張層の応力とをバランスさせることによって)。例えば、層の第1のサブセット及び層の第2のサブセットのうちの1つは引張材料で構成され、かつ層の第1のサブセット及び層の第2のサブセットのうちの別のものは圧縮材料で構成され、これにより、層のセットの応力がほぼ0MPa(例えば、公差内)にすることができる。これは、光学フィルタの弓なりの量を最小限にし、コーティングの流出を減らし、かつそれによって光学フィルタの性能を向上させる(例えば、弓なりが生じる従来の光学フィルタと比較して)。これはまた、光学フィルタの耐久性を向上させ、及び/又は弓なりが生じる従来の光学フィルタと比較して、光学フィルタの運搬、取り扱い、及び/又は使用を容易にする。
【0011】
図1は、本明細書で説明する一例の実施態様100の概観の図である。
図1に示すように、例示的な実施態様100は、センサシステム110を含む。センサシステム110は、光学システムの一部であってよく、センサ判定に対応する電気出力を提供してもよい。センサシステム110は、光学フィルタ130を含む光学フィルタ構造体120、及び光センサ140を含む。例えば、光学フィルタ構造体120は、通過帯域フィルタリング機能を行う光学フィルタ130を含んでもよい。別の例では、光学フィルタ130は、光センサ140のセンサ素子のアレイにアライメントされてもよい。
【0012】
本明細書で説明するいくつかの実施態様は、センサシステム内の光学フィルタの観点から説明されることがあるが、本明細書で説明する実施態様は、別のタイプのシステムで使用されてもよく、センサシステムの外部、又は他の構成内で使用されてもよい。
【0013】
さらに
図1に、参照数字150によって示すように、入力光信号は、光学フィルタ構造体120の方に向けられる。入力光信号は、特定のスペクトル範囲(例えば、800nm~1000nmのスペクトル範囲、500nm~5500nmのスペクトル範囲、又は別のスペクトル範囲などのような約900nmを中心とするスペクトル範囲)に紐づく光を含むことができるが、これらに限定されるわけではない。例えば、光送信器は、光センサ140が光の測定を行なえるようにするために、光を光センサ140の方に誘導してもよい。別の例では、光送信器は、他の例の中では、テスト機能、感知機能、又は通信機能などのような別の機能性のために、別のスペクトル範囲の光を誘導してもよい。
【0014】
さらに
図1に、参照数字160によって示すように、第1のスペクトル範囲を有する光信号の第1の部分は、光学フィルタ130及び光学フィルタ構造体120によって通過しない。例えば、光学フィルタ130の高指数材料層及び低指数材料層を含むことができる誘電体薄膜層の誘電体フィルタスタックは、光の第1の部分を第1の方向に反射させる、吸収させる、又はそのようなことを引き起こす場合がある。この場合、光の第1の部分は、約900nmを中心とする特定のスペクトル範囲内にない光の95%より大きい部分などのような光学フィルタ130の帯域通過に含まれない光学フィルタ130に入射する光の閾値部分であってよい。参照数字170によって示すように、光信号の第2の部分は、光学フィルタ130及び光学フィルタ構造体120によって通過する。例えば、光学フィルタ130は、光センサ140に向かう第2の方向に第2のスペクトル範囲を有する光の第2の部分を通過させてもよい。この場合、光の第2の部分は、約900nmを中心とするスペクトル範囲における入射光の50%よりも大きい部分などのような光学フィルタ130の帯域通過内で光学フィルタ130に入射する光の閾値部分であってもよい。
【0015】
図1にさらに示すように、光センサ140に渡される光信号の第2の部分に基づいて、光センサ140は、他の例の中で、撮像、周囲光感知、オブジェクトの存在の検出、測定を行うこと、又は通信を容易化することにおける使用のためなどのような、センサシステム110のために出力電気信号180を提供してもよい。いくつかの実装では、光学フィルタ130及び光センサ140の別の配列が利用されてもよい。例えば、光信号の第2の部分を入力光信号と平行に通過させるのではなく、光学フィルタ130は、光信号の第2の部分を異なる位置にある光センサ140に向かう別の方向に誘導してもよい。
【0016】
上に示したように、
図1は一例として提供されている。他の例は、
図1に関して説明されるものと異なっていてもよい。
【0017】
図2は、一例の光学フィルタ200の図である。いくつかの実装では、光学フィルタ200は、光干渉フィルタであってよく、及び/又は、他の例の中で、スペクトルフィルタ、マルチスペクトルフィルタ、バンドパスフィルタ、ブロッキングフィルタ、長波長パスフィルタ、短波長パスフィルタ、ダイクロイックフィルタ、線形可変フィルタ、円形可変フィルタ、ファブリペローフィルタ、ベイヤーフィルタ、プラズモンフィルタ、フォトニック結晶フィルタ、ナノ構造又はメタマテリアルフィルタ、吸収フィルタ、ビームスプリッタ、偏光ビームスプリッタ、ノッチフィルタ、反射防止フィルタ、反射板、若しくはミラーの少なくとも1つを含んでいてもよい。
図2は、光学フィルタ200のスタックアップの一例を示す図である。
図2にさらに示すように、光学フィルタ200は、基板210と、層のセット220と、を含む。
【0018】
基板210は、ガラス基板、ポリマー基板、ポリカーボネート基板、金属基板、シリコン(Si)基板、ゲルマニウム(Ge)基板、又はアクティブデバイスウェハ(例えば、他の例の中で、フォトダイオード(PD)、PDアレイ、アバランシェフォトダイオード(APD)、APDアレイ、電荷結合素子(CCD)センサ、及び/又は相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサを備えるもの)を備えてもよい。いくつかの実装では、基板210の厚さは、20ナノメートル(nm)、50ミクロン(μm)、及び/又は500μm以上であってよい。追加的又は代替的に、基板の厚さは、特定の厚さ閾値以下であってよい。特定の厚み閾値は、例えば、5000ミクロン以下であってもよい。
【0019】
層のセット220(例えば、光学フィルタ層のセット)は、基板210上に(例えば、直接)配置されてもよく、かつ1つ以上のサブセットの層を含んでもよい。例えば、層のセット220は、層の第1のサブセット230(例えば、層の第1のサブセット230-1~230-(N+1)(N≧1))(ここではA層とも呼ばれる)、及び層の第2のサブセット240(例えば、層の第2のサブセット240-1~240-N)(ここではB層とも呼ばれる)を含んでもよい。いくつかの実装では、層の第1のサブセット230及び層の第2のサブセット240は、(A-B)
m(m≧1)順、(A-B)
m-A順、(B-A)
m¬順、B-(B-A)
m順、又は別の順などのような特定の順序(例えば、交替層順)で配列されてもよい。例えば、
図2に示すように、層の第1のサブセット230及び層の第2のサブセット240は、光学フィルタ200の表面(例えば、上面)において配置されたA層(例えば、層230-1)及び基板210の表面(例えば、上面)上に配置されたA層(例えば、層230-(N+1))で(A-B)
N-A順に位置する。
【0020】
いくつかの実施態様では、層のセット220は、基板210の単一表面(例えば、上面)上に配置されてもよい(例えば、
図2に示すように)。代替的に、層のセット220の第1の部分は、基板210の第1の表面(例えば、上面)上に配置されてもよく、層のセット220の第2の部分は、基板210の第2の表面(例えば、下面)上に配置されてもよい。例えば、層の第1のサブセット230の第1の部分及び層の第2のサブセット230の第1の部分は、基板210の第1の表面上に第1の特定の順序で配列されてもよく、かつ層の第1のサブセット230の第2の部分及び層の第2のサブセット230の第2の部分は、基板210の第2の表面上に第2の特定の順序で配列されてもよい。
【0021】
いくつかの実施態様では、1つ以上の保護層、1つ以上のキャップ層(例えば、層のセット220に環境保護を提供する)、及び/又は1つ以上の他のフィルタリング機能(例えば、他の例の中で、ブロッカー又は反射防止コーティング)を提供する1つ以上の層などのような、1つ以上の他の層を光学フィルタ200に含んでもよい。例えば、単一表面構成では、誘電体層(例えば、二酸化シリコン(SiO2)材料、二酸化ジルコニウム(ZrO2)材料、及び/又は酸化イットリウム(Y2O3)材料などのような酸化物材料、窒化シリコン(Si3N4)材料、窒化チタン(TiN)材料、及び/又は窒化ジルコニウム(ZrN)材料などのような窒化材料、並びに/若しくは環境保護を提供する別の材料で構成される層)などのような追加の層(例えば、キャップ層)が、層のセット220の表面(例えば上面)上に配置されてもよい。別の例として、二重表面構成では、第1の追加層は、層のセット220の第1の部分の表面(例えば、上面)上に配置されてもよく、かつ第2の追加層は、層のセット220の第2の部分の表面(例えば、下面)上に配置されてもよい。
【0022】
層の第1のサブセット230は、窒化アルミニウム(AlN)材料で構成されてもよい。例えば、層の第1のサブセット230の各層230は、AlN材料で構成されもよい。層の第2のサブセット240は、少なくとも1つの他の材料(例えば、AlN材料以外の少なくとも1つの材料)で構成されてもよく、シリコン(Si)材料、シリコン及び水素(SiH)材料、水素化シリコン(Si:H)材料、ヘリウム付き水素化シリコン(Si:H-He)材料、アモルファスシリコン(a-Si)材料、窒化シリコン(SiN)材料、ゲルマニウム(Ge)材料、水素化ゲルマニウム(Ge:H)材料、シリコンゲルマニウム(SiGe)材料、水素化シリコンゲルマニウム(SiGe:H)材料、炭化シリコン(SiC)材料、水素化炭化シリコン(SiC:H)材料、二酸化シリコン(SiO2)材料、五酸化タンタル(Ta2O5)材料、五酸化ニオブ(Nb2O5)材料、酸化ニオブチタン(NbTiOx)材料、五酸化ニオブタンタル(Nb2TaO5)材料、二酸化チタン(TiO2)材料、酸化アルミニウム(Al2O3)材料、酸化ジルコニウム(ZrO2)材料、酸化イットリウム(Y2O3)材料、又は酸化ハフニウム(HfO2)材料などを例示することができる。例えば、層の第2のサブセット240の各層240は、少なくとも1つの他の材料で構成されてもよい。
【0023】
いくつかの実施態様では、層の第1のサブセット230の応力(例えば、正味応力)は、-1000MPa~800MPaの間(例えば、-1000MPa以上、800MPa以下)であってもよい。追加的又は代替的に、層の第1のサブセット230の各層230の応力は、-1000MPa~800MPaの間であってもよい。すなわち、層の第1のサブセット230の特定の層230の応力は、-1000~800MPaの間であってもよく、かつ層の第1のサブセット230の別の特定の層230の応力は、-1000~800MPaの間であってもよい。特定の層230の応力は、他の特定の層230の応力と同じであってもよく、又は異なっていてもよい。例えば、特定の層230の応力は引張(例えば、0MPa以上)であってもよく、かつ他の特定の層230の応力は圧縮(例えば、0MPa未満)であってもよく、又はその逆であってもよい。
【0024】
いくつかの実施態様では、層のセット230の応力(例えば、正味応力)は、ほぼゼロ(0)MPa(例えば、公差内、ここで公差は5MPa以下である)であってもよい。したがって、層の第1のサブセット230及び層の第2のサブセット240のうちの少なくとも1つは、引張材料で構成されてもよく、かつ層の第1のサブセット230及び層の第2のサブセット240のうちの別のものは、(例えば、層のセット230の応力をほぼゼロMPaにさせるために)圧縮材料で構成されてもよい。例えば、層の第1のサブセット230は、引張材料で構成されてもよく、かつ層の第2のサブセット240は、圧縮材料で構成されてもよく、又はその逆であってもよい。別の例として、層の第1のサブセット230は、引張用のAlN材料で構成されてもよく、かつ層の第2のサブセット240は、少なくとも1つの圧縮用の他の材料(例えば、他の例の中では、圧縮用Si材料、圧縮用Si:H材料、圧縮用Si:He材料、又は圧縮用a-Si材料の少なくとも1つ)を備えてもよい。
【0025】
いくつかの実施態様では、層のセット230の各層は、特定の厚さに紐づいてもよい。例えば、層の第1のサブセット230又は層の第2のサブセット240の層は、5~2000nmの間の厚さを有してよい。いくつかの実施態様では、層の第1のサブセット230又は層の第2のサブセット240は、他の例の中では、層の第1のサブセット230に対する第1の厚さ及び層の第2のサブセット240に対する第2の厚さ、層の第1のサブセット230の第1の部分に対する第1の厚さ及び層の第1のサブセット230の第2の部分に対する第2の厚さ、又は層の第2のサブセット240の第1の部分に対する第1の厚さ及び層の第2のサブセット240に対する第2の厚さなどのような多数の厚さに紐づいてもよい。したがって、層の厚さ及び/又は層の量は、意図された通過帯域、意図された透過率、及び/又は別の光学特性などのような光学フィルタ200の意図された光学特性のセットに基づいて選択されてもよい。例えば、層の厚さ及び/又は層の量は、光学フィルタ200が、800~1000nmの間のスペクトル範囲(例えば、約900nmの中心波長を有する)、500~5500nmの間のスペクトル範囲、又は別のスペクトル範囲に利用されるように選択されてもよい。
【0026】
いくつかの実施態様では、層のセット230は、特定のスペクトル範囲に紐づく光の閾値パーセンテージを通過させるように構成されてもよい。例えば、層のセット230は、800~1000nmの間のスペクトル範囲(例えば、約900nmの中心波長を有する)に紐づく光の閾値パーセンテージを通過させるように構成されてもよい。閾値範囲は、例えば、85%以上であってよい。いくつかの実施態様では、層の第1のサブセット230の屈折率は、500~5500nmの間の波長を有する光に対して1.9~2.2の間であってよく、及び/又は層の第2のサブセット240の屈折率は、500~5500nmの間の波長を有する光に対して3.5~3.9の間であってもよい。いくつかの実施態様では、層の第1のサブセット230の消衰係数は、500~5500nmの間の波長を有する光に対して0.001未満であってよい。
【0027】
いくつかの実施態様では、層のセット230は、スパッタリングプロセスを使用して、形成されてもよい。例えば、マグネトロンスパッタリングプロセス(例えば、パルスマグネトロンスパッタリングプロセス)を使用して、層のセット230を形成して、基板210上に層の第1のサブセット230及び/又は層の第2のサブセット240を(例えば、交互の層順序で)スパッタリングしてもよい。このようにして、光学フィルタ200を製造することができる。光学フィルタ200の製造に関連する更なる詳細は、
図3に関連して本明細書で説明する。
【0028】
上に示したように、
図2は一例として提供されている。他の例は、
図2に関して説明されるものと異なっていてもよい。
【0029】
図3は、本明細書で説明する光学フィルタ(例えば、光学フィルタ200)を製造するためのスパッタ蒸着システムの一例300の図である。スパッタ蒸着システムは、マグネトロンスパッタリングプロセスなどのようなスパッタリングプロセスを行なうことを可能にするために使用されてもよい。
【0030】
図3に示すように、例300は、真空チャンバー310、基板320(例えば、
図2に関連して本明細書に記載した基板210に対応するもの)、カソード330、ターゲット331、カソード電源340、アノード350、プラズマ活性化源(PAS)360、及びPAS電源370を含む。ターゲット331は、アルミニウム(Al)材料を含んでもよい。PAS電源370は、PAS360に電力を供給するために利用されてもよく、かつ無線周波数(RF)電源を含んでもよい。カソード電源340は、カソード330に電力を供給するために利用されてもよく、かつパルス直流(DC)電源を含んでもよい。
【0031】
図3に関して、ターゲット331は、窒素(N
2)ガス、及び/又は不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、及び/又はネオン(Ne)を含む)の存在下でスパッタリングされて、基板320上に少なくとも一つの層として窒化アルミニウム(AlN)を堆積させてもよい。例えば、N2ガス及び不活性ガスは、各々真空チャンバー310に供給されてもよく、これにより、ターゲット331のスパッタリングを引き起こして、基板320上にAlNを備える層の第1のセットを形成してもよい(例えば、本明細書で更に説明するように)。いくつかの実施態様では、層の第1のセットは、少なくとも1つの他の材料で構成される第2のセット、例えばSi、Si:H、Si:H-He、a-Si、及び/又は本明細書に記載される任意の他の材料(例えば、
図2との関係で本明細書に記載される層の第2のサブセット240に関連する)で構成される第2のセットの層と交互に基板上に形成されてもよい。層の第2のセットは、別のターゲット(例えば、シリコンターゲット)のスパッタリングを引き起こし、第2の層のセット(例えば、この例では、Si:Hを備える)を形成させるために、例えば、別のガス(例えば、水素(H2)ガス)及び不活性ガス(例えば、Ar、He、及び/又はNeを含む)を真空チャンバー310に供給することによって基板上に形成されてもよい(例えば、本明細書で更に説明したような方法で)。
【0032】
AlN層を形成するために、不活性ガスは、アノード350及び/又はPAS360を介して真空チャンバー310内に供給されてもよい。N2ガスは、N2ガスを活性化させる役割を果たすPAS360を通じて真空チャンバー310に導入されてもよい。追加的又は代替的に、カソード330がN2ガスの活性化を引き起こしてもよく(例えば、この場合、N2ガスは真空チャンバー310の別の部分から導入されてもよい)、又はアノード350がN2ガスの活性化を引き起こしてもよい(例えば、この場合、N2ガスはアノード350によって真空チャンバー310に導入されてもよい)。PAS360は、カソード330の閾値近傍内に位置していてもよく、PAS360からのプラズマとカソード330からのプラズマとを重なり合わせる。PAS360の使用は、AlNが比較的高い堆積速度で堆積させる。いくつかの実施態様では、AlNは、約0.05nm/s~約2.0nm/sの堆積速度、約0.5nm/s~約1.2nm/sの堆積速度、約0.8nm/sの堆積速度、又は同様の速度で堆積させてもよい。
【0033】
いくつかの実施態様では、AlN層の応力(例えば、形成後)は、真空チャンバー310に供給される不活性ガスの組成及び/又は不活性ガスの量の制御に基づいて調整されてもよい。例えば、不活性ガスがArを含むとき、AlN層の応力が-230~800MPaの間になるように、不活性ガス中のArの量及び/又は真空チャンバー310に供給する不活性ガスの量を制御してもよい。追加的又は代替的に、不活性ガスがArを含むとき、AlNを備える層の第1のセットの応力(例えば、正味応力)が-230~800MPaの間になるように、不活性ガス中のArの量及び/又は真空チャンバー310に供給する不活性ガスの量を制御してもよい。別の例として、不活性ガスがHe及び/又はNeを含むとき、不活性ガス中のHe及び/又はNeの量、並びに/若しくは真空チャンバー310に供給される不活性ガスの量を、AlN層の応力が-1000~150MPaの間になるように制御してもよい。追加的又は代替的に、不活性ガスがHe及び/又はNeを含む場合、AlNを備える層の第1のセットの応力が-1000~150MPaの間になるように、不活性ガス中のHe及び/又はNeの量、並びに/若しくは真空チャンバー310に供給する不活性ガスの量を制御してもよい。
【0034】
本明細書では、スパッタリングプロセスを特定のジオメトリ及び特定の実施態様で説明したが、他のジオメトリ及び他の実施態様も可能である。例えば、N2ガスは、他の例の中で、別の方向から、及び/又はカソード330に閾値近接したガスマニホールドから注入されてもよい。本明細書では、構成要素の異なる構成の観点から説明したが、異なる材料、異なる製造プロセスなどを使用して、AlNの異なる相対濃度を実現することもできる。
【0035】
上に示したように、
図3は一例として提供されている。他の例は、
図3に関して説明されるものと異なっていてもよい。
【0036】
図4A~4Bは、本明細書に記載されるスパッタリングプロセス(例えば、マグネトロンスパッタリングプロセス)を使用して形成されるAlN層の応力を示す例示的なプロット400の図である。
図4Aに示すように、Arを含む不活性ガスを120~370標準立方センチメートル/分(sccm)の間の流量で(例えば、
図3に関連して本明細書に記載されているスパッタ蒸着システムの真空チャンバー310に)供給するとき、AlN層の応力が-230~650MPaの間になるように構成されてもよい。
図4Bに示すように、Heを含む不活性ガスを0~500sccmの間の流量で(例えば、
図3に関連して本明細書に記載されているスパッタ蒸着システムの真空チャンバー310に)供給するとき、AlN層の応力が-950~175MPaの間になるように構成されてもよい。
【0037】
上に示したように、
図4A~4Bは一例として提供されている。他の例は、
図4A~4Bに関して説明されるものと異なっていてもよい。
【0038】
図5は、本明細書で説明するスパッタリングプロセス(例えば、マグネトロンスパッタリングプロセス)を使用して形成されるAlN層のセットの消衰係数(k)及び屈折率(r)のプロットの一例500の図である。
図5に示すように、消衰係数は、500~2000nmの間の波長を有する光に対して0.001未満であってよい。
図5に更に示すように、屈折率は、500~2000nmの間の波長を有する光に対して2.2未満であってよい。
【0039】
上で示したように、
図5は一例として提供されている。他の例は、
図5に関して説明されるものと異なっていてもよい。
【0040】
図6は、本明細書で説明する光学フィルタ(例えば、光学フィルタ200)の透過率性能を示すプロットの一例600の図である。光学フィルタは、AlN材料で構成される層の第1のサブセット(例えば、層の第1のサブセット230)、及びSi:H材料で構成される層の第2のサブセット(例えば、層の第2のサブセット240)を含む層のセット(例えば、層のセット220)を備える。
図6に示すように、光学フィルタは、920~960nmの間の波長を有する光の約85%より大きい(約92%のピークを有する)光を透過させることができる。対照的に、Ta
2O
5材料で構成される層の第1のサブセット、及びSi:H材料で構成される層の第2のサブセットを含む層のセットを備える代替の光学フィルタは、920~960nmの間の波長を有する光の約60%より大きい(約67%のピークを有する)光を透過させることができる。したがって、本明細書で説明する光学フィルタは、920~960nmの間のスペクトル範囲に対して、代替の光学フィルタと比較して、改善された透過率性能を有する。
【0041】
上で示したように、
図6は一例として提供されている。他の例は、
図6に関して説明されるものと異なっていてもよい。
【0042】
前述の開示は、例示及び説明を提供するが、網羅的であること又は開示された正確な形態に実施態様を限定することを意図していない。修正及び変形は、上記の開示に照らして行われ得るか、又は実施態様の実践から獲得され得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、「コンポーネント」という用語は、ハードウェア、ファームウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして広範囲に解釈されることが意図される。本明細書で説明するシステム及び/又は方法は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせの異なる形態で実施できることは明らかであろう。これらのシステム及び/又は方法を実装するために使用される実際の特殊な制御ハードウェア又はソフトウェアコードは、実施態様を限定するものではない。このように、システム及び/又は方法の動作並びに挙動は、特定のソフトウェアコードを参照することなく、本明細書の記載に基づいてシステム及び/又は方法を実装するためにソフトウェア及びハードウェアを使用できることが理解される。
【0044】
本明細書で使用される場合、溶液又は材料が特定の化学名又は化学式によって言及されるとき、溶液又は材料は、化学名によって特定される化学量論的に正確な式の非化学量論的変形を含んでもよい。例えば、本明細書に記載されている窒化アルミニウム(AlN)材料は、AlNxを含んでもよく、ここでxは0.8~1.2の間である。
【0045】
本明細書で使用される場合、閾値を満たすことは、文脈に従って、値が閾値より大きいこと、閾値以上であること、閾値未満であること、閾値以下であること、閾値と等しいこと、閾値と等しくないことなどを指す場合がある。
【0046】
特徴の特定の組み合わせが特許請求の範囲に記載され、及び/又は明細書に開示されていても、これらの組み合わせは、様々な実施態様の開示を制限することを意図していない。実際、これらの特徴の多くは、特許請求の範囲に具体的に記載されていない方法及び/又は本明細書に開示されていない方法で組み合わされることができる。以下に記載される各従属請求項は、1つの請求項にのみ直接依存することができるが、様々な実施態様の開示は、請求項セット中の全ての他の請求項と組み合わせた各従属請求項を含む。本明細書で使用される場合、項目のリストの「少なくとも1つ」に言及する語句は、単一の要素を含むそれらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b、又はcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、また同じ項目の複数との任意の組合せも同様に対象とすることが意図される。
【0047】
本明細書で使用されるいかなる要素、行為、又は表示も、そのように明白に記述されない限り、重要又は必須であるとして解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」及び「an」は、1つ以上の項目を含むことを意図しており、かつ「1つ以上」と互換的に使用される場合がある。さらに、本明細書で使用される場合、定冠詞「the」は、その定冠詞「the」に結びついて参照される1つ以上の項目を含むことが意図され、「the one or more」と互換的に使用される場合がある。そしてさらに、本明細書で使用される場合、用語「セット」は、1つ以上の項目(例えば、関連項目、非関連項目、又は関連項目と非関連項目の組み合わせ)を含むことを意図しており、かつ「1つ以上」と互換的に使用される場合がある。1つの項目のみが意図されるところでは、「1つのみ」という表現又は似たような表現が使用される。また、本明細書で使用される場合、用語「有する」、「持つ」、「有している」などは、オープンエンドな用語であることが意図される。さらに、語句「…に基づく」は、明白に別段の記載がない限り、「少なくとも部分的に、…に基づく」を意味することを意図している。また、本明細書で使用される場合、用語「又は」は、連続で使用されるとき、包括的であることが意図され、かつ明示的に別段の記載がない限り(例えば、「いずれか」又は「いずれか一方のみ」と組み合わせて使用する場合)、「及び/又は」と互換的に使用することができる。さらに、「の下」、「より下」、「下」、「の上」、「より上」、「上」などのような空間的に相対的な用語は、図に示されるように、ある要素若しくは特徴の別の要素又は特徴に対する関係を説明する際に、説明を容易にするために本明細書で使用される場合がある。空間的に相対的な用語は、図に描かれた向きに加えて、使用又は動作における装置、デバイス、及び/又は要素の異なる向きを包含することを意図している。装置は、他の向き(90度回転した向き又は他の向き)であってもよく、かつ本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、同様に、それに応じて解釈され得る。
【外国語明細書】