IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社一冨士本店の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049063
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】釣り針
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/00 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
A01K85/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158569
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】503250218
【氏名又は名称】株式会社一冨士本店
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】工藤 政宣
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307AB11
2B307AB16
2B307AB17
2B307AB22
(57)【要約】
【課題】一度掛かった魚を可及的に外れ難くすることができる釣り針を提供する。
【解決手段】釣り糸を連結する連結部を有する胴部と、この胴部に連接する湾曲部と、この湾曲部と前記胴部とを回動可能に連結する回動部と、湾曲部の湾曲方向と反対の方向への回動を規制する規制部とを備える。
【選択図】図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り糸を連結する連結部を有する胴部と、
この胴部に連接する湾曲部と、
この湾曲部と前記胴部とを回動可能に連結する回動部と、
前記湾曲部の湾曲方向と反対の方向への回動を規制する規制部と、
を備えたことを特徴とする釣り針。
【請求項2】
前記回動部は、前記湾曲部と前記胴部との間に介在するばね部材を有し、
前記規制部は、前記連結部に設けられ、前記釣り糸を挿通させるための挿通穴と、前記湾曲部に前記釣り糸の先端を取付ける取付部とを有し、前記釣り糸に働く張力により前記湾曲部の湾曲方向と反対の方向への回動を規制する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の釣り針。
【請求項3】
前記ばね部材は、引張りコイルばねを有し、この引張りコイルばねの一端に前記胴部を連結し、他端に前記湾曲部を連結したことを特徴とする請求項2に記載の釣り針。
【請求項4】
前記ばね部材は、ねじりコイルばねを有し、このねじりコイルばねの一端に前記胴部を連結し、他端に前記湾曲部を連結したことを特徴とする請求項2に記載の釣り針。
【請求項5】
前記回動部は、前記湾曲部と前記胴部とを回動自在に連結する回動軸と、一端が前記湾曲部に連結し、他端が前記胴部に連結したねじりコイルばねとを有し、
前記規制部は、前記連結部に設けられ、前記釣り糸を挿通させるための挿通穴と、前記湾曲部に前記釣り糸の先端を取付ける取付部とを有し、前記釣り糸に働く張力により前記湾曲部の湾曲方向と反対の方向への回動を規制する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の釣り針。
【請求項6】
前記回動部は、前記湾曲部と前記胴部とを回動自在に連結する回動軸を有し、
前記規制部は、前記湾曲部の湾曲方向と反対の方向への回動を規制するラチェット機構を備えて構成したことを特徴とする請求項1に記載の釣り針。
【請求項7】
前記回動部は、前記湾曲部と前記胴部とを回動自在に連結する回動軸を有し、
前記規制部は、前記湾曲部の湾曲方向と反対の方向への回動を規制するストッパを備えて構成したことを特徴とする請求項1に記載の釣り針。
【請求項8】
前記回動部は、前記胴部の端部に前記胴部を輪状に湾曲して形成された第1輪部と、前記湾曲部の端部に前記湾曲部を輪状に湾曲して形成された第2輪部とを有し、前記第1輪部の輪内に前記第2輪部が挿通して回動可能に嵌った構成とし、
前記規制部は、前記連結部に設けられ、前記釣り糸を挿通させるための挿通穴と、前記湾曲部に前記釣り糸の先端を取付ける取付部とを有し、前記釣り糸に働く張力により前記湾曲部の湾曲方向と反対の方向への回動を規制する構成であって、前記取付部は、前記湾曲部を輪状に湾曲して形成された第3輪部で構成したことを特徴とする請求項1に記載の釣り針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一度掛かった魚が外れ難い釣り針に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の釣り針としては、従来、種々のものが提案されている。
【0003】
たとえば特許文献1には、湾曲針部に魚が食い付いて引き、その湾曲底方向への引張りにより延長端部が針主体の段部より外れると、回動用ばねの反力により延長端部が押されて、湾曲針部は軸支部を中心にふところ側に回動し、あぐさき部が魚へ深く刺されて魚の外れを無くすように構成した釣り針が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3-61871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、魚の食付きにより湾曲針部が自動回動する構成のため、魚の食付きが浅い状況で延長端部が針主体の段部から外れてしまうと、あぐさき部が魚へ深く刺さらないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、一度掛かった魚を可及的に外れ難くすることができる釣り針を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、釣り糸を連結する連結部を有する胴部と、この胴部に連接する湾曲部と、この湾曲部と胴部とを回動可能に連結する回動部と、湾曲部の湾曲方向と反対の方向への回動を規制する規制部とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
回動部は、湾曲部と胴部との間に介在するばね部材を有し、規制部は、連結部に設けられ、釣り糸を挿通させるための挿通穴と、湾曲部に釣り糸の先端を取付ける取付部とを有し、釣り糸に働く張力により湾曲部の湾曲方向と反対の方向への回動を規制する構成とするのが好ましい。
【0009】
また、ばね部材は、引張りコイルばねを有し、この引張りコイルばねの一端に胴部を連結し、他端に湾曲部を連結するのが好ましい。
【0010】
さらに、ばね部材は、ねじりコイルばねを有し、このねじりコイルばねの一端に胴部を連結し、他端に湾曲部を連結するようにしてもよい。
【0011】
さらに、回動部は、湾曲部と胴部とを回動自在に連結する回動軸と、一端が湾曲部に連結し、他端が胴部に連結したねじりコイルばねとを有し、規制部は、連結部に設けられ、釣り糸を挿通させるための挿通穴と、湾曲部に釣り糸の先端を取付ける取付部とを有し、釣り糸に働く張力により湾曲部の湾曲方向と反対の方向への回動を規制する構成とするのが好ましい。
【0012】
さらに、回動部は、湾曲部と胴部とを回動自在に連結する回動軸を有し、規制部は、湾曲部の湾曲方向と反対の方向への回動を規制するラチェット機構を備えて構成してもよい。
【0013】
さらに、回動部は、湾曲部と胴部とを回動自在に連結する回動軸を有し、規制部は、湾曲部の湾曲方向と反対の方向への回動を規制するストッパを備えて構成してもよい。
さらに、回動部は、胴部の端部に胴部を輪状に湾曲して形成された第1輪部と、湾曲部の端部に湾曲部を輪状に湾曲して形成された第2輪部とを有し、第1輪部の輪内に第2輪部が挿通して回動可能に嵌った構成とし、規制部は、連結部に設けられ、釣り糸を挿通させるための挿通穴と、湾曲部に釣り糸の先端を取付ける取付部とを有し、釣り糸に働く張力により湾曲部の湾曲方向と反対の方向への回動を規制する構成であって、取付部は、湾曲部を輪状に湾曲して形成された第3輪部で構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一度掛かった魚を可及的に外れ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本発明の第1実施形態に係る釣り針を示す側面図。
図2】同釣り針の動作を説明するための側面図。
図3】同釣り針の作用を説明するための側面図。
図4】同釣り針の作用を説明するための側面図。
図5】同釣り針の作用を説明するための側面図。
図6】同釣り針の作用を説明するための側面図。
図7】本発明の第2実施形態に係る釣り針を示す側面図。
図8】同釣り針の動作を説明するための側面図。
図9】本発明の第3実施形態に係る釣り針を示す側面図。
図10】同釣り針の回動部を分解して示す斜視図。
図11】同釣り針の動作を説明するための側面図。
図12】本発明の第4実施形態に係る釣り針を示す側面図。
図13】同釣り針の動作を説明するための側面図。
図14】同釣り針の作用を説明するための側面図。
図15】同釣り針の作用を説明するための側面図。
図16】同釣り針の作用を説明するための側面図。
図17】同釣り針の作用を説明するための側面図。
図18】本発明の第5実施形態に係る釣り針を示す側面図。
図19】同釣り針の動作を説明するための側面図。
図20】本発明の第6実施形態に係る釣り針を示す側面図。
図21】同釣り針の動作を説明するための側面図。
図22】同釣り針の作用を説明するための側面図。
図23】同釣り針の作用を説明するための側面図。
図24】同釣り針の作用を説明するための側面図。
図25】同釣り針の作用を説明するための側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1中、符号1は、本発明に係る釣り針を示している。
【0018】
この釣り針1は、軸状の胴部2を備えている。
【0019】
この胴部2には、釣り糸Pを連結する連結部3が設けられている。
【0020】
また、この胴部2には、回動部4を介して湾曲部5が連接され、湾曲部5の先端には針先6が形成されている。
【0021】
回動部4は、引張りコイルばね(ばね部材)7で構成されていて、この引張りコイルばね7の軸方向の一端に胴部2が連結され、他端側に湾曲部5が連結されている。
【0022】
そして、この引張りコイルばね7の弾性によって、すなわち引張りコイルばね7が湾曲することによって、湾曲部5は胴部2に対して回動可能になっている。
【0023】
また、釣り針1には、湾曲部5の回動を規制する規制部8が設けられている。
【0024】
すなわち、胴部2の連結部3には、釣り糸Pを挿通させるための挿通穴9が設けられている。
【0025】
また、湾曲部5の底部分に釣り糸Pの先端を取付けるための取付部10が設けられている。
【0026】
そして、釣り針1の使用時には、釣り糸Pが挿通穴9に挿通され、その釣り糸Pの先端が取付部10に取り付けられるようになっている。
【0027】
これにより、図2に示すように、釣り糸Pが矢印M方向へ引っ張られると、釣り糸Pに張力が働き、これにより引張りコイルばね7が湾曲し、胴部2に対して湾曲部5が湾曲方向すなわち矢印N方向へ回動するようになっている。
【0028】
したがって、規制部8は、挿通穴9を挿通し取付部10に取付けられた釣り糸Pの張力によって、湾曲部5を湾曲方向へ回動させ、湾曲方向と反対の方向への回動を規制するようになっている。
【0029】
しかして、図3に示すように、針先6に餌Bを付けた釣り針1に魚Fが食い付くと、図4に示すように、針先6が魚Fの口内に刺さり、魚Fが逃げようとすると、釣り糸Pに張力が働き、胴部2に対して湾曲部5が引張りコイルばね7の弾性に抗して湾曲方向へ回動し、図5に示すように、針先6が魚Fの口内にさらに深く食い込む。
【0030】
魚Fが逃げようとすればする程、図6に示すように、胴部2の連結部3と湾曲部5の針先6が近づき、魚Fは釣り針1から外れなくなる。
【0031】
以上の構成によれば、一度掛かった魚Fを可及的に外れ難くすることができる。
【0032】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0033】
上述の第1実施形態では、胴部2と湾曲部5を連結する回動部4は、引張りコイルばね7で構成したが、本第2実施形態では、図7および図8に示すように、回動部4は、ねじりコイルばね(ばね部材)11で構成し、このねじりコイルばね11は、一端が胴部2に連結され、他端側が湾曲部5に連結された構成となっている。
【0034】
このように構成しても、一度掛かった魚Fを可及的に外れ難くすることができる。
【0035】
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0036】
上述の第2実施形態では、胴部2と湾曲部5をねじりコイルばね11を介して回動可能に連結する構成としたが、本第3実施形態では、図9図11に示すように、胴部2と湾曲部5を回動自在に連結する回動軸12を設け、この回動軸12にねじりコイルばね(ばね部材)を取付け、このねじりコイルばね13の一端を胴部2に連結し、他端を湾曲部5に連結することにより、回動軸12を回動中心として胴部2に対し湾曲部5の回動を弾性的に規制する構成となっている。
【0037】
すなわち、胴部2の端部および湾曲部5の端部には、湾曲部5の湾曲面に直交する回動穴14が設けられ、この回動穴14およびねじりコイルばね13の巻穴15に回動軸12が挿通して取付けられた構成となっている。
【0038】
このように構成しても、一度掛かった魚Fを可及的に外れ難くすることができる。
【0039】
<第4実施形態>
以下、本発明の第4実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0040】
本第4実施形態では、図12および図13に示すように、胴部2と湾曲部5をラチェット機構16で連結する構成となっている。
【0041】
すなわち、ラチェット機構16は、歯車17と、この歯車17に掛止する歯止め18と、この歯止め18を歯車17に向けて付勢して押え付ける押えばね19とを備え、湾曲部5の湾曲方向すなわち矢印N方向と反対の方向への回動を規制するようになっている。
【0042】
すなわち、湾曲部5は、湾曲方向へ回動できるが、反対方向へは回動できないようになっている。
【0043】
また、連結部3には、釣り糸Pの先端が連結されるようになっている。
【0044】
しかして、図14に示すように、針先6に餌Bを付けた釣り針1に魚Fが食い付くと、図15に示すように、針先6が魚Fの口内に刺さり、魚Fが逃げようとすると、胴部2に対して湾曲部5が湾曲方向へ回動し、図16に示すように、針先6が口内にさらに深く食い込む。
【0045】
魚Fが逃げようとすればする程、図17に示すように、胴部2の連結部3と湾曲部5の針先6が近づき、湾曲部5は湾曲方向と反対の方向へは回動できないため、魚Fは釣り針1から外れなくなる。
【0046】
このように構成しても、一度掛かった魚Fを可及的に外れ難くすることができる。
【0047】
<第5実施形態>
以下、本発明の第5実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0048】
本第5実施形態では、図18および図19に示すように、回動部4は、胴部2と湾曲部5を回動軸12で回動自在に連結し、さらに湾曲部5の湾曲方向すなわち矢印N方向と反対の方向への回動を規制するストッパ20を設けた構成となっている。
【0049】
すなわち、湾曲部5は、湾曲方向へ回動できるが、反対方向へは回動できないようになっている。
【0050】
このような構成によれば、魚Fが逃げようとすれば胴部2の連結部3と湾曲部5の針先6が近づき、針先6が魚Fの口内に深くささるため、魚Fは釣り針1から外れなくなる。
【0051】
このように構成しても、一度掛かった魚Fを可及的に外れ難くすることができる。
【0052】
<第6実施形態>
【0053】
以下、本発明の第6実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0054】
上述の第1実施形態では、胴部2と湾曲部5を連結する回動部4は、引張りコイルばね7で構成し、取付部10は、湾曲部5と別部材で構成したが、本第6実施形態では、図20および図21に示すように、回動部4は、胴部2の端部に胴部2を輪状に湾曲して形成された第1輪部21と、湾曲部5の端部に湾曲部5を輪状に湾曲して形成された第2輪部22とを有し、第1輪部21の輪内に第2輪部22が挿通して回動可能に嵌った構成となっている。
【0055】
また、取付部10は、湾曲部5を輪状に湾曲して形成された第3輪部23で構成され、この第3輪部23に釣り糸Pが取り付けられている。
【0056】
しかして、図22に示すように、針先6に餌Bを付けた釣り針1に魚Fが食い付くと、図23に示すように、針先6が魚Fの口内に刺さり、魚Fが逃げようとすると、釣り糸Pに張力が働き、胴部2に対して湾曲部5が回動部4を支点として湾曲方向へ回動し、図24に示すように、針先6が魚Fの口内にさらに深く食い込む。
【0057】
魚Fが逃げようとすればする程、図25に示すように、胴部2の連結部3と湾曲部5の針先6が近づき、魚Fは釣り針1から外れなくなる。
【0058】
このように構成しても、一度掛かった魚Fを可及的に外れ難くすることができる。
【符号の説明】
【0059】
P 釣り糸
1 釣り針
2 胴部
3 連結部
4 回動部
5 湾曲部
7 ばね部材(引張りコイルばね)
8 規制部
9 挿通穴
10 取付部
11 ばね部材(ねじりコイルばね)
12 回動軸
13 ばね部材(ねじりコイルばね)
16 ラチェット機構
20 ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25