(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049067
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 1/26 20060101AFI20230403BHJP
G06F 1/24 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
G06F1/26
G06F1/24 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158582
(22)【出願日】2021-09-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 健
(72)【発明者】
【氏名】三上 秀夫
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011EA02
5B011EB03
5B011FF04
5B011KK12
5B011MA01
(57)【要約】
【課題】強制終了されたコンピュータの遠隔起動の設定をすることができる。
【解決手段】情報処理装置10は、通信部11と電源制御部12と処理部13とを有する。通信部11は、ネットワーク1に接続可能である。電源制御部12は、自装置の強制終了を検知すると、自装置の再起動を実行する。処理部13は、再起動の実行を検知すると、ネットワーク1と通信部11とを介した自装置の起動指示を受付可能となるよう通信部11に設定し、自装置のシャットダウンを実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続可能な通信部と、
自装置の強制終了を検知すると、自装置の再起動を実行する電源制御部と、
前記再起動の実行を検知すると、前記ネットワークと前記通信部とを介した自装置の起動指示を受付可能となるよう前記通信部に設定し、自装置のシャットダウンを実行する処理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、自装置のシャットダウンを実行する場合にフラグを設定し、
前記電源制御部は、自装置を停止するときに前記フラグが設定されていない場合、前記強制終了を検知する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記電源制御部は、前記再起動を実行する場合に他のフラグを設定し、
前記処理部は、自装置が起動するときに、前記他のフラグが設定されているか否かを判定し、前記他のフラグが設定されている場合前記再起動の実行を検知する、
請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータに、
自装置の強制終了を検知した場合に自装置の再起動を実行する電源制御部による前記再起動の実行を検知すると、ネットワークと前記ネットワークに接続可能な通信部とを介した自装置の起動指示を受付可能となるよう前記通信部に設定し、自装置のシャットダウンを実行する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータを遠隔起動する技術として、Wake-On-LAN(Local Area Network)がある。Wake-On-LANでは、起動させるコンピュータに対して、ネットワーク経由でマジックパケットが送信される。すると、当該コンピュータのネットワークインタフェースがマジックパケットを受け取り、プロセッサを含むチップセットに対して起動指示を送信する。
【0003】
Wake-On-LANに関する技術としては、例えば、電源投入指示を用いて複数の情報処理装置の電源が投入される情報処理システムの消費電力を削減する電源制御装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Wake-On-LANによる遠隔起動のためのネットワークインタフェースへの設定は、コンピュータがシャットダウンされるときにBIOS(Basic Input Output System)によって行われることが多い。このようなWake-On-LANの設定は、OS(Operating System)やOS上のアプリケーションにも依存することがあるため、コンピュータを起動するときにクリアされることがある。よって、コンピュータがシャットダウンを介さずに強制終了されると、遠隔起動できなくなることがある。
【0006】
1つの側面では、本件は、強制終了されたコンピュータの遠隔起動の設定をすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの案では、通信部と電源制御部と処理部とを有する情報処理装置が提供される。通信部は、ネットワークに接続可能である。電源制御部は、自装置の強制終了を検知すると、自装置の再起動を実行する。処理部は、再起動の実行を検知すると、ネットワークと通信部とを介した自装置の起動指示を受付可能となるよう通信部に設定し、自装置のシャットダウンを実行する。
【発明の効果】
【0008】
1態様によれば、強制終了されたコンピュータの遠隔起動の設定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係る情報処理装置の一例を示す図である。
【
図2】第2の実施の形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
【
図3】PCのハードウェアの一構成例を示す図である。
【
図4】PC内の各機器の関係の一例を示す図である。
【
図5】情報処理装置の機能例を示すブロック図である。
【
図6】シャットダウン処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】停止制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】起動制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】起動時処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
まず、第1の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理装置の一例を示す図である。第1の実施の形態は、強制終了した情報処理装置10の遠隔起動の設定をするものである。情報処理装置10は、ネットワーク1を介した遠隔起動が可能なコンピュータである。ネットワーク1は、有線ネットワークを含んでいてもよいし、無線ネットワークを含んでいてもよい。また、ネットワーク1は、LANを含んでいてもよいし、WAN(Wide Area Network)やインターネット等の広域ネットワークを含んでいてもよい。情報処理装置10は、通信部11と、電源制御部12と、処理部13とを有する。
【0012】
通信部11は、ネットワーク1に接続可能である。通信部11は、例えば、情報処理装置10が有するネットワークインタフェースである。電源制御部12は、情報処理装置10の一部の制御処理を実行可能である。電源制御部12は、例えば、情報処理装置10に供給される電力を制御するマイコンが有するプロセッサまたは演算回路である。処理部13は、情報処理装置10全体を制御し、所要の処理を実行可能である。処理部13は、例えば、情報処理装置10が有するプロセッサまたは演算回路である。
【0013】
電源制御部12は、情報処理装置10の強制終了を検知すると、情報処理装置10の再起動を実行する。ここで、情報処理装置10の強制終了は、処理部13によるシャットダウン以外に基づく情報処理装置10の停止である。例えば、情報処理装置10の強制終了は、情報処理装置10の電源ボタンの長押しによる情報処理装置10の停止である。
【0014】
例えば、電源制御部12が情報処理装置10の強制終了を検知するため、処理部13は、情報処理装置10のシャットダウンを実行する場合にフラグを設定する。電源制御部12は、情報処理装置10を停止するときにフラグが設定されていない場合、強制終了を検知する。
【0015】
処理部13は、電源制御部12による再起動の実行を検知すると、ネットワーク1と通信部11とを介した情報処理装置10の起動指示を受付可能となるよう通信部11に設定する。例えば、処理部13は、Wake-On-LANのマジックパケットを受け付けると、情報処理装置10の起動指示をするよう通信部11に設定する。そして、処理部13は、情報処理装置10のシャットダウンを実行する。
【0016】
第1の実施の形態によれば、情報処理装置10の通信部11は、ネットワーク1に接続可能である。情報処理装置10の電源制御部12は、自装置の強制終了を検知すると、自装置の再起動を実行する。情報処理装置10の処理部13は、再起動の実行を検知すると、ネットワーク1と通信部11とを介した自装置の起動指示を受付可能となるよう通信部11に設定し、自装置のシャットダウンを実行する。
【0017】
ここで、ネットワーク1と通信部11とを介した情報処理装置10の起動指示を受付可能となるようにする設定は、処理部13が情報処理装置10のシャットダウンをするときに行われ、情報処理装置10が起動するときにクリアされることが多い。したがって、情報処理装置10が起動後に処理部13によるシャットダウンを介さずに強制終了した場合、当該設定がクリアされたままとなり、情報処理装置10の遠隔起動ができなくなってしまう。そこで、電源制御部12は、強制終了を検知すると、情報処理装置10を再起動し、処理部13は、ネットワーク1と通信部11とを介した自装置の起動指示を受付可能となるよう通信部11に設定する。これにより、情報処理装置10は、強制終了されたコンピュータの遠隔起動の設定をすることができる。
【0018】
また、処理部13は、自装置のシャットダウンを実行する場合にフラグを設定し、電源制御部12は、自装置を停止するときにフラグが設定されていない場合、強制終了を検知する。これにより、処理部13は、電源制御部12に強制終了を適切に検知させることができる。
【0019】
なお、電源制御部12は、再起動を実行する場合に他のフラグを設定してもよい。そして、処理部13は、自装置が起動するときに、他のフラグが設定されているか否かを判定し、他のフラグが設定されている場合再起動の実行を検知してもよい。これにより、電源制御部12は、強制終了の検知による再起動が実行されたことを処理部13に適切に検知させることができる。
【0020】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、強制終了したPC(Personal Computer)にWake-On-LANの設定をするものである。
【0021】
図2は、第2の実施の形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。第2の実施の形態の情報処理システムは、PC21,100を有する。PC21,100は、ネットワーク30に接続されている。ネットワーク30は、LANを含んでいてもよいし、WANやインターネット等の広域ネットワークを含んでいてもよい。
【0022】
PC21は、ユーザが操作するコンピュータである。PC21は、ネットワーク30を介してWake-On-LANのマジックパケットをPC100に送信し、PC100を遠隔起動する。そして、PC21は、起動したPC100を遠隔操作する。
【0023】
PC100は、PC21によって遠隔制御されるコンピュータである。PC100は、シャットダウン時に、Wake-On-LANが有効になるようPC100のネットワークインタフェースの設定をする。シャットダウンされて停止しているPC100は、PC21からマジックパケットを取得すると起動する。
【0024】
図3は、PCのハードウェアの一構成例を示す図である。PC100は、チップセット101によって装置全体が制御されている。チップセット101は、CPU(Central Processing Unit)101aと、CPU101aが周辺機器とのデータの送受信を行うためのコントローラとを含む。
【0025】
CPU101aは、プログラムの命令を実行するプロセッサである。なお、CPU101aは複数のプロセッサコアを含んでもよい。また、CPU101aは、複数のプロセッサであってもよく、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)等であってもよい。また、CPU101aがプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。CPU101aには、バス110を介してRAM(Random Access Memory)102と複数の周辺機器が接続されている。
【0026】
RAM102は、PC100の主記憶装置である。RAM102には、CPU101aに実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101aによる処理に利用する各種データが格納される。なお、PC100は、RAM以外の種類のメモリを備えてもよく、複数個のメモリを備えてもよい。
【0027】
バス110に接続されている周辺機器としては、HDD(Hard Disk Drive)103、GPU(Graphics Processing Unit)104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106および機器接続インタフェース107がある。また、バス110に接続されている周辺機器としては、EC(Embedded Controller)108およびネットワークインタフェース109がある。
【0028】
HDD103は、PC100の補助記憶装置である。HDD103は、内蔵した磁気ディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、PC100は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)等の他の種類の補助記憶装置を備えてもよく、複数の補助記憶装置を備えてもよい。
【0029】
GPU104には、モニタ31が接続されている。GPU104は、CPU101aからの命令に従って、画像をモニタ31の画面に表示させる。モニタ31としては、有機EL(Electro Luminescence)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0030】
入力インタフェース105には、キーボード32とマウス33とが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード32やマウス33から送られてくる信号をCPU101aに送信する。なお、マウス33は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等がある。
【0031】
光学ドライブ装置106は、レーザ光等を利用して、光ディスク34に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク34は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク34には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。
【0032】
機器接続インタフェース107は、PC100に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば機器接続インタフェース107には、メモリ装置35やメモリリーダライタ36を接続することができる。メモリ装置35は、機器接続インタフェース107との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタ36は、メモリカード37へのデータの書き込み、またはメモリカード37からのデータの読み出しを行う装置である。メモリカード37は、カード型の記録媒体である。
【0033】
EC108は、電源からPC100への電力供給を制御するマイコンである。EC108は、PC100の電源スイッチが押下される前から電力が供給され、動作可能である。EC108は、PC100の電源スイッチが押下されると、電源からCPU101aと、CPU101aにバス110を介して接続される周辺機器とに電力が供給されるよう制御する。
【0034】
ネットワークインタフェース109は、ネットワーク30に接続されている。ネットワークインタフェース109は、ネットワーク30を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0035】
PC100は、以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、PC21および第1の実施の形態に示した情報処理装置10も、
図3に示したPC100と同様のハードウェアにより実現することができる。また、CPU101aは、第1の実施の形態に示した処理部13の一例である。また、EC108は、第1の実施の形態に示した電源制御部12の一例である。また、ネットワークインタフェース109は、第1の実施の形態に示した通信部11の一例である。
【0036】
PC100は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。PC100に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、PC100に実行させるプログラムをHDD103に格納しておくことができる。CPU101aは、HDD103内のプログラムの少なくとも一部をRAM102にロードし、プログラムを実行する。また、PC100に実行させるプログラムを、光ディスク34、メモリ装置35、メモリカード37等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えばCPU101aからの制御により、HDD103にインストールされた後、実行可能となる。また、CPU101aが、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0037】
次に、PC100内の各機器の関係について説明する。
図4は、PC内の各機器の関係の一例を示す図である。
図4に示す例では、チップセット101、EC108およびネットワークインタフェース109の関係を示す。チップセット101は、電源状態信号をEC108に送信する。例えば、EC108は、PC100の電源ボタンが押されると、チップセット101に含まれるCPU101aの電源を入れ、PC100を起動させる。また、例えば、EC108は、電源断割り込みが通知されると、CPU101aの電源を切り、PC100を停止させる。なお、チップセット101とEC108との接続インタフェースは、例えば、eSPI(enhanced Serial Peripheral Interface)である。EC108は、チップセット101に対する電源供給をする。
【0038】
CPU101aは、BIOS120およびOS130を実行する。BIOS120は、OS130の起動およびPC100の周辺機器を制御するソフトウェアである。BIOS120は、EC108がCPU101aに電源を入れると、CPU101aによって所定のプログラムが実行されることで起動する。BIOS120は、POST(Power On Self Test)処理の実行後、OS130をロードする。例えば、BIOS120は、ブートローダを起動し、起動したブートローダにOS130の検出およびOS130の起動をさせる。
【0039】
また、BIOS120は、PC100のシャットダウンを実行するときにネットワークインタフェース109に対して、Wake-On-LANの設定をする。例えば、BIOS120は、マジックパケットを取得すると、チップセット101に起動指示を送信するようネットワークインタフェース109に設定をする。
【0040】
OS130は、PC100を動かすための基本ソフトウェアまたは基本プログラムである。例えば、OS130は、チップセット101に命令し、CPU101aと周辺機器とのデータの送受信を制御する。
【0041】
Wake-On-LANでは、ネットワークインタフェース109は、PC21からネットワーク30を介してマジックパケットを取得すると、チップセット101に起動指示を送信する。チップセット101は、ネットワークインタフェース109から起動指示を取得したことをEC108に通知する。すると、EC108は、CPU101aに電源を入れる。これにより、PC21は、PC100を遠隔起動できる。
【0042】
ここで、ネットワークインタフェース109に対するWake-On-LANの設定は、OS130やOS130上のアプリケーションにも依存することがある。そのため、BIOS120は、PC100を起動するときにネットワークインタフェース109に対するWake-On-LANの設定をクリアする。よって、例えば、PC100の電源ボタンが長押しされる等により、PC100がシャットダウンを介さずに強制終了されると、Wake-On-LANの設定がクリアされたままPC100が停止する。つまり、PC21は、強制終了したPC100を遠隔起動できなくなる。
【0043】
そこで、第2の実施の形態では、EC108は、PC100の強制終了を検知すると、PC100を再起動させる。そして、BIOS120は、Wake-On-LANの設定をしてからシャットダウンを実行する。
【0044】
次に、PC100の機能について詳細に説明する。
図5は、情報処理装置の機能例を示すブロック図である。PC100は、BIOS120を有する。また、PC100は、EC108の機能として起動制御部108aおよび停止制御部108bを有する。起動制御部108aおよび停止制御部108bは、EC108のメモリに記憶されたプログラムをEC108のプロセッサが実行することで実現される。
【0045】
BIOS120は、OS130からのシャットダウンの指示に応じたシャットダウン処理およびPC100の起動に応じた起動時処理を実行する。シャットダウン処理では、BIOS120は、シャットダウンが行われたことを示す通常シャットダウンフラグを設定する。そして、BIOS120は、ネットワークインタフェース109に、Wake-On-LANの設定をし、シャットダウンを実行する。
【0046】
起動時処理では、BIOS120は、強制終了による再起動が行われたことを示す強制電源断フラグが設定されている場合、シャットダウン処理を実行する。また、BIOS120は、強制電源断フラグが設定されていない場合、POST処理およびWake-On-LANの設定のクリアを実行し、OS130をロードする。
【0047】
起動制御部108aは、PC100の起動指示を検知すると、CPU101aの電源を入れ、PC100を起動させる。なお、起動制御部108aは、PC100の起動指示として、例えば、ユーザによってPC100の電源ボタンが押されたことや、ネットワークインタフェース109からチップセット101にWake-On-LANによる起動指示が送信されたことを検知する。
【0048】
停止制御部108bは、電源断割り込みの通知がある場合、CPU101aの電源を切り、PC100を停止させる。なお、電源断割り込みは、例えば、BIOS120によるシャットダウンの実行や、PC100の電源ボタンが長押しされることによって通知される。また、停止制御部108bは、PC100を停止させるときに通常シャットダウンフラグが設定されていない場合、PC100を再起動し、強制電源断フラグを設定する。
【0049】
なお、
図5に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。また、通常シャットダウンフラグは、第1の実施の形態に示したフラグの一例である。また、強制電源断フラグは、第1の実施の形態に示した他のフラグの一例である。
【0050】
次に、PC100の停止時および起動時の処理の手順について、詳細に説明する。まず、BIOS120によるPC100のシャットダウン処理の手順について、詳細に説明する。
【0051】
図6は、シャットダウン処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、
図6に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS11]BIOS120は、通常シャットダウンフラグを設定する。例えば、BIOS120は、EC108から読み取り可能なメモリの所定の領域に通常シャットダウンフラグを設定する。
【0052】
[ステップS12]BIOS120は、ネットワークインタフェース109に、Wake-On-LANの設定をする。例えば、BIOS120は、マジックパケットを取得すると、チップセット101に起動指示を送信するようネットワークインタフェース109に設定をする。
【0053】
[ステップS13]BIOS120は、シャットダウンを実行する。例えば、BIOS120は、EC108に電源断割り込みを通知する。
このようにして、BIOS120は、シャットダウンを実行するときに、Wake-On-LANの設定および通常シャットダウンフラグの設定をする。BIOS120は、Wake-On-LANの設定をしてシャットダウンを実行することで、PC100の遠隔起動をPC21にさせることができる。
【0054】
また、BIOS120は、通常シャットダウンフラグを設定することで、シャットダウンを実行したことをEC108に通知することができる。つまり、EC108は、電源断割り込みが通知されたときに通常シャットダウンフラグが設定されていない場合、シャットダウンを介さずにPC100が強制終了されたと検知できる。よって、BIOS120は、PC100が強制終了されたことを、EC108に適切に検知させることができる。
【0055】
次に、EC108によるPC100の停止を制御する処理の手順について、詳細に説明する。
図7は、停止制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、
図7に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0056】
[ステップS21]停止制御部108bは、電源断割り込みの通知があるか否かを判定する。例えば、電源断割り込みは、BIOS120によるシャットダウンの実行によってEC108に通知される。また、例えば、電源断割り込みは、PC100の電源ボタンが長押しされることによってEC108に通知される。停止制御部108bは、電源断割り込みの通知があると判定した場合、処理をステップS22に進める。また、停止制御部108bは、電源断割り込みの通知がないと判定した場合、処理をステップS21に進める。
【0057】
[ステップS22]停止制御部108bは、PC100のセンサ・ファンの電源を切る。
[ステップS23]停止制御部108bは、CPU101aの電源を切る。
【0058】
[ステップS24]停止制御部108bは、通常シャットダウンフラグが設定されているか否かを判定する。例えば、停止制御部108bは、BIOS120が通常シャットダウンフラグを設定する所定の領域を読み取り、通常シャットダウンフラグが設定されているか否かを判定する。停止制御部108bは、通常シャットダウンフラグが設定されていると判定した場合、処理をステップS21に進める。また、停止制御部108bは、通常シャットダウンフラグが設定されていないと判定した場合、処理をステップS25に進める。
【0059】
[ステップS25]停止制御部108bは、PC100を再起動する。例えば、停止制御部108bは、PC100の電源ボタンを疑似的にオンにする。
[ステップS26]停止制御部108bは、強制電源断フラグを設定する。例えば、停止制御部108bは、BIOS120が読み取り可能なメモリの所定の領域に強制電源断フラグを設定する。そして、処理がステップS21に進む。
【0060】
このようにして、停止制御部108bは、PC100を停止するときに通常シャットダウンフラグが設定されていない場合、PC100が強制終了されたと検知し、PC100を再起動する。停止制御部108bは、PC100を再起動する場合に強制電源断フラグを設定する。BIOS120は、強制終了されたことによる再起動においても、電源ボタンがオンされた場合の起動と同様に起動するが、強制電源断フラグが設定されていることを確認することで、PC100が強制終了されたことによる再起動を検知できる。よって、停止制御部108bは、強制終了されたことによる再起動をしたことを、BIOS120に適切に検知させることができる。
【0061】
次に、EC108によるPC100の起動を制御する処理の手順について、詳細に説明する。
図8は、起動制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、
図8に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0062】
[ステップS31]起動制御部108aは、PC100の起動指示を検知する。ここで、起動制御部108aは、起動指示として、ユーザによってPC100の電源ボタンが押されたことを検知してもよいし、停止制御部108bによってPC100の電源ボタンが疑似的にオンにされたことを検知してもよい。また、起動制御部108aは、ネットワークインタフェース109からチップセット101にWake-On-LANによる起動指示が送信されたことを検知してもよい。
【0063】
[ステップS32]起動制御部108aは、チップセット101に含まれるCPU101aの電源を入れる。
[ステップS33]起動制御部108aは、EC108が使用するコマンドの設定をする。例えば、起動制御部108aは、BIOS120によって設定されたEC108が使用するコマンドの設定を読み込む。
【0064】
[ステップS34]起動制御部108aは、EC108の起動時の設定をする。
[ステップS35]起動制御部108aは、処理待ち状態に移行する。そして、処理がステップS31に進む。
【0065】
このようにして、起動制御部108aは、PC100を起動させる。次に、BIOS120によるPC100の起動時の処理の手順について、詳細に説明する。
図9は、起動時処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、
図9に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0066】
[ステップS41]BIOS120は、強制電源断フラグが設定されているか否かを判定する。例えば、BIOS120は、EC108が強制電源断フラグを設定する所定の領域を読み取り、強制電源断フラグが設定されているか否かを判定する。BIOS120は、強制電源断フラグが設定されていると判定した場合、処理をステップS42に進める。また、BIOS120は、強制電源断フラグが設定されていないと判定した場合、処理をステップS43に進める。
【0067】
[ステップS42]BIOS120は、
図6に示すシャットダウン処理を実行する。そして、処理が終了する。
[ステップS43]BIOS120は、POST処理を実行する。例えば、BIOS120は、PC100内のデバイスおよびPC100に接続されたデバイスについて、検出、正常であるかの検証、初期化等を実行する。
【0068】
[ステップS44]BIOS120は、ネットワークインタフェース109に設定されたWake-On-LANの設定をクリアする。
[ステップS45]BIOS120は、EC108が実行するコマンドの設定をする。
【0069】
[ステップS46]BIOS120は、OS130をロードする。例えば、BIOS120は、ブートローダを起動し、起動したブートローダにOS130の検出およびOS130の起動をさせる。
【0070】
このようにして、BIOS120は、起動時の処理を実行する。BIOS120は、起動時に強制電源断フラグが設定されていない場合、POST処理やOS130のロード等の処理をする。また、BIOS120は、ネットワークインタフェース109に設定されたWake-On-LANの設定をクリアする。これにより、BIOS120は、OS130やOS130上のアプリケーションに、Wake-On-LANの設定内容の更新をさせることができる。しかし、PC100が強制終了された場合、Wake-On-LANの設定は、クリアされたままとなる。
【0071】
そこで、BIOS120は、起動時に強制電源断フラグが設定されている場合、PC100が強制終了されたことによってEC108がPC100を再起動したことを検知し、シャットダウン処理を実行する。シャットダウン処理には、ネットワークインタフェース109に対するWake-On-LANの設定が含まれるため、BIOS120は、強制終了されたPC100の遠隔起動の設定をすることができる。
【0072】
第2の実施の形態によれば、ネットワークインタフェース109は、ネットワーク30に接続可能である。停止制御部108bは、自装置の強制終了を検知すると、自装置の再起動を実行する。BIOS120は、再起動の実行を検知すると、ネットワーク30とネットワークインタフェース109とを介した自装置の起動指示を受付可能となるようネットワークインタフェース109に設定し、自装置のシャットダウンを実行する。これにより、停止制御部108bおよびBIOS120は、強制終了されたPC100の遠隔起動の設定をすることができる。
【0073】
また、BIOS120は、自装置のシャットダウンを実行する場合に通常シャットダウンフラグを設定し、停止制御部108bは、自装置を停止するときに通常シャットダウンフラグが設定されていない場合、強制終了を検知する。これにより、BIOS120は、EC108に強制終了を適切に検知させることができる。
【0074】
また、停止制御部108bは、再起動を実行する場合に強制電源断フラグを設定する。そして、BIOS120は、自装置が起動するときに、強制電源断フラグが設定されているか否かを判定し、強制電源断フラグが設定されている場合再起動の実行を検知する。これにより、停止制御部108bは、強制終了の検知による再起動が実行されたことをBIOS120に適切に検知させることができる。
【0075】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 ネットワーク
10 情報処理装置
11 通信部
12 電源制御部
13 処理部
【手続補正書】
【提出日】2021-12-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続可能な通信部と、処理部と、前記処理部への電源供給を制御する電源制御部と、を有し、
前記電源制御部は、前記処理部による自装置のシャットダウンの実行を介さない自装置の強制終了を検知すると、自装置の再起動を実行し、
前記処理部は、前記再起動の実行を検知すると、前記ネットワークと前記通信部とを介した自装置の起動指示を受付可能となるよう前記通信部に設定し、自装置のシャットダウンを実行する、
情報処理装置。
【請求項2】
ネットワークに接続可能な通信部と、
自装置の強制終了を検知すると、自装置の再起動を実行し、前記再起動を実行する場合に第1フラグを設定する電源制御部と、
自装置が起動するときに、前記第1フラグが設定されているか否かを判定し、前記第1フラグが設定されている場合前記再起動の実行を検知し、前記再起動の実行を検知すると、前記ネットワークと前記通信部とを介した自装置の起動指示を受付可能となるよう前記通信部に設定し、自装置のシャットダウンを実行する処理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、自装置のシャットダウンを実行する場合に第2フラグを設定し、
前記電源制御部は、自装置を停止するときに前記第2フラグが設定されていない場合、前記強制終了を検知する、
請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
ネットワークに接続可能な通信部と、処理部と、前記処理部への電源供給を制御し、前記処理部による自装置のシャットダウンの実行を介さない自装置の強制終了を検知すると、自装置の再起動を実行する電源制御部とを有するコンピュータの前記処理部に、
自装置の強制終了を検知した場合に自装置の再起動を実行する電源制御部による前記再起動の実行を検知すると、ネットワークと前記ネットワークに接続可能な通信部とを介した自装置の起動指示を受付可能となるよう前記通信部に設定し、自装置のシャットダウンを実行する、
処理を実行させるプログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
自装置が起動するときに、第1フラグが設定されているか否かを判定し、前記第1フラグが設定されている場合、自装置の強制終了を検知した場合に自装置の再起動を実行し、前記再起動を実行する場合に前記第1フラグを設定する電源制御部による前記再起動の実行を検知し、前記再起動の実行を検知すると、ネットワークと前記ネットワークに接続可能な通信部とを介した自装置の起動指示を受付可能となるよう前記通信部に設定し、自装置のシャットダウンを実行する、
処理を実行させるプログラム。