(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049085
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】BIMデータ及び設計支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20230403BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20230403BHJP
G06F 30/13 20200101ALI20230403BHJP
A47K 13/24 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06F30/12
G06F30/13
A47K13/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158623
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 義之
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 香織
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅大
【テーマコード(参考)】
2D037
5B146
【Fターム(参考)】
2D037AA00
2D037EA01
5B146AA04
5B146DE06
5B146DG02
5B146DG04
5B146DJ14
5B146DL08
5B146EC04
5B146EC10
(57)【要約】
【課題】コンピュータを使った建築物の設計において、便器と他の設備との干渉を確認すること。
【解決手段】BIMアプリケーションを実行する端末装置は、便器に関するBIMデータの属性情報に含まれるパラメータであって、便器に備えられた部材(例えば、便蓋、便座又は跳ね上げ式の手すり)の角度を決定するパラメータを、ユーザによって入力された所定の範囲の値に応じて更新する。また、端末装置は、更新されたパラメータを反映させた便器の3次元形状を、BIMデータに含まれる形状情報に従って、表示部に表示させる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に関するBIMデータであって、
ユーザの操作によって変更可能なパラメータであって、前記便器に備えられた部材の角度を決定するパラメータを含む属性情報と、
前記パラメータを反映させた前記便器の3次元形状を表示するための形状情報と、
を有することを特徴とするBIMデータ。
【請求項2】
コンピュータに、
便器に関するBIMデータの属性情報に含まれるパラメータであって、前記便器に備えられた部材の角度を決定するパラメータを、ユーザによって入力された所定の範囲の値に応じて更新する更新手順と、
前記更新手順において更新された前記パラメータを反映させた前記便器の3次元形状を、前記BIMデータに含まれる形状情報に従って、表示部に表示させる表示制御手順と、
を実行させることを特徴とする設計支援プログラム。
【請求項3】
前記表示制御手順は、前記ユーザによって入力された値が前記所定の範囲に含まれない場合、前記値が不正であることを示す情報を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の設計支援プログラム。
【請求項4】
前記更新手順は、前記部材として、便蓋及び便座の両方を備えた前記便器に関するBIMデータの属性情報に含まれるパラメータであって、前記便蓋の角度を決定するパラメータ、及び、前記便座の角度を決定するパラメータを、ユーザによって入力された所定の範囲の値に応じて更新することを特徴とする請求項2又は3に記載の設計支援プログラム。
【請求項5】
前記更新手順は、前記部材として、はね上げ式のてすりを備えた前記便器に関するBIMデータの属性情報に含まれるパラメータであって、前記はね上げ式のてすりの角度を決定するパラメータを、ユーザによって入力された所定の範囲の値に応じて更新することを特徴とする請求項2又は3に記載の設計支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BIMデータ及び設計支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建設業界において、業務のICT(Information and Communication Technology)化による生産性の向上を目的として、BIM(Building Information Modelling)の導入が進められている。
【0003】
BIMは、建築物を構成するオブジェクトについて、形状情報に加えて、名称、寸法、材料、部材の仕様、性能といった属性情報を持ったモデルを構築する手法である。
【0004】
なお、オブジェクトは、例えば壁及び設備のような建築要素に相当する。また、形状情報は、例えばCAD(Computer Aided Design)データに相当する。
【0005】
従来、コンピュータを使った建築物の設計を支援するための技術が提案されている。なお、BIMを使った設計は、コンピュータを使った建築物の設計の一例である。
【0006】
例えば、特許文献1には、BIMを用いた手洗いカウンターの設計において、設置スペースとボウルの許容数に応じてモデルの形状変更を制限する技術が開示されている。特許文献1に開示された技術によれば、設計における手戻りが抑止される。
【0007】
例えば、特許文献2には、CAD上で物体の開閉角度ごとの他の物体とのクリアランスをグラフ表示し、干渉をチェックする技術が開示されている。また、例えば、特許文献3には、BIMモデル上で、仮想動作部にクレーン及びダンプ等の動作軌跡を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-5264号公報
【特許文献2】特開平9-54791号公報
【特許文献3】国際公開第2016/178453号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の技術では、コンピュータを使った建築物の設計において、便器と他の設備との干渉を確認することができない場合がある。
【0010】
特に便器が配置される空間は広さが限られており、またドアノブ、洗面台といった他の設備が当該空間に配置されるため、干渉が起きやすい。一方で、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載の技術では、建築物に配置される便器と他の設備との干渉を確認することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の一態様に係るBIMデータは、便器に関するBIMデータであって、ユーザの操作によって変更可能なパラメータであって、前記便器に備えられた部材の角度を決定するパラメータを含む属性情報と、前記パラメータを反映させた前記便器の3次元形状を表示するための形状情報と、を有する。
【0012】
実施形態の一態様に係る設計支援プログラムは、コンピュータに、便器に関するBIMデータの属性情報に含まれるパラメータであって、前記便器に備えられた部材の角度を決定するパラメータを、ユーザによって入力された所定の範囲の値に応じて更新する更新手順と、前記更新手順において更新された前記パラメータを反映させた前記便器の3次元形状を、前記BIMデータに含まれる形状情報に従って、表示部に表示させる表示制御手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
実施形態の一態様によれば、コンピュータを使った建築物の設計において、便器と他の設備との干渉を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係る設計支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るサーバの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、BIMアプリケーションの実行画面の例を示す図である。
【
図6】
図6は、便蓋及び便座の角度に関するパラメータを説明する図である。
【
図10】
図10は、設計支援処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願に係るBIMデータ及び設計支援プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0016】
まず、
図1を用いて、実施形態に係る設計支援システムの構成について説明する。
図1は、実施形態に係る設計支援システムの構成例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、設計支援システム1は、サーバ10及び端末装置20を有する。サーバ10及び端末装置20の数は、
図1に示すものに限られない。
【0018】
また、サーバ10と端末装置20は、ネットワークNを介して接続されている。ネットワークNは、例えばインターネットである。
【0019】
サーバ10は、端末装置20にBIMデータを提供する。また、端末装置20は、サーバ10から取得したBIMデータを用いて、BIMアプリケーションを実行する。端末装置20は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット型端末等である。
【0020】
BIMアプリケーションは、BIMを用いて建築物の設計を行うためのアプリケーションである。例えば、BIMアプリケーションは、Autodesk(登録商標)社のRevit(登録商標)である。
【0021】
BIMデータは、BIMアプリケーションにおいてBIMパーツを構築するためのデータである。BIMデータには、BIMパーツの3次元形状を表示するための形状情報及びパラメータの集合である属性情報が含まれる。
【0022】
BIMパーツは、建築物のBIMモデルに配置される建築要素ごとに作成されるものであってもよい。
【0023】
図1に示すように、端末装置20は、開発者又は設計者によって操作される。
【0024】
例えば、開発者は、設備機器メーカに所属し、端末装置20にインストールされたBIMアプリケーションを用いて、設備機器に関するBIMデータを作成する。
【0025】
また、例えば、設計者は、設計事務所及び建設会社等に所属し、端末装置20にインストールされたBIMアプリケーションを用いて、建築物の設計を行う。例えば、設計者は、BIMデータから構築したBIMパーツを、建築物のBIMモデルに配置する操作を行う。
【0026】
図2を用いて、サーバ10の構成を説明する。
図2は、実施形態に係るサーバの構成例を示す図である。
【0027】
図2に示すように、サーバ10は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。
【0028】
通信部11は、ネットワークを介して、他の装置との間でデータ通信を行う。例えば、通信部11はNIC(Network Interface Card)である。
【0029】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、光ディスク等の記憶装置、又は、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリである。
【0030】
記憶部12は、サーバ10で実行されるOS(Operating System)及び各種プログラムを記憶する。記憶部12は、形状情報121及び属性情報122を記憶する。
【0031】
形状情報121及び属性情報122はBIMデータに含まれる。
図3を用いて、BIMデータについて説明する。
図3は、BIMデータを説明する図である。
【0032】
図3の例では、BIMデータの形状情報121は、便器の3次元形状を表示するための情報である。例えば、形状情報121は3DCADデータである。また、
図3の例では、BIMデータの属性情報122は、便器に関するパラメータの集合である。
【0033】
また、属性情報122は、パラメータの名称と値を含む。例えば、
図3には、パラメータ「給水単位」の値が「5.000000」であることが示されている。
【0034】
制御部13は、サーバ10全体を制御する。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により実現される。
【0035】
制御部13は、プログラムを実行することで、例えば格納部131及び提供部132として機能する。
【0036】
格納部131は、形状情報121及び属性情報122を記憶部12に格納する。例えば、格納部131は、端末装置20を介して開発者によって提供されたBIMデータを、形状情報121及び属性情報122として記憶部12に格納する。
【0037】
提供部132は、形状情報121及び属性情報122を端末装置20に提供する。例えば、Webサイトを介してサーバ10に対してBIMデータのダウンロードの要求があった場合、提供部132は、形状情報121及び属性情報122をBIMデータとして提供する。
【0038】
図4を用いて、端末装置20の構成を説明する。
図4は、実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
【0039】
図4に示すように、端末装置20は、通信部21、入力部22、表示部23、記憶部24及び制御部25を有する。
【0040】
通信部21は、ネットワークを介して、他の装置との間でデータ通信を行う。例えば、通信部11はNICである。
【0041】
入力部22は、ユーザからのデータの入力を受け付ける。例えば、入力部22は、マウス及びキーボード等の入力装置である。なお、以降の説明において特に説明がない場合、ユーザは設計者を意味するものとする。
【0042】
表示部23は、画面を表示する。例えば、表示部23は、ディスプレイ等の表示装置である。
【0043】
記憶部24は、HDD、光ディスク等の記憶装置、又は、SSD、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリである。
【0044】
記憶部24は、端末装置20で実行されるOS及び各種プログラムを記憶する。記憶部24は、形状情報241、属性情報242及びアプリケーション情報243を記憶する。
【0045】
形状情報241及び属性情報242は、サーバ10から提供されたBIMデータに含まれる。
【0046】
アプリケーション情報243は、BIMアプリケーションを実行するための情報である。例えば、アプリケーション情報243は、端末装置20においてBIMアプリケーションを実行するためのファイルの集合である。
【0047】
図5は、BIMアプリケーションの実行画面の例を示す図である。
図5に示すように、表示部23に表示されるBIMアプリケーションの実行画面には、プロパティウィンドウ231及び描画領域232が含まれる。
【0048】
プロパティウィンドウ231は、BIMパーツに関する属性情報242の表示及び変更を行うためのウィンドウである。また、描画領域232は、形状情報241に従って、BIMパーツの3次元形状の投影図が描画される領域である。
【0049】
ここで、実施形態におけるBIMデータは、部材として、便蓋、便座又は跳ね上げ式の手すりの少なくともいずれかを備えた便器に関するBIMデータであるものとする。また、BIMデータは、形状情報241及び属性情報242を含む。
【0050】
属性情報242は、ユーザの操作によって変更可能なパラメータであって、便器に備えられた部材(例えば、便蓋、便座又は跳ね上げ式の手すり)の角度を決定するパラメータを含む。形状情報241は、パラメータを反映させた便器の3次元形状を表示するための情報である。例えば、形状情報241は3DCADデータである。
【0051】
ここでは、便器は、便蓋及び便座を備えているものとする。
図6は、便蓋及び便座の角度に関するパラメータを説明する図である。
図6の「便蓋角度」、「便蓋エラー判定」、「便座角度」、「便座エラー判定」、「相互エラー判定」は、パラメータの一例である。
【0052】
パラメータ「便蓋角度」及び「便座角度」の値は、開発者によって決定された固定値であってもよいし、設計者によって手動で入力された値であってもよいし、式に従って動的に決定される値であってもよい。
【0053】
パラメータ「便蓋角度」は、3次元形状における便器の便蓋の角度に相当する。パラメータ「便蓋角度」は、設計者が変更可能であるものとする。
【0054】
パラメータ「便蓋エラー判定」は、パラメータ「便蓋角度」の値が不正であるか否かを示すパラメータである。
【0055】
パラメータ「便蓋エラー判定」の式「=IF(OR(便蓋角度<0,90<便蓋角度),"エラー","")」は、パラメータ「便蓋角度」の値が0未満又は90以上である場合、パラメータ「便蓋エラー判定」の値が「エラー」となり、そうでない場合はパラメータ「便蓋エラー判定」の値が空文字となることを意味している。
【0056】
パラメータ「便座角度」は、3次元形状における便器の便座の角度に相当する。パラメータ「便座角度」は、設計者が変更可能であるものとする。
【0057】
パラメータ「便座エラー判定」は、パラメータ「便座角度」の値が不正であるか否かを示すパラメータである。
【0058】
パラメータ「便座エラー判定」の式「=IF(OR(便座角度<0,90<便座角度),"エラー","")」は、パラメータ「便座角度」の値が0未満又は90以上である場合、パラメータ「便座エラー判定」の値が「エラー」となり、そうでない場合はパラメータ「便座エラー判定」の値が空文字となることを意味している。
【0059】
パラメータ「相互エラー判定」は、パラメータ「便蓋角度」の値と、パラメータ「便座角度」の値との関係が不正であるか否かを示すパラメータである。
【0060】
パラメータ「相互エラー判定」の式「=IF(便蓋角度<便座角度,"エラー","")」は、パラメータ「便蓋角度」の値がパラメータ「便座角度」の値より小さい場合、パラメータ「相互エラー判定」の値が「エラー」となり、そうでない場合はパラメータ「相互エラー判定」の値が空文字となることを意味している。
【0061】
便器の便蓋は、便座を覆うように設置される場合がある。その場合、便座が便蓋よりも大きく開いた状態になることはない。便座が便蓋よりも大きく開いた状態になる場合に、パラメータ「相互エラー判定」の値が「エラー」となる。
【0062】
制御部25は、端末装置20全体を制御する。制御部25は、例えば、CPU、MPU、GPU、ASIC、FPGA等により実現される。
【0063】
制御部25は、取得部251、表示制御部252及び更新部253として機能する。また、取得部251、表示制御部252及び更新部253は、設計支援プログラムを実行する。
【0064】
なお、設計支援プログラムは、BIMアプリケーションの1つの機能として実現されてもよい。また、設計支援プログラムは、BIMアプリケーションのアドインプログラムであってもよい。
【0065】
取得部251は、サーバ10からBIMデータを取得する。取得部251は、取得したBIMデータを形状情報241及び属性情報242として記憶部24に格納する。
【0066】
表示制御部252は、表示制御手順を実行する。また、更新部253は、更新手順を実行する。
【0067】
表示制御部252は、形状情報241に基づき、BIMパーツである便器の3次元形状の投影図を描画領域232に表示させる。また、表示制御部252は、属性情報242に基づき、BIMパーツである便器の各パラメータの情報をプロパティウィンドウ231に表示させる。
【0068】
図7は、便座の例を示す図である。
図7には、描画領域232にBIMパーツとして配置された便器50の3次元形状の例が示されている。
【0069】
便器50は、便蓋51及び便座52を備える。便蓋51は、軸511を中心に回転する。また、便座52は、軸521を中心に回転する。
【0070】
パラメータ「便蓋角度」の値は、便蓋51の軸511に対する角度51a(回転角度)に相当する。また、パラメータ「便座角度」の値は、便座52の軸521に対する角度52a(回転角度)に相当する。
【0071】
なお、角度の単位は「度」である。例えば、パラメータ「便蓋角度」の値が「45」であれば、角度51aは45度となる。また、例えば、パラメータ「便座角度」の値が「45」であれば、角度52aは45度となる。
【0072】
図7の例では、パラメータ「便蓋角度」の値及びパラメータ「便座角度」の値は、いずれも「0」である。このため、
図7における角度51a及び角度52aはいずれも0度である。
【0073】
パラメータ「便蓋角度」の値が「45」であり、パラメータ「便座角度」の値が「0」である場合の例を
図8に示す。
図8は、便座の例を示す図である。
図8における角度51aは45度であり、角度52aは0度である。
【0074】
パラメータ「便蓋角度」の値が「90」であり、パラメータ「便座角度」の値が「45」である場合の例を
図9に示す。
図9は、便座の例を示す図である。
図9における角度51aは90度であり、角度52aは45度である。
【0075】
ここで、更新部253は、便器に関するBIMデータの属性情報242に含まれるパラメータであって、便器に備えられた部材の角度を決定するパラメータを、ユーザによって入力された所定の範囲の値に応じて更新する。
【0076】
そして、表示制御部252は、更新部253によって更新されたパラメータを反映させた便器の3次元形状を、BIMデータに含まれる形状情報241に従って、表示部23に表示させる。これにより、角度の変更が実現される。
【0077】
図6で説明したように、パラメータ「便蓋エラー判定」、「便座エラー判定」又は「相互エラー判定」の値が「エラー」になることがある。その場合、式にまた、表示制御部252は、パラメータの値が「エラー」であることをプロパティウィンドウ231に表示させる。
【0078】
このように、表示制御部252は、ユーザによって入力された値が所定の範囲に含まれない場合、値が不正であることを示す情報を表示部23に表示させる。
【0079】
なお、表示制御部252は、値が不正であることを、プロパティウィンドウ231を介さずに通知してもよい。
【0080】
例えば、表示制御部252は、ポップアップメッセージの表示、画面上の図形及びテキストの色の変化等により通知を行ってもよい。
【0081】
さらに、端末装置20は、値が不正であることを、メッセージの読み上げ及び警告音といった音声により通知してもよい。
【0082】
図10は、設計支援処理の流れを示すフローチャートである。端末装置20は、設計支援プログラムにより設計支援処理を実行することができる。
【0083】
まず、端末装置20は、サーバ10からBIMデータを取得する(ステップS101)。次に、端末装置20は、BIMアプリケーションを起動する(ステップS102)。
【0084】
続いて、端末装置20は、BIMデータに従って便器の3次元形状を表示する(ステップS103)。
【0085】
ここで、端末装置20は、ユーザが便器の便蓋又は便座の角度の値を変更するまで(ステップS104、No)、3次元形状を表示し続け待機する(ステップS103)。
【0086】
端末装置20は、ユーザが便器の便蓋又は便座の角度の値を変更した場合(ステップS104、Yes)、変更後の値に従ってBIMデータを更新する(ステップS105)。その後、端末装置20は、ステップS103に戻る。
【0087】
これまで説明してきたように、BIMデータは、ユーザの操作によって変更可能なパラメータであって、便器に備えられた部材の角度を決定するパラメータを含む属性情報と、パラメータを反映させた便器の3次元形状を表示するための形状情報と、を有する。
【0088】
このように、ユーザは、端末装置20を使って、便器の部材(例えば、便蓋、便座又は跳ね上げ式の手すり)の角度を変更することができる。その結果、実施形態によれば、コンピュータを使った建築物の設計において、便器と他の設備との干渉を確認することができる。
【0089】
設計支援プログラムは、コンピュータに、コンピュータに、便器に関するBIMデータの属性情報に含まれるパラメータであって、便器に備えられた部材の角度を決定するパラメータを、ユーザによって入力された所定の範囲の値に応じて更新する更新手順と、更新手順において更新されたパラメータを反映させた便器の3次元形状を、BIMデータに含まれる形状情報に従って、表示部に表示させる表示制御手順と、を実行させる。
【0090】
このように、ユーザは、端末装置20を使って、便器の部材の角度を変更することができる。その結果、実施形態によれば、コンピュータを使った建築物の設計において、便器と他の設備との干渉を確認することができる。
【0091】
表示制御手順は、ユーザによって入力された値が所定の範囲に含まれない場合、値が不正であることを示す情報を表示部に表示させる。これにより、便器の部材の角度として施工不可能な値が設定されることを抑止することができる。
【0092】
更新手順は、部材として、便蓋及び便座の両方を備えた便器に関するBIMデータの属性情報に含まれるパラメータであって、便蓋の角度を決定するパラメータ、及び、便座の角度を決定するパラメータを、ユーザによって入力された所定の範囲の値に応じて更新する。これにより、便蓋と便座の干渉を考慮した設計を行うことができる。
【0093】
更新手順は、部材として、はね上げ式のてすりを備えた便器に関するBIMデータの属性情報に含まれるパラメータであって、はね上げ式のてすりの角度を決定するパラメータを、ユーザによって入力された所定の範囲の値に応じて更新する。このように、はね上げ式のてすりのような便器と一体化していない部材であっても、干渉を考慮した設計を行うことができる。
【0094】
また、実施形態の設計支援プログラムは、便器だけでなく、可動式のベッド、フィッティングボード等の所定の軸を中心に回転し、回転の途中で他の設備と干渉する可能性のある設備に適用することができる。
【0095】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0096】
N ネットワーク
1 設計支援システム
10 サーバ
11、21 通信部
12、24 記憶部
13、25 制御部
20 端末装置
22 入力部
23 表示部
50 便器
51 便蓋
51a、52a 角度
52 便座
121、241 形状情報
122、242 属性情報
131 格納部
132 提供部
231 プロパティウィンドウ
232 描画領域
243 アプリケーション情報
251 取得部
252 表示制御部
253 更新部
511、521 軸