(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049087
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】BIMデータ及び設計支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/18 20200101AFI20230403BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20230403BHJP
G06F 30/13 20200101ALI20230403BHJP
E03C 1/00 20060101ALI20230403BHJP
G06F 113/14 20200101ALN20230403BHJP
【FI】
G06F30/18
G06F30/12
G06F30/13
E03C1/00
G06F113:14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158625
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 義之
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 香織
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅大
【テーマコード(参考)】
2D060
5B146
【Fターム(参考)】
2D060AA00
2D060AB03
5B146AA04
5B146DE06
5B146DG02
5B146DG04
5B146DL08
5B146EC04
(57)【要約】
【課題】コンピュータを使った建築物の設計において、ユーザによる直感的な操作に応じて必要な部材の品番を知らせること。
【解決手段】BIMアプリケーションを実行する端末装置は、建物に設置される設備に関するBIMデータの属性情報に含まれるパラメータであって、建物と設備との接続位置を決定するパラメータを、ユーザによって入力された値に応じて更新する。また、端末装置は、属性情報に含まれるパラメータであって、接続位置に応じた部材の品番を決定するパラメータを、接続位置を決定するパラメータに応じて更新する。また、端末装置は、更新された接続位置を決定するパラメータを反映させた設備の3次元形状を、BIMデータに含まれる形状情報に従って、表示部に表示させる。また、端末装置は、更新された部材の品番を決定するパラメータが示す品番に関する情報を表示部に表示させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置される設備に関するBIMデータであって、
ユーザの操作によって変更可能なパラメータであって、前記建物と前記設備との接続位置を決定するパラメータと、前記接続位置を決定するパラメータに応じて変化するパラメータであって、前記接続位置に応じた部材の品番を決定するパラメータと、を含む属性情報と、
前記パラメータを反映させた前記設備の3次元形状を表示するための形状情報と、
を有することを特徴とするBIMデータ。
【請求項2】
コンピュータに、
建物に設置される設備に関するBIMデータの属性情報に含まれるパラメータであって、前記建物と前記設備との接続位置を決定するパラメータを、ユーザによって入力された値に応じて更新する第1の更新手順と、
前記属性情報に含まれるパラメータであって、前記接続位置に応じた部材の品番を決定するパラメータを、前記接続位置を決定するパラメータに応じて更新する第2の更新手順と、
前記第1の更新手順において更新された前記接続位置を決定するパラメータを反映させた前記設備の3次元形状を、前記BIMデータに含まれる形状情報に従って、表示部に表示させる第1の表示制御手順と、
前記第2の更新手順において更新された前記部材の品番を決定するパラメータが示す品番に関する情報を前記表示部に表示させる第2の表示制御手順と、
を実行させることを特徴とする設計支援プログラム。
【請求項3】
前記第1の更新手順は、前記建物に設置される便器の給水位置を前記接続位置として決定するパラメータを、ユーザによって入力された値に応じて更新し、
前記第2の更新手順は、前記部材である給水ホースの品番を決定するパラメータを、前記接続位置を決定するパラメータに応じて更新することを特徴とする請求項2に記載の設計支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BIMデータ及び設計支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建設業界において、業務のICT(Information and Communication Technology)化による生産性の向上を目的として、BIM(Building Information Modelling)の導入が進められている。
【0003】
BIMは、建築物を構成するオブジェクトについて、形状情報に加えて、名称、寸法、材料、部材の仕様、性能といった属性情報を持ったモデルを構築する手法である。
【0004】
なお、オブジェクトは、例えば壁及び設備のような建築要素に相当する。また、形状情報は、例えばCAD(Computer Aided Design)データに相当する。
【0005】
従来、コンピュータを使った建築物の設計を支援するための技術が提案されている。なお、BIMを使った設計は、コンピュータを使った建築物の設計の一例である。
【0006】
例えば、特許文献1には、BIMを用いた手洗いカウンターの設計において、設置スペースとボウルの許容数に応じてモデルの形状変更を制限する技術が開示されている。特許文献1に開示された技術によれば、設計における手戻りが抑止される。
【0007】
例えば、特許文献2には、水回り器具と継手部材に基づいて必要な配管部材の種類と数量を算出する水道配管の見積りシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-5264号公報
【特許文献2】特開2005-284722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の技術では、コンピュータを使った建築物の設計において、ユーザによる直感的な操作に応じて必要な部材の品番を知らせることができない場合がある。
【0010】
例えば、特許文献1に記載の技術は、品番をユーザに通知するものではない。また、特許文献2に記載の技術では、品番を知るためにユーザは詳細な条件を入力する必要があり、直感的ではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の一態様に係るBIMデータは、建物に設置される設備に関するBIMデータであって、ユーザの操作によって変更可能なパラメータであって、前記建物と前記設備との接続位置を決定するパラメータと、前記接続位置を決定するパラメータに応じて変化するパラメータであって、前記接続位置に応じた部材の品番を決定するパラメータと、を含む属性情報と、前記パラメータを反映させた前記設備の3次元形状を表示するための形状情報と、を有する。
【0012】
実施形態の一態様に係る設計支援プログラムは、コンピュータに、建物に設置される設備に関するBIMデータの属性情報に含まれるパラメータであって、前記建物と前記設備との接続位置を決定するパラメータを、ユーザによって入力された値に応じて更新する第1の更新手順と、前記属性情報に含まれるパラメータであって、前記接続位置に応じた部材の品番を決定するパラメータを、前記接続位置を決定するパラメータに応じて更新する第2の更新手順と、前記第1の更新手順において更新された前記接続位置を決定するパラメータを反映させた前記設備の3次元形状を、前記BIMデータに含まれる形状情報に従って、表示部に表示させる第1の表示制御手順と、前記第2の更新手順において更新された前記部材の品番を決定するパラメータが示す品番に関する情報を前記表示部に表示させる第2の表示制御手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
実施形態の一態様によれば、コンピュータを使った建築物の設計において、ユーザによる直感的な操作に応じて必要な部材の品番を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係る設計支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るサーバの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、BIMアプリケーションの実行画面の例を示す図である。
【
図6】
図6は、給水位置及び給水ホースの品番に関するパラメータを説明する図である。
【
図7】
図7は、給水位置に応じた給水ホースの長さに関する情報の例を説明する図である。
【
図8】
図8は、給水ホースに関する情報の例を示す図である。
【
図9】
図9は、設計支援処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願に係るBIMデータ及び設計支援プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0016】
まず、
図1を用いて、実施形態に係る設計支援システムの構成について説明する。
図1は、実施形態に係る設計支援システムの構成例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、設計支援システム1は、サーバ10及び端末装置20を有する。サーバ10及び端末装置20の数は、
図1に示すものに限られない。
【0018】
また、サーバ10と端末装置20は、ネットワークNを介して接続されている。ネットワークNは、例えばインターネットである。
【0019】
サーバ10は、端末装置20にBIMデータを提供する。また、端末装置20は、サーバ10から取得したBIMデータを用いて、BIMアプリケーションを実行する。端末装置20は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット型端末等である。
【0020】
BIMアプリケーションは、BIMを用いて建築物の設計を行うためのアプリケーションである。例えば、BIMアプリケーションは、Autodesk(登録商標)社のRevit(登録商標)である。
【0021】
BIMデータは、BIMアプリケーションにおいてBIMパーツを構築するためのデータである。BIMデータには、BIMパーツの3次元形状を表示するための形状情報及びパラメータの集合である属性情報が含まれる。
【0022】
BIMパーツは、建築物のBIMモデルに配置される建築要素ごとに作成されるものであってもよい。
【0023】
図1に示すように、端末装置20は、開発者又は設計者によって操作される。
【0024】
例えば、開発者は、設備機器メーカに所属し、端末装置20にインストールされたBIMアプリケーションを用いて、設備機器に関するBIMデータを作成する。
【0025】
また、例えば、設計者は、設計事務所及び建設会社等に所属し、端末装置20にインストールされたBIMアプリケーションを用いて、建築物の設計を行う。例えば、設計者は、BIMデータから構築したBIMパーツを、建築物のBIMモデルに配置する操作を行う。
【0026】
図2を用いて、サーバ10の構成を説明する。
図2は、実施形態に係るサーバの構成例を示す図である。
【0027】
図2に示すように、サーバ10は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。
【0028】
通信部11は、ネットワークを介して、他の装置との間でデータ通信を行う。例えば、通信部11はNIC(Network Interface Card)である。
【0029】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、光ディスク等の記憶装置、又は、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリである。
【0030】
記憶部12は、サーバ10で実行されるOS(Operating System)及び各種プログラムを記憶する。記憶部12は、形状情報121及び属性情報122を記憶する。
【0031】
形状情報121及び属性情報122はBIMデータに含まれる。
図3を用いて、BIMデータについて説明する。
図3は、BIMデータを説明する図である。
【0032】
図3の例では、BIMデータの形状情報121は、便器の3次元形状を表示するための情報である。例えば、形状情報121は3DCADデータである。また、
図3の例では、BIMデータの属性情報122は、便器に関するパラメータの集合である。
【0033】
また、属性情報122は、パラメータの名称と値を含む。例えば、
図3には、パラメータ「給水単位」の値が「5.000000」であることが示されている。
【0034】
制御部13は、サーバ10全体を制御する。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により実現される。
【0035】
制御部13は、プログラムを実行することで、例えば格納部131及び提供部132として機能する。
【0036】
格納部131は、形状情報121及び属性情報122を記憶部12に格納する。例えば、格納部131は、端末装置20を介して開発者によって提供されたBIMデータを、形状情報121及び属性情報122として記憶部12に格納する。
【0037】
提供部132は、形状情報121及び属性情報122を端末装置20に提供する。例えば、Webサイトを介してサーバ10に対してBIMデータのダウンロードの要求があった場合、提供部132は、形状情報121及び属性情報122をBIMデータとして提供する。
【0038】
図4を用いて、端末装置20の構成を説明する。
図4は、実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
【0039】
図4に示すように、端末装置20は、通信部21、入力部22、表示部23、記憶部24及び制御部25を有する。
【0040】
通信部21は、ネットワークを介して、他の装置との間でデータ通信を行う。例えば、通信部11はNICである。
【0041】
入力部22は、ユーザからのデータの入力を受け付ける。例えば、入力部22は、マウス及びキーボード等の入力装置である。なお、以降の説明において特に説明がない場合、ユーザは設計者を意味するものとする。
【0042】
表示部23は、画面を表示する。例えば、表示部23は、ディスプレイ等の表示装置である。
【0043】
記憶部24は、HDD、光ディスク等の記憶装置、又は、SSD、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリである。
【0044】
記憶部24は、端末装置20で実行されるOS及び各種プログラムを記憶する。記憶部24は、形状情報241、属性情報242及びアプリケーション情報243を記憶する。
【0045】
形状情報241及び属性情報242は、サーバ10から提供されたBIMデータに含まれる。
【0046】
アプリケーション情報243は、BIMアプリケーションを実行するための情報である。例えば、アプリケーション情報243は、端末装置20においてBIMアプリケーションを実行するためのファイルの集合である。
【0047】
図5は、BIMアプリケーションの実行画面の例を示す図である。
図5に示すように、表示部23に表示されるBIMアプリケーションの実行画面には、プロパティウィンドウ231及び描画領域232が含まれる。
【0048】
プロパティウィンドウ231は、BIMパーツに関する属性情報242の表示及び変更を行うためのウィンドウである。また、描画領域232は、形状情報241に従って、BIMパーツの3次元形状の投影図が描画される領域である。
【0049】
ここで、実施形態におけるBIMデータは、便器に関するBIMデータであるものとする。また、BIMデータは、形状情報241及び属性情報242を含む。
【0050】
属性情報242は、ユーザの操作によって変更可能なパラメータであって、便器の給水位置を決定するパラメータを含む。形状情報241は、パラメータを反映させた便器の3次元形状を表示するための情報である。例えば、形状情報241は3DCADデータである。
【0051】
図6は、給水位置及び給水ホースの品番に関するパラメータを説明する図である。
図6の「給水距離」及び「給水左右」は、給水位置に関するパラメータである。
【0052】
パラメータ「給水距離」は、3次元形状における建物側の給水位置と便器側の給水位置との間の距離に相当する。なお、建物側の給水位置と便器側の給水位置との間の距離は、水平距離及び垂直距離を含む3次元の各成分に対応するパラメータにより決定されるものであってもよい。
【0053】
パラメータ「給水左右」は、便器が左給水であるか右給水であるかを決定するパラメータである。
【0054】
パラメータ「給水距離」及び「給水左右」は、設計者が変更可能であるものとする。
【0055】
パラメータ「給水ホース品番:標準ホース」、「給水ホース品番:TN111L86」、「給水ホース品番:TN111L552」、「給水ホース品番:TN111L45」、「給水ホース品番:TN111L40」、「給水ホース品番:TN111L37」は、各品番の給水ホースが、給水位置に対して適切であるか否かを示す。以降の説明では、これのパラメータを各品番のパラメータと呼ぶ場合がある。
【0056】
各品番のパラメータの値が「はい」であることは、当該品番に対応する給水ホースが給水位置に対して適切であることを意味する。一方、各品番のパラメータの値が「いいえ」であることは、当該品番に対応する給水ホースが給水位置に対して適切でないことを意味する。
【0057】
なお、各品番のパラメータの値は、「はい/いいえ」に限られず、適切か否かを二値で表現できるものであればよく、例えば「1/0」及び「TRUE/FALSE」等であってもよい。
【0058】
また、適切な品番を表現するためのパラメータは、実施形態のように品番ごとに用意されたものではなく、給水位置に応じた適切な品番を値として持つようなものであってもよい。
【0059】
図6には、品番が「TN111L45」の給水ホースが適切であり、他の給水ホースが適切でないことが示されている。
【0060】
パラメータ「給水距離」及び「給水位置」の値は、開発者によって決定された固定値であってもよいし、設計者によって手動で入力された値であってもよいし、式に従って動的に決定される値であってもよい。
【0061】
ここで、
図7に示すような、給水位置に応じた適切な給水ホースを特定するための情報が、メーカ等により提供される場合がある。
図7は、給水位置に応じた給水ホースの長さに関する情報の例を説明する図である。
【0062】
また、
図8に示すように、給水ホースの品番ごとに長さ及び給水位置(止水栓取付範囲)が規定されている場合がある。
図8は、給水ホースに関する情報の例を示す図である。
【0063】
図6の各品番のパラメータの式は、
図7及び
図8に示すような適切な給水ホースを選択するための情報を表現したものである。
【0064】
例えば、パラメータ「給水ホース品番: 標準」の式「=IF(OR(AND(給水左右="左給水", 550≦給水距離<700), AND(給水左右="右給水", 350≦給水距離<500)))」は、パラメータ「給水左右」の値が「左給水」かつパラメータ「給水距離」の値が550以上700未満である場合、又はパラメータ「給水左右」の値が「右給水」かつパラメータ「給水距離」の値が350以上5000未満である場合に、パラメータ「給水ホース品番: 標準」の値は「はい」となり、そうでない場合は「いいえ」となることを意味している。
【0065】
制御部25は、端末装置20全体を制御する。制御部25は、例えば、CPU、MPU、GPU、ASIC、FPGA等により実現される。
【0066】
制御部25は、取得部251、表示制御部252及び更新部253として機能する。また、取得部251、表示制御部252及び更新部253は、設計支援プログラムを実行する。
【0067】
なお、設計支援プログラムは、BIMアプリケーションの1つの機能として実現されてもよい。また、設計支援プログラムは、BIMアプリケーションのアドインプログラムであってもよい。
【0068】
取得部251は、サーバ10からBIMデータを取得する。取得部251は、取得したBIMデータを形状情報241及び属性情報242として記憶部24に格納する。
【0069】
表示制御部252は、第1の表示制御手順及び第2の表示制御手順を実行する。また、更新部253は、第1の更新手順及び第2の更新手順を実行する。
【0070】
表示制御部252は、形状情報241に基づき、BIMパーツである便器の3次元形状の投影図を描画領域232に表示させる。また、表示制御部252は、属性情報242に基づき、BIMパーツである便器の各パラメータの情報をプロパティウィンドウ231に表示させる。
【0071】
ここで、更新部253は、建物に設置される設備に関するBIMデータの属性情報242に含まれるパラメータであって、建物と設備との接続位置を決定するパラメータを、ユーザによって入力された値に応じて更新する。
【0072】
また、更新部253は、属性情報242に含まれるパラメータであって、接続位置に応じた部材の品番を決定するパラメータを、接続位置を決定するパラメータに応じて更新する。
【0073】
実施形態において、設備は便器に相当する。また、接続位置は便器の給水位置に相当する。また、パラメータ「給水距離」及びパラメータ「給水左右」は、建物と設備との接続位置を決定するパラメータの例である。また、各品番のパラメータは、接続位置に応じた部材の品番を決定するパラメータの例である。
【0074】
すなわち、更新部253は、建物に設置される便器の給水位置を接続位置として決定するパラメータを、ユーザによって入力された値に応じて更新する。また、更新部253は、部材である給水ホースの品番を決定するパラメータを、接続位置を決定するパラメータに応じて更新する。
【0075】
表示制御部252は、更新部253によって更新された接続位置を決定するパラメータを反映させた設備の3次元形状を、BIMデータに含まれる形状情報241に従って、表示部23に表示させる。
【0076】
また、表示制御部252は、更新部253によって更新された部材の品番を決定するパラメータが示す品番に関する情報を表示部23に表示させる。
【0077】
表示制御部252は、各品番のパラメータの値が「はい」であるか「いいえ」であるかを、プロパティウィンドウ231に表示させる。これにより、ユーザはプロパティウィンドウ231を見て適切な給水ホースの品番を把握することができる。
【0078】
なお、表示制御部252は、適切な給水ホースの品番を、プロパティウィンドウ231を介さずに通知してもよい。
【0079】
例えば、表示制御部252は、ポップアップメッセージの表示、画面上の図形及びテキストの色の変化等により通知を行ってもよい。
【0080】
さらに、端末装置20は、適切な給水ホースの品番を音声により通知してもよい。
【0081】
(変形例)
表示制御部252は、
図7のような、接続位置と給水ホースの品番との関係を示した画像を、描画領域232に表示させてもよい。その際、例えば、表示制御部252は、配置された便器に対し、画像を透過させて重畳表示してもよい。
【0082】
また、
図6の例では、属性情報242の各品番のパラメータは、各品番の給水ホースが接続位置に対して適切であるか否かを表す情報を値として持っている。一方で、属性情報242には、各品番の給水ホースの詳細な情報を示すパラメータが含まれていてもよい。
【0083】
例えば、属性情報242には、各品番の給水ホースの詳細が記載されたWebサイトのURLを示すパラメータ、又は各品番の給水ホースに対応する給水距離の範囲を示すパラメータ等が含まれていてもよい。
【0084】
図9は、設計支援処理の流れを示すフローチャートである。端末装置20は、設計支援プログラムにより設計支援処理を実行することができる。
【0085】
まず、端末装置20は、サーバ10からBIMデータを取得する(ステップS101)。次に、端末装置20は、BIMアプリケーションを起動する(ステップS102)。
【0086】
続いて、端末装置20は、BIMデータに従って便器の3次元形状を表示する(ステップS103)。
【0087】
ここで、端末装置20は、設定済みの給水位置から判定された給水ホースの品番を表示する(ステップS104)。なお、給水位置は、前述のパラメータ「給水距離」及び「給水左右」により特定される。
【0088】
その後、端末装置20は、ユーザが便器の給水位置の値を変更するまで(ステップS105、No)、3次元形状を表示し続け待機する(ステップS103)。
【0089】
端末装置20は、ユーザが給水位置を変更した場合(ステップS105、Yes)、変更後の値に従ってBIMデータを更新する(ステップS106)。その後、端末装置20は、ステップS103に戻る。
【0090】
これにより、ユーザによる給水位置の変更に応じて、表示される給水ホースの品番が切り替えられる。
【0091】
これまで説明してきたように、BIMデータは、建物に設置される設備に関するBIMデータであって、ユーザの操作によって変更可能なパラメータであって、建物と設備との接続位置を決定するパラメータと、接続位置を決定するパラメータに応じて変化するパラメータであって、接続位置に応じた部材の品番を決定するパラメータと、を含む属性情報と、パラメータを反映させた設備の3次元形状を表示するための形状情報と、を有する。
【0092】
このように、BIMデータからは、設備の接続位置に関するパラメータに応じた、適切な部材の品番を得ることができる。その結果、実施形態によれば、コンピュータを使った建築物の設計において、ユーザによる直感的な操作に応じて必要な部材の品番を知らせることができる。
【0093】
設計支援プログラムは、コンピュータに、建物に設置される設備に関するBIMデータの属性情報に含まれるパラメータであって、建物と設備との接続位置を決定するパラメータを、ユーザによって入力された値に応じて更新する第1の更新手順と、属性情報に含まれるパラメータであって、接続位置に応じた部材の品番を決定するパラメータを、接続位置を決定するパラメータに応じて更新する第2の更新手順と、第1の更新手順において更新された接続位置を決定するパラメータを反映させた設備の3次元形状を、BIMデータに含まれる形状情報に従って、表示部に表示させる第1の表示制御手順と、第2の更新手順において更新された部材の品番を決定するパラメータが示す品番に関する情報を表示部に表示させる第2の表示制御手順と、を実行させる。
【0094】
このように、設計支援プログラムによれば、設備の接続位置に関するパラメータに応じた、適切な部材の品番を得ることができる。その結果、実施形態によれば、コンピュータを使った建築物の設計において、ユーザによる直感的な操作に応じて必要な部材の品番を知らせることができる。
【0095】
第1の更新手順は、建物に設置される便器の給水位置を接続位置として決定するパラメータを、ユーザによって入力された値に応じて更新し、第2の更新手順は、部材である給水ホースの品番を決定するパラメータを、接続位置を決定するパラメータに応じて更新する。これにより、コンピュータを使った建築物の設計において、便器の給水位置に応じてた適切な給水ホースの品番をユーザに知らせることができる。
【0096】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0097】
N ネットワーク
1 設計支援システム
10 サーバ
11、21 通信部
12、24 記憶部
13、25 制御部
20 端末装置
22 入力部
23 表示部
121、241 形状情報
122、242 属性情報
131 格納部
132 提供部
231 プロパティウィンドウ
232 描画領域
243 アプリケーション情報
251 取得部
252 表示制御部
253 更新部