(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049123
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】裁縫用クリップ
(51)【国際特許分類】
A41H 15/00 20060101AFI20230403BHJP
A44B 99/00 20100101ALN20230403BHJP
【FI】
A41H15/00 Z
A44B99/00 611B
A44B99/00 611C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158679
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】520227891
【氏名又は名称】株式会社オクト
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】山田 剛
(57)【要約】
【課題】薄手部と厚手部とが連続する生地等を確実に挟持できる裁縫用クリップを提供する。
【解決手段】本発明は、前部を挟持部11,21とし、後部を摘み部15,25とする上下両クリップ片1,2における前後方向の中間部同士が揺動自在に枢着されて、その揺動によって上下の両挟持部11,21が開閉する一方、両挟持部11,21を閉合する方向に付勢する付勢手段が設けられ、その付勢手段の付勢力に抗して、上下の両摘み部15,25を摘み操作することによって両挟持部11,21が拡開するように構成された裁縫用クリップCを対象とする。上下両クリップ片1,2のうち、下側クリップ片1の一側縁部に一側連結手段41が設けられるとともに、他側縁部に他側連結手段42が設けられ、一側連結手段41が、他の裁縫用クリップCにおける他側連結手段42に着脱自在に連結可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部を挟持部とし、後部を摘み部とする上下両クリップ片における前後方向の中間部同士が揺動自在に枢着されて、その揺動によって上下の両挟持部が開閉する一方、両挟持部を閉合する方向に付勢する付勢手段が設けられ、その付勢手段の付勢力に抗して、上下の両摘み部を摘み操作することによって両挟持部が拡開するように構成された裁縫用クリップであって、
上下両クリップ片のうち、下側クリップ片の一側縁部に一側連結手段が設けられるとともに、他側縁部に他側連結手段が設けられ、
前記一側連結手段が、他の裁縫用クリップにおける他側連結手段に着脱自在に連結可能に構成されていることを特徴とする裁縫用クリップ。
【請求項2】
上側クリップの上面におけるクリップ前端位置から後方に所定の間隔をおいた位置に、目盛りとして機能する横筋部が側方に延びるように設けられている請求項1に記載の裁縫用クリップ。
【請求項3】
上下の両挟持部のうち、上側挟持部の前端部が下方に屈曲されて、その下方屈曲部と、下側挟持部の上面との間に、挟持対象部材が挟持されるように構成され、
前記下側挟持部の上面が平坦面に形成されるとともに、前記下方屈曲部の外周面が断面円弧状に形成されている請求項1または2に記載の裁縫用クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、裁縫時に縫い合わせる生地等を仮止めする際等に用いられる裁縫用クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
裁縫や手芸において、生地等の素材を仮止めする際の仮止め用のツールとして、まち針が周知であるが、まち針は素材に穴が開いてしまったり、皮等の硬い素材では確実に固定することが困難となる。そこで近年において、裁縫時の仮止めツールとして裁縫用クリップが注目されている。
【0003】
下記特許文献1に示すように一般的な裁縫用クリップは、上下一対のクリップ片を備え、上下両クリップ片の中間部同士が揺動自在に枢着されて、その揺動によって両クリップ片の前部(挟持部)同士が開閉できるように構成されている。さらにバネによって両クリップ片の両挟持部に閉合力(挟持力)が付与されており、そのバネ力に抗して両クリップ片の後部(摘み部)を摘むことよって両挟持部が拡開されるように構成されている。そしてその拡開状態で両挟持部間に挟持対象部材としての生地等を配置して、摘み操作を解除すれば、バネ力によって生地が両挟持部によって挟持されて仮止めできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで裁縫時において、厚さが異なる部分を連続して縫合するような場合、例えば生地の薄い部分(薄手部)から厚い部分(厚手部)にかけて縫合するような場合に、薄手部と厚手部との段差部を確実に挟持できれば、薄手部から厚手部にかけて巧みに縫合できて、見た目の良い仕上がり具合を得ることができる。
【0006】
しかしながら、上記従来の裁縫用クリップにおいては、生地の薄手部および厚手部間の段差部と、その段差部近傍の薄手部および厚手部とを含む領域(段差部周辺)を挟持した場合、厚手部は所望の強度で挟持できるものの、薄手部は十分な強度で挟持できず、位置ずれ等が生じて、スムーズに縫合できないという課題があった。
【0007】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、薄手部と厚手部とが連続して設けられた生地等の挟持対象部材に対し、薄手部および厚手部間の段差部周辺を確実に挟持することができる裁縫用クリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0009】
[1]前部を挟持部とし、後部を摘み部とする上下両クリップ片における前後方向の中間部同士が揺動自在に枢着されて、その揺動によって上下の両挟持部が開閉する一方、両挟持部を閉合する方向に付勢する付勢手段が設けられ、その付勢手段の付勢力に抗して、上下の両摘み部を摘み操作することによって両挟持部が拡開するように構成された裁縫用クリップであって、
上下両クリップ片のうち、下側クリップ片の一側縁部に一側連結手段が設けられるとともに、他側縁部に他側連結手段が設けられ、
前記一側連結手段が、他の裁縫用クリップにおける他側連結手段に着脱自在に連結可能に構成されていることを特徴とする裁縫用クリップ。
【0010】
[2]上側クリップの上面におけるクリップ前端位置から後方に所定の間隔をおいた位置に、目盛りとして機能する横筋部が側方に延びるように設けられている前項1に記載の裁縫用クリップ。
【0011】
[3]上下の両挟持部のうち、上側挟持部の前端部が下方に屈曲されて、その下方屈曲部と、下側挟持部の上面との間に、挟持対象部材が挟持されるように構成され、
前記下側挟持部の上面が平坦面に形成されるとともに、前記下方屈曲部の外周面が断面円弧状に形成されている前項1または2に記載の裁縫用クリップ。
【発明の効果】
【0012】
発明[1]の裁縫用クリップによれば、クリップ片の一側縁部および他側縁部に一側連結手段および他側連結手段を設けているため、一側連結手段を他の裁縫用クリップの他側連結手段に連結することによって、他の裁縫用クリップを横並び状態に連結することができる。このため薄手部と厚手部とが連続して設けられた生地等の挟持対象部材における薄手部および厚手部間の段差部周辺を挟持するに際して、連結した2つの裁縫用クリップのうち、一方側の裁縫用クリップによって段差部よりも一方側の部分、例えば薄手部を挟持するとともに、他方側の裁縫用クリップによって段差部よりも他方側の部分、例えば厚手部を挟持することによって、段差部周辺を隙間なく確実に挟持することができる。その結果例えば生地等の段差部の一方側から他方側の部分にかけて連続してスムーズに縫合することができる。
【0013】
発明[2]の裁縫用クリップによれば、上側クリップ片の上面に目盛りとしての横筋部が設けられているため、生地等を挟持する際に例えば、横筋部の位置を生地等の端に一致させてクリップ前端位置を縫合位置とすれば、モノサシ等を用いずに所定の幅の縫い代で縫合することができる。
【0014】
発明[3]の裁縫用クリップによれば、下側挟持部の上面を平坦に形成するとともに、上側挟持部の前端部に、外周断面が円弧状の下方屈曲部を形成しているため、生地等の厚さにかかわらず、下方屈曲部を生地に圧接できて生地等を安定状態に挟持できるとともに、平坦な下側挟持部に沿って生地等を平面状に真っ直ぐに配置できて、縫合作業等をより一層効率良くスムーズに行うことができ、より一層利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1はこの発明の実施形態である裁縫用クリップを示す斜視図である。
【
図2】
図2は実施形態の裁縫用クリップの使用状態を示す側面図である。
【
図3】
図3は実施形態の裁縫用クリップを示す側面断面図である。
【
図4】
図4は実施形態の裁縫用クリップを示す底面図である。
【
図5】
図5は連結された裁縫用クリップによって生地を挟持した状態の斜視図である。
【
図6】
図6は連結された裁縫用クリップを示す底面図である。
【
図7】
図7は連結された裁縫用クリップによって段差部付きの生地を挟持した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図4はこの発明の実施形態である裁縫用クリップCを説明するための図である。なお、以下の説明においては、発明の理解を容易にするため、
図2および
図3の紙面に向かって左側を前側(先端側)とし、右側を後側(基端側)として説明し、両図の紙面に向かって垂直方向を側方(左右方向)として説明する。
【0017】
図1~
図4に示すように本実施形態の裁縫用クリップCは、硬質合成樹脂の一体成形品によって構成された上下一対のクリップ片1,2を備えている。
【0018】
上下両クリップ片1,2のうち、下側のクリップ片1は、底面(下面)側が平坦に形成されており、その下側クリップ片1の上面側における前後方向の中間部に上方突出状に下側枢着部10が形成されている。さらに下側クリップ片1の前部側は、上面側が平坦な下側挟持部11として構成されるとともに、後部側は下側摘み部15として構成されている。
【0019】
上側のクリップ片2の下面側における前後方向の中間部には、上記下側クリップ片1の下側枢着部10に対応して、下方突出状に上側枢着部20が形成されている。この上側クリップ片2の前部側は上側挟持部21として構成されるとともに、後部側は上側摘み部25として構成されている。さらに上側挟持部21の前端部は、下方に屈曲するように形成されており、
図2および
図3に示すようにその下方屈曲部22の下側外周縁部は断面円弧状に形成されている。
【0020】
そして両クリップ片1,2の枢着部10,20同士が枢着されて、上側クリップ片2が下側クリップ片1に対し揺動自在に構成されている。さらにこの揺動によって、両挟持部11,21が開閉するように構成されている。言うまでもなくこの揺動において、両挟持部11,21が閉合した際には両摘み部15,25が拡開し、両挟持部11,21が拡開した際には両摘み部15,25が閉合するようになっている。
【0021】
図3に示すように枢着部10,20の外周には、付勢手段として、略コ字状の板バネによって構成される挟持バネ3が設けられている。この挟持バネ3は、上下両挟持部11,21を上下から挟み込むように設置されている。これにより両挟持部11,21は、挟持バネ3の付勢力によって閉合する方向に付勢されており、その付勢力に抗して摘み部15,25を閉合する方向に摘み操作すると、両挟持部11,21が拡開するように構成されている。従って拡開した両挟持部11,21間に生地5等の挟持対象部材を介在した状態で、両摘み部15,25への摘み操作を解除すると
図2に示すように、両挟持部11,21が挟持バネ3の付勢力によって生地5を挟持できるように構成されている。
【0022】
また
図4に示すように本実施形態の裁縫用クリップCにおいて、下側クリップ片1の一側縁部には、一側方に向けて突出する連結凸部41が一体に形成されている。この連結凸部41は、平面視(底面視)において、突出方向側の端部の幅寸法が大きく先太形状、いわゆる蟻型形状(鳩の尾形状)に形成されている。本実施形態においては、連結凸部41が一側連結手段として構成されている。
【0023】
さらに下側クリップ片1の他側縁部には、他側方に向けて開口し、かつ上下方向に貫通して上下共に開口する連結凹部42が一体に形成されている。この連結凹部42は、平面視(底面視)において、上記連結凸部41に対応する蟻型形状(鳩の尾形状)に形成されており、換言すると開口方向側の端部の幅寸法が小さい先細形状に形成されている。
【0024】
本実施形態においては
図5および
図6に示すように、連結凸部41および連結凹部42によって、2つ以上の裁縫用クリップCを連結可能に構成されている。すなわち所定の裁縫用クリップCにおける連結凹部42にその上下開口部を介して上下いずれかの方向から、連結予定の他の裁縫用クリップCにおける連結凸部41を嵌め込むと、連結凹部42に連結凸部41が取り付けられて、2つの裁縫用クリップCが横並び状態に連結される。この連結状態においては、連結凸部41および連結凹部42が蟻型形状に形成されているため、連結凸部41が連結凹部42に対し側方への抜け止めが図られるように構成されている。
【0025】
この連結された複数の裁縫用クリップCにおいて、各下側クリップ片1の底面同士は全体として平坦面に形成されるように構成されている。さらに言うまでもなく、連結された複数の裁縫用クリップCにおいて、各上側クリップ片1は個々に揺動可能に構成されており、個々の裁縫用クリップCによって独立して挟持できるように構成されている。
【0026】
また本実施形態においては、連結凸部41を連結凹部42に対し上下いずれかの方向に抜き取ると、連結凹部42からその上下いずれかの開口部を介して連結凸部41が連結凹部42から抜け出して、裁縫用クリップC間の連結を解除できるように構成されている。
【0027】
なお、本実施形態においては、連結凸部41を連結凹部42にある程度、密な状態に篏め込むことができるように構成されており、連結凸部41の連結凹部42に対する連結が不用意に解除されることはなく、連結した裁縫用クリップCが意に反して分離してしまうような不具合を防止できるようになっている。
【0028】
また本実施形態の裁縫用クリップCにおいては、上側のクリップ片2の上面に、横方向(幅方向)に連続して延び、かつ断面山状(断面三角形状)の3本の横筋突起31~33が一体に形成されている。この横筋突起31~33は、前後方向に適宜間隔をおいて互いに平行に配置されており、最も前端の第1横筋突起31が、裁縫用クリップCの前端位置から5mmの位置に配置され、2番目の第2横筋突起32が、裁縫用クリップCの前端位置から7mmの位置に配置され、3番目の第3横筋突起33が、裁縫用クリップCの前端位置から10mmの位置に配置されている。
【0029】
この横筋突起31~33は、目盛りとして機能する横筋部を構成するものであり、例えば
図2に示すように生地5の端を第3横筋突起33に一致させて、裁縫用クリップCにより生地5を挟み込んだ状態では、裁縫用クリップCの前端位置が生地5の端から10mmの位置に配置されるため、裁縫用クリップCの前端に沿って縫合すれば、生地5の端から10mmの位置を正確に縫合することができる。つまりモノサシ等を使用せずに縫い代の幅を10mmに確実に設定することができる。同様に第1および第2横筋突起31,32を利用して、生地5の縫い代の幅を5mm、7mmに正確に設定することができる。
【0030】
以上のように構成された本実施形態の裁縫用クリップCにおいては、下側クリップ片1の一側縁部に連結凸部41、他側縁部に連結凹部42を形成しているため、連結凸部41を他の裁縫用クリップCの連結凹部42に着脱自在に連結することによって、他の裁縫用クリップCを横並び状態に連結することができる。このため
図7に示すように薄手部51と厚手部52とを有する生地5をその薄手部51から厚手部52にかけて連続して縫合するような場合、連結した2つの裁縫用クリップCを用いることによって、薄手部51および厚手部52間の境界に形成される段差部53と、その段差部近傍の薄手部51および厚手部52とを含む領域(段差部周辺)を確実に挟持することができる。すなわち連結した2つの裁縫用クリップCの隣接部を生地5の段差部53に対応させるようにして、一方側の裁縫用クリップCによって段差部53よりも一方側の部分、例えば薄手部51を挟持するとともに、他方側の裁縫用クリップCによって段差部53よりも他方側の部分、例えば厚手部52を挟持する。この挟持状態では、一方側および他方側の各クリップCは、薄手部51および厚手部52を個々に独立して挟持できるため、薄手部51および厚手部52を共に所望の強度で確実に挟持することができる。このように段差部周辺を確実に挟持できるため、薄手部51から段差部53を通って厚手部52にかけての領域をスムーズに縫合できて、満足な出来栄えの縫合生地に仕上げることができる。
【0031】
一方、本実施形態において、生地5を広範囲で一度に挟持したいような場合には
図5等に示すように、必要数の裁縫用クリップCを連結すれば、その連結された裁縫用クリップC群によって生地5を所望の広い範囲で一度に挟持することができる。さらに生地5を強い力で挟持したいような場合においても、所要数連結されたクリップC群によって挟持すれば、所望の強度で生地5を挟持することができる。
【0032】
また本実施形態の裁縫用クリップCにおいては不使用時に多数個収納するような場合
図6等に示すように、所要数ずつ裁縫用クリップCを連結しておき、その連結状態で収納するようにすれば、裁縫箱等の所定サイズの区画部(収納部)にコンパクトに並べて収納することができる。従って本実施形態においては、裁縫用クリップCが個々に乱雑に配置されることがなく、見た目も良く整然と効率良く収納できて、利便性を向上させることができる。
【0033】
また本実施形態においては、裁縫用クリップCの下側クリップ片1に設けられる連結凸部41は、下側クリップ片1の一側縁よりも内側に凹んだ位置に配置されるとともに、連結凹部42も同様に、下側クリップ片1の他側縁よりも内側に凹んだ位置に配置されている。これにより所定の裁縫用クリップCの連結凸部41を、他の裁縫用クリップCに連結した際には、所定のクリップCにおける下側クリップ片1の一側縁と、他のクリップCにおける下側クリップ片1の他側縁とが合致し、2つの裁縫用クリップCを隙間なく密接させた状態で見栄え良くコンパクトに連結することができる。
【0034】
また本実施形態の裁縫用クリップCにおいては、上側挟持部21の先端に、外周断面が円弧状の下方屈曲部22を形成するとともに、その下方屈曲部22に対向する下側挟持部11の上面を、平坦面に形成しているため、
図2の実線に示すように厚さが厚い生地5を挟持する場合であっても、同図想像線に示すように厚さが薄い生地5を挟持する場合であっても、下方屈曲部22を生地5に確実に圧接できて生地5を安定した状態に挟持することができる。その上さらに、下側挟持部11の上面が平坦な台座面として機能するため、挟持された生地5は、下側挟持部11の平坦な上面(台座面)に沿って平面状(断面直線状)に真っ直ぐに配置されるため、縫合作業等をより一層効率良くスムーズに行うことができ、一層利便性を向上させることができる。
【0035】
また本実施形態の裁縫用クリップCは、既述したように上側クリップ片2の上面に、目盛りとして機能する横筋突起31~33を形成しているため、縫い代をモノサシ無しで簡単に設定でき、より一層利便性を向上させることができる。しかも本実施形態において、横筋突起31~33は断面山状で先端に横筋線が表示されるため、視認し易く、横筋突起31~33の生地5に対する位置合わせ作業を簡単に行うことができ、縫合作業をより一層スムーズに行うことができる。
【0036】
なお、上記実施形態においては、本発明の裁縫用クリップによって生地5を挟持する場合を例に挙げて説明したが、挟持対象部材は生地だけに限られず、どのようなものを挟持しても良い。例えば革製品、紙製品、木質シート、プラスチックフィルム、金属フィルム等を挟持するようにしても良い。
【0037】
また上記実施形態においては、横筋部としての横筋突起31~33を断面山状に形成しているが、それだけに限られず、本発明においては横筋部を断面谷状の凹条溝によって形成するようにしても良い。
【0038】
また上記実施形態においては、横筋部を3本形成する場合を例に挙げて説明したが、本発明においては横筋部の本数は、限定されず、1本であっても、2本であっても、4本以上であっても良い。
【0039】
また本発明の裁縫用クリップは、使用用途も裁縫や手芸の仮止めに限られず、他の用途に使用するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明の裁縫用クリップは、裁縫時において挟持対象部材である生地等の素材を仮止めする際の仮止め用のツールとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0041】
1:下側クリップ片
11:下側挟持部
15:下側摘み部
2:上側クリップ片
21:上側挟持部
22:下方屈曲部
25:上側摘み部
3:挟持バネ(付勢手段)
31~33:横筋突起(横筋部)
41:連結凸部(一側連結手段)
42:連結凹部(他側連結手段)
5:生地(挟持対象部材)
C:裁縫用クリップ