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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049124
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】医療台
(51)【国際特許分類】
   A61G 13/12 20060101AFI20230403BHJP
   A61G 15/12 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A61G13/12 A
A61G15/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158680
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390022541
【氏名又は名称】アトムメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 智美
(72)【発明者】
【氏名】榎本 俊之
(72)【発明者】
【氏名】石田 裕暉
(72)【発明者】
【氏名】五島 啓吾
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341MM13
4C341MN14
4C341MS05
4C341MS24
(57)【要約】
【課題】必要な強度を確保しつつ小型化を図ることができる医療台を提供する。
【解決手段】分娩台1は、支持台3に対する支脚器6の回動位置を固定しかつ当該固定を解除可能なロック機構を備える。ロック機構は、ロック歯と、ロック歯を嵌合可能な複数の凹部を有する受け部とを有し、複数の凹部のうち一の凹部にロック歯を挿入し又は一の凹部からロック歯を抜くことにより、支持台3に対する支脚器6の回動位置を固定又は当該固定を解除可能に構成されており、ロック歯の挿入位置を一の凹部から他の凹部へと移動させることにより、支持台3に対する支脚器6の回動位置を変更可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者等の身体の一部分を支持する第1支持具と、
前記患者等の身体の他の部分を支持し、前記第1支持具に対して回動可能に構成された第2支持具と、
前記第1支持具に対する前記第2支持具の回動位置を固定しかつ当該固定を解除可能なロック機構とを備え、
前記ロック機構は、
前記第1支持具又は前記第2支持具の一方に設けられたロック歯と、
前記第1支持具又は前記第2支持具の他方に設けられ、前記ロック歯を嵌合可能な複数の凹部を有する受け部とを有し、
前記複数の凹部のうち一の凹部に前記ロック歯を挿入し又は前記一の凹部から前記ロック歯を抜くことにより、前記第1支持具に対する前記第2支持具の回動位置を固定又は当該固定を解除可能に構成されており、
前記ロック歯の挿入位置を前記一の凹部から前記複数の凹部における他の凹部へと移動させることにより、前記第1支持具に対する前記第2支持具の回動位置を変更可能に構成されていることを特徴とする医療台。
【請求項2】
前記複数の凹部は、第1方向に沿って配列されているとともに、前記ロック歯が挿抜される方向から見て前記第1方向に直交する第2方向に沿って複数列配置されており、
さらに各列を構成する前記凹部が、隣接する列を構成する前記凹部に対して、前記第1方向に沿ってずれて配置されており、
前記ロック歯は、前記第2方向に沿って複数配置されているとともに、前記複数の凹部に対してそれぞれ独立して挿抜可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の医療台。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記ロック歯又は前記受け部をこれらの嵌合方向に付勢する付勢部材をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の医療台。
【請求項4】
前記ロック機構は、
前記第2支持具に装着された第1シャフトと、
前記第1シャフトと並んで配置され、前記第1シャフトよりも短い第2シャフトと、
前記第2シャフトに連結され、前記第1シャフトの長手方向に沿って前記第2シャフトをスライド自在に支持するスライド部材と、
前記第1シャフトの先端側の部分であって前記第2シャフトが支持される位置よりも前記第1シャフトの先端側に配置され、前記スライド部材と係止可能に構成された係止部材とを有し、
前記第1シャフト及び前記第2シャフトの各先端部には、前記ロック歯又は前記凹部が接続されており、
前記付勢部材は、
前記第1シャフトに配置され、前記第1シャフトを前記嵌合方向に沿って付勢する第1付勢部材と、
前記スライド部材に配置され、前記スライド部材を前記嵌合方向に沿って付勢する第2付勢部材とを有していることを特徴とする請求項3に記載の医療台。
【請求項5】
前記第2付勢部材の先端部は、前記スライド部材の基端部に連結されているとともに、前記第2付勢部材の基端部は、前記第1シャフトの一部に連結されており、
前記第1シャフトを前記嵌合方向に移動させて前記ロック歯を前記凹部に嵌合させると前記第2付勢部材が収縮し、前記第1シャフトを前記嵌合方向とは反対方向に移動させて前記ロック歯を前記凹部から抜くと前記第2付勢部材が伸長するように構成されており、
前記第1シャフトを前記嵌合方向とは反対方向に移動させて前記ロック歯を前記凹部から抜いたとき、前記第2付勢部材には、前記嵌合方向に向けて前記スライド部材を付勢する付勢力と、前記嵌合方向とは反対方向に向けて前記第1シャフトを押す反発力とが働くように構成されており、
前記第1付勢部材の付勢力は、前記反発力より大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項4に記載の医療台。
【請求項6】
前記ロック歯を前記凹部に嵌合させたときの前記ロック歯と前記凹部との接触面は、前記嵌合方向に沿う仮想軸に対して傾斜していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の医療台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検診台、分娩台などの医療台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検診時や分娩時に使用される医療台として、患者等(検診者や妊婦等も含む。)の上半身を支える台板に対して脚部を支える支脚器を回動可能に構成された医療台が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に開示された医療台は、支脚器と台板との間に、ラックとピニオンとを組み合わせてなる回動装置が設けられており、操作桿によってラックを往復動させてピニオンを回転させることにより、支脚器を水平面内で回動させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-195018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば分娩時など、支脚器に大きな力が作用する場合がある。特許文献1に開示の医療台において、支脚器にそのような大きな力が作用した場合の影響を抑えるために、ラック及びピニオンの歯を大きくして必要な強度を確保することが考えられる。しかしながら、ラック及びピニオンの歯を大きくするとなるとラック及びピニオンのサイズも大きくなってしまうことから、結果として医療台全体の大型化を招きかねない。
【0005】
なお、この問題は、患者等の上半身を支える台板と脚部を支える支脚器とを備える医療台に限ったものではなく、例えば、患者等の背中を支える台板と腕部を支える上肢台とを備える医療台など、他の医療台である場合にも存在する。
【0006】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたもので、必要な強度を確保しつつ小型化を図ることができる医療台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の医療台は、患者等の身体の一部分を支持する第1支持具と、前記患者等の身体の他の部分を支持し、前記第1支持具に対して回動可能に構成された第2支持具と、前記第1支持具に対する前記第2支持具の回動位置を固定しかつ当該固定を解除可能なロック機構とを備え、前記ロック機構は、前記第1支持具又は前記第2支持具の一方に設けられたロック歯と、前記第1支持具又は前記第2支持具の他方に設けられ、前記ロック歯を嵌合可能な複数の凹部を有する受け部とを有し、前記複数の凹部のうち一の凹部に前記ロック歯を挿入し又は前記一の凹部から前記ロック歯を抜くことにより、前記第1支持具に対する前記第2支持具の回動位置を固定又は当該固定を解除可能に構成されており、前記ロック歯の挿入位置を前記一の凹部から前記複数の凹部における他の凹部へと移動させることにより、前記第1支持具に対する前記第2支持具の回動位置を変更可能に構成されている。
【0008】
この医療台は、従来のようなラック・ピニオン機構を採用せずに、ロック歯を凹部に嵌合させることによって必要な強度を確保するように構成しているので、医療台全体としての大型化を抑制できる。
【0009】
本発明の医療台において、前記複数の凹部は、第1方向に沿って配列されているとともに、前記ロック歯が挿抜される方向から見て前記第1方向に直交する第2方向に沿って複数列配置されており、さらに各列を構成する前記凹部が、隣接する列を構成する前記凹部に対して、前記第1方向に沿ってずれて配置されており、前記ロック歯は、前記第2方向に沿って複数配置されているとともに、前記複数の凹部に対してそれぞれ独立して挿抜可能に構成されている。
【0010】
例えば、複数の凹部が第1方向に沿って1列のみ配置されている場合において、ロック歯と凹部に嵌合させたときの強度を高めようとするとなると、ロック歯の歯の長さを長くしたり歯の幅(第1方向又は第2方向に沿った長さ)を大きくしたりすることが考えられる。その場合、ロック歯の大きさに合わせて凹部の深さや開口幅も大きくする必要があるが、隣り合う凹部の配置間隔は各凹部の深さや開口幅などによって影響を受けることから、凹部の深さや開口幅を大きくすると、隣り合う凹部の配置間隔を狭くすることが容易ではなくなり、第2支持具の回動位置を設計する際の自由度にも影響し得る可能性がある。
これに対して、本発明の医療台は、各列を構成する凹部が、隣接する列を構成する凹部に対して、第1方向に沿ってずれて配置されていることから、1列単位では隣り合う凹部の配置間隔をある程度広くしつつ、全列あわせて見たときの凹部の配置間隔を狭くすることが可能となる。その結果、第2支持具の回動位置を設計する際の自由度を高めることができる。
【0011】
本発明の医療台において、前記ロック機構は、前記ロック歯又は前記受け部をこれらの嵌合方向に付勢する付勢部材をさらに有する。
【0012】
この医療台は、付勢部材を備えているので、ロック歯と凹部とを嵌合させたときの嵌合強度を高めることができる。
【0013】
本発明の医療台において、前記ロック機構は、前記第2支持具に装着された第1シャフトと、前記第1シャフトと並んで配置され、前記第1シャフトよりも短い第2シャフトと、前記第2シャフトに連結され、前記第1シャフトの長手方向に沿って前記第2シャフトをスライド自在に支持するスライド部材と、前記第1シャフトの先端側の部分であって前記第2シャフトが支持される位置よりも前記第1シャフトの先端側に配置され、前記スライド部材と係止可能に構成された係止部材とを有し、前記第1シャフト及び前記第2シャフトの各先端部には、前記ロック歯又は前記凹部が接続されており、前記付勢部材は、前記第1シャフトに配置され、前記第1シャフトを前記嵌合方向に沿って付勢する第1付勢部材と、前記スライド部材に配置され、前記スライド部材を前記嵌合方向に沿って付勢する第2付勢部材とを有している。
【0014】
この医療台は、先端部にロック歯又は凹部が接続された2本のシャフト(第1シャフト及び第2シャフト)を備えているため、第1支持具に対する第2支持具の回動位置を変更する際に、第1シャフト及び第2シャフトのうち一方のシャフトの先端部に接続されたロック歯又は凹部は嵌合させた状態とし、他方のシャフトの先端部に接続されたロック歯又は凹部は嵌合が外れた状態(ロック歯が凹部に嵌合されていない状態)とすることができる。つまり、第1支持具に対して常に第2支持具を接続させた状態を維持しながら、第1支持具に対する第2支持具の回動位置を変更することができる。また、上記の構成からなるスライド部材、係止部材並びに第1付勢部材及び第2付勢部材を備えているため、第1シャフトの動きに合わせて第2シャフトをロック歯の挿抜方向に移動させることができる。
【0015】
本発明の医療台において、前記第2付勢部材の先端部は、前記スライド部材の基端部に連結されているとともに、前記第2付勢部材の基端部は、前記第1シャフトの一部に連結されており、前記第1シャフトを前記嵌合方向に移動させて前記ロック歯を前記凹部に嵌合させると前記第2付勢部材が収縮し、前記第1シャフトを前記嵌合方向とは反対方向に移動させて前記ロック歯を前記凹部から抜くと前記第2付勢部材が伸長するように構成されており、前記第1シャフトを前記嵌合方向とは反対方向に移動させて前記ロック歯を前記凹部から抜いたとき、前記第2付勢部材には、前記嵌合方向に向けて前記スライド部材を付勢する付勢力と、前記嵌合方向とは反対方向に向けて前記第1シャフトを押す反発力とが働くように構成されており、前記第1付勢部材の付勢力は、前記反発力より大きくなるように設定されている。
【0016】
同じ第1シャフトに第1付勢部材と第2付勢部材とが設けられているため、第1シャフトの先端部に設けられているロック歯又は凹部には、第1付勢部材による付勢力だけではなく、第2付勢部材によって嵌合方向とは反対方向に向けて第1シャフトを押す力(反発力)も作用することになるが、本発明の医療台は、第1付勢部材の付勢力がその反発力より大きくなるように設定されている。このため、第1シャフトの先端部に設けられたロック歯又は凹部には、嵌合方向に力が働くこととなり、ロック歯と凹部との確実な嵌合を実現できる。
【0017】
本発明の医療台において、前記ロック歯を前記凹部に嵌合させたときの前記ロック歯と前記凹部との接触面は、前記嵌合方向に沿う仮想軸に対して傾斜している。
【0018】
本発明の医療台は、ロック歯と凹部との接触面が傾斜している(勾配が付いている)ため、ロック歯を凹部に比較的容易に嵌合することができる。
【0019】
ロック歯と凹部との接触面に形成される傾斜について、傾斜角度が小さすぎると、ロック歯を凹部に嵌合しにくくなる。一方、傾斜角度が大きすぎると、例えば第1支持具又は第2支持具に対して嵌合方向とは異なる方向(嵌合方向に交差する方向)から外力が作用して、ロック歯と凹部との接触面に働く摩擦力を超える力がロック歯と凹部に働いてしまったときに、凹部からロック歯が意図せず外れてしまいかねない。このような観点から言えば、傾斜角度が0.5°以上20°以下に設定されていることが好ましく、1°以上10°以下に設定されていることがより好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の医療台によれば、必要な強度を確保しつつ小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態における医療台において、背板を水平にした状態を示す斜視図である。
図2図1に示す医療台の側面図である。
図3図1に示す医療台において、背板を起こした状態を示す斜視図である。
図4図3に示す医療台の側面図である。
図5】レール周辺構造及びロック機構を説明するために示す上面図(一部の部材を断面で図示)である。
図6図5のA-A線に沿う縦断面図である。
図7】レールの内部構造を説明するために示す図である。
図8】ロック歯と凹部との嵌合を説明するために示す部分拡大図である。
図9】レール周辺構造及びロック機構の一部を示す斜視図である。
図10】第1シャフト及びロック歯の周辺構造を説明するために示す拡大断面図である。
図11】ロック機構を説明するために示す一部を断面にした上面図(上側のロック歯を凹部に嵌合させた状態を示す図)である。
図12図11のB-B線に沿う縦断面図である。
図13】ロック機構を説明するために示す一部を断面にした上面図(下側のロック歯を凹部に嵌合させた状態を示す図)である。
図14図13のC-C線に沿う縦断面図である。
図15】ロック機構を説明するために示す一部を断面にした上面図(上下のロック歯を凹部から離脱させた状態を示す図)である。
図16図15のD-D線に沿う縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の医療台の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下では、本発明を分娩台に適用した場合を例示して説明する。
【0023】
[分娩台の全体構成]
図1図4は、本発明を適用した分娩台の実施形態の全体構成を示している。この分娩台1は、床上に設置される基台2の上に、支持台3が設けられるとともに、該支持台3に、妊婦の背部を支持する背板4と、妊婦の臀部を支持する座板5と、妊婦の両脚をそれぞれ支持する左右一対の支脚器6とが、これら背板4、座板5及び支脚器6の角度や位置を変更可能に支持されている。基台2には、支持台3を上下移動するための昇降機構(図示略)が設けられる。
【0024】
支持台3には、背板4を複数の回動位置で往復回動する背板駆動部11が設けられている。以下では、図1及び図2に示す背板4の回動位置を「水平位置」とし、図3及び図4に示す背板4の回動位置を「分娩位置」として説明するが、背板4の回動位置はこれら2つに限られるものではない。背板4は、その先端部(座板5側の端部)を除く部分の裏面が背板フレーム12に固定されている(図4参照)。背板フレーム12の先端部は、支持台3に水平なヒンジ軸13を中心として回動自在に支持されている。背板駆動部11は、背板フレーム12と支持台3との間を連結するシリンダにより構成されている。シリンダを駆動することにより、背板フレーム12は先端部を中心に回動して、図1及び図2に示す水平位置から図3及び図4に示す分娩位置へと移行させたり、反対に分娩位置から水平位置へと戻したりすることができる。
【0025】
背板フレーム12の左右には、サイドフェンス14が設けられている。これらサイドフェンス14は、背板4の面方向に直交する方向(背板4が水平位置にある場合は上下方向)に移動できるようになっている。また、サイドフェンス14の上部には背板4の面に対して略平行に手摺棒15が設けられている。
【0026】
座板5は、ほぼ水平状態を維持するように支持台3に支持されている。座板5の左右には、妊婦の両脚を支持する左右一対の支脚器6が設けられている。支脚器6の構造については、後述する。
【0027】
座板5の左右両側には、支持台3から延びるレール21が座板5とは分離してそれぞれ1本ずつ設けられている。各レール21の一方端(以下「先端部」ともいう)は後述するロック機構30を介して支持台3に接続されており、各レール21の他方端(以下「基端部」ともいう)には操作ハンドル23が配置されている。各レール21は、支持台3に対する垂直方向(上下方向)の角度を変えることができ、その角度を変えることにより、支脚器6の高さ位置を変更できるようになっている。また、レール21の一方端には、上下に二股状に分かれたレール支持部材25が配置されており、支持台3に設けられた垂直方向に沿う軸部材24に対してレール21を回動自在に支持されている。すなわち、レール21は、軸部材24を中心として水平面内で回動可能であり、その回動位置を変えることにより、水平面内における支脚器6の回動位置を変更できるようになっている。
【0028】
例えば支持台3が、本発明の第1支持具に相当し、支脚器6(及び支脚器6を支持するレール21)が本発明の第2支持具に相当する。
【0029】
[支脚器6の構造]
支脚器6は、妊婦の下腿部から足底部の部位を支持するものであり、主に足底部を支持する足底支持部6aと、主に下腿部を支持する下腿支持部6bとを有している。支脚器6は、足底支持部6a及び下腿支持部6bが平面的に配置された状態(図1及び図2参照)と、ほぼ直角に配置された状態(図3及び図4参照)とで固定できるようになっている。
【0030】
支脚器6は、固定手段22によってレール21の長さ方向(長手方向)の途中位置に固定可能に取り付けられており、固定手段による固定を解除することにより、レール21に対してレール21の長さ方向に沿ってスライド可能に構成されている。すなわち、固定手段22によって、レール21に対する支脚器6の固定位置を適宜変更可能に設けられている。
なお、支脚器6を支持しているレール21は、図1及び図2に示す「水平位置」では、ほぼ水平状態に配置されるが、図3及び図4に示す「分娩位置」では、図示略の回動機構により水平方向に対して傾斜して配置される。
【0031】
[ロック機構30の構造]
レール21は、図5図6及び図9に示すように、本実施形態では略角筒状に形成されており、そのレール21の内部には第1シャフト31及び第2シャフト35がレール21の長さ方向に沿って収容されている。第1シャフト31の一方端部(第1シャフト31の両端のうち軸部材24側の端部のことであり、以下「先端部」ともいう)には円柱状部材51を介してロック歯36が設けられており、第1シャフト31の他方端部(第1シャフト31の両端のうち操作ハンドル23側の端部のことであり、以下「基端部」ともいう)には操作ハンドル23が接続されている。この第1シャフト31は、レール21の基端部内に固定された軸受部材32によりレール21の長さ方向に沿ってスライド自在に支持されており、操作ハンドル23の往復動作(レール21の長さ方向に沿って操作ハンドル23を引っ張ったり離したりする動作)によって、レール21内で第1シャフト31がスライド可能に構成されている。
【0032】
第1シャフト31の先端部近傍(先端より若干基端部寄りの位置)には、この第1シャフト31を貫通させるようにブロック状のスライド部材34が、第1シャフト31の長さ方向に沿って移動自在に支持されている。また、第1シャフト31の先端部の下方位置には、第1シャフト31よりも短い第2シャフト35が、第1シャフト31と平行に並んで配置されている。第2シャフト35の一方端部(第2シャフト35の両端のうち軸部材24側の端部のことであり、以下「先端部」ともいう)には円柱状部材51を介してロック歯37が設けられており、第2シャフト35の他方端部(第2シャフト35の両端のうち操作ハンドル23側の端部のことであり、以下「基端部」ともいう)はスライド部材34に連結されている。
【0033】
第1シャフト31及び第2シャフト35の先端部に接続された円柱状部材51(図10及び図12参照)は、レール支持部材25に固定された軸受部材38によってレール21の長さ方向に沿ってスライド自在に支持されている。これにより、第1シャフト31はレール21の両端部の軸受部材32,38により支持されることになる。
【0034】
一方、軸部材24には、受け部41が固定されている。この受け部41は、図11図12等に示すように、軸部材24側からロック歯36,37側に向けて広がる平面視略扇状に形成されている。受け部41の上面41a及び下面41bは水平面に沿って略平行であり、受け部41の円弧状外面41cは曲面であって一部が窪んでいる。
【0035】
受け部41の円弧状外面41cには、ロック歯36,37が挿抜される複数の凹部42~45が形成されている。凹部42~45は上下2列に2つずつ、計4つ形成されている。上側に形成された2つの凹部42,43は、受け部41の上面41aにも開口しており、上面41aと円弧状外面41cとの一部が切り欠かれた形状となっている。下側に形成された2つの凹部44,45は、受け部41の下面41bにも開口しており、下面41bと円弧状外面41cとの一部が切り欠かれた形状となっている。
【0036】
凹部42~45の配置について具体的に説明すると、上面41a側の2個の凹部42,43と下面41b側の2個の凹部44,45は、配置間隔がそれぞれ同じであり、上面41a側の2個の凹部42,43の間に下面41b側の凹部45が配置されており、下面41b側の2個の凹部44,45の間に上面41a側の凹部42が配置されている。言い換えると、上下いずれか1列に配置された凹部の配置間隔(ピッチ)に対して、他方の列に配置された凹部は半ピッチずれている。
【0037】
この実施形態では、例えば、上側に形成された凹部42,43は、軸部材24の中心軸に対して30°ずれて配置されており(円弧状外面41cの曲面に沿って離間しており)、下側に形成された凹部44,45も、軸部材24の中心軸に対して30°、ずれて配置されている。上述したとおり、上側に形成された凹部42,43と下側に形成された凹部44,45とは、半ピッチずれて配置されていることから、上面から見たときの4つの凹部42~45の見かけ上の位置は、軸部材24の中心軸に対して15°ずつずれていることとなる。
【0038】
第1シャフト31の先端に設けられたロック歯36は、受け部41の上面41a側に形成された凹部42,43と同じ高さ位置に配置され、第2シャフト35の先端に設けられたロック歯37は、受け部41の下面41b側に形成された凹部44,45と同じ高さ位置(軸部材24の長さ方向の位置)に配置されている。上側のロック歯36は上側の凹部42,43に、下側のロック歯37は下側の凹部44,45にそれぞれ独立して抜き差しできる位置関係に配置される。
【0039】
ロック歯36,37と凹部42~45との嵌合について、図8を用いて説明する。図8では、ロック歯36,37及び凹部42~45のうち、凹部42にロック歯36を嵌合したときの様子を簡略化して図示している。本実施形態では、図8に示すように、ロック歯36における凹部42との接触面S1と凹部42におけるロック歯36との接触面S2は、ロック歯36の嵌合方向(挿抜方向)に沿う仮想軸Xに対してロック歯36の先端に向かうにしたがって(凹部42においては開口が深くなる方向にしたがって)、仮想軸Xに漸次接近する方向に傾斜している。この傾斜角度θについて、本実施形態では例えば5°に設定されている。ロック歯36と凹部43との接触面及びロック歯37と凹部44,45との接触面においても同様に、傾斜角度θが5°に設定されている。
【0040】
ロック歯36,37と第1シャフト31及び第2シャフト35との間には、例えば断面正円の円柱状部材51がそれぞれ配置されている。円柱状部材51とロック歯36,37とは、それぞれ一体形成されている。レール支持部材25の中間部25aには、図9及び図10に示すように、2個の円筒状の軸受部材38が相互に平行にかつ軸部材24に直交する方向(挿抜方向)に沿って設けられており、これら軸受部材38に円柱状部材51がスライド自在に支持されている(図10参照)。
【0041】
また、図10に示すように、円柱状部材51における第1シャフト31側の端部には取付板部52が一体に設けられており、この取付板部52が第1シャフト31の先端に形成した取付面53に当接し、取付板部52を貫通する2本のボルト54によって第1シャフト31に固定されている。なお、使用するボルト54は、その外形寸法が取付板部52の貫通孔55の開口寸法(貫通孔55の内径)よりも小さなものであり、例えば黄銅からなる筒状のスペーサ56を介してボルト54が貫通孔55に嵌合されている。貫通孔55とボルト54との間にスペーサ56を挟むとともに、取付板部52とスペーサ56との間に隙間gを設けたことにより、第1シャフト31と取付板部52との間における必要な接続強度を維持しながら許容可能な範囲内での若干の緩みを持たせることができるため、部品精度、製造時のばらつきを吸収することができ、凹部42,43に対するロック歯36の挿抜性への影響を極力抑えることができる。ロック歯37側の円柱状部材51と第2シャフト35との接続構造は、ロック歯36側の円柱状部材51と第1シャフト31との接続構造と同様であるため、説明を省略する。
【0042】
第1シャフト31の基端部は、図5に示すようにレール21から突出しており、操作ハンドル23と一体に設けられている。この操作ハンドル23は、第1シャフト31の長手方向と直交する左右方向に延びており、第1シャフト31に対して略T字状を形成するように設けられている。また、レール21の基端部には、図5及び図6に示すように、操作ハンドル23の周囲を囲む枠体61が一体に設けられており、この枠体61の一部(操作ハンドル23とほぼ平行となる部分)が握り部62として機能する。
【0043】
第1シャフト31の基端部側には、図7に示すように、例えばコイルばねからなる第1付勢部材72が配置されている。具体的には、第1シャフト31の外面から突出するピン71と軸受部材32との間に第1付勢部材72が配設されている。この第1付勢部材72は、その復元力(弾性力のことであって、本明細書では「付勢力」ともいう)によってピン71を押圧し、図7の矢印Pで示す方向に向けて第1シャフト31を付勢している。
【0044】
一方、第1シャフト31の基端部側であってスライド部材34の基端部には、例えばコイルばねからなる第2付勢部材74が配置されている。具体的には、第1シャフト31の外面から突出するピン73とスライド部材34との間に第2付勢部材74が配設されている。この第2付勢部材74は、スライド部材34の基端部とピン73とに連結されることにより、その復元力(弾性力のことであって、本明細書では「付勢力」ともいう)によってスライド部材34を押圧し、図7の矢印Qで示す方向に向けてスライド部材34を付勢している。また、第2付勢部材74は、上述した付勢力とは別に、ピン73を図7の矢印R方向に向けて所定の押圧力(本明細書では「反発力」という)で押圧するように構成されている。第1シャフト31を嵌合方向(矢印Q方向)に移動させてロック歯を凹部に嵌合させると第2付勢部材74は収縮し、第1シャフト31を嵌合方向とは反対方向(矢印R方向)に移動させてロック歯を凹部から抜くと第2付勢部材74は伸長するように構成されている。このため、第1シャフト74を矢印R方向に移動させてロック歯を凹部から抜いたとき、第2付勢部材74には、矢印Q方向に向けてスライド部材34を付勢する付勢力と、矢印R方向に向けて第1シャフト31を押す反発力とが働く。この場合、第1付勢部材72に働く付勢力の方が第2付勢部材74に働く反発力よりも大きくなるように設定されている。
【0045】
また、図6及び図7に示すように、第1シャフト31の先端側の部分であって第2シャフト35が支持される位置より先端側(ロック歯36側)には、第1シャフト31の外面から突出するピン状の係止部材76が固定されている。この係止部材76は、操作ハンドル23によって第1シャフト31を所定量牽引したときに、スライド部材34の先端面に当接し、さらに牽引することにより、スライド部材34を係止して、第1シャフト31とともにスライド部材34をも牽引することができるものである。具体的には、図13及び図14に示すように、上側のロック歯36が凹部42(又は凹部43)から抜き出され、かつ下側のロック歯37が凹部44(又は凹部45)に嵌合した状態では、係止部材76はスライド部材34に当接しておらず、図15及び図16に示すように、上側のロック歯36と下側のロック歯37を凹部42-45から抜くように第1シャフト31を牽引すると、係止部材76がスライド部材34の先端面に当接して、第1シャフト31とともにスライド部材34及びスライド部材34と連結された第2シャフト35を牽引することができる。
【0046】
[ロック機構の作用]
支脚器6は、支持台3に対して、例えば4個の凹部42~45の配置に相当する4つの回動位置(回動位置を角度で表現すると、0°、15°、30°、45°となる回動位置)に配置することができる。図13及び図14に示すように、下側のロック歯37を下側の凹部44に嵌合したときの回動位置を0°とすると、図11及び図12に示す状態は、上側のロック歯36が上側の凹部42に嵌合した状態であり、回動位置としては15°となる。図示による説明は省略するが、下側のロック歯37を下側の凹部45に嵌合したときの回動位置は30°となり、上側のロック歯36を上側の凹部43に嵌合したときの回動位置は45°となる。以下に、支持台3に対する支脚器6の回動位置を変更する方法について説明する。
【0047】
図11及び図12に示す状態(15°の回動位置)において、上側のロック歯36は、第1付勢部材72の付勢力によって嵌合方向に押圧されることにより、凹部42に嵌合した状態が維持される。また、凹部42の下方(凹部44,45の列において凹部42と対応する位置)には凹部が形成されていないが、下側のロック歯37は、第2付勢部材74の付勢力によって嵌合方向に押圧されることにより、受け部41の円弧状外面41cに当接した状態が維持される。
【0048】
このとき、第1シャフト31には、第1付勢部材72によって嵌合方向に向かう付勢力が作用する反面、第2付勢部材74がスライド部材34を押圧するときの反力としての反発力が第1シャフト31に作用する。しかしながら、前述したように、第1付勢部材72による付勢力は第2付勢部材74による反発力より大きいので、第1シャフト31は基端方向(図7の矢印R方向)に押し戻されることはなく、第1シャフト31先端に設けられたロック歯36が凹部42に嵌合された状態が維持される。
【0049】
図11及び図12に示す状態から操作ハンドル23を引き、上側の凹部42からロック歯36を引き抜いた後、レール21を受け部41に対して例えば左方向に移動させると、スライド部材34(第2シャフト35)が第2付勢部材74によって嵌合方向に押圧付勢されているので、第2シャフト35の先端に配置されたロック歯37は凹部44内に嵌合する(図13及び図14参照)。このとき、凹部44の上方(凹部42,43の列において凹部44と対応する位置)には凹部が設けられていないので、上側のロック歯36は、第1付勢部材72の付勢力によって嵌合方向に押圧されることにより、受け部41の円弧状外面41cに当接した状態となる。
【0050】
このときも、第1付勢部材72の付勢力が第2付勢部材74の反発力より大きいので、上側のロック歯36は受け部41の円弧状外面41cから離間することなく、該円弧状外面41cに当接した状態が維持される。
【0051】
さらに操作ハンドル23を引いて図15及び図16に示す状態まで操作ハンドル23を引くと、上下のロック歯36,37が受け部41から離脱する。そして、所望の凹部の位置までレール21を回動させて、いずれかのロック歯36,37を凹部に嵌合させれば、その位置に支脚器6を固定することができる。
【0052】
このようにして、操作ハンドル23を引いて第1シャフト31を牽引し、凹部42~45により定められる所望の回動位置で操作ハンドル23を離して、ロック歯36,37を凹部42~45に嵌合することにより、レール21を所定の回動位置に固定することができる。つまり、ロック歯36,37の挿入位置をいずれか一つの凹部から他の凹部へと移動させることにより、支持台3に対するレール21(支脚器6)の回動位置を変更することができ、ロック歯36,37の凹部42~45への挿入により、その回動位置にロックすることができる。
【0053】
この場合、ロック歯36,37のいずれか一つが、対応する凹部42~45の列の中のいずれか一つの凹部に嵌合することによりロックされ、これらが受け部41から離間することでロックが解除される。このロック歯36,37と凹部42~45との抜き差しが嵌合方向に沿ってなされるので、両者の間のガタを小さくでき、ロック時の強度を大きくすることができる。したがって、支脚器6を安定した姿勢で保持することができる。また、従来のようなラック・ピニオン機構を採用せずに、ロック歯36,37を凹部42~45に嵌合させることによって必要な強度を確保するように構成しているので、分娩台全体としての大型化を抑制できる。
【0054】
本実施形態の分娩台1は、4個の凹部を一列に並べるのではなく、上下にずらして配置したことにより、1列単位では隣り合う凹部(上列に配置される凹部42,43及び下列に配置される凹部44,45)の配置間隔をある程度広くしつつ、全列あわせて見たときの凹部42~45の配置間隔を狭くすることが可能であり、全ての凹部42~45を一列に並べた場合に比べて配置スペースを小さくすることができまた、レール21の回動位置を設計する際の自由度を高めることができる。
これらの相乗効果により、レール21と支持台3との接続部分の大型化が抑制でき、省スペース化を図ることが可能である。
【0055】
なお、ロック歯36,37と凹部42~45との接触面S1,S2が仮想軸Xに対して傾斜して形成されているので、操作ハンドル23の操作によっていずれかのロック歯36,37と凹部42~45とが対向配置させたときに、これらの間にわずかな位置ずれがあったとしても容易に嵌合することができる。
【0056】
ところで、分娩時には支脚器6からレール21に大きな力が作用する場合がある。そのような場合、図8に示すように、レール21に対して横方向(分娩台1の左右方向)から働く力Fを、接触面S1,S2に垂直なベクトル成分の分力と、接触面S1,S2の傾斜方向に沿うベクトル成分の分力F1とに分解することができる。このときの分力F1について、接触面S1,S2間の摩擦力F2(=μF×cosθ:ただしμは摩擦係数)より大きくなると、凹部からロック歯が意図せずに外れてしまいかねない。なお、ロック歯を付勢している付勢部材の付勢力を大きくして、不用意にロックが外れないようにすることも可能であるが、このときの付勢力を大きくし過ぎると、レール21を操作する際にの力(例えば凹部からロック歯を抜くために操作ハンドルを引く力)が過大に必要になることが懸念される。
【0057】
本実施形態では、ロック歯36,37と凹部42~45との接触面S1,S2の傾斜角度θを例えば5°に設定したことにより、ロック状態を確実に保持しつつ、レールの操作性を確保することができる。
【0058】
本実施形態では、レール21に対して上下方向から負荷がかかった場合に、当該負荷を軸部材24及びレール支持部材25で受けることが可能であるため、その分第1シャフト31にかかる負荷を低減することができ、第1シャフト31の細径化を図ることができる。
【0059】
以上において、本発明の一実施例について詳細に説明したが、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づいて各種の変更および修正が可能である。
【0060】
例えば、操作ハンドルに対する操作をロック歯に伝達する機構としてシャフトを介在させたが、付勢部材等によってロック歯を嵌合方向に付勢できれば、シャフトに代えて、あるいはシャフトの一部をワイヤ等の他のリンク部材で構成してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、受け部に形成される凹部の数を4つとしたうえで、上下に2列に分けて各列2つずつ配置した場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。凹部の数は4つ以外の数であってもよく、列数は1列又は3列以上であってもよい。また、各列に配置される凹部の数は同数でなくてもよく、数が異なっていてもよい。
【0062】
上記実施形態では、支持台に対する支持脚の回動位置が4つであり、角度で表現したときに15°となる配置間隔である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、15°以外の角度であってもよい。さらに言えば、必ずしも等間隔でなくてもよい。
【0063】
上記実施形態では、円筒状の軸受部材38に対して断面正円の円柱状部材51を配置する場合を例示して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、角筒状の軸受け部材に対して断面多角形の角柱状部材を配置するなど、軸受部材の形状に対応する断面形状であれば、他の形状であってもよい。
【0064】
上記実施形態では、円柱状部材とロック歯が一体形成されている場合を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、別部品として形成したものを接合したものであってもよい。また、上記実施形態では、円柱状部材とシャフト(第1シャフト及び第2シャフト)とがボルトを介してそれぞれ接続固定されている場合を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、円柱状部材とシャフトとが一体形成されていてもよい。
【0065】
上記実施形態では、スペーサの材料が黄銅である場合を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば鉄やステンレス等の他の金属材料からなるスペーサを用いてもよいし、金属以外の材料(例えば樹脂等)からなるスペーサを用いてもよい。
【0066】
上記実施形態では、複数の凹部の形状及びその配置に合わせて、ロック歯の歯が上下に延びるように(縦一文字となるように)配置される場合(図9参照)を例示して説明したが、これに限定されるものではない。複数の凹部の形状及びその配置がロック歯の歯の形状に対応するものであれば、例えばロック歯の歯が左右に延びるように(横一文字となるように)配置されていてもよいし、斜め方向に延びるように配置されてもよい。また、十字ねじ回しのように、2つ以上の歯が配置されていてもよいし、単数又は複数のピン状の歯が配置されていてもよい。
【0067】
上記実施形態では、複数の凹部に対するロック歯の挿抜により、支脚器を左右方向に移動させる場合を例示して説明したが、これに限定されるものではない。例えば複数の凹部を上下方向や斜め方向に並べることで、支脚器を左右方向以外の方向に移動させるように構成してもよい。
【0068】
上記実施形態では、本発明を分娩体に適用したが、本発明は検診台(産婦人科用の検診台に限らず、例えば泌尿器科用の検診台なども含む)や手術台などの他の医療台にも適用することができる。この場合、第1支持具及び第2支持具は、患者等の身体のうち、臀部と脚部とを支持することに限らず、例えば患者等の背中と腕部など、他の身体部位を支持するものであってもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0069】
1 分娩台
2 基台
3 支持台
4 背板
5 座板
6 支脚器
21 レール
22 固定手段
23 操作ハンドル
24 軸部材
25 レール支持部材
25a 中間部
30 ロック機構
31 第1シャフト
32 軸受部材
34 スライド部材
35 第2シャフト
36,37 ロック歯
38 軸受部材
41 受け部
41a 上面
41b 下面
41c 円弧状外面
42~45 凹部
51 円柱状部材
52 取付板部
53 取付面
54 ボルト
55 貫通孔
56 スペーサ
61 枠体
62 握り部
71,73 ピン
72 第1付勢部材
74 第2付勢部材
76 係止部材
S1,S2 接触面
g 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16