IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コクヨ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-椅子 図1
  • 特開-椅子 図2
  • 特開-椅子 図3
  • 特開-椅子 図4
  • 特開-椅子 図5
  • 特開-椅子 図6
  • 特開-椅子 図7
  • 特開-椅子 図8
  • 特開-椅子 図9
  • 特開-椅子 図10
  • 特開-椅子 図11
  • 特開-椅子 図12
  • 特開-椅子 図13
  • 特開-椅子 図14
  • 特開-椅子 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049148
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/40 20060101AFI20230403BHJP
   A47C 9/02 20060101ALI20230403BHJP
   A47C 3/30 20060101ALN20230403BHJP
   A47C 3/02 20060101ALN20230403BHJP
【FI】
A47C7/40
A47C9/02
A47C3/30
A47C3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158715
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】佐川 翠里
(72)【発明者】
【氏名】青山 友海
【テーマコード(参考)】
3B084
3B091
3B095
【Fターム(参考)】
3B084EA03
3B084EB04
3B091AA04
3B091AA07
3B091AC09
3B091LA01
3B091LA04
3B095AB02
3B095AC07
3B095CA06
(57)【要約】
【課題】移動等のために使用者が腰当て本体を把持し得る好適な構成が採られた椅子を提供する。
【解決手段】椅子は、腰当てFが、上下方向に延びた帯状をなすとともに平面視において後方に凸をなすように湾曲した形状をなし内側面を着座者の腰部に当接し得る当接面5sとした腰当て本体5と、腰当て本体5における左右の各前端部に設けられ座Cに取り付けられる座取付部6とを備えたものであり、平面視において、座Cにおける左右方向中央部の後端部ctと腰当て本体5における左右方向中央部の前端部ftとの間が離間するように設定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚と、この脚に支持された座と、座に取り付けられ着座者の腰部に添接し得る腰当てとを備えてなる椅子であって、
前記腰当てが、帯状をなすとともに平面視において後方に凸をなすように湾曲した形状をなし内側面を着座者の腰部に当接し得る当接面とした腰当て本体と、この腰当て本体における左右の各前端部に設けられ前記座に取り付けられる座取付部とを備えたものであり、
平面視において、前記座における左右方向中央部の後端部と前記腰当て本体における左右方向中央部の前端部との間が離間するように設定されている椅子。
【請求項2】
前記腰当て本体における左右方向中央部における前記当接面が、下方に向かって漸次前方に位置するように傾斜したものである請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記腰当て本体における左右方向中央部が、下方に向かって漸次前後厚み寸法が長くなるように形成されている請求項1又は2記載の椅子。
【請求項4】
前記脚が、前記座に対して連結された脚支柱を備えたものであり、この脚支柱が床面に対して傾いた姿勢を採り得るものであり、且つ、当該傾いた姿勢で前記座に対して着座可能に構成されている請求項1、2又は3記載の椅子。
【請求項5】
前記脚が、前記脚支柱に対して一体的に連結され下面が床面に接し得る略曲面状をなした脚ベースを備えたものである請求項4記載の椅子。
【請求項6】
前記座の前後方向寸法が前記座の左右方向寸法よりも短く設定されている請求項1、2、3、4又は5記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、床面に対して起立した脚を有し、この脚が床面に対して傾斜した状態であっても座に対して着座可能に構成されたスツールタイプの椅子が知られている(例えば、特許文献1を参照。)
この種の椅子は、どの方向からも柔軟に着座できることを重視した構成をなしていた。このため、この種の椅子においては、座が平面視において略円環状をなした小型のもの又は平面視において前後幅及び左右幅が略同一に設定された小型のものが用いられ、且つ、腰当てが設けられていないものが殆どであった。
【0003】
換言すれば、従来の椅子は、腰当てが無く、且つ、臀部を適切に支持し難い座の形態に起因して、着座者が座に対して快適に座り難いものとなっていた。
【0004】
また、この種の椅子は、複数人による集合形式の打ち合わせに好適なものであり、使用者により持ち上げられ適宜の位置に運ばれる場合が比較的多いものとなっている。
【0005】
しかしながら、従来の椅子は、床面から比較的高い位置に使用者が把持し得る好適な部位を有しておらず、使用者が気軽に持ち運び難いものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-7483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、少なくとも、移動等のために使用者が持ち運びし易い好適な構成が採られた椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0009】
請求項1に記載の発明は、脚と、この脚に支持された座と、座に取り付けられ着座者の腰部に添接し得る腰当てとを備えてなる椅子であって、前記腰当てが、帯状をなすとともに平面視において後方に凸をなすように湾曲した形状をなし内側面を着座者の腰部に当接し得る当接面とした腰当て本体と、この腰当て本体における左右の各前端部に設けられ前記座に取り付けられる座取付部とを備えたものであり、平面視において、前記座における左右方向中央部の後端部と前記腰当て本体における左右方向中央部の前端部との間が離間するように設定されている椅子である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記腰当て本体における左右方向中央部における前記当接面が、下方に向かって漸次前方に位置するように傾斜したものである請求項1記載の椅子である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記腰当て本体における左右方向中央部が、下方に向かって漸次前後厚み寸法が長くなるように形成されている請求項1又は2記載の椅子である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記脚が、前記座に対して連結された脚支柱を備えたものであり、この脚支柱が床面に対して傾いた姿勢を採り得るものであり、且つ、当該傾いた姿勢で前記座に対して着座可能に構成されている請求項1、2又は3記載の椅子である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記脚が、前記脚支柱に対して一体的に連結され下面が床面に接し得る略曲面状をなした脚ベースを備えたものである請求項4記載の椅子である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記座の前後方向寸法が前記座の左右方向寸法よりも短く設定されている請求項1、2、3、4又は5記載の椅子である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、移動等のために使用者が持ち運びし易い好適な構成が採られた椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
図2】同実施形態における正面図。
図3】同実施形態における背面図。
図4】同実施形態における右側面図。
図5】同実施形態における左側面図。
図6】同実施形態における平面図。
図7】同実施形態における底面図。
図8】同実施形態における分解斜視図。
図9】同実施形態における分解斜視図。
図10】同実施形態における分解斜視図。
図11図2におけるX-X線断面図。
図12図11における上部拡大図。
図13図4におけるY-Y線断面図。
図14】同実施形態における拡大斜視図。
図15】同実施形態における拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図1~15を参照して説明する。
【0018】
この実施形態は、本発明を、オフィス等において好適に使用されるものであり「スツール」とも称される椅子(以下、単に「椅子」という。)に適用したものである。
【0019】
この実施形態に示される椅子は、全体が床面Rに対して略鉛直な状態を採り得るだけでなく、床面Rに対して傾いた状態であっても着座者が着座できるように構成されたものである。換言すれば、この椅子は、脚Aを構成する脚支柱2が床面Rに対して傾いた姿勢を採り得るものであり、且つ、脚支柱2が床面Rに対して傾いた姿勢であっても着座者が座Cに対して着座可能に構成されている。
【0020】
椅子は、床面Rに対して傾動可能に起立した脚Aと、脚Aに支持された座Cと、上端部が座Cに支持された脚支柱カバーBと、座Cに取り付けられ着座者の腰部に添接し得る腰当てFとを備えたものである。
【0021】
椅子は、脚Aと座Cとの間に、脚Aと座Cとの連結度合いを強化するための連結強化手段である連結強化ねじEが設けられている。
【0022】
以下、椅子の各構成について詳述する。
【0023】
<<脚A>>
脚Aは、座Cを上下昇降可能に支持し得るものである。脚Aは、床面R側を向く接地面Sが略曲面状をなす脚ベース1と、脚ベース1に対して立設され上下方向に伸縮可能なガススプリングGを有した脚支柱2を備えている。
【0024】
脚Aは、着座者が座Cに着座していない無負荷状態において、床面Rに対して略垂直に起立した姿勢をなし得るように図示しない錘等により重量設定されている。
【0025】
<脚ベース1>
脚ベース1は、脚支柱2の下部に対して一体的に連結されたものである。脚ベース1は、下面である接地面Sが床面Rに接し得る略曲面状をなしている。
【0026】
脚ベース1は、ガススプリングGにおけるシリンダーg1に設けられた下内嵌部Kが嵌合し得る外嵌部たる第二の外嵌部Jを有した脚ベース本体11と、脚ベース本体11の上面側に取り付けられた脚ベースカバー12とを備えたものである。
【0027】
[脚ベース本体11]
脚ベース本体11は、下面が概略部分球体面状をなした接地面Sになっている。脚ベース本体11は、接地面を形成する部材の上面側に複数の補強リブが立設された全体として概略円盤状をなすベースシェルTと、ベースシェルTの中心部に立設された略円筒状をなす第二の外嵌部Jを備えたものである。
【0028】
[脚ベースカバー12]
脚ベースカバー12は、脚ベース本体11の上部、すなわち、ベースシェルTの上面側及び第二の外嵌部Jにおける上部の外周面を覆う形状をなしている。
【0029】
この実施形態では、脚ベースカバー12が、脚支柱2のシリンダーg1をカバーするシリンダーカバーIと一体的に作られている。すなわち、この椅子には、脚ベースカバー12及びシリンダーカバーIの合成樹脂一体成型品であるカバー体を備えている。換言すれば、椅子には、脚ベース本体11の上部及びガススプリングGのシリンダーg1をカバーするカバー体が設けられている。
【0030】
脚ベースカバー12の内面側には下方に向けて露出したナット部n1が設けられている。脚ベースカバー12は、脚ベース本体11に設けられたねじ挿通孔h1に挿通されたねじv1をナット部n1に螺着することにより、脚ベース本体11の上面側に取り付けられている。
【0031】
<脚支柱2>
脚支柱2は、上下方向に延びてなるものである。脚支柱2は、上端部が座Cに対して連結されている。
【0032】
脚支柱2は、脚ベース1に対して立設され上下方向に伸縮可能なガススプリングGと、ガススプリングGの下部を構成するシリンダーg1を覆うシリンダーカバーIとを備えたものである。
【0033】
先に述べたように、シリンダーカバーIは、脚ベースカバー12と一体的に成形されている。
【0034】
[ガススプリングG]
ガススプリングGは、上下方向に延びてなるシリンダーg1と、上端部において座受4に対して内嵌される内嵌部たる上内嵌部Mを有しシリンダーg1に対して上下動可能に支持されたピストンロッドg2とを備えたものである。
【0035】
シリンダーg1の下端部には、脚ベース本体11に設けられた第二の外嵌部Jに内嵌する下内嵌部Kが設けられている。下内嵌部Kは、下方に向かって漸次外面が軸心に向かって近づくように遷移したテーパー状をなしている。
【0036】
ピストンロッドg2の上端部には、座受4に設けられた第一の外嵌部Pに内嵌する上内嵌部Mが設けられている。上内嵌部Mは、上方に向かって漸次外面が軸心に向かって近づくように遷移したテーパー状をなしている。
【0037】
なお、ピストンロッドg2の先端には、ガススプリングGの伸縮ロックを解除するためのロック解除ボタンg3が設けられている。ロック解除ボタンg3は、座Cに支持された操作レバーDにより操作されるものである。
【0038】
なお、ガススプリングGは、既知の構成であるので詳細な説明は省略する。
【0039】
[シリンダーカバーI]
シリンダーカバーIは、略円筒状をなし下端部が脚ベースカバー12に対して一体的に連設されたシリンダーカバー本体i1と、離脱規制部を構成するものでありシリンダーカバー本体i1の上端部から内方に向かって一体的に延設された内方延出鍔i2を備えたものである。
【0040】
離脱規制部である内方延出鍔i2は、シリンダーg1の上、すなわち、シリンダーg1の上端部の上に被さるように配設されガススプリングGがシリンダーカバーIから離脱するのを規制し得るものである。
【0041】
すなわち、内方延出鍔i2を設けたシリンダーカバーIは、脚ベースカバー12に対して一体的に連設されている。
【0042】
そして、脚ベースカバー12は、脚ベース本体11に対してねじv1により止着されている。つまり、カバー体(シリンダーカバーI及び脚ベースカバー12)は、脚ベース本体11から離脱しない構成をなしている。
【0043】
そのため、仮に、ガススプリングGの下内嵌部Kが脚ベース本体11に設けられた第二の外嵌部Jから外れてしまった場合であっても、内方延出鍔i2がシリンダーg1の抜け出しを規制し得るものとなっている。
【0044】
換言すれば、本実施形態における脚Aの構成であれば、ガススプリングGの下内嵌部Kが脚ベース1の第二の外嵌部Jから外れた場合であっても、ガススプリングGがシリンダーカバーIから離脱し難いものとなっている。
【0045】
<<座C>>
座Cは、着座面を有した座本体3と、座本体3を支持するアウターシェルとも称される座受4とを備えたものである。
【0046】
この実施形態では、座Cの前後方向寸法w1が座Cの左右方向寸法w2よりも短く設定されている。座Cは、平面視において略横長長方形に近似した形状をなしている。すなわち、座Cは、平面視において横長長方形に表れる四つの角部を部分円弧状に丸く形成したような形態をなしている。
【0047】
座Cは、図6に示すように、平面視における左右方向の幅寸法w1が、前後方向の幅寸法w2よりも二倍以上の長さに設定されている。
【0048】
座Cは、脚Aの形態に基づいて床面Rに対して揺動可能に構成されたものであるため、基本的に水平方向の寸法が過大に設定されないことが望ましい。その一方で、座Cは、着座者の臀部を適切に支持し得る横幅寸法を有することが好ましい。この実施形態の椅子では、これらの要件を好適に満たすことができるように、座Cにおける左右方向の幅寸法w2は、前後方向の幅寸法w1に対して2~2.5倍の範囲内に設定されたものとなっている。
【0049】
<座本体3>
座本体3は、インナーシェルとも称される合成樹脂製の支持部材32と、支持部材32の上に載設された座クッション31と、座クッション31及び支持部材32の周縁部を被覆する図示しない座張地とを備えたものである。
【0050】
座本体3は、全体として、左右方向に延びた形状をなしている。
【0051】
<座受4>
座受4は、下面が使用者等に視認され得る外部に露出した面をなし上面側に複数の補強リブが立設されたシェル状のものである。座受4は、全体として、左右方向に延びた形状をなしている
座受4の上面側には、座本体3を構成する支持部材32が、図示しない取付手段により取り付けられるようになっている。
【0052】
座受4は、左右方向及び前後方向の略中央部にガススプリングGの上部に設けられた上内嵌部Mに嵌合し得る第一の外嵌部Pを有している。第一の外嵌部Pは、下方及び上方に開放され、上に向かって漸次内法寸法が短くなるように構成された略円筒状の部位を主体に構成されている。
【0053】
なお、座受4における第一の外嵌部Pには、筒状をなす補強用の金属部材42が埋設されている。
【0054】
座受4には、脚支柱2を伸縮操作するために、ガススプリングGの先端に設けられたロック解除ボタンg1を押下し得る操作レバーDが回転可能に支持されている。操作レバーDを回転可能に支持するための軸受部41は、座受4の上面側における第一の外嵌部Pの近傍に設けられている。
【0055】
座受4の左右両側部には、腰当てFが取り付けられる腰当て取付部43が設けられている。左右の腰当て取付部43には、それぞれ腰当てFを取り付けるためのねじv3が螺着される一対のナット部n3が設けられている。
【0056】
<連結強化ねじE>
この実施形態では、脚Aと座Cの間に、雄ねじである連結強化ねじEを介在させている。
【0057】
連結強化ねじEは、ガススプリングGにおけるピストンロッドg2の上端部に設けられた上内嵌部Mと座受4との間、より具体的には、上内嵌部Mと座受4の中央部に形成された第一の外嵌部Pとの間に捩じ込まれている。連結強化ねじEは、ガススプリングGの上内嵌部M及び座受4の第一の外嵌部Pの双方に係合し得るものとなっている。
【0058】
連結強化ねじEは、第一の外嵌部Pに設けられた切り欠き付ナット部Qに捻じ込まれるようになっている。切り欠き付ナット部Qは、捻じ込まれた連結強化ねじEにおけるねじ山部e1の一部側面が、ピストンロッドg2に接し得るように切り欠かれた形状をなしている。
【0059】
換言すれば、切り欠き付ナット部Qは、連結強化ねじEのねじ山部e1に係わり合うナット部本体q1と、ナット部本体q1の一部分に形成されナット部本体q1により囲繞された空間と第一の外嵌部Pの空間との間を連通させる切り欠きq2とを備えたものである。
【0060】
連結強化ねじEが切り欠き付ナット部Qに捻じ込まれると、当該連結強化ねじEは、切り欠き付ナット部Qにガイドされて下方に螺合進入することになる。そして、切り欠きq2を通じて第一の外嵌部Pの空間側に突出した連結強化ねじEにおけるねじ山部e1は、ナット部本体q1を下方に螺合進入する過程において、金属製のピストンロッドg2における上内嵌部Mの外面を削り込みつつ当該上内嵌部Mに対して強固に係合するものとなっている。
【0061】
つまり、この実施形態では、連結強化ねじEを用いることにより、上内嵌部Mと第一の外嵌部Pとの間の連結度合いが、上内嵌部Mと第一の外嵌部Pとを単純に嵌め合わせただけの場合と比較して強化されたものとなっている。
【0062】
なお、連結強化ねじEは、既知のねじと同様の構成のものである。すなわち、連結強化ねじEは、金属製のものであり、外周面に略三角形状のねじ山部e1が設けられたものである。
【0063】
<<脚支柱カバーB>>
脚支柱カバーBは、内部に脚支柱2が配設される筒状をなし上端部が座受4に支持されたものである。脚支柱カバーBは、シリンダーカバーIの上端部が外部に露出しないように、上下方向に伸縮し得る脚支柱2の少なくとも上部をカバーし得るものである。
【0064】
脚支柱カバーBの上部には、上方に向けて露出したナット部n2が設けられている。脚支柱カバーBは、座受4に設けられたねじ挿通孔h2に挿通されたねじv2をナット部n2に螺着することにより、座受4の下面側に取り付けられている。
【0065】
<<腰当てF>>
腰当てFは、着座者の腰部を支持し得るものである。この実施形態の腰当てFは、座Cに取り付けられたものである。腰当てFは、椅子全体を移動させる場合に、使用者が椅子全体を床面Rから離れるようにして持ち上げ可能に把持し得る部位を兼ねている。
【0066】
腰当てFは、帯状をなすとともに平面視において後方に凸をなすように湾曲した形状をなし内側面を着座者の腰部に当接し得る当接面5sとした腰当て本体5と、腰当て本体5における左右の各前端部5L、5Rに設けられ座Cに取り付けられる座取付部6とを備えたものである。腰当てFは、腰当て本体5及び座取付部6が一体的に形成された合成樹脂製のものである。
【0067】
腰当てFは、平面視において、座Cにおける左右方向中央部の後端部ctと腰当て本体5における左右方向中央部の前端部ftとの間が離間するように設定されている。
【0068】
換言すれば、座Cと腰当てFとの間には、手を挿入可能な離間空間Uが形成されている。
【0069】
また、この椅子は、図2及び図3に示すように、正面視及び背面視において、腰当て本体5の下端縁5bと座Cの上面との間に、前後水平方向に連通した空間が形成されている。
【0070】
離間空間Uは、図12に示すように、平面視において視認可能な位置に設けられているだけでなく正面視においても視認可能な位置に設けられている。このため、椅子を持ち運ぼうとする際において、腰当てFを使用者の持ち手部分として利用するべく、腰当て本体5の下端縁側に使用者の手を簡単に挿通させやすいものとなっている。
【0071】
<腰当て本体5>
腰当て本体5は、一端部である左前端部5Lから他端部である右前端部5Rとの間が略同じ上下幅寸法に設定されている。換言すれば、部分円弧状の外縁部を有する左前端部5L及び右前端部5Rを除き、腰当て本体5における上端縁5aと下端縁5bとの上下方向の離間距離w3は略一定に設定されている。
【0072】
図4及び図5に示すように、腰当て本体5の左右両側部は、側面視において前後方向に延びた帯状をなしており、且つ、後方に向かって漸次上方に位置するように傾斜したものとなっている。なお、腰当て本体5における左右の前端縁5tは側面視において半円弧状をなしている。
【0073】
図2及び図3に示すように、腰当て本体5の左右方向中央部は、正面視又は背面視において左右方向に延びた帯状をなしている。腰当て本体5は、正面視又は背面視において、左右両側部から左右方向中央部に向かって漸次上方に位置するようになだらかに曲がったものとなっている。
【0074】
図11及び図12に示すように、腰当て本体5における左右方向中央部の当接面5sは、下方に向かって漸次前方に位置するように傾斜したものとなっている。また、腰当て本体5における左右方向中央部は、下方に向かって漸次前後厚み寸法が長くなるように形成されている。
【0075】
図6に示すように、腰当て本体5は、平面視において略コ字状をなしている。
【0076】
<座取付部6>
座取付部6は、図8及び図9に示すように、腰当て本体5における左右の前端部の内側面側から内方に一体に突設された内方突出部分61と、内方突出部分61の前後二箇所に設けられた上下方向に貫通するねじ挿通孔h3とを備えている。
【0077】
座受4の左右両端部には、上方に開放されたナット部n3が設けられている。腰当てFは、内方突出部分61に設けられたねじ挿通孔h3に挿通されたねじv3をナット部n3に対して螺着することにより、座受4の腰当て取付部43に対して取り付けられている。
【0078】
上述した実施形態の椅子は、腰当てFを備えた構成であるため着座者の快適な使用に資するものとなっている。しかも、この椅子であれば、図6に示すように、平面視において、座Cにおける左右方向中央部の後端部ctと腰当て本体5における左右方向中央部の前端部ftとの間が離間しているため、椅子の移動等のために使用者が腰当て本体5を把持し得る好適な構成が採られたものとなる。
【0079】
また、上述した実施形態の椅子であれば、図14及び図15に示すように、上内嵌部Mと座受4との間に介在した連結強化手段である連結強化ねじE、すなわち、上内嵌部Mと座受4との間に捩じ込まれ当該上内嵌部M及び座受4の双方に係合し得る連結強化ねじEを備えているため、ガススプリングGに対して嵌合した座受4が、ガススプリングGに対して外れ難くなる好適な構成を有したものとなる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係る椅子は、脚Aと、脚Aに支持された座Cと、座Cに取り付けられ着座者の腰部に添接し得る腰当てFとを備えてなるものである。そして、腰当てFが、帯状をなすとともに平面視において後方に凸をなすように湾曲した形状をなし内側面を着座者の腰部に当接し得る当接面5sとした腰当て本体5と、腰当て本体5における左右の各前端部に設けられ座Cに取り付けられる座取付部6とを備えたものであり、平面視において、座Cにおける左右方向中央部の後端部ctと腰当て本体5における左右方向中央部の前端部ftとの間が離間するように設定されている。
【0081】
このため、本実施形態のものであれば、座Cにおける左右方向中央部の後端部ctと腰当て本体5における左右方向中央部の前端部ftとの間が離間しているため、椅子の移動等のために使用者が腰当て本体5を把持し得る好適な構成が採られたものとなっている。
【0082】
腰当て本体5における左右方向中央部における当接面5sが、下方に向かって漸次前方に位置するように傾斜したものである。
【0083】
このため、腰当て本体5の当接面5sが着座者の腰部に添接し得る好適な態様をなしている。
【0084】
腰当て本体5における左右方向中央部が、下方に向かって漸次前後厚み寸法が長くなるように形成されている。つまり、腰当て本体5の底部側が上部側よりも前後幅が広くなっている。
【0085】
このため、椅子全体を持ち運ぶ際に、使用者の手指が掛かる部分である腰当て本体5における左右方向中央部の下部が、手当たりのよい形態になっている。すなわち、腰当て本体5の底部は、手指が痛くなるような鋭角部分が出現し難い好適な形状を採り得るものとなっている。
【0086】
脚Aが、座Cに対して連結された脚支柱2を備えたものであり、脚支柱2が床面Rに対して傾いた姿勢を採り得るものであり、且つ、当該傾いた姿勢で座Cに対して着座可能に構成されている。
【0087】
このため、脚Aはスツールタイプの椅子として好適な態様を採り得るものとなっている。
【0088】
脚Aが、脚支柱2に対して一体的に連結され下面が床面Rに接し得る略曲面状をなした脚ベース1を備えたものである。
【0089】
このため、脚Aは、持ち運びにおける柔軟性にも優れるとともにスツールタイプの椅子として好適な態様を採り得るものとなっている。
【0090】
座Cの前後方向寸法w1が座Cの左右方向寸法w2よりも短く設定されている。
【0091】
このため、スツールタイプの椅子でありながらも、着座者が座Cに対して安定的に着座し得るものとなっている。
【0092】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0093】
腰当ての形状は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形し得るものである。すなわち、腰当ての形状は、平面視において、座における左右方向中央部の後端部と腰当て本体における左右方向中央部の前端部との間が離間するように設定されているものであれば、どのような形状のものであってもよい。
【0094】
腰当て本体における左右方向中央部の当接面が、下方に向かって漸次前方に位置するように傾斜していないものであってもよい。
【0095】
腰当て本体における左右方向中央部が、下方に向かって漸次前後厚み寸法が長くなるように形成されていないものであってもよい。例えば、腰当て本体における左右方向中央部が、上下方向に亘って略同じ厚み寸法に設定されていてもよい。
【0096】
脚は、脚ベースに対して脚支柱が揺動し得る構成のものであってもよい。
【0097】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0098】
5…腰当て本体
5c…当接面
6…座取付部
C…座
F…腰当て
ct…後端部
ft…前端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15