(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049156
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】電力量計用接続ブロック
(51)【国際特許分類】
G01R 11/04 20060101AFI20230403BHJP
G01R 22/06 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
G01R11/04 B
G01R22/06 130H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158727
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 旭
(57)【要約】
【課題】スマートメータに電圧計を接続する際に高い安全性を確保することができ、作業員の負荷を大幅に軽減することが可能な電力量計用接続ブロックを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる電力量計用接続ブロック(接続ブロック100)は、3本の電線302・304・306を電圧線端子、アース線端子、電圧線端子にそれぞれ接続するためのブロックであり、絶縁材料からなる基部110と、基部の略中央を貫通してアース線端子のネジ穴に締結されアース線端子と電線を電気的に接続する取付ネジ120と、基部において取付ネジの両側に配置され一対の電圧線端子と2本の電線それぞれを電気的に接続する2つの接触端子132・134とを有し、基部の裏面110bにおいては取付ネジの先端および2つの接触端子が突出し、基部の表面110aにおいては取付ネジの頭のみが露出していることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力量計の端子部に電圧計を接続する電力量計用接続ブロックであって、
前記端子部には、一次側および二次側に電圧線端子、アース線端子、電圧線端子がこの順に配列されていて、
前記アース線端子にはネジ穴が設けられていて、
当該電力量計用接続ブロックは3本の電線を前記電圧線端子、アース線端子、電圧線端子にそれぞれ接続するためのブロックであり、
絶縁材料からなる基部と、
前記基部の略中央を貫通して前記アース線端子の前記ネジ穴に締結され該アース線端子と前記電線を電気的に接続する取付ネジと、
前記基部において前記取付ネジの両側に配置され前記一対の電圧線端子と2本の前記電線それぞれを電気的に接続する2つの接触端子とを有し、
前記基部の裏面においては前記取付ネジの先端および前記2つの接触端子が突出し、
前記基部の表面においては前記取付ネジの頭のみが露出していることを特徴とする電力量計用接続ブロック。
【請求項2】
当該電力量計用接続ブロックは、前記基部の裏面から立設し前記取付ネジおよびその両側の前記2つの接触端子それぞれを前記端子部の2つの電圧線端子およびアース線端子に近づくように支持する柱部を有し、
前記柱部同士の隙間は、前記端子部の電圧線端子およびアース線端子間の隔壁の厚みより広く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電力量計用接続ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力量計の端子部に電圧計を接続する電力量計用接続ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
供給電力の品質を担保するために、電気事業者が需要家に設置された電力量計に電圧計を接続し、需要家への供給電力の電圧を計測することがある。需要家の電力量計に電圧計等の測定装置を接続するための治具としては、例えば特許文献1に、電力計の端子部にメモリ式記録計(電圧および電流測定計)を接続する端子治具が開示されている。
【0003】
特許文献1の端子治具は、端子部に着脱自在にネジ止めされる絶縁性ベース板と、ベース板の端子部との対向面に装着され、先端に端子部に弾性的に接触する突状接点が形成され、後端にメモリ式記録計から延びるリード線が接続されてベース板から導出された板バネ状の導電性リード板とで構成されている。特許文献1によれば、かかる構成により、電力量計での電圧・電流測定の際にその端子部との接続を簡便化できる端子治具を提供できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、従来のアナログ式の電力量計に替えて、通信機能を備えたデジタル式の電力量計であるスマートメータの普及が加速している。しかしながら、現状ではスマートメータに対して電圧計を接続するための専用の治具は開発されていない。このため、絶縁対策を施した上でスマートメータへの電圧計の接続作業を行っている。
【0006】
またスマートメータと電圧計との接続箇所は、低圧電流が流れる充電部である。このため、接続作業後に端子カバーを取り付けられない場合は、接続箇所を防護シート等の絶縁材料によって隠蔽(保護)する必要がある。このような接続作業や保護作業は細心の注意を払って行わなければならないため、作業員の負荷が大きかった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、スマートメータに電圧計を接続する際に高い安全性を確保することができ、作業員の負荷を大幅に軽減することが可能な電力量計用接続ブロックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる電力量計用接続ブロックの代表的な構成は、電力量計の端子部に電圧計を接続する電力量計用接続ブロックであって、端子部には、一次側および二次側に電圧線端子、アース線端子、電圧線端子がこの順に配列されていて、アース線端子にはネジ穴が設けられていて、当該電力量計用接続ブロックは3本の電線を電圧線端子、アース線端子、電圧線端子にそれぞれ接続するためのブロックであり、絶縁材料からなる基部と、基部の略中央を貫通してアース線端子のネジ穴に締結されアース線端子と電線を電気的に接続する取付ネジと、基部において取付ネジの両側に配置され一対の電圧線端子と2本の電線それぞれを電気的に接続する2つの接触端子とを有し、基部の裏面においては取付ネジの先端および2つの接触端子が突出し、基部の表面においては取付ネジの頭のみが露出していることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、電力計用接続ブロック(以下、接続ブロックと称する)の基部に電圧計の電線を保持させた状態でかかる基部のネジ穴に取付ネジを締結することで、接続ブロックを介して電圧計の電線が電力量計の端子部に取り付けられる。これにより、接続ブロックを介して電力量計の端子部と電圧計とが接続される。
【0010】
このとき、基部の裏面においては取付ネジの先端および2つの接触端子が突出しているため、電力量計の端子部と電圧計とは電気的に接続された状態となる。これに対し、基部の表面においてはアース線端子に接続される取付ネジの頭のみが露出している。換言すれば、充電されている部材(電圧線端子に接続された導電部材)は基部の表面には露出していない。したがって、感電の危険性が排除されるため、スマートメータに電圧計を接続する際に高い安全性を確保することができ、作業員の負荷を大幅に軽減することが可能となる。
【0011】
当該電力量計用接続ブロックは、基部の裏面から立設し取付ネジおよびその両側の2つの接触端子それぞれを端子部の2つの電圧線端子およびアース線端子に近づくように支持する柱部を有し、柱部同士の隙間は、端子部の電圧線端子およびアース線端子間の隔壁の厚みより広く形成されているとよい。
【0012】
かかる構成によれば、接続ブロックは基部と柱部によって断面がE字形状となり、接触端子が柱部によって覆われた状態となるため、感電をより確実に防ぐことができる。また端子部の隔壁が柱部同士の隙間に配置されるため、接続ブロックの手前側への出っ張りが少なくなる。したがって、電力量計の内部において接続ブロックが占めるスペースを減少させることができ、接続作業後に端子カバーを好適に取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スマートメータに電圧計を接続する際に高い安全性を確保することができ、作業員の負荷を大幅に軽減することが可能な電力量計用接続ブロックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態にかかる電力量計用接続ブロックを適用する電力量計を説明する図である。
【
図2】本実施形態にかかる接続ブロックを説明する図である。
【
図3】電力量計への本実施形態の接続ブロックの取付を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態にかかる電力量計用接続ブロック(以下、接続ブロック100と称する)を適用する電力量計200を説明する図である。
図1では、カバー260を外した状態の電力量計200を例示している。
【0017】
図1に示す電力量計200は、デジタル式のスマートメータであり、計量部210、端子部220、通信部250およびカバー260を含んで構成される。計量部210は、端子部220と接続されていて、端子部220が検出した電力を計量する。通信部250は、計量部210によって計量された需要家における電気使用量データを電気事業者に送信する。カバー260は、計量部210に取り付けられ、かかる計量部210に接続されている端子部220を覆って外部から遮蔽する。
【0018】
端子部220は、一次側端子230の三相交流および二次側端子240の三相交流の計6本の端子を有する。一次側端子230は、順に配列される電圧線端子232、アース線端子234、電圧線端子236からなる3本の端子によって構成される。二次側端子240は、順に配列される電圧線端子242、アース線端子244、電圧線端子246からなる3本の端子によって構成される。これらの端子にはバイパス工具を取り付けるためのネジ穴が設けられているが、そのうち一次側端子230のアース線端子234および二次側端子240のアース線端子244に形成されたネジ穴に238・248の符号を付している。
【0019】
本実施形態の接続ブロック100は、電力量計200の端子部220(本実施形態では一次側端子230を例示)に電圧計300を接続するための治具である。詳細には、接続ブロック100は、一次側端子230の電圧線端子232、アース線端子234、電圧線端子236それぞれに、電圧計300に接続される3本の電線302・304・306を接続する。
【0020】
図2は、本実施形態にかかる接続ブロック100を説明する図である。
図2(a)は、接続ブロック100の表面110aを上方から観察した斜視図である。
図2(b)は、接続ブロック100の裏面110bを下方から観察した斜視図である。
図3は、電力量計200への本実施形態の接続ブロック100の取付を説明する図である。
図4は、
図1の模式的な側面図である。
【0021】
図2(a)および(b)に示すように本実施形態の接続ブロック100は、基部110、取付ネジ120、および2つの接触端子132・134を含んで構成される。基部110は、絶縁材料(例えば樹脂)によって成形され、取付ネジ120とその両側に配置される2つの接触端子132・134を一体に支持する部材である。
【0022】
また
図2(b)に示すように基部110には3つの挿入穴112a・112b・112cが形成されている。この挿入穴112a-112cに電線302・304・306の端部をそれぞれ挿入することにより、電圧計300に接続される電線302・304・306が接続ブロック100の基部110に保持された状態となる。基部110の内部において、接触端子132と電線302が接続される。同様に、取付ネジ120と電線304が電気的に接続され、接触端子134と電線306が電気的に接続される。
【0023】
取付ネジ120は、
図2に示すように基部110の略中央を貫通し、
図3(a)に示すように一次側端子230のアース線端子234のネジ穴238(
図1参照)に締結される。これにより、接続ブロック100を介して電線304が電力量計200の端子部220に取り付けられ、一次側端子230のアース線端子234と電線304とが電気的に接続される。
【0024】
また取付ネジ120を締め付けると、取付ネジ120の両側に配置された接触端子132・134が電圧線端子232・236に押し当てられて導通する。これにより電圧線端子232と電線302が電気的に接続され、電圧線端子236と電線306が電気的に接続される。
【0025】
このとき本実施形態の接続ブロック100では、
図2(a)に示すように基部110の表面110aにおいては取付ネジ120の頭122のみが露出している。一方、
図2(b)に示すように基部110の裏面110bにおいては取付ネジ120の先端124および2つの接触端子132・134が突出している。
【0026】
すなわち本実施形態の接続ブロック100では、電力量計200の端子部220に取り付けた状態において、接触端子132・134に接続された導電部材(充電されている部材)は基部110の表面110aには露出しない。また、接続ブロック100を電力量計200に取り付ける作業においては、アース線端子234に取付ネジ120を締結する作業だけであるため、充電されている部材に触れる必要がない。これにより、感電の危険性を排除し、スマートメータである電力量計200に電圧計300を接続する際に高い安全性を確保することができる。したがって、作業員の負荷(負担)を大幅に軽減することが可能となる。
【0027】
また本実施形態の接続ブロック100では、
図2に示すように、接続ブロック100の裏面110bからは、取付ネジ120およびその両側の2つの接触端子132・134それぞれを、端子部220の2つの電圧線端子232・236およびアース線端子234に近づくように支持する柱部114・116・118が立設している。これにより、接続ブロック100の断面形状は基部110および柱部114-118とからなるE字形状となる。かかる構成によれば、接続ブロック100の接触端子132・134は、電圧線端子232・236と接触する箇所以外は柱部114・118によって覆われた状態となる。このため、感電をより確実に防ぐことができる。
【0028】
そして
図3(b)に示すように接続ブロック100の柱部114-118同士の隙間G1・G2は、端子部220の電圧線端子232・236およびアース線端子234間の隔壁222・224の厚みT1・T2より広く形成されている。
【0029】
上記構成によれば、端子部220の隔壁222・224が柱部114-118同士の隙間G1・G2に配置可能となるため、接続ブロック100の手前側への出っ張り(張り出し)が少なくなる。したがって
図4に示すように、電力量計200において接続ブロック100が占めるスペース減少させることができ、接続作業後に端子カバー260を取り付けることが可能となる。すると電圧線端子232・236・242・246を安全に覆うことが可能となることから、端子部220を絶縁材料の防護シートで覆う必要がない。この点においても作業員の負荷を減らすことができる。
【0030】
なお、
図4を参照すればわかるように、接続ブロック100を取り付けた状態でカバー260を閉じられるかどうかは、接続ブロック100の厚み(基部110の厚みと柱部114・116・118の高さの合計)次第である。しかしながら本発明の構成によれば、
図2に示したように接触端子132・134と電線302・306を内部で連結するだけの簡単な構造であるため、接続ブロック100の厚みを容易に薄く設定することができる。
【0031】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、電力量計の端子部に電圧計を接続する電力量計用接続ブロックとして利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
100…接続ブロック、110…基部、110a…表面、110b…裏面、112a…挿入穴、112b…挿入穴、112c…挿入穴、114…柱部、116…柱部、118…柱部、120…取付ネジ、122…頭、124…先端、132…接触端子、134…接触端子、200…電力量計、210…計量部、220…端子部、222…隔壁、224…隔壁、230…一次側端子、232…電圧線端子、234…アース線端子、236…電圧線端子、238…ネジ穴、240…二次側端子、242…電圧線端子、244…アース線端子、246…電圧線端子、248…ネジ穴、250…通信部、260…カバー、300…電圧計、302…電線、304…電線、306…電線