(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004916
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】自己再構成可能な適応型パワーエレクトロニクス・ビルディングブロック(A-PEBB)
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20230110BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20230110BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M7/48 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022096945
(22)【出願日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】17/358,059
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513132966
【氏名又は名称】ジーイー エナジー パワー コンバージョン テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GE Energy Power Conversion Technology Ltd.
【住所又は居所原語表記】Boughton Road,Rugby,Warwickshire CV21 1BU,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・マンケヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ツォ
【テーマコード(参考)】
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB81
5H730BB86
5H730BB88
5H730DD03
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE04
5H730EE13
5H730FF09
5H770CA05
5H770CA06
5H770DA01
5H770DA10
5H770DA41
5H770DA44
5H770JA17W
5H770JA17Y
5H770JA17Z
5H770KA01Z
5H770PA01
5H770PA21
5H770PA44
(57)【要約】 (修正有)
【課題】様々な時間変動ミッション要件、システムステータス、環境状況、様々な電源及び電力負荷に適応可能な移動体発電及びサポートを行う電力変換システムを提供する。
【解決手段】1以上の適応型パワーエレクトロニクス・ビルディングブロック(A-PEBB)の作業ラインで交換可能なユニット(LRU)の内部電力段300には、複数の電流経路選択スイッチ又はコンタクタ350が装備されている。電流フローは、電力段のHブリッジによる異なる電流経路に沿って動的に経路変更される。代替の電流経路選択により、臨界点でインダクタを導入したり、除去したりできるようになる。動作中に電流の経路変更を行うと、電力段で、電力コンバータは、DC/AC変換、AC/DC変換、AC/AC変換、DC/DC変換からの適応、バック変換からブースト変換への適応及び電流源変換モードから電圧源変換モードへの、動作中の適応を含む適応性が得られる。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応型電力コンバータ(500)の適応型電力段(A-PS)(300)であって、前記A-PS(300)は、
複数の電流経路選択交点(CRJ)(380)を備える再構成可能型Hブリッジコンバータ(RH-BC)(320)を形成するように配置され、かつ電気的に結合された4つの大電流ソリッド・ステート電源スイッチ(HCPS)(325)と、
各電流経路選択交点(380)モジュールに結合された複数のそれぞれの電流制御(CFC)モジュール(375)であって、各前記電流経路選択交点(380)モジュールは、1又は複数の電流コンタクタ(CFC)(350)を含む、複数のそれぞれの電流制御(CFC)モジュール(375)と、
を備え、
前記適応型電力段(300)は、複数の代替電力変換モード(392)に適応可能であり、前記複数の電力変換モード(392)はそれぞれ、前記CFCモジュール(375)の前記1又は複数の電流コンタクタ(350)の特定の開閉設定のセットを少なくとも部分的に介して決定される、
適応型電力コンバータ(500)の適応型電力段(A-PS)(300)。
【請求項2】
前記複数のCFCモジュール(375)のうちの少なくとも1つのCFCモジュール(375)は、
インダクタ(355)と、
前記インダクタ(355)を通る電流フローを有効にするか、又は前記インダクタ(355)を通る電流フローを阻止するように切り替え可能に設定され得る、1又は複数の電流コンタクタ(350)と
をさらに備える、請求項1に記載のA-PS(300)。
【請求項3】
前記複数のCFCモジュール(375)のうちの少なくとも1つのCFCモジュール(375)は、複数の電流コンタクタ(350)をさらに備え、前記複数の電流コンタクタ(350)は、
(i)第1の電流源(302.n)と前記RH-BC(320)との間における2つ以上の異なる電流経路、
(ii)第2の電流源(302.n)と前記RH-BC(320)との間における2つ以上の異なる電流経路、及び
(iii)第1の前記CFCモジュール(375.1)と第2の前記CFCモジュール(375.3)との間における2つ以上の異なる電流経路、
(iv)前記RH-BC(320)の選択された大電流電源スイッチ(325)に電流フローを通すか、又は電流フローを通さないかのいずれかを選択すること、
(v)前記RH-BC(320)の選択された前記大電流電源スイッチ(325)のドレイン(D)又はソース(S)から電流フローを流さないか、又は電流フローを流すかを選択すること、及び
(vi)前記RH-BC(320)の選択された前記大電流電源スイッチ(325)のドレイン(D)又はソース(S)に対し、前記第1の電流経路又は前記第2の電流経路のいずれかを選択すること、
のうちの少なくとも1つを提供するように結合されている、請求項1に記載のA-PS(300)。
【請求項4】
前記1又は複数の電流スイッチ(325)の開閉状態を制御するように構成された、マイクロ・コントローラ・ユニット(MCU)(227、327、527)をさらに備える、請求項1に記載のA-PS(300)。
【請求項5】
前記複数の電流制御(CFC)モジュール(375)は、第1の電源ポート(An、Bn)と前記RH-BC(320)モジュールとの間の電流フローがインダクタL1(355)を含むか含まないかを切り替え可能に決定するように構成されたCRCモジュールを備え、
前記インダクタL1(355)を含むことにより、前記第1の電源ポート(An、Bn)で電流源変換を行うよう、前記A-PS(300)が構成され、また
前記インダクタL1(355)を除外することにより、前記第1の電源ポート(An、Bn)で電圧源変換を行うよう、A-PS(300)が構成される、
請求項1に記載のA-PS(300)。
【請求項6】
前記複数の電流制御(CFC)モジュール(375)は、前記RH-BC(320)モジュールと前記A-PS(300)の第2の電源ポート(Xn、Yn)との間における複数の電流流路の中から組み合わせて選択するように構成された、複数のコンタクタSW3、SW4、SW5、SW6、SW7、SW16、SW8、SW9を有するCRCモジュールを備える、請求項1に記載のA-PS(300)。
【請求項7】
前記複数の代替電力変換モード(392)は、双方向DC/DCバックモード(CM1)、双方向DC/DCブーストモード(CM2)、双方向DC/DCバックブーストモード(CM3)、双方向DC/ACモード(CM4)、及び双方向AC/ACモード(CM5)を含む、請求項1に記載のA-PS(300)。
【請求項8】
前記複数の代替電力変換モード(392)は、双方向DC/AC又は双方向DC/DCモード(CM6)をさらに含む、請求項7に記載のA-PS(300)。
【請求項9】
前記A-PS(300)は、12個の電流コンタクタ(350)を備え、また
前記複数の代替変換モード(392)は、前記12個の電流コンタクタ(350)の開閉設定によって切り替え可能に選択され得る、
請求項8に記載のA-PS(300)。
【請求項10】
前記12個の電流コンタクタ(350)、前記2つのインダクタ(L1、L2(355))、及び前記4つの大電流電源スイッチ(325)は、
図3Aの概略構成に従って電気的に結合されている、請求項9に記載のA-PS(300)。
【請求項11】
前記複数の変換モード(392)は、
図3Cの表Λによる、前記電流コンタクタ(350)の特定の開閉設定を少なくとも部分的に介して選択され得る、請求項10に記載のA-PS(300)。
【請求項12】
前記電流コンタクタ(350)は、前記A-PS(300)の前記第1の電源ポート(302.1)と前記第2の電源ポート(302.2)との間のDC/AC電流又はAC/DC電流のいずれかに対する可逆フローを伴う、少なくとも1つの変換モード(392)を提供するように構成されており、前記電流コンタクタ(350)の単一の設定のセットは、DC/AC電流又はAC/DC電流のいずれかを提供する、請求項1に記載のA-PS(300)。
【請求項13】
適応型パワーエレクトロニクス・ビルディングブロック(200)の作業ラインで交換可能なユニット(A-PEBB LRU(200.A))であって、前記A-PEBB LRU(200.A)は、
第1の適応型電力段(300.1)及び第2の適応型電力段(300.2)と、
ソリッド・ステート・トランスフォーマ(222)と、
を備え、
前記第1の適応型電力段(300.1)と前記第2の適応型電力段(300.2)とは、前記ソリッド・ステート・トランスフォーマ(222)を介して直列に結合されており、
前記第1の適応型電力段(300.1)及び前記第2の適応型電力段(300.2)はそれぞれ、前記A-PEBB LRU(200.A)のそれぞれの第1の電源ポート(302.1)及び第2の電源ポート(302.2)を提供しており、また
前記A-PEBB LRU(200.A)は、前記第1及び第2の適応型電力段(300)の設定によって、複数の電力変換モード(392)に適応可能である、
適応型パワーエレクトロニクス・ビルディングブロック(200)の作業ラインで交換可能なユニット(A-PEBB LRU(200.A))。
【請求項14】
前記ソリッド・ステート・トランスフォーマ(222)は、高周波トランスフォーマ(222)を介して直列に結合された、第1の絶縁ブリッジコンバータ(210.1)と、第2の絶縁ブリッジコンバータ(210.2)とを備える、請求項13に記載のA-PEBB LRU(200.A)。
【請求項15】
前記第1の適応型電力段(300.1)及び前記第2の適応型電力段(300.2)のうちの前記適応型電力段(300)はそれぞれ、
複数の電流経路選択交点(CRJ)(380)を備える再構成可能型Hブリッジコンバータ(RH-BC)(320)を形成するように配置され、かつ電気的に結合された4つの大電流ソリッド・ステート電源スイッチ(HCPS)(325)と、
各電流経路選択交点(380)モジュールに結合された複数のそれぞれの電流制御(CFC)モジュール(375)であって、各前記電流経路選択交点(380)モジュールは、1又は複数の電流コンタクタ(CFC)(350)を含む、複数のそれぞれの電流制御(CFC)モジュール(375)と、
を備え、
前記適応型電力段(300)は、複数の代替電力変換モード(392)に適応可能であり、前記複数の電力変換モード(392)はそれぞれ、前記CFCモジュール(375)の前記1又は複数の電流コンタクタ(350)の特定の開閉設定のセットを少なくとも部分的に介して決定される、
請求項13に記載のA-PEBB LRU(200.A)。
【請求項16】
各前記適応型電力段(300)の少なくとも1つの前記CFCモジュール(375)は、
インダクタ(355)と、
前記インダクタ(355)を通る電流フローを有効にするか、又は前記インダクタ(355)を通る電流フローを阻止するように切り替え可能に設定され得る、1又は複数の電流コンタクタ(350)と
をさらに備える、請求項15に記載のA-PEBB LRU(200.A)。
【請求項17】
各前記適応型電力段(300)の少なくとも1つの前記CFCモジュール(375)は、複数の電流コンタクタ(350)をさらに備え、前記複数の電流コンタクタ(350)は、
(i)第1の電流源(302.n)と前記RH-BC(320)との間における2つ以上の異なる電流経路、
(ii)第2の電流源(302.n)と前記RH-BC(320)との間における2つ以上の異なる電流経路、及び
(iii)第1の前記CFCモジュール(375.1)と第2の前記CFCモジュール(375.3)との間における2つ以上の異なる電流経路、
(iv)前記RH-BC(320)の選択された大電流電源スイッチ(325)に電流フローを通すか、又は電流フローを通さないかのいずれかを選択すること、
(v)前記RH-BC(320)の選択された前記大電流電源スイッチ(325)のドレイン(D)又はソース(S)から電流フローを流さないか、又は電流フローを流すかを選択すること、及び
(vi)前記RH-BC(320)の選択された前記大電流電源スイッチ(325)のドレイン(D)又はソース(S)に対し、前記第1の電流経路又は前記第2の電流経路のいずれかを選択すること、
のうちの少なくとも1つを提供するように結合されている、請求項15に記載のA-PEBB LRU(200.A)。
【請求項18】
前記適応型電力段(300)を制御するように構成された、マイクロ・コントローラ・ユニット(MCU(227、327、527))をさらに備える、請求項15に記載のA-PEBB LRU(200.A)。
【請求項19】
前記複数の電力変換モード(392)は、双方向DC/DCバックモード(CM1)、双方向DC/DCブーストモード(CM2)、双方向DC/DCバックブーストモード(CM3)、双方向DC/ACモード(CM4)、及び双方向AC/ACモード(CM5)を含む、請求項13に記載のA-PEBB LRU(200.A)。
【請求項20】
前記複数の電力変換モード(392)は、双方向DC/AC又は双方向DC/DCモード(CM6)をさらに含む、請求項19に記載のA-PEBB LRU(200.A)。
【請求項21】
少なくとも1つの適応型パワーエレクトロニクス・ビルディングブロック(200)の作業ラインで交換可能なユニット(A-PEBB LRU(200.A))を備える、適応型パワーエレクトロニクス・ビルディングブロック(A-PEBB(200))電力コンバータ(500)であって、
前記A-PEBB LRU(200.A)は、複数の代替電力変換モード(392)に適応可能であり、前記複数の電力変換モード(392)はそれぞれ、前記A-PEBB LRU(200.A)の1又は複数の切替え可能な電流コンタクタ(350)の特定の各開閉設定のセットを少なくとも部分的に介して決定され、
前記A-PEBB電力コンバータ(500)は、前記少なくとも1つのA-PEBB LRU(200.A)の前記電力変換モード(392)の設定によって、前記複数の代替電力変換モード(392)に適応可能である、
適応型パワーエレクトロニクス・ビルディングブロック(A-PEBB(200))電力コンバータ(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、概して、高パワーエレクトロニクスの電力システムに関し、より詳細には、数百又は数千ボルトの定格電圧及びメガワット負荷の高パワー電力システムの電圧又は電流を変換する高出力コンバータに関する。本主題はさらに、モジュール式のスケーラブルな電力コンバータの基本要素である、パワーエレクトロニクス・ビルディングブロック(power electronics building block:PEBB)に関する。
【背景技術】
【0002】
電力コンバータとPEBB:メガワット負荷で数百又は数千ボルトを送電する能力を有する中高出力電力グリッドシステムは、工業プラント、工場、オフィスビル、アパート、又は都市全体で使用される大規模電力システムに電力を供給することができる。大型輸送車両(大型船や大型航空機などである)は、搭載型発電機と、メガワット負荷をサポートできる、関連する車両敷設送電グリッドとをさらに有する場合がある。
【0003】
そのような送電グリッドの1つの要素としては、例えば、中高パワーエレクトロニクスの分散型電力バス及び分散型電力グリッドにおいて電力を変換する、電力変換システム、即ち電力コンバータがある。そのような電力コンバータは、(i)電圧を高電圧から低電圧へと変換することができ、(ii)電圧を低電圧から高電圧へと変換することができ、(iii)1つの交流周波数から別の交流周波数へと電力変換することができ、あるいは(iv)直流電流から交流電流へと、又は交流電流から直流電流へと電力変換することができる。電力コンバータは、位相変換や電気信号のフィルタリング又はクリーンアップなどの追加の機能も実行することができる。
【0004】
電力コンバータのための本システム及び方法は、船や航空機に見られるようなマイクログリッドに、とりわけ適しているとは限らない。(グリッド及びマイクログリッドは、本明細書では概して「電力システム」と呼んでいる)
【0005】
電力システムは一般に、発電要素、送電要素、配電要素、及び最終用途要素からなる。電流方式での発電は、1又は複数の発電機(これらは化石燃料又は原子力によって燃料供給され得る)によって、又は太陽光発電及び風車などの再生可能エネルギーシステムによって供給されている。その最終負荷(電力を使用する装置である)に至る途中で、電力は通常、1又は複数の電力コンバータによって受け取られ、かつ送電される。例えば、発電機側コンバータは、ステータバスを介して発電機から交流(AC)電力を受け取ることができ、またこのAC電力を、電力グリッド周波数などの適切な出力周波数へと変換することができる。AC電力は、電力線バスを介して電力グリッドへと供給される。
【0006】
低電圧、中電圧、及び高電圧が厳密に定義されているものではないが、例えば、「低電圧」という用語が1.5kV以下の電圧を指す場合があり、「中電圧」が1.5kVよりも高く、かつ100kVよりも低い電圧を指す場合があり、また、高電圧が100kV以上の電圧を指す場合がある。
【0007】
パワーエレクトロニクス・ビルディングブロック(PEBB)は、電力コンバータの構造的かつ機能的要素である。PEBBは、任意の入力電力を所望の電圧、電流、及び周波数出力へと変換する任意の電力プロセッサであり得る。PEBBは、典型的には複数の相互接続されたPEBBを使用する、モジュール式のスケーラブルな電力コンバータアーキテクチャの一部として使用されることを意図している。各PEBBは様々な電力用途で使用され得、そのすべてのインターフェース及び操作設定が構成可能である。
【0008】
PEBBでは、典型的には、電力トランジスタ及び電力ダイオード、ゲートドライブ、並びに他の構成要素を、(i)構成可能かつ明確に定義された機能、(ii)標準化されたハードウェア、(iii)制御インターフェース、及び(iv)他のPEBBとの相互運用性を兼ね備えたビルディングブロックへと組み込んでいる。
【0009】
コンパクトな空間を要件とする船舶及び他の環境用途の電力コンバータでは、例えば軍用及び商用の船や航空機などの特定の環境において、空間の利用を重視している。その結果、船舶では、陸上環境で使用され得るものよりも小型の電力コンバータが必要となる。また、海上用途のための電力変換システムの重量を低減することも望ましい。電力コンバータの体積及び電力コンバータの重量を低減することで、出力密度が改善され、また船に対する抵抗が減少することになる。
【0010】
海上用途では、政府と産業界の両者が主導するPEBBの研究開発努力において、「PEBB 1000最小/作業ラインで交換可能なユニット」(以下、「PEBB 1000 LRU」と呼ぶ)とも呼ばれるPEBB 1000のビルディングブロックを中心に取り組まれている。
【0011】
既知のハードウェア構成では、PEBB 1000 LRUは、中央に配置された高周波ソリッド・ステート・トランスフォーマを備える3つ又は4つの電力変換段を有する。従来のモジュール式の3段又は4段型PEBB 1000 LRUは、PEBB 1000の両側に約1キロボルト(1kV)(又はそれ以下)のDC電圧又はAC電圧を有する。従来型のPEBB 1000 LRUの中央にある高周波(HF)トランスフォーマは、1対1(単位)の巻線比を有し、このことは、従来の電力使用で、対称性、単純さ、及び異なるPEBB 1000 LRUにおいて共通部品又は構成要素(即ち、1対1比トランスフォーマの取決め又は規格である)が存在するという特定の利点を有し得る。
【0012】
この従来型のPEBB 1000 LRUのハードウェア構成はまた、その内部で、十分な高電圧が得られる1.2kV又は1.7kVの定格電圧のSiC MOSFETデバイス及び/又は1.2kV又は1.7kVのIGBTデバイスをスイッチングに利用している。既知の従来型PEBB 1000 LRUは、85kW~125kWの共通定格電力であり、また、680V~1kV DC又は480V AC~707V ACの範囲の電圧を供給している。1メガワット(1MW)以下の電力用途、及び12kVを下回る電力用途では、共通の又は一体化されたハードウェア電力コンバータは、典型的には、(個々の用途の電圧要件に応じて)その両側に並列又はカスケード接続を配した状態の、12個のPEBB 1000 LRUを使用して構築されている。通常、従来型の海上電力コンバータ(パルス負荷、エネルギー貯蔵手段、及びエネルギー格納手段を含む)は、コンバータに12個のPEBB 1000 LRUを使用しており、また、その定格電圧を、1kV DCから450V AC、1kV DCから4160V AC、1kV DCから6kV DC、又は1kV DCから12kV DCへとPEBB変換できるようにしている。
【0013】
ミッションが船舶に固定された電力コンバータの設計上の制限
従来技術では、船舶及び他の限られた空間用途の電力コンバータは、典型的には、適切ではあるが固定された電源及び電力要件一式を伴い、ミッション又はミッションの範囲が確立され、かつ比較的明確に規定されている有人船舶での使用に指定された、固有の固定された電力アーキテクチャの枠組み内で設計されている。例えば、第1の船「A」は軍用艦艇(例えば、駆逐艦又は巡洋艦)であり得、第2の船「B」は調査船であり得、また、第3の船「C」は貨物船又は輸送船であり得る。
【0014】
電源については、特定船「A」は、ガスタービン駆動の主発電機、エネルギー貯蔵手段用の燃料電池、陸上電力供給用(当該船がドック内にある場合)のインターフェース、及び補助ディーゼル発電機を有し得る。負荷については、船「A」は、左舷推進モータ、右舷推進モータ、レーダ負荷、ソナー負荷、1又は複数のパルス負荷(兵器システムなどである)、及び様々な船舶サービスセンターを有し得る。船「A」のすべての負荷が、当該期間の全期間又は略大部分において使用されること、又は一部の負荷が、当該期間の一部においてのみではあるが、電力需要が高い状態で使用されることが予想され得る。
【0015】
これらの要因を念頭に置いて、船A用の船全体の電力コンバータシステム、及び固有の電力コンバータサブシステムを、AC/DCコンバータ、DC/ACコンバータ、並びにDC/DCコンバータ及び/又はAC/ACコンバータ(インバータ及び他の要素と共に)の「Pa-A」という特定の電力アーキテクチャ(又は電力トポロジ)で設計することができる。複数の様々なコンバータは、径方向配電システム又は帯状配電システムなどの特定の構成で、船全体に配置かつ結合され得る。
【0016】
調査船「B」は、船「A」と同様の寸法を有し、また、全体消費電力又は最大消費電力も船「A」と同様であり得る。ただし「B」は、「A」と比較してそのミッション(又はミッションの範囲)が異なるため、より多数又はより少数の異なった電源、及びより多数又はより少数の異なった負荷を用いて設計されている。したがって、船B全体の電力コンバータアーキテクチャ「Pa-B」は、船Aの「Pa-A」とは著しく異なり得る。同様の考慮事項は船Cにも当てはまり得る。
【0017】
船A、B、及びCはそれぞれ、そのミッション要件に合わせて設計された固有の電力アーキテクチャによって、制約を受けている。このことは、様々なミッションを目的とした船A、B、又はCのいずれかの適応性を制限する恐れがある。このような制限は、一船群内でもなお当てはまり得る。例えば、2隻の軍用艦艇A1及びA2のうち、1隻は駆逐艦であり、もう1隻は巡洋艦である場合、これらは通常、それらの電力アーキテクチャが固定された固有のものであることに少なくとも一部起因して、そのミッション範囲及び適応性が規定されている。
【0018】
無人完全自律航行艦(No Manning Required Ships:NOMARS):軍用艦艇及び他の艦艇の設計は多様であり、「無人完全自律航行艦(NOMARS)」を含む。そのような艦艇は、適応性があり、かつ柔軟なミッション要件を有し、また(潜在的に)適応性がある電源構成及び負荷構成を有する無人艦艇であり得る。(例えば、そのような艦艇がドック内にある場合、電源及び負荷が交換され得る)そのようなNOMARS艦艇は、就航中に無人になることから生じる様々な利点に加えて、平時の様々な軍事ミッション、戦闘時の軍事ミッション、さらには厳密に商業的なミッション又は民間のミッションに対するものよりも高い適応性を有する可能性がある。
【0019】
NOMARSの電力システム:最大のミッション適応性を確実に得るために、NOMARSは、様々な電源/エネルギー源(原動機又は発電機セット、太陽光PV、エネルギー貯蔵手段などである)、及び様々な負荷(AC負荷、DC負荷、パルス負荷、連続負荷、及びUPS負荷などである)に適応可能な、一体化された柔軟な発電及び配電システムを必要とする。多様なミッションに適応可能であるそのようなNOMARS電力システムの重要な特性又は特徴には、当該艦艇の状態(運航状態及び正常性状態)、及び当該艦艇が置かれている状況又は周辺環境に基づくモジュール性及び適応性が含まれる。
【0020】
したがって、艦艇の就航中にハードウェアの交換を一切必要とせずに、ミッションの適応及び変更を支援するのに適した、高度なパワーエレクトロニクス・アーキテクチャが必要とされている。さらに必要とされているのは、NOMARS艦艇、並びに無人潜水艦、無人航空機、ひいては無人水上艇、無人飛行機、及び無人探査機などの他の無人車両(unmanned vehicle:UxV)における発電及び配電に適したパワーエレクトロニクス・ビルディングブロック(PEBB)である。
【発明の概要】
【0021】
いくつかの実施形態では、本システムは、接続された複数の別個のパワービルディングブロック(これらは例えば、バックプレーン又は電源ケーブルを介して互いに結合されてもよい)を備える、適応型電力コンバータシステムを提供する。これらのビルディングブロックの少なくとも一部、場合によってすべては、適応型パワーエレクトロニクス・ビルディングブロックの最小交換可能なユニット(A-PEBB LRU)である。例示的な一実施形態では、A-PEBB LRUは、SiC MOSFETを用いて構築することができ、また自己再構成可能な接続トポロジを採用している。
【0022】
例示的な一実施形態では、A-PEBB LRUは、電気的に直列に結合されたフルブリッジコンバータ(Hブリッジとも呼ばれる)であってもよい、4つの電力段を含み得る別個のユニットである。一連の4つの電力段は、2つの外側Hブリッジ(概して「電力源」と呼ばれる電源又は電力負荷に接続されている)で始端かつ終端している。2つの外側ブリッジの間には、高周波の(100kHz~200kHzの)絶縁ソリッド・ステート・トランスフォーマを介して結合された、2つの内側ブリッジ又は電力段が挟置されている。2つの外側ブリッジ又は電力段は、自己構成可能型電力段又は適応型電力段である。自己構成可能型電力段(self-configurable power stage:SCPS)は、ある点では自己構成可能型Hブリッジ(self-configurable H-Bridge:SCHB)とも呼ばれ得る。
【0023】
例示的な一実施形態では、SCPSは、各々が逆並列ダイオードを有する4つのSiC MOSFETスイッチ又はデバイスと、複数の電力コンタクタ(機械式スイッチ、機械式リレー)及び/又は電子スイッチ(低電力トランジスタ)とで構成されていてもよく、この電力コンタクタを使用してSCPS内の電流経路の流れを変更し、それによってSCPSの動作をリアルタイムで適応させることができる。加えて、SCPS内のいくつかのインダクタを使用して、内部の電流フローをさらに調整することができる。例示的な一実施形態では、2つの別個のインダクタ(即ち、トランスフォーマユニットの一部ではないインダクタ)が使用されてもよい。本明細書では以下に、これらの素子で使用する1つの例示的な接続トポロジを示している。
【0024】
適応型SCPSは低電力トランジスタを介して、任意の所与の時間に、双方向DC/DCコンバータ、双方向DC/ACコンバータ、又は双方向AC/ACコンバータのいずれか1つとして様々に機能するように自己構成され得、これは即ち、SCPSが複数の適応型電力変換モードを有し、またそのすべてに、小型の高周波絶縁トランスフォーマが組み込まれていることを意味する。
【0025】
SCPSは、これらのモードの中でもとりわけ、双方向バックDC/DCコンバータ、双方向ブーストDC/DCコンバータ、又は双方向バックブーストDC/DCコンバータのいずれか1つとして自己構成され得る。外側Hブリッジの動作モードを適切に変更することにより、A-PEBB全体の動作モードが、様々な電力用途や様々なミッションモードに合わせて変更又は再構成され得る。
【0026】
本発明の実施形態の効果的な設計は、独立請求項及び従属請求項、本明細書、並びに図面から結果として得られるものである。以下で、本発明の実施形態の好適な実施例について、添付の図面を用いて詳細に説明する。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する図面は、本発明を例示し、また説明と共に本発明の原理を説明し、1又は複数の当業者が本発明を作製かつ使用することを可能にする役目をさらに果たしている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】例えば船舶電力システムであってもよい、例示的な大規模電力システムを示す概略図である。
【
図2】本システム及び方法による、例示的な適応型パワーエレクトロニクス・ビルディングブロック(A-PEBB)の作業ラインで交換可能なユニット(LRU)、即ちA-PEBB LRUを示す図である。
【
図3A】本システム及び方法による、例示的な適応型電力段(A-PS)を示す概略図である。
【
図3B】
図3Aの適応型電力段(A-PS)を示す別の例示的な図である。
【
図3C】
図3Aの例示的なA-PSにおいて適合する電力コンタクタの設定による、電力変換モードを示す例示的な表である。
【
図4A】電力コンタクタが選択された2つの特定の電力モードのいずれかに設定された状態の、
図3Aの例示的なA-PSを示す概略図である。
【
図4B】電力コンタクタがある選択された特定の電力モードに設定された状態の、
図3Aの例示的なA-PSを示す概略図である。
【
図4C】電力コンタクタが選択された2つの特定の電力モードのいずれかに設定された状態の、
図3Aの例示的なA-PSを示す概略図である。
【
図4D】電力コンタクタが選択された2つの特定の電力モードのいずれかに設定された状態の、
図3Aの例示的なA-PSを示す概略図である。
【
図5】複数のA-PSから作製された複数のA-PEBB LRUを備える、例示的な双方向全波DC/ACコンバータを示す概略図である。
【
図6A】
図5のA-PEBBベースのコンバータ用の、自己構成可能な適応型出力フィルタを示す概略図である。
【
図6B】
図6Aの自己構成可能な適応型出力フィルタにおける、電源スイッチ又は電力コンタクタの状態又は位置(開位置又は閉位置である)を示す例示的な表である。
【
図7】例示的なA-PEBBベースの電力コンバータの自己構成プロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図中のテキストに関して:図中のあらゆるテキストは、読者にある要素の少なくとも1つの有効な実施形態を想起させるべく、理解を補助するために便宜上提供されている。そのようなテキストは限定と解釈されるべきではなく、本開示内に記載されているように、追加の又は代替のラベル、名称、若しくは代替的な実施形態によって異なる要素が認識されるか、又は理解されてもよい。図に示されている具体的な機能値又は動作値(例えば、電圧値又は電力値である)が例示的なものにすぎず、限定的なものではないと解釈されるべきである。
【0029】
例示的な実施形態が、特定の用途に合わせて本明細書に記載されているが、本開示がそれらの用途に限定されないことを理解されたい。
【0030】
以下の発明を実施するための形態は本質的に単なる例示であり、開示されたシステム、構成、及び方法を限定することも、開示されたシステム、構成、及び方法の要素又はステップを限定することも、また、本明細書に開示された本システム、方法、及び構成の用途を限定することも意図していない。また、先行する発明の背景又は発明の概要、及び以下の発明を実施するための形態に提示されているいかなる理論にもその範囲が制限又は限定される意図はなく、またいかなる理論によってもその範囲が制限又は限定される意図はない。本明細書で提供される開示内容を知る当業者であれば、その範囲内の更なる修正形態、用途及び実施形態、並びに本開示が非常に大きな有用性を有する更なる分野を認識するであろう。
【0031】
本出願全体を通して、様々な実施形態の説明では、本システム及び方法が記載されている特定の要素又はステップを含み得ることを示す「包含する(comprising)」用語を使用することができるが、本システム及び方法は、記載されていない、又は他の実施形態と併せて記載されている、又は図面にのみ示されている、又は電力システムの機能に必要であると当技術分野でも周知の他の要素又はステップを同様に含むことができる。しかしながら、いくつかの具体的な例では、「実質的に~からなる(consisting essentially of)」又は「~からなる(consisting of)」という用語を使用して、ある実施形態を代替的に説明できることが当業者によって理解されるであろう。
【0032】
本開示内容をより一層理解するためであって、本開示内容の範囲を決して限定するものではないが、特に明記しない限り、単数形の使用が複数形をも含むことは、当業者には明らかであろう。それ故、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「少なくとも1つの(at least one)」という用語は、本出願では交換可能に使用される。
【0033】
この発明を実施するための形態で使用される見出しは、本明細書が読解しやすくなり、かつ案内しやすくなるのを補助するためにのみ存在するため、これを定義又は限定するものとして解釈すべきではない。
【0034】
本システム及び方法が以下に記載している実施形態に限定されることはなく、これらの実施形態も単なる例示にすぎない。正しくは、本システム及び方法の全範囲は、以下の特許請求の範囲に記載されている。添付の特許請求の範囲自体が開示であり、本システム及び方法の全範囲が、これら特許請求の範囲にのみ記載されている要素を含み得ることがさらに理解されるであろう。
【0035】
大規模電力システム
大規模電力システム100は、大規模用途で共に使用される複合発電、配電、及び電力使用システムとして理解されてもよい。
図1は、例えば船舶電力システムであってもよい、例示的な大規模電力システム100を示す図である。そのような大規模電力システム100は、例えば、大型船(軍用艦艇、貨物船、旅客定期船又は大型ヨットである)、工場、集合住宅建物(アパートやマンションである)、オフィスビル、校舎、研究所、及び典型的にはキロワット以上の電力需要を伴う他の環境を含んでもよいが、これらに限定されない。一部のそのような大規模電力システム100では、1又は複数の一次電源110.1がオフサイトに設置されて(都市全体によって共有される共通発電プラントなどである)もよく、他のこのような大規模電力システムの場合は、一次発電源110.1がローカルに設置されて(例えば、独自の発電機を備える船、又は太陽光発電パネルによって電力供給されるキャンパスなどである)もよい。
【0036】
電力システム100は、例えば(I)電力源110と、(II)電力コンバータ500とを備えていてもよい。これらについては、直下でさらに述べる。
【0037】
(I)電力源110は概して、以下の電力サブシステムのいずれかを指すものであり、これらは、
(i)電源110.1(例えば、電池、ウルトラキャパシタ、他の形態のエネルギー貯蔵モジュール、多機能エネルギー貯蔵モジュール(multi-function energy storage module:MFESM)、発電機、太陽光発電パネル、電力グリッドを含むが、これらに限定されない)、又は
(ii)電力用負荷110.2(レーザ、センサ、電灯、電動機、加熱システム及び冷却システム、レーダ、ソナー、医療機器、圧縮機、ポンプ、デジタルシステム、通信システム、及び稼働させるのに電力を要する他のシステムを含むが、これらに限定されない)である。
【0038】
電源110.1は、(i)発電機と、(ii)発電設備(例えば、蒸気タービンエンジン、燃焼タービンエンジン、レシプロエンジン、風力タービン、及び原子力発電機である)を駆動する燃料消費装置である「原動機」とを組み合わせた、発電機セットを含んでいてもよい。電源110.1は、蓄電池、太陽光発電パネル、及びキャパシタンスベースの電池又はウルトラキャパシタ若しくはスーパーキャパシタをさらに含んでいてもよい。
【0039】
(II)パワーエレクトロニクス・ビルディングブロック・コンバータ(PEBBコンバータ)500は、配電システム115全体の一部として使用されている。PEBBコンバータ500は、電圧を昇圧かつ/又は降圧して、AC電流をDC電流へと変換し、かつDC電流をAC電流へと変換し、次いで異なる負荷110.2間で電力を分配するように機能している。配電システム115は、システム全体の電力潮流の経路選択又は制御を行うための様々な経路選択スイッチRSを含んでいてもよく、これに対して当該スイッチRSは、様々な実施形態において、場合によってはPEBBコンバータ500と一体化されていてもよい。当該配電システムは、電源ケーブル及び電源ワイヤ120、並びに回路遮断器、ローカル電源コンセント及びローカル電源スイッチ(即ち、居室レベルの電源オンスイッチ又は電源オフスイッチである)などの他の素子、並びに当技術分野で公知であるが、
図1には示されていない他の素子をさらに含む。
【0040】
本システム及び方法は、電力コンバータ500、及び電力コンバータにおけるPEBB LRU 200などの構造的ビルディングブロック200(PEBB)に関するものであるため、本明細書に記載のシステムは概して、電源端にある1又は複数の電源110.1と、1又は複数の負荷110.2とで稼働するように構成されている。慣例により、当該電源はPEBB 500の「第1の端部」又は「電源端」と呼ばれるものに装着されており、当該負荷は、PEBB 500における、従来から「第2の端部」又は「負荷端」と呼ばれるものに接続されている。ただしなお、
(i)システムトポロジがより大きくなると、複数の電源接続点及び/又は負荷接続点を伴い得るので、これらの「端部」が、物理システムにおいて構造的に対向する2つの端部を指すと必ずしも解釈されるべきではなく、また、
(ii)いくつかの例示的な実施形態では、電源接続部が負荷接続部となるか、又は負荷接続部が電源接続部となるように、A-PEBB LRU 200.A及びPEBB 500が適応又は再構成され得るということが、本システム及び方法を構成する一要素である。
【0041】
適応型PEBB(A-PEBB):
図1では、例示的なPEBBコンバータ500は、適応型PEBB 500.A(A-PEBB)であり、これについては本明細書全体を通してさらに詳述している。
図1には1台のA-PEBBコンバータ500のみが示されているが、単一の大規模電力システム100が複数のPEBBコンバータ500を使用(その一部は、本システム及び方法の中心であるA-PEBBコンバータ500.Aと共に使用される、従来型のPEBBコンバータであってもよい)してもよいことを、当業者であれば理解するであろう。
【0042】
さらに、
図1のA-PEBBコンバータ500が、「変更不可能型PEBB LRU」200.ncとも呼ばれる2個の従来型のPEBB LRUと共に、3つのA-PEBB LRU 200.A(
図1には示されていない相互接続を伴うが、これについては
図5を参照されたい)を有するものとして示されていることにも留意されたい。本形態は単なる例示にすぎず、A-PEBBコンバータは様々な実施形態において、1個、2個、又はそれ以上の内部A-PEBB LRU 200.Aを有してもよい一方、0個、1個、又はそれ以上の変更不可能型PEBB LRU 200.ncを有してもよい。(本システム及び方法のいくつかの例示的な実施形態では、単一のA-PEBB LRU 200.Aであっても、単一のスタンドアロンA-PEBB電力コンバータ500.Aとして機能することができる。より典型的な用途では、A-PEBBコンバータ500.Aが、2個以上のPEBB LRU 200を有する。)
【0043】
以下に説明し、かつ開示するに際し、また添付の特許請求の範囲において、特に明記しない限り、電力コンバータ500及びA-PEBB LRU 200として本明細書に開示されるシステムは、電力を供給するか、又は電力コンバータ500.Aの電力負荷として機能する電力源110(電源又は負荷である)とは別個とされ、なおかつ区別される機能ハードウェアユニットとして解釈されるべきである。ただし、一部の文脈及びシステムトポロジにおいては、第1の電力コンバータ500.Aが第2の電力コンバータ500.Aの電源であってもよい一方、第2の電力コンバータ500.Aが同様に、第1の電力コンバータ500.Aの負荷と見なされてもよいことが理解されるであろう。
【0044】
電力コンバータ500と電力システム100:
図1は単一のA-PEBBコンバータ500を示しているが、大規模電力システムが、複数の相互接続されたA-PEBBコンバータ500.Aを(場合によっては1又は複数の従来型のPEBBコンバータと共に)使用することができ、ここで、一部のA-PEBBコンバータ500が様々な負荷の終端電源であり、その他のA-PEBBコンバータが、中間電源による電圧又は電流の変換を提供することを、当業者であれば理解するであろう。そのような電力システムのトポロジの詳細事項は、本明細書の範囲外である。
【0045】
「バック」と「ブースト」
本明細書では、「バックコンバータ」という用語は、より高い入力電圧Bを受け入れ、次いでそれをより低い電圧Aへと低減又は降圧する電力コンバータを指す。本明細書で使用される「バッキング」とは、電圧をBからAへと降圧する行為又はプロセスを指す。
【0046】
本明細書では、「ブーストコンバータ」という用語は、より低い入力電圧Aを受け入れ、次いでそれをより高い電圧Bまで増大又は昇圧する電力コンバータを指す。本明細書で使用される「ブースティング」とは、電圧をBからAまで昇圧する行為又はプロセスを指す。
【0047】
例示的な適応型電力システム
例示的な実施形態では、本システム及び方法は、システム100全体における様々な電源又はエネルギー源110.1(原動機又は発電機セット、太陽光発電、エネルギー貯蔵手段(電池などである)及び様々な負荷110.2(AC負荷、DC負荷、パルス負荷、連続負荷、及びUPS負荷などである)に適応可能な、一体化された適応型又は柔軟な発電又は配電システム100を部分的に対象としている。
【0048】
そのような適応型電力システム100を使用して、例えば「無人完全自律航行艦(NOMARS)の船舶における電力用途をサポートすることができる。多様なミッションを有する艦艇を対象としたNOMARS電力システム100は、当該艦艇の運航状態及び正常性状態に基づく、また様々なミッション要件に基づく、さらには当該艦艇が置かれている状況的環境に基づくモジュール性及び適応性を必要とする。主要な実現技術としての先進パワーエレクトロニクスは、このような柔軟なNOMARS発電及び配電システムにおいて、極めて重要な役割を果たすであろう。
【0049】
なお例示的な実施形態では、本システム及び方法は、NOMARSシステムを背景として本明細書に記載され得るが、本システムは、例えば無人航空機(unmanned aerial vehicles:UAV)、無人水上艇(unmanned surface vehicles:USV)、及び他の無人自律船、無人自律飛行機及び無人自律車両を含むが、これらに限定されない他の無人車両(unmanned vehicle:UxV)での使用に同様に適用することができる。
【0050】
本システム及び方法は、自律的であり、なおかつミッション又は状況にも適応可能な稼働を要する非移動式(固定型)施設の一部である、大規模電力システム100でも同様に使用されてもよい。本システム及び方法は、異なる時間に定位置で様々な施設をサポートするために使用される、移動可能な移動体発電システムである、大規模電力システム100でも同様に使用されてもよい。
【0051】
一方で、適応型の大規模電力システム100は、
図1の例示的なシステム100で示すように、適応型パワーエレクトロニクス・コンバータ500.Aを使用してもよい。これに対して、かつ
図1及び
図5の両方から明らかなように、適応型パワーエレクトロニクス・コンバータは、フィールド適応可能な1又は複数の適応型の作業ラインで交換可能なユニットA-PEBB LRU 200から構築されてもよい。
【0052】
一部の変更不可能型PEBB LRU 200.ncの動作については当技術分野で公知であるため、それらの構成要素、アーキテクチャ、トポロジ、及び動作の説明を、本明細書で詳細に提示することはしない。なお、ゼネラル・エレクトリック社が、過去にこのような電力システムPEBB LRU 200.ncを開発しており、今後もこのような開発を継続する予定であるが、これについては、例えば[過去に出願された特許出願の特許番号を、ここに入力]などを参照されたい。
【0053】
図2は、本システム及び方法による、例示的なA-PEBBの作業ラインで交換可能なユニット(A-PEBB LRU)200.Aを示す図である。例示的なA-PEBB LRU 200.Aは、電気的に直列に結合された4つの電力段210、300を含む。
【0054】
適応型末端電力段:
図2から分かるように、例示的な一実施形態では、これら4つの電力段は、適応型電力段である2つの末端電力段300.1及び300.2を含み、これら2つの末端電力段の内部動作について、以下にさらに述べる(とりわけ
図3及び
図4を参照されたい)。本システム及び方法のいくつかの例示的な実施形態では、1又は複数の電源110.1からの電源電力273.1が2つの末端電力段300の一方(端子X0、Y0において)で受け取られてもよい一方、負荷110.2の出力電力273.2は、2つの末端段300のもう一方(端子X5、Y5から)から到来してもよい。
【0055】
なお、当該図では入力電力が電力段300.1に供給されており、出力電力が電力段300.2から出力されているが、これは例示のみを目的としており、限定するものではない。いくつかの実施形態では、本システム及び方法の利点は、A-PEBB LRU 200.Aを通る電圧の変化及び/又は(直流の)電流フローの方向を反転させることにより、例えばDC電流が端子X5、Y5で入力され、また出力電流が端子X0、Y0で得られるように、適応型電力段300をフィールド再構成できることにある。
【0056】
A-PEBBの末端電力段300の各々は概して、電流の方向を変更すること、電圧降下の方向を変更すること、A-PEBB LRU 200.A全体の動作切替モードを、例えばバックからブーストへ、AC/ACからAC/DCへ、DC/ACへ、又はDC/DCへと変更すること、又は電流源コンバータ500から電圧源コンバータへ、又は電圧源コンバータから電流源コンバータ500へと動作全体を変更することのうちのいずれか又はすべてに対して、フィールド適応可能である。A-PEBB LRU 200.A全体の動作モードを効果的に制御するには、2つの末端A-PEBB LRU 300間のモード切替えを調整することが必要になり得る。
【0057】
ソリッド・ステート・トランスフォーマ:さらに
図2を参照すると、A-PEBB LRU 200.Aの例示的な実施形態では、2つの末端A-PEBB LRU 300の間に挟置されており、かつそれらの間に電気的に直列に結合されている内部セクション232が存在する。一実施形態では、内部セクション232は、高周波トランスフォーマ222と直列に結合された第1の絶縁電力段210.1を含み、高周波トランスフォーマ222自体は、第2の絶縁電力段210.2とさらに直列に結合されている。例示的な一実施形態では、様々な電力段210、300は、トランスフォーマ222と共に、例示的なキャパシタ270を介して結合されてもよい。
【0058】
第1及び第2の絶縁電力段210は、フルブリッジコンバータとして機能している。トランスフォーマ222は、電圧インダクタンスの形態で2つの内部電力段210間の電力送電を提供している一方で、全体としては、例示的なA-PEBB LRU 200.Aの末端段300間のガルバニック絶縁をさらに提供している。内部セクション232全体、即ちトランスフォーマ222本体を、2つの内部電力段210と共に、小型の高周波(100kHz~200kHz)絶縁ソリッド・ステート・トランスフォーマ232の要素として見ることができる。
【0059】
本システム及び方法のいくつかの実施形態では、接合部A2/B2及びX3/Y3に直流電流のみが流れるようにするために、絶縁電力段210の両方が直流電流(DC)を処理するように設定されている。これら2つの絶縁電力段210.1、210.2のうちの一方は、高周波電力変換を提供している。しかしながら、末端電力段300が適応型であるため、A-PEBB LRU 200.Aの両方の端子X0/Y0及びX5/Y5は、AC又はDCのいずれにも構成され得る。
【0060】
図2の例示的なA-PEBB LRU 200.Aでは、これら2つの絶縁電力段210の厳密なトランジスタ構成、ダイオード構成、及びトポロジは例示的なものにすぎないため、当技術分野で公知であるいくつかの変形形態が採用されてもよい。これらの変形形態には、例えば、フルブリッジと共に、又はその代わりに、1又は複数のハーフブリッジを追加することや置き換えること、及び様々な異なる形式の電力トランジスタを選択することが含まれてもよいが、これらに限定されない。
【0061】
トランスフォーマを介したガルバニック絶縁:出力のガルバニック絶縁を行うことにより、入力に対して「浮動」である電力出力を有することができる(入力と出力との間に直接の電気的接続又は電流伝導路が一切存在しないことを意味する)。ガルバニック絶縁の利点には、例えば、接地ループを切断することで、電力システムのノイズを低減できること、出力極性を自由に選択できること、そして感電を防止し、かつ電気的故障状態(短絡などである)によって引き起こされる他の危険を低減するための重要な安全素子を、(トランスフォーマ222によって形成された)電流絶縁障壁が形成できることが含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
トランスフォーマの冷却:いくつかの実施形態では、AC/ACトランスフォーマ222は、非常に高い周波数(60Hzをはるかに超える)で電流絶縁との共振結合を提供し、これにより、高出力密度及び高効率(低電力損失である)を有する小型トランスフォーマの使用が可能になる。これにより、トランスフォーマ222は非常に効率的な電力送電を提供することができ、換言すれば、電力損失が非常に少なくなる。その結果、トランスフォーマ222は大容量の熱を発生させることができる。いくつかの実施形態では、トランスフォーマ222の冷却は、空冷、ヒートシンク、及びファンなどの従来の手段によって提供されてもよいが、代替的な実施形態では、トランスフォーマ222の冷却は、代替又は追加の冷却システムによって提供されてもよい。例えば、本システム及び方法のいくつかの実施形態では、トランスフォーマを冷却するために、2020年3月31日に出願された、出願人ゼネラル・エレクトリック社による同時係属中のPCT特許出願番号PCT/US20/26026において開示された例示的な冷却システムの1つ(以下、「’026出願」と呼ぶ)などの、高出力密度(high power-density:HPD)トランスフォーマ用の液体又は流体冷却システム、あるいは’026出願の特許請求の範囲内にある他の液体冷却システムを使用してもよい。
【0063】
プロセッサ又は制御装置:種々の例示的な実施形態では、A-PEBB LRU 200.Aはスイッチ、接点、キャパシタ、冷却システム(
図2には図示せず)、搭載型ステータスセンサ(
図2には図示せず)、及びリアルタイム制御を要する他の要素を調整するためのコントローラ又はマイクロ・コントローラ・ユニット(MCU)227を使用すること、又は組み込むことを含んでもよい。そのような制御装置227は、マイクロプロセッサ、デジタル入出力素子、メモリ(ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び様々な形態の不揮発性メモリなどである)、ディスプレイシステム、音声入力及び/若しくは音声信号伝達システム、並びに/又は当技術分野で公知であるか、あるいは今後開発されるアナログ制御素子を使用することを内含してもよい。MCU 227は、メモリに記憶された適切なコード化ソフトウェアを使用して、A-PEBB LRU 200の様々な側面を制御することができる。具体的には、MCU 227は、A-PEBB LRU 200.Aの動的フィールド構成をサポートすることができる。
【0064】
なお、
図2において、MCU 227は、作動中の電力段300.1、300.2と伝達可能に結合されているが、絶縁電力段210.1、210.2とは伝達可能に結合されていないものとして示されている。本実施形態は例示的なものにすぎず、限定的なものではない。本開示は、適応型電力段300の制御を対象としているが、本システム及び方法のいくつかの実施形態では、絶縁電力段210は、制御又は変更を要する一部の内部素子を依然として有してもよい。後者の実施形態では、MCU 227は、作動中の電力段300及び絶縁電力段210とも伝達可能に結合され得る。
【0065】
追加の素子:末端電力段300.1、300.2はブリッジコンバータとしても機能するが、以下にさらに述べているように(特に
図3の総回路図及び
図4の総回路図を参照されたい)、これらは両方ともフィールド構成可能である。
【0066】
図2の例示的なA-PEBB LRU 200.Aのトポロジが例示的なものにすぎず、限定的なものではないことが理解されるであろう。添付の特許請求の範囲内で、他のトポロジが使用されてもよい。同様に、簡潔さを期すために、特定の必須構成要素が図から省略されている。これらの構成要素は、例えば、
(i)A-PEBB LRU 200.Aの外部ケーシング又は外部エンクロージャと、
(ii)追加のキャパシタ、並びにレジスタ及び/又はインダクタと、
(iii)A-PEBB LRU 200.Aをバックプレーンに電気的かつ物理的に結合するためのコネクタ構成要素とを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0067】
適応型電力段(A-PS)
直上で述べた
図2の例示的なA-PEBB LRU 200は、電力段210とも呼ばれる4つのブリッジコンバータ210、300から構成されている。2つの「外側」ブリッジ又は電力段は、自己構成可能型電力段300又は適応型電力段300である。
図3Aは、本システム及び方法による、例示的な適応型電力段(A-PS)300を示す概略図である。
【0068】
ブリッジ変換のための大電流電源スイッチング素子:非限定的である、本システム及び方法の例示的な一実施形態では、A-PS 300は、
図3AにおいてS1、S2、S3、S4とも符号が付された4つの大電流電源スイッチング素子(HC-PS)325.1、325.2、325.3、325.4を含む、再構成可能型Hブリッジコンバータ(RH-BC)モジュール320を有する。(簡潔にするために、これらの電源スイッチは、本明細書では単にHC-PS 325.nとして、又はHC-PS 325として、あるいはHPCSE Snとして言及されてもよい)例示的な一実施形態では、各HC-PSの構成要素は、逆並列ダイオード335と電気的に並列に接続されたSiC MOSFET電力トランジスタ330を含む。
【0069】
4つの例示的なSiC MOSFET電力トランジスタ330は、少なくとも数十キロヘルツ又は数百kHzまでのスイッチング周波数で(オン状態からオフ状態に、又はオフ状態からオン状態に)切り替えることができる。そのため、電力トランジスタ330は、これらの周波数で電流又は電圧を切り替えたり、サンプリングしたりするのに適しており、したがって、これらを組み合わせることで、AC電圧からDC電圧への変換、DC電圧からAC電圧への変換、第1のAC周波数から第2のAC周波数への変換、及び電圧の反転に、専ら電力トランジスタ330のゲート素子を適切に制御変調することを通じて、容易に適合している。この点に関する詳細はブリッジコンバータの技術分野では公知であるため、ここで繰り返すことはしない。(なお、ガルバニック絶縁では、AC出力周波数は入力周波数と同じ周波数であってもよいし、異なる周波数であってもよい。)
【0070】
例示的な再構成可能型Hブリッジコンバータ(RH-BC)モジュール320は、
図3Aから省略されている、1又は複数のキャパシタと、1又は複数のレジスタとをさらに含んでいてもよい。RH-BCモジュール320はまた、
図3Aから省略されているSiC MOSFETスイッチのゲートの電圧制御を提供してもよい。
【0071】
A-PS 300におけるSiC MOSFET電力トランジスタ330の説明又は使用は単なる例示にすぎず、限定するものではない一方、代替的な実施形態では、本システム及び方法は、例えば、様々な形式のMOSFET及び様々な形式の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor:IGBT)325などであるが、これらに限定されない他の形式の大電流スイッチ又は高出力スイッチを使用してもよい。
【0072】
本システム及び方法の例示的な実施形態では、4つのHC-PS 325は、
図3Aに示す例示的な接続トポロジに従って、適切な導電路(導線又は導電トラック)340を介して電気的に接続されている。当業者であれば、これらの例示的な経路又は接続部340が、上記の
図2の固定型Hブリッジ210と同様にHブリッジとして機能するように、4つのHP-CS 325を共に確立するのに適していることを認識するであろう。また一方で、本システム及び方法は、電流経路選択スイッチ350及びインダクタ355と共に、追加の電源接続点又はノードN(N3、N4、N6、N16、N14、N13)を導入しており、これらの後者の素子に関連しているのは、変更された又は追加の回路経路340である。これらの素子を同時に使用して、従来の固定型Hブリッジ210では不可能であった方法で、電源スイッチモジュール300の動作を動的に変更することができる。この点の詳細については、直下でさらに述べる。
【0073】
回路の導電路及びトポロジ:便宜上、並びに添付されている本特許請求の範囲及び/又は本明細書を参照して将来提示され得る任意の特許請求の範囲において識別するために、回路ノード(接続点及び/又は分岐点)は、N1、...、N32(又は概してNi、i=1、...、32として)と符号が付されている。図に示す回路経路340及び回路ノードNiが、例示的なA-PS 300の回路トポロジを示しており、したがって当該回路の例示的な記述を構成していることが理解されるであろう。第1の実施例として、スイッチSW4がノードN17とノードN19との間に接続されており、またスイッチSW6がノードN19とノードN21との間に接続されており、それによってスイッチSW4及びSW6が、ノードN17とノードN21との間に電気的に直列に接続されていることが分かる。第2の実施例として、インダクタL1及びスイッチSW4がノードN17とN19との間に並列に接続されていることが図から明らかであり、その結果、スイッチSW4が開放状態であるか閉鎖状態であるかによって、電流がインダクタL1を通って流れているか、又はインダクタL1の周りで分路若しくは短絡されているかを部分的に判定することができる。
【0074】
特定のノードに素子を接続することに基づく素子接続及び素子相互作用に対する同様の識別又は特徴付けは、例示的なA-PS 300の他の回路素子について同様に行われてもよい。
【0075】
なおまた、いくつかの隣接ノードが冗長ノードであると思われるため、例えば、ノードN6及びN7は、ノードN16及びノードN23と同様に、電気的に等価(SW3の開閉状態に応じて、同じ電圧を有する)になり得る。いくつかの例示的な実施形態では、ノードN7及びN23は、物理的に別個の回路基板上にあってもよい、物理的に別個の再構成可能型Hブリッジコンバータ(RH-BC)モジュール320と電流制御(current flow control:CFC)モジュール375.3との間の物理的な電気接続点(プラグ、ポート、又は他の物理的プラグ又はコンセントを介した)を示してもよい。代替的な実施形態では、RH-BCモジュール320及びCFCモジュール375.3を含むA-PS 300の構成要素はすべて、共通の物理回路基板又は他の単一の物理的実装構造体に実装されてもよい(この場合、ノードN7及びN23は設けられていなくてもよい)。厳密に言えば、回路ノードN24~N32は、追加の接続点又は分岐点のいずれも画定していない。回路ノードN24~N32は、詳細な本開示において有用である(例えば、いくつかの構成要素の端点を識別するために)か、又は添付の特許請求の範囲において有用であるか、あるいは潜在的に本出願を実施する過程のいずれかにおいて有用であり得るように、特定の回路点を識別する際の便宜のために含まれる。
【0076】
適応型電流経路選択及び適応型電圧供給又は電流供給のための素子:本システム及び方法の一実施形態では、例示的なA-PS 300は、
図3AにおいてSW1~SW9及びSW14~SW16と符号が付されている9個の電流スイッチ及び/又は電力コンタクタ350と、
図3AにおいてL1及びL2と符号が付されている2つのインダクタ355とを含む。
【0077】
スイッチ:電流スイッチ又はコンタクタ350は、手動制御に適した機械式スイッチ、及び/又は例示的な適応型電力段300における電流フローに対するソフトウェアベースの制御を提供することができる、リレーベース又はトランジスタベースのスイッチであってもよい。当技術分野で公知であるように、「閉状態」又は「閉位置」にある電流(current flow:CF)スイッチ350(手動コンタクタベース、リレーベース、又はトランジスタベースのいずれであっても)は、当該スイッチを通る電流フローを供給する一方、「開状態」にあるCFスイッチ又はコンタクタ350は、CFスイッチ350を通る電流フローを完全に阻止する。
【0078】
各CFスイッチ又はコンタクタSW1~SW9及びSW14~SW16について、様々な開状態及び閉状態をそれぞれ適切に選択することによって、A-PS 300はフィールド構成可能となっている。「フィールド構成可能」とは、A-PS 300が、船又は他の電力システム100に搭載して運用し、使用するために設置されるA-PEBB LRU 200.Aの一部でありながら、運用上の変更に対しても適応できることを意味する。
【0079】
MCU:いくつかの実施形態では、A-PS 300は、例えば、適切なメモリ、ファームウェア、及びI/Oポートを備えるマイクロプロセッサであってもよい、電力段マイクロ・コントローラ・ユニット(MCU‡)327を含んでいてもよい。MCU‡ 327は、A-PS 300を対象とする様々な制御機能を提供してもよい。具体的には、CFスイッチ350の一部又は全体を遠隔かつ/又は自動的にオン又はオフに切り替えることができる場合(例えば、リレーベース又はトランジスタベースのスイッチのいずれかである)、MCU‡ 327は、A-PS 300の様々な変換モード(conversion mode:CM.n)392間でモードを変更するために、様々なCFスイッチ350を開閉するように機能することができる。
【0080】
インダクタ:2つのインダクタ355(L1及びL2である)が、
図3Aに示すような近接スイッチと組み合わされると、例示的なA-PS 300が電圧制御型電力段又は電流制御型電力段のいずれかとして機能できるようになる。L1は接続されているが、L2は接続されていない状態では、(入力An及び入力Bnを有する)電源接続部302.1は電圧源電力変換を提供して、A-PS 300を電圧源電力段にする。L2は接続されているが、L1は接続されていない状態では、(入力An及び入力Bnを有する)電源接続部302.1は電流源電力変換を提供して、A-PS 300を電流源電力段にする。従来型の電力段では、電圧源電力変換又は電流源電力変換のどちらか一方のみを提供する。本システム及び方法は、電圧源電力変換又は電流源電力変換のどちらに対しても(いずれの時点においても)、フィールド構成可能な電力制御を提供するものである。
【0081】
図2及び例示的なA-PEBB LRU 200.Aに関連して上述したように、A-PS 300は、小型の高周波絶縁トランスフォーマ222と共に他の電力段210、300と協働して、双方向DC/DC変換、双方向DC/AC変換、及び双方向AC/AC変換を行うためのフィールド構成可能なサービスを提供している。より具体的には、電流スイッチ350(SW1~SW9及びSW14~SW16)の適切な開閉設定を行うことで、例示的な適応型電力段300は、以下の変換モード(CM)392のいずれかに対する双方向コンバータとなるように、自己構成され得る。
(CM1)電圧源変換:双方向DC/DC(バック)
(CM2)電圧源変換:双方向DC/DC(ブースト)
(CM3)電圧源変換:双方向DC/DC(バックブースト)
(CM4)電圧源変換:双方向DC/AC
(CM5)電圧源変換:双方向AC/AC
(CM6)電流源変換:双方向DC/AC、双方向DC/DC
【0082】
図3Bは、
図3Aの例示的なA-PS 300と構造的に同じである、例示的なA-PS 300を示す別の図である。説明を目的として、
図3Bは、
図3Aに示すいくつかの符号を省略している一方、直下で述べているように、いくつかの追加の素子の符号を示している。
図3Bはまた、上記の
図2に最初に示しているような、例示的な絶縁電力段(isolation power stage:I-PS)210の図を示す。ここでも説明を目的として、A-PS 300及びI-PS 210のいくつかの素子には、当技術分野で既に公知であるような、例示的なA-PS 300と例示的な絶縁Hブリッジ210とのいくつかの差異を強調する目的で、部分同士が対応する番号付けである参照番号が付されている。(即ち、素子380及び280は、部分同士が対応する参照番号付けを用いている。例えば、電流経路選択交点380.S.1は、トポロジ的にノード280.1に対応しており、また、他のCR交点又はノード380.S.n及び280.nにも同様に対応している。)
【0083】
図3Bに見られるように、従来型の絶縁電力段Hブリッジ210は、ノード又はノード対280.1、280.2、280.3、及び280.4などのI-PS 210の素子の中に、外に、かつそれらの間で電流の経路選択を行うための、複数の固定ノード280を有する。本システム及び方法の例示的な再構成可能型Hブリッジコンバータ(RH-BC)320は、ノード又はノード対280.nの代わりに、電流経路選択交点(CRJ)380を使用している。
【0084】
電流経路選択交点(CRJ)380は、(i)従来型のHブリッジが単に連続回路の経路を示す、選択された回路位置に開閉スイッチを配置するためのノード対Ni、Njであるスイッチング用CRJ(380.S)、又は(ii)従来型のHブリッジでは使用されない追加の回路の経路接続ノードを提供する、装着用CRJ(380.A)のいずれかであってもよい。いずれの形式(装着用CRJ 380.A又はスイッチング用CRJ 380.S)においても、CRJ 380により、Hブリッジのトポロジ及び運用を動作中に変更することができる。A-PS 300はさらに、1つのいずれかのCRJ 380のノード対に装着されてもよい、1又は複数の電流制御(CFC)モジュール375を使用している。一方、CFCモジュール375は、1又は複数のコンタクタ(SWn)350、1又は複数のインダクタ(L)355、及び場合によっては、追加のトランジスタ、キャパシタ、又はレジスタ(図示せず)などの他の回路素子を含んでいてもよい。
【0085】
再構成可能型Hブリッジのトポロジ:
図2に関連して上述したように、本システム及び方法は、4つの電源スイッチ325.1、325.2、325.3、325.4を有する。少なくとも
図3A及び
図3Bから明らかであるように、4つの電源スイッチ325は相互に結合されており、従来型のHブリッジ210の接続トポロジと実質的に同様の接続トポロジで配置されている。
【0086】
例示的な再構成可能型Hブリッジコンバータモジュール320は、直列に直接接続されたスイッチ325.1及び325.2を有し、第1のハーフブリッジ328.1(
図3Bの括弧で囲まれた素子328.1、328.2を参照されたい)を形成しており、スイッチ325.3及び325.4も同様に直列に直接接続されており、第2のハーフブリッジ328.2を形成しており、2つのハーフブリッジ328.nは通常、並列に接続されており(ただし、本システム及び方法のコンタクタ350は、いくつかのモードにおいて本形態のいくつかの変形形態を提供することができる)、また、ハーフブリッジ328.1及び328.2の各々は、各直列電源スイッチの各々間にそれぞれの電源接続ノード(N22、N15である)を有する。他の接続素子を
図3A及び
図3Bから参照することができる。説明を目的として、かつ添付の特許請求の範囲において、この接続トポロジは、再構成可能型Hブリッジのトポロジと呼ばれてもよい。本システム及び方法は、RH-BCモジュール320内の選択された点における電流の経路及び特性を変更することができる、CFC 375内のスイッチ及び受動電流又は受動電圧制御素子を対象とする装備を有する。
【0087】
CRJ 380.S.1:例えば、I-PS 210の固定電源アクセスノード280.1の代わりに、本システム及び方法は、共に電流経路選択交点(CRJ)380.S.1として機能する2つのノード(N10、N25)を提供している。次いで、CRJ 380.S.1は、例示的なCFCモジュール375.1などのCFCモジュールに接続されてもよい。例示的なCFCモジュール375.1は、スイッチSW1、SW14、及びSW15を介して、(i)CRJ 380.S.1を通る(SW15を閉鎖し、SW14を開放する)直流電流のフロー(AC又はDC)を提供するか、(ii)CRJ 380.S.1を通る電流フローを無くす(SW1、SW14、SW15をすべて開放する)か、(iii)インダクタL2を介してCRJ 380.S.1を通る(SW14を閉鎖し、SW15を開放する)電流フローを提供するか、又は(iv)(SW1を閉鎖することにより)ノードN10及びノードN25を短絡させる(直流電流路をもたらす)ことのいずれかを行うように構成可能である。
【0088】
CRJ 380.S.2:別の実施例では、I-PS 210の固定電源アクセスノード280.2の代わりに、本システム及び方法が、共に電流経路選択交点(CRJ)380.S.2として機能する2つのノード(N12、N26)を提供している。CRJ 380.S.2は、閉状態においてノードN12及びN26を短絡させる、単一のスイッチSW2を有する。
【0089】
CRJ 380.A.1、CRJ 380.A.2:別の実施例では、I-PS 210の対になった回路ノード280.3、280.4(これらは、A-PS 300のCRJ接続点380.A.1、380.A.2とトポロジ的に類似していると見なすことができる)が、固定電流経路選択のみを提供している。これに対して、RH-BCモジュール320のCRJ接続点380.A.1、380.A.2は、例示的なCFCモジュール375.3への複数の接続を提供している。一方、CFCモジュール375.3は、インダクタL1と、6つのコンタクタ350(SW3、SW4、SW5、SW16、SW8、SW9)とを有し、これらは、A-PS 300内で様々な電流経路選択を得るために、開閉設定395の様々な組み合わせにおいて設定され得、さらにそれによって、A-PS 300を対象とする様々な異なる動作切替モードCM 392を実現することができる。例示的な動作モード392及びコンタクタ設定395については、
図3Cに関連して以下にさらに述べる。
【0090】
なお、A-PS 300の多くの素子は単なる例示である。これらは、電流経路選択交点(CRJ)380の数及び位置、並びにCFCモジュール375の内部素子及び構成を含む。代替的な実施形態では、A-PS 300はより多数の、より少数の、又は代替のCRJ 380を使用してもよく、また同様に、異なる内部構成要素又は構成要素の配置を有するより多数の、より少数の、又は異なるCFCモジュール375を使用してもよい。当業者であれば、そのような代替的な実施形態が、上述し、かつ
図3Cに関連して以下に述べている動作モードの変形形態を内含し得ることを理解するであろう。
【0091】
図3Cは、例示的なA-PS 300に関して上記で定義された切替モードCM 392を、コンタクタ350の適切な開閉設定395及び適切な入出力極性設定397と共に列挙している表Λ 390を示す。
【0092】
なお、バックブースト構成(CM3)は、フルブリッジの半分のみを利用しており、その際、定格電流のHブリッジ容量の半分を利用しているが、任意の所与の時点で、バック機能又はブースト機能のいずれかを提供する。表Λ 390にさらに記載されているように、
(I)CM4及びCM5の場合、SW14のデフォルトの好適な設定は開放である。ただし、SW14は、開位置又は閉位置(非導電又は導電)のいずれにあってもよい。動作中、及びいくつかの実施形態では、他のスイッチがリセットされて、モードCM4又はCM5へと変更されることがあっても、SW14は以前の位置(開位置又は閉位置である)に依然としてあってもよい。
【0093】
(II)CM5がA-PEBB LRU 200で作動可能となるためには、適応型PEBB(A-PEBB)300.1、300.2の両方(即ち、2つの末端A-PEBBであり、
図2を参照されたい)をそれぞれモードCM5に設定する必要がある。その場合、適用可能な入力接続部及び出力接続部は、A-PEBB LRU全体を対象とすることになり、これらは即ち、接続部(X0、Y0)及び(X5、Y5)である(再度
図2を参照されたい)。
【0094】
通常動作と特定動作:所与の回路素子のセットにおいて、電気回路の機能及び出力が、それらの構成要素の経路選択や接続の変動に応じて変化することが、当業者には明らかであろう。本システム及び方法では、ブリッジコンバータの電力段(一実施形態では、Hブリッジである)を取り入れ、インダクタなどの新たな構成要素を追加して、かつ/又は一部の回路経路の経路変更を行うことによって、それらに変更を加えている。
【0095】
例示的な適応型電力段A-PS 300について、また上述したように、
図3Cの表Λ 390は、様々な電力コンタクタ350が様々な組み合わせで開位置又は閉位置に設定された場合に、結果として生じる電力変換モードを示す。なお、表Λ 390から、いくつかの動作モードCMnにおいて、モード392は、スイッチSWnの開閉設定395を行うこと、及び末端ノード302.1、302.2、(An、Bn)及び(Xn、Yn)においてそれぞれ電力入力又は電力出力397を選択することの両方によって決定されてもよい。即ち、いくつかの動作モード392において、例えば例示的なモードCM1及びCM2では、スイッチ350を同一に設定すると、DC入力電圧がノード302.1(An、Bn)に印加されるか、又はノード302.2(Xn、Yn)に印加されるかに応じて、異なる動作モード(バックモード又はブーストモードにそれぞれなる)が結果として生じることになる。
【0096】
図3Aの例示的なA-PS 300について、
図4A、
図4B、
図4C、及び
図4Dは、異なる変換モードCM392の様々なスイッチ設定395を対象に結果として得られた有効な回路構成を示す。
【0097】
なお、いくつかの図は、有効回路(例えば、
図4Aの300.1、300.2である)に対して1つだけでなく2つの図番号を有する。インデックス番号「n」(「300.n」)は、それぞれの場合に対応する変換モードを指す。そのため、
図4Aでは、スイッチ設定395を一組設定すると、入出力端子302(表Λの列397)の選択に応じて、モードCM1又はCM2のいずれかが結果として生じ得る。
【0098】
図4A~
図4Dにおいて、実線の回路線410(「―――」)は、図示のスイッチ設定から結果として生じる実際の電流伝導路を表す。同じ図において、点線の回路線(「---------」)420は、非導電路、即ち、A-PS 300上に設けられているが、1又は複数の開放スイッチに起因して電流を伝導していない回路経路を表す。(なお、インダクタ355(L1及び/又はL2である)の場合、並列に配置されたスイッチが閉鎖していれば、インダクタ355は非導通であってもよく、例えば、スイッチSW4が閉鎖している場合、これによってインダクタL1周辺の電流を効果的に分路することができる)そして、これらの図が、例示している変換モードに対して無効(非導通)にされた例示的なA-PS 300の回路経路を示しているように、当該図において、説明して理解を促すことのみを目的として示している点線の(非電流搬送)回路線420が示されている。
【0099】
上述したように、DC/DCバックブースト構成(CM3、
図4Bを参照のこと)は、フルブリッジの半分のみを利用しており(定格電流のHブリッジ容量の半分を利用)、任意の所与の時点で、バック機能又はブースト機能のうちのいずれか一方のみを提供する。当該トポロジ又は機能の再構成若しくは適応は、ソフトウェア再構成を行うことによって達成することができ、スイッチSW1~SW9又はSW14~SW16の位置のいずれかに対するハードウェア変更を要しないものである(即ち、物理的な位置の変更を要しない)。
【0100】
様々な変換モード(双方向DC/DC、双方向DC/AC、双方向AC/AC、バック又はブースト、電圧源又は電流源である)におけるこれらの有効回路300.1、...、300.6の各々の動作が、図示している回路素子及び配線接続に基づいて、当業者には概ね明らかになるであろう。
【0101】
双方向AC/AC変換モード:なお、
図4Cに関して、双方向AC/AC変換(A-PS 300.5、変換モードCM5である)の場合、2つのA-PS 300.5が必要になるため、共通のDCリンクを用いて、(AC←→DC←→AC)としてこれらが逆並列にカスケード接続されることになる。
図4Dに関して同様に、双方向AC/AC変換モードは、共通のDCリンクを用いて、(AC←→DC←→AC)として2つのA-PS 300.6を逆並列にカスケード接続することによって確立され得る。
【0102】
インダクタの役割:インダクタL2を設けて、インダクタL1を効果的に除去(短絡)することにより、電流源変換がサポートされる一方、L2を効果的に除去する(即ち、L2上の短絡又は電流遮断である)ことにより、電圧源変換も(L1が回路の有効部分であるか否かにかかわらず)サポートされており、また、L1を効果的に設けることにより、回路をDC/DC変換のみに限定している。
【0103】
電力トランジスタのゲートスイッチング:当業者であれば、コンタクタ350の開閉状態(SW1、...SW9、SW14、...SW16)を変更することに加えて、動作切替モードCM.n 392を異にすることもまた、4つの大電流スイッチング素子(HC-PS)325のゲートGのオンオフ切替パターン(又はオンオフ切替タイミング)の変動を伴い得ることを理解するであろう。これらの切替パターンは、A-PS 300のプログラム可能なマイクロ・コントローラ327によって、又はA-PEBB LRU 200.Aのマイクロ・コントローラ227によって制御されてもよい。
【0104】
電圧源変換モード対電流源変換モード
例示的な適応型電力段(A-PS)300において、また図及び上記の説明から明らかであるように、モードCM1~CM5はすべて電圧源変換(voltage source conversion:VSC)モードであり、インダクタL2は作動しておらず(電流が流れていない)、またAn又はBnが電圧源として使用されている。モードCM6は、An及びBnに電流源を有する電流源変換を提供しており、An又はBnに流入する電流はインダクタL2を通過する(SW14及びSW1は閉鎖しており、SW15は開放している)が、インダクタL1は作動していない(SW3及びSW16は開放しており、SW4及びSW6、SW5及びSW7は閉鎖している)。
【0105】
従来の電力段技術は、VSC又はCSCのうちの一方を提供している。本システム及び方法は、VSC動作とCSC動作との両方(一度に一方のみであるが)を柔軟にサポートする、適応型電力段300を提供している。
【0106】
今日の新たな技術では、CSCモードがはるかに重要になっていきている(永久磁石モータ用途で)。永久磁石モータ用途では、永久磁石モータがXn又はYnに負荷として接続されている場合、モータは遮断後に電流を生成して、A-PS 300に望ましくないフィードバックを生じさせる。一方で、永久磁石モータがCSC動作(モードCM6)でXn又はYnに負荷として接続された場合、インダクタL2は電流制限安全装置として機能する。
【0107】
例示的な電力コンバータ
最も単純なケースシナリオでは、比較的簡素な電力システム100は、単一の電力コンバータ500.Aのみを有してもよく、これに対して単一の電力コンバータ500.Aは、それ自体が単一のA-PEBB LRU 200.Aであってもよい。例えば、「よりローエンドの」大規模電力システム100(場合によっては「中規模電力システムと呼ばれてもよい)は、1000ボルト及び125 kWの定格電流とすることができる、単一のA-PEBB LRU 200を備える単一の電力コンバータ500を使用してもよい。
【0108】
より高電圧及びより高出力の用途を目的として、1台、2台、又はそれ以上の電力コンバータ100を使用してもよく、またさらに、各電力コンバータ100は、2つ以上のA-PEBB LRU 200.Aを有してもよい。単一の電力コンバータ100内のA-PEBB LRU 200.Aはそれぞれ、集積化又は回路化され得る(並列かつ/又は直列に)モジュール式ビルディングブロックであり、A-PEBB LRU 200.Aを組み合わせることで(場合によっては、1又は複数の変更不可能型PEBB LRU 200.ncと組み合わせて)共に規模が拡大され、これによって複数のPEBB LRU 200.A(200.nc)を備えるより規模の大きいコンバータを形成して、より高電圧かつより高出力の電力要件を満たしている。説明を簡潔かつ簡単にするために、本明細書の内容の大部分では、A-PEBB LRU 200.Aのみを対象に述べている。2つ以上のA-PEBB LRU 200.Aが有する自己構成可能性又は適応性により、規模が拡大されたA-PEBBコンバータ100.Aは総じて、上記で
図3Cの例示的な表Λ 390において列挙された電力変換モードのいずれでも動作し得る。
【0109】
図1は、既に上述したように、本システム及び方法による、例示的なA-PEBBコンバータ500を概略的に示す図である。
図5は、本システム及び方法による、別の例示的なA-PEBBコンバータ500をより詳細に示す図である。
図5の例示的なA-PEBBコンバータ500は、例えば、メガワット規模の低電圧(LV)のDC(最大1000ボルトのDC)から中電圧(MV)のAC(例えば、4160ボルトのAC)A-PEBB電力コンバータ500であってもよい。例示的な一実施形態では、A-PEBB電力コンバータ500.Aは、電源スイッチRSを介して切り替え可能に接続又は切断され得る、3つの異なる電力源110を対象とする、3つの電源接続部505を有してもよい。
【0110】
図5は、中電圧のAC(MVAC)(4160ボルトのAC)の一次配電バス110.Pと、二次LVDC(例えば、最大1000ボルトのDC)エネルギー貯蔵手段又は太陽光PV配電バス110.Sと接続された、A-PEBBコンバータの一実施例である。さらに、調整されたLVDCバス又はポート110.Lに負荷が接続され得る。例示的なA-PEBBコンバータ500.Aは、AC/DC変換モード及びDC/AC変換モードで作動している。
【0111】
図5の例示的なA-PEBB電力コンバータ500.Aは、複数のA-PEBB LRU 200.A.nを単一の電力コンバータに一体化している。A-PEBB電力コンバータ500.Aは、三相電力(A、B、C)用途にさらに構成されている。
【0112】
フィールド使用時にどの接点スイッチ設定395と、1又は複数の電力変換モードのどの変換モードCM.n 392とをA-PEBBコンバータ500が使用すべきか選択することは、実際には、例えば稼働状況、利用可能な電力源又はエネルギー源、予想される平均負荷及び/又は最大負荷、システム正常性(図に示されていない電力システムセンサによって判定されてもよい)、及び周辺環境条件(本明細書の範囲外の周辺環境センサによって判定されてもよい)を含むが、これらに限定されない様々な状況的要因又は文脈的要因に依存する。
【0113】
A-PEBB電力コンバータ500の種々の例示的な実施形態では、高電圧及び高出力用途を目的として、各A-PEBB LRU 200.Aが、並列及び/又は直列に集積化又は回路化されることで、複数のA-PEBB LRU 200を備えるより規模の大きいコンバータ500へと規模が拡大され得る、モジュール式ビルディングブロックとして機能している。
【0114】
三相電力:
図5に概略的に示しているのは、電気的に結合された3つのバックプレーン505.A、505.B、及び505.Cであり、A-PEBBコンバータの位相Aに第1のバックプレーン505.Aが対応している様子を前方で示している。代替的な実施形態では、3つのバックプレーン505.Zがすべて、単一の物理バックプレーンに構造的に一体化されてもよい。例示的なA-PEBBコンバータ500.Aでは、各バックプレーン505.Zは、自身の4つのA-PEBB LRU 200.A.1...、200.A.4に別々に取り付けられている。3つのバックプレーンはそれぞれ三相コンバータ203.A、203.B、203.C(又は、簡潔に「203.P」)として機能しており、それぞれが、電力システム100の単相A、B、又はC用途の電力コンバータ203である。各位相(A、B、C)内の4つのA-PEBB LRU 200.Aは、AFE(アナログ・フロント・エンド)電力段の両側で530.1、530.2に並列に接続されており、デュアル(非調整及び調整された)DCバス又はDCリンクを有効にしている。これら4つのLRU 200.A.nは、A-PEBB LRU 200.AのACポート又はAC側で直列に接続537されている。三相(A、B、及びC)の非調整LVDCと調整されたLVDCとの両方(AFE電力段の両側の)は、並列に接続502されている。これら三相のMVAC側の中性点504は結合されている。
【0115】
システム制御とモード切替え:種々の例示的な実施形態において、本システム及び方法は、スイッチ、キャパシタ、冷却システム、及びリアルタイム制御を要する他の要素を調整するための、制御装置又はマイクロ・コントローラ(MCU’’)527を組み込んで使用することを内含してもよい。そのような制御装置527は、マイクロプロセッサ、デジタル入出力素子、メモリ(ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び様々な形態の不揮発性メモリなどである)、ディスプレイシステム、音声入力及び/若しくは音声信号伝達システム、並びに/又は当技術分野で公知であるか、あるいは今後開発されるアナログ制御素子を使用することを内含してもよい。そのような制御装置527は、メモリに記憶された適切なコード化ソフトウェアを使用して、システム動作の様々な側面を制御することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、MCU’’527は、A-PEBB LRU 200.Aのマイクロ・コントローラ(MCU)227を調整し、監視し、かつ/又は制御することができ、かつ/又はA-PEBB LRU 200.A内の適応型電力段A-PS 300のMCU‡327を調整し、監視し、かつ/又は制御することができる。適切な信号伝達及び/又は制御機構を介して、A-PEBB電力コンバータ500は、フィールド動作中に電力変換モードを動的かつ/又は自動的に変更することができる。
【0117】
太陽光PV電源が利用可能である場合、複数のA-PEBB LRU 200.A及びマイクロ・コントローラ527を備える例示的なA-PEBBコンバータ500はこれにより、電池システム110.Bを充電するためにDC/DCモードで作動するか、あるいは負荷をサポートするために、又はグリッド(一次バス110.1である)と相互作用するために、DC/DCモード若しくはDC/ACモードで作動するように自己再構成され得る。
【0118】
本システム及び方法の様々な実施形態では、A-PEBB LRU 200.Aの様々な選択を行うと同時に、全体を通して適切なスイッチ設定を選択することにより、負荷が推進器(例えば、リム駆動モータ又はスラスタ若しくは平底一体型プロペラ又は駆動プロペラである)であってもよく、その場合、必要な電力はメガワット規模であってもよい。A-PEBBコンバータ500がモジュール性を有することにより、複数のA-PEBB LRU 200.Aが、推進器又はプロペラのリムの周り、又は平底の内側に分散して組み込まれることで、(i)省スペースでありながら推進力要件を満たし、(ii)整備及び保守(例えば、A-PEBB LRUの交換である)を簡素化し、かつ(iii)A-PEBBコンバータ500に対する簡便で効果的な冷却熱管理(海洋、海、又は河川からの水冷による)を提供又は有効にすることができる。
【0119】
冗長性と自己修復:例示的なA-PEBBコンバータ500は、本質的にビルトイン冗長性を有する。ミッション中、A-PEBB LRU 200.Aに故障又は誤動作が生じると、これをバイパスすることにより、コンバータ500を作動させたままにするか、又は同等又は低減したか若しくはディレーティングした定格容量で、コンバータベースの配電動作を維持することができる。さらに、ミッション中の電源及び負荷の正常性状態及び利用可能性に応じて、A-PEBBコンバータ500は、利用可能な残余アセットの動作を最適化又は最大化するように、再構成若しくは再利用され得る。この「自己修復」の適応性は、電力システム100が戦闘ミッション又は敵対環境(一部の電源及び負荷が損傷したり、利用できなくなったりする恐れがある)で使用される場合に、フィールド残存可能性を備えた配電を提供するのを補助することができる。自己再構成可能性はまた、通常の稼働条件でNOMARS(又は他の移動システム)搭載アセットを完全利用するのに有用である。例えば、晴天日には、A-PEBBコンバータ500は、太陽光PVエネルギー(生成された場合)を変換して負荷をサポートするか、又は日中に電力システム100を充電するように構成され得る。次いで、A-PEBBコンバータ500は、夜間の負荷をサポートするために、他の利用可能な電源(発電機又は電池)と相互作用するように再構成され得るか、又は再利用され得る。
【0120】
上記では、本システムの例示的な実施形態は、様々な定格電力、定格電流、及び/又は定格電圧の例示的な構成要素と共に提案されている。添付の特許請求の範囲内で、他の定格電力又は定格電流又は定格電圧が使用されてもよい。
【0121】
電力品質要件とフィルタ
上述したように、本システム及び方法の例示的な実施形態では、適応型PEBB電力コンバータ500.Aは、複数のA-PEBB LRU 200.Aを、場合によっては複数の変更不可能型PEBB LRU 200.ncと共に有してもよく、これらは直列かつ/又は並列に回路化若しくは接続されることで、特定の電圧要件及び電力要件を満たすコンバータ500を構築する。いくつかの実施形態では、複数のLRU 200が交互配置される。A-PEBB電力コンバータ500.A全体の等価スイッチング周波数は、あらゆる個々のLRUのスイッチング周波数(例えば、10kHzである)よりも複数倍高速になる。
【0122】
フルスケールコンバータ500の等価スイッチング周波数が高速であることに起因して、電圧信号及び電流信号のリップルは小さくなると予想される。結果として、追加の周波数フィルタを要することが通常なくなる。
【0123】
ただし、超高出力の電力品質要件を有し得る本システム及び方法のいくつかの実施形態では、電圧リップル及び/又は電流リップルを処理するための1又は複数の追加のリップルフィルタ600が、システム100に追加されてもよい。本システム及び方法のいくつかの実施形態では(LRU段階ではなく)コンバータ500段階で、1又は複数の適応型リップルフィルタ(adaptable ripple filter:ARF)600が追加されてもよい。
図6は、本システム及び方法による例示的な再構成可能型又は適応型のRLCフィルタ600を概略的に示した図であり、当該フィルタ600は、直列に接続されたインダクタ(L3)655と、キャパシタ(C1)657と、レジスタ(R1)659とを含む。例示的なARF 600は、フィルタ600を構成するために使用され得る、複数の電流経路選択スイッチSW17、SW18、及びSW19をさらに含む。表β(ベータ)680は、適応型電力コンバータ500の様々な電力変換モードに対する、電圧フィルタ又は電流フィルタの対応する切替位置を示す。
【0124】
三相電力の適応型PEBB電力コンバータ500を使用する本システム及び方法のいくつかの例示的な実施形態では、各電力位相(A、B、C)は、
図6に概略的に示すように、各自独立して接続されたそれ自体のフィルタ600.a、600.b、及び600.cを有してもよい。
【0125】
方法
図1~
図7に関連して本明細書に上述した例示的な実施形態の説明において、電力コンバータ500、及び変動する電気的要件に応じて、フィールド適応可能な電力変換を提供している電力コンバータ500の要素(例えば、適応型パワーエレクトロニクス・ビルディングブロックの作業ラインで交換可能なユニット200.A及び適応型電力段300などである)のためのシステムが提案されている。本システム及び方法のいくつかの実施形態では、このフィールド適応は、上述したマイクロ・コントローラ・ユニット227、327、527のいずれかで実行されるソフトウェア及びソフトウェアモジュールを介して自動的に行われてもよい。
【0126】
当業者であれば、ソフトウェアの特定の機能及び制御機能が、MCU 227、327、527のうちの1又は複数のプロセッサを介して実行されてもよく、またさらに、本パワーエレクトロニクスシステム100を使用する輸送車両に関連し得る他のデジタル処理ユニット又はアナログ処理ユニット(図示せず)を介して、部分的に実行されてもよいことを理解するであろう。したがって、本明細書で開示しているこれらの方法は、単一のMCU 227、327、527を介して、又は回路化された複数のMCU 227、327、527間で分散配置されたソフトウェアを介して実行されてもよい。例えば、本システム及び方法のいくつかの実施形態では、いくつかの周辺環境検知機能及び周辺環境判定機能、ミッション評価機能、並びに電力システムのステータス評価機能(電力源110の評価を含む)が、適応型電力コンバータ500の一部ではないセンサ及び/又は処理ユニット(適切なメモリ及びセンサと共に)によって実行されてもよい一方、より大型で可搬式の適応型電力システム100の要素と一体化されたプロセッサ、メモリ、及びセンサによって、これらの機能が実行されてもよい。そのようなプロセッサ及びセンサには、様々な電力源(電源及び負荷である)110に関連付けられたセンサ又はプロセッサが含まれてもよい。
【0127】
図7は、本システム及び方法による、電力コンバータ500の自動調整及び適応性を実行するための、例示的な方法700を示すフローチャートである。
【0128】
方法700は、ステップ710から開始される。ステップ710で、本方法は、現在及び/又は将来のミッション要件、電力需要、1又は複数の稼働環境又は状況的環境、及び電力システムのステータス又は正常性を判定する。ミッション要件評価は、様々な場所、時間、及び検知されたミッション背景に関連付けられた、予め定義され、かつ保存されたミッション定義に少なくとも部分的に基づいて行われてもよい。次に、様々な各ミッション要件M1、...、Mnを関連付けられたそれぞれの電力システムの電力負荷PL1、...、PLnに対応付けるアルゴリズム及び/又は予め定義されたデータベースを介して、電力需要が判定されてもよい。次に、検知された稼働環境又は状況的環境のOSE(オペレーティングシステム環境)によって全体的又は部分的に、ミッション要件M1、...、Mnが判定されてもよい。
【0129】
方法700はステップ720へと進み、当該ステップでは、現在並びに/又は将来の電力システムの1又は複数の電源及び/若しくは1又は複数の電力負荷を判定する。電源110.1を判定するためのアルゴリズムは、環境要因及び/又はシステムの正常性ステータスを判定するステップを含んでいてもよい。例えば、時刻及び気象条件を判定することにより、太陽光発電の利用可能性があること又は利用可能性がないことが示されてもよい。電源判定を行う際の他の要因には、発電機110.1の利用可能な燃料残量の評価、発電機システムの正常性の評価、利用可能な電池残量の評価、及び同様の考慮事項の評価が含まれていてもよい。次いで、方法700ではさらに、利用可能な総電力の評価に従って様々な潜在的負荷に優先順位を付けてもよく、その際、場合によっては予想されるミッション持続時間を考慮に入れる。
【0130】
上記の判定(利用可能な電源110.1及び予想されるミッション固有の負荷110.2)に基づいて、本方法はステップ730において、1又は複数の適応型電力コンバータ500、及びそれらの1又は複数の内部A-PEBB LRU 200.Aに対する適切な電力変換要件を決定する。
【0131】
例えば、第1のミッション(第1の時点における)では、発電機からのAC電力を利用して複数のDC負荷をサポートすることができ、その際、低出力電圧でのAC/DC電力変換を対象とする単独の又は基本的要件を有する。その後の時点で、異なるミッションでは、利用可能なDC電力残量(例えば、電池又は太陽光発電からの)のみを使用することができ、その残量で、複数のAC負荷及びDC負荷をサポートしなければならず、その際、高電圧又は大電流要件を伴うシステム全体のDC/AC電力変換を要する場合がある。そのような評価に基づいて、ステップ730では、1又は複数の電力コンバータ500、及びそれらの1又は複数の内部A-PEBB LRU 200.Aに対する、状況に即したミッション固有の変換要件を判定する。
【0132】
本方法は、ステップ740へと続く。ステップ740で、1又は複数のA-PEBB LRU のAPEBBLRU.1、...、APEBBLRU.(x-1)、APEBBLRU.xに対して必要とされるそれぞれの電力変換モードRPCM1、...、RPCMxに基づいて、本方法は、特定の電力段A-PS.1.1、A-PS.1.2、...、A-PS.(x-1).1、...A-PS.(x-1).2、A-PS.x.1、...A-PS.x.2における多数のコンタクタ350の適切な内部開閉状態を決定する。必要とされるこれらのコンタクタ350の状態は、例えば、表Λ 390及び/又は表β 680内の保存されたバージョンに基づいてもよい。
【0133】
ステップ750で、本方法は、ステップ740の決定に基づいて、コンタクタ350の適切な開閉状態を本電力システム全体にわたって設定する。ステップ750で、本システム及び方法はさらに、電力システム100を介して、様々な電力源110に対して適切な電力制御コマンドを同時に送信することができる。
【0134】
VI.更なる実施形態
トランスフォーマ:いくつかの実施形態では、電源トランスフォーマ222にも同様に、変形形態を採用してもよい。例えば、本システム及び方法では、1:1の巻線比を使用するのではなく、1:2、1:3、又は2:3などの他の巻線比を使用してもよい。代替的な実施形態では、本システム及び方法のA-PEBB LRUには、2つ以上の別個のトランスフォーマが装備され、また、電流の経路選択を行うための特定のトランスフォーマをフィールド選択するために、さらに装備されてもよい。このフィールド選択は、図には示していないが、機械式、リレーベース、又はトランジスタベース若しくはICベースの追加のスイッチによるものであってもよい。後者の実施形態は、異なる巻線比、即ち2つ以上の巻線比を有するトランスフォーマのフィールド選択を可能にし得るものである。
【0135】
適応型電力段(A-PS)300:本システム及び方法のいくつかの実施形態では、A-PS 300は、電流スイッチ350として機械式接点(リレー)を使用する形態で、それぞれが別個の素子である個別素子(電流スイッチ350、電源スイッチ325、インダクタ355)から構築され得る。これらの個別素子はすべて、一体化ユニットとして単一のモジュール上のA-PS 300システムに組み込まれてもよい。電源スイッチ325の電力トランジスタ330は、IGBTトランジスタ、MOSFETトランジスタ、又は他の形式のソリッド・ステート電力トランジスタであってもよい。
【0136】
代替的な実施形態では、CFコンタクタ350は、バイポーラ接合トランジスタ(bi-polar junction transistor:BJT)又はMOSFETなどのソリッド・ステート(半導体)素子であってもよい。いくつかのそのような実施形態では、例示的なA-PSは、集積回路(IC)として実装されてもよい。
【0137】
上記では、本システムの例示的な実施形態は、様々な定格電力、定格電流、及び/又は定格電圧、例えば1.7kVスイッチ及び10kVスイッチなどの例示的な構成要素と共に提案されている。添付の特許請求の範囲内で、他の定格電力又は定格電流又は定格電圧が使用されてもよい。
【0138】
電力段とA-PEBB LRU:本明細書の上記の例示的な実施形態では、例示的なA-PEBB LRU 200.Aは、2つの適応型電力段A-PS 300を含み、A-PS 300の各々の内部設計は略同様であってもよい。当業者であれば、本システム及び方法の代替的な実施形態では、A-PEBB LRU 200.Aが適応型電力段A-PS 300を1つのみ、2つのみ、又は3つ以上含んでもよいことを理解するであろう。同様に、本システム及び方法の代替的な実施形態では、A-PEBB LRU 200.Aは適応型電力段A-PS 300を1つ、2つ、又は3つ以上含んでもよく、その一部又は各々は、本明細書で上述した例示的なA-PS 300とはいくつかの点で異なり得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、A-PS 300は、上述した例示的なスイッチコンタクタ数よりも多数又は少数であり、場合によっては異なるスイッチングトポロジを有するCFコンタクタ350と、より多数又はより少数のインダクタ355とを有してもよい。同様に、いくつかの実施形態では、A-PS 300は、表Λ 390に関連して上記に列挙したものよりも多数の、少数の、又はこれらとは異なる電力変換モード392を有してもよく、さらに、そのような電力変換モードは、表Λ 390において上記に列挙したもの以外のコンタクタ設定395によって達成されてもよい。
【0140】
VII.改変形態と修正形態と、そして結論
本開示に今なお包含されるであろう代替的な実施形態、実施例、及び修正形態は、とりわけ上述の開示内容に照らして、当業者によって生成されてもよい。さらに、使用されている用語が、限定よりも、むしろ本質的に記述語の範疇にあることを意図していると理解すべきである。
【0141】
当業者であれば、上述した好適な又は代替的な実施形態の様々な改変形態及び修正形態が、本開示の範囲から逸脱することなく構成され得ることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲内ではあるが、本開示が本明細書で詳細に説明したもの以外にも実施され得ることを理解されたい。
【0142】
特定の機能の実施、及びこれらの関係を例示する機能的ビルディングブロックを用いて、本発明について説明してきた。これらの機能的ビルディングブロックの境界は、説明の便宜上、本明細書において任意に定義されている。特定の機能及びこれらの関係が適切に実行される限り、代替の境界を定義することができる。
【0143】
具体的には、本システム及び方法のいくつかの実施形態では、電力段A-PS 300、A-PEBB LRU 200.A、及び電力コンバータ500が、電力トランジスタ330、ダイオード335、インダクタ355、導電性回路経路340(典型的には、様々な金属又は金属合金からなる)、電流スイッチ又はコンタクタ350などの個々の基本的な電子的構成要素、及び図に示されていないレジスタ又はキャパシタなどの他の構成要素から構造的に構成されていることが、当業者には理解されるであろう。そのような実施形態では、回路トポロジ及び動作について詳細に説明する際、基本的な電子的構成要素330、335、340、350、355の接続や動作の面から全面的に示され得ることが、さらに理解されるであろう。これらの構成要素を、RH-BCモジュール320、HC-PS 325、及びCFCモジュール375などの機能単位又はブロック単位又はモジュール単位、並びに適応型電力段A-PS 300及びA-PEBB LRU 200.Aへとグループ分けしているのは、説明の便宜のためである。
【0144】
本明細書において、本システムの動作について、基本的な構成要素の単位からと、もう一方で機能単位又はブロック単位又はモジュール単位の面からとの両方で説明する際、これらを互いに補完し合うことを意図しているため、これを限定として解釈すべきではない。いくつかの代替的な実施形態では、一部の機能モジュール320、325、375、300、200.A、500は、代替的な構成要素又は追加の基本的な構成要素を使用することができ、その際本発明は、本明細書に記載の機能モジュール320、325、375、300、200.A、500の単位からも依然として機能している。同様に、基本的な電子的構成要素330、335、340、350、355が、機能の説明又は動作の説明を行うために、本明細書に具体的に記載されたもの以外のモジュールにグループ分けされるか、又は編成されるものと理解してもよい。
【0145】
なお、本発明の様々な実施形態における模擬、合成、及び/又は製造は、一部では金属、非金属、樹脂、エポキシ、半導体、ガラス、ポリマー、鉄系材料、非鉄系材料、導体、絶縁体、及び液体を含む様々な材料を使用することによって達成され得、そのうちのいくつかは当技術分野で公知である一方、いくつかはまだ開発されていない。
【0146】
マイクロプロセッサ上で実行される制御装置227などを対象としたコンピュータコードが、本システムに必要となる場合、コンピュータ可読コードが、半導体、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、DVD-ROMなどである)を含むあらゆる既知のコンピュータ使用可能媒体に配置され得、かつコンピュータ使用可能(例えば、読取可能伝送媒体である)伝送媒体(例えば、搬送波、又はデジタルベースの媒体、光学ベースの媒体、若しくはアナログベースの媒体を含む他のあらゆる媒体などである)に具現化されたコンピュータデータ信号として配置され得る。その結果、当該コードは、インターネット及びイントラネットを含む通信ネットワークを介して送信され得る。
【0147】
上述した本システム及び技術に関連して実現されるべき制御機能又は監視機能が、プログラムコードで具現化されるコア(CPUコアなどである)で表すことができ、また適切な回路、無線通信、及び/又は光メッセージ通信を介して、ハードウェアに変換され得ることが理解される。
【0148】
発明を実施するための形態の項(発明の概要や要約書の項ではなく)は、主として特許請求の範囲を解釈するために使用されることを意図していると理解されたい。発明の概要及び要約書の項には、本発明者らによって企図される本発明の1又は複数の例示的な実施形態が記載されてもよいが、それらのすべてが記載されるとは限らないので、これによって、本発明及び添付の特許請求の範囲を限定することを何ら意図するものではない。
【0149】
さらに、添付の特許請求の範囲に関して、あらゆる参照符号又は参照番号が、特許請求の範囲を理解しやすくするために付与されるが、特許請求の範囲によって保護される事項の範囲を限定するものとして扱われるべきではなく、即ちそれらの唯一の役割は、本開示及び図面の要素を明記することである。
【符号の説明】
【0150】
100 大規模電力システム、電力コンバータ、パワーエレクトロニクスシステム、発電又は配電システム
110 電力源
115 配電システム
120 電源ワイヤ
200 構造的ビルディングブロック
203 電力コンバータ
210 電力段、絶縁電力段、ブリッジコンバータ、Hブリッジ
222 トランスフォーマ
227 マイクロ・コントローラ・ユニット、制御装置
232 内部セクション、絶縁ソリッド・ステート・トランスフォーマ
270 キャパシタ
280 固定ノード
300 電力段、電源スイッチモジュール、ブリッジコンバータ、機能モジュール
302 入出力端子
320 再構成可能型Hブリッジコンバータモジュール、機能モジュール
325 電源スイッチ、機能モジュール
327 マイクロ・コントローラ・ユニット
330 電力トランジスタ
335 ダイオード
340 回路経路、接続部
350 スイッチ、コンタクタ
355 インダクタ
375 電流制御(CFC)モジュール、機能モジュール
380 電流経路選択交点、素子
392 電力変換モード、動作モード、切替モード
395 コンタクタ設定、スイッチ設定、開閉設定
397 入出力極性設定
410 回路線
420 回路線
500 コンバータ
502 接続
504 中性点
505 電源接続部
527 マイクロ・コントローラ・ユニット、制御装置
537 接続
600 フィルタ
700 方法
A1 軍用艦艇
A2 軍用艦艇
An 入力
Bn 入力
L1 インダクタ
L2 インダクタ
N ノード
Ni ノード対、回路ノード
Nj ノード対
PV 太陽光
RS 経路選択スイッチ、電源スイッチ
X0 端子
X5 端子
Y0 端子
Y5 端子
【外国語明細書】