(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049174
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】粉粒体材料の計量・投入装置
(51)【国際特許分類】
G01G 13/00 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
G01G13/00 Q
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158754
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000156053
【氏名又は名称】株式会社浪速製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】森田 雅博
【テーマコード(参考)】
2F046
【Fターム(参考)】
2F046BA05
2F046BB00
2F046CA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】砂等の粉粒体材料の重量を高精度で計測して、かつ、スムーズに計量容器から排出できる計量・投入装置を提供する。
【解決手段】底壁11と周囲壁12が一体に形成された上方開口状の計量容器1と;該計量容器へ上方の投入機5A,5Bから投入される粉粒体材料Gの重量を計測するために、上記計量容器を受持するロードセル3と;上記計量容器に非接触状態で上方から差込まれて上記底壁に接近状の吸込用開口端15を有する吸込配管10と;上記吸込配管の他端が連結されて、上記粉粒体材料を真空吸引すると共に、混練機23へ、上記粉粒体材料を投入する真空吸引装置20とを;具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁(11)と周囲壁(12)が一体に形成された上方開口状の計量容器(1)と、
該計量容器(1)へ上方の投入機(5A)(5B)から投入される粉粒体材料(G)の重量を計測するために、上記計量容器(1)を受持するロードセル(3)と、
上記計量容器(1)に非接触状態で上方から差込まれて上記底壁(11)に接近状の吸込用開口端(15)を有する吸込配管(10)と、
上記吸込配管(10)の他端(22)が連結されて、上記粉粒体材料(G)を真空吸引すると共に、混練機(23)へ、上記粉粒体材料(G)を投入する真空吸引装置(20)とを、
具備することを特徴とする粉粒体材料の計量・投入装置。
【請求項2】
上記粉粒体材料(G)とは、鋳造用の中子,鋳型用の砂、人工砂、カルシウム粉等である請求項1記載の粉粒体材料の計量・投入装置。
【請求項3】
上記計量容器(1)の縦断面形状は、倒立円錐台形状である請求項1又は2記載の粉粒体材料の計量・投入装置。
【請求項4】
上記計量容器(1)の上記底壁(11)の縦断面形状は、弯曲凹状である請求項1又は2記載の粉粒体材料の計量・投入装置。
【請求項5】
上記計量容器(1)をプラスチック製とした請求項1,2,3又は4記載の粉粒体材料の計量・投入装置。
【請求項6】
上記計量容器(1)の底壁(11)と、上記吸込配管(10)の吸込用開口端(15)との、間隙寸法(ΔH)を、10mm乃至30mmとした請求項1,2,3,4又は5記載の粉粒体材料の計量・投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造に用いられる粉粒体材料の計量・投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の粉粒体材料の計量・投入装置としては、特許文献1及び
図4に示すような構造のものが、知られている。
即ち、
図4に於て、矢印52のように開閉自在な揺動扉(シャッター)51を有する計量容器53が、高所の棟54の上に、ロードセル55,55を介して、配設されていた。
【0003】
この計量容器53に対して、上方から種類の異なる砂等の粉粒体材料を投入機56,57が配設されている。
さらに、揺動扉51の矢印52方向の開閉作動のためのエアーシリンダ58が設けられていた。揺動扉51の下方には、混練機59が配設され、揺動扉51がエアーシリンダ58で開放されると、粉粒体材料Gは混練機59へ投入されて、混練される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような構造の計量・投入装置では、次のような問題(欠点)があった。即ち、ロードセル55,55にて支持される計量容器53には、重量の大きい揺動扉51が付設され、さらに、重いエアーシリンダ58が取付けられているので、ロードセル55としては、大重量用のものを使用する必要がある。また、エアーシリンダ58の上端は、(
図4に示す)棟54側にではなく、一般的に、計量容器53側に枢着されている場合も多い。その場合は、エアーシリンダ58の「全重量」がロードセル55に付加されるために、ロードセル55としては、大重量用のものを使用する必要がある。大重量用ロードセル55では、粉粒体材料自体の重量に関して計測精度が「低い」という問題と高価なロードセルを揃えなければならないという問題がある。
さらに、計量容器53と投入機56,57が高所(棟54の上)に配設されるので、修理・点検等のメンテナンスも困難だという問題もある。
【0006】
そこで、本発明は、(i)計量容器の重量を著しく軽量化すること、及び、(ii)計量後に粉粒体材料をスムーズに排出することを可能とすること、さらに、(iii)ロードセルとしては、小型で高性能のものを、使用できるようにして、粉粒体材料の重量の計測精度を高めることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、底壁と周囲壁が一体に形成された上方開口状の計量容器と;該計量容器へ上方の投入機から投入される粉粒体材料の重量を計測するために、上記計量容器を受持するロードセルと;上記計量容器に非接触状態で上方から差込まれて上記底壁に接近状の吸込用開口端を有する吸込配管と;上記吸込配管の他端が連結されて、上記粉粒体材料を真空吸引すると共に、混練機へ、上記粉粒体材料を投入する真空吸引装置とを;具備する。
【0008】
また、上記粉粒体材料とは、鋳造用の中子,鋳型用の砂、人工砂、カルシウム粉等である。
また、上記計量容器の縦断面形状は、倒立円錐台形状である。
また、上記計量容器の上記底壁の縦断面形状は、弯曲凹状である。
また、上記計量容器をプラスチック製とした。
また、上記計量容器の底壁と、上記吸込配管の吸込用開口端との、間隙寸法を、10mm乃至30mmとした。
【発明の効果】
【0009】
計量容器への付属物を省略でき、十分に軽量化を図ることができる。
この軽量化に伴って、ロードセルを小型化して高精度計量も可能となる。さらに、使用するロードセルのコストダウンも図り得ると共に、ロードセル使用の寿命も延びる。また、作業現場の下方の位置に、重量物を設置でき、メンテナンス等の作業も低位置にてやり易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の一形態を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1と
図2に示す実施の形態に於て、1は計量容器であって、底壁11と周囲壁12が一体に形成された、上方開口状である。金属製の場合は、底壁11と周囲壁12を溶接やリベット等にて一体化し、あるいは、プレス加工にて一体成形する。
図1と
図2にあっては、計量容器1は、その縦断面形状が倒立円錐台形状とした場合を例示する。
【0012】
また、
図3に示す他の実施例では、計量容器1の底壁11の縦断面形状は弯曲凹状である。具体的には、周囲壁12を円筒型とすると共に、その周囲壁12の下端縁に、縦断面形状が弯曲凹状の底壁11を、連設している。言い換えれば、底壁11は丸鉢形状である。
【0013】
そして、3は計量容器1を受持するロードセルである。1個の計量容器1に対して、ロードセル3は、2個~4個が設けられる。また、
図1では、計量容器1の上方端外面に付設した外フランジ部4を、平面視円周等分配角度で配置した複数個のロードセル3にて、受持している。
この計量容器1とロードセル3等は、作業現場の床に近いところ───低所───に配置される。
【0014】
5A,5Bは、計量容器1に対して、上方から粉粒体材料を投入する投入機を示す。この投入機5A,5Bは、図示省略の支持部材によって、計量容器1の上方に配設されると共に、エアーシリンダ等のアクチュエータ6にて開閉作動するスライド扉7を具備している。
【0015】
投入機5A,5Bから、各々相違する種類・特性等の粉粒体材料Gを、計量容器1へ投入する。
投入機5A,5Bから投入される粉粒体材料Gの重量は、上記ロードセル3によって、計測される。
【0016】
そして、計量容器1に非接触状態で上方から差込まれて、(
図1,
図2又は
図3のように、)底壁11に、所定小寸法(間隙寸法)ΔHをもって接近状となる吸込用開口端15を、有する吸込配管10を、具備している。
上記小寸法(間隙寸法)ΔHとしては、10mm~30mmが良い。特に、15mm~25mmが望ましい。
【0017】
図1に示すように、計量容器1の平面視中央に上方から差込まれた吸込配管10の下部及び中間部は、鉛直管部16を形成し、その上端を90°弯曲させて、水平管部17として、真空吸引装置20に連通連結する。
【0018】
つまり、吸込配管10の一端21は、計量容器1の底壁11の接近状であり、他端22は、真空吸引装置20に連結される。
この真空吸引装置20から下方の混練機23へ、粉粒体材料Gが投入され、次に、この混練機23から、(木型等の内部へエアーによって、粉粒体材料Gを吹込むための)吹込機24に粉粒体材料Gを投入する。
【0019】
ところで、粉粒体材料Gとは、鋳造用の中子や鋳型に使用する(天然の)砂、人工砂、カルシウム粉等である。
また、計量容器1としては、従来例(
図4)のような扉51やシリンダ58が付設されず、また、シリンダ58による大きな外力も作動しないので、薄肉の鋼板でも良く、さらに、軽量のためにアルミニウム等でも良く、場合によっては、プラスチック製とすることも望ましい。
【0020】
ところで、上記真空吸引装置20は、サイクロン(渦巻気流)を発生させて負圧(バキューム)として、下方位置の計量容器1の吸込配管10から粉粒体材料Gを、
図1の矢印F
10のように吸上げる。なお、矢印F
10のように吸上げることによって、複数種類の材料から構成された粉粒体材料Gが相互に混合が進むという利点もある。
【0021】
なお、吸込用開口端15の高さ位置で、(Z-Z)線に沿って水平に切断した状態を示した
図2(B),
図3(B)に於て、吸込配管10の孔部面積をS
10とする。さらに、吸込用開口端15の高さ位置で、吸込配管10の外面と、吸込周囲壁12の内面とによって形成された水平面状円環部30の面積をS
12とすると、以下の数式1が成立するのが望ましい。
3・S
10≦S
12≦10・S
10……(数式1)
上記数式1に於て、S
12<3・S
10では、円環部30にて粉粒体材料Gの詰まりを生じ易くなる。逆に、S
12>10・S
10では、吸込用開口端15から離れた底壁11の部位に(最終にて)粉粒体材料Gが残留してしまう。
【0022】
そして、上下方向の間隙寸法ΔHを、10mm≦ΔH≦30mmに設定したことと合わせることで、計量容器1内の粉粒体材料Gを、(底壁11にも残さずに)全て吸引配管10により吸出すことができる。
なお、本発明に於て、投入機5A,5Bは、2個の場合を図示したが、これを1個としたり、逆に3個以上とすることも、設計変更自由である。
【0023】
本発明は、以上詳述したように、底壁11と周囲壁12が一体に形成された上方開口状の計量容器1と;該計量容器1へ上方の投入機5A,5Bから投入される粉粒体材料Gの重量を計測するために、上記計量容器1を受持するロードセル3と;上記計量容器1に非接触状態で上方から差込まれて上記底壁11に接近状の吸込用開口端15を有する吸込配管10と;上記吸込配管10の他端22が連結されて、上記粉粒体材料Gを真空吸引すると共に、混練機23へ、上記粉粒体材料Gを投入する真空吸引装置20とを;具備する構成であるので、従来の扉51やシリンダ58(
図4参照)を省略しても、スムーズに粉粒体材料Gを上方へ排出でき、これによって、ロードセル3として小型の高性能かつ高精度のものを、使用可能となり、粉粒体材料Gの重量を高精度に計測できる。かつ、ロードセル3について、コストダウンを図り得る。また、計量容器1としては、薄肉鋼板としたり、アルミニウム等の軽金属としたり、プラスチックとすることも可能であり、軽量化とコストダウンを図り得る利点がある。さらに、計量容器1とロードセル3、及び、投入機5A,5Bを、工場の低所に設置可能となり、機械の修理・点検も容易である。また、吸込配管10を真空吸引中に、粉粒体材料Gの混合作用も期待できる。
【0024】
また、本発明によって計量されるところの上記粉粒体材料Gとは、鋳造用の中子,鋳型用の砂、人工砂、カルシウム粉等であるので、鋳造用の中子及び鋳型等の製造の高能率化に大きく貢献できる。
【0025】
また、上記計量容器1の縦断面形状は、倒立円錐台形状であるので、底壁11に近づくに従って、その横断(水平)面積が減少し、計量容器1内を下方へ移動してくる粉粒体材料Gは、吸込用開口端15に、自ら、集められて、残りなく、スムーズに、吸込配管10から吸込まれて、排出される。
【0026】
また、上記計量容器1の上記底壁11の縦断面形状は、弯曲凹状であるので、計量容器1内を下方へ移動してくる粉粒体材料Gは、弯曲凹状の底壁11の中心の方向に集まりつつ、吸込用開口端15からスムーズに吸込まれて、吸込配管10によって排出できる。
【0027】
また、上記計量容器1をプラスチック製としたので、十分な軽量化を図ることができ、ロードセル3を、さらに一層、小型で高精度なものとすることも可能である。
【0028】
また、上記計量容器1の底壁11と、上記吸込配管10の吸込用開口端15との、間隙寸法ΔHを、10mm乃至30mmとしたので、計量容器1内の計量後の粉粒体材料Gを、残りなく、スムーズに全てを吸込むことができる。なお、ΔHが10mm未満であると底壁11と吸込用開口端15の隙間に、粉粒体材料Gが詰まってしまう虞れが高い。逆に、30mmを越せば、最後の吸引力が弱く、全量を吸込みできないで、残留する。このように10mm≦ΔH≦30mmとすることにより、粉粒体材料Gは、スムーズに、残りなく、全てを吸込んで排出できる。
【符号の説明】
【0029】
1 計量容器
3 ロードセル
5A 投入機
5B 投入機
10 吸込配管
11 底壁
12 周囲壁
15 吸込用開口端
20 真空吸引装置
22 他端
23 混練機
G 粉粒体材料
ΔH 間隙寸法