(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049182
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】吹付工法及びそれに用いられる吹付用機械
(51)【国際特許分類】
E02D 17/20 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
E02D17/20 104B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158770
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390036504
【氏名又は名称】日特建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 昂平
(72)【発明者】
【氏名】石垣 幸整
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044DC05
(57)【要約】
【課題】機械的に吹付作業を施工することが出来て、ノズル噴出口と吹付面までの距離を容易且つ正確に調節することが出来る吹付工法及びそれに用いられる吹付用機械の提供。
【解決手段】本発明は、車両にアタッチメント(1)を取り付け、アタッチメント(1)は、長手方向に移動可能で且つ直交する方向に延在する板状部材(2)、板状部材(2)に沿って移動可能な吹付用ノズル(3)を備え、吹付用ノズル(3)を法面の表面形状に追随、移動し、ノズルの移動では、アタッチメント(1)を伸縮し、アタッチメント(1)を揺動し、板状部材(2)をアタッチメント(1)の長手方向に移動し、板状部材(2)に沿い吹付用ノズル(3)を移動し、アタッチメント(1)の長手方向の回転中心に対し板状部材(2)を回動し、吹付用ノズル(3)を回動し、吹付用ノズル(3)噴出口から吹付面までの吹付距離(L)を調節する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両にアタッチメントを取り付ける工程を有し、
当該アタッチメントは吹付用ノズル(3)を備えており、
吹付用ノズルの位置を調整するノズル位置調整工程を有し、
当該ノズ位置調整工程は、吹付用ノズル噴出口から吹付面までの吹付距離(L)を調節する工程を含むことを特徴とする吹付工法。
【請求項2】
吹付距離は、施工前に行われる供試体を用いた試験により決定される吹付距離に調節される請求項1の吹付工法。
【請求項3】
請求項1の各工程に先立って、供試体を用いた試験により、急結剤の決定、モルタルの決定、吹付用ノズルと吹付面との距離を決定する工程を有する請求項1、2の何れかの吹付工法。
【請求項4】
前記アタッチメントは、その長手方向に移動可能で且つ長手方向と直交する方向に延在する板状部材と、当該板状部材に沿って移動可能な吹付用ノズルを備えており、
前記ノズル位置調整工程は、
吹付用ノズルを吹付面の表面形状に追随して移動するノズル移動工程を有し、
当該ノズル移動工程では、
アタッチメントを長手方向に伸縮する工程と、
前記アタッチメントを揺動する工程と、
前記板状部材をアタッチメントの長手方向に移動させる工程と、
前記板状部材に沿って吹付用ノズルを移動する工程と、
アタッチメントの長手方向に延在する回転中心に対して、前記板状部材を回動する工程と、
吹付用ノズルを回動する工程を含む請求項1~3の何れか1項の吹付工法。
【請求項5】
請求項1の吹付工法で用いられる吹付用機械において、
車両に設けられているブームに取り付け及び/又は当該ブームから取り外すためのアタッチメント側接続手段を有するアタッチメントを備え、
当該アタッチメント(1)は吹付用ノズルを備えており、当該吹付用ノズル噴出口から吹付面までの吹付距離を調節する機能を有することを特徴とする吹付用機械。
【請求項6】
前記吹付距離は、施工前に行われる供試体を用いた試験により決定される吹付距離に調節される請求項5の吹付用機械。
【請求項7】
前記アタッチメントは、
最長な形状を有する第1の部材及び第2の部材を有し、第2の部材を第1の部材に摺動することにより長手方向に伸縮可能に構成され、
第2の部材の長手方向に移動可能で且つ長手方向と直交する方向(横方向)に延在する板状部材と、当該板状部材に沿って吹付用ノズルを移動させる横方向移動用部材と、
第2の部材の長手方向に延在する回転中心に対して、前記板状部材を回動する第1の回動用部材と、
吹付用ノズルを回動する第2の回動用部材を含んでおり、
前記車両には第1の部材を揺動する車両側揺動部材が設けられている請求項5、6の何れかに記載の吹付用機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法面やトンネルの内壁面等の吹付面に吹付材(例えばモルタル)を吹き付ける吹付工法と、それに用いられる吹付用機械に関する。
【背景技術】
【0002】
不陸の多い吹付面の表面に吹付材を吹き付ける吹付面吹付工法は、作業員が吹付用ノズルを持って、所定箇所に吹付材を吹き付けることにより実行される作業(人手による作業)が多かった。
ここで、例えばモルタルの様な吹付材には急結剤が添加されるので、吹付面までの距離が短い方が、急結剤が作用するまでに吹付材が吹付面に到達するため、吹付材が塊(いわゆる「ダマ」)になることなく吹付面に衝突するので好都合である。
しかし、吹付材の噴出口(吹付用ノズルの噴出口)から吹付面までの距離が短過ぎる場合には、モルタルの場合であれば、高圧エア、モルタル、急結剤が吹付材噴流内で偏在して吹付面に衝突するので、吹付面を吹付材で均一に被覆することが困難である。
そのため、吹付材の噴出口(吹付用ノズルの噴出口)から吹付面までの距離を適正に調節することが望まれるが、従来の様な作業員が吹付用ノズルを保持した場合(人手によるノズル持ち)だと、ノズル噴出口と吹付面までの距離の調節が困難である。
また、作業員の人手による吹付作業は転落その他の危険があり、また、人手により吹付用ノズルを把持しなければならないため、ホース閉塞時には作業員が危険に晒されてしまう。さらに作業効率が低い(例えば、作業員一人当たりの作業面積が100m2/日)という問題があった。
これに対して、機械を用いて吹付作業を行えば、人手による作業に比較して、遥かに作業効率が向上する。そして、作業員の危険が減少する。
そのため、自走可能な吹付面吹付装置(例えば、特許文献1)が提案されている。
【0003】
しかし、係る法面吹付装置(特許文献1)は、いわゆる「一品製作」で製造される場合があり、一品製作された場合には価格が高く、導入コストが高騰するという問題を有している。
また、吹付作業時に装置を固定するため、車両のアウトリガーを張り出さなければならず、アウトリガーによる固定作業に時間を費やしてしまう。
それに加えて、吹付用ノズルの位置や噴出方向の自由度が低いため、不陸の大きい吹付面の表面に、均一厚さで吹付材を吹き付けることが困難であり、また、ノズル噴出口と吹付面までの距離の調節が難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、機械的に吹付作業を施工することが出来て、ノズル噴出口と吹付面までの距離を容易且つ正確に調節することが出来る吹付工法及びそれに用いられる吹付用機械の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吹付工法は、
車両(30:無限軌道帯により進行する機械を含む)にアタッチメント(1)を取り付ける工程を有し、
当該アタッチメント(1)は吹付用ノズル(3)を備えており、
吹付用ノズル(3)の位置を調整するノズル位置調整工程を有し、
当該ノズ位置調整工程は、吹付用ノズル(3)噴出口から吹付面(F)までの吹付距離(L)を調節する工程を含むことを特徴としている。
本発明において、吹付距離(L)は、施工前に行われる供試体を用いた試験により決定される吹付距離(領域βの距離:例えば距離β1)に調節されるのが好ましい。ただし、施工事例が増加し、データが蓄積されれば、そのデータに基づいて吹付距離(L)を設定することが可能となり、施工前に行われる供試体を用いた試験は不要になる場合がある。
【0007】
本発明において、前記工程(請求項1の工程)に先立って、供試体を用いた試験により、急結剤の決定(種類、添加量)、モルタルの決定(W/Cその他の組成)、吹付用ノズルと吹付面(F)との距離(L)を決定するのが好ましい。
【0008】
本発明の吹付工法において、
前記アタッチメント(1)は、その長手方向に移動可能で且つ長手方向と直交する方向(横方向)に延在する板状部材(2)と、当該板状部材(2)に沿って移動可能な吹付用ノズル(3)を備えており、
前記ノズル位置調整工程は、
吹付用ノズル(3)を吹付面(F)の表面形状に追随して移動するノズル移動工程を有し、
当該ノズル移動工程では、
アタッチメント(1)を長手方向(軸方向)に伸縮する工程と、
前記アタッチメント(1)を揺動する工程と、
前記板状部材(2)をアタッチメント(1)の長手方向に移動する工程と、
前記板状部材(2)に沿って吹付用ノズル(3)を移動する工程と、
アタッチメント(1)の長手方向に延在する回転中心に対して、前記板状部材(2)を回動する(揺動及び/又は回転する場合を含む)工程と、
吹付用ノズル(3)を回動する(揺動及び/又は回転する場合を含む)(吹付用ノズル3を前記板状部材2に対して回動する場合を含む)工程を含むのが好ましい。
【0009】
本発明の吹付工法において、
吹付材を吹き付ける場所が車両(30:例えばバックホウの様に、無限軌道帯により進行する機械を含む)に設けられたブーム(31)の最高到達点よりも低い位置にある場合には、前記アタッチメント(1)を取り付けることなく、前記車両(30)に設けられたブーム(31)の車両(30)と反対側の先端に吹付用ノズル(3)を取り付けて、当該ブーム(31)を動かしつつ吹付用ノズル(3)から吹付材を噴出し、
吹付材を吹き付ける場所が車両(30:無限軌道帯により進行する機械を含む)に設けられたブーム(31)の最高到達点よりも高い位置にある場合には、前記車両(30)に設けられたブーム(31)の車両(30)と反対側の先端にアタッチメント(1)を取り付けるのが好ましい。
【0010】
また、本発明の吹付工法において、
吹付材を吹付用ノズル側に供給する吹付材供給系統(20)は吹付固化材用ポンプ(21:例えばコンクリートポンプ)を備え、吹付固化材用ポンプ(21)は移動可能な台車(22)に載置されており、
(ポンプ圧送距離に施工範囲が限定されてしまうことを可能な限り避けるため)吹付用ノズル(3)から吹付材を噴出する際には当該吹付用ノズル(3)に近接する位置に台車(22)を移動する工程を有することが好ましい。
【0011】
本発明の吹付工法(請求項1の吹付工法)で用いられる吹付用機械(100)は、
車両(30:無限軌道帯により進行する機械を含む)に設けられているブーム(31)に取り付け及び/又は当該ブーム(31)から取り外すためのアタッチメント側接続手段(4)を有するアタッチメント(1)を備え、
当該アタッチメント(1)は吹付用ノズル(3)を備えており、当該吹付用ノズル(3)噴出口から吹付面(F)までの吹付距離(L)を調節する機能を有することを特徴としている。
ここで、吹付距離(L)は、施工前に行われる供試体を用いた試験により決定される吹付距離(領域βの距離:例えば距離β1)に調節されるのが好ましい。
【0012】
本発明の吹付用機械(100)において、前記アタッチメント(1)は、
最長な形状を有する第1の部材(1-1:車両側部材)及び第2の部材(1-2:吹付用ノズル側部材)を有し、第2の部材(1-2)を第1の部材(1-1)に摺動(スライド)することにより長手方向に伸縮可能に構成され、
第2の部材(1-2:吹付用ノズル側部材)の長手方向に移動可能で且つ長手方向と直交する方向(横方向)に延在する板状部材(2)と、当該板状部材(2)に沿って吹付用ノズル(3)を移動させる横方向移動用部材(5)と、
第2の部材(1-2:吹付用ノズル側部材)の長手方向に延在する回転中心に対して、前記板状部材(2)を回動する第1の回動用部材(6)と、
吹付用ノズル(3)を回動する(吹付用ノズル3を前記板状部材2に対して回動することを含む)第2の回動用部材(7)を含んでおり、
前記車両(30)には第1の部材(1-1:車両側部材)を揺動する車両側揺動部材(8)が設けられているのが好ましい。
【0013】
本発明の吹付用機械(100)において、
吹付材を吹き付ける場所が車両(30:例えばバックホウの様に、無限軌道帯により進行する機械を含む)に設けられたブーム(31)の最高到達点よりも低い位置にある場合に、ブーム(31)に前記アタッチメント(1)を取り付けずに、吹付用ノズル(3)を直接ブーム(31)の車両(30)と反対側の先端に取り付けるため、前記ブーム(31)の車両(30)と反対側の先端には前記吹付用ノズル(3)を取り付け/取り外し可能なブーム側接続部材(32)が設けられていることが好ましい。
【0014】
また、本発明の吹付用機械(100)において、
吹付材を吹付用ノズル側に供給する吹付材供給系統(20)を備え、
当該吹付材供給系統(20)には吹付固化材用ポンプ(21:例えばコンクリートポンプ)が介装されており、
吹付用ノズル(3)から吹付材を噴出する際に当該吹付用ノズル(3)と前記吹付固化材用ポンプ(21)との距離を短縮するため、当該吹付固化材用ポンプ(21)は移動可能な台車(22)に載置されているのが好ましい。
【0015】
本発明において、前記吹付面(F)は法面及び/又は、トンネル内壁面を含むのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
例えばモルタルの様な吹付材には急結剤が添加されるので、吹付面(F)までの距離が短い方が、急結剤が作用するまでに吹付材が吹付面(F)に到達するため、吹付材が塊(いわゆる「ダマ」)になることなく吹付面(F)に衝突するので好都合である。
しかし、吹付材の噴出口(吹付用ノズルの噴出口)から吹付面(F)までの距離が短過ぎる場合には、モルタルの場合であれば、高圧エア、モルタル、急結剤が吹付材噴流内で偏在して吹付面(F)に衝突するので、吹付面(F)を吹付材で均一に被覆することが困難である。
そして、吹付材を吹付面(F)に吹き付けるためには、噴出された吹付材が液状態を保った状態で吹付面(F)に到達する必要がある。
そのため、吹付用ノズル噴出口から吹付面(F)までの吹付距離(吹付距離L)は、長すぎても短すぎても不都合である。
上述した本発明によれば、吹付用ノズル(3)の位置及び吹付材の吹付方向の自由度が大きく、その制御が高精度で行われる。そして、吹付用ノズル(3)噴出口から吹付面(F)までの吹付距離(L)を調節するので、吹付用ノズル噴出口から吹付面(F)までの吹付距離(L)を正確且つ容易に調節し、吹付用ノズル(3)噴出口と吹付材との距離を適正に保持することが出来る。
すなわち、吹付用ノズル(3)噴出口と吹付材との距離を、施工前に供試体を用いた試験により決定された適正な吹付距離(領域βの距離、例えば距離β1)に調整し、保持することが出来る。
【0017】
吹付用ノズル(3)噴出口から吹付面(F)までの吹付距離(L)を正確且つ容易に適正な吹付距離に調節することが出来るため、本発明によれば、吹付材は液体としての性状を保持しつつ、吹付面(F)に均一に吹き付けられる。
そして吹付(F)面に均一に吹付材を吹き付けることが出来るので、吹付工を高品質に実施することが出来る。高品質な吹付が行われる結果として、高価な材料を用いることなく、一般的な価格の材料により吹付材を組成しても、高強度で高耐久性の吹付工が実現される。
それに伴い、一般的な吹付材を用いても、高品質(高強度、高耐久性)の吹付モルタル・コンクリート構造物(吹付のり枠工、モルタル吹付工等)」を構築することが出来る。
【0018】
また、上述の構成を具備する本発明によれば、人手によらず機械により吹付作業を施工できるので、従来の手作業に比較して作業者の危険が少ない。
また、ブーム(31)を有する既存の車両(30)における当該ブーム(31)にアタッチメント(1)を取り付けることにより、吹付装置(100)を一品製作することなく用意することが出来るので、施工コストが節約される。
そして、アタッチメント(1)を取り付けるべき車両(30)を適宜選択して、吹付作業の施工高さに対応した車両(30)を選択することにより、施工範囲が限定されることがない。
同様に、適切な作業を選択することにより、車両のアウトリガーの張り出しによる固定作業を省略することが可能となる。
そして、大容量の吹付材を施工するべき吹付面(F)に対して吹き付けることが出来る。
【0019】
それに加えて本発明によれば、吹付用ノズル(3)の位置及び吹付材の吹付方向の自由度が大きくなり、その制御が高精度で行われる。そのため、吹付用ノズル(3)を吹付面(F)の表面形状に対して高精度にて追随して移動することが出来、不陸(凹凸)が多く複雑な形状の吹付面(F)であっても、吹付用ノズル(3)から噴出される吹付材を吹付面(F)の表面上に、均一厚さにて正確に吹き付けることが出来る。その結果、吹付面(F)の表面に均一厚さの吹付層を正確に形成することが出来ると共に、吹付用ノズル(3)噴出口と吹付材との距離を適正に保持することが出来る。
【0020】
ここで、本発明ではアタッチメント(1)における第1の部材(1-1)及び第2の部材(1-2)は相互に摺動(スライド)して伸縮するので、固化材搬送用の配管として可撓性の高いゴムホース(11)を使用し、アタッチメント(1)の収縮時と伸長時の長手方向長さの差を、ゴムホース(11)の弛みによって吸収する必要がある。しかし、剛性のある配管に比較して、可撓性の高いゴムホース(11)は配管抵抗が高いことが知られている。そして、ゴムホース(11)を弛ませることによりアタッチメント(1)の収縮時と伸長時の長手方向長さの差を吸収するので、ゴムホース(11)を弛ませる分だけゴムホース(11)の全長を、固定配管に比較して長くする必要がある。そのため、ゴムホース(11)により構成されている吹付材供給系統(20)では配管抵抗が大きく、従来のエア圧送に比較して配管が閉塞する可能性が高い。
それに対して、本発明で、吹付材供給系統(20)に吹付固化材用ポンプ(21)を介装し、吹付固化材用ポンプ(21)を移動可能な台車(22)に載置すれば、台車(22)を移動して吹付固化材用ポンプ(21)吐出口から吹付用ノズル(3)までの距離(吹付固化材用ポンプ21吐出口から吹付用ノズル3までのゴムホース11の長さ)を短くして、吹付材供給系統(20)における配管抵抗を小さくすることが出来る。その結果、ゴムホース(11)の閉塞を抑制することが出来る。それに加えて、吹付固化材用ポンプ(21)を移動可能な台車(22)に載置しているので、ポンプ圧送距離に施工範囲が限定されてしまうことを可能な限り避けることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】吹付用ノズルから噴出された吹付材の噴流の性状を模式的に示す図である。
【
図2】吹付材の吹付距離と一軸圧縮強度の関係を示す特性図である。
【
図3】本発明の実施形態の概要を示す説明図である。
【
図4】実施形態において、アタッチメントを長手方向に伸縮する工程を示す説明図である。
【
図5】アタッチメントを揺動する工程を示す説明図である。
【
図6】板状部材に沿って吹付用ノズルを横方向に移動する工程を示す説明図である。
【
図7】板状部材に沿って吹付用ノズルを横方向に移動する機構の一例を示す説明図である。
【
図8】前記板状部材を回動する工程を示す説明図である。
【
図9】板状部材を回動する機構の一例を示す説明図である。
【
図10】板状部材を回動する機構の
図9とは異なる例を示す説明図である。
【
図11】ノズルを回動する工程を示す説明図である。
【
図12】ノズルを揺動する機構の一例を示す説明図である。
【
図14】ノズルを揺動する機構であって、
図12、
図13で示すのとは別の例を示す説明図である。
【
図15】ノズル先端を回転する機構の一例を示す説明図である。
【
図16】図示の実施形態における吹付工を制御する機能を有する制御装置の機能ブロック図である。
【
図17】吹付材供給系統の構造を示す説明図である。
【
図18】実施形態における吹付材供給系統の要部を示す説明図である。
【
図19】実施形態における吹付材供給系統における変形例を示す説明図である。
【
図20】実施形態において、アタッチメントを用いることなく吹付を行う態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図17を参照して後述する様に、図示の実施形態では、吹付用ノズル3近傍において、搬送されたモルタル等の固化材に高圧エアを添加する先端エア添加方式を採用している。
係る先端エア添加方式では、吹付用ノズル3から吹付面Fまでがエアによる固化材の圧送距離であるため、その距離が非常に短く、液体状の吹付材として吹付用ノズル3から噴出することが可能になる。そして、吹付材における急結剤の量を、噴出された吹付材が吹付面Fに到達するまでの時間だけ液体としての性状を保つ(吹付面Fに到達するまで、液状限界を超えない様に設定する)ことにより、吹付材を吹付面Fに均一に噴出することが出来る。
【0023】
発明者の実験結果より、吹付用ノズル3の噴出口3Nから吹付面Fに向けて噴出された吹付材噴流は、
図1で模式的に表現されるような性状を有している。
図1は、吹付用ノズル3の噴射口3Nから吹付面Fに至る間の吹付材噴流の状況を示した解析結果である。
図1で示す様に、吹付材噴流は領域A1~A5で構成されており、領域A1は「理論的に不安定性解析を行った領域」、領域A2は「界面追跡法による数値シミュレーションを行った領域」、領域A3は「粒子追跡法による数値シミュレーションを行った領域」である。そして、領域A4は「光学観測により、噴霧特性、噴霧挙動を分析した領域」、領域A5は「瞬間写真、高速度ビデオ観察により、微粒化機構を解析した領域」である。
図1において、直線ALは、吹付用ノズル3の噴出口3Nと吹付面Fとの距離を人力で制御できる範囲の限界を示す直線であり、吹付用ノズル3の噴出口3Nと吹付面Fとの距離を、作業員の人手により吹付用ノズル3の噴出口3Nと直線ALの距離よりも短く調節することは出来ない。
【0024】
発明者の実験によれば、吹付材の噴出口(吹付用ノズル3の噴出口3N)から吹付面Fまでの吹付距離Lと、吹付面Fを被覆する吹付材の一軸圧縮強度σには、
図2で示す様な特性CLが存在する。
図2において、符号BEは、吹付エネルギー特性を示す。
図2において、横軸は吹付用ノズル3の噴射口3Nから吹付面Fまでの吹付距離L、左側の縦軸は吹付面Fを被覆する吹付材の一軸圧縮強度σであり、特性CL(吹付距離-一軸圧縮強度特性)と特性BE(吹付エネルギー特性)を領域α、β、γに分割して示している。
領域αは「吹付エネルギーが低下して、一軸圧縮強度σが低下する領域」である。すなわち、吹付用ノズ3ルの噴出口3Nから吹付面Fまでの吹付距離Lが長過ぎて、吹付エネルギーが低下する領域である。ここで吹付エネルギーは、モルタルを吹付面Fに締め固める力であり、エアの圧力に依存する。領域αでは、吹付距離Lが長いため、急結剤の作用によりモルタルが塊(ダマ)になり易い。
領域βは「微粒化と、W/Cが低下することにより、一軸圧縮強度σが増加する領域」である。そして、領域βと領域αの境界である吹付距離L=β1が当該特性における最適な距離である(吹付距離L=β1において特性CLが一軸圧縮強度σの最大値を示す)。最適な吹付距離L=β1については、吹付施工前に、供試体を用いた試験により決定することが出来る。
領域γは「吹付距離Lが短過ぎて、吹付材噴流におけるモルタル、エア、急結剤が偏在してしまい、均一になっていない領域」である。領域γでは、急結剤がモルタルに十分に接触せず、急結剤としての作用も奏しない。そのため、一軸圧縮強度が低い状態で推移する。
図2においても、直線ALは人力で吹付距離Lを調節できる限界を示している。
【0025】
上述した様に、不陸の多い吹付面Fの表面に吹付材を吹き付ける吹付面吹付工法は、作業員が吹付用ノズル3を持って、所定箇所に吹付材を吹き付けることにより実行される作業(人手による作業)が多かった。しかし、吹付距離Lが長いと、急結剤の作用により、吹付材が塊(ダマ)になって吹付面Fに衝突してしまう。また、吹付距離Lが短過ぎる場合には、高圧エア、モルタル、急結剤が吹付材噴流内で偏在して吹付面Fに衝突するので、吹付面Fを吹付材で均一に被覆することが困難である。そのため、吹付距離Lが適正な状態で吹付工を実施する必要がある。
図3~
図19で後述する吹付用機械100であれば、ノズル3の噴出口3Nから吹付面Fまでの吹付距離Lを最適な距離L=β1に調節し、保持することが出来る。
【0026】
ここで、ノズル噴出口3Nから吹付面Fまでの吹付距離Lの適正な値(例えばL=β1)は、急結剤の決定(種類、添加量)、モルタルのW/Cその他の組成等により、ケース・バイ・ケースで異なる。そのため図示の実施形態では、施工前に、供試体を用いた試験を行い、その試験により、急結剤の決定(種類、添加量)、モルタルの決定(W/Cその他の組成)、吹付用ノズル3の噴射口3Nと吹付面Fとの距離Lを決定する。そして吹付工法施工時には、
図16を参照して後述する様に、ノズル位置を制御して、ノズル3の噴出口3Nと吹付面Fとの距離Lを適正に保持する。
【0027】
ノズル噴出口3Nから吹付面Fまでの吹付距離Lを最適な距離に調節して吹付材を吹付面Fに噴出することが出来る吹付用機械100について、
図3~
図21を参照して、以下で説明する。
図3において、吹付用機械100は、車両30(軌道帯により進行する機械を含む)と、車両30のブーム31に取り付け可能/取り外し可能なアタッチメント1を有している。そしてアタッチメント1は、アタッチメント側接続手段4によりブーム31に接続されている。
後述する様に、アタッチメント1は第1の部材1-1(車両側部材)及び第2の部材1-2(吹付用ノズル側部材)を有しており、第1の部材1-1と第2の部材1-2が摺動(スライド)することにより、アタッチメント1は長手方向に伸縮可能である。換言すれば、第1の部材1-1に対して、第2の部材1-2は移動(摺動)可能である。
アタッチメント1には、長手方向と直交する方向(横方向)に延在する板状部材2と、当該板状部材2に沿って移動可能な吹付用ノズル3が設けられている。そして、吹付用ノズル3は、吹付作業が行われるべき吹付面F(施工法面)の表面形状に追随して移動する(ノズル移動工程を実行する)ように構成されている。なお、吹付用ノズル3に吹付材(固化材)を供給するゴムホース(供給ホース)が符号11で示されている。
なお、前記吹付面Fはトンネル内壁面でも良い。
【0028】
詳細を後述するように、
図3の吹付機械100は、
アタッチメント1を長手方向(軸方向)に伸縮する工程(
図4参照)、
前記アタッチメント1を揺動する工程(
図5参照)、
前記板状部材2をアタッチメント1の長手方向に移動させる工程(
図4参照)、
前記板状部材2に沿って吹付用ノズル3を移動する工程(
図6参照)、
アタッチメント1の長手方向に延在する回転中心に対して、前記板状部材2を回動する(揺動及び/又は回転する場合を含む)工程(
図9参照)、
吹付用ノズル3を(吹付用ノズルを前記板状部材に取り付ける取付機構において)回動する(揺動及び/又は回転する場合を含む)工程(
図11参照)
が実行可能である様に構成されている。上記の各工程により、吹付用ノズル3を法面Fの表面形状に追随して移動するノズル移動工程が構成されている。
車両30には、上述した各種工程を制御する機能を有する制御装置CUが設けられている。
図3において、連接ロッド33を介して、車両30と台車22が接続されており、台車22にはコンクリートポンプ21が載置されている。
図18を参照して後述するように、コンクリートポンプ21から吐出される吹付材(固化材)をゴムホース11で吹付用ノズル3(図示しない)に圧送する距離を短くして、ゴムホース11内の閉塞の危険性を減少するためである。
【0029】
アタッチメント1を長手方向に伸縮する工程が
図4で示されている。
図4において、アタッチメント1は、長手方向に延在する形状を有する第1の部材1-1(車両側部材)及び第2の部材1-2(吹付用ノズル側部材)を有し、第2の部材1-2を第1の部材1-1にスライド(摺動)することにより、アタッチメント1(第1の部材1-1、第2の部材1-2)は長手方向に伸縮可能である。
アタッチメント1は、第1の部材1-1の車両側端部近傍にアタッチメント側接続手段4を有しており、アタッチメント側接続手段4を介して、車両30のブーム31に取り付け及び/又は取り外し自在に構成されている。
図4は、アタッチメント1を最も伸長した状態を示しており、第2の部材1-2の下端部は第1の部材1-1の上端部近傍に位置している。一方、図示しないが、アタッチメント1が最短となるように収縮した状態では、第2の部材1-2の上端部は第1の部材1-1の上端部近傍に位置する。
図4において、矢印Sは第2の部材1-2の上端部の移動範囲を示している。
アタッチメント1の第2の部材1-2を第1の部材1-1に対してスライドするための機構としては、例えばフォークリフトで用いられている公知の機構を採用することが出来る。
【0030】
図4において、アタッチメント1の第2の部材1-2には、第2の部材1-2の長手方向に移動可能であって、且つ長手方向と直交する方向(横方向)に延在(
図6参照)する板状部材2が取り付けられている。
図4では、単一の板状部材2が第2の部材1-2の最上方に移動した状態と、最下方に移動した状態と、最上方と最下方の中間位置に移動した状態とが示されている。板状部材2が3個設けられている訳ではない。
アタッチメント1が最短となるように収縮した状態(図示せず)を含めると、板状部材2がアタッチメント1の長手方向について移動可能な範囲は、
図4に示す3つの位置の範囲の概略2倍の範囲となる。板状部材2を第2の部材1-2の長手方向に移動するための機構として、従来公知の機構を用いることが出来る。
板状部材2には吹付用ノズル3が取り付けられ、吹付用ノズル3は板状部材2に沿って横方向(
図4で紙面に垂直な方向)に移動可能である。なお、
図4において、吹付用ノズル3に固化材(吹付材)を供給する供給ホースが符号11で示されている。
【0031】
アタッチメント1を揺動する工程が
図5で示されている。
図5において、車両30のブーム31には、アタッチメント1(の第1の部材1―1)を揺動する車両側揺動部材8が設けられている。
図5では、車両側揺動部材8によりアタッチメント1を最大15°の範囲で揺動するように設定されるが、「最大15°」は例示であり、その他の角度に設定することが出来る。
アタッチメント1を揺動する車両側揺動部材8として、従来公知の機構を用いることが出来る。
【0032】
板状部材2に沿って吹付用ノズル3がスライド(摺動:移動)する工程が
図6に示されている。
図6において、吹付用ノズル3は板状部材2に沿って、アタッチメント1の長手方向と直交する方向(矢印A6方向)にスライド(移動)する。
図6では、単一の吹付用ノズル3が、板状部材2の長手方向(矢印A6方向)の両端位置及び中央位置に位置した状態が表示されている。吹付用ノズル3が3個設けられている訳ではない。
吹付用ノズル3には供給ホース11が接続されている。
吹付用ノズル3は横方向移動用部材5により板状部材2に沿って移動する。横方向移動用部材5について、
図7を参照して説明する。
【0033】
図7において、板状部材2に配置される横方向移動用部材5は、一対のスプロケット5A、5A、スプロケット5Aにより駆動されるチェーン5B、チェーン5Bに固定されたノズル取付部材5Cを有している。ノズル取付部材5Cはチェーン5Bに固定されていると共に、板状部材2に取り付けられている角状パイプ(図示せず)に回転ローラー(図示せず)を介して取り付けられている。そしてノズル取付部材5Cには吹付用ノズル3が取り付けられている。
板状部材2に沿って吹付用ノズル3を移動する際は、一対のスプロケット5Aのうち一方を駆動源(例えば、図示しない油圧モータ)により正転或いは逆転し、それによりチェーン5Bが左右に走行する。そして、チェーン5Bに固定されたノズル取付部材5Cと共に吹付用ノズル3が
図7の左右方向(矢印A7)に移動する。
吹付施工者の操作により図示しない油圧モータを停止することにより、ノズル取付部材5Cに取り付けられた吹付用ノズル3は、任意の位置に停止、固定する。
なお、
図7では吹付用ノズル3は、板状部材2の長手方向に対して垂直方向(
図7で紙面に垂直な方向)を向いて配置されているが、
図11~
図15を参照して後述する様に、吹付用ノズル3を回動(揺動及び/又は回転する場合も含む)することが出来る。
【0034】
図8は、板状部材2の回転中心軸C8を中心とした回動(矢印R1)が示されている。回転中心軸C8は、アタッチメント1の第2の部材1-2の長手方向に延在している。図示の煩雑を防ぐために、
図8ではノズル3の図示は省略している。
板状部材2の回動は、
図9、
図10を参照して後述する第1の回動用部材6、6-1により実行される。
【0035】
図9で模式的に示す第1の回動用部材6は、伸縮自在な第1のシリンダ6A及び第2のシリンダ6Bを備え、第1のシリンダ6Aはシリンダ取付部6Cと板状部材2における回動自在な軸支点2aを連結し、第2のシリンダ6Bはシリンダ取付部6Cと板状部材2における回動自在な軸支点2bとを連結している。
第1及び第2のシリンダ6A、6Bの伸縮量を等しい場合には、板状部材2は実線で示す回動位置P1となり、第1のシリンダ6Aを伸長して第2のシリンダ6Bを収縮すると板状部材2は回動し(矢印R2)、例えば破線で示す回動位置P2となる。第1のシリンダ6Aの伸縮量を調整することにより、板状部材2を様々な位置に固定することが出来る。
【0036】
第1の回動用部材の変形例6-1を示す
図10において、第2の部材1-2(
図10では図示せず)に取り付けられた第1の回動用部材6―1は、板状部材支持部6-1A及び取付部2cにより、板状部材2を回動自在に軸支している。板状部材支持部6-1Aは第1の回動用部材6―1の本体部の先端近傍に設けられ、取付部2cは板状部材2側の取付ブラケット2Aに設けられている。
第1の回動用部材6-1には伸縮自在なシリンダ6―1Bが設けられている。シリンダ6―1Bは、第1の回動用部材6-1本体部のシリンダ取付部6-1Cとシリンダ取付部2dとを連結している。シリンダ取付部2dは、板状部材2側の取付ブラケット2Aに設けられている。
【0037】
図10に示す様に、板状部材2のシリンダ取付部2dは、取付ブラケット2Aに設けられた取付部2c(本体部の板状部材支持部6-1A)とは、シリンダ取付部6-1Cのシリンダ伸縮方向に対してオフセットしている。そのため、シリンダ6-1Bを伸縮すると、板状部材2を回動させることが出来る(矢印R3)。
例えば、シリンダ6-1Bを実線で示す様に圧縮すると、板状部材2を
図10において実線で示す回動位置P3とすることが出来る。或いは、シリンダ6-1Bを点線で示す様に伸長すると、板状部材2を
図10において破線で示す回動位置P4とすることが出来る。そしてシリンダ6-1Bの伸縮量を調整することにより、板状部材2を様々な回動位置に固定することが出来る。
【0038】
図11は、吹付用ノズル3の回動(揺動)を示している。
図11において、吹付用ノズル3は、図示しない板状部材2に取付機構9により移動可能に設けられており、矢印R4で示す様に回動(揺動及び/又は回転する場合を含む)する。
図11で符号11は吹付用ノズル3に固化材を供給する供給ホースを示す。
吹付用ノズル3は第2の回動用部材7により回動され、第2の回動用部材7について
図12~
図15を参照して説明する。
【0039】
図12で示す第2の回動用部材7は、吹付用ノズル3を回動する機構の一例である。
図12において、第2の回動用部材7は、本体部7Aに設けられた回転軸7Bにより円盤部7Cが回転し、円盤部7Cにはロッド7Dの一端部7DAが回動自在に軸支されている。ロッド7Dの他端部7DBは、吹付用ノズル3の基部近傍において、連結部材7Eを介して接続部材3Dに連結されている。接続部材3Dは、吹付用ノズル3と供給ホース11を接続している。
明確には図示されていないが、ロッド7Dの他端部7DBは、連結部材7Eに対して、例えば、
図13において上下方向には移動可能であるが、左右方向には移動しない様に軸支されている。他端部7DBをその様に軸支した場合には、第2の回動用部材7の円盤部7Cを回転させると(
図13の矢印R5)、円盤部7Cの回転は、ロッド7D、連結部材7E、接続部材3Dを介して吹付用ノズル3に伝達され、吹付用ノズル3は、例えば
図12において矢印R6で示す様に揺動する。揺動角度は、例えば片側で45°である。
なお、ロッド7Dの一端部7DAの円盤部7Cにおける位置(回転中心7C1との位置関係)等を調整し、且つ、ロッド7Dの他端部7DBは連結部材7Eに対して回転自在に固定(軸支)することにより、吹付用ノズル3の先端は、
図12において矢印R7で示す様に回転させることが出来る。
【0040】
吹付用ノズル3を回動する機構は
図12、
図13で示す機構に限定される訳ではなく、例えば、
図14で示すような機構であっても良い。
図14は吹付用ノズル3を回動する機構である第2の回動用部材の変形例7-1を示している。
図14において、第2の回動用部材7-1は、伸縮自在な第1のシリンダ7-1A及び第2のシリンダ7-1Bを備え、第1のシリンダ7-1Aは第1のシリンダ取付部7―1Cと吹付用ノズル3側のブラケット3Aにおける取付部3aとを連結しており、第2のシリンダ7-1Bは第2のシリンダ取付部7―1Dと吹付用ノズル3側のブラケット3Aにおける取付部3bとを連結している。
【0041】
第1及び第2のシリンダ7-1A、7-1Bの伸縮量に応じて、吹付用ノズル3は回動中心3Bに対して回動(揺動)し(矢印R8)、所定の揺動角度に保持される。第1及び第2のシリンダ7-1A、7-1Bの伸縮量を等しくすると、吹付用ノズル3は
図14における実線の位置(位置P5)に保持される。
第1のシリンダ7-1Aを収縮し、第2のシリンダ7-1Bを伸長すると、吹付用ノズル3は揺動中心3Aに対して左側(
図14で)に移動し、破線で示す揺動位置(位置P6)に位置する。一方、第1のシリンダ7-1Aを伸長し、第2のシリンダ7-1Bを収縮すると、吹付用ノズル3は揺動中心3Aに対して右側(
図14で)に移動し、破線で示す揺動位置(位置P7)となる。そして、第1のシリンダ7-1A、第2のシリンダ7-1Bの伸縮量を調整することにより、吹付用ノズル3を様々な揺動位置とすることが出来る。
図14において、吹付用ノズル3の揺動角度は、例えば片側で15°である。
【0042】
吹付用ノズル3を回動については、
図12~
図14で示す様な揺動に加えて、吹付用ノズル3の先端が小円の軌跡を描くように回転させる場合も含む。
図15は、吹付用ノズル3の先端が小円の軌跡を描くように回転させる第2の回動用部材の第2の変形例7-2を示している。
図15において、第2の回動用部材7-2は、本体部7-2Aに設けられた回転軸7-2Bに第1の円盤部7-2Cが回転自在に軸支され、第1の円盤部7-2Cには第2の円盤部7-2Dが軸部7-2DAで回転自在に軸支されている。第1の円盤部7-2Cの回転中心7-2CAは第1の円盤部7-2Cの中心(円形の中心点)に対してオフセットされている。
第2の円盤部7-2Dの端部7-2DB(
図15で上端)は接続部材7-2Eに連結されており、接続部材7‐2Eには吹付用ノズル3の支持部材3Eが固定されている。
【0043】
図15において、第1の円盤部7-2Cが回転軸7-2CAを中心に回転すると(矢印R9)、第2の円盤部7-2Dが偏芯回転し、当該偏芯回転は、接続部材7-2E、支持部材3Eを介して吹付用ノズル3に伝達され、吹付用ノズル3の先端は小円の軌跡を描くように回転する(矢印R12)。
第1の円盤部7-2Cの回転中心7-2CAのオフセット量、第2の円盤部7-2Dの軸支位置7-2DA等を調整することにより、吹付用ノズル3の先端の回転R12の回転半径等を調整することが出来る。
なお、図示の簡略化と説明を平易にするため、
図15は実機に対して上下逆の態様で表現されている。
【0044】
次に、機能ブロック図である
図16を参照して、吹付用機械100の制御装置CUについて説明する。
上述した様に、吹付用機械100の制御装置CUは車両30に設けられている。制御装置CUは車両30から離隔した位置に設けることも可能である。
制御装置CUは、吹付用ノズル3の噴射口3N(
図2)と吹付面Fとの距離(吹付距離L)を調節する機能を有している。そして、制御装置CUは、アタッチメント1の長手方向寸法の伸縮、板状部材2の第2の部材1-2における長手方向目標箇所までの移動、板状部材2の長手方向における吹付用ノズル3の移動、板状部材2の回動、吹付用ノズル3の回動、第1の部材1-1の揺動を実行する機能を有し、アタッチメント1等の部材、吹付材等の供給手段に制御信号を送信する機能を有している。
【0045】
図16において、吹付用機械100の制御装置CUは、吹付エリア特定ブロックB1、ノズル位置調整ブロックB2、吹付量チェックブロックB3、吹付量決定ブロックB4、エア増減決定ブロックB5、制御信号発生ブロックB6を有している。
制御装置CUの外部には、予め実行された実験により得られた適正な吹付距離に関するデータ等を(制御装置CUの外部から制御装置CUに)入力する入力装置CU1が設けられている。入力装置CU1から制御装置CUに入力するデータとしては、急結剤のデータ(種類、添加量)、モルタル等の固結材のデータ(W/Cその他の組成)、吹付用ノズル3の噴射口3Nと吹付面Fとの最適な吹付距離(L=β1)のデータ、吹付材を吹き付けるべき法面(吹付面F)の個々の領域に関する吹付工の施行仕様データ(位置データを含む)等がある。入力装置CU1(
図3では図示せず)は、例えばPC等の情報処理装置により構成することが出来る。
【0046】
吹付エリア特定ブロックB1は、入力装置CU1から、信号ラインSL1を介して、吹付材を吹き付けるべき法面F(吹付面)或いはその個々の領域(エリア)の位置に関するデータを取得する機能を有する。
吹付エリア特定ブロックB1は、取得した前記位置データに基づいて吹付位置を特定する機能を有している。当該吹付位置の特定に際しては、従来公知の技術を採用することが出来る。
なお、吹き付けるべき法面の映像データ等を作成する計測装置を別途設け、吹付エリア特定ブロックB1は当該計測装置からが位置データを取得する様にすることも出来る。
吹付エリア特定ブロックB1により特定された吹付位置の情報は、信号ラインSL2を介してノズル位置調整ブロックB2に送信される。
【0047】
吹付工法施工前に、供試体を用いた試験を行い、急結剤の決定(種類、添加量)、モルタルの決定(W/Cその他の組成)を行うと共に、吹付用ノズル3(の噴射口3N)と吹付面Fとの距離L(最適な吹付距離L=β1)を決定する。
施工前に行われた試験結果から求められた吹付距離L(最適な吹付距離L=β1)は、入力装置CU1から信号伝達ラインSL13を介してノズル位置調整ブロックB2に送信される。
明確には図示されていないが、前記施工前の試験により決定された急結剤のデータ(種類、添加量)、モルタルのデータ(W/Cその他の組成)、吹付材を吹き付けるべき法面の個々の領域(エリア)に関する吹付工の施行仕様データ等も、入力装置CU1から吹付量チェックブロックB3、吹付量決定ブロックB4、エア増減決定ブロックB5等に送信される。
施工時には、ノズル位置を制御して、ノズル3の噴出口3Nと吹付面Fとの距離Lを適正に保持する。換言すれば、ノズル3の噴出口3Nと吹付面Fとの距離Lを最適な距離(L=β1)に保持する。
【0048】
ノズル位置調整ブロックB2は、吹付エリア特定ブロックB1により特定された吹付位置の情報と、入力装置CU1から取得した吹付距離L(吹付用ノズル3と吹付面Fとの最適な距離β1)に基づき、吹付用ノズル3の噴出口3Nから吹付面Fまでの吹付距離Lを、前記予め試験により決定された最適な吹付距離L=β1に調整する(制御する)機能を有している。
そして、当該調整を実行するために最適なノズル位置に調整する(制御する)機能を有している。具体的には、最適なノズル位置に調整するため、アタッチメント1等の各部材(
図3~
図15に示す部材)の動作、位置を決定し、アタッチメント1等の各部材に、信号ラインSL3を介して制御信号を送信する機能を有している。
ノズル位置調整ブロックB2(及び/或いは吹付量チェックブロックB3)による制御において、吹付エリア特定ブロックB1から取得した吹付位置の情報は、例えば、吹付位置における吹付厚さが所定の厚さに達したか否か(当該吹付位置の吹付状況)を確認し、当該吹付位置に更に吹付を行うことが必要か否かを確認するために利用される。
【0049】
ノズル位置調整ブロックB2は、吹付エリアにおける吹付を実行するためノズル位置に関する信号を、信号ラインSL4を介して制御信号発生ブロックB6に送信する機能を有している。
図16において、吹付量チェックブロックB3は、信号ラインSL5を介して入力装置CU1から、吹付材を吹き付けるべき法面の個々の領域(エリア)に関する吹付工の施行仕様データを取得する機能を有している。
また、吹付量チェックブロックB3は、取得した吹付工施工仕様データに基づき、当該吹付エリアに更に吹付を行うことが必要か否かをチェックする機能を有している。
例えば、吹付工法を施工するべき法面Fに所定の(目標の)吹付厚さに応じて設置された目印標(プラスチック製の黒色の目印標)が、図示しない計測装置から取得した映像データにより視認できない場合には、所定の吹付厚さであると判断して、更なる吹付は不要と判断する。或いは、更に吹付を行うことが必要か否かをチェックする際には、図示しない計測装置から取得した映像データに基づいて、従来技術を用いて判断することも出来る。
吹付量チェックブロックB3によるチェック結果(更に吹付を行うことが必要か否かの判断結果)は、信号ラインSL6を介して吹付量決定ブロックB4に送信される。
【0050】
吹付量決定ブロックB4は、吹付量チェックブロックB3から当該吹付位置に更に吹付を行うことが必要か否かの結果に関する情報を取得し、併せて吹付材を吹き付けるべき法面の領域(エリア)のデータ(施工仕様データ、その他)を取得して、吹付量を決定する機能を有している。
当該吹付量決定の際には、例えば、図示しない計測装置により撮影された吹付直前の画像と吹付直後の画像とを比較して、従来技術に係る方法で演算することが出来る。さらに、画像データにより目印標を視認して吹付量を決定することも出来る。吹付量決定の結果、吹付量の維持、増加或いは減少、吹付量をゼロにする(吹付を停止する)の何れかが決定される(吹付量の決定)。吹付量決定ブロックB4により決定された吹付量の情報(吹付量の決定)は、信号ラインSL7を介して制御信号発生ブロックB6に送信される。
【0051】
図16において、エア増減決定ブロックB5は、入力装置CU1から、信号ラインSL8を介して吹付位置(領域:エリア)における吹付工の施行仕様データを取得し、当該データに基づき、吹付材にエアと急結剤を混入する必要があるか否かを決定する機能と、エアと急結剤を混入する必要がある場合にはエア及び急結剤混入量の増減や混入量を決定する機能を有している。
吹付材にエアと急結剤を混入させる必要があるか否かを決定する際、及び/又は、エアと急結剤を混入させる必要がある場合における混入量の増減、混入量を決定する際には、例えば視認或いは図示しない計測装置らの映像データ(例えば3Dマップ)で吹付位置における吹付材の付着状況を確認し、当該付着状況に基づいて、必要な決定が実行される。
エア増減決定ブロックB5による決定結果(エアと急結剤を混入するか否かの決定結果、エアと急結剤を混入させる必要がある場合における混入量の増減と混入量の決定結果)は、信号ラインSL9を介して制御信号発生ブロックB6に送信される。
【0052】
上述した様に、制御信号発生ブロックB6はノズル位置調整ブロックB2から、吹付エリアの吹付を実行するためのノズルに関する情報信号(例えばノズル位置、移動速度に関する信号)を受信する。その際、吹付用ノズル3の噴出口3Nから吹付面Fまでの吹付距離Lは、適正な吹付距離L=β1となる様に、吹付用ノズル3の位置を適正な位置に移動するための制御信号を発信する。また、
図3~
図15で示す各種部材への制御信号は、信号ラインSL3を介して、ノズル位置調整ブロックB2から送信される。係る制御信号は、
図1~
図13で示す各種部材に送信され、当該各種部材の動作により吹付用ノズル3の位置を調整して、吹付距離を、施工前に行われた実験結果から求められた適正な吹付距離にせしめる。
【0053】
制御信号発生ブロックB6は、吹付量決定ブロックB4から決定された吹付量の情報(吹付停止に関する情報を含む)を受信し、さらに、エア増減決定ブロックB5から決定結果(エアと急結剤を混入するか否かの決定結果、エアと急結剤を混入させる必要がある場合における混入量の増減と混入量の決定結果)を受信する。
制御信号発生ブロックB6は、ノズル位置調整ブロックB2からノズルに関する信号(例えば、吹付エリアの吹付を実行するためのノズル位置、移動速度に関する信号)を受信した場合に、吹付量決定ブロックB4からの吹付量の決定結果も踏まえて、吹付材供給系統20のコンクリートポンプ21に対する制御信号を、信号ラインSL10を介して送信する機能を有している。当該制御信号を受信したコンクリートポンプ21は、固化材配管11(ゴムホース)を介して所定量(吹付量決定ブロックB4で決定された量)の吹付材(固化材)を吹付用ノズル3に供給する。
また、制御信号発生ブロックB6は、ノズル位置調整ブロックB2から「吹付エリアの吹付を実行するためのノズル位置、移動速度に関する信号」を受信した場合、コンクリートポンプ21に制御信号を送信すると共に、エア供給装置24に対する制御信号を信号ラインSL11を介して送信し、さらに急結剤供給装置25を作動する制御信号を信号ラインSL12を介して送信する機能を有している。
明確には図示されていないが、エア供給装置24は、例えばコンプレッサーで構成される。
【0054】
図16において、制御信号発生ブロックB6からの前記制御信号に基づき、エア供給装置24は、エア配管13(ゴムホース:
図17参照)を介して、エア増減決定ブロックB5で決定された所定量のエアを供給し、急結剤供給装置25は、急結剤配管14(ゴムホース:
図17参照)を介して、エア増減決定ブロックB5で決定された所定量の急結剤を供給する。
エア供給装置24から供給されたエアと急結剤供給装置25から供給された急結剤は、
図17を参照して後述する様に、吹付材供給系統20における吹付用ノズル3の直前(直ぐ上流側)で、急結剤リング12を介して吹付材に混入される。
【0055】
図16に示す様に、制御装置CU(のノズル位置調整ブロックB2)によりアタッチメント1等の各部材(
図3~
図15に示す部材)を制御するので、吹付用ノズル3を吹付面Fの表面形状に追随して移動し、吹付用ノズル3の位置及び吹付材の吹付方向の自由度が大きくなり、その制御が高精度で行われる。
そのため、吹付用ノズル3を吹付面Fの表面形状に対して高精度にて追随して移動することが出来、不陸(凹凸)が多く複雑な形状の吹付面(F)であっても、吹付用ノズル3から噴出される吹付材を吹付面Fの表面上に、均一厚さにて正確に吹き付けることが出来る。そして、吹付用ノズル3の噴出口3Nから吹付面Fまでの吹付距離Lを適正な吹付距離L=β1に調節、保持することが出来る。
【0056】
次に主として
図17~
図19を参照して、吹付用機械100で好適に用いることが出来る吹付材供給系統20について説明する。
吹付用機械100において、コンクリートポンプ21から供給ホース11により圧送されて吹付用ノズル3から噴出される固化材(コンクリート等)は、硬化により吹付材供給系統を閉塞することを防止するためスランプ値が大きく、そのままの状態では、法面に付着しない。
そのため、吹付材供給系統20における吹付用ノズル3の噴出直前の位置に急結剤リング12を設け、急結剤リング12でエアと急結剤と固化材とを混入して噴出している。急結剤を混入することにより、固化材のスランプ値が大きくても、吹付用ノズル3から吹き付けられた材料が法面で固化する。
【0057】
図17において、吹付材供給系統20は、コンクリートポンプ21から固化材を吹付用ノズル3に供給する固化材配管11(ゴムホース)、吹付用ノズル3の上流側に隣接する位置で固化材配管11に接続する(合流する)様に配置された急結剤リング12、エア供給装置24から急結剤リング12の上流側にエアを供給するエア配管13(例えばゴムホース)、急結剤供給装置25から急結剤リング12の上流側に急結剤を供給する急結剤配管14(例えばゴムホース)を有している。
急結剤リング12は、固化材配管11に合流する合流部12A、エア配管13との接続部12B、急結剤配管14との合流部12Cを備えている。
施工に際しては、エアと急結剤とモルタルを混合するに際して、先ず、エア配管13を流れるエアと、急結剤配管14を流れる急結剤が合流部12Cで混合されて、気液混合物となる。当該気液混合物は、急結剤リング12の合流部12Aにおいて、固化剤配管11を流れる固化材(例えばモルタル)と混合される。
【0058】
図示の実施形態における吹付用機械100では、
図4で示す様に、アタッチメント1(第1の部材1-1、第2の部材1-2)が収縮する。アタッチメント伸長時と収縮時の長手方向寸法の差を吸収するため、可撓性の高いゴムホース11(固化材配管)を使用して、アタッチメント収縮時にはゴムホース11を弛ませて対応している。しかし、アタッチメント伸長時に対応して配管抵抗の大きいゴムホース11の全長を長くすると、ゴムホース11内における閉塞の可能性が大きくなる。
そのため吹付用機械100では、
図18に示す様に、ミキサー車23で製造された吹付材(固化材)をゴムホース11で吹付用ノズル3(図示しない)に圧送するためのコンクリートポンプ21(吹付固化材用ポンプ)を台車22に載置している。台車22を吹付工法の施工現場近傍まで移動させて、吹付用ノズル3に近接する位置に台車22を移動すれば、コンクリートポンプ21から吹付用ノズル3までの距離(ゴムホース11の全長)を短くして、吹付材供給系統20における配管抵抗を小さくし、以て、ゴムホース11内の閉塞の危険性を減少することが出来る。この場合、例えば
図3で示す様に、車両30と台車22は連接ロッド33を介して接続することが出来る。
図示の実施形態における吹付用機械100における吹付材供給系統20では、
図19で示す様に、コンクリートポンプ21を台車22に載置しないことが可能である。その場合、固化材用のプラント(コンクリートミキサー車23、コンクリートポンプ21を含む)が、吹付工法の施工現場近傍に設けられることになる。
【0059】
図3~
図19を参照して説明した吹付用機械100では、吹付材を吹き付ける場所(例えば法面F)が車両30に設けられたブーム31の最高到達点よりも低い位置にある場合には、アタッチメント1を取り付けると吹付用ノズル3は吹き付ける場所よりも高い位置となり、吹き付けが困難になる。
吹付材を吹き付ける場所がブーム31の最高到達点よりも低い位置にある場合には、
図20で示す様に、車両30に設けられたブーム31にアタッチメント1を取り付けずに、ブーム31の車両30と反対側の先端(最高到達点側の先端)に、吹付用ノズル3を取り付け/取り外し可能なブーム側接続部材32を介して吹付用ノズル3を取り付けて、ブーム31を動かしつつ吹付用ノズル3から吹付材を噴出する。
吹付材を吹き付けるべき箇所がブーム31の最高到達点よりも高い位置にある場合には、
図3~
図19を参照して説明したように、ブーム31にアタッチメント1を取り付けて、吹付作業を行う。
【0060】
図20で示す態様では、ノズル3はブーム側接続部材32に固定されているが、
図21で示す様に、ブーム側接続部材32に板状部材2を取り付け、ノズル3は板状部材2の長手方向(
図21の左右方向:矢印A6方向)に移動可能に構成することが出来る。
ノズル3を板状部材2の長手方向に移動可能とするには、例えば、
図6を参照して説明した工程を実行するための構成を用いれば良い。
図21で示す態様(
図20で示す態様の変形例)では、吹付材を吹き付ける場所がブーム31の最高到達点よりも低い位置にある場合において、ブーム側接続部材32近傍の領域のみならず、ブーム側接続部材32から板状部材2の長手方向(
図21の左右方向:矢印A6方向)に離隔した個所に対しても吹付材を噴出することが出来る。
【0061】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0062】
1・・・アタッチメント
1-1・・・第1の部材(車両側部材)
1-2・・・第2の部材(吹付用ノズル側部材)
2・・・板状部材
3・・・吹付用ノズル
4・・・アタッチメント側接続手段
5・・・横方向移動用部材
6・・・第1の回動用部材
7・・・第2の回動用部材
8・・・車両側揺動部材
11・・・ゴムホース(固化材用配管)
20・・・吹付材供給系統
21・・・コンクリートポンプ(吹付固化材用ポンプ)
22・・・台車
30・・・車両
31・・・ブーム
32・・・ブーム側接続部材
100・・・吹付用機械
CU・・・制御装置
CU1・・・入力装置
F・・・吹付面(法面)