(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004920
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】積層体および積層体を備えた粘着テープ
(51)【国際特許分類】
B32B 5/24 20060101AFI20230110BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230110BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20230110BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20230110BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20230110BHJP
【FI】
B32B5/24
B32B27/00 M
B32B27/32 E
C09J7/38
C09J7/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098319
(22)【出願日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2021105164
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390019264
【氏名又は名称】ダイヤテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】柳原 孝広
(72)【発明者】
【氏名】杉本 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 亮
(72)【発明者】
【氏名】田辺 洋平
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK03A
4F100AK03B
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK25C
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100CB05C
4F100DG11A
4F100DG12A
4F100DG13A
4F100DG15A
4F100EH23
4F100JB16A
4F100JB16B
4F100JC00A
4F100JC00B
4F100JL13C
4F100YY00A
4F100YY00B
4J004AA10
4J004AB01
4J004BA02
4J004CA04
4J004CB03
4J004CC03
4J004DB02
4J004EA06
4J004FA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、環境負荷を低減でき、かつ層間剥離を抑制できる粘着テープに好適に使用できる積層体を提供することを目的とする。
【解決手段】支持層と、前記支持層の一方の主面側に設けられたラミネート層と、を少なくとも備える積層体であって、前記支持層は、第1の熱可塑性樹脂からなる線条体から構成される布状体からなり、前記ラミネート層は、第2の熱可塑性樹脂からなり、前記第1の熱可塑性樹脂又は前記第2の熱可塑性樹脂の少なくとも一方の熱可塑性樹脂が、植物由来のバイオポリオレフィンを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層と、前記支持層の一方の主面側に設けられたラミネート層と、を少なくとも備える積層体であって、
前記支持層は、第1の熱可塑性樹脂からなる線条体から構成される布状体からなり、
前記ラミネート層は、第2の熱可塑性樹脂からなり、
前記第1の熱可塑性樹脂又は前記第2の熱可塑性樹脂の少なくとも一方の熱可塑性樹脂が、植物由来のバイオポリオレフィンを含む、積層体。
【請求項2】
前記第1の熱可塑性樹脂又は前記第2の熱可塑性樹脂の少なくとも一方の熱可塑性樹脂のバイオマス度が4%以上である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記支持層は、前記線条体を、編成、織成、又は交差接着した布状体からなる、請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記ラミネート層は、10~200μmの厚さを有する、請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記第1の熱可塑性樹脂及び前記第2の熱可塑性樹脂の両方の熱可塑性樹脂が、植物由来のバイオポリオレフィンを含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項6】
前記第1の熱可塑性樹脂及び前記第2の熱可塑性樹脂の両方の熱可塑性樹脂が、バイオマス度が4%以上である、請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
前記バイオポリオレフィンがバイオポリエチレンである、請求項1に記載の積層体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項の積層体を備えた粘着テープであって、
前記積層体のラミネート層の支持層側とは反対の主面側、及び/又は支持層のラミネート層側とは反対の主面側に、粘着剤層を備える、粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関し、より詳細には、植物由来のポリオレフィンを使用した環境負荷の低減された積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは、一般的には、長尺状の支持層の一方又は両方の面に粘着剤層を設けた構成を有しており、梱包、補修、養生等に広く使用されている。粘着テープには、作業効率の面から、引張強度が要求されるとともに、手切れ性、直線カット性等が要求される。引張強度が低いと、意図しない破断が発生しやすくなり、例えば、粘着テープを引き剥がす際に、剥がし残りが生じ、作業性が低下するおそれがある。そのため、粘着テープの直線カット性を向上させるために、例えば、支持層として織布を採用することが知られている(例えば、特許文献1等)。
【0003】
上記したような支持層(織布層)や、支持層と粘着剤層との間に設けられるラミネート層として、ポリオレフィンを使用したものが知られている(特許文献2等)。
【0004】
ところで、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、材料分野においてもエネルギーと同様に化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。バイオマスは、二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であり、それを利用することにより、再度二酸化炭素と水になる、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能エネルギーである。昨今、これらバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックの実用化が急速に進んでおり、各種の樹脂をバイオマス原料から製造する試みも行われている。例えば、ポリエチレンは、フィルム、シート等に材料用途に広く使用されており世界中での使用量も多いため、従来の化石燃料由来のポリエチレンを、バイオマスを原料とした植物由来のポリエチレンにより代替することが検討されている(特許文献3等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-63511号公報
【特許文献2】特開2021-28370号公報
【特許文献3】特表2011-506628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したような層構成を有する粘着テープは、被着体に貼り合わせた後に剥がそうとすると、粘着テープの粘着剤層と被着体との界面で剥離するのが理想であるが、場合によっては、粘着テープ内の層間剥離が生じることがあった。その場合、被着体側に残った粘着剤層を除去するのは、手間のかかる作業となっていた。特に、支持層が線条体から構成される布状体からなる場合、ラミネート層との接触面積が小さくなる傾向があり、支持層とラミネート層との界面で層間剥離が生じることがあった。
【0007】
したがって、本発明は、環境負荷を低減でき、かつ層間剥離を抑制できる粘着テープに好適に使用できる積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが、粘着テープを構成する部材に使用されているポリオレフィンを、植物由来のバイオポリオレフィンに置き換えたところ、予想に反して粘着テープ内の層間剥離を抑制できることがわかった。本発明は係る知見によるものである。本発明の要旨は以下のとおりである。
【0009】
[1]支持層と、前記支持層の一方の主面側に設けられたラミネート層と、を少なくとも備える積層体であって、
前記支持層は、第1の熱可塑性樹脂からなる線条体から構成される布状体からなり、
前記ラミネート層は、第2の熱可塑性樹脂からなり、
前記第1の熱可塑性樹脂又は前記第2の熱可塑性樹脂の少なくとも一方の熱可塑性樹脂が、植物由来のバイオポリオレフィンを含む、積層体。
[2]前記第1の熱可塑性樹脂又は前記第2の熱可塑性樹脂の少なくとも一方の熱可塑性樹脂のバイオマス度が4%以上である、[1]に記載の積層体。
[3]前記支持層は、前記線条体を、編成、織成、又は交差接着した布状体からなる、[1]または[2]に記載の積層体。
[4]前記ラミネート層は、10~200μmの厚さを有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層体。
[5]前記第1の熱可塑性樹脂及び前記第2の熱可塑性樹脂の両方の熱可塑性樹脂が、植物由来のバイオポリオレフィンを含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の積層体。
[6]前記第1の熱可塑性樹脂及び前記第2の熱可塑性樹脂の両方の熱可塑性樹脂が、バイオマス度が4%以上である、[5]に記載の積層体。
[7]前記バイオポリオレフィンがバイオポリエチレンである、[1]~[6]のいずれか一項に記載の積層体。
[8][1]~[7]のいずれか一項の積層体を備えた粘着テープであって、
前記積層体のラミネート層の支持層側とは反対の主面側、及び/又は支持層のラミネート層側とは反対の主面側に、粘着剤層を備える、粘着テープ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、環境負荷を低減でき、かつ層間剥離を抑制できる粘着テープに好適に使用できる積層体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る積層体を備える粘着テープ巻回体の斜視図である。
【
図3】
図3は、布状体を構成する線条体の断面模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態に係る積層体が備える支持層(織布層)の平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態に係る積層体が備える支持層(交差結合布層)の平面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3実施形態に係る積層体が備える支持層(編布層)の平面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1乃至第3実施形態の変形例に係る積層体の断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1乃至第3実施形態の積層体を用いた粘着テープの実施形態の変形例の断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第1乃至第3実施形態の積層体を用いた粘着テープの実施形態の変形例の断面図である。。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本発明の積層体の実施形態を説明する。なお、本発明の実施形態に係る積層体において、支持層を構成する布状体が、経糸及び緯糸を織成した織布である場合の実施形態を積層体1Aとし、布状体が、経糸及び緯糸を交差接着させた交差結合布(ソフ)である場合の実施形態を積層体1Bとし、布状体が、経糸及び緯糸を編成した編布である場合の実施形態を積層体1Cする。
【0013】
<第1実施形態>
以下、
図1~
図5に基づいて、本発明の実施形態に係る積層体1Aを説明する。
図1は、積層体1Aを備える粘着テープ巻回体の斜視図であり、
図2は、
図1のI-I線断面図である。
図3は、布状体を構成する線条体の断面模式図であり、
図4は積層体1Aが備える支持層の平面図であり、
図5(A)は、
図4のA-A線断面図であり、
図5(B)は、
図4のB-B線断面図である。
【0014】
図1~
図5に示すように、積層体1Aは、互いに直交する長手方向X、短手方向Y及び厚さ方向Zを有する。なお、積層体1Aを構成する層の長手方向、短手方向及び厚さ方向は、それぞれ、
図1に示した積層体1Aを備える粘着テープ巻回体の長手方向X、短手方向Y及び厚さ方向Zと一致する。
【0015】
図1に示すように、積層体1Aを備えた粘着テープは、円柱状又は円筒状の芯材Cに巻回されることにより形成される粘着テープ巻回体100の形態で提供されることが好ましい。但し、芯材Cは省略可能であり、粘着テープ巻回体100において芯材Cが省略された実施形態も本発明に包含される。
【0016】
芯材Cの直径は特に限定されないが、通常1.0cm以上20.0cm以下、好ましくは2.0cm以上10.0cm以下、より好ましくは2.5cm以上8.0cm以下である。芯材Cの長さ(短手方向Yの長さ)は特に制限されないが、通常、積層体1Aを備えた粘着テープの幅とほぼ同一であるか、あるいは、粘着テープの幅よりも大きい。
【0017】
芯材Cを構成する材料は特に制限されず、公知の芯材を使用することができる。芯材Cを構成する材料としては、例えば、金属、樹脂、木材、紙等が挙げられる。
【0018】
図2に示すように、積層体1Aは、支持層10と、支持層10の一方の主面側S1に設けられた第1のラミネート層20とを備える。また、積層体1Aを備えた粘着テープは、積層体1Aの第1のラミネート層20の支持層10側とは反対の主面側S2に設けられた第1の粘着剤層30とを備える。
【0019】
図2に示すように、積層体1Aを備えた粘着テープの一方の主面T1は、粘着剤層30により形成されており、積層体1Aの他方の主面T2は、支持層10により形成されている。
【0020】
積層体1Aを備えた粘着テープは、通常、短手方向Yに引き裂かれ、生じた粘着テープの断片が梱包、補修、養生等に使用される。
【0021】
〔ラミネート層〕
長尺状の支持層10の一方の主面側に設けられるラミネート層20は、長手方向Xに延在する長尺状の形態を有する。ラミネート層20は、通常、可撓性を有する。
【0022】
ラミネート層20を構成する材料は熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、公知の粘着テープのラミネート層と同様の材料を使用することができるが、ラミネート層20を構成する熱可塑性樹脂(以下、後述する支持層を構成する熱可塑性樹脂と区別するため、「第2の熱可塑性樹脂」という場合がある)に、植物由来のポリオレフィンが含まれることが好ましい。本発明においては、植物由来のポリオレフィン(以下、「バイオポリオレフィン」という場合がある)を使用することにより、化石燃料由来の熱可塑性樹脂を使用する場合と比較して、環境負荷の低減を図ることができる。また、本発明においては、後記するように、ラミネート層20を構成する熱可塑性樹脂にバイオポリオレフィンが含まれることにより、化石燃料由来のポリオレフィンを使用した従来の粘着テープと比較して、層間剥離を抑制することができる。層間剥離が抑制される理由は明らかではないが、以下のように推察できる。
【0023】
即ち、バイオポリオレフィンは、後述するように植物由来のエチレン又はプロピレンを重合することにより得られるものである。このようなバイオポリオレフィンは、化石燃料由来の従来のポリオレフィンと近似する物性を有するものの、重合体のなかに含まれる低分子量成分の影響により、熱可塑性樹脂に含まれる分子量分布のバランスが好ましいものとなり、この熱可塑性樹脂から構成されるラミネート層又は支持層間における層間での剥離強度を向上させる効果が得られたものと考える。
【0024】
本明細書において、植物由来のポリオレフィンとは、ポリオレフィンを構成するオレフィンモノマーの少なくとも一部が植物由来のオレフィンからなるものをいい、化石燃料由来のポリオレフィンとは、ポリオレフィンを構成するオレフィンモノマーの全部が石油等の化石燃料由来のオレフィンからなるものをいう。
【0025】
植物由来のオレフィンとしては、植物由来のエチレン又はプロピレンが挙げられる。植物由来のエチレンは、例えばサトウキビやトウモロコシ等の植物に由来するバイオマスの発酵により生成したエタノールの脱水により製造することができる。植物由来のプロピレンは、例えばバイオマスの発酵により生成したプロパノールの脱水により製造することができる。バイオマスが澱粉等の炭水化物である場合は、炭水化物を加水分解して得られた糖類を発酵させてもよい。
【0026】
バイオポリオレフィンは公知の方法で製造されたものを使用してもよく、市販されているものを使用してもよい。バイオポリオレフィンの具体例としては、植物由来のエチレンの重合体であるポリエチレン、植物由来のプロピレンの重合体であるポリプロピレンが挙げられる。バイオポリオレフィンが、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィンをコモノマーとして含む場合、これらのα-オレフィンは、植物等のバイオマスに由来する方法で製造されたα-オレフィンでもよく、化石燃料由来のα-オレフィンでもよい。
【0027】
化石燃料由来のオレフィン及びポリオレフィンは、質量数14の放射性炭素(14C)を含まないのに対し、植物由来のオレフィン及びポリオレフィンは、14Cを含むことから、両者の区別が可能である。植物由来の炭素の割合(以下、「バイオマス度」ともいう)は、14Cの含有量に基づき測定することができる。なお、本発明において用いるバイオポリオレフィンは、バイオマス度が高い方が環境負荷低減に貢献できるため好ましいといえるが、必ずしもバイオマス度が100%である必要はなく、モノマー単位で化石燃料由来のオレフィンが含まれていてもよい。バイオポリオレフィンの好ましいバイオマス度は50~100%である。なお、本明細書においてバイオマス度は、ASTM D6866-21に準拠した14C(放射性炭素)分析に基づくバイオベース炭素含有率の測定により算出することができる。大気中では一定の割合で放射性炭素14Cが存在し、植物由来樹脂の炭素にも一定割合で14Cが含まれている。これに対し、化石燃料由来樹脂の炭素には14Cはほとんど含まれない。この性質を利用して加速器質量分析器等を用いて樹脂中の14Cの濃度を測定することにより、バイオマス度を測定することができる。
【0028】
バイオマス度の具体的な測定方法としては、積層体からラミネート層および/または支持層を分離し、分離されたラミネート層および/または支持層を燃焼させ、二酸化炭素(CO2)を発生させ、真空ラインで二酸化炭素を精製する。次いで、精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイト(C)を生成させる。続いて、グラファイトを内径1mmのカソードにハンドプレス機で詰め、それをホイールにはめ込み、測定装置(例えば、タンデム加速器をベースとした14C-AMS専用装置(NEC株式会社製)に装着して、14Cの計数、13C濃度(13C/12C)、14C濃度(14C/12C)の測定を行う。なお、測定では、シュウ酸(HOxII)を標準試料とする。この標準試料とバックグラウンド試料の測定も同時に実施する。得られた測定値から、ASTM D6866-21に従い、δ13C補正されたpMCを用いてバイオマス度を算出することができる。
【0029】
熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系重合体(例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体等のエチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン66等)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等が挙げられるが、オレフィン系重合体が好ましい。引裂性を重視する場合は、オレフィン系重合体のうち、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。また、上記したバイオポリオレフィンも、植物由来の低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。一方、粘着テープの強度や耐久性を重視する場合には、高密度ポリエチレンが好ましい。この場合も、植物由来の高密度ポリエチレンを使用することが好ましい。
【0030】
低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、通常0.870g/cm3以上0.942g/cm3以下、好ましくは0.875g/cm3以上0.936g/cm3以下である。高密度ポリエチレンの密度は、通常通常0.940g/cm3以上0.970g/cm3以下、好ましくは0.940g/cm3以上0.960g/cm3以下である。一般的に、ポリエチレンは、密度が低くなると機械的強度が低下し、密度が高くなると柔軟性が低下する。
【0031】
ラミネート層20を構成する第2の熱可塑性樹脂はバイオマス度が4%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、25%以上であることがさらに好ましく、35%以上であることが特に好ましい。バイオマス度の割合を高くすることで環境負荷低減の効果や層間剥離を抑制することができる。また、バイオマス度の上限値は100%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましく、60%以下であることがより好ましく、40%以下であることが特に好ましい。バイオマス度を好ましい範囲とすることで、引き裂き性が良好となる。第2の熱可塑性樹脂のバイオマス度は、例えば、第2の熱可塑性樹脂を構成する樹脂に占めるバイオポリオレフィンの配合割合を調整することで制御することができる。
【0032】
第2の熱可塑性樹脂のうち、バイオポリオレフィンの含有割合は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。また、含有割合の上限値は100質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましく、70質量%以下であることが特に好ましい。バイオポリオレフィンの含有割合を上記の範囲とすることで環境負荷低減の効果や層間剥離を抑制することができる。また、バイオポリオレフィンの含有割合を好ましい範囲とすることで、引き裂き性が良好となる。
【0033】
ラミネート層20を構成する熱可塑性樹脂(第2の熱可塑性樹脂)は、必要に応じて、1種又は2種以上の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤(例えば、ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等)、滑剤(例えば、ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等)、難燃剤、充填剤、顔料、抗菌剤等が挙げられる。
【0034】
ラミネート層20の厚さは、適宜調整することができる。ラミネート層20の厚さは、好ましくは10μm以上200μm以下である。ラミネート層20の厚みを上記範囲内とすることで、基材層との層間剥離をより一層抑制することができる。
【0035】
〔支持層〕
図4に示すように、支持層10は、第1の熱可塑性樹脂からなる線条体を経糸11及び緯糸12として使用し、経糸11及び緯糸12を織成した布状体(織布層10A)からなる。
【0036】
経糸11及び緯糸12を構成する線条体は、モノフィラメント、テープ、ヤーン、スプリットヤーン、マルチフィラメント、ステープルファイバー等であってよく、これらの中でもテープ状のフラットヤーンが好ましい。かかるフラットヤーンは、長手方向(縦方向)に多数の小さな切れ目を入れてスプリットヤーンとすることもできる。
【0037】
線条体は、無延伸でもよいが、延伸されたものであることが好ましい。延伸は、一軸延伸及び二軸延伸の何れでもよい。延伸は、熱ロールによる延伸、熱板による延伸、熱風炉内のロールによる延伸等によって行なうことができる。延伸倍率は、通常3倍以上12倍以下、好ましくは5倍以上10倍以下である。
【0038】
経糸11がフラットヤーンからなる場合の断面形状の好ましい態様、
図3(a)~(d)に例示的に示す。また、経糸11がモノフィラメントからなる場合の断面形状の好ましい態様を、
図3(e)~(g)に例示的に示す。
図3(a)は、フラットヤーンが、単層に構成された例であり、
図3(b)は、基層11Aの片面に接合層11Bが積層された例であり、
図3(c)は、接合層11Bが基層11Aの両面に積層された例であり、
図3(d)は、基層11Aが芯材、接合層11Bが鞘である芯鞘構造の例である。
【0039】
また、
図3(e)は、基層11Aが芯材、接合層11Bが鞘である芯鞘構造の例であり、
図3(f)は、基層11Aの幅方向の片側に接合層11Bが設けられたサイドバイサイド構造の例であり、
図3(g)は、基層11Aが島、接合層11Bが海である海島構造の例である。
【0040】
接合層11Bは、基層11Aを構成する熱可塑性樹脂より融点が低く熱融着性の優れた熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。接合層11Bは、基層11Aとなる熱可塑性樹脂より融点が10℃以上、好ましくは、15℃以上低い熱可塑性樹脂を用いることができる。なお、本明細書において、「融点」とは、示差走査熱量測定(DSC)法において、昇温速度10℃/分で測定した融解ピーク温度を意味する。
【0041】
接合層11Bを構成する熱可塑性樹脂材料の融点を、基層11を構成する熱可塑性樹脂材料の融点よりも15℃以上低くする観点から、基層11を構成する熱可塑性樹脂材料は、高密度ポリエチレンを含み、接合層11Bを構成する熱可塑性樹脂材料は、低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。
【0042】
なお、経糸11を例にとって線条体の実施形態を説明したが、緯糸12も同様の構成とすることができる。
【0043】
経糸11及び緯糸12を構成する材料としては、熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、公知の粘着テープの支持層と同様の材料を使用することができるが、支持層10を構成する線条体は、バイオポリオレフィンが含む熱可塑性樹脂からなることが好ましい。バイオポリオレフィンを使用することにより、化石燃料由来の熱可塑性樹脂を使用する場合と比較して、環境負荷の低減を図ることができる。また、本発明においては、後記するように、支持層10を構成する線条体が、バイオポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂からなることで、化石燃料由来のポリオレフィンを使用した従来の粘着テープと比較して、層間剥離を抑制することができる。
【0044】
線条体の材料である第1の熱可塑性樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンブロック共重合体等のオレフィン系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリアクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等を用いることができるが、これらの中でもオレフィン系重合体を好ましく使用することができる。
【0045】
バイオポリオレフィン及び化石燃料由来のオレフィン系重合体は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンが好ましく、高密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンがより好ましく、高密度ポリエチレンがより一層好ましい。高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、上記と同様である。
【0046】
線条体を構成する第1の熱可塑性樹脂はバイオマス度が4%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、25%以上であることがさらに好ましく、50%以上であることが特に好ましい。バイオマス度の割合を高くすることで環境負荷低減の効果や層間剥離を抑制することができる。また、バイオマス度の上限値は100%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、80%以下であることが特に好ましい。バイオマス度を好ましい範囲とすることで、上記の線条体の延伸時の破断を抑制したり、線条体の強度を向上させることができる。第1の熱可塑性樹脂のバイオマス度は、例えば、第1の熱可塑性樹脂を構成する樹脂に占めるバイオポリオレフィンの配合割合を調整することで制御することができる。
【0047】
第1の熱可塑性樹脂のうち、バイオポリオレフィンの含有割合は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。また、含有割合の上限値は100質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましく、70質量%以下であることが特に好ましい。また、バイオポリオレフィンは、経糸11、緯糸12のいずれか、または両方に含有させてもよい。バイオポリオレフィンの含有割合を上記の範囲とすることで環境負荷低減の効果や層間剥離を抑制することができる。
【0048】
次に、経糸及び緯糸を織成させた布状体について説明する。布状体が経糸及び緯糸を織成した織布である場合、支持層10を構成する織布層10Aは、
図4に示すように、経糸群F1は、長手方向Xに延びる複数の経糸11で構成されている。
図4に示すように、経糸群F1を構成する複数の経糸11は、互いに平行又は略平行に、長手方向Xに延在している。
【0049】
図4に示すように、緯糸群F2は、長手方向Xと交差する方向に延びる複数の緯糸12で構成されている。緯糸群F2を構成する複数の緯糸12は、互いに平行又は略平行に、長手方向Xと交差する方向に延在している。
【0050】
本実施形態では、
図4に示すように、各緯糸12の軸線が長手方向Xとなす角度は90°である。但し、各緯糸12の軸線が長手方向Xとなす角度は、支持層が形成され得る限り、90°に限定されない。各緯糸12の軸線が長手方向Xとなす角度は、通常85.4°以上90°以下、好ましくは86.5°以上90°以下、より好ましくは87.7°以上90°以下である。
【0051】
本実施形態では、
図4に示すように、経糸群F1を構成する複数の経糸11と、緯糸群F2を構成する複数の緯糸12とが、平織に製織されている。すなわち、本実施形態では、支持層10が、平織の織布層10Aによって構成されている。但し、支持層10を構成する織布層10Aは、平織の織布に限定されない。織布層10Aは、例えば、綾織、斜文織、畦織、二重織等によって構成されていてもよい。また経糸11を肉薄のフラットヤーンとし、緯糸12を複数本重ね合わせて製織してもよい。これにより、柔軟で手切れ性のよい粘着テープを得ることができる。
【0052】
図5(A)及び(B)に示すように、各経糸11をその延在方向(軸線)に垂直な平面で切断したときの断面形状、及び、各緯糸12をその延在方向(軸線)に垂直な平面で切断したときの断面形状は、いずれも略矩形状である。本実施形態では、
図5に示すように、各緯糸12の一方の主面が、各経糸11の他方の主面と接触しており、各緯糸12の他方の主面が、各経糸11の一方の主面と接触している。
【0053】
経糸群F1を構成する複数の経糸11の打ち込み本数は、適宜調整することができるが、通常20本/インチ以上55本/インチ以下、好ましくは25本/インチ以上50本/インチ以下、より好ましくは28本/インチ以上47本/インチ以下である。
【0054】
緯糸12の打ち込み本数は、適宜調整することができるが、通常10本/インチ以上25本/インチ以下、好ましくは12/インチ以上23本/インチ以下、より好ましくは14本/インチ以上20本/インチ以下である。
【0055】
経糸11の打ち込み本数は、緯糸12の打ち込み本数より多いことが好ましい。これにより、積層体1Aを備える粘着テープの引裂強度の低減及び引張強度の維持又は増強を効果的に実現することが可能となる。
【0056】
なお、積層体1Aでは、通常、緯糸12のうち隣り合う2本の間で、経糸11が破断されるため、緯糸12は、通常、幅方向において一定の間隔で配置される。
【0057】
緯糸12の平均繊度は、適宜調整することができるが、通常50dt以上1000dt以下、好ましくは200dt以上400dt以下、より好ましくは250dt以上360dt以下である。第2のフラットヤーン群F2を構成する複数のフラットヤーン32の平均繊度が上記範囲内にあると、積層体1Aを備える粘着テープを短手方向Yに手切りする際に、第2のフラットヤーン群F2を構成する複数のフラットヤーン32が引き裂かれることを防止することができる。
【0058】
緯糸12の厚さは、特に制限されるものではないが、通常10μm以上40μm以下、好ましくは18μm以上36μm以下、より好ましくは26μm以33μm以下である。緯糸12の厚さを上記範囲内とすることで、支持層とラミネート層との層間剥離をより一層抑制することができる。
【0059】
経糸11の平均繊度は、適宜調整することができるが、通常50dt以上1000dt以下、好ましくは50dt以上250dt以下、より好ましくは60dt以上150dt以下である。なお、経糸を1mの長さに切断して重量を測定した後、その値を10000倍した値を経糸の繊度とし、10本の経糸の繊度の平均値を平均繊度とする。
【0060】
経糸11の厚さは、特に制限されるものではないが、通常8μm以上26μm以下、好ましくは10μm以上24μm以下、より好ましくは12μm以上22μm以下である。経糸11の厚さを上記範囲内とすることで、支持層とラミネート層との層間剥離をより一層抑制することができる。
【0061】
経糸11の平均間隔は、適宜調整することができるが、通常1.0mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.1mm以下である。経糸11同士の間隔は、経糸11同士が重なる程度まで小さくしてもよい。下限は特に限定されない。
【0062】
経糸11の平均繊度は、緯糸12の平均繊度より小さいことが好ましい。これにより、積層体1Aを備える粘着テープの引裂強度の低減及び引張強度の維持又は増強を効果的に実現することが可能となる。緯糸12の平均繊度に対する、経糸11の平均繊度の比は、好ましくは1:2.0~1:4.5、より好ましくは1:2.0~1:4.0、より一層好ましくは1:2.0~1:3.5である。
【0063】
経糸及び緯糸である線条体を構成する熱可塑性樹脂材料(第1の熱可塑性樹脂)は、必要に応じて、1種又は2種以上の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイト等の有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;含臭素有機系、メラミン系、リン酸系、リン酸エステル系、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リン等の難燃剤;有機顔料;無機顔料;金属イオン系等の無機及び有機抗菌剤等が挙げられる。
【0064】
〔粘着剤層〕
積層体1Aのラミネート層の支持層側とは反対の主面側、及び/又は支持層のラミネート層側とは反対の主面側に設けられる粘着剤層30は、粘着剤で構成される層である。粘着剤層30を構成する粘着剤は特に限定されず、公知の粘着テープの粘着剤層と同様の粘着剤を使用することができる。粘着剤層30は、1種の粘着剤で構成されていてもよいし、2種以上の粘着剤で構成されていてもよい。粘着剤としては、例えば、アクリル樹脂系粘着剤、ゴム系粘着剤(例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤等)、ブロック共重合体系粘着剤(例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、これらに対応する水素添加ブロック共重合体系粘着剤等)、エチレン-酢酸ビニル共重合体系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤等が挙げられるが、これらのうち、アクリル樹脂系粘着剤が好ましい。アクリル樹脂系粘着剤は、耐久性及び耐候性に優れ、取り扱い時の汚れが少ない。
【0065】
アクリル樹脂系粘着剤としては、例えば、カルボキシル基含有重合性単量体又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含む単量体材料を重合させて得られる粘着剤等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0066】
カルボキシル基含有重合性単量体は、1以上のカルボキシル基又はカルボキシル基の塩と、1以上の炭素-炭素不飽和二重結合とを有するラジカル重合可能な単量体である。カルボキシル基含有重合性単量体としては、例えば、モノカルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等)、ジカルボン酸(例えば、フマル酸、マレイン酸等)、ジカルボン酸のモノエステル等が挙げられるが、アクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。カルボキシル基含有重合性単量体の量は、例えば、単量体材料全体の1~20重量%程度である。
【0067】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体のアルキル基の炭素数は、例えば、4~12程度である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらのうち、n-ブチルアクリレート又は2-エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
【0068】
カルボキシル基含有重合性単量体又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含む単量体材料は、粘着剤の改質(例えば、粘着剤のガラス転移温度、極性等の調整)を目的として、他の単量体と共重合し得る少量の単量体を含んでいてもよい。このような単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0069】
粘着剤層30は、アクリル樹脂系粘着剤等の粘着剤とともに、架橋剤として、分子内にカルボキシル基等と反応する官能基を2個以上有する多官能性化合物、又は、分子内にカルボキシル基等と反応する官能基を1個有する単官能性化合物を含むことが好ましい。このような架橋剤としては、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ(又はグリシジル)系化合物、アジリジニル系化合物、金属キレート系化合物、メラミン系化合物等が挙げられる。
【0070】
粘着剤の形態は、粘着剤としての機能を阻害しない限り特に限定されず、例えば、溶液型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、ホットメルト型粘着剤、反応型粘着剤、光重合可能なモノマー型粘着剤等のいずれの形態であってもよい。
【0071】
粘着剤層30は、必要に応じて、1種又は2種以上の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系化合物、アジリジン系化合物、金属キレート系化合物等)、粘着性付与剤、カップリング剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤、変色防止剤等が挙げられる。
【0072】
粘着剤層30に含まれ得る可塑剤としては、例えば、脂肪族多価カルボン酸のエステル、芳香族多価カルボン酸のエステル、リン酸エステル等の低分子可塑剤、ポリエステル等の高分子可塑剤等が挙げられるが、脂肪族2塩基酸のエステルが好ましく、アジピン酸ジエステルがより好ましい。可塑剤の配合量は、例えば、0.05~4重量%程度である。
【0073】
粘着剤層30に含まれ得る変色防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物は、金属の腐食を防止する作用が知られており、粘着テープが貼付された金属の腐食による変色を防止することが可能となる。ベンゾトリアゾール系化合物の配合量は、例えば、0.01~5重量%程度である。
【0074】
粘着剤層30の厚さは適宜調整することができるが、粘着剤層30の厚さが小さすぎると、粘着テープの粗面接着性及び凹凸追従性が不十分となるおそれがある一方、粘着剤層30の厚さが大きすぎると、コストの増加に見合う粘着性の増加が得られないおそれがある。粘着剤層30の厚さは、好ましくは10μm以上0.5mm以下である。
【0075】
粘着テープの粘着剤層を形成する方法については、公知一般の粘着テープの製造方法を適用することができ、例えば、ラミネート層または支持層の面に粘着剤を塗工・乾燥する方法、あるいはリリースライナーの一方の面に粘着剤を塗工・乾燥して粘着剤層を形成しておき、形成された粘着剤層の表面に積層体を重ねる方法によって製造することができる。粘着剤の乾燥条件としては、通常70~100℃で1~5分間程度が好ましく、乾燥後に10~40℃で1~20日間程度、エージング処理されることが好ましい。
【0076】
また、積層体1Aのラミネート層および/または支持層を構成する熱可塑性樹脂中に植物由来のバイオポリオレフィンが含まれることで、ラミネート層または支持層と粘着剤層との剥離強度が向上する傾向がある。
【0077】
<第2実施形態>
以下、
図6及び
図7に基づいて、本発明の実施形態に係る積層体1Bを説明する。なお、積層体1Bを構成するラミネート層及び粘着剤層は、本発明の実施形態に係る積層体1Aと同様であるため、説明を省略する。
【0078】
本実施形態に係る積層体1Bを構成する支持層は、第1の熱可塑性樹脂からなる線条体を経糸13及び緯糸14として使用し、経糸13及び緯糸14を交差結合させた交差結合布(ソフ)からなる布状体から構成される。
図6は、交差結合布層10Bの平面図であり、
図7は、
図6のC-C線断面図である。
【0079】
図6及び
図7に示すように、交差結合布層10Bは、経糸群F3を、緯糸群F4の一方側(
図7における下側)に熱融着させることにより形成される層である。経糸群F3は、長手方向Xに延びる複数のフラットヤーン13で構成されており、緯糸群F4は、長手方向Xと交差する方向に延びる複数のフラットヤーン14で構成されている。フラットヤーン13は、単層フラットヤーンで構成されており、フラットヤーン14は、基層と、該基層の一方又は両方の主面側に設けられた結合層とを備えるフラットヤーンで構成されている。緯糸群F4を構成する複数のフラットヤーン14の表面層は、経糸群F3を構成する複数のフラットヤーン13と熱融着している。
【0080】
単層フラットヤーンは、上記した
図3(a)に示した形態であってよく、基層と、該基層の一方又は両方の主面側に設けられた結合層とを備えるフラットヤーンは、上記した
図3(b)~(d)に示した形態であってよい。
【0081】
積層体1Aと比較して、積層体1Bは、一般的に、引張強度が低く、引裂強度が高い。その理由としては、積層体1Aでは、フラットヤーンが織り込まれているため、支持層10において糸同士がより固定されていることが挙げられる。
【0082】
<第3実施形態>
以下、
図8に基づいて、本発明の実施形態に係る積層体1Cを説明する。なお、積層体1Cを構成するラミネート層及び粘着剤層は、本発明の実施形態に係る積層体1Aと同様であるため、説明を省略する。
【0083】
本実施形態に係る積層体1Cを構成する支持層10は、第1の熱可塑性樹脂からなる線条体を経糸15及び緯糸16として使用し、経糸15を独立編みし、緯糸16を挿入して形成した編布からなる布状体から構成される。
図8は、編布層10Cの平面図である。
【0084】
図8に示すように、編布層10Cは、経糸15を独立編みした経糸群F5に、緯糸群F6を挿入して形成される層である。経糸群F5は、長手方向Xに延びる複数のマルチフィラメント15で構成されており、緯糸群F6は、長手方向Xと交差する方向に延びる複数のフラットヤーン16で構成されている。マルチフィラメント15は単独編みされ、そこにフラットヤーン16が緯入れ挿入されている。編布とすることで経糸15が強固に固定されており、結果として緯糸16の固定も強固となる。
【0085】
経糸群F5を構成する複数の経糸15の打ち込み本数は、適宜調整することができるが、適度な基材強度と手切れ性を得るため、通常10本/インチ以上40本/インチ以下である。
【0086】
経糸15は、上記した熱可塑性樹脂を材料とする線条体かなるマルチフィラメントであってよい。また、熱可塑性樹脂のみからなる線条体に限らず、綿糸、スフ糸との交撚糸などによるマルチフィラメントも好適に使用することができる。
【0087】
経糸15の平均繊度は、適宜調整することができるが、10dt以上1000dt以下、好ましくは20dt以上500dt以下のものが基材強度、手切れ性、伸びのバランスが良好である。
【0088】
緯糸16であるフラットヤーンの平均繊度は、適宜調整することができるが、50dt以上1000dt以下、好ましくは100dt以上500dt以下である。
【0089】
単層フラットヤーンは、上記した
図3(a)に示した形態であってよく、基層と、該基層の一方又は両方の主面側に設けられた結合層とを備えるフラットヤーンは、上記した
図3(b)~(d)に示した形態であってよい。
【0090】
上記した編布層10Cを支持層10とする場合は、編布層10Cには、物理的又は化学的なアンカー処理(AC処理)が施されていることが好ましい。物理的処理としては、コロナ処理、UV処理、スパッタリング処理などが挙げられ、化学的処理としては有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系などから選んだ樹脂を塗布する処理が挙げられる。これらのAC処理が無い場合は、編布層10Cとラミネート層20との密着性が不十分となり、形成された粘着テープを手で切った時に直線性が不足するとともに、破断面に経糸が毛羽として出やすくなり、外観が損なわれる場合がある。
【0091】
<第1~第3実施形態の変形例>
以下、
図9および
図10に基づいて、本発明の第1乃至第3実施形態の積層体を備えた粘着テープの実施形態の変形例を説明する。
図9および
図10は、本発明の第1乃至第3実施形態の変形例に係る積層体1Dを備えた粘着テープの断面図である。
【0092】
図9に示すように、積層体1Dを備える粘着テープは、積層体1Aの主面T2側に設けられた第2のラミネート層20を備える。
図9に示すように、積層体1Dの一方の主面T1は、粘着剤層30により形成されており、積層体1Dの他方の主面T3は、第2のラミネート層20により形成されている。ラミネート層20に関する上記説明は、第2のラミネート層20にも適用される。積層体1Dが備える2つのラミネート層20は、同一の構成を有する層であってもよいし、異なる構成を有する層であってもよいが、両層を構成する熱可塑性樹脂が、いずれもバイオポリオレフィンを含むことが好ましい。
【0093】
また、積層体1Dを備える粘着テープは、
図10に示すように、積層体1Dの主面T3側に設けられた第2の粘着剤層30を備える。粘着剤層30に関する上記説明は、第2の粘着剤層30にも適用される。積層体1Eが備える2つの粘着剤層30は、同一の材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。
【0094】
<その他の実施形態>
以下、
図11に基づいて、本発明の実施形態に係る粘着テープを説明する。
図11は、本発明の第1実施形態に係る積層体1Aを備えた粘着テープの実施形態の断面図である。
【0095】
図11に示すように、粘着テープは、長尺状の支持層10と、支持層10の一方の主面側S1に設けられたラミネート層20とを備える積層体1Aと、積層体1Aの支持層10のラミネート層20側とは反対の主面側、に設けられた粘着剤層30とを備える。
【0096】
図11に示すように、粘着テープの一方の主面T1は、粘着剤層30により形成されており、粘着テープの他方の主面T2は、積層体1Aのラミネート層20により形成されている。
【0097】
図11に示す粘着テープは、積層の順序の点で
図2に示す粘着テープと相違するが、その他の点では同一である。したがって、積層体1Aと同一の層(支持層10、ラミネート層20)には、積層体1Aと同一の符号が付されており、積層体1Aに関する上記説明が適用される。
【0098】
また、
図11に示した実施形態に係る粘着テープは、変形例として、支持層10と粘着剤層30との間に、第2のラミネート層20が設けられていてもよい(図示せず)。なお、第2のラミネート層についても、積層体1Aに関する上記説明が適用される。
【0099】
<その他の実施形態>
本発明の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第1乃至第3実施形態の変形例には、種々の変更を加えることができる。
【0100】
本発明の第1乃至第3実施形態、並びにそれらの変形例において、隣接する2層の間又は最表面の層に、1又は2以上の追加の層が設けられていてもよい。例えば、第2実施形態において、支持層10とラミネート層20との間に接着層が設けられていてもよく、また、支持層10と粘着剤層30との間に補充層が設けられていてもよい。
【0101】
〔接着層〕
接着層は、支持層10とラミネート層20との接合性を高める機能を有する。接着層は、接合性を高める機能を有する層であれば特に限定されるものではないが、融着性に優れた低密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂から構成されることが好ましい。接着層は、例えば、ラミネート層20の表面に、低密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を押出ラミネートすることにより形成することができる。押出ラミネートの温度は、支持層10を構成する熱可塑性樹脂材料の融点より130~220℃高い温度とすることが好ましい。ラミネートを高温で行なうことによって、接着層の熱可塑性樹脂材料が、支持層10に入り込み、支持層10を固定する結果、手切れ性がより向上する。接着層の厚さは、通常10μm以上60μm以下、好ましくは15μm以上40μm以下である。接着層に低密度ポリエチレンを使用する場合は、上記した植物由来の低密度ポリエチレンを使用することが好ましい。
【0102】
〔補充層〕
補充層は、粘着剤層30を形成する際の粘着剤の塗布の容易化や粘着剤の補強のための層である。例えば、支持層10上に粘着剤層30を設ける場合など、粘着剤を塗布する層が凹凸状であると粘着剤を均一に塗布できないことがある。そのような場合には、支持層10上に補充層を設けて表層を均一にならし、補充層上に粘着剤を塗布して粘着剤層30を形成することが好ましい。補充層は、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂から構成することができる。補充層は、例えば、支持層10に直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を押出ラミネートすることにより形成することができる。この場合も、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンは、植物由来のものを使用することが好ましい。
【0103】
本発明の各実施形態及びそれらの変形例において、種々の機能を付与する層を設けてもよい。例えば、積層体1Aの主面T2には、表面特性を改良するための層を設けることができる。具体的には、巻回体の形態である粘着テープにおいて、粘着剤層30が接触する主面T2には、巻き戻す際の剥離力(展開力とも呼ばれる)を軽くするために、離型層を設けることができる。また、粘着テープには、粘着テープを巻回体の形態に巻き取った際に粘着剤層30が接触する層として、離型処理を施した離型紙からなる層を設けることができる。離型処理としては、必要により硬化反応を伴うシリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキルグラフトポリマー系離型剤の塗布等が挙げられる。
【0104】
また、本発明の各実施形態及びそれらの変形例においてに係る粘着テープには、粘着テープの機能を損ねない限り、ガス不透過層、例えば、金属蒸着フィルムやセラミック蒸着フィルムを設けてもよい。
【0105】
なお、本発明において、支持層10、ラミネート層20、接着層、補充層等の粘着テープを構成する熱可塑性樹脂材料は、全て、オレフィン系重合体で構成されていることが好ましい。バイオポリオレフィンを使用することで環境負荷の低減を図ることができるとともに、同種の樹脂を用いたモノマテリアル粘着テープとすることによって廃品の回収、再生などのリサイクル性が向上する。
【0106】
また、本発明において、支持層とラミネート層の層間における剥離強度は2N/15mm以上であることが好ましく、5N/15mm以上であることがより好ましく、7N/15mmであることがさらに好ましく、8N/15mm以上であることが特に好ましい。支持層とラミネート層との層間における剥離強度を上記とすることで、被着体側に残った粘着剤層等を除去する作業を低減することができる。なお、剥離強度の上限は限定することは無く強度が高いほど好ましい。
【実施例0107】
〔実施例1〕
[経糸の準備]
高密度ポリエチレン(密度0.958g/cm3、メルトマスフローレイト0.58g/10分(190℃、2.16g荷重)、融点134℃)をインフレーション成形法によって成膜し、得られたフィルムをレザーカットによってスリットした。次いで、温度110~120℃の熱板上で7倍に延伸した後、温度120℃の熱風循環式オーブン内で6%の弛緩熱処理を実施し、経糸を製造した。その繊度は130dt、フラットヤーン幅は0.73mm、及び厚さは19μmであった。
【0108】
[緯糸の準備]
高密度ポリエチレン(密度0.958g/cm3、メルトマスフローレイト0.58g/10分(190℃、2.16g荷重)、融点134℃)をインフレーション成形法によって成膜し、得られたフィルムをレザーカットによってスリットした。次いで、温度110~120℃の熱板上で7倍に延伸した後、温度120℃の熱風循環式オーブン内で6%の弛緩熱処理を実施し、緯糸のフラットヤーンを製造した。その繊度は335dt、フラットヤーン幅は1.20mm、及び厚さは29μmであった。
【0109】
[支持層の準備]
上記で得られた経糸及び緯糸を使用し、経糸の打ち込み本数が35本/インチ、緯糸の打ち込み本数が16本/インチとなるように平織の織布を作製した。
【0110】
[積層体の製造]
上記のようにして得られた織布(支持層)の一方の面に、低密度ポリエチレン(密度0.922g/cm3、メルトマスフローレイト9.4g/10分(190℃、2.16g荷重)、融点110℃)と植物由来の低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3、メルトマスフローレイト8.1g/10分(190℃、2.16g荷重)、融点105℃、バイオマス度95%)とを重量比で低密度ポリエチレン:植物由来の低密度ポリエチレン=60:40の割合で配合した樹脂を押出ラミネートし、他方の面に、低密度ポリエチレン(密度0.922g/cm3、メルトマスフローレイト9.4g/10分(190℃、2.16g荷重)、融点110℃)を押出ラミネートして、片面あたり厚さ35μmのラミネート層を支持層の両面に形成し、ラミネート層/織布(支持層)/ラミネート層の3層構造を有する積層体を作製した。
【0111】
[粘着テープの製造]
得られた積層体の一方のラミネート層である植物由来の低密度ポリエチレンを含む樹脂を押出ラミネートした面に、コロナ放電処理を行った。コロナ放電処理したラミネート層表面に、乾燥後の厚さが40μmとなるようにアクリル系粘着剤を塗布して、粘着テープとした。アクリル系粘着剤として、アクリル酸エステル共重合体(三菱ケミカル株式会社製N-3440)100重量部に対して、架橋剤として金属キレート系化合物であるアセチルアセトンアルミニウムのトルエン溶液(三菱ケミカル株式会社製N-2128)を固形分の重量換算で0.2重量部配合したものを使用した。
【0112】
[剥離試験]
上記粘着テープの作製工程で得られた3層構造を有する積層テープから、縦150mm、幅60mmにサンプルを切り出し、サンプルのコロナ放電処理面(即ち、コロナ放電処理を行ったラミネート層の面)に、前処理剤(アロンポリプライマーH、東亞合成株式会社)を塗布して乾燥させた後、前処理剤を塗布した面に瞬間接着剤(アロンアルファ201、東亞合成株式会社)を塗布した。
次いで、瞬間接着剤を塗布した面が内側になるようにサンプルを折り曲げて内面どうしを貼り合わせ、40℃恒温槽内で10分乾燥させた後、23℃環境下に10分静置した。続いて、貼り合わせた箇所(積層テープが2層になっている箇所)から縦100mm、幅15mmに切り出したものを試験片とした。
このようにして得られた試験片について、試験片端部から、ラミネート層と支持層とを一定長さ剥離し、把持部とした。次いで、積層テープのラミネート層と支持層との界面での剥離強度を測定するため、試験片の把持部を引張試験機(AGS-X,10N-10kN、株式会社島津製作所)に固定し、剥離強度測定(剥離速度:100mm/min)を実施した。n=5の剥離強度を測定し、それらの剥離強度の平均値を求めた。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0113】
〔比較例1〕
ラミネート層を形成する際に、低密度ポリエチレン:植物由来の低密度ポリエチレン=100:0の割合に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0114】
〔実施例2〕
支持層を構成する経糸及び緯糸に使用した高密度ポリエチレンとして、高密度ポリエチレン(密度0.958g/cm3、メルトマスフローレイト0.58g/10分(190℃、2.16g荷重)、融点134℃)と植物由来の高密度ポリエチレン(密度0.948g/cm3、メルトマスフローレイト1.0g/10分(190℃、2.16g荷重)、融点134℃、バイオマス度94%)とを重量比で高密度ポリエチレン:植物由来の高密度ポリエチレン=95:5の割合で配合した樹脂を使用した以外は、比較例1と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0115】
〔実施例3〕
支持層を構成する経糸及び緯糸に使用した高密度ポリエチレンとして、高密度ポリエチレン:植物由来の高密度ポリエチレン=80:20の割合で配合した樹脂を使用した以外は、実施例2と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0116】
〔実施例4〕
支持層を構成する経糸及び緯糸に使用した高密度ポリエチレンとして、高密度ポリエチレン:植物由来の高密度ポリエチレン=40:60の割合で配合した樹脂を使用した以外は、実施例2と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0117】
〔実施例5〕
支持層を構成する経糸及び緯糸に使用した高密度ポリエチレンとして、高密度ポリエチレン:植物由来の高密度ポリエチレン=20:80の割合で配合した樹脂を使用した以外は、実施例2と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0118】
〔実施例6〕
織布(支持層)の一方の面に、低密度ポリエチレン(密度0.922g/cm3、メルトマスフローレイト9.4g/10分(190℃、2.16g荷重)、融点110℃)と植物由来の低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3、メルトマスフローレイト8.1g/10分(190℃、2.16g荷重)、融点105℃、バイオマス度95%)とを重量比で低密度ポリエチレン:植物由来の低密度ポリエチレン=95:5の割合で配合した樹脂を押出ラミネートし、他方の面にも同じ割合で配合した樹脂を押出ラミネートして、支持層の両面にラミネート層を形成した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0119】
〔実施例7〕
支持層を構成する経糸及び緯糸に使用した高密度ポリエチレンとして、高密度ポリエチレン:植物由来の高密度ポリエチレン=95:5の割合で配合した樹脂を使用した以外は、実施例6と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0120】
〔実施例8〕
支持層を構成する経糸及び緯糸に使用した高密度ポリエチレンとして、高密度ポリエチレン:植物由来の高密度ポリエチレン=80:20の割合で配合した樹脂を使用した以外は、実施例6と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0121】
〔実施例9〕
支持層を構成する経糸及び緯糸に使用した高密度ポリエチレンとして、高密度ポリエチレン:植物由来の高密度ポリエチレン=20:80の割合で配合した樹脂を使用した以外は、実施例6と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0122】
〔実施例10〕
織布(支持層)の一方の面に、低密度ポリエチレン(密度0.922g/cm3、メルトマスフローレイト9.4g/10分(190℃、2.16g荷重)、融点110℃)と植物由来の低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3、メルトマスフローレイト8.1g/10分(190℃、2.16g荷重)、融点105℃、バイオマス度95%)とを重量比で低密度ポリエチレン:植物由来の低密度ポリエチレン=60:40の割合で配合した樹脂を押出ラミネートし、他方の面にも同じ割合で配合した樹脂を押出ラミネートして、支持層の両面にラミネート層を形成した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0123】
〔実施例11〕
支持層を構成する経糸及び緯糸に使用した高密度ポリエチレンとして、高密度ポリエチレン:植物由来の高密度ポリエチレン=95:5の割合で配合した樹脂を使用した以外は、実施例10と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0124】
〔実施例12〕
支持層を構成する経糸及び緯糸に使用した高密度ポリエチレンとして、高密度ポリエチレン:植物由来の高密度ポリエチレン=80:20の割合で配合した樹脂を使用した以外は、実施例10と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0125】
〔実施例13〕
支持層を構成する経糸及び緯糸に使用した高密度ポリエチレンとして、高密度ポリエチレン:植物由来の高密度ポリエチレン=40:60の割合で配合した樹脂を使用した以外は、実施例10と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。算出された剥離強度の平均値は下記表1に示されるとおりであった。
【0126】
〔実施例14〕
支持層を構成する経糸及び緯糸に使用した高密度ポリエチレンとして、高密度ポリエチレン:植物由来の高密度ポリエチレン=20:80の割合で配合した樹脂を使用した以外は、実施例10と同様にして積層体を作製した。
また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして粘着テープを作製し、剥離試験を実施した。しなしながら、剥離強度が高すぎるため(20N/15mm超)、ラミネート層と支持層との間では剥離せずに、粘着テープが破断した。
【0127】
【0128】
実施例の積層体を用いた粘着テープは、ラミネート層または支持層を構成する少なくとも一方のポリエチレンとして植物由来の低密度ポリエチレンが含まれているため、化石燃料由来の低密度ポリエチレンが100%使用されている比較例1の積層体を用いた粘着テープと比較して、環境負荷の低減が図られている。
また、実施例1、6および10の積層体を用いた粘着テープは、ラミネート層を構成するポリエチレンとして植物由来の低密度ポリエチレンが含まれ、植物由来の低密度ポリエチレンを含まない比較例1の積層体を用いた粘着テープと比べて、層間(織布層とラミネート層との間)の剥離強度が向上していることがわかる。
また、実施例2~5の積層体を用いた粘着テープは、支持層を構成するポリエチレンとして植物由来の高密度ポリエチレンが含まれ、植物由来の高密度ポリエチレンを含まない比較例1の積層体を用いた粘着テープと比べて、層間(織布層とラミネート層との間)の剥離強度が向上していることがわかる。
実施例7~9及び11~14の積層体を用いた粘着テープは、ラミネート層及び支持層の何れにも植物由来のポリエチレンが含まれ、何れか一方のみに植物由来のポリエチレンが含まれる実施例1~6及び10の積層体を用いた粘着テープより更に層間(織布層とラミネート層との間)の剥離強度が向上していることがわかる。