IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マンダムの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049200
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】エアゾール組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20230403BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230403BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230403BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230403BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20230403BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230403BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20230403BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230403BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230403BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/02
A61Q5/00
A61Q5/02
A61Q5/06
A61K8/73
A61K8/42
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158803
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(72)【発明者】
【氏名】清水 亜紗子
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 快土
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC641
4C083AC642
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD531
4C083AD532
4C083CC31
4C083CC32
4C083DD08
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】本発明は、皮脂汚れ除去力、整髪力および使用感にも優れたエアゾール組成物を提供する。
【解決手段】本発明のエアゾール組成物は、成分A:デンプン、成分B:不定形シリカ、成分C:パントテニルアルコール、成分D:両親媒性エステル、成分E:エタノールおよび成分F:噴射剤を含有し、成分Aの含有量が0.8~13.0質量%であり、成分Bの含有量が0.01~2.0質量%であり、成分Fの含有量が40.0~95.0質量%である、エアゾール組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分A、成分B、成分C、成分D、成分Eおよび成分Fを含有し、
成分Aの含有量が0.8~13.0質量%であり、成分Bの含有量が0.01~2.0質量%であり、成分Fの含有量が40.0~95.0質量%である、エアゾール組成物。
成分A:デンプン
成分B:不定形シリカ
成分C:パントテニルアルコール
成分D:両親媒性エステル
成分E:エタノール
成分F:噴射剤
【請求項2】
前記成分Bの平均粒子径が1~50μmである、請求項1に記載のエアゾール組成物。
【請求項3】
前記成分Cの含有量が0.01~1.0質量%であり、前記成分Dの含有量が0.01~1.0質量%である、請求項1または2に記載のエアゾール組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール組成物に関し、より具体的に、頭皮および毛髪用エアゾール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水および湯を用いることなく、頭皮および毛髪に付着した皮脂汚れを除去できるドライシャンプーが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、多孔質シリカとデンプンとを含む、ドライシャンプー用組成物が開示されている。また、特許文献2には、吸油性粉体(例えば、デンプン、セルロースおよびシリカ)を含み、界面活性剤を含まない、毛髪用エアゾール組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-150271号公報
【特許文献2】WO2018/216242
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のドライシャンプー用組成物および特許文献2の毛髪用エアゾール組成物は、整髪力(例えば、毛髪を根元からふんわりと持ち上げる整髪力)について考慮されていない。
【0006】
本発明の目的は、皮脂汚れ除去力、毛髪を根元からふんわりと持ち上げる整髪力および使用感に優れたエアゾール組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、
成分A:デンプン、成分B:不定形シリカ、成分C:パントテニルアルコール、成分D:両親媒性エステル、成分E:エタノールおよび成分F:噴射剤を含有し、成分Aの含有量が0.8~13.0質量%であり、成分Bの含有量が0.01~2.0質量%であり、成分Fの含有量が40.0~95.0質量%である、エアゾール組成物が、皮脂汚れ除去力、毛髪を根元からふんわりと持ち上げる整髪力、および使用感に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
〔1〕下記成分A、成分B、成分C、成分Dおよび成分Eを含有し、
成分Aの含有量が0.8~13.0質量%であり、成分Bの含有量が0.01~2.0質量%であり、成分Fの含有量が40.0~95.0質量%である、エアゾール組成物、
成分A:デンプン
成分B:不定形シリカ
成分C:パントテニルアルコール
成分D:両親媒性エステル
成分E:エタノール
成分F:噴射剤
〔2〕上記成分Bの平均粒子径が1~50μmである、〔1〕に記載のエアゾール組成物、
〔3〕上記成分Cの含有量が0.01~1.0質量%であり、上記成分Dの含有量が0.01~1.0質量%である、〔1〕または〔2〕に記載のエアゾール組成物、に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、皮脂汚れ除去力、毛髪を根元からふんわりと持ち上げる整髪力、および使用感に優れたエアゾール組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「X~Y」は、「X以上Y以下」を意図する。また、本明細書において特記しない限り、成分の含有量を表す質量%は、エアゾール組成物全体の質量を100質量%とした値である。
【0011】
〔1.エアゾール組成物〕
本発明に係るエアゾール組成物は、下記成分A、成分B、成分C、成分D、成分Eおよび成分Fを含有し、成分Aの含有量が0.8~13.0質量%であり、成分Bの含有量が0.01~2.0質量%であり、成分Fの含有量が40.0~95.0質量%である、エアゾール組成物である。
成分A:デンプン
成分B:不定形シリカ
成分C:パントテニルアルコール
成分D:両親媒性エステル
成分E:エタノール
成分F:噴射剤
【0012】
本発明に係るエアゾール組成物は、皮脂汚れ除去力、整髪力および使用感に優れる。本明細書において「皮脂汚れ除去力に優れる」とは、頭皮および毛髪から適度に皮脂を除去することを意味する。本明細書において「整髪力に優れる」とは、毛髪を根元からふんわりと持ち上げることを意味する。本明細書において「使用感に優れる」とは、使用時に毛髪のゴワつきおよびヌルつきがないことを意味する。
【0013】
本発明に係るエアゾール組成物の成分は、原液と噴射剤とに大別することができる。上述した成分のうち、成分A、成分B、成分C、成分D、成分Fおよび他の成分は原液を構成する成分である。以下では、原液を構成する成分および噴射剤を構成する成分について説明する。
【0014】
〔1-1.原液〕
[成分A]
本発明に係るエアゾール組成物は、成分Aとしてデンプンを含む。当該成分Aは、皮脂汚れを除去することによって、皮脂によるベタツキを除去し、毛髪にサラサラ感を付与する効果を奏する。
【0015】
本発明のエアゾール組成物中の成分Aの含有量は、0.8~13.0質量%、好ましくは1.0~10.0質量%である。当該構成であれば、皮脂汚れの除去効果およびベタツキ除去効果に優れる。
【0016】
デンプンとしては、化粧品、医薬品、食品等で用いられるものであれば特に限定されず、例えば、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、シリコネート変性デンプン等のデンプン粉末が挙げられる。これらのデンプンのうち、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。皮脂汚れの除去効果に優れるという観点から、本発明のエアゾール組成物は、これらのデンプンのうち、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウムを含むことが好ましい。
【0017】
[成分B]
本発明に係るエアゾール組成物は、成分Bとして不定形シリカを含む。当該成分Bは、頭皮および/または毛髪に固着することにより、エアゾール組成物の皮脂汚れ除去力および整髪力を上げることができる。
【0018】
不定形シリカは、無孔質のもの、または、多孔質のもののうち、いずれであってもよい。不定形シリカの形状は、球状以外であって、エアゾール組成物が頭皮および/または毛髪の上に残りやすい形状であればよく、特に限定されない。不定形シリカの形状としては、例えば、原料であるシリカを破砕および/または粉砕することによって生じる、不定形な形状が挙げられる。不定形シリカの形状としては、より具体的に、鱗片状、楕円体状、直方体状、多面体形状、薄片状等が挙げられる。これらの形状の中では、エアゾール組成物が頭皮および毛髪の上により残り易いため、鱗片状が好ましい。
【0019】
不定形シリカは、アスペクト比が2.0よりも大きなものであってもよい。なお、当該アスペクト比とは、不定形シリカの長径と短径との比(長径/短径)を意図する。
【0020】
本発明のエアゾール組成物中の成分Bの含有量は、0.01~2.0質量%、好ましくは0.05~1.0質量%である。当該構成であれば、エアゾール組成物の整髪力をより上げることができる。
【0021】
不定形シリカの平均粒子径は、限定されず、好ましくは1~50μm、より好ましくは2~20μmである。なお、不定形シリカの平均粒子径は、例えば、レーザ回折散乱法によって測定することができる。より具体的に、不定形シリカの平均粒子径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(例えば、LA950V2、株式会社堀場製作所製)を用いて測定することができる。当該構成であれば、本発明のエアゾール組成物をボタンから噴射する場合に、当該ボタンの目詰まりを抑制することができる。
【0022】
不定形シリカとしては、公知の方法で製造された不定形シリカを用いることができる。例えば、原料であるシリカを破砕および/または粉砕することによって得られる不定形シリカを用いることができる。また、不定形シリカとしては、市販品を用いることができる。市販の不定形シリカとしては、例えば、富士シリシア化学株式会社製、商品名「サイリシア(登録商標)530」、「サイリシア(登録商標)550」、「サイリシア(登録商標)710」、「サイリシア(登録商標)730」;AGCエスアイテック株式会社製、商品名「サンラブリー(登録商標)C」などが挙げられる。
【0023】
[成分C]
本発明に係るエアゾール組成物は、成分Cとしてパントテニルアルコールを含む。成分Cは、(i)頭皮へ成分Aを固着させることによるベタツキ除去効果、(ii)成分A及び成分Bの白浮きを防止する効果、(iii)毛髪へのハリの付与および毛髪へ成分Bを固着させる効果を奏する。
【0024】
本発明のエアゾール組成物中の成分Cの含有量は、好ましくは0.01~1.0質量%、より好ましくは0.05~0.5質量%である。当該構成であれば、上述した(i)~(iii)の効果をより高めることができる。
【0025】
パントテニルアルコールとしては、D体、L体、ラセミ体の何れであっても所望の効果が十分に発揮できるのであれば特に限定されないが、入手の容易性の観点から、D体であるD-パントテニルアルコールを用いることが好ましい。
【0026】
パントテニルアルコールとしては、市販品を用いることができる。具体的には、商品名「D-Panthenol USP」;BASFジャパン株式会社製、商品名「D-パントテニルアルコール」;アルプス薬品工業株式会社製、商品名「D-パントテニルアルコール」;DSNニュートリションジャパン株式会社製などが挙げられる。
【0027】
[成分D]
本発明に係るエアゾール組成物は、成分Dとして両親媒性エステルを含む。成分Dは、(i)成分A及び成分Bの白浮きを防止する効果、(ii)エアゾール組成物が乾燥したときの毛髪のヌルつきを防止する効果、並びに、(iii)成分Aおよび成分Bを頭皮および毛髪の上に固着させる効果、を奏する。
【0028】
本発明のエアゾール組成物中の成分Dの含有量は、好ましくは0.01~2.0質量%、より好ましくは0.05~1.0質量%である。当該構成であれば、上述した(i)~(iii)の効果をより高めることができる。
【0029】
両親媒性エステルとしては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール(例えば、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール等)、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、セバシン酸ジエチルへキシル等が挙げられる。上述した(i)~(iii)の効果をより高める観点から、本発明のエアゾール組成物は、これらの両親媒性エステルのうち、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを含むことが好ましい。
【0030】
[成分E]
本発明に係るエアゾール組成物は、成分Eとしてエタノールを含む。当該成分Eは、エアゾール組成物における溶媒として機能する。エタノールは、エアゾール組成物に含まれる他の成分との相溶性が高く、安定なエアゾール組成物を形成する点で好適である。また、エタノールは、低温にて容易に蒸発するため、エアゾール組成物を噴霧した対象に溶媒が与える影響を小さくすることができる。
【0031】
本発明のエアゾール組成物中、例えば、成分A、成分B、成分C、成分E、成分Fおよび他の成分以外の残部を、エタノールとすることができる。
【0032】
本発明のエアゾール組成物中の成分Eの含有量は、好ましくは0.01~59.0質量%、より好ましくは0.01~55.0質量%、最も好ましくは0.50~50.0質量%である。当該構成であれば、より安定なエアゾール組成物を形成することができ、かつ、エアゾール組成物を噴霧した対象に溶媒が与える影響をより小さくすることができる。
【0033】
[他の成分]
本発明のエアゾール組成物は、任意成分として、通常の化粧品に用いられる成分を含んでいてもよい。当該任意成分としては、例えば、清涼剤、制汗剤、殺菌剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、紫外線防止剤、植物エキス、抗炎症剤、キレート剤、防腐剤、保湿剤、油脂類、香料等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。これら任意成分の含有量は、任意成分の用途などに基づいて適宜決定され得る。
【0034】
清涼剤としては、例えば、メントール、メンチルグリセリルエーテル、カンファ等が挙げられる。
【0035】
制汗剤としては、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。
【0036】
殺菌剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、フェノール、トリクロロカルバニリド、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、サリチル酸、ソルビン酸、塩化リゾチーム等が挙げられる。
【0037】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、BHT、没食子酸エステル類等が挙げられる。酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマール酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等が挙げられる。
【0038】
油脂類としては、例えば、炭化水素油として、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワレンおよびスクワラン等が挙げられる。また、植物油として、ホホバ油、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油およびアボカド油等が挙げられる。
【0039】
本発明のエアゾール組成物は、任意成分として、水、多価アルコール、および/または、界面活性剤を含んでいてもよいが、毛髪のヌルつきをより無くすという観点から、本発明のエアゾール組成物は、これらの任意成分を含まないことが好ましい。
【0040】
本発明のエアゾール組成物は、実質的に水を含有しない、非水系エアゾール組成物であることが好ましい。なお、「実質的に水を含まない」とは、上述した各成分、および、後述する噴射剤とは別に、エアゾール組成物に水を添加しないことを意味する。上述した各成分、および/または、後述する噴射剤に少量の水が含有されており、エアゾール組成物が、水として当該水のみを含む場合、当該エアゾール組成物は、非水系エアゾール組成物に分類される。
【0041】
〔1-2.噴射剤〕
本発明のエアゾール組成物は、上述した原液以外に、噴射剤(成分F)を含む。当該噴射剤は、エアゾール組成物を噴霧することを可能にするとともに、エアゾール組成物にドライ感を付与する効果を奏する。
【0042】
本発明のエアゾール組成物中の成分Fの含有量は、40.0~95.0質量%、好ましくは45.0~90.0質量%である。当該構成であれば、エアゾール組成物に、より高い速乾性とドライ感を付与することができる。
【0043】
本発明のエアゾール組成物に含まれる噴射剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。噴射剤としては、ガス(例えば、空気、窒素ガス、フッ素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素等)が挙げられる。当該ガスは、圧縮ガスであることが好ましい。また、噴射剤としては、液化ガス(例えば、液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)、ジメチルエーテル(DME:Dimethyl ether)、イソペンタン、フルオロカーボン)が挙げられる。噴射剤としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。例えば、液化ガスのみ、または、圧縮ガスのみを用いてもよいし、液化ガスと圧縮ガスとを併用してもよい。
【0044】
液化ガスとしては、噴射力、環境保全、および生産性の観点から、LPG、DMEおよびフルオロカーボンが好ましく、噴射力および冷却能の制御の容易さの観点から、LPGがより好ましい。
【0045】
より具体的に、噴射剤は、温度20℃における蒸気圧が0.05~0.35MPaである、炭素数が3~5個の炭化水素であることが好ましい。当該構成であれば、噴射力、環境保全、生産性、冷却能、速乾性およびドライ感に優れたエアゾール組成物を実現することができる。
【0046】
このような噴射剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、または、これらの少なくとも2つを含む噴射剤を挙げることができる。このような噴射剤としては、より具体的に、噴射剤100質量%あたり、プロパンを0.1~50質量%(より好ましくは1.0~20質量%)、および、ブタンを50~99.9質量%(より好ましくは80~99.0質量%)含む噴射剤が挙げられる。
【0047】
〔2.エアゾール組成物の製造方法および用途〕
本発明のエアゾール組成物は、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、原液をエアゾール容器内に充填し、エアゾール用バルブによってエアゾール容器をクリンチした後、ステムを介してエアゾール容器内へ噴射剤を規定量充填し、ステムに適したボタンを当該ステムに装着する方法が挙げられる。
【0048】
本発明のエアゾール組成物は、頭皮および毛髪用エアゾール組成物として、例えば、整髪用エアゾール組成物または頭皮および毛髪洗浄用エアゾール組成物として利用することができる。
【実施例0049】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0050】
〔1.実施例および比較例〕
下記の表1~2に示す配合成分を配合し、下記の表1~2に示す組成を有するエアゾール組成物の原液を調製した。得られた原液をエアゾールスプレー容器(容量95mL、アルミニウム製)に充填した。次いで、エアゾール用バルブをエアゾールスプレー容器にクリンチした後、下記の表1~2に示す噴射剤をステムより充填し、ステムに適したボタンを装着して、エアゾールスプレー化粧料を作製した。また、ボタン孔径は約0.5mmであった。表中の配合量は、純分の配合量で示した。なお、エアゾールスプレー容器内の原液と噴射剤との質量比は表に示したとおりであり、原液と噴射剤との合計量は40gである。
【0051】
〔2.各成分の詳細〕
<成分A>
オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム:Nouryon社製、製品名「DRY-FLO PURE」
トウモロコシデンプン:Nouryon社製、製品名「DRY-FLO AF PURE」
タピオカデンプン:Nouryon社製、製品名「DRY-FLO TS PURE」
コメデンプン:日本コーンスターチ株式会社製、製品名「米澱粉」
【0052】
<成分B>
無水ケイ酸1:富士シリシア化学株式会社製、製品名「サイリシア250」、平均粒子径5μm、不定形
無水ケイ酸2:富士シリシア化学株式会社製、製品名「サイリシア380」、平均粒子径9μm、不定形
無水ケイ酸3:富士シリシア化学株式会社製、製品名「サイリシア470」、平均粒子径14.1μm、不定形
【0053】
<成分C>
パントテニルアルコール:BASFジャパン株式会社製、製品名「D-Panthenol USP」
【0054】
<成分D>
シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール:日本精化株式会社製、製品名「Neosolue-Aqulio」
【0055】
<成分F>
LPG:小池化学株式会社製、製品名「LPG 20℃ 0.15」
【0056】
〔3.皮脂汚れ除去力の評価〕
皮脂汚れ除去力は、ミドルレングスのウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)に擬似頭皮脂スプレー(LPGガス 99.95%、スクワラン 0.05%)を0.5g噴霧した後、手櫛で馴染ませることで、ウィッグに擬似頭皮脂を付着させた。そして、擬似頭皮脂を付着させたウィッグに、調整したエアゾール組成物を3.0g噴霧し、手櫛で馴染ませた際のべたつきを以下の評価基準に基づき評価した。
【0057】
<評価基準>
◎:試験結果がべたつきを全く感じなかった
○:試験結果がべたつきをほとんど感じなかった
×:試験結果がべたつきを感じた
【0058】
〔4.整髪力の評価〕
整髪力は、ミドルレングスのウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)の右半頭に調整したエアゾール組成物を3.0g噴霧し、毛髪の根元から毛先にかけて上方向に毛髪をかき上げた。一方、エアゾール組成物未塗布の左半頭も同様の操作を行った。上記操作後、目視にて左右の毛髪の整髪状態を観察し、以下の評価基準に基づき評価した。
【0059】
<評価基準>
◎:試験結果が左半頭と比較し、毛髪が根元からふんわりと持ち上がっており、明らかにふんわり感が付与されていた
○:試験結果が左半頭と比較し、毛髪が根元からふんわりと持ち上がっており、ややふんわり感が付与されていた
×:試験結果が左半頭と比較し、毛髪が根元から持ち上がっておらず、全くふんわり感が付与されていなかった
【0060】
〔5.使用感の評価〕
使用感は、ミドルレングスのウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)の半頭に調整したエアゾール組成物を3.0g噴霧し、手櫛で馴染ませた際のゴワつきの無さ、ヌルつきの無さについて以下の評価基準に基づき評価した。
【0061】
<評価基準>
◎:試験結果がゴワつきおよびヌルつきがまったく感じられなかった
○:試験結果がゴワつきおよびヌルつきがほとんど感じられなかった
×1:試験結果がゴワつきが感じられた
×2:試験結果がヌルつきが感じられた
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
〔処方例〕
オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム 3.5質量%
不定形シリカ 0.15質量%
D-パントテニルアルコール 0.1質量%
シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 0.1質量%
l-メントール 0.05質量%
香料 0.05質量%
エタノール 26.05質量%
LPG 70.0質量%
合計 100.0質量%