(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049222
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】作業支援システム、作業支援機器、及び作業支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230403BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158834
(22)【出願日】2021-09-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年8月31日に、株式会社カワサキモーターサイクルジャパンにて販売した
(71)【出願人】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】山口 佳之
(72)【発明者】
【氏名】名古 拓海
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】整備場での作業における目標値の設定ミスを防ぐとともに、作業効率の向上をも図る。
【解決手段】整備場での作業を支援する作業支援システム100であって、整備対象Zを識別する識別情報、整備対象Zの点検箇所を示す点検箇所情報、及び、点検箇所に対する作業に応じて予め定められた目標値が結び付けられたサポート情報を格納するサポート情報格納部10と、識別情報を受け付ける識別情報受付部21と、点検箇所情報を受け付ける点検箇所受付部22と、識別情報及び点検箇所情報に結び付けられた目標値を取得して設定する目標値設定部23とを備えるようにした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整備場での作業を支援する作業支援システムであって、
整備対象を識別する識別情報、前記整備対象の点検箇所を示す点検箇所情報、及び、前記点検箇所に対する作業に応じて予め定められた目標値が結び付けられたサポート情報を格納するサポート情報格納部と、
前記識別情報を受け付ける識別情報受付部と、
前記点検箇所情報を受け付ける点検箇所受付部と、
前記識別情報及び前記点検箇所情報に結び付けられた前記目標値を取得して設定する目標値設定部とを備える、作業支援システム。
【請求項2】
前記目標値設定部により設定された前記目標値は、作業者による変更が不能である、請求項1記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記識別情報受付部が前記識別情報を受け付けるとともに、前記点検箇所受付部が前記点検箇所情報を受けたにもかかわらず、前記目標値設定部による前記目標値の設定がされない場合に、作業者による前記目標値の入力が可能になる、請求項1又は2記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記識別情報を入力するための入力手段、又は、前記識別情報を読み取るための識別コードを撮像する撮像手段をさらに備える、請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の作業支援システム。
【請求項5】
前記整備対象が車両であり、
前記識別情報が、車両の車体番号を示す文字列である、請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の作業支援システム。
【請求項6】
整備場での作業を支援する作業支援機器であり、整備対象を識別する識別情報、前記整備対象の点検箇所を示す点検箇所情報、及び、前記点検箇所に対する作業に応じて予め定められた目標値が結び付けられたサポート情報を格納するサポート情報格納部とともに作業支援システムを構築するものであって、
前記識別情報を受け付ける識別情報受付部と、
前記点検箇所情報を受け付ける点検箇所受付部と、
前記識別情報及び前記点検箇所情報に結び付けられた前記目標値を取得して設定する目標値設定部とを備える、作業支援機器。
【請求項7】
整備場での作業を支援する作業支援プログラムであって、
整備対象を識別する識別情報、前記整備対象の点検箇所を示す点検箇所情報、及び、前記点検箇所に対する作業に応じて予め定められた目標値が結び付けられたサポート情報を格納するサポート情報格納部と、
前記識別情報を受け付ける識別情報受付部と、
前記点検箇所情報を受け付ける点検箇所受付部と、
前記識別情報及び前記点検箇所情報に結び付けられた前記目標値を取得して設定する目標値設定部としての機能をコンピュータに発揮させる、作業支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援システム、作業支援機器、及び作業支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車整備工場や自動車販売店などの整備場における作業は、例えば車種や点検時期などに応じた様々な点検項目に対して行われており、こうした作業の1つとして、整備対象の種々の箇所に設けられたボルト等の締結具を、所定の締付トルクで締め付ける作業がある(特許文献1)。
【0003】
この締付作業において、整備士は、まず分厚い作業説明書の中から、該当する点検箇所のページを開き、そのページに記載されているボルトの指定締付トルクを確認する。そして、その指定締付トルクを目標トルクとしてトルクレンチに設定し、そのトルクレンチを用いて作業を開始する。
【0004】
しかしながら、このような作業方法であると、指定締付トルクの確認や目標トルクの設定を手作業で行うので、ヒューマンエラーが付き物となるうえ、作業効率の向上を図るにも限界がある。
【0005】
なお、こうした問題は、トルクレンチを用いた締付作業には限らず、例えばタイヤの溝深さやブレーキ残量を計測して検査基準値と比較する作業など、工具を用いた種々の点検作業において共通して起こり得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本願発明は、上述した問題を解決するべくなされたものであり、整備場での作業における目標値の設定ミスを防ぐとともに、作業効率の向上をも図ることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る作業支援システムは、整備場での作業を支援する作業支援システムであって、整備対象を識別する識別情報、前記整備対象の点検箇所を示す点検箇所情報、及び、前記点検箇所に対する作業に応じて予め定められた目標値が結び付けられたサポート情報を格納するサポート情報格納部と、前記識別情報を受け付ける識別情報受付部と、前記点検箇所情報を受け付ける点検箇所受付部と、前記識別情報及び前記点検箇所情報に結び付けられた前記目標値を取得して設定する目標値設定部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
このように構成された作業支援システムであれば、整備対象の識別情報及び点検箇所情報を入力することで、これらの情報に結び付けられた目標値が自動的に設定されるので、作業者の手作業による目標値の確認や、手作業による目標値の設定を不要にすることができる。
これにより、整備場での作業における目標値の設定ミスを防ぐことができ、さらには作業効率の向上をも図れる。
【0010】
設定された目標値が作業者により変更可能な場合、例えば作業者の誤操作などにより、不適切な目標値が設定されてしまう可能性がある。
そこで、前記目標値設定部により設定された前記目標値は、作業者による変更が不能であることが好ましい。
このような構成であれば、作業者による目標値の変更を禁止することができるので、管理性やトレーサビリティの向上を図れる。
【0011】
前記識別情報受付部が前記識別情報を受け付けるとともに、前記点検箇所受付部が前記点検箇所情報を受けたにもかかわらず、前記目標値設定部による前記目標値の設定がされない場合に、作業者による前記目標値の入力が可能になることが好ましい。
このような構成であれば、例えばサポート情報格納部への通信が確立しない場合においても、柔軟に対応することができる。
【0012】
識別情報を簡単に入力できるようにするためには、前記識別情報を入力するための入力手段、又は、前記識別情報を読み取るための識別コードを撮像する撮像手段をさらに備えることが好ましい。
【0013】
より具体的な実施態様としては、前記整備対象が車両であり、前記識別情報が、車両の車体番号を示す文字列である態様を挙げることができる。
【0014】
また、本発明に係る作業支援機器は、整備場での作業を支援する作業支援機器であり、整備対象を識別する識別情報、前記整備対象の点検箇所を示す点検箇所情報、及び、前記点検箇所に対する作業に応じて予め定められた目標値が結び付けられたサポート情報を格納するサポート情報格納部とともに作業支援システムを構築するものであって、前記識別情報を受け付ける識別情報受付部と、前記点検箇所情報を受け付ける点検箇所受付部と、前記識別情報及び前記点検箇所情報に結び付けられた前記目標値を取得して設定する目標値設定部とを備えることを特徴とするものである。
【0015】
さらに、本発明に係る作業支援プログラムは、整備場での作業を支援する作業支援プログラムであって、整備対象を識別する識別情報、前記整備対象の点検箇所を示す点検箇所情報、及び、前記点検箇所に対する作業に応じて予め定められた目標値が結び付けられたサポート情報を格納するサポート情報格納部と、前記識別情報を受け付ける識別情報受付部と、前記点検箇所情報を受け付ける点検箇所受付部と、前記識別情報及び前記点検箇所情報に結び付けられた前記目標値を取得して設定する目標値設定部としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするものである。
【0016】
このような作業支援機器や作業支援プログラムであれば、上述した作業支援システムと同様の作用効果を奏し得る。
【発明の効果】
【0017】
このように構成された本発明によれば、整備場での作業における目標値の設定ミスを防ぐことができ、さらには作業効率の向上をも図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る作業支援システムの全体構成を示す模式図。
【
図2】同実施形態のサポート情報の詳細を説明するための図。
【
図3】同実施形態の点検箇所を説明するための模式図。
【
図4】同実施形態の作業支援機器の機能を説明する機能ブロック図。
【
図5】同実施形態の締付作業時における測定画面を示す模式図。
【
図6】同実施形態の締付作業時における測定画面を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る作業支援システムの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
本実施形態に係る作業支援システム100は、例えば自動車整備工場や自動車販売店などの整備場で用いられ、整備士などの作業者による作業を支援するものである。なお、本実施形態の整備対象Zは、二輪車や四輪車などの車両である。
【0021】
具体的にこの作業支援システム100は、
図1に示すように、整備対象Zに関する種々のデータが含まれたサポート情報を格納するサポート情報格納部10と、作業者により操作されてサポート情報格納部10からサポート情報を取得する作業支援機器20とを備える。
【0022】
<サポート情報格納部10>
まず、サポート情報格納部10について説明する。
サポート情報格納部10は、作業支援機器20の外部にあるメモリの所定領域に設定されている。
【0023】
このサポート情報格納部10には、整備対象Zに関する種々のデータを格納されており、具体的には、例えば過去の点検結果を示すデータや、車両購入時の保証内容を示すデータなどが格納されている。
【0024】
然して、サポート情報格納部10は、点検作業時に作業支援機器20により受信されるサポート情報を格納しており、作業者は、このサポート情報に基づいて点検作業を進めることができる。
【0025】
サポート情報は、
図2に示すように、整備対象Zを識別する識別情報、整備対象Zの点検箇所を示す点検箇所情報、及び、点検箇所に対する作業に応じて予め定められている目標値が結び付けられたものである。
【0026】
識別情報は、それぞれの整備対象Z毎に予め付与された互いに異なる固有の情報である。本実施形態では、整備対象Zが二輪車や四輪車などの車両であり、車両一台ずつに割り当てられた個別の車体番号を示す文字列を識別情報として用いている。車体番号は、例えばナンバープレートに記載された番号である自動車登録番号或いは車両番号、又は、車台番号が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
点検箇所情報は、整備対象Zの種々の点検作業時に点検される箇所を示すものであり、例えば、定期点検時の点検箇所、オイル交換時の点検箇所、フィルタ交換時の点検箇所、又は、整備対象Zの特定整備時の点検箇所などを示すものである。
【0028】
本実施形態では、整備対象Zの構成部品を指し示す名称を点検箇所情報として用いており、より具体的には、
図3に示すように、フロントアクスルナット、フロントアクスルクランプボルト、トルクロッド、リアキャリパパッドピンなどの締結部位を示すものである。
【0029】
目標値は、工具Xを用いた点検箇所の計測の際の目標となる物理量である。本実施形態では、上述したように、点検箇所が複数の締結部位であり、トルクレンチを用いてそれぞれの締結部位を締め付ける際の締付けトルクが目標値として設定されている。より具体的には、締結部位に設定されている指定トルクが100Nmの場合、ここでの目標値は、例えば95Nm~105Nmといった幅を持った値としてある。ただし、目標値としては幅を持たせなくても良い。
【0030】
なお、点検箇所がタイヤである場合は、例えばデプスゲージを用いて計測されるタイヤの溝深さを目標値として設定する態様を挙げることができ、点検箇所がブレーキパッドである場合は、ノギス等の計測具を用いて計測されるブレーキパッド残量を目標値として設定する態様を挙げることができる。このような目標値としては、タイヤやブレーキパッドの交換の目安となる閾値を挙げることができる。
【0031】
このように、本実施形態のサポート情報は、識別情報、点検箇所情報、及び目標値として、車両の車体番号を示す文字列、車両に設けられた複数の締付部位の名称、及び締付部位それぞれに対して予め設定されている指定締付トルクが結び付けられたものである。
【0032】
<作業支援機器20>
次に、作業支援機器20について説明する。
作業支援機器20は、ディスプレイD、CPU、及びメモリ等を備えた例えばタブレット、スマートフォン、ノートパソコン等の携帯式或いは据え置き式の端末装置であり、前記メモリに格納されたプログラムに基づいて、
図4に示すように、識別情報受付部21、点検箇所受付部22、及び目標値設定部23としての機能を少なくとも発揮する。
【0033】
識別情報受付部21は、入力された識別情報を受け付けるものである。識別情報を入力するための実施態様としては、作業支援機器20が、例えばタッチパネル、キーボード等の入力手段を備える態様や、識別情報を読み取るための識別コードを設けておき、この識別コードを撮像するカメラ等の撮像手段を備える態様を挙げることができる。
【0034】
本実施形態では、例えば整備対象Zの自動車検査証に印字されている識別コード、又は、整備対象Zである車両のナンバープレートをカメラで撮像することにより、その車両の車体番号が識別情報として識別情報受付部21に出力されて受け付けられる。なお、識別情報受付部21としては、ナンバープレートに記載された自動車登録番号或いは車両番号そのものを識別情報として受け付けても良いし、この自動車登録番号或いは車両番号に結び付けられた車台番号を識別情報として受け付けても良い。
【0035】
点検箇所受付部22は、入力された点検箇所情報を受け付けるものである。点検箇所情報を入力するための実施態様としては、
図3に示すように、作業支援機器20が、複数の点検箇所の中から1つを選択するためのタッチパネルやマウス等の入力手段を備える態様を挙げることができる。
【0036】
本実施形態では、作業支援機器20のディスプレイDに複数の締結部位の名称が表示されており、作業者がその中から1つを例えばタッチパネルを介して選択すると、その締結部位の名称が点検箇所情報として点検箇所受付部22に出力されて受け付けられる。
【0037】
目標値設定部23は、識別情報及び点検箇所情報に結び付けられた目標値を取得して設定するものである。
【0038】
より具体的に説明すると、目標値設定部23は、まず、識別情報受付部21が受け付けた識別情報と、点検箇所受付部22が受け付けた点検箇所情報とに基づいて、これらの識別情報及び点検箇所情報に結び付けられた目標値を、サポート情報格納部10から取得する。
【0039】
そして、目標値設定部23は、取得した目標値を、次の点検作業において工具Xを用いて計測される計測値の目標として、作業支援機器20内において設定し、
図5に示すように、当該作業支援機器20のディスプレイDに表示する。
【0040】
この目標値設定部23により設定された目標値、言い換えれば、目標値設定部23によりディスプレイDに表示された目標値は、作業者による変更が不能である。すなわち、本実施形態の作業支援機器20は、目標値設定部23により設定された目標値を変更するための入力手段を備えていない。
【0041】
本実施形態の目標値設定部23は、締結具それぞれに予め設定された指定締付トルクを目標値として設定するものであり、
図5に示すように、締付作業時におけるディスプレイD上の測定画面に、目標値となる締付トルクを表示する。
【0042】
ところで、上述したように目標値設定部23が目標値を外部のサポート情報格納部10から取得する構成であると、作業支援機器20とサポート情報格納部10との通信が確立されない場合に、目標値設定部23が目標値を取得することができず、目標値の設定がなされない。
【0043】
そこで、本実施形態の作業支援機器20は、
図6に示すように、識別情報受付部21が識別情報を受け付けるとともに、点検箇所受付部22が点検箇所情報を受けたにもかかわらず、目標値設定部23による目標値の設定がされない場合(以下、設定不可時ともいう)に、作業者による目標値の入力を可能にするように構成されている。
【0044】
より具体的に説明すると、上述した設定不可時において、作業者は、例えばタッチパネルやキーボード等の入力手段20aを介して、目標値を入力できるように構成されており、この入力された目標値が目標値設定部23により設定される。すなわち、この入力手段20aは、設定不可時にのみ機能を発揮するものである。
【0045】
ここでは、
図6に示すように、複数の目標値が一覧表示されるとともに、それらの中から1つの目標値を選択できるようにしてあり、設定不可時には、作業者により選択された目標値が設定される。なお、作業者が任意の値を目標値として入力及び設定できるようにしても良い。
【0046】
このようにして目標値設定部23又は作業者により目標値が設定されると、作業者による工具Xを用いた点検作業が開始できる状態となる。
【0047】
そして、作業者が、ここではトルクレンチを用いて締結具を締結すると、その締結作業における実際の締付トルクが、トルクレンチ又はレンチに取り付けられたトルク計測器により計測される。
【0048】
この締付トルクの計測値は、トルクレンチ又はトルク計測器から作業支援機器20に送信され、作業支援機器20のディスプレイD上の測定画面に例えばリアルタイムで表示される。
【0049】
より具体的に説明すると、本実施形態の作業支援機器20は、
図4に示すように、締付トルクの計測値を受け付ける計測値受付部24としての機能をさらに備えており、この計測値受付部24により受け付けられた計測値が、上述した目標値と同一画面(具体的には、測定画面)に次々と表示される。これにより、作業者は目標値と測定値とを比較しながら作業を進めていくことができる。
【0050】
このように構成された作業支援システム100によれば、作業者が整備対象Zの識別情報及び点検箇所情報を入力することで、これらの情報に結び付けられた目標値が自動的に設定されるので、作業者の手作業による目標値の確認や目標値の設定を不要にすることができる。
これにより、整備場での作業における目標値の設定ミスを防ぐことができ、さらには作業効率の向上をも図れる。
【0051】
また、目標値設定部23により設定された目標値が、作業者により変更不能であるので、作業者による目標値の変更を禁止することができ、管理性やトレーサビリティの向上を図れる。
【0052】
さらに、設定不可時において、作業者による目標値の入力が可能になるので、作業支援機器20とサポート情報格納部10との通信が確立しない場合においても、柔軟に対応することができる。
【0053】
そのうえ、作業支援機器20が、識別情報を入力するための入力手段、又は、識別情報を読み取るための識別コードを撮像する撮像手段を備えるので、作業者は識別情報を簡単に入力することができる。
【0054】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではない。
【0055】
例えば、作業支援システム100は、前記実施形態ではトルクレンチを用いた締付作業に用いられる場合について説明したが、例えばデプスゲージを用いたタイヤの溝深さの計測作業に用いられても良いし、ノギス等の計測具を用いたブレーキパッド残量の計測作業に用いられても良い。
【0056】
目標値設定部23としては、前記実施形態では目標値を作業支援機器20内で設定するものであったが、工具Xが作業支援機器20と通信可能なデジタル工具であれば、目標値をデジタル工具に送信して、デジタル工具に対して設定しても良い。
【0057】
識別情報の入力は、前記実施形態ではタッチパネルやキーボード等の入力手段や撮像手段を利用していたが、マイク等を利用した音声入力であっても良い。
【0058】
整備対象Zとしては、車両に限らず、自転車、電車、航空機、船舶、農機などの移動体や、各種産業機械などであっても良い。
【0059】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
100・・・作業支援システム
Z ・・・整備対象
X ・・・工具
10 ・・・サポート情報格納部
20 ・・・作業支援機器
21 ・・・識別情報受付部
22 ・・・点検箇所受付部
23 ・・・目標値設定部
24 ・・・計測値受付部