(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049224
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】真空包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 31/02 20060101AFI20230403BHJP
B65B 51/10 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
B65B31/02 B
B65B51/10 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158838
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】517164556
【氏名又は名称】株式会社TOSEI
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 義昭
(72)【発明者】
【氏名】長倉 梓
【テーマコード(参考)】
3E053
3E094
【Fターム(参考)】
3E053AA06
3E053BA05
3E053CA01
3E053CB02
3E053DA00
3E053FA01
3E053JA10
3E094AA12
3E094BA12
3E094CA03
3E094DA06
3E094EA12
3E094GA02
3E094HA20
(57)【要約】
【課題】複数の加熱封止機構を用いてシールする場合に、電気容量を抑制することができる真空包装機を提供する。
【解決手段】実施形態の真空包装機は、被包装物を収納する包装袋を収容した状態でチャンバー内を減圧して、前記包装袋内の空気を脱気した後に閉状態して前記包装袋の開口部を封止することで、前記被包装物を真空包装する真空包装機において、前記チャンバー内に設けられ、前記包装袋の開口部が載置される複数のヒーターブロックと、前記ヒーターブロック毎に配線され、シール工程時に前記包装袋を熱溶着する複数のシールヒーターと、前記複数のシールヒーターの給電タイミングをずらして給電する1つの給電手段と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を収納する包装袋を収容した状態でチャンバー内を減圧して、前記包装袋内の空気を脱気した後に閉状態して前記包装袋の開口部を封止することで、前記被包装物を真空包装する真空包装機において、
前記チャンバー内に設けられ、前記包装袋の開口部が載置される複数のヒーターブロックと、
前記ヒーターブロック毎に配線され、シール工程時に前記包装袋を熱溶着する複数のシールヒーターと、
前記複数のシールヒーターの給電タイミングをずらして給電する1つの給電手段と、
を有することを特徴とする真空包装機。
【請求項2】
前記給電手段の電力は、リレー回路によって給電タイミングをずらして前記複数のシールヒーターに給電することを特徴とする請求項1に記載の真空包装機。
【請求項3】
前記複数のシールヒーターのうちの第1シールヒーターは第1リレー回路によって真空工程後に前記給電手段から給電され、第2シールヒーターは第2リレー回路によって前記第1シールヒーターにおけるシール工程後に前記給電手段から給電されことを特徴とする請求項2に記載の真空包装機。
【請求項4】
前記複数のヒーターブロックのうちの第1ヒーターブロックのシール工程後の冷却工程と並行して、第2ヒーターブロックのシール工程を実施することを特徴とする請求項1に記載の真空包装機。
【請求項5】
被包装物を収納する包装袋を収容した状態でチャンバー内を減圧して、前記包装袋内の空気を脱気した後に閉状態して前記包装袋の開口部を封止することで、前記被包装物を真空包装する真空包装機において、
第1シールヒーターが設けられ、前記包装袋の開口部が載置される第1ヒーターブロックと、
前記第2シールヒーターが設けられ、シール工程時に前記第1ヒーターブロックと共同して前記包装袋の開口部を挟む第2ヒーターブロックと、
前記第1シールヒーターと前記第2シールヒーターの給電タイミングをずらして給電する1つの給電手段と、
を有することを特徴とする真空包装機。
【請求項6】
前記第1シールヒーターは第1リレー回路によって真空工程後に前記給電手段から給電され、前記第2シールヒーターは第2リレー回路によって前記第1シールヒーターにおける前記包装袋の開口部を熱溶着後に前記給電手段から給電されることを特徴とする請求項5に記載の真空包装機。
【請求項7】
被包装物を収納する包装袋を収容した状態でチャンバー内を減圧して、前記包装袋内の空気を脱気した後に閉状態して前記包装袋の開口部を封止することで、前記被包装物を真空包装する真空包装機において、
第1シールヒーターと第2シールヒーターとが設けられ、前記包装袋の開口部を挟んで熱溶着する第1ヒーターブロックと、
第3シールヒーターと第4シールヒーターとが設けられ、前記包装袋の開口部を挟んで熱溶着する第2ヒーターブロックと、
前記第1シールヒーター、前記第2シールヒーター、前記第3シールヒーター、および前記第4シールヒーターの給電タイミングをずらして給電する1つの給電手段と、
を有することを特徴とする真空包装機。
【請求項8】
前記第1シールヒーターは第1リレー回路によって真空工程後に前記給電手段から給電され、
前記第2シールヒーターは第2リレー回路によって前記第1シールヒーターにおける前記包装袋の開口部を熱溶着後に前記給電手段から給電され、
前記第3シールヒーターは第3リレー回路によって前記第1ヒーターブロックにおけるシール工程後に前記給電手段から給電され、
前記第4シールヒーターは第4リレー回路によって前記第3シールヒーターにおける前記包装袋の開口部を熱溶着後に前記給電手段から給電される
ことを特徴とする請求項7に記載の真空包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の商品を真空包装する真空包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
真空包装機は、被包装物を入れた包装袋から空気を脱気して、密封する包装である。真空包装機は、被包装物の変質などを防止することができ、例えば食品業や工業の分野で広く利用されている。真空包装機は、通常チャンバー内の空気を脱気した後、包装袋の開口を上下のヒーターブロックで挟持した状態で、例えば下側のヒーターブロックに設けたシールヒーターに給電し、熱によって包装袋の開口を蒸着させる構造になっている。
【0003】
使用する包装袋(アルミ系)によっては、上下に対向するヒーターブロックのそれぞれにシールヒーターを配線されている真空包装機を用いないと、熱溶着が上手く出来ないことが有る。また、ヒーターブロック(上下1セット)が2ヵ所以上存在する真空包装機(ダブルヒーター機構)が実用化されている。例えば、左右にヒーターブロックが有る製品において、通常は下側ヒーターブロックのシールヒーターのみの標準仕様に対して、更に上下にシールヒーターが必要となった場合、元々左右に各1本ずつ計2本のシールヒーターが、上下に各2本、計4本のシールヒーターが設けられることになる。
【0004】
上述した上下に対向するヒーターブロックのそれぞれにシールヒーターを配置する場合、又はダブルヒーター機構のように、例えば左右(又は上下)に離れたヒーターブロックのそれぞれにシールヒーターを配置する場合、又はその組み合わせで、例えば4つのシールヒーターが必要になる場合では、それぞれのシールヒーターを給電するためのヒータートランス(給電手段)が同時に動作することになる。そのため、消費電力(最大定格)を大幅にアップ(例えば2倍)させてしまう。その対策の一般的なやり方として、シールヒーターの線の厚みを半分にすることで、消費電力のアップを抑制することが考えられる。しかしながら、真空包装機では、シール時の発熱温度が標準機種では180℃~200℃、大型機では230℃~250℃であるため、シールヒーターの線の厚さを薄くすると、熱膨張(線膨張)によりシールヒーターの線自体が折れ曲がる等の不具合の発生する虞がある。
【0005】
つまり、複数のヒーターブロック(加熱封止機構)を有する真空包装機において、同時に複数の加熱封止を行おうとした場合、以下の問題点が発生する。
(1)消費電力のアップにおより電気容量が高くなる
(2)電気容量を抑える為にシールヒーターの線を薄くすると、シールヒーターの強度が落ちる
(3)電気容量が高くなると、ユーザの契約電力に影響を与える
(4)シールヒーターの本数と同数のトランスが必要(コストアップ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-55805号公報
【特許文献2】特開昭60-228214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、複数の加熱封止機構を用いてシールする場合に、電気容量を抑制することができる真空包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の真空包装機は、被包装物を収納する包装袋を収容した状態でチャンバー内を減圧して、前記包装袋内の空気を脱気した後に閉状態して前記包装袋の開口部を封止することで、前記被包装物を真空包装する真空包装機において、前記チャンバー内に設けられ、前記包装袋の開口部が載置される複数のヒーターブロックと、前記ヒーターブロック毎に配線され、シール工程時に前記包装袋を熱溶着する複数のシールヒーターと、
前記複数のシールヒーターの給電タイミングをずらして給電する1つの給電手段と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る真空包装機10の全体構成を示し、(a)は側面図、(b)は上面図を示す図である。
【
図2】(a)はヒーターブロックの取り付け形状を示し、(b)はヒーターブロックの構成を示し、(c)はヒーターブロックの内部構成を示す図である。
【
図3】(a)は真空包装機10の使用形態を示し、(b)はヒーター選択操作の画面例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る真空包装機10を制御する制御回路の構成例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る真空包装機10の動作を示すフローチャートである。
【
図6】表示操作パネルに表示される「コース選択画面」、「待機/運転モード画面」の表示例を示す図である。
【
図7】(a)(b)(c)は、実施形態に係る真空包装機10のシール動作を示す図である。
【
図8】(a)(b)は、複数のヒーターブロックの他の配置例を示す図である。
【
図9】第2の実施形態に係る真空包装機の構成を示す図である。
【
図10】第3の実施形態に係る真空包装機の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態に係る真空包装機について説明する。
図1は、実施形態に係る真空包装機10の構成を示し、(a)は側面図、(b)は上面図を示している。なお、上面図では、複数のヒーターブロック(加熱封止機構)が見えるように、上面から透過した図を示している。
図1において、真空包装機10は、据え置き型の下部筐体20の上に、ロアーチャンバー30を有する基台部40が設けられる。そして、基台部40には、アッパーチャンバー50を有する蓋部60がヒンジ機構70により回動可能に取り付けられる。基台部40は、シール台・トレイが形成しており、そのロアーチャンバー30内には、例えば上下に離れた2つのヒーターブロック80、90が設けられている。蓋部60の前方には開閉用の把手部100が設けられる。さらに、下部筐体20の前方には、各種の動作設定入力、および稼働状況を表示する表示操作パネル110が設けられる。
【0011】
図2(a)は、
図1に示した第1ヒーターブロック80の形状を示し、(b)は第1ヒーターブロック80の構成を示し、(c)は第1ヒーターブロック80の内部構成を示している。ここでは、第1ヒーターブロック80の形状を示すが、第2ヒーターブロック90も向きが異なるが、同じ構成であるのでその説明は省略する。
第1ヒーターブロック80には、包装袋82をガイドする所定の傾斜角度を有するシールトレイ84と、複数の包装袋82の先端開口部を第1ヒーターブロック80の上面で同時に押さえる回動可能なフィルム押え86と、フィルム押え86を取り付ける取付部88とを有する。なお、ヒーターブロック80、90に対向する蓋部60には、対向ブロック(
図7を参照)が設けられている。
【0012】
図2(b)(c)に示すように、第1ヒーターブロック80は、ロアーチャンバー30の長手方向に応じた所定の長さ有し、内部に同じ長さのシールヒーター80aが設けられる。シールヒーター80aの上面には、シールヒーター80aを覆う絶縁布80bが取り付けられる。シールヒーター80aの両端はネジ等によって固定され、後述するヒータートランス(給電手段)に接続されるよう電気配線が施されている。
【0013】
包装袋82を第1ヒーターブロック80にセット手順は、まず被包装物を入れた真空専用の包装袋82をロアーチャンバー30内の第1ヒーターブロック80にセットする。この時、1つ又は複数の包装袋82の開口部が第1ヒーターブロック80にかかるようにセットして、フィルム押え86によって開口部を押さえることでセットが完了する。包装物82は、セット時に第1ヒーターブロック80の上面に挟まないように入れる量を調整する必要がある。
【0014】
図3(a)は、真空包装機10の使用形態を示し、同(b)はヒーター選択操作の画面例を示している。
図3(a)に示すように、上側の第1ヒーターブロック80に例えば5つの真空用の小袋がセット可能であり、下側の第2ヒーターブロック90に例えば5つの真空用の小袋がセット可能である。このように、
図3(a)に示す使用例では、小袋の多数パックに適したものである。
図3(b)は、真空包装機10の表示操作パネル110に表示される、第1ヒーターブロック80と第2ヒーターブロック90のいずれか一方、又は両方を使用する場合のヒーター選択画面150を示している。同画面150を用いて、真空包装機10の使用形態に応じて第1ヒーターブロック80と第2ヒーターブロック90の設定を自由に実施することが出来る。
【0015】
図4は、実施形態に係る真空包装機10を制御する制御回路の構成例を示す図である。
図4において、真空包装機10の全体の制御を司る制御装置200は、ROMおよびRAMを内蔵するCPU(プロセッサ)210、インターフェース(I/F)部220、タイマー230等を有している。制御装置200には、真空包装機10に設けられる電源SW250、気圧検出センサー255、蓋部開閉センサー260等からの信号を受信する。そして、制御装置200は、各種信号を受信しながら予め設定されたプログラム手順に従い真空ポンプ265、真空電磁弁270、投入口閉成用電磁弁275、リレー回路281、リレー回路283、表示操作パネル・ブザー285等を制御して、真空包装を実行する。
【0016】
リレー回路281には、第1シールヒーター282の給電タイミングが設定されている。同様にリレー回路283には、第2シールヒーター284の給電タイミングが設定されている。したがって、複数のヒーターブロック80、90を有する構成であっても、1つのヒーターブロックと同じ定格の1つのヒータートランスで構成することが出来る。1つのヒータートランスでも、各シールヒーター282、284への給電をリレー回路281、283に設定されたそれぞれのタイミングでシール動作を実行するので、消費電力を抑えることが出来る。
【0017】
次に、実施形態に係る真空包装機10の動作を説明する。
図5は、真空包装機10の動作を示すフローチャートである。
コースの選択(S100)
真空包装機10の真空包装プログラムは、標準的なコース「強」「中」「弱」「脱気」の各コースが予め設定されている。そして、制御装置200は、電源SW250からON信号を受信すると、表示操作パネル110に
図6(a)に示す「コース選択画面300」を表示する。利用者は、「コース選択画面300」からコースNo.の囲み枠表示で各コース内容を確認し、真空パックする品物に合わせて利用するコースを選択する。コース選択が完了すると、制御装置200は、直ちに
図6(b)に示す「待機/運転モード画面320」を表示操作パネル110に表示する。真空包装機10は、「コース選択画面300」又は「待機/運転モード画面320」の状態で、アッパーチャンバー50を有する蓋部60が閉じられると、蓋部開閉センサー260の信号を受信して、真空包装の運転を開始する。
【0018】
真空工程(S110)
図2(a)および
図3(a)に示すように、ロアーチャンバー30内に、真空専用の包装袋82に入れた品物をセットする。真空包装機10は、アッパーチャンバー50を有する蓋部60が閉められると蓋部開閉センサー260の信号を受信して、真空ポンプ265を起動する。真空ポンプ265が、上下のチャンバー30、50内の空気を吸い出し、同チャンバー内が徐々に真空状態とする。真空の度合いは、各コースに設定してあり、さらにコースの設定変更でお好みの真空状態を設定できる。
【0019】
ガス充填工程(S120:ガス仕様機のみ)
真空工程S110が終了した後、ガスノズル(不図示)より包装袋82の内部にガスを封入し空気との置き換えを行う。ガス仕様機の詳細は、先行技術として開示した特開2019-55805号公報を参照されたい。
【0020】
シール工程
図7(a)~(c)は、シール工程の概要を示す図である。
図7(a)に示すように、真空包装機10は、複数のヒーターブロック80、90は1つのヒータートランス280からの給電によって動作するように構成されている。ヒータートランス280は、シールヒーターに熱溶着に必要な電気を給電し、リレー回路281、283と共同して給電タイミングをずらすことが可能な給電手段である。ヒータートランス280は、第1ヒーターブロック80の第1シールヒーター282と、第2ヒーターブロック90の第2シールヒーター284とに給電する。真空工程S110が終了、又はガス充填の設定をされている場合はガス充填工程S120が終了すると、アッパーチャンバー50に取り付けられる対向ブロック(シール受け)が下降してシールを開始する。なお、対向ブロックが下降するのではなく、シールヒーター側(282、284)のブロックが上昇する機構であっても良い。
【0021】
<第1ヒーターブロックのシール工程とシール冷却工程(S130)>
図7のリレー回路281には、上述した真空工程の時間(例えば、真空時間60秒)が設定されている。ガス仕様機の場合は、真空工程+ガス充填工程の時間(例えば、真空時間60秒+ガス時間3秒=63秒)が設定されている。リレー回路281は、真空工程開始から当該設定時間後に第1ヒーターブロック80の第1シールヒーター282にヒータートランス280からの電力を供給するよう動作する。なお、設定時間に2秒程度の待ち時間を含めても良い。
【0022】
すると、
図7(b)に示すように、配線280aを通じて第1ヒーターブロック80の第1シールヒーター282が加熱され、包装袋82aの開口部を数秒(例えば、2~3秒)熱溶着する。シール工程が終了した後、熱溶着した包装袋82aの開口部を冷やす。冷却工程に要する時間は、シール工程時間の2倍程度に設定するのが好ましい。
【0023】
<第2ヒーターブロックのシール工程とシール冷却工程(S140)>
リレー回路283には、上述した真空工程時間に第1ヒーターブロック80におけるシール工程およびシール冷却工程の時間を加えた時間が設定されている。ガス仕様機の場合は、真空工程+ガス充填工程の時間に、第1ヒーターブロック80におけるシール工程およびシール冷却工程の時間を加えた時間が設定されている。リレー回路283は、真空工程開始から当該設定時間後に第2ヒーターブロック90の第2シールヒーター284にヒータートランス280からの電力を供給するよう動作する。
なお、リレー回路283の設定時間は、第1ヒーターブロック80におけるシール工程の開始時刻から起算するように設定しても良く、更にその場合はシール冷却工程の時間を除いても良い。
【0024】
すると、
図7(c)に示すように、配線280bを通じて第2ヒーターブロック90の第2シールヒーター284を加熱して包装袋82bの開口部を数秒熱溶着する。シール工程が終了した後、熱溶着した包装袋82bの開口部を冷やす。冷却に要する時間は、シール工程時間の2倍程度に設定するのが好ましい。
【0025】
なお、ステップS140は、ステップS130のシール冷却工程の終わりを待たずに実施しても良い。言い換えると、ステップS140のシール工程は、ステップS130のシール冷却工程と並行して実行して良い。この場合、リレー回路283には、上述した真空工程(ガス仕様機の場合は、真空工程+ガス充填工程)の時間に、第1ヒーターブロック80におけるシール工程だけの時間を加えた時間が設定される。
【0026】
シール時間およびシール冷却時間は、状況に応じて最適な値に調整することが好ましい。例えば、製品を初めて使用する時、包装袋の種類(材質・厚み)を変更した時、使用する環境温度が低温の場合、電源の電圧による調整(低い電圧の場合はシール時間を増やし、高い電圧の場合はシール時間を減らす)等で調整が必要となる。
【0027】
真空開放工程(S150)
上述した各工程S100~S140が終了すると、制御装置200は上下のチャンバー30、50内に通じる真空電磁弁(開放弁)270を開ける。真空電磁弁270が開けることにより、空気がチャンバー30、50内に入り、大気と同じ気圧になった時点でアッパーチャンバー50の蓋部60を開けることができる。
【0028】
ソフト開放工程(S160)
急速な空気の流入をおさえ、包装袋82が密着するスピードを遅くすることにより、「しわ」の発生を起こりにくくする。全ての作業終了後は、電源SW250をOFFにする。
【0029】
このように、実施形態の真空包装機10によれば、複数のヒーターブロック80、90の各シールヒーター282、284に対して、1つのヒータートランス280で給電する構成であるので、リレー回路281、283によって、その加熱封止のタイミングを同時に入らないようにずらすことにより、以下の効果が得られる。
(1)電気容量が抑えられ、定格消費電力が下がる。
(2)加熱封止機構の数が増えても、順番に加熱封止を行うので定格消費電力は1つのヒーターブロックと同じである。
(3)1つのヒータートランス280から複数のシールヒーター282、284にタイミングをずらした給電するので、ユーザの契約電力が下がる。
【0030】
図8(a)(b)は、複数のヒーターブロックの他の配置例を示している。
図8(a)では、奥側の長手方向に配置される第1ヒーターブロック800と、短手方向に配置される第2ヒーターブロック810とが設けられる。第2ヒーターブロック810は、第1ヒーターブロック800と垂直な位置であり、例えば右端に設けられる。このようなヒーターブロックを用いると、長尺袋(例えば、新巻鮭、太刀魚などを真空パック)に対応でき、また小袋の多数包装に対応できる。
【0031】
図8(b)では、奥側の長手方向に配置される第1ヒーターブロック800と、短手方向に配置される第2ヒーターブロック810と、第3ヒーターブロック820とが設けられる。第2ヒーターブロック810は、第1ヒーターブロック800と垂直な位置であり、例えば左端に設けられる。第3ヒーターブロック820は、第1ヒーターブロック800と垂直な位置であり、例えば右端に設けられる。このようなヒーターブロックを用いると、長尺袋の他、多種の袋サイズに対応でき、小袋の多数包装にも対応できる。
【0032】
なお、
図8(a)(b)に例示した複数のヒーターブロックも、
図3(b)の示したヒーター選択画面(但し、配置図は異なる)を用いて、利用するヒーターブロックを選択することが出来る。
【0033】
図9は、第2の実施形態に係る真空包装機を示している。
図9の真空包装機では、アッパーチャンバー50を形成する蓋部60に設けられる対向ブロック(上ヒーターブロック)850にも、シールヒーター860が設けられる構成である。他の構成は上述したものと同じである。このような真空包装機は、下シールヒーター282と上シールヒーター860とを用いて熱溶着する必要があるアルミ系の包装袋を真空パックするものに最適である。この真空包装機であっても、2つのシールヒーター282、860に対し、1つのヒータートランス280を用いてタイミングをずらして、シール工程(熱溶着)を実施する。
【0034】
即ち、最初にヒータートランス280から下ヒーターブロック80のシールヒーター282に給電して包装袋82の開口部を数秒熱溶着する。その後、直ちにヒータートランス280から上ヒーターブロック850の上シールヒーター860に給電して包装袋82の開口部を数秒熱溶着した後、シール冷却工程を行うことで、上述した実施形態と同じ効果が得られる。
これを実現するために、リレー回路281aには、真空工程の開始からシール工程前までの時間が設定されており、その設定タイミングに従いヒータートランス280から下シールヒーター282に給電する。また、リレー回路283aには、下シールヒーター282による包装袋80aの開口部を熱溶着後に直ちに上シールヒーター860を給電するタイミングが設定されており、その設定タイミングに従いヒータートランス280から上シールヒーター860に給電して、真空包装を実施する。
【0035】
図10は、第3の実施形態に係る真空包装機を示している。
図10の真空包装機は、
図1乃至
図8に示した実施形態と、
図9に示した第2の実施形態とを含むもので、例えば
図1の第1ヒーターブロック80と第2ヒーターブロック90とを有する構成である。
更に、第1ヒーターブロック80には、
図9に示す第1下シールヒーター282と、第1上シールヒーター860が設けられる。そして、第2ヒーターブロック90には、第2下シールヒーター284と、第2上シールヒーター870が設けられる。
第3の実施形態のような第1ヒーターブロック80と第2ヒーターブロック90のそれぞれに上下のシールヒーター282、860、284、870が設けられる構成であっても、1つのヒータートランス280から給電する構成である。そして、第1下シールヒーター282、第1上シールヒーター860、第2下シールヒーター284、および第2上シールヒーター870には、それぞれリレー回路281a、282b、283a、283bが接続され、給電タイミングが制御される。
【0036】
図10において、例えば最初に第1ヒーターブロック80の第1下シールヒーター282に給電して包装袋82aの開口部を数秒熱溶着する。その後、直ちに第1上シールヒーター860に給電して包装袋82aの開口部を数秒熱溶着することで、第1ヒーターブロック80側の真空包装を実施する。
これを実現するために、第1下シールヒーター282のリレー回路281aには、真空工程の開始からシール工程前までの時間が設定されており、その設定タイミングに従いヒータートランス280から第1下シールヒーター282に給電する。また、第1上シールヒーター860のリレー回路B283aには、第1下シールヒーター282による包装袋80aの開口部を熱溶着後に直ちに第1上シールヒーター860を給電するタイミングが設定されており、その設定タイミングに従いヒータートランス280から第1上シールヒーター860に給電して、第1ヒーターブロック80の真空包装を実施する。
【0037】
次に、第2ヒーターブロック90の第2下シールヒーター284に給電して包装袋82bの開口部を数秒熱溶着する。その後、直ちに第2上シールヒーター870に給電して包装袋82bの開口部を数秒熱溶着することで、第2ヒーターブロック90側の真空包装を実施する。
これを実現するために、第2下シールヒーター284のリレー回路281bには、第1ヒーターブロック80における真空工程開始からシール終了までの時間が設定されており、その設定タイミングに従いヒータートランス280から第2下シールヒーター284に給電する。また、第2上シールヒーター870のリレー回路283aには、真空工程開始から上述した第2下シールヒーター284による包装袋80bの開口部を熱溶着までの時間が設定されており、その設定タイミングに従いヒータートランス280から第2上シールヒーター870に給電して、第2ヒーターブロック90の真空包装を実施する。
【0038】
なお、リレー回路281a、282b、283a、283bの設定時間は、上述したシール動作のタイミングをずらすものであれば、設定時刻の起算は任意に設計しても良い。また、ここでは、第1ヒーターブロック80側を先に真空包装するとしたが、第2ヒーターブロック90側を先に真空包装しても良い。また、真空包装機の構成に応じて、上シールヒーターを先に給電して、下シールヒーターを後に給電するようにしても良い。
第3の実施形態のように加熱封止機構の数が増えても、順番に加熱封止を行うので定格消費電力は1つのヒーターブロックと同じである。その結果、大型の真空包装機であっても電気容量が抑えられ、定格消費電力を下げることが出来る。
【0039】
以上のように実施形態の真空包装機は、被包装物を収納する包装袋82を収容した状態でチャンバー(30、50)内を減圧して、包装袋82内の空気を脱気した後に閉状態して包装袋82の開口部を封止することで、被包装物を真空包装する真空包装機10において、チャンバー(30、50)内に設けられ、包装袋82の開口部が載置される複数のヒーターブロック80、90と、ヒーターブロック80、90毎に配線され、シール工程時に包装袋82を熱溶着する複数のシールヒーター282、284と、複数のシールヒーター282、284の給電タイミングをずらして給電する1つの給電手段(280)と、を有する構成である。これにより、ヒーターブロック毎に給電手段を必要としないので、真空包装機の電気容量を抑えることが出来、定格消費電力を下げることが出来る。また、定格消費電力は1つのヒーターブロックと同じであるので、ユーザにおける契約電力も下げることが出来る。
【0040】
また実施形態の真空包装機は、給電手段280の電力は、リレー回路281、283によって給電タイミングをずらして複数のシールヒーター282,284を給電する構成である。これにより、加熱封止機構の数が増えても定格消費電力は1つのヒーターブロックのものと同じに構成することが出来る。
【0041】
また実施形態の真空包装機は、複数のシールヒーターのうちの第1シールヒーター282は第1リレー回路281によって真空工程後に給電手段280から給電され、第2シールヒーター284は第2リレー回路283によって第1シールヒーター282におけるシール工程後に給電手段280から給電される構成である。これにより、加熱封止機構の数が増えても順番に加熱封止を行うので、定格消費電力は1つのヒーターブロックのものと同じに構成することが出来る。
【0042】
また実施形態の真空包装機は、複数のヒーターブロックのうちの第1ヒーターブロック282のシール工程後の冷却工程と並行して、第2ヒーターブロック284のシール工程を実施するので、シール工程時間を短くすることが出来る。
【0043】
また実施形態の真空包装機は、被包装物を収納する包装袋を収容した状態でチャンバー(30、50)内を減圧して、包装袋(30、50)内の空気を脱気した後に閉状態して包装袋82の開口部を封止することで、被包装物を真空包装する真空包装機において、第1シールヒーター282が設けられ、包装袋82の開口部が載置される第1ヒーターブロック80と、第2シールヒーター860が設けられ、シール工程時に第1ヒーターブロック80と共同して包装袋82の開口部を挟む第2ヒーターブロック850と、第1シールヒーター282と第2シールヒーター860の給電タイミングをずらして給電する1つの給電手段(280)と、を有する構成である。これにより、ヒーターブロック毎に給電手段を必要としないので、真空包装機の電気容量を抑えることが出来、定格消費電力を下げることが出来る。また、定格消費電力は1つのヒーターブロックと同じであるので、ユーザにおける契約電力も下げることが出来る。
【0044】
実施形態の真空包装機は、第1シールヒーター282は第1リレー回路281によって真空工程後に給電手段280から給電され、第2シールヒーター284は第2リレー回路283によって第1シールヒーター282における包装袋の開口部を熱溶着後に給電手段280から給電される構成である。これにより、加熱封止機構の数が増えても順番に加熱封止を行うので、定格消費電力は1つのヒーターブロックのものと同じに構成することが出来る。
【0045】
また実施形態の真空包装機は、被包装物を収納する包装袋を収容した状態でチャンバー内を減圧して、包装袋内の空気を脱気した後に閉状態して包装袋の開口部を封止することで、被包装物を真空包装する真空包装機において、第1シールヒーター282と第2シールヒーター860とが設けられ、包装袋82aの開口部を挟んで熱溶着する第1ヒーターブロック80と、第3シールヒーター284と第4シールヒーター870とが設けられ、包装袋82bの開口部を挟んで熱溶着する第2ヒーターブロック90と、第1シールヒーター282、第2シールヒーター860、第3シールヒーター284、および第4シールヒーター870の給電タイミングをずらして給電する1つの給電手段280と、を有する構成である。これにより、ヒーターブロック毎に給電手段を必要としないので、真空包装機の電気容量を抑えることが出来、定格消費電力を下げることが出来る。その結果、大型の真空包装機であっても電気容量が抑えられ、定格消費電力を下げることが出来る。
【0046】
実施形態の真空包装機は、第1シールヒーター282は第1リレー回路281aによって真空工程後に給電手段280から給電され、第2シールヒーター860は第2リレー回路283aによって第1シールヒーター282における包装袋82aの開口部を熱溶着後に給電手段280から給電され、第3シールヒーター284は第3リレー回路281bによって第1ヒーターブロック80におけるシール工程後に給電手段280から給電され、第4シールヒーター870は第4リレー回路283bによって第3シールヒーター284における包装袋82bの開口部を熱溶着後に給電手段280から給電される構成である。これにより、加熱封止機構の数が増えても順番に加熱封止を行うので、定格消費電力は1つのヒーターブロックのものと同じに構成することが出来る。
【0047】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
10…真空包装機、 20…下部筐体、 30…ロアーチャンバー
40…基台、 50…アッパーチャンバー、 60…蓋部、 70…ヒンジ部
80…第1ヒーターブロック、 80a…シールヒーター、 80b…絶縁布
82、82a、82b…包装袋、 84…シールトレイ、 86…フィルム押え
88…取付部、 90…第2ヒーターブロック、 100…把手部
110…表示操作パネル、 150…ヒーター選択画面
200…制御装置、 210…CPU、 220…I/F部、 230…タイマー
250…電源SW、 255…気圧検出センサー、 260…蓋部開閉センサー
265…真空ポンプ、 270…真空電磁弁、 275…投入口閉成用電磁弁
280…給電手段(ヒータートランス)、 280a、280b…配線(給電ライン)
281、281a、281b、283、283a、283b…リレー回路
282…第1シールヒーター(第1下シールヒーター)
284…第2シールヒーター(第2下シールヒーター)
300…コール選択画面、 320…待機中画面
800…第1ヒーターブロック、 810…第2ヒーターブロック
830…第3ヒーターブロック、 850…対向ブロック(上ヒーターブロック)
860…第1上シールヒーター、 870…第2上シールヒーター