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特開2023-49253視覚障碍者歩行支援装置、視覚障碍者歩行支援端末、視覚障碍者歩行支援方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049253
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】視覚障碍者歩行支援装置、視覚障碍者歩行支援端末、視覚障碍者歩行支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20230403BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20230403BHJP
   A61H 3/06 20060101ALI20230403BHJP
   G09B 21/00 20060101ALN20230403BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G08G1/005
A61H3/06 Z
A61H3/06 G
G09B21/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158895
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】竹原 慎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 奏
(72)【発明者】
【氏名】黒田 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】須藤 久和
(72)【発明者】
【氏名】高見 徹
【テーマコード(参考)】
2F129
4C046
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129CC03
2F129EE29
2F129EE43
2F129EE65
2F129EE67
2F129EE85
2F129EE88
2F129FF02
2F129FF12
2F129FF15
2F129FF20
2F129GG11
2F129GG17
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH20
2F129HH21
2F129HH22
4C046AA22
4C046BB12
4C046CC01
4C046DD36
4C046DD45
4C046EE24
4C046EE26
4C046EE33
4C046FF02
4C046FF12
5H181AA23
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC04
5H181CC24
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF24
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】視覚障碍者の歩行を支援できる視覚障碍者歩行支援装置を提供する。
【解決手段】本発明の視覚障碍者歩行支援装置は、地面を含む画像情報を取得する画像取得部、前記画像情報を解析して、点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方の情報を含む点字ブロック情報を抽出する点字ブロック情報抽出部、点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方に基づき、点字ブロックが存在する方向および距離を算出する距離算出部、ユーザに点字ブロックが存在する方向および距離を通知する初期誘導情報を通知する初期誘導情報通知部、前記画像中に、画像の下端から奥行き方向に向かって伸びる二本の線分により区切られた仮想歩行エリアを作成する仮想歩行エリア作成部、抽出された点字ブロックの種類を判定する点字ブロック判定部、点字ブロックの種類と、仮想歩行エリアとの少なくとも一方に基づいて誘導情報を通知する誘導情報通知部を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像取得部、点字ブロック情報抽出部、距離算出部、初期誘導情報通知部、仮想歩行エリア作成部、点字ブロック判定部、誘導情報通知部を含み、
前記画像取得部は、画像情報を取得し、
前記画像情報は、地面を含む画像の情報であり、
前記点字ブロック情報抽出部は、前記画像情報を解析して点字ブロック情報を抽出し、
前記点字ブロック情報は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方の情報を含み、
前記距離算出部は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方に基づき、前記点字ブロックが存在する方向および距離を算出し、
前記初期誘導情報通知部は、ユーザに前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する初期誘導情報を通知し、
前記仮想歩行エリア作成部は、前記画像中に仮想歩行エリアを作成し、
前記仮想歩行エリアは、前記画像において、前記画像の下端から奥行き方向に向かって伸びる、二本の線分により区切られた領域であり、
前記点字ブロック判定部は、抽出された点字ブロックの種類を判定し、
前記誘導情報通知部は、前記点字ブロックの種類と、前記仮想歩行エリアとの少なくとも一方に基づいてユーザに誘導情報を通知する、視覚障碍者歩行支援装置。
【請求項2】
前記点字ブロック判定部は、抽出された点字ブロックの種類が、誘導ブロック、警告ブロック、又は分類不明のいずれに該当するかを判定し、
前記誘導情報通知部は、
抽出された点字ブロックが誘導ブロックである場合、前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内に含まれ、かつ誘導ブロックの線状突起の長手方向とユーザの移動方向とを一致させるように、ユーザの移動方向を指定する誘導情報を通知し、
抽出された点字ブロックが警告ブロックまたは分類不明の少なくとも一方である場合、前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する誘導情報を通知する、請求項1記載の視覚障碍者歩行支援装置。
【請求項3】
前記初期誘導情報通知部は、前記画像情報から点字ブロックが抽出されなかった場合、ユーザに点字ブロックを探索するよう指示する情報を通知する、請求項1または2記載の視覚障碍者歩行支援装置。
【請求項4】
障害物判定部を含み、
前記障害物判定部は、前記画像情報を解析して、点字ブロック上の障害物の有無を判定し、
前記誘導情報通知部は、前記点字ブロック上に障害物があると判定された場合、前記誘導情報として、ユーザに障害物の存在を通知する、請求項1から3のいずれか一項に記載の視覚障碍者歩行支援装置。
【請求項5】
障害物判定部、および回避領域判定部を含み、
前記障害物判定部は、前記画像情報を解析して、点字ブロック上の障害物の有無を判定し、
前記回避領域判定部は、前記点字ブロック上に障害物があると判定された場合、前記画像情報を解析して、ユーザが前記障害物を回避可能な回避可能領域の有無を判定し、
前記誘導情報通知部は、
前記回避可能領域がないと判定された場合、ユーザに障害物が抽出されたことを通知し、
前記回避可能領域があると判定された場合、ユーザに回避誘導情報を通知し、
前記回避誘導情報は、前記回避可能領域にユーザが進行するように、ユーザの移動方向を指定する情報と、前記障害物が抽出されなくなった時点で、前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内に含まれるようにユーザの移動方向および移動距離を指定する情報とを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の視覚障碍者歩行支援装置。
【請求項6】
前記回避領域判定部により、前記回避可能領域がないと判定された場合または前記回避可能領域の有無を判定できなかった場合、前記誘導情報通知部は、ユーザに回避可能領域を探索するよう指示する情報を通知する、請求項5記載の視覚障碍者歩行支援装置。
【請求項7】
方向補正情報取得部を含み、
前記方向補正情報取得部は、方向補正情報を取得し、
前記方向補正情報は、撮像方向情報および進行方向情報を含み、
前記撮像方向情報は、前記ユーザが画像を撮像した撮像方向の情報であり、
前記進行方向情報は、前記ユーザが進行する方向の情報であり、
前記初期誘導情報通知部は、前記方向補正情報に基づき、前記初期誘導情報における点字ブロックが存在する方向を補正し、
前記誘導情報通知部は、前記方向補正情報に基づき、前記誘導情報における点字ブロックが存在する方向およびユーザの移動方向の少なくとも一方を補正する、請求項1から6のいずれか一項に記載の視覚障碍者歩行支援装置。
【請求項8】
撮像部、通信部、および音声出力部を含み、
前記撮像部は、地面を含む画像を撮像可能であり、
前記通信部は、請求項1から7のいずれか一項に記載の視覚障碍者歩行支援装置と通信可能であり、
前記画像を含む画像情報を前記視覚障碍者歩行支援装置に送信し、
前記初期誘導情報および誘導情報の少なくとも一方を受信し、
前記音声出力部は、前記初期誘導情報または誘導情報を音声情報として出力する、視覚障碍者歩行支援端末。
【請求項9】
画像取得工程、点字ブロック情報抽出工程、距離算出工程、初期誘導情報通知工程、仮想歩行エリア作成工程、点字ブロック判定工程、誘導情報通知工程を含み、
前記画像取得工程は、画像情報を取得し、
前記画像情報は、地面を含む画像の情報であり、
前記点字ブロック情報抽出工程は、前記画像情報を解析して点字ブロック情報を抽出し、
前記点字ブロック情報は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方の情報を含み、
前記距離算出工程は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方に基づき、前記点字ブロックが存在する方向および距離を算出し、
前記初期誘導情報通知工程は、ユーザに前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する初期誘導情報を通知し、
前記仮想歩行エリア作成工程は、前記画像中に仮想歩行エリアを作成し、
前記仮想歩行エリアは、前記画像において、前記画像の下端から奥行き方向に向かって伸びる、二本の線分により区切られた領域であり、
前記点字ブロック判定工程は、抽出された点字ブロックの種類を判定し、
前記誘導情報通知工程は、前記点字ブロックの種類と、前記仮想歩行エリアとの少なくとも一方に基づいてユーザに誘導情報を通知する、視覚障碍者歩行支援方法。
【請求項10】
コンピュータに、画像取得手順、点字ブロック情報抽出手順、距離算出手順、初期誘導情報通知手順、仮想歩行エリア作成手順、点字ブロック判定手順、誘導情報通知手順を実行させるためのプログラムであって、
前記画像取得手順は、画像情報を取得し、
前記画像情報は、地面を含む画像の情報であり、
前記点字ブロック情報抽出手順は、前記画像情報を解析して点字ブロック情報を抽出し、
前記点字ブロック情報は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方の情報を含み、
前記距離算出手順は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方に基づき、前記点字ブロックが存在する方向および距離を算出し、
前記初期誘導情報通知手順は、ユーザに前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する初期誘導情報を通知し、
前記仮想歩行エリア作成手順は、前記画像中に仮想歩行エリアを作成し、
前記仮想歩行エリアは、前記画像において、前記画像の下端から奥行き方向に向かって伸びる、二本の線分により区切られた領域であり、
前記点字ブロック判定手順は、抽出された点字ブロックの種類を判定し、
前記誘導情報通知手順は、前記点字ブロックの種類と、前記仮想歩行エリアとの少なくとも一方に基づいてユーザに誘導情報を通知する、プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚障碍者歩行支援装置、視覚障碍者歩行支援端末、視覚障碍者歩行支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
視覚障碍者の安全な歩行を確保するために、歩道、駅、公共施設等、様々な箇所に、視覚障がい者誘導用ブロック(以下、点字ブロックという)が設置されている。視覚障碍者は、前記点字ブロックに触れた、足裏の感覚や、白杖を介した感覚により、前記点字ブロックの突起の形状を読み取り、進路を決定している。
【0003】
また、ガイドヘルパーを配置して、視覚障碍者と同行することにより視覚障碍者の歩行を確実に支援するサービスも提供されており、これに関連する技術として、予め位置情報及び画像情報と案内用の音声データとを対応づけておき、視覚障碍者の歩行位置に対応する音声データを再生する技術も知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-137752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の技術は、予め歩行位置に対応する音声データを再生する技術であるため、視覚障碍者等が全く新しい土地で移動をする場合、対応する音声データが存在しないために使用できない。
【0006】
また、近傍に点字ブロックが設置されていない場所に視覚障碍者がいる場合、点字ブロックが設置されている場所への移動が困難であるという課題がある。
【0007】
そこで本発明は、視覚障碍者の歩行を支援する視覚障碍者歩行支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の視覚障碍者歩行支援装置は、画像取得部、点字ブロック情報抽出部、距離算出部、初期誘導情報通知部、仮想歩行エリア作成部、点字ブロック判定部、誘導情報通知部を含み、
前記画像取得部は、画像情報を取得し、
前記画像情報は、地面を含む画像の情報であり、
前記点字ブロック情報抽出部は、前記画像情報を解析して点字ブロック情報を抽出し、
前記点字ブロック情報は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方の情報を含み、
前記距離算出部は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方に基づき、前記点字ブロックが存在する方向および距離を算出し、
前記初期誘導情報通知部は、ユーザに前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する初期誘導情報を通知し、
前記仮想歩行エリア作成部は、前記画像中に仮想歩行エリアを作成し、
前記仮想歩行エリアは、前記画像において、前記画像の下端から奥行き方向に向かって伸びる、二本の線分により区切られた領域であり、
前記点字ブロック判定部は、抽出された点字ブロックの種類を判定し、
前記誘導情報通知部は、前記点字ブロックの種類と、前記仮想歩行エリアとの少なくとも一方に基づいてユーザに誘導情報を通知する。
【0009】
本発明の視覚障碍者歩行支援端末は、撮像部、通信部、および音声出力部を含み、
前記撮像部は、地面を含む画像を撮像可能であり、
前記通信部は、前記本発明の視覚障碍者歩行支援装置と通信可能であり、
前記画像を含む画像情報を前記視覚障碍者歩行支援装置に送信し、
前記初期誘導情報および誘導情報の少なくとも一方を受信し、
前記音声出力部は、前記初期誘導情報または誘導情報を音声情報として出力する。
【0010】
本発明の視覚障碍者歩行支援方法は、画像取得工程、点字ブロック情報抽出工程、距離算出工程、初期誘導情報通知工程、仮想歩行エリア作成工程、点字ブロック判定工程、誘導情報通知工程を含み、
前記画像取得工程は、画像情報を取得し、
前記画像情報は、地面を含む画像の情報であり、
前記点字ブロック情報抽出工程は、前記画像情報を解析して点字ブロック情報を抽出し、
前記点字ブロック情報は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方の情報を含み、
前記距離算出工程は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方に基づき、前記点字ブロックが存在する方向および距離を算出し、
前記初期誘導情報通知工程は、ユーザに前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する初期誘導情報を通知し、
前記仮想歩行エリア作成工程は、前記画像中に仮想歩行エリアを作成し、
前記仮想歩行エリアは、前記画像において、前記画像の下端から奥行き方向に向かって伸びる、二本の線分により区切られた領域であり、
前記点字ブロック判定工程は、抽出された点字ブロックの種類を判定し、
前記誘導情報通知工程は、前記点字ブロックの種類と、前記仮想歩行エリアとの少なくとも一方に基づいてユーザに誘導情報を通知する。
【0011】
本発明のプログラムは、
コンピュータに、画像取得手順、点字ブロック情報抽出手順、距離算出手順、初期誘導情報通知手順、仮想歩行エリア作成手順、点字ブロック判定手順、誘導情報通知手順を実行させるためのプログラムであって、
前記画像取得手順は、画像情報を取得し、
前記画像情報は、地面を含む画像の情報であり、
前記点字ブロック情報抽出手順は、前記画像情報を解析して点字ブロック情報を抽出し、
前記点字ブロック情報は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方の情報を含み、
前記距離算出手順は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方に基づき、前記点字ブロックが存在する方向および距離を算出し、
前記初期誘導情報通知手順は、ユーザに前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する初期誘導情報を通知し、
前記仮想歩行エリア作成手順は、前記画像中に仮想歩行エリアを作成し、
前記仮想歩行エリアは、前記画像において、前記画像の下端から奥行き方向に向かって伸びる、二本の線分により区切られた領域であり、
前記点字ブロック判定手順は、抽出された点字ブロックの種類を判定し、
前記誘導情報通知手順は、前記点字ブロックの種類と、前記仮想歩行エリアとの少なくとも一方に基づいてユーザに誘導情報を通知する、プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、視覚障碍者の歩行を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置の一例の構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置を含む視覚障碍者歩行支援システム装置の一例の構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態1の視覚障碍者歩行支援端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置における仮想歩行エリアの作成方法を説明するための模式図である。
図7図7は、実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置における誘導情報の通知の一例を説明するための模式図である。
図8図8は、実施形態2の視覚障碍者歩行支援装置の一例の構成を示すブロック図である。
図9図9は、実施形態2の視覚障碍者歩行支援装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、実施形態3の視覚障碍者歩行支援装置の一例の構成を示すブロック図である。
図11図11は、実施形態3の視覚障碍者歩行支援装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態3の視覚障碍者歩行支援装置における回避可能領域の判定方法を説明するための模式図である。
図13図13は、実施形態4の視覚障碍者歩行支援装置を含む視覚障碍者歩行支援システム装置の一例の構成を示すブロック図である。
図14図14は、実施形態4の視覚障碍者歩行支援装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、実施形態4の視覚障碍者歩行支援装置における方向の補正方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、「視覚障碍者」とは、視覚機能が十分でない者を意味し、例えば、その機能や程度は特に制限されない。視覚障碍者は、例えば、視覚障害者、視覚障がい者、盲者、弱視者、ロービジョン等ともいう。本発明は、例えば、歩行時に白杖(盲人安全つえ)が必要となる全盲、弱視等の者の歩行支援において特に有用である。
【0015】
本発明において、点字ブロックは、視覚障碍者を安全に誘導するために地面や床面に敷設されている、突起が表面につけられたブロックであり、視覚障碍者誘導用ブロックともいう。前記点字ブロックは、例えば、JIS規格(JIS T 9251:2014)によりその形状および寸法が定められており、注意を喚起するための点状突起が配列された点状ブロック(警告ブロックともいう)、歩行方向を指示又プラットホームの内方を表示するための線状突起が配列された線状ブロック(誘導ブロックともいう)等があげられる。なお、前記誘導ブロックにおいては、前記線状突起の長手方向が、視覚障碍者を誘導する進行方向を意味する。
【0016】
次に、本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0017】
[実施形態1]
本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置10の一例の構成を示すブロック図である。図1に示すように、視覚障碍者歩行支援装置10(以下、「本装置10」ともいう)は、画像取得部11、点字ブロック情報抽出部12、距離算出部13、初期誘導情報通知部14、仮想歩行エリア作成部15、点字ブロック判定部16、誘導情報通知部17を含む。また、図示していないが、本装置10は、例えば、記憶部を含んでもよい。
【0018】
本装置10は、例えば、前記各部を含む1つの装置でもよいし、前記各部が、通信回線網を介して接続可能な装置でもよい。また、本装置10は、通信回線網を介して、後述する外部装置と接続可能である。通信回線網は、特に制限されず、公知のネットワークを使用でき、例えば、有線でも無線でもよい。通信回線網は、例えば、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、SAN(Storage Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)、LPWA(Low Power Wide Area)、L5G(ローカル5G)、等があげられる。無線通信としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ローカル5G、LPWA等が挙げられる。前記無線通信としては、各装置が直接通信する形態(Ad Hoc通信)、インフラストラクチャ(infrastructure通信)、アクセスポイントを介した間接通信等であってもよい。本装置10は、例えば、システムとしてサーバに組み込まれていてもよい。また、本装置10は、例えば、本発明のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。さらに、本装置10は、例えば、前記各部のうち少なくとも一つがサーバ上にあり、その他の前記各部が端末上にあるような、クラウドコンピューティングやエッジコンピューティング等の形態であってもよい。
【0019】
図2に、本装置10のハードウェア構成のブロック図を例示する。本装置10は、例えば、CPU101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置106、表示装置107、通信デバイス(通信部)108等を含む。本装置10の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス103を介して相互に接続されている。
【0020】
CPU101は、例えば、コントローラ(システムコントローラ、I/Oコントローラ等)等により、他の構成と連携動作し、本装置10の全体の制御を担う。本装置10において、CPU101により、例えば、本発明のプログラム105やその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、CPU101が、画像取得部11、点字ブロック情報抽出部12、距離算出部13、初期誘導情報通知部14、仮想歩行エリア作成部15、点字ブロック判定部16、誘導情報通知部17として機能する。本装置10は、演算装置として、CPUを備えるが、GPU(Graphics Processing Unit)、APU(Accelerated Processing Unit)等の他の演算装置を備えてもよいし、CPUとこれらとの組合せを備えてもよい。
【0021】
バス103は、例えば、外部装置とも接続できる。前記外部装置は、例えば、後述する視覚障碍者歩行支援端末、外部記憶装置(外部データベース等)、プリンタ、外部入力装置、外部表示装置、スピーカ等の音声出力装置、カメラ等の外部撮像装置、および加速度センサ、地磁気センサ、方向センサ等の各種センサ等があげられる。本装置10は、例えば、バス103に接続された通信デバイス108により、外部ネットワーク(前記通信回線網)に接続でき、外部ネットワークを介して、前記視覚障碍者歩行支援端末等の他の装置と接続することもできる。
【0022】
メモリ102は、例えば、メインメモリ(主記憶装置)が挙げられる。CPU101が処理を行う際には、例えば、後述する記憶装置104に記憶されている本発明のプログラム105等の種々の動作プログラムを、メモリ102が読み込み、CPU101は、メモリ102からデータを受け取って、プログラムを実行する。前記メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。また、メモリ102は、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)であってもよい。
【0023】
記憶装置104は、例えば、前記メインメモリ(主記憶装置)に対して、いわゆる補助記憶装置ともいう。前述のように、記憶装置104には、本発明のプログラムを含む動作プログラム105が格納されている。記憶装置104は、例えば、記録媒体と、記録媒体に読み書きするドライブとの組合せであってもよい。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。記憶装置104は、例えば、記録媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)、及びソリッドステートドライブ(SSD)であってもよい。本装置10が、例えば、前記記憶部を含む場合、記憶装置104が前記記憶部として機能する。
【0024】
本装置10において、メモリ102及び記憶装置104は、ログ情報、外部データベース(図示せず)や外部の装置から取得した情報、本装置10によって生成した情報、本装置10が処理を実行する際に用いる情報等の種々の情報を記憶することも可能である。なお、少なくとも一部の情報は、例えば、メモリ102及び記憶装置104以外の外部サーバに記憶されていてもよいし、複数の端末にブロックチェーン技術等を用いて分散して記憶されていてもよい。
【0025】
本装置10は、例えば、さらに、入力装置106、ディスプレイ107を備える。入力装置106は、例えば、タッチパネル、トラックパッド、マウス等のポインティングデバイス;キーボード;カメラ、スキャナ等の撮像手段;ICカードリーダ、磁気カードリーダ等のカードリーダ;マイク等の音声入力手段;等があげられる。ディスプレイ107は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示装置があげられる。本実施形態1において、入力装置106とディスプレイ107とは、別個に構成されているが、入力装置106とディスプレイ107とは、タッチパネルディスプレイのように、一体として構成されてもよい。
【0026】
本装置10は、例えば、視覚障碍者歩行支援端末20と通信可能であってもよい。この場合、例えば、視覚障碍者歩行支援装置10とおよび視覚障碍者歩行支援端末20とを含むシステム全体を、視覚障碍者歩行支援システム装置100ともいう。
【0027】
図3を用いて、本発明の視覚障碍者歩行支援装置10および視覚障碍者歩行支援端末20を含む視覚障碍者歩行支援システム装置100について説明する。図3は、本発明の視覚障碍者歩行支援装置10および視覚障碍者歩行支援端末20を含む視覚障碍者歩行支援システム装置100の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、視覚障碍者歩行支援装置10と、視覚障碍者歩行支援端末20とは、通信回線網30を介して互いに接続可能である。通信回線網30は、前述の通りであり、視覚障碍者歩行支援装置10と、視覚障碍者歩行支援端末20との接続は、例えば、有線でも無線でもよい。視覚障碍者歩行支援システム装置100において、視覚障碍者歩行支援装置10は、例えば、ユーザである視覚障碍者が携帯できる小型の装置であってもよいし、サーバPCのような大型の装置であってもよい。後者の場合、例えば、視覚障碍者歩行支援システム装置100は、複数の視覚障碍者歩行支援端末20を含み、各視覚障碍者歩行支援端末20が撮像した画像を、視覚障碍者歩行支援装置10が処理し、前記初期誘導情報または誘導情報を各視覚障碍者歩行支援端末20に通知(送信)してもよい。
【0028】
視覚障碍者歩行支援末20(以下、「端末20」ともいう)は、例えば、撮像部、通信部、音声出力部を含む。前記撮像部は、地面を含む画像を撮像可能である。前記通信部は、視覚障碍者歩行支援装置10と通信可能であり、前記画像を含む画像情報を前記視覚障碍者歩行支援装置に送信し、前記初期誘導情報および誘導情報の少なくとも一方を受信する。前記音声出力部は、前記初期誘導情報または誘導情報を音声情報としてユーザに出力する。視覚障碍者歩行支援端末20は、これらの構成を備えていれば特に制限されず、具体例としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末;スマートウォッチ、スマートグラス、ウェアラブル端末;カメラ等の撮像装置、通信装置、スピーカ、イヤホン、またはヘッドホン等の音声出力装置を備えた白杖等の形態であってもよい。視覚障碍者歩行支援端末20は、携帯性等の観点から眼鏡型のウェアラブルデバイスであることが好ましい。また、視覚障碍者歩行支援端末20が眼鏡型のウェアラブルデバイスである場合、障碍者歩行支援端末20が撮像した画像は、ユーザである視覚障碍者の視野とほぼ同様の領域を撮像可能なため、例えば、より正確に視覚障碍者の歩行を支援できる。
【0029】
図4に、視覚障碍者歩行支援端末20のハードウェア構成のブロック図を例示する。図4に示すように、視覚障碍者歩行支援端末20は、例えば、CPU201、メモリ202、バス203、記憶装置204、入力装置206、ディスプレイ207、通信デバイス208、撮像装置209、音声出力装置210等を備える。撮像装置208は、例えば、カメラ等の撮像装置であり、音声出力装置210は、例えば、スピーカ、イヤホン、またはヘッドホン等の音声出力デバイスである。視覚障碍者歩行支援端末20の各構成の説明は、視覚障碍者歩行支援装置10の各構成の説明を援用できる。視覚障碍者歩行支援端末20の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス203を介して接続されている。視覚障碍者歩行支援端末20において、CPU201が、バス203を介して接続された通信デバイス208、撮像装置209、音声出力装置210を制御し、撮像部21、通信部22、音声出力部23として機能する。視覚障碍者歩行支援端末20は、例えば、加速度センサ、地磁気センサ、方向センサ等のユーザの移動および移動方向を検出可能な各種センサを備えていてもよい。
【0030】
つぎに、本実施形態の視覚障碍者歩行支援方法の一例を、図5のフローチャートに基づき説明する。本実施形態の視覚障碍者歩行支援方法は、例えば、図1および図2に示す視覚障碍者歩行支援装置10を用いて、次のように実施する。なお、本実施形態の視覚障碍者歩行支援方法は、図1および図2の視覚障碍者歩行支援装置10の使用には限定されない。また、以下の説明においては、視覚障碍者歩行支援装置10のユーザである視覚障碍者が、眼鏡型のウェアラブルデバイスである視覚障碍者歩行支援端末20を頭部に装着している場合を例に挙げて説明するが、本発明は以下の例には何ら制限されない。
【0031】
まず、画像取得部11は、画像情報を取得する(S1、画像取得工程)。前記画像情報は、地面を含む画像の情報であり、例えば、ユーザである視覚障碍者の前方地面を含む画像であることが好ましい。前記画像情報は、例えば、静止画でもよいし、動画でもよいが、ユーザの歩行に合わせてリアルタイムで誘導を行う観点からは動画であることが好ましい。また、画像取得部11は、例えば、連続的に画像を取得してもよいし、断続的に画像を取得してもよいが、ユーザの歩行に合わせてリアルタイムで誘導を行う観点から、連続的に画像を取得することが好ましく、経時的に画像を取得することがさらに好ましい。画像取得部11は、例えば、バス103に接続された外部撮像装置により撮像された画像情報を取得してもよいし、前記通信回線網を介して、ユーザが所持する端末が撮像した画像情報を通信により取得してもよい。前記ユーザが所持する端末は、例えば、視覚障碍者歩行支援端末20である。
【0032】
つぎに、点字ブロック情報抽出部12は、前記画像情報を解析して点字ブロック情報を抽出する(S2、点字ブロック情報抽出工程)。前記点字ブロック情報は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方の情報を含む。点字ブロック情報抽出部12は、例えば、画像から対象を抽出する一般的な画像解析方法により前記点字ブロック情報を抽出することができ、具体例として、機械学習により作成した学習済みモデルを利用して、前記画像情報から点字ブロックを抽出できる。前記点字ブロックは、前述のように、その大きさ等の規格がJIS規格で規定されており、前記点字ブロックの色、および前記点字ブロックと周囲との輝度比等についても推奨の設置基準がある。このため、例えば、前記点字ブロックのこれらの情報に基づいて、前記画像から前記点字ブロック情報を抽出できる。本装置10が前記記憶部を含む場合、例えば、前記学習済みモデルは、例えば、前記記憶部に記憶されていてもよいし、装置外のデータベースに記憶されていてもよい。後者の場合、点字ブロック情報抽出部12は、例えば、前記通信回線網を介して前記学習済みモデルを取得して利用できる。
【0033】
つぎに、距離算出部13は、前記画像情報に含まれる前記点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方に基づき、前記点字ブロックが存在する方向および距離を算出する(S4、距離算出工程)。距離算出部13は、例えば、画像が撮像された角度および位置(高さ)ごとに、実際の距離と、画像中における画素数とを対応づけた距離変換情報を利用することで、前記点字ブロックが存在する距離を算出できる。前記距離変換情報は、例えば、前記距離変換情報は、例えば、前記記憶部に記憶されていてもよいし、外部のデータベースに記憶されていてもよい。前記点字ブロックが存在する方向は、例えば、前記画像情報の下端の中点を基準として、点字ブロックが抽出された画素が、前記中点からみて、前方、右前方、右、左前方、左のいずれに位置するかを判定することにより決定できる。
【0034】
つぎに、初期誘導情報通知部14は、ユーザに前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する初期誘導情報を通知する(S4、初期誘導情報通知工程)。前記初期誘導情報の具体例としては、「前方、10歩以上先、点字ブロックあり」、「右前方、5メートル先に、点字ブロックがあります」等の、前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する情報があげられる。前記距離を通知する情報は、例えば、歩数で表されてもよいし、距離の単位で表されてもよいが、視覚障碍者が直感的に理解しやすい観点から、歩数で表された情報であることが好ましい。また、前記初期誘導情報は、例えば、前記点字ブロックを抽出(検知)したことを示す情報を含んでもよい。具体例としては、「点字ブロックを検知、案内を開始」等の情報があげられる。初期誘導情報通知部14は、例えば、前記通信回線網を介して、通信によりユーザが所持する端末20に前記初期誘導情報を通知(送信)し、端末20が備える音声出力装置が、端末20が受信した前記初期誘導情報を音声により通知(出力)する。また、これには制限されず、例えば、装置10のバス103に接続されたスピーカ等の音声出力装置により、前記初期誘導情報を音声により通知(出力)してもよい。
【0035】
また、初期誘導情報通知部14は、例えば、前記画像情報から点字ブロックが抽出されなかった場合、ユーザに点字ブロックを探索するよう指示する情報を通知してもよい。前記ユーザに点字ブロックを探索するよう指示する情報とは、例えば、「カメラを左右に向けてください」等、ユーザの周囲の画像を撮像するように促す情報である。また、前記ユーザの端末が、眼鏡型等のウェアラブルデバイスデバイス等の体の部位に装着される端末である場合、初期誘導情報通知部14は、「少しの間顔を左右に振ってください」等のように、装着された部位を動かすように指示する情報を通知してもよい。
【0036】
つぎに、仮想歩行エリア作成部15は、前記画像中に仮想歩行エリアを作成する(S5、仮想歩行エリア作成工程)。前記仮想歩行エリアは、前記画像において、前記画像の下端から奥行き方向に向かって伸びる、二本の線分により区切られた領域であり、例えば、トレースエリアともいう。
【0037】
図6を用いて、仮想歩行エリア作成部15による前記仮想歩行エリアの作成方法の一例を説明する。図6は、前記S1で取得した画像情報の一例を示す写真である。図6に示すように、仮想歩行エリア作成部15は、例えば、前記画像の下端から、奥行き方向に向かって伸びる、第1の線分151と、第2の線分152とを作成する。そして、図6において斜線で示す、第1の線分151と第2の線分152とに区切られた画面中央部の領域153が、前記仮想歩行エリア(トレースエリア)となる。なお、前記仮想歩行エリアは、図6に示すものには限定されず、例えば、第1の線分151と第2の線分152とが並行であってもよい。また、仮想歩行エリア作成部15は、例えば、前記画像中において、距離を示す線分154を作成してもよい。具体的に、仮想歩行エリア作成部15は、例えば、前記距離変換情報に基づいて、距離を示す線分154を作成できる。距離を示す線分154は、例えば、複数作成してもよく、仮想歩行エリア作成部15は、画像の下端から所定の間隔(例えば、1mごと)に線分154を作成できる。
【0038】
つぎに、点字ブロック判定部16は、抽出された点字ブロックの種類を判定する(S6、点字ブロック判定工程)。具体的に、例えば、点字ブロック判定部16は、抽出された点字ブロックの種類が、誘導ブロック、警告ブロック、又は分類不明のいずれに該当するかを判定する。前述のように、前記点字ブロックは、その表面に点状突起が配列された警告ブロックと、その表面に線状突起が配列された誘導ブロックとに大別でき、前記点状突起および線状突起の大きさ、高さ、および数等は、JIS規格で規定されている。このため、点字ブロック判定部16は、抽出された前記点字ブロックについて、表面の突起形状が点状突起または線状突起のいずれかを判定し、点状突起であると判定した場合は、警告ブロックであると分類し、線状突起であると判定した場合は、誘導ブロックであると分類する。また、点字ブロック判定部16は、点字ブロックが遠方に存在する、点字ブロックに汚損がある、画像が不鮮明である等の要因により、前記点字ブロックの表面の突起形状を判定不可能な場合は、分類不明であると分類できる。
【0039】
つぎに、誘導情報通知部17は、前記点字ブロックの種類と、前記仮想歩行エリアとの少なくとも一方に基づいて誘導情報を通知する(S7、誘導情報通知工程)。誘導情報通知部17は、例えば、抽出された点字ブロックが誘導ブロックである場合、前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内に含まれ、かつ誘導ブロックの線状突起の長手方向とユーザの移動方向とを一致させるように、ユーザの移動方向を指定する誘導情報を通知する。また、誘導情報通知部17は、例えば、抽出された点字ブロックが警告ブロックまたは分類不明の少なくとも一方である場合、前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する誘導情報を通知する。誘導情報通知部17は、例えば、前記通信回線網を介して、通信によりユーザが所持する端末20に前記誘導情報を通知(送信)し、前記ユーザが処理する端末20が備える音声出力装置が、端末20が受信した前記誘導情報を音声により通知(出力)する。また、これには制限されず、例えば、装置10のバス103に接続されたスピーカ等の音声出力装置により、前記誘導情報を音声により通知(出力)してもよい。
【0040】
S7の処理の具体例について、図7を用いて説明する。図7は、ユーザが、警告ブロックが敷設された地点Aから、誘導ブロック上を歩行して、地点Bを経由し、警告ブロックが敷設された地点Cまで移動する状況を示す模式図である。図7において、符号20で示す白抜き矢印は、ユーザの進行方向を意味し、破線で囲まれた領域153は、仮想歩行エリア153を意味し、符号40Aは、警告ブロックを意味し、符号40Bは、誘導ブロックを意味する。まず、ユーザ20が、前記S4の初期誘導情報通知工程により通知された初期誘導情報に従い、図7に示すA地点に到達する。つぎに、誘導情報通知部17は、ユーザ20の前方に存在する警告ブロックについて、「前方、1歩先、警告ブロック」のように、前記警告ブロックが存在する方向および距離を通知する誘導情報を通知する。つぎに、前記A地点においてユーザ20の右前方に存在する誘導ブロック40Bについての誘導情報を通知する。誘導ブロック40Bは、仮想歩行エリア153に含まれているが、ユーザ20の進行方向は前方(図面上の上方向)であるのに対し、誘導ブロック40Bの線状突起の長手方向、すなわち誘導ブロック40Bが誘導する方向は右前方(図面上の右上方向)であるため、一致していない。このため、A地点において、誘導情報通知部17は、誘導ブロック40Bの線状突起の長手方向とユーザの移動方向とを一致させるように、誘導情報として、ユーザに「右前方、誘導ブロック」と通知する。ユーザ20は、前記通知に従い、誘導ブロック40B上を右前方に進行し、地点Bに到達する。地点Bにおいては、ユーザ20の前方には誘導ブロック40Bが存在せず、ユーザ20の左前方に誘導ブロック40Bが存在する。そして、B地点においては、誘導ブロック40Bは、仮想歩行エリア153に含まれているが、ユーザ20の進行方向は前方(図面上の右上方向)であるのに対し、誘導ブロック40Bの線状突起の長手方向、すなわち誘導ブロック40Bが誘導する方向は左前方(図面上の上方向)であるため、一致していない。このため、B地点において、誘導情報通知部17は、誘導ブロック40Bの線状突起の長手方向とユーザの移動方向とを一致させるように、誘導情報として、ユーザに「左前方、誘導ブロック」と通知する。ユーザ20は、前記通知に従い、誘導ブロック40B上を左前方に進行し、地点Cに到達する。そして、誘導情報通知部17は、ユーザ20の前方に存在する警告ブロックについて、「前方、4歩先、警告ブロック」のように、前記警告ブロックが存在する方向および距離を通知する誘導情報を通知する。
【0041】
誘導情報通知部17は、例えば、ユーザの歩行中に前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内から外れた場合、ユーザの進行方向を修正し、再度前記誘導ブロックが前記仮想方向エリア内に含まれるように、ユーザの移動方向および移動距離を指定する誘導情報を通知してもよい。例えば、ユーザが本来進行すべき方向から右に逸れた方向に進行した結果、前記誘導ブロックが前記仮想エリア内から外れた場合、誘導情報通知部17は、「左前方、誘導ブロック」や、「右に逸れています。左に半歩進んで下さい」等といった、ユーザの移動方向を左方向に誘導するように誘導情報を通知してもよい。
【0042】
また、誘導情報通知部17は、例えば、予め指定された距離に存在する点字ブロックについて、前記誘導情報を通知してもよい。前記予め指定された距離は、例えば、案内通知距離ともいい、任意に設定でき、1つの距離を設定してもよいし、2以上の複数の距離を設定してもよい。具体的に、例えば、前記案内通知距離が5m(10歩先)に設定されており、ユーザの前方10mの位置に誘導ブロックが、ユーザの前方5mの位置に警告ブロックが存在する場合を例に挙げて説明する。この場合、誘導情報通知部17は、前記案内通知距離内に従い、ユーザの前方5m先に存在する点字ブロックについて、「前方、10歩先、警告ブロック」と通知し、ユーザが前方に進行し、前記誘導ブロックがユーザの前方5m先となった時点で、「前方、10歩先、誘導ブロック」と通知する。また、前記案内通知距離が1m(2歩先)と、5m(10歩先)との複数設定されている場合、例えば、誘導情報通知部17は、前記案内通知距離内に従い、ユーザの前方5m先に存在する点字ブロックについて、「前方、10歩先、警告ブロック」と通知し、ユーザが前方に進行し、前記警告ブロックがユーザの前方1m先となった時点で、通知済みの警告ブロックについて、再度、「前方、2歩先、警告ブロック」と通知する。このように前記案内通知距離を設定することにより、ユーザごとに、任意のタイミングで前記誘導情報を通知でき、より正確にユーザを誘導できる。
【0043】
本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置によれば、初期誘導情報通知部により、周囲の点字ブロックまで視覚障碍者を誘導でき、誘導情報通知部により、視覚障碍者が誘導ブロックから逸れずに歩行できるように視覚障碍者の移動方向を誘導できる。
【0044】
[実施形態2]
実施形態2は、本発明の視覚障碍者歩行支援装置の他の例である。
【0045】
本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置は、実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置10の構成に加えて、障害物判定部を含むこと以外は前記実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置10と同様であり、その説明を援用できる。本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置10Aは、例えば、障害物判定部を含み、前記障害物判定部は、前記画像情報を解析して、点字ブロック上の障害物の有無を判定し、前記誘導情報通知部は、前記点字ブロック上に障害物があると判定された場合、前記誘導情報として、ユーザに障害物の存在を通知する。
【0046】
図8は、本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置10Aの一例の構成を示すブロック図である。図8に示すように、視覚障碍者歩行支援装置10Aは、実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置10の構成に加えて、障害物判定部18を備える。視覚障碍者歩行支援装置10Aのハードウェア構成は、図2の視覚障碍者歩行支援装置10のハードウェア構成において、CPU101が、図1の視覚障碍者歩行支援装置10の構成に代えて、図8の視覚障碍者歩行支援装置10Aの構成を備える以外は同様である。
【0047】
つぎに、本実施形態の視覚障碍者歩行支援方法について、図9のフローチャートを用いて説明する。本実施形態の視覚障碍者歩行支援方法は、例えば、図8に示す本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置10Aを用いて実施できる。なお、本発明の視覚障碍者歩行支援方法は、視覚障碍者歩行支援装置10Aの使用に限定されない。
【0048】
まず、前記実施形態1の視覚障碍者歩行支援方法におけるS1~S6と同様にして、S1~S6を実施する。
【0049】
つぎに、障害物判定部18は、前記画像情報を解析して点字ブロック上の障害物の有無を判定する(S11、障害物判定工程)。障害物判定部18は、例えば、画像から対象を抽出する一般的な画像解析方法により、前記S2で抽出した点字ブロック上に、点字ブロック以外のオブジェクトを抽出した場合に、前記点字ブロック上に障害物があると判定する。また、障害物判定部18は、前記点字ブロック上に障害物があると判定した場合、例えば、さらに、前記障害物の種類を分類してもよい。前記障害物の種類の分類は、例えば、人間(例えば、歩行者、点字ブロック上で立ち止まっている者、車いすに乗車した者、自転車に乗車した者等)か、それ以外の障害物かの分類があげられる。
【0050】
つぎに、誘導情報通知部17は、誘導情報を通知する(S7、誘導情報通知工程)。誘導情報通知部17は、例えば、前記S11において、障害物がないと判定された場合(S11、No)、前記実施形態1のS7と同様にして、ユーザに誘導情報を通知する。一方、前記S11において、障害物があると判定された場合(S11、Yes)、誘導情報通知部17は、例えば、前記誘導情報として、「前方に障害物があります」等のように、ユーザに障害物の存在を通知する(S7A)。また、前記S11で障害物の種類を分類している場合、例えば、「前方に歩行者がいます」等のように、ユーザに障害物の種類をあわせて通知してもよい。また、誘導情報通知部17は、例えば、前記障害物が重なっている点字ブロックの距離および方向に基づき、障害物の距離および方向をあわせて通知してもよい。
【0051】
なお、本実施形態においては、S11をS6の後に実施しているが、本発明の視覚障碍者歩行支援方法はこれに限定されない。S11は、例えば、S2の下流の工程で実施されていればよく、S3~S7の上流もしくは下流で実施してもよいし、S3~S7と並列して実施してもよい。
【0052】
本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置によれば、例えば、障害物判定部により、点字ブロック上の障害物の有無を判定し、障害物が存在する場合、障害物の存在をユーザに通知できる。このため、本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置によれば、ユーザが点字ブロック上の障害物の存在をあらかじめ知ることができ、例えば、ユーザが点字ブロック上の障害物に衝突することを抑制できる。
【0053】
[実施形態3]
実施形態3は、本発明の視覚障碍者歩行支援装置の他の例である。
【0054】
本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置は、実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置10の構成に加えて、障害物判定部および回避領域判定部を含むこと以外は前記実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置10と同様であり、その説明を援用できる。本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置10Bは、例えば、障害物判定部および回避領域判定部を含み、
前記障害物判定部は、前記画像情報を解析して、点字ブロック上の障害物の有無を判定し、
前記回避領域判定部は、前記点字ブロック上に障害物があると判定された場合、前記画像情報を解析して、ユーザが前記障害物を回避可能な回避可能領域の有無を判定し、
前記誘導情報通知部は、
前記回避可能領域がないと判定された場合、ユーザに障害物が抽出されたことを通知し、
前記回避可能領域があると判定された場合、
前記回避可能領域にユーザが進行するように、ユーザの移動方向および移動距離を指定する回避誘導情報を通知し、
前記障害物が抽出されなくなった時点で、前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内に含まれるようにユーザの移動方向および移動距離を指定する誘導情報を通知する。
【0055】
図10は、本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置10Bの一例の構成を示すブロック図である。図10に示すように、視覚障碍者歩行支援装置10Bは、実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置10の構成に加えて、障害物判定部18および回避領域判定部19を備える。視覚障碍者歩行支援装置10Bのハードウェア構成は、図2の視覚障碍者歩行支援装置10のハードウェア構成において、CPU101が、図1の視覚障碍者歩行支援装置10の構成に代えて、図10の視覚障碍者歩行支援装置10Bの構成を備える以外は同様である。
【0056】
つぎに、本実施形態の視覚障碍者歩行支援方法について、図11のフローチャートを用いて説明する。本実施形態の視覚障碍者歩行支援方法は、例えば、図10に示す本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置10Bを用いて実施できる。なお、本発明の視覚障碍者歩行支援方法は、視覚障碍者歩行支援装置10Bの使用に限定されない。
【0057】
まず、前記実施形態1の視覚障碍者歩行支援方法におけるS1~S6と同様にして、S1~S6を実施する。
【0058】
つぎに、障害物判定部18は、前記画像情報を解析して点字ブロック上の障害物の有無を判定する(S11、障害物判定工程)。障害物判定部18は、例えば、画像から対象を抽出する一般的な画像解析方法により、前記S2で抽出した点字ブロック上に、点字ブロック以外のオブジェクトを抽出した場合に、前記点字ブロック上に障害物があると判定する。また、障害物判定部18は、前記点字ブロック上に障害物があると判定した場合、例えば、さらに、前記障害物の種類を分類してもよい。前記障害物の種類の分類は、例えば、歩行者か、それ以外の障害物かの分類があげられる。
【0059】
誘導情報通知部17は、例えば、前記S11において、障害物がないと判定された場合(S11、No)、前記実施形態1のS7と同様にして、ユーザに誘導情報を通知する(S7、誘導情報通知工程)。
【0060】
回避領域判定部19は、前記点字ブロック上に障害物があると判定された場合(S11、Yes)、前記画像情報を解析して、ユーザが前記障害物を回避可能な回避可能領域の有無を判定する(S21、回避領域判定工程)。具体的に、回避領域判定部19は、例えば、前記画像情報から、ユーザが歩行可能な領域、例えば、歩道の境界部分を検出する。前記歩道の境界部分の検出は、例えば、公知のエッジ検出方法、または、機械学習により作成した学習済みモデルを利用して検出できる。つぎに、回避領域判定部19は、例えば、S11で抽出した障害物のオブジェクトの境界と、前記歩行の境界部分までの距離を計測し、前記距離が所定値以上の場合に、回避可能領域があると判定し、前記距離が所定値未満の場合に、回避可能領域がないと判定できる。前記所定値は、例えば、ユーザの体格、歩幅、周囲の状況などの条件に応じて、任意の値が設定できる。また、例えば、回避可能領域が複数ある場合、回避領域判定部19は、より広い領域を前記回避可能領域であると判定してもよいし、画像解析により、車道を判定し、車道と反対側に存在する領域を、前記回避可能領域であると判定してもよい。また、回避領域判定部19は、例えば、前記歩道の境界部分の検出に失敗した場合、又は前記障害物のオブジェクトの境界と前記歩行の境界部分までの距離の計測に失敗した場合は、前記回避可能領域の有無の判定不可と判定してもよい。
【0061】
S21の処理について、図12を用いてさらに具体的に説明する。図12(A)および(B)は、前記画像情報において、点字ブロック上に障害物である自転車が抽出された場合を示す写真である。まず、図12(A)の場合について説明する。回避領域判定部19は、前記画像情報においてエッジ検出を行い、白色破線191で示すように、歩道の境界部分191を検出する。つぎに、図12(A)に白色矢印192で示すように、白色実線193で示す障害物(自転車)の境界領域193から、前記歩道の境界部分191までの距離を測定し、前記距離が所定値以上であるかを判定し、前記障害物の境界領域193と、前記歩道の境界部分191までの領域を前記回避可能領域であると判定する。つぎに、図12(B)の場合について説明する。回避領域判定部19は、前記画像情報においてエッジ検出を行い、白色破線191で示すように、歩道の境界部分191を検出する。図12(B)に示す画像情報は、図面左側の歩道のエッジが見切れており、白色実線で示す障害物(自転車)の境界領域193から、前記歩道の境界部分191までの距離を測定できない。このため、回避領域判定部19は、前記回避可能領域の有無の判定不可と判定する。
【0062】
誘導情報通知部17は、前記S21において、回避可能領域がないと判定された場合(S21、No)、例えば、前記誘導情報として、「前方に障害物があります」等のように、ユーザに障害物の存在を通知する(S7BA。また、前記S11で障害物の種類を分類している場合、例えば、「前方に歩行者がいます」等のように、ユーザに障害物の種類をあわせて通知してもよい。また、誘導情報通知部17は、例えば、前記障害物が重なっている点字ブロックの距離および方向に基づき、障害物の距離および方向をあわせて通知してもよい。
【0063】
また、前記S21において、前記回避可能領域がないと判定された場合、または前記回避可能領域の有無を判定できなかった場合、誘導情報通知部17は、例えば、ユーザに回避可能領域を探索するよう指示する情報を通知してもよい。前記ユーザに回避可能領域を探索するよう指示するとは、例えば、「カメラを左右に向けてください」等、ユーザの周囲の画像を撮像するように促す情報である。また、前記ユーザの端末が、眼鏡型等のウェアラブルデバイスデバイス等の体の部位に装着される端末である場合、誘導情報通知部17は、「少しの間顔を左右に振ってください」等のように、装着された部位を動かすように指示する情報を通知してもよい。これにより、抽出された障害物の周囲の画像情報が取得できるため、例えば、再度S21を実施して回避可能領域の有無を判定できる。
【0064】
誘導情報通知部17は、前記S21において、回避可能領域があると判定された場合(S21、Yes)、例えば、ユーザに回避誘導情報を通知する(S7B)。前記回避誘導情報は、例えば、前記回避可能領域にユーザが進行するように、ユーザの移動方向を指定する情報と、前記障害物が抽出されなくなった時点で、前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内に含まれるようにユーザの移動方向および移動距離を指定する情報とを含む情報である。具体的に、例えば、S12(A)に示すように、前記回避可能領域がユーザの左前方にあると判定された場合を例に挙げて説明する。誘導情報通知部17は、まず、ユーザが前記回避可能領域に進行できるようにユーザの進行方向を通知する(例えば、「左前方を向いてください」)。この際、誘導情報通知部17は、例えば、障害物の有無をあわせて通知してもよい(例えば、「前方に障害物があります。左前方を向いてください」)。つぎに誘導情報通知部17は、ユーザに前方へ進行するように誘導する情報を通知する(例えば、「前方に進んでください」)。そして、誘導情報通知部17は、前記画像情報に前記障害物が抽出されなくなった時点で、前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内に含まれるように、ユーザの移動方向および移動距離を指定する情報を通知する(例えば、「右前方、4歩、誘導ブロック」)。この際、誘導情報通知部17は、例えば、障害物の回避に成功したことをあわせて通知してもよい(例えば、「障害物を回避しました。右前方、4歩、誘導ブロック」)。
【0065】
本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置によれば、例えば、障害物判定部により、点字ブロック上の障害物の有無を判定し、障害物が存在する場合、回避領域判定部により回避可能領域の有無を判定し、ユーザに回避誘導情報を通知できる。このため、本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置によれば、ユーザが点字ブロック上の障害物に衝突せずに回避して進行できるようにユーザの歩行を支援でき、例えば、ユーザが点字ブロック上の障害物に衝突することを抑制できる。
【0066】
[実施形態4]
実施形態4は、本発明の視覚障碍者歩行支援システム装置の他の例である。
【0067】
本実施形態の視覚障碍者歩行支援システム装置100Cについて、図13を用いて説明する。図13は、本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置10Cと、視覚障碍者歩行支援端末20Aとを含む視覚障碍者歩行支援システム装置100Cの一例の構成を示すブロック図である。
【0068】
本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置は、実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置10の構成に加えて、方向補正情報取得部を含むこと以外は前記実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置10と同様であり、その説明を援用できる。本実施形態の視覚障碍者歩行支援装置10Cは、例えば、方向補正情報取得部を含み、
前記方向補正情報取得部は、方向補正情報を取得し、
前記方向補正情報は、撮像方向情報および進行方向情報を含み、
前記撮像方向情報は、前記ユーザが画像を撮像した撮像方向の情報であり、
前記進行方向情報は、前記ユーザが進行する方向の情報であり、
前記初期誘導情報通知部は、前記方向補正情報に基づき、前記初期誘導情報における点字ブロックが存在する方向を補正し、
前記誘導情報通知部は、前記方向補正情報に基づき、前記誘導情報における点字ブロックが存在する方向およびユーザの移動方向の少なくとも一方を補正する。
【0069】
図13に示すように、視覚障碍者歩行支援装置10Cは、実施形態1の視覚障碍者歩行支援装置10の構成に加えて、方向補正情報取得部111を含む。視覚障碍者歩行支援装置10Cのハードウェア構成は、図2の視覚障碍者歩行支援装置10のハードウェア構成において、CPU101が、図1の視覚障碍者歩行支援装置10の構成に代えて、図13の視覚障碍者歩行支援装置10Cの構成を備える以外は同様である。
【0070】
本実施形態の視覚障碍者歩行支援端末は、実施形態1の視覚障碍者歩行支援端末20の構成に加えて、撮像方向測定部および進行方向測定部を含み、
前記撮像方向測定部は、撮像方向情報を測定し、
前記撮像方向情報は、前記撮像部が前記画像を撮像した撮像方向の情報であり、
前記進行方向測定部は、ユーザの進行方向情報を測定し、
前記進行方向情報は、前記ユーザが進行する方向の情報であり、
前記通信部は、視覚障碍者歩行支援装置10Cと通信可能であり、
前記撮像方向情報および進行方向情報を前記視覚障碍者歩行支援装置に送信する。
【0071】
図13に示すように、視覚障碍者歩行支援端末20Aは、実施形態1の視覚障碍者歩行支援端末20の構成に加えて、撮像方向測定部24および進行方向測定部25を含む。視覚障碍者歩行支援端末20Aのハードウェア構成は、図4の視覚障碍者歩行支援端末20のハードウェア構成において、CPU201が、図3の視覚障碍者歩行支援端末20の構成に代えて、図13の視覚障碍者歩行支援端末20Aの構成を備える以外は同様である。前記撮像方向測定部および進行方向測定部は、画像の撮像方向および進行方向を測定可能な公知の方向測定手段が利用でき、前述の地磁気センサ、方向センサなどが利用できる。
【0072】
つぎに、本実施形態の視覚障碍者歩行支援方法について、図14のフローチャートを用いて説明する。本実施形態の視覚障碍者歩行支援方法は、例えば、図13に示す本実施形態の視覚障碍者歩行支援システム装置100Cを用いて実施できる。なお、本発明の視覚障碍者歩行支援方法は、視覚障碍者歩行支援システム装置100Cの使用に限定されない。以下の説明においては、ユーザである視覚障碍者が、撮像方向測定部24として第1の地磁気センサを備える眼鏡型のウェアラブルデバイス(視覚障碍者歩行支援端末20A)を頭部に装着し、腰部に、進行方向測定部25として第2の地磁気センサを装着している場合を例に挙げて説明するが、本発明には以下の例には何ら制限されない。
【0073】
まず、前記実施形態1の視覚障碍者歩行支援方法におけるS1~3と同様にして、S1~3を実施する。
【0074】
つぎに、方向補正情報取得部111は、方向補正情報を取得する(S41、方向補正情報取得工程)。前記方向補正情報は、例えば、撮像方向情報および進行方向情報を含む。前記撮像方向情報は、例えば、前記ユーザが画像を撮像した撮像方向の情報であり、例えば、ユーザの視線方向ともいう。また、前記進行方向情報は、例えば、前記ユーザが進行する方向の情報であり、例えば、ユーザの体の方向ともいう。本実施形態においては、ユーザの頭部に、撮像装置を備える視覚障碍者歩行支援端末20Aが装着されているため、方向補正情報取得部111は、例えば、ユーザの頭部に装着された端末20Aの第1の地磁気センサ24から、水平方向の向き情報を、前記撮像方向情報として取得する。
また、ユーザの腰部には、進行方向測定部25として第2の地磁気センサ25が装着されているため、方向補正情報取得部111は、例えば、ユーザの腰部に装着された第2の地磁気センサ25から、水平方向の向き情報を、前記進行方向情報として取得する。方向補正情報取得部111は、例えば、前記画像情報において前記点字ブロックが抽出された場合に、前記方向補正情報を取得してもよい。
【0075】
初期誘導情報通知部14は、前記方向補正情報に基づき、前記初期誘導情報における点字ブロックが存在する方向を補正し、前記初期誘導情報を通知する(S4、初期誘導情報通知工程)。具体的に、初期誘導情報通知部14は、例えば、前記方向補正情報に含まれる撮像方向情報と、進行方向情報とが一致するか否かを判定し、一致しない場合に、前記初期誘導情報における点字ブロックが存在する方向を補正する。前記補正の具体例については、後述する。
【0076】
つぎに、前記実施形態1の視覚障碍者歩行支援方法におけるS5~6と同様にして、S5~6を実施する。
【0077】
つぎに、誘導情報通知部17は、前記方向補正情報に基づき、前記誘導情報における点字ブロックが存在する方向およびユーザの移動方向の少なくとも一方を補正し、前記誘導情報を通知する(S7、誘導情報通知工程)。具体的に、誘導情報通知部17は、例えば、前記方向補正情報に含まれる撮像方向情報と、進行方向情報とが一致するか否かを判定し、一致しない場合に、前記誘導情報における点字ブロックが存在する方向およびユーザの移動方向の少なくとも一方を補正する。前記補正については、後述する。
【0078】
S4およびS7における方向の補正の具体例について、図15を用いて具体的に説明する。図15(A)~(C)は、本発明の視覚障碍者歩行支援方法を利用するユーザを頭上から見下ろしている状態を示す模式図である。図15(A)は、ユーザの進行方向である前方(図15における上方向)に点字ブロック40が存在する状態を示す。この場合、例えば、初期誘導情報通知部14および誘導情報通知部17は、前記撮像方向情報と進行方向情報とが一致しているため、前記方向の補正を行わずに、「前方、点字ブロックあり」等の初期誘導情報または誘導情報を通知する。一方、図15(B)は、ユーザの進行方向は前方(図15における上方向)であり、点字ブロック40がユーザの右前方(図15における右上方向)に存在する状態を示す。この場合、図15(B)に示すように、点字ブロック40を検出可能な画像を撮像できる撮像方向は、ユーザの右前方であるため、前記撮像方向とユーザの進行方向とが一致しなくなる。前記撮像方向を基準として点字ブロック40が存在する方向を通知すると、「前方」となるが、実際に点字ブロックが存在するのは、ユーザの右前方である。このため、初期誘導情報通知部14および誘導情報通知部17は、前記初期誘導情報または誘導情報において点字ブロック40の存在する方向を補正し、撮像方向ではなく、ユーザの進行方向を基準として、「右前方、点字ブロックあり」等の初期誘導情報または誘導情報を通知する。これにより、ユーザは、図15(C)に示すように、より直感的に点字ブロックが存在する方向を理解できる。
【0079】
なお、本実施形態においては、視覚障碍者歩行支援端末20Aが、撮像方向測定部および進行方向測定部として、第1および第2の地磁気センサを備える場合を例に挙げて説明したが、本実施形態の視覚障碍者歩行支援システム装置100Cはこれには制限されない。本実施形態の視覚障碍者歩行支援端末10Cは、例えば、前記方向補正情報として、前記撮像方向情報および進行方向情報を取得できればよく、例えば、通信回線網を介して、システム外の方向センサから前記撮像方向情報および進行方向情報を取得してもよいし、本発明の視覚障碍者歩行支援装置10Cが方向センサを備え、前記方向センサにより、前記撮像方向情報および進行方向情報を測定して取得してもよい。
【0080】
ユーザが歩行する際、画像の撮像方向(顔の方向)と、進行方向(体の方向)とは一致しているとは限らない。本実施形態の視覚障碍者歩行支援システム装置100Cによれば、方向補正情報取得部により取得した画像の撮像方向と、進行方向とに基づいて、ユーザを誘導する方向を補正できるため、ユーザは、より直感的に点字ブロックが存在する方向を理解できる。
【0081】
[実施形態5]
本実施形態のプログラムは、前述の視覚障碍者歩行支援方法の各工程を、コンピュータに実行させるためのプログラムである。具体的に、本実施形態のプログラムは、コンピュータに、画像取得手順、点字ブロック情報抽出手順、距離算出手順、初期誘導情報通知手順、仮想歩行エリア作成手順、点字ブロック判定手順、誘導情報通知手順を実行させるためのプログラムである。
【0082】
前記画像取得手順は、画像情報を取得し、
前記画像情報は、地面を含む画像の情報であり、
前記点字ブロック情報抽出手順は、前記画像情報を解析して点字ブロック情報を抽出し、
前記点字ブロック情報は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方の情報を含み、
前記距離算出手順は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方に基づき、前記点字ブロックが存在する方向および距離を算出し、
前記初期誘導情報通知手順は、ユーザに前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する初期誘導情報を通知し、
前記仮想歩行エリア作成手順は、前記画像中に仮想歩行エリアを作成し、
前記仮想歩行エリアは、前記画像において、前記画像の下端から奥行き方向に向かって伸びる、二本の線分により区切られた領域であり、
前記点字ブロック判定手順は、抽出された点字ブロックの種類が、誘導ブロック、警告ブロック、又は分類不明のいずれに該当するかを判定し、
前記誘導情報通知手順は、
抽出された点字ブロックが誘導ブロックである場合、前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内に含まれ、かつ誘導ブロックの線状突起の長手方向とユーザの移動方向とを一致させるように、ユーザの移動方向を指定する誘導情報を通知し、
抽出された点字ブロックが警告ブロックまたは分類不明の少なくとも一方である場合、前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する誘導情報を通知する。
【0083】
また、本実施形態のプログラムは、コンピュータを、画像取得手順、点字ブロック情報抽出手順、距離算出手順、初期誘導情報通知手順、仮想歩行エリア作成手順、点字ブロック判定手順、誘導情報通知手順として機能させるプログラムということもできる。
【0084】
本実施形態のプログラムは、前記本発明の視覚障碍者歩行支援装置および視覚障碍者歩行支援方法における記載を援用できる。前記各手順は、例えば、「手順」を「処理」と読み替え可能である。また、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。前記記録媒体は、例えば、非一時的なコンピュータ可読記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)である。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等があげられる。
【0085】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【0086】
<付記>
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
画像取得部、点字ブロック情報抽出部、距離算出部、初期誘導情報通知部、仮想歩行エリア作成部、点字ブロック判定部、誘導情報通知部を含み、
前記画像取得部は、画像情報を取得し、
前記画像情報は、地面を含む画像の情報であり、
前記点字ブロック情報抽出部は、前記画像情報を解析して点字ブロック情報を抽出し、
前記点字ブロック情報は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方の情報を含み、
前記距離算出部は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方に基づき、前記点字ブロックが存在する方向および距離を算出し、
前記初期誘導情報通知部は、ユーザに前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する初期誘導情報を通知し、
前記仮想歩行エリア作成部は、前記画像中に仮想歩行エリアを作成し、
前記仮想歩行エリアは、前記画像において、前記画像の下端から奥行き方向に向かって伸びる、二本の線分により区切られた領域であり、
前記点字ブロック判定部は、抽出された点字ブロックの種類を判定し、
前記誘導情報通知部は、前記点字ブロックの種類と、前記仮想歩行エリアとの少なくとも一方に基づいてユーザに誘導情報を通知する、視覚障碍者歩行支援装置。
(付記2)
前記点字ブロック判定部は、抽出された点字ブロックの種類が、誘導ブロック、警告ブロック、又は分類不明のいずれに該当するかを判定し、
前記誘導情報通知部は、
抽出された点字ブロックが誘導ブロックである場合、前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内に含まれ、かつ誘導ブロックの線状突起の長手方向とユーザの移動方向とを一致させるように、ユーザの移動方向を指定する誘導情報を通知し、
抽出された点字ブロックが警告ブロックまたは分類不明の少なくとも一方である場合、前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する誘導情報を通知する、付記1記載の視覚障碍者歩行支援装置。
(付記3)
前記初期誘導情報通知部は、前記画像情報から点字ブロックが抽出されなかった場合、ユーザに点字ブロックを探索するよう指示する情報を通知する、付記1または2記載の視覚障碍者歩行支援装置。
(付記4)
前記誘導情報通知部は、予め指定された距離に存在する点字ブロックについて、前記誘導情報を通知する、付記1から3のいずれかに記載の視覚障碍者歩行支援装置。
(付記5)
障害物判定部を含み、
前記障害物判定部は、前記画像情報を解析して、点字ブロック上の障害物の有無を判定し、
前記誘導情報通知部は、前記点字ブロック上に障害物があると判定された場合、前記誘導情報として、ユーザに障害物の存在を通知する、付記1から4のいずれかに記載の視覚障碍者歩行支援装置。
(付記6)
障害物判定部、および回避領域判定部を含み、
前記障害物判定部は、前記画像情報を解析して、点字ブロック上の障害物の有無を判定し、
前記回避領域判定部は、前記点字ブロック上に障害物があると判定された場合、前記画像情報を解析して、ユーザが前記障害物を回避可能な回避可能領域の有無を判定し、
前記誘導情報通知部は、
前記回避可能領域がないと判定された場合、ユーザに障害物が抽出されたことを通知し、
前記回避可能領域があると判定された場合、ユーザに回避誘導情報を通知し、
前記回避誘導情報は、前記回避可能領域にユーザが進行するように、ユーザの移動方向を指定する情報と、前記障害物が抽出されなくなった時点で、前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内に含まれるようにユーザの移動方向および移動距離を指定する情報とを含む、付記1から5のいずれかに記載の視覚障碍者歩行支援装置。
(付記7)
前記回避領域判定部により、前記回避可能領域がないと判定された場合または前記回避可能領域の有無を判定できなかった場合、前記誘導情報通知部は、ユーザに回避可能領域を探索するよう指示する情報を通知する、付記6記載の視覚障碍者歩行支援装置。
(付記8)
方向補正情報取得部を含み、
前記方向補正情報取得部は、方向補正情報を取得し、
前記方向補正情報は、撮像方向情報および進行方向情報を含み、
前記撮像方向情報は、前記ユーザが画像を撮像した撮像方向の情報であり、
前記進行方向情報は、前記ユーザが進行する方向の情報であり、
前記初期誘導情報通知部は、前記方向補正情報に基づき、前記初期誘導情報における点字ブロックが存在する方向を補正し、
前記誘導情報通知部は、前記方向補正情報に基づき、前記誘導情報における点字ブロックが存在する方向およびユーザの移動方向の少なくとも一方を補正する、付記1から7のいずれかに記載の視覚障碍者歩行支援装置。
(付記9)
撮像部、通信部、および音声出力部を含み、
前記撮像部は、地面を含む画像を撮像可能であり、
前記通信部は、付記1から8のいずれかに記載の視覚障碍者歩行支援装置と通信可能であり、
前記画像を含む画像情報を前記視覚障碍者歩行支援装置に送信し、
前記初期誘導情報および誘導情報の少なくとも一方を受信し、
前記音声出力部は、前記初期誘導情報または誘導情報を音声情報として出力する、視覚障碍者歩行支援端末。
(付記10)
撮像方向測定部および進行方向測定部を含み、
前記撮像方向測定部は、撮像方向情報を測定し、
前記撮像方向情報は、前記撮像部が前記画像を撮像した撮像方向の情報であり、
前記進行方向測定部は、ユーザの進行方向情報を測定し、
前記進行方向情報は、前記ユーザが進行する方向の情報であり、
前記通信部は、付記8記載の視覚障碍者歩行支援装置と通信可能であり、
前記撮像方向情報および進行方向情報を前記視覚障碍者歩行支援装置に送信する、付記9記載の視覚障碍者歩行支援端末。
(付記11)
サーバと、端末とを含み、
前記サーバと前記端末とは、互いに通信可能であり、
前記サーバが、付記1から8のいずれかに記載の視覚障碍者歩行支援装置であり、
前記端末が、付記9または10記載の視覚障碍者歩行支援端末である、視覚障碍者歩行支援システム装置。
(付記12)
画像取得工程、点字ブロック情報抽出工程、距離算出工程、初期誘導情報通知工程、仮想歩行エリア作成工程、点字ブロック判定工程、誘導情報通知工程を含み、
前記画像取得工程は、画像情報を取得し、
前記画像情報は、地面を含む画像の情報であり、
前記点字ブロック情報抽出工程は、前記画像情報を解析して点字ブロック情報を抽出し、
前記点字ブロック情報は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方の情報を含み、
前記距離算出工程は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方に基づき、前記点字ブロックが存在する方向および距離を算出し、
前記初期誘導情報通知工程は、ユーザに前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する初期誘導情報を通知し、
前記仮想歩行エリア作成工程は、前記画像中に仮想歩行エリアを作成し、
前記仮想歩行エリアは、前記画像において、前記画像の下端から奥行き方向に向かって伸びる、二本の線分により区切られた領域であり、
前記点字ブロック判定工程は、抽出された点字ブロックの種類を判定し、
前記誘導情報通知工程は、前記点字ブロックの種類と、前記仮想歩行エリアとの少なくとも一方に基づいてユーザに誘導情報を通知する、視覚障碍者歩行支援方法。
(付記13)
前記点字ブロック判定工程は、抽出された点字ブロックの種類が、誘導ブロック、警告ブロック、又は分類不明のいずれに該当するかを判定し、
前記誘導情報通知工程は、
抽出された点字ブロックが誘導ブロックである場合、前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内に含まれ、かつ誘導ブロックの線状突起の長手方向とユーザの移動方向とを一致させるように、ユーザの移動方向を指定する誘導情報を通知し、
抽出された点字ブロックが警告ブロックまたは分類不明の少なくとも一方である場合、前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する誘導情報を通知する、付記12記載の視覚障碍者歩行支援方法。
(付記14)
前記初期誘導情報通知工程は、前記画像情報から点字ブロックが抽出されなかった場合、ユーザに点字ブロックを探索するよう指示する情報を通知する、付記12または13記載の視覚障碍者歩行支援方法。
(付記15)
前記誘導情報通知工程は、予め指定された距離に存在する点字ブロックについて、前記誘導情報を通知する、付記12から14のいずれかに記載の視覚障碍者歩行支援方法。
(付記16)
障害物判定工程を含み、
前記障害物判定工程は、前記画像情報を解析して、点字ブロック上の障害物の有無を判定し、
前記誘導情報通知工程は、前記点字ブロック上に障害物があると判定された場合、前記誘導情報として、ユーザに障害物の存在を通知する、付記12から15のいずれかに記載の視覚障碍者歩行支援方法。
(付記17)
障害物判定工程、および回避領域判定工程を含み、
前記障害物判定工程は、前記画像情報を解析して、点字ブロック上の障害物の有無を判定し、
前記回避領域判定工程は、前記点字ブロック上に障害物があると判定された場合、前記画像情報を解析して、ユーザが前記障害物を回避可能な回避可能領域の有無を判定し、
前記誘導情報通知工程は、
前記回避可能領域がないと判定された場合、ユーザに障害物が抽出されたことを通知し、
前記回避可能領域があると判定された場合、ユーザに回避誘導情報を通知し、
前記回避誘導情報は、前記回避可能領域にユーザが進行するように、ユーザの移動方向を指定する情報と、前記障害物が抽出されなくなった時点で、前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内に含まれるようにユーザの移動方向および移動距離を指定する情報とを含む、付記12から16のいずれかに記載の視覚障碍者歩行支援方法。
(付記18)
前記回避領域判定工程により、前記回避可能領域がないと判定された場合または前記回避可能領域の有無を判定できなかった場合、前記誘導情報通知工程は、ユーザに回避可能領域を探索するよう指示する情報を通知する、付記17記載の視覚障碍者歩行支援方法。
(付記19)
方向補正情報取得工程を含み、
前記方向補正情報取得工程は、方向補正情報を取得し、
前記方向補正情報は、撮像方向情報および進行方向情報を含み、
前記撮像方向情報は、前記ユーザが画像を撮像した撮像方向の情報であり、
前記進行方向情報は、前記ユーザが進行する方向の情報であり、
前記初期誘導情報通知工程は、前記方向補正情報に基づき、前記初期誘導情報における点字ブロックが存在する方向を補正し、
前記誘導情報通知工程は、前記方向補正情報に基づき、前記誘導情報における点字ブロックが存在する方向およびユーザの移動方向の少なくとも一方を補正する、付記12から18のいずれかに記載の視覚障碍者歩行支援方法。
(付記20)
コンピュータに、画像取得手順、点字ブロック情報抽出手順、距離算出手順、初期誘導情報通知手順、仮想歩行エリア作成手順、点字ブロック判定手順、誘導情報通知手順を実行させるためのプログラムであって、
前記画像取得手順は、画像情報を取得し、
前記画像情報は、地面を含む画像の情報であり、
前記点字ブロック情報抽出手順は、前記画像情報を解析して点字ブロック情報を抽出し、
前記点字ブロック情報は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方の情報を含み、
前記距離算出手順は、前記画像における点字ブロックの位置および大きさの少なくとも一方に基づき、前記点字ブロックが存在する方向および距離を算出し、
前記初期誘導情報通知手順は、ユーザに前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する初期誘導情報を通知し、
前記仮想歩行エリア作成手順は、前記画像中に仮想歩行エリアを作成し、
前記仮想歩行エリアは、前記画像において、前記画像の下端から奥行き方向に向かって伸びる、二本の線分により区切られた領域であり、
前記点字ブロック判定手順は、抽出された点字ブロックの種類を判定し、
前記誘導情報通知手順は、前記点字ブロックの種類と、前記仮想歩行エリアとの少なくとも一方に基づいてユーザに誘導情報を通知する、プログラム。
(付記21)
前記点字ブロック判定手順は、誘導ブロック、警告ブロック、又は分類不明のいずれに該当するかを判定し、
前記誘導情報通知手順は、
抽出された点字ブロックが誘導ブロックである場合、前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内に含まれ、かつ誘導ブロックの線状突起の長手方向とユーザの移動方向とを一致させるように、ユーザの移動方向を指定する誘導情報を通知し、
抽出された点字ブロックが警告ブロックまたは分類不明の少なくとも一方である場合、前記点字ブロックが存在する方向および距離を通知する誘導情報を通知する、付記20記載のプログラム。
(付記22)
前記初期誘導情報通知手順は、前記画像情報から点字ブロックが抽出されなかった場合、ユーザに点字ブロックを探索するよう指示する情報を通知する、付記20または21記載のプログラム。
(付記23)
前記誘導情報通知手順は、予め指定された距離に存在する点字ブロックについて、前記誘導情報を通知する、付記20から22のいずれかに記載のプログラム。
(付記24)
障害物判定手順を含み、
前記障害物判定手順は、前記画像情報を解析して、点字ブロック上の障害物の有無を判定し、
前記誘導情報通知手順は、前記点字ブロック上に障害物があると判定された場合、前記誘導情報として、ユーザに障害物の存在を通知する、付記20から23のいずれかに記載のプログラム。
(付記25)
障害物判定手順、および回避領域判定手順を含み、
前記障害物判定手順は、前記画像情報を解析して、点字ブロック上の障害物の有無を判定し、
前記回避領域判定手順は、前記点字ブロック上に障害物があると判定された場合、前記画像情報を解析して、ユーザが前記障害物を回避可能な回避可能領域の有無を判定し、
前記誘導情報通知手順は、
前記回避可能領域がないと判定された場合、ユーザに障害物が抽出されたことを通知し、
前記回避可能領域があると判定された場合、ユーザに回避誘導情報を通知し、
前記回避誘導情報は、前記回避可能領域にユーザが進行するように、ユーザの移動方向を指定する情報と、前記障害物が抽出されなくなった時点で、前記誘導ブロックが前記仮想歩行エリア内に含まれるようにユーザの移動方向および移動距離を指定する情報とを含む、付記20から24のいずれかに記載のプログラム。
(付記26)
前記回避領域判定手順により、前記回避可能領域がないと判定された場合または前記回避可能領域の有無を判定できなかった場合、前記誘導情報通知手順は、ユーザに回避可能領域を探索するよう指示する情報を通知する、付記25記載のプログラム。
(付記27)
方向補正情報取得手順を含み、
前記方向補正情報取得手順は、方向補正情報を取得し、
前記方向補正情報は、撮像方向情報および進行方向情報を含み、
前記撮像方向情報は、前記ユーザが画像を撮像した撮像方向の情報であり、
前記進行方向情報は、前記ユーザが進行する方向の情報であり、
前記初期誘導情報通知手順は、前記方向補正情報に基づき、前記初期誘導情報における点字ブロックが存在する方向を補正し、
前記誘導情報通知手順は、前記方向補正情報に基づき、前記誘導情報における点字ブロックが存在する方向およびユーザの移動方向の少なくとも一方を補正する、付記20から26のいずれかに記載のプログラム。
(付記28)
付記20から27のいずれかに記載のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によれば、初期誘導情報通知部により、周囲の点字ブロックまで視覚障碍者を誘導でき、誘導情報通知部により、視覚障碍者が誘導ブロックから逸れずに歩行できるように視覚障碍者の移動方向を誘導できる。このため、本発明は、視覚障碍者等の歩行弱者の歩行支援の分野において有用である。
【符号の説明】
【0088】
10、10A、10B、10C 視覚障碍者歩行支援装置
11 画像取得部
12 点字ブロック情報抽出部
13 距離算出部
14 初期誘導情報通知部
15 仮想歩行エリア作成部
16 点字ブロック判定部
17 誘導情報通知部
18 障害物判定部
19 回避領域判定部
111 方向補正情報取得部
101、201 中央処理装置
102、202 メモリ
103、203 バス
104、204 記憶装置
105、205 プログラム
106、206 入力装置
107、207 表示装置
108、208 通信デバイス
100、100C 視覚障碍者歩行支援システム装置
20 視覚障碍者歩行支援端末
21 撮像部
22 通信部
23 音声出力部
24 撮像方向測定部
25 進行方向測定部

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