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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049277
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】移動体の経路決定システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230403BHJP
【FI】
G05D1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158931
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅之
(72)【発明者】
【氏名】竹内 愛
(72)【発明者】
【氏名】梶 雄登
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA09
5H301EE06
5H301EE08
5H301FF04
5H301FF06
5H301FF16
5H301GG08
5H301LL06
(57)【要約】
【課題】移動体の移動ロスを防ぎつつ、作業者が、移動体の移動経路を予め知ることができる移動体の経路決定システムを提供する。
【解決手段】本発明の移動体の経路決定システム(1)は、主経路(10)と、主経路から分岐して延びる複数の分岐経路(11)と、主経路および分岐経路上を移動する移動体(3)と、移動体の動きを制御する制御手段と、移動体が移動する分岐経路を決定する分岐経路決定手段(5)とを備える。分岐経路決定手段は、移動体が通る分岐経路を選択して表示する視覚的表示部と、視覚的表示部が選択した分岐経路に対応するサインを表示するサイン表示部とを含む。制御手段は、移動体がサイン表示部に表示されたサインを検出したことに応じて、移動体に対して、視覚的表示部が選択した分岐経路上を移動するよう指示するものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の地点から延びる主経路と、
前記主経路から分岐して第2の地点にまで延びる複数の分岐経路と、
前記第1の地点から、前記主経路および前記分岐経路上を移動して前記第2の地点に到達する移動体と、
前記移動体の動きを制御する制御手段と、
前記複数の分岐経路のうち、前記移動体が移動する分岐経路を決定する分岐経路決定手段とを備え、
前記分岐経路決定手段は、
前記移動体が通る分岐経路を手動で選択して視覚的に表示する視覚的表示部と、
前記複数の分岐経路に対応する複数のサインを有し、前記視覚的表示部が選択した分岐経路に対応するサインを表示するサイン表示部とを含み、
前記制御手段は、前記移動体が前記サイン表示部に表示されたサインを検出したことに応じて、前記移動体に対して、前記視覚的表示部が選択した分岐経路上を移動するよう指示するものである、移動体の経路決定システム。
【請求項2】
前記分岐経路決定手段は、上下方向に長いスタンドを備え、
前記視覚的表示部は、前記スタンドの上方領域に設けられ、
前記サイン表示部は、前記スタンドの下方領域に設けられている、請求項1に記載の移動体の経路決定システム。
【請求項3】
前記視覚的表示部は、前記スタンドの上下方向に延びる中心軸線に対して直交する回転軸線を中心として回転する回転体に施された分岐経路表示マークを備え、
前記サイン表示部は、前記スタンドの中心軸線周りを回転する筒体に施された分岐経路表示サインを備え、
前記分岐経路決定手段は、前記回転体の回転運動を前記筒体の回転運動に変換する連結機構を備える、請求項2に記載の移動体の経路決定システム。
【請求項4】
前記主経路は、前記複数の分岐経路との境界領域近傍に前記移動体が検出可能な停止線を有し、
前記移動体は、前記停止線で停止して前記サイン表示部に表示されたサインを検出する、請求項1~3のいずれかに記載の移動体の経路決定システム。
【請求項5】
前記移動体は、所定の経路を形成するラインを検知することで前記経路上を移動する、請求項1~4のいずれかに記載の移動体の経路決定システム。
【請求項6】
前記移動体は、所定の高さの広範囲前方領域を検知する2D-LiDARを備え、前記2D-LiDARは前記サイン表示部に表示されたサインを検知する、請求項1~5のいずれかに記載の移動体の経路決定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に、所定の経路上を移動する移動体の経路決定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の経路上を移動する移動体として、たとえば特許文献1(特開平5-108156号公報)などが知られている。
【0003】
図7(a)に示すように、特許文献1は、路面に設置されたライン110をセンサで検知することで、ライン110に沿って移動する移動体100を開示している。
【0004】
ここで、たとえばホテルなどの人や物が多く行き交う場所では、ライン110上に荷物などの障害物120が配置される場合がある。特許文献1の移動体110は、センサで障害物120を検知すると、エラー停止する。エラー停止を解消するには、たとえばライン110上の障害物120を除去する作業などを人力で行う必要があり、移動体100の移動を円滑に行うことができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-108156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題を解決するため、本願出願人は、2021年3月31日に特願2021-059016号として、移動体システムを出願した。この出願に開示された先願発明は、図7(b)に示すように、移動体200が、複数の分岐路210a、210bを含むライン210に沿って、目的地230まで移動する。移動体200は、動作を制御する制御部を備える。制御部は、移動体200が一方の分岐路210a上で障害物220を検知すると、他方の分岐路210bを移動するルートに変更するように、ルート変更制御を行う。
【0007】
先願発明の移動体200は、障害物220を検知した際に、移動体200が主体となってルート変更制御を行い、選択した経路上を移動することができる。この場合、移動体200周囲の作業者は、移動体200がどの経路を移動するのかを予め知ることができず、作業者が主体になって移動体200の移動経路を制御したいとする要望があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、移動体周囲の作業者が主体になって移動体の移動経路を制御することのできる、移動体の経路決定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施の形態に係る移動体の経路決定システムは、第1の地点から延びる主経路と、主経路から分岐して第2の地点にまで延びる複数の分岐経路と、第1地点から、主経路および分岐経路上を移動して第2地点に到達する移動体と、移動体の動きを制御する制御手段と、複数の分岐経路のうち、移動体が移動する分岐経路を決定する分岐経路決定手段とを備える。分岐経路決定手段は、移動体が通る分岐経路を手動で選択して視覚的に表示する視覚的表示部と、複数の分岐経路に対応する複数のサインを有し、視覚的表示部が選択した分岐経路に対応するサインを表示するサイン表示部とを含む。制御手段は、移動体がサイン表示部に表示されたサインを検出したことに応じて、移動体に対して、視覚的表示部が選択した分岐経路上を移動するよう指示するものである。
【0010】
好ましくは、分岐経路決定手段は、上下方向に長いスタンドを備える。視覚的表示部は、スタンドの上方領域に設けられ、サイン表示部は、スタンドの下方領域に設けられている。
【0011】
好ましくは、視覚的表示部は、スタンドの上下方向に延びる中心軸線に対して直交する回転軸線を中心として回転する回転体に施された分岐経路表示マークを備える。サイン表示部は、スタンドの中心軸線周りを回転する筒体に施された分岐経路表示サインを備える。分岐経路決定手段は、回転体の回転運動を筒体の回転運動に変換する連結機構を備える。
【0012】
好ましくは、主経路は、複数の分岐経路との境界領域近傍に移動体が検出可能な停止線を有する。移動体は、停止線で停止してサイン表示部に表示されたサインを検出する。
【0013】
好ましくは、移動体は、所定の経路を形成するラインを検知することで経路上を移動する。
【0014】
好ましくは、移動体は、所定の高さの広範囲前方領域を検知する2D-LiDARを備える。2D-LiDARはサイン表示部に表示されたサインを検知する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、移動体周囲の作業者が主体となって、移動体の移動経路を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態に係る移動体の経路決定システムを模式的に示す図である。
図2】本実施の形態に係る移動体の経路決定システムの模式図である。
図3】本実施の形態に係る移動体の経路決定システムを一側面からみた模式図である。
図4】本実施の形態における分岐経路決定手段を示す模式図であり、(a)は第1の分岐経路を示す状態を表したものであり、(b)は第2の分岐経路を示す状態を表したものである。
図5】本実施の形態における視覚的表示部およびサイン表示部の連結機構を示す斜視図である。
図6】移動体の経路決定システムを示すフローチャートである。
図7】移動体の移動経路を模式的に示す図であり、(a)は特許文献1の移動経路を示し、(b)は先願発明の移動経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施の形態の移動体の経路決定システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
(概要構成について)
はじめに、本実施の形態に係る移動体の経路決定システム1の概要構成について説明する。
【0019】
図1を参照して、移動体の経路決定システム1は、第1の地点Aから延びる主経路10と、主経路10から分岐して第2の地点Bにまで延びる複数の分岐経路11とを備える所定の経路上を移動する移動体3に採用されるものである。なお、本実施の形態における「主経路10」とは、移動体3がその上を移動しており、分岐経路11が後に続く経路である。そのため、移動体3が分岐経路上を移動していても、後に更なる分岐経路が続く場合は、移動体3が位置する経路を「実質的な主経路」と見做すことができる。また、本実施の形態では、「分岐経路11」を2本有する場合を例に挙げて説明するが、3本以上有する場合も同様である。
【0020】
また、所定の経路は、主経路10と複数の分岐経路11との境界領域近傍に設けられる停止線12をさらに備える。停止線12は、所定の経路上を移動する移動体3に停止指示を出すための線である。なお、「境界領域近傍」とは、主経路10および複数の分岐経路11の境界と近接した領域のうち、分岐経路11よりも主経路10側の領域である。
【0021】
移動体3は、第1の地点Aから、主経路10および分岐経路11上を移動して第2の地点Bに到達する。本実施の形態の移動体3は、移動する分岐経路11として、主に第2の地点Bまでの最短経路である分岐経路11aを選択するが、分岐経路11a上に荷物などの障害物20が載置されている場合は分岐経路11a以外の経路、すなわち分岐経路11bを選択する。
【0022】
(移動体について)
図2、3を参照して、移動体3について説明する。移動体3は、所定の経路を形成するライン(図示せず)を検知することで経路上を移動するものである。本実施の形態のラインは、たとえば色テープであり、路面内に埋設または路面上に貼付することで経路を形成する。なお、ラインの形成はこの手法に限定されず、種々の手法を採用することができる。なお、図2に矢印A1で示す方向を移動体の幅方向、矢印A2で示す方向を移動体の前方とする。
【0023】
移動体3は、路面情報を検知するラインセンサ32と、所定の高さの広範囲前方領域を検知する障害物センサ33とを含む。
【0024】
ラインセンサ32は、路面情報、すなわち所定の経路上に形成されたラインおよび停止線12を検知する。本実施の形態のラインセンサ32は、たとえばカラーセンサなどである。本実施の形態では、1つのラインセンサ32でライン及び停止線12を検知するものとしているが、図3に一点鎖線で示すラインセンサ32’をさらに備え、ラインおよび停止線12を各々のラインセンサ32,32’で検知することとしてもよい。
【0025】
本実施の形態のラインセンサ32は、移動体3から幅方向に30°以上180°以下の角度を有しながら照射することが好ましい。これにより、移動体3がラインから外れてしまうことを防止できる。
【0026】
なお、本実施の形態では、ラインに色テープを採用した例を説明したが、磁気ラインを採用してもよい。この場合、ラインセンサ32は磁気センサであり、より正確に磁気を検知する観点から、一点鎖線で示すラインセンサ32’のように、移動体3の底面近傍に設けられることが好ましい。
【0027】
障害物センサ33は、所定の高さ、すなわち障害物センサ33が設けられた高さ位置において、水平方向(幅方向)に広がるようにレーザを照射する。本実施の形態の障害物センサ33は、赤外レーザなどを周囲に向けて照射するレーザ照射部と、照射したレーザに対する散乱光を受光するレーザ受光部とを含む、2D-LiDAR(2 Dimensional-Laser Imaging Detection and Ranging)33である。2D-LiDAR33は、画像処理装置などが不要であり、障害物や作業者を含む周囲の環境を簡便に検知することができる。
【0028】
2D-LiDAR33は、2D-LiDAR33を中心として幅方向(水平方向)に270°、高さ方向(垂直方向)に45°の範囲に亘ってレーザを照射することができる。本実施の形態の2D-LiDAR33は、移動体3の前面に設けることとしたが、より移動体3の後方を検知する観点から、移動体3の上面に突出して設けることとしてもよい。2D-LiDAR33の検知可能範囲は、たとえばレーザ照射部から0.05~20mの範囲内である。
【0029】
2D-LiDAR33は、後述する分岐経路決定手段5の表示するサイン50を検知して、移動体3に移動経路を指示する。そのため、障害物センサ33は「指示センサ」としての機能も有する。
【0030】
なお、障害物センサ33は、移動体3周囲の障害物および分岐経路決定手段5の表示するサイン50を検知することができればよく、2D-LiDAR33に限定されない。
【0031】
(分岐経路決定手段について)
次に、本実施の形態の分岐経路決定手段5について説明する。図2は、本実施の形態に係る移動体の経路決定システム1の模式図である。図3は、本実施の形態に係る移動体の経路決定システム1を一側面からみた模式図である。図2、3を参照して、分岐経路決定手段5は、移動体3が通る分岐経路11を手動で選択して視覚的に表示する視覚的表示部51と、複数の分岐経路11に対応する複数のサイン50を有し、視覚的表示部51が選択した分岐経路11に対応するサイン50を表示するサイン表示部52とを含む。
【0032】
本実施の形態に係る分岐経路決定手段5は、上下方向に長いスタンド53を備え、自立可能な形状である。視覚的表示部51はスタンド53の上方領域54に設けられ、サイン表示部52はスタンド53の下方領域55に設けられている。なお、本明細書で言う「上方領域」とはスタンド53の上下方向中央高さよりも上方を指し、「下方領域」とはスタンド53の上下方向中央高さよりも下方を指すものとする。
【0033】
視覚的表示部51の設けられる高さ位置Cは、作業者の確認作業をより容易にする観点から、人の目線高さであることが好ましい。高さ位置Cは、典型的には1400mm以上1700mm以下であり、1500mm以上1600mm以下であることが好ましい。これにより、作業者は視覚的表示部51の示す方向が目に入り易く、より確実に移動体3の経路を確認できるため、作業空間における安全面を向上することができる。
【0034】
サイン表示部52の設けられる高さ位置Dは、移動体3の障害物センサ33がサイン50をより確実に検知する観点から、移動体3の障害物センサ33が設けられた高さと略同じ高さであることが好ましい。高さ位置Dは、典型的には100mm以上850mm以下であり、移動体3に設けられる障害物センサ33の高さにより、種々の高さを採用することができる。
【0035】
図5をさらに参照して、分岐経路決定手段5は、回転体56の回転運動を筒体57の回転運動に変換する連結機構58を備える。本実施の形態の連結機構58は、スタンド53の上下方向に延びる中心軸線Pと、回転体56の回転軸線Oとが直交するよう形成された1組のかさ歯車である。
【0036】
視覚的表示部51は、回転軸線Oを中心として回転する回転体56に施された分岐経路表示マーク56aを備える。サイン表示部52は、スタンド53の中心軸線P周りを回転する筒体57に施された分岐経路表示サイン50を備える。
【0037】
分岐経路表示マーク56aは、典型的にはひとつの矢印であるが、各分岐経路11に対応する複数のマーク56aを含むものであってもよい。この場合、作業者の誤認を防止する観点から、選択された分岐経路以外のマーク56aは視認できない構成とすることが好ましい。
【0038】
本実施の形態の分岐経路表示サイン50は、筒体57の周囲に複数施されている。表示サイン50は、移動体3の障害物センサ33が検知・識別可能なものであればよく、凹凸、色、形状など種々の識別可能な形態を採用することができる。
【0039】
本実施の形態のサイン表示部52は、筒体57の外周側において、1つの表示サイン50のみを視認可能にする窓部が形成された覆い部(図示せず)を含む。これにより、移動体3によるサイン誤検知を防止することができる。
【0040】
図4(a),(b)に示すように、本実施の形態の分岐経路決定手段5は、視覚的表示部51を回転させるだけで、連結機構58を介して、サイン表示部52に表示されるサイン50を切換えることができる。これにより、作業者は移動体3に対して容易に移動経路を指示することができる。また、作業者は分岐経路表示マーク56aを見るだけで移動体3の選択する分岐経路を認識することができる。
【0041】
本実施の形態の連結機構58は、1組のかさ歯車、すなわち2つの回転運動を利用した機構である。しかしながら、連結機構58は、直線運動(ラックギア)および回転運動(ピニオンギア)の組み合わせ、1つの直線運動または回転運動を利用した機構など、種々の機構を採用することができる。
【0042】
本実施の形態の分岐経路決定手段5は、移設を容易にする観点から、自立可能なスタンド形状であるとした。しかしながら、その形状については特に限定されず、路面や壁面などに固定されたものであってもよい。
【0043】
本実施の形態に係る移動体の経路決定システム1は、分岐経路11a上に障害物20が確認された場合に、分岐経路決定手段5が予め移動体3の経路を指示しておくことができる。これにより、移動体3は障害物20を避ける経路に向かってスムーズに移動することができる。すなわち、従来技術または先願発明のように、移動体3は、分岐経路11a上を移動して、一旦引き返してから分岐経路11b上を移動することがない。これにより、第2の地点Bに到達するまでに要する時間を短縮することができる。
【0044】
(制御手段について)
また、本実施の形態の移動体の経路決定システムは、移動体の動きを制御する制御手段(図示せず)を備える。制御手段は、典型的にはCPU(CENTRAL PROCESSING UNIT)などのプロセッサであり、移動体3がサイン表示部52に表示されたサイン50を検出したことに応じて、移動体3に対して、視覚的表示部51が選択した分岐経路11上を移動するよう指示するものである。なお、制御手段は、移動体3の外部部材でもよいし、移動体3に内蔵されたものでもよい。以下に、本実施の形態の制御手段を用いた移動体3の経路決定システムについて説明する。
【0045】
(経路決定システムについて)
図1および図6を参照して、移動体3の経路決定システムについて説明する。図6は、移動体3の経路決定システムを示すフローチャートである。
【0046】
はじめに、移動体3は第1の地点Aから第2の地点Bに向かって主経路10上を移動する(ステップS1)。主経路10上を移動する間、ラインセンサ32は主経路10上に形成されたラインを検知し、障害物センサ33は移動体3の広範囲前方領域の周囲環境を検知している。
【0047】
移動体3のラインセンサ32は、主経路10上に設けられた停止線12を検知する(ステップS2)。停止線12を検知しない場合、移動体3は移動を継続する。停止線12を検知した場合、停止情報を受けた制御手段が移動体3に移動を停止するよう指示し、移動体3は移動を停止する(ステップS3)。
【0048】
停止した移動体3は、障害物センサ33でサイン表示部52に表示されたサイン50を検知する(ステップS4)。サイン50を検知すると、サイン情報を受けた制御手段が移動体3に移動方向を指示し、移動体3はサイン50に対応する分岐経路11に向かって移動する(ステップS5)。他方、サイン50を検知できない場合、移動体3は移動停止した位置で待機する。この場合、作業者が視覚的表示部51を操作することで、移動体3の移動する分岐経路11を指示する。
【0049】
分岐経路11上を移動する移動体3は、ラインセンサ32で分岐経路11上に形成されたラインを検知し、障害物センサ33で移動体3の広範囲前方領域の周囲環境を検知しながら、第2の地点Bに到着する。
【0050】
なお、第2の地点Bから第1の地点Aに向かって移動する場合、移動体3は、停止線12を検知しても移動を継続することができる。また、本実施の形態では、サイン表示部52に表示されるサイン50以外のサインは覆い部で覆われており、周囲から見えない。これにより、障害物センサ33がサイン表示部52の背面側または側面側に位置するサインを誤検知してしまうことを防止できる。
【0051】
本実施の形態の移動体の経路決定システム1によれば、移動体3は、移動体3周囲の作業者が主体になって操作した分岐経路決定手段5が指示する経路上を移動する。すなわち移動体3は、分岐経路決定手段5が指示しない経路上を勝手に移動しない。これに加え、分岐経路決定手段5は、視覚的表示部51において移動体3が移動する経路を表示している。これにより、作業者は移動体3が通る経路を予め把握できる。また、分岐経路上に障害物20がある場合、それを避ける経路を移動するように指示できるため、移動体3の移動効率を向上することができる。
【0052】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0053】
1 移動体の経路決定システム、3 移動体、5 分岐経路決定手段、10 主経路、11、11a、11b 分岐経路、12 停止線、20 障害物、32 ラインセンサ、33 障害物センサ、50 分岐経路表示サイン、51 視覚的表示部、52 サイン表示部、53 スタンド、54 情報領域、55 下方領域、56 回転体、56a 分岐経路表示マーク、57 筒体、58 連結機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7