(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049288
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】マスクカバー
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20230403BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 M
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158945
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】596177559
【氏名又は名称】インターマン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田平 重樹
(72)【発明者】
【氏名】上田平 美嗣
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA12
2E185CC32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】通常の衛生マスクに重ねて装着し、この衛生マスクに対して下方にずれ落ちることのないマスクカバーを提供する。
【解決手段】マスクカバー1は、左右端に設けられた装着手段によって、衛生マスクに装着される。特に、衛生マスクの中央上部表面に接着して、衛生マスクに装着されたマスクカバーが下方にずれ落ちることを防止する接着部材14が設けられている。この接着部材は、例えば、面ファスナーであり、特に多数の微少なカギ状フックからなる雄ファスナーからなっている。また、装着手段は、例えば、左右端に設けられたスリット16,17であり、マスクカバーは、このスリットに通された衛生マスクの紐によって、衛生マスクに保持され装着される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生マスクに重ねて装着するマスクカバーであって、前記衛生マスクの中央上部表面に接着して、前記衛生マスクに装着された前記マスクカバーが下方にずれ落ちることを防止する接着部材を備えたことを特徴とするマスクカバー。
【請求項2】
前記接着部材は、面ファスナーであることを特徴とする請求項1に記載のマスクカバー。
【請求項3】
前記面ファスナーは、多数の微少なカギ状フックからなる雄ファスナーからなることを特徴とする請求項2に記載のマスクカバー。
【請求項4】
前記マスクカバーは、左右端に設けられた装着手段によって、前記衛生マスクに装着されることを特徴とする請求項3に記載のマスクカバー。
【請求項5】
前記装着手段は、左右端に設けられたスリットであり、前記マスクカバーは、このスリットに通された衛生マスクの紐によって、衛生マスクに保持され装着されることを特徴とする請求項4に記載のマスクカバー。
【請求項6】
前記マスクカバーは、抗ウイルス活性を有する銅酸化物を含有する不織布であることを特徴とする請求項3に記載のマスクカバー。
【請求項7】
前記不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されていることを特徴とする請求項6に記載のマスクカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の衛生マスクに重ねて装着し、この衛生マスクに対して下方にずれ落ちることを防止するマスクカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
今般の新型コロナウイルスによって引き起こされたパンデミックは、人口密度があがり、高速大量輸送時代となった21世紀が、いかに感染症に弱い社会であるかを人々に思い知らせることとなった。
【0003】
このような状況においては、身の回りのあらゆる物が感染源に思え、生活状況が非常に窮屈なものとなる。事実、感染拡大の中では、全てを疑ってかかる必要がある。
【0004】
密閉、密集、密接を避けるといった対策を講じることが重要であるが、中でも基本中の基本は、衛生マスクの着用である。感染拡大を抑止する為に、まず第一になすべきことは、衛生マスクの着用の徹底である。
【0005】
本人が感染者であれば、衛生マスクの着用は、他人へ感染させてしまうというリスクを減らす効果がある。すなわち、飛沫の拡散防止である。また、本人が感染者でない場合には、口や鼻からの病原体侵入による感染を予防できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
洗って再利用できる布衛生マスクは、飛沫防止の効果はあるものの、ウイルス侵入による感染予防については疑問が持たれている。つまり、一般的なウイルスの大きさは、1μm以下であり、ガーゼなどでは、メッシュ(目)が粗く、ウイルス除去性能においては十分ではないと考えられる。
【0011】
一方で、現在主流の不織布の衛生マスクは、ウィルスを除去するフィルター効果が期待できる。また、ウイルス除去を目的としたフィルターも提案されている(特許文献1)。
【0012】
しかし、不織布衛生マスクを着用していれば、浮遊するウイルスの大部分は通過させずに、口や鼻からのウイルス侵入は抑止されるものの、ウイルスの多くは衛生マスクの表面に付着することになる。従って、不用意に衛生マスクの表面に触れることはウイルスの拡散を招くことにもなり得る。また、そのままゴミ箱などに捨てると、衛生マスクの表面に付着したウイルスが空中に浮遊することになりかねず、衛生マスクそのものが感染経路となることも考えられる。
【0013】
一方で、ウィルスを除去する効果を高める目的などで、既存の衛生マスクを二枚重ねに着用することもある。また、通常の一枚の衛生マスクの表面に装着する為のマスクカバーも提案されている(特許文献2、特許文献3)。更に、衛生マスクに装飾性を付与することを目的とするマスクカバーも存在する(特許文献4)。
【0014】
しかし、衛生マスクの表面にマスクカバーを装着した場合には、衛生マスクの表面は比較的さらさらしており、衛生マスクとその上のマスクカバーがずれやすい。マスクカバーがずれてしまうと、ウイルス除去効果が落ちてしまうだけでなく、見た目も悪くなってしまう。
【0015】
そこで、本発明の目的は、通常の衛生マスクに重ねて装着する場合に、この衛生マスクに対して下方にずれ落ちることのないマスクカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の1つの様相によるマスクカバーは、衛生マスクに重ねて装着するマスクカバーであって、前記衛生マスクの中央上部表面に接着して、前記衛生マスクに装着された前記マスクカバーが下方にずれ落ちることを防止する接着部材を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、一つの実施例では、前記接着部材は、面ファスナーであることを特徴とする。
【0018】
更に、一つの実施例では、前記面ファスナーは、多数の微少なカギ状フックからなる雄ファスナーからなることを特徴とする。
【0019】
更に、一つの実施例では、前記マスクカバーは、左右端に設けられた装着手段によって、前記衛生マスクに装着されることを特徴とする。
【0020】
更に、一つの実施例では、前記装着手段は、左右端に設けられたスリットであり、前記マスクカバーは、このスリットに通された衛生マスクの紐によって、衛生マスクに保持され装着されることを特徴とする。
【0021】
更に、一つの実施例では、前記マスクカバーは、抗ウイルス活性を有する銅酸化物を含有する不織布であることを特徴とする。
【0022】
更に、一つの実施例では、前記不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係わるマスクカバーによれば、通常の衛生マスクに重ねて装着する場合、装着者が大きく動いたり話をしたりしても、この衛生マスクに対して下方にずれ落ちることがない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1によるマスクカバー1の閉じた状態を示す側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1によるマスクカバー1の開いた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1によるマスクカバー1を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、衛生マスクMに装着した本発明の実施例1によるマスクカバー1を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例2によるマスクカバー2を示す裏面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例2によるマスクカバー2を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、衛生マスクMに装着した本発明の実施例2によるマスクカバー2を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例3によるマスクカバー3を示す裏面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例3によるマスクカバー3の開いた状態を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例3によるマスクカバー3を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、衛生マスクMに装着した本発明の実施例3によるマスクカバーを示す斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施例4によるマスクカバー4を示す正面図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施例4によるマスクカバー4を示す裏面図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施例4によるマスクカバー4を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施例4によるマスクカバー4が装着された衛生マスクMを示す斜視図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施例5のマスクカバー5を示す図であり、折り畳まれた状態を示している。
【
図18】
図18は、本発明の実施例5のマスクカバー5を使用するために広げた状態を示す斜視図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施例6によるマスクカバー6を示す正面図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施例6によるマスクカバー6を示す背面図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施例6によるマスクカバー6を、衛生マスクMに装着した様子を示す部分拡大斜視図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施例7によるマスクカバー7を示す正面図である。
【
図25】
図25は、本発明の実施例7によるマスクカバー7を示す背面図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施例7によるマスクカバー7を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
【
図27】
図27は、本発明の実施例1のマスクカバーの変形例であって、衛生マスクの内側に装着する為の変更を加えた例を示す斜視図である。
【
図28】
図28は、
図27に示したマスクカバーを、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
【
図29】
図29は、本発明の実施例5のマスクカバーの変形例であって、衛生マスクの内側に装着する為の変更を加えた例を示す側面図である。
【
図30】
図30は、
図29に示したマスクカバーを使用するために広げた状態を示す斜視図である。
【
図31】
図31は、
図29に示したマスクカバーを、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本発明によるマスクカバーの実施例を説明する。このマスクカバーは、通常の衛生マスクに重畳して装着する。特に、このマスクカバーは、その上部に面ファスナーが設けられており、衛生マスクに被せて装着した際に、この面ファスナーが衛生マスクの表面に接着する。これにより、マスクカバーの上部が衛生マスクに対して、下方にずれ落ちることが防止される。
【0026】
また、このマスクカバーは、酸化銅不織布からなっている。酸化銅不織布は、銅イオンを生成するのでスマートフォンの表面に付着しているウイルスを不活性化することができる。従って、このマスクカバーは、抗ウイルスカバーとなっている。
【0027】
この酸化銅不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれている抗ウイルスポリマー材料から製造されている。具体的には、抗ウイルスポリマー材料は、好ましくは、ポリアミド、ポリアルキレン、ポリウレタン及びポリエステルから選択される主原料ポリマーから作成される。
【0028】
この主原料を、約80度から150度の範囲の温度において加熱し溶解させ、カチオン型酸化銅の水不溶性の粉末を加え分散させる。分散されたカチオン型酸化銅の微粒子サイズは好ましくは0.2から20ミクロンの間である。このポリマーの液体スラリーは、紡糸口金と呼ばれる円形に成形された一連の金属プレートへ圧力で押し出され、不織布が製造される。この製造方法の詳細は、例えば、特表2008-534708に記載されている。以下に示す本発明によるマスクカバーの各実施例で用いる酸化銅不織布は、このような方法で作成される。
【実施例0029】
以下、添付図面を参照しながら、本発明によるマスクカバーの実施例1を説明する。
図1は、本発明の実施例1によるマスクカバー1を示す側面図である。
図2は、本発明の実施例1によるマスクカバー1を広げて立体的な形状となった状態を示す斜視図である。
図3は、本発明の実施例1によるマスクカバー1を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
図4は、衛生マスクMに装着した本発明の実施例1によるマスクカバー1を示す斜視図である。
【0030】
マスクカバー1は、
図1に示したような斧の刃型形状の酸化銅不織布2を2枚重ねて、斧の刃先の部分1aを圧着している。従って、この圧着部分1aの反対側を広げて、
図2に示したように立体的な形状とすることができる。この酸化銅不織布は、上記の通り、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されている。
【0031】
このマスクカバー1の両端の縁には、スリット16、17が設けられている。また、スリット16、17の上下端は、円形の係止孔16h、17hが設けられている。この係止孔16h、17hは、後述の通り、衛生マスクの紐を係止すると共に、スリット16、17の端が破損し難くするという効果がある。
【0032】
更に、このマスクカバー1の中央部の内側上端の縁に沿って左右一対の面ファスナー14が設けられている。この面ファスナー14は、マジックテープ(登録商標)、マジックファスナー(登録商標)、ベルクロ(登録商標)、フックアンドループテープ等の商品名で知られているもので、一般的には雌ファスナーと雄ファスナーからなる。通常、接続固定したい一方には雌ファスナーを設け、他方には雄ファスナーを設ける。
【0033】
ここで用いる面ファスナー14は、雄ファスナーのみを用いる。雄ファスナーは多数の微少なカギ状フックからなり、通常は、対応する雌ファスナーの多数の微少なループと係合する構造となっており、一旦係合すると容易にはずれず、広範な応用が可能となっている。しかし、雄ファスナーのみであっても、他方の面が不織布や綿布のような細かい繊維状の面となっている場合には、一定レベルの固定力が期待でき、マスクカバー1のような非常に軽いものであれば、十分しっかりと衛生マスクMへ固定することができる。
【0034】
このマスクカバー1を衛生マスクMに装着するには、以下のようにする。すなわち、
図3に示したように、マスクカバー1を衛生マスクMにかぶせるようにしながら、衛生マスクMの紐Sをスリット16、17に通す。そして、紐Sの上下の端を係止孔16h、17hに位置するようにする。この状態で、使用者は、衛生マスクMの紐Sの根本で、マスクカバー1を衛生マスクMに押さえつけるようにして、紐Sを耳にかける。
【0035】
これにより、
図4に示したように、衛生マスクMの外側をマスクカバー1が覆うようになる。そして、衛生マスクMに対するマスクカバー1の位置を整えて、面ファスナー14を衛生マスクMの表面に押し付けるようにして固定する。従って、衛生マスクMに対してマスクカバー1が下方にずれ落ちることが防止される。
【0036】
このマスクカバー1の装着された状態で衛生マスクMを使用した場合、ウイルスはマスクカバー1の表面に付着するが、一部は通過して衛生マスクMに付着する。マスクカバー1の厚みが大きかったり、数枚重畳された構造となっていれば、ほとんどのウイルスはマスクカバー1を通過できないことになるが、その場合、空気抵抗が大きくなり息苦しさが増大してしまう。従って、ここではマスクカバー1は一枚の酸化銅不織布とする。
【0037】
マスクカバー1の表面に付着したウイルスは、酸化銅不織布が生成する銅イオンによって不活性化される。また、使用に伴い衛生マスクMの外側の面に付着するウイルスも、隣接する酸化銅不織布が接触することにより不活性化される。
【0038】
従って、使用者が、無意識に衛生マスクMに手を触れても、感染力のあるウイルスが手に付着することはない。また、衛生マスクMはウイルスで汚染されていないので、衛生マスクMを捨てる際にも、ビニール袋に入れるなどの配慮は不要となる。なお、衛生マスクMを交換する場合でも、マスクカバー1は、新たな衛生マスクに装着して再利用できる。
【0039】
なお、衛生マスクMは不織布衛生マスクでも布衛生マスクでも良いが、布衛生マスクにマスクカバー1を装着する場合には、マスクカバー1の抗ウイルス活性が、布衛生マスクの不十分なウイルス除去機能を補うことが期待できる。
このマスクカバー2の、左辺22および右辺23の縁には、スリット26、27が設けられている。また、スリット26、27の上下端は、円形の係止孔26h、27hが設けられている。この係止孔26h、27hは、衛生マスクの紐を係止すると共に、スリット26、27の端が破損し難くするという効果がある。
更に、このマスクカバー2の内側上端の縁に沿って面ファスナー29が設けられている。実施例1と同じように、この面ファスナー29は雄ファスナーであり、装着する衛生マスクが不織布や綿布のような細かい繊維状の面となっている場合には、十分にしっかりと衛生マスクへ固定することができる。
やはり、このマスクカバー2の装着された状態で衛生マスクMを使用した場合、マスクカバー2の表面に付着したウイルスは、酸化銅不織布が生成する銅イオンによって不活性化される。また、使用に伴い衛生マスクMの外側の面に付着するウイルスも、隣接する酸化銅不織布が接触することにより不活性化される。従って、実施例1と同様に、衛生マスクMのウイルス除去機能を補うことが期待できる。