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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049288
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】マスクカバー
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20230403BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 M
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158945
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】596177559
【氏名又は名称】インターマン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田平 重樹
(72)【発明者】
【氏名】上田平 美嗣
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA12
2E185CC32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通常の衛生マスクに重ねて装着し、この衛生マスクに対して下方にずれ落ちることのないマスクカバーを提供する。
【解決手段】マスクカバー1は、左右端に設けられた装着手段によって、衛生マスクに装着される。特に、衛生マスクの中央上部表面に接着して、衛生マスクに装着されたマスクカバーが下方にずれ落ちることを防止する接着部材14が設けられている。この接着部材は、例えば、面ファスナーであり、特に多数の微少なカギ状フックからなる雄ファスナーからなっている。また、装着手段は、例えば、左右端に設けられたスリット16,17であり、マスクカバーは、このスリットに通された衛生マスクの紐によって、衛生マスクに保持され装着される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生マスクに重ねて装着するマスクカバーであって、前記衛生マスクの中央上部表面に接着して、前記衛生マスクに装着された前記マスクカバーが下方にずれ落ちることを防止する接着部材を備えたことを特徴とするマスクカバー。
【請求項2】
前記接着部材は、面ファスナーであることを特徴とする請求項1に記載のマスクカバー。
【請求項3】
前記面ファスナーは、多数の微少なカギ状フックからなる雄ファスナーからなることを特徴とする請求項2に記載のマスクカバー。
【請求項4】
前記マスクカバーは、左右端に設けられた装着手段によって、前記衛生マスクに装着されることを特徴とする請求項3に記載のマスクカバー。
【請求項5】
前記装着手段は、左右端に設けられたスリットであり、前記マスクカバーは、このスリットに通された衛生マスクの紐によって、衛生マスクに保持され装着されることを特徴とする請求項4に記載のマスクカバー。
【請求項6】
前記マスクカバーは、抗ウイルス活性を有する銅酸化物を含有する不織布であることを特徴とする請求項3に記載のマスクカバー。
【請求項7】
前記不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されていることを特徴とする請求項6に記載のマスクカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の衛生マスクに重ねて装着し、この衛生マスクに対して下方にずれ落ちることを防止するマスクカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
今般の新型コロナウイルスによって引き起こされたパンデミックは、人口密度があがり、高速大量輸送時代となった21世紀が、いかに感染症に弱い社会であるかを人々に思い知らせることとなった。
【0003】
このような状況においては、身の回りのあらゆる物が感染源に思え、生活状況が非常に窮屈なものとなる。事実、感染拡大の中では、全てを疑ってかかる必要がある。
【0004】
密閉、密集、密接を避けるといった対策を講じることが重要であるが、中でも基本中の基本は、衛生マスクの着用である。感染拡大を抑止する為に、まず第一になすべきことは、衛生マスクの着用の徹底である。
【0005】
本人が感染者であれば、衛生マスクの着用は、他人へ感染させてしまうというリスクを減らす効果がある。すなわち、飛沫の拡散防止である。また、本人が感染者でない場合には、口や鼻からの病原体侵入による感染を予防できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-16904号公報
【0007】
【特許文献2】特許第4395194号公報
【0008】
【特許文献3】実用新案登録第3228052号公報
【0009】
【特許文献4】実用新案登録第3228433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
洗って再利用できる布衛生マスクは、飛沫防止の効果はあるものの、ウイルス侵入による感染予防については疑問が持たれている。つまり、一般的なウイルスの大きさは、1μm以下であり、ガーゼなどでは、メッシュ(目)が粗く、ウイルス除去性能においては十分ではないと考えられる。
【0011】
一方で、現在主流の不織布の衛生マスクは、ウィルスを除去するフィルター効果が期待できる。また、ウイルス除去を目的としたフィルターも提案されている(特許文献1)。
【0012】
しかし、不織布衛生マスクを着用していれば、浮遊するウイルスの大部分は通過させずに、口や鼻からのウイルス侵入は抑止されるものの、ウイルスの多くは衛生マスクの表面に付着することになる。従って、不用意に衛生マスクの表面に触れることはウイルスの拡散を招くことにもなり得る。また、そのままゴミ箱などに捨てると、衛生マスクの表面に付着したウイルスが空中に浮遊することになりかねず、衛生マスクそのものが感染経路となることも考えられる。
【0013】
一方で、ウィルスを除去する効果を高める目的などで、既存の衛生マスクを二枚重ねに着用することもある。また、通常の一枚の衛生マスクの表面に装着する為のマスクカバーも提案されている(特許文献2、特許文献3)。更に、衛生マスクに装飾性を付与することを目的とするマスクカバーも存在する(特許文献4)。
【0014】
しかし、衛生マスクの表面にマスクカバーを装着した場合には、衛生マスクの表面は比較的さらさらしており、衛生マスクとその上のマスクカバーがずれやすい。マスクカバーがずれてしまうと、ウイルス除去効果が落ちてしまうだけでなく、見た目も悪くなってしまう。
【0015】
そこで、本発明の目的は、通常の衛生マスクに重ねて装着する場合に、この衛生マスクに対して下方にずれ落ちることのないマスクカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の1つの様相によるマスクカバーは、衛生マスクに重ねて装着するマスクカバーであって、前記衛生マスクの中央上部表面に接着して、前記衛生マスクに装着された前記マスクカバーが下方にずれ落ちることを防止する接着部材を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、一つの実施例では、前記接着部材は、面ファスナーであることを特徴とする。
【0018】
更に、一つの実施例では、前記面ファスナーは、多数の微少なカギ状フックからなる雄ファスナーからなることを特徴とする。
【0019】
更に、一つの実施例では、前記マスクカバーは、左右端に設けられた装着手段によって、前記衛生マスクに装着されることを特徴とする。
【0020】
更に、一つの実施例では、前記装着手段は、左右端に設けられたスリットであり、前記マスクカバーは、このスリットに通された衛生マスクの紐によって、衛生マスクに保持され装着されることを特徴とする。
【0021】
更に、一つの実施例では、前記マスクカバーは、抗ウイルス活性を有する銅酸化物を含有する不織布であることを特徴とする。
【0022】
更に、一つの実施例では、前記不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係わるマスクカバーによれば、通常の衛生マスクに重ねて装着する場合、装着者が大きく動いたり話をしたりしても、この衛生マスクに対して下方にずれ落ちることがない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の実施例1によるマスクカバー1の閉じた状態を示す側面図である。
図2図2は、本発明の実施例1によるマスクカバー1の開いた状態を示す斜視図である。
図3図3は、本発明の実施例1によるマスクカバー1を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
図4図4は、衛生マスクMに装着した本発明の実施例1によるマスクカバー1を示す斜視図である。
図5図5は、本発明の実施例2によるマスクカバー2を示す裏面図である。
図6図6は、本発明の実施例2によるマスクカバー2を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
図7図7は、衛生マスクMに装着した本発明の実施例2によるマスクカバー2を示す斜視図である。
図8図8は、本発明の実施例3によるマスクカバー3を示す裏面図である。
図9図9は、本発明の実施例3によるマスクカバー3の開いた状態を示す斜視図である。
図10図10は、本発明の実施例3によるマスクカバー3を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
図11図11は、衛生マスクMに装着した本発明の実施例3によるマスクカバーを示す斜視図である。
図12図12は、本発明の実施例4によるマスクカバー4を示す正面図である。
図13図13は、図12のAーA線に沿った断面図である。
図14図14は、本発明の実施例4によるマスクカバー4を示す裏面図である。
図15図15は、本発明の実施例4によるマスクカバー4を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
図16図16は、本発明の実施例4によるマスクカバー4が装着された衛生マスクMを示す斜視図である。
図17図17は、本発明の実施例5のマスクカバー5を示す図であり、折り畳まれた状態を示している。
図18図18は、本発明の実施例5のマスクカバー5を使用するために広げた状態を示す斜視図である。
図19図19は、本発明の実施例6によるマスクカバー6を示す正面図である。
図20図20は、図19のAーA線に沿った断面図である。
図21図21は、本発明の実施例6によるマスクカバー6を示す背面図である。
図22図22は、本発明の実施例6によるマスクカバー6を、衛生マスクMに装着した様子を示す部分拡大斜視図である。
図23図23は、本発明の実施例7によるマスクカバー7を示す正面図である。
図24図24は、図23のAーA線に沿った断面図である。
図25図25は、本発明の実施例7によるマスクカバー7を示す背面図である。
図26図26は、本発明の実施例7によるマスクカバー7を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
図27図27は、本発明の実施例1のマスクカバーの変形例であって、衛生マスクの内側に装着する為の変更を加えた例を示す斜視図である。
図28図28は、図27に示したマスクカバーを、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
図29図29は、本発明の実施例5のマスクカバーの変形例であって、衛生マスクの内側に装着する為の変更を加えた例を示す側面図である。
図30図30は、図29に示したマスクカバーを使用するために広げた状態を示す斜視図である。
図31図31は、図29に示したマスクカバーを、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本発明によるマスクカバーの実施例を説明する。このマスクカバーは、通常の衛生マスクに重畳して装着する。特に、このマスクカバーは、その上部に面ファスナーが設けられており、衛生マスクに被せて装着した際に、この面ファスナーが衛生マスクの表面に接着する。これにより、マスクカバーの上部が衛生マスクに対して、下方にずれ落ちることが防止される。
【0026】
また、このマスクカバーは、酸化銅不織布からなっている。酸化銅不織布は、銅イオンを生成するのでスマートフォンの表面に付着しているウイルスを不活性化することができる。従って、このマスクカバーは、抗ウイルスカバーとなっている。
【0027】
この酸化銅不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれている抗ウイルスポリマー材料から製造されている。具体的には、抗ウイルスポリマー材料は、好ましくは、ポリアミド、ポリアルキレン、ポリウレタン及びポリエステルから選択される主原料ポリマーから作成される。
【0028】
この主原料を、約80度から150度の範囲の温度において加熱し溶解させ、カチオン型酸化銅の水不溶性の粉末を加え分散させる。分散されたカチオン型酸化銅の微粒子サイズは好ましくは0.2から20ミクロンの間である。このポリマーの液体スラリーは、紡糸口金と呼ばれる円形に成形された一連の金属プレートへ圧力で押し出され、不織布が製造される。この製造方法の詳細は、例えば、特表2008-534708に記載されている。以下に示す本発明によるマスクカバーの各実施例で用いる酸化銅不織布は、このような方法で作成される。
【実施例0029】
以下、添付図面を参照しながら、本発明によるマスクカバーの実施例1を説明する。図1は、本発明の実施例1によるマスクカバー1を示す側面図である。図2は、本発明の実施例1によるマスクカバー1を広げて立体的な形状となった状態を示す斜視図である。図3は、本発明の実施例1によるマスクカバー1を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。図4は、衛生マスクMに装着した本発明の実施例1によるマスクカバー1を示す斜視図である。
【0030】
マスクカバー1は、図1に示したような斧の刃型形状の酸化銅不織布2を2枚重ねて、斧の刃先の部分1aを圧着している。従って、この圧着部分1aの反対側を広げて、図2に示したように立体的な形状とすることができる。この酸化銅不織布は、上記の通り、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されている。
【0031】
このマスクカバー1の両端の縁には、スリット16、17が設けられている。また、スリット16、17の上下端は、円形の係止孔16h、17hが設けられている。この係止孔16h、17hは、後述の通り、衛生マスクの紐を係止すると共に、スリット16、17の端が破損し難くするという効果がある。
【0032】
更に、このマスクカバー1の中央部の内側上端の縁に沿って左右一対の面ファスナー14が設けられている。この面ファスナー14は、マジックテープ(登録商標)、マジックファスナー(登録商標)、ベルクロ(登録商標)、フックアンドループテープ等の商品名で知られているもので、一般的には雌ファスナーと雄ファスナーからなる。通常、接続固定したい一方には雌ファスナーを設け、他方には雄ファスナーを設ける。
【0033】
ここで用いる面ファスナー14は、雄ファスナーのみを用いる。雄ファスナーは多数の微少なカギ状フックからなり、通常は、対応する雌ファスナーの多数の微少なループと係合する構造となっており、一旦係合すると容易にはずれず、広範な応用が可能となっている。しかし、雄ファスナーのみであっても、他方の面が不織布や綿布のような細かい繊維状の面となっている場合には、一定レベルの固定力が期待でき、マスクカバー1のような非常に軽いものであれば、十分しっかりと衛生マスクMへ固定することができる。
【0034】
このマスクカバー1を衛生マスクMに装着するには、以下のようにする。すなわち、図3に示したように、マスクカバー1を衛生マスクMにかぶせるようにしながら、衛生マスクMの紐Sをスリット16、17に通す。そして、紐Sの上下の端を係止孔16h、17hに位置するようにする。この状態で、使用者は、衛生マスクMの紐Sの根本で、マスクカバー1を衛生マスクMに押さえつけるようにして、紐Sを耳にかける。
【0035】
これにより、図4に示したように、衛生マスクMの外側をマスクカバー1が覆うようになる。そして、衛生マスクMに対するマスクカバー1の位置を整えて、面ファスナー14を衛生マスクMの表面に押し付けるようにして固定する。従って、衛生マスクMに対してマスクカバー1が下方にずれ落ちることが防止される。
【0036】
このマスクカバー1の装着された状態で衛生マスクMを使用した場合、ウイルスはマスクカバー1の表面に付着するが、一部は通過して衛生マスクMに付着する。マスクカバー1の厚みが大きかったり、数枚重畳された構造となっていれば、ほとんどのウイルスはマスクカバー1を通過できないことになるが、その場合、空気抵抗が大きくなり息苦しさが増大してしまう。従って、ここではマスクカバー1は一枚の酸化銅不織布とする。
【0037】
マスクカバー1の表面に付着したウイルスは、酸化銅不織布が生成する銅イオンによって不活性化される。また、使用に伴い衛生マスクMの外側の面に付着するウイルスも、隣接する酸化銅不織布が接触することにより不活性化される。
【0038】
従って、使用者が、無意識に衛生マスクMに手を触れても、感染力のあるウイルスが手に付着することはない。また、衛生マスクMはウイルスで汚染されていないので、衛生マスクMを捨てる際にも、ビニール袋に入れるなどの配慮は不要となる。なお、衛生マスクMを交換する場合でも、マスクカバー1は、新たな衛生マスクに装着して再利用できる。
【0039】
なお、衛生マスクMは不織布衛生マスクでも布衛生マスクでも良いが、布衛生マスクにマスクカバー1を装着する場合には、マスクカバー1の抗ウイルス活性が、布衛生マスクの不十分なウイルス除去機能を補うことが期待できる。
【実施例0040】
以下、添付図面を参照しながら、本発明によるマスクカバーの実施例2を説明する。図5は、本発明の実施例2によるマスクカバー2を示す背面図である。図6は、本発明の実施例によるマスクカバー2を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。図7は、衛生マスクMを装着した本発明の実施例によるマスクカバー2を示す斜視図である。
【0041】
図2に示したように、マスクカバー2は、左右の直線からなる辺22、23と、上下のアーチ状の辺24、25からなる略ボート型形状の酸化銅不織布である。この酸化銅不織布は、上記の通り、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されている。
【0042】
このマスクカバー2の、左辺22および右辺23の縁には、スリット26、27が設けられている。また、スリット26、27の上下端は、円形の係止孔26h、27hが設けられている。この係止孔26h、27hは、衛生マスクの紐を係止すると共に、スリット26、27の端が破損し難くするという効果がある。
【0043】
更に、このマスクカバー2の内側上端の縁に沿って面ファスナー29が設けられている。実施例1と同じように、この面ファスナー29は雄ファスナーであり、装着する衛生マスクが不織布や綿布のような細かい繊維状の面となっている場合には、十分にしっかりと衛生マスクへ固定することができる。
【0044】
このマスクカバー2を衛生マスクMに装着するには、以下のようにする。すなわち、図6に示したように、マスクカバー2を衛生マスクMにかぶせるようにしながら、衛生マスクMの紐Sをスリット26、27に通す。そして、紐Sの上下の端を係止孔26h、27hに位置するようにする。この状態で、使用者は、衛生マスクMの紐Sの根本で、マスクカバー2を衛生マスクMに押さえつけるようにして、紐Sを耳にかける。
【0045】
これにより、図7に示したように、衛生マスクMの外側をマスクカバー2が覆うようになる。そして、衛生マスクMに対するマスクカバー2の位置を整えて、面ファスナー29を衛生マスクMの表面に押し付けるようにして固定する。従って、衛生マスクMに対してマスクカバー2が下方にずれ落ちることが防止される。
【0046】
やはり、このマスクカバー2の装着された状態で衛生マスクMを使用した場合、マスクカバー2の表面に付着したウイルスは、酸化銅不織布が生成する銅イオンによって不活性化される。また、使用に伴い衛生マスクMの外側の面に付着するウイルスも、隣接する酸化銅不織布が接触することにより不活性化される。従って、実施例1と同様に、衛生マスクMのウイルス除去機能を補うことが期待できる。
【実施例0047】
次に、本発明によるマスクカバーの実施例3を説明する。図8は、本発明の実施例3によるマスクカバー3を示す背面図である。図9は、本発明の実施例3によるマスクカバー3を広げて立体的な形状となった状態を示す斜視図である。図10は、本発明の実施例3によるマスクカバー3を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。図11は、衛生マスクMに装着した本発明の実施例3によるマスクカバー3を示す斜視図である。
【0048】
マスクカバー3は、酸化銅不織布3にプリーツ状にヒダ3aが形成されている。このヒダ3aを広げるようにすると、実施例1と同様に図9に示したような立体的な形状となる。ここでも酸化銅不織布3は、上記の通り、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されている。
【0049】
やはり、この実施例3でも、マスクカバー3の内側上端の縁に沿って面ファスナー39が設けられている。実施例1と同じように、この面ファスナー39は雄ファスナーであり、装着する衛生マスクが不織布や綿布のような細かい繊維状の面となっている場合には、十分にしっかりと衛生マスクへ固定することができる。
【0050】
このマスクカバー3は、実施例1と同様にスリット37を用いて衛生マスクMに装着することができ、面ファスナー39により衛生マスクMに対してマスクカバー3が下方にずれ落ちることが防止される。また、酸化銅不織布が生成する銅イオンによってウイルスが不活性化され、衛生マスクMのウイルス除去機能を補うことが期待できる。
【実施例0051】
以下、添付図面を参照しながら、本発明によるマスクカバーの実施例4を説明する。図12は、本発明の実施例によるマスクカバー4を示す正面図である。図13は、図12のAーA線に沿った断面図である。図14は、本発明の実施例によるマスクカバー4を示す背面図である。図15は、本発明の実施例によるマスクカバー4を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。図16は、本発明の実施例によるマスクカバー4が装着された衛生マスクMを示す斜視図である。このマスクカバー4は、酸化銅不織布からなり、上記の通り、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されている。
【0052】
図に示したように、マスクカバー4には、プリーツ状にヒダ41が形成されており、このヒダ41を広げるようにすると実施例3と同じように立体的な形状となる。また、このマスクカバー4の裏面の左右両端には、面ファスナー43が設けられている。
【0053】
更にマスクカバー4の裏面の上部にも、面ファスナー45が設けられている。図15に示したように、この面ファスナー43、45を用いて、衛生マスクMへマスクカバー4を貼り付けることができる。そして、衛生マスクMに対するマスクカバー4の位置を整えて、面ファスナー45を衛生マスクMの表面に押し付けるようにして固定する。従って、衛生マスクMに対してマスクカバー4が下方にずれ落ちることが防止される。
【0054】
上記実施例と同じように、この面ファスナー43、45は雄ファスナーであり、装着する衛生マスクが不織布や綿布のような細かい繊維状の面となっている場合には、十分にしっかりと衛生マスクへ固定することができる。
【0055】
これにより、図16に示したように、衛生マスクMの外側をマスクカバー4が覆うようになる。面ファスナー43は、主に衛生マスクMへマスクカバー4を固定する機能を担い、面ファスナー45は、主に衛生マスクMに対してマスクカバー4がずれることを防止する目的で設けられている。また、この実施例でも、酸化銅不織布が生成する銅イオンによってウイルスが不活性化され、衛生マスクMのウイルス除去機能を補うことが期待できる。
【実施例0056】
次に、本発明によるマスクカバーの実施例5を説明する。図17は、実施例5のマスクカバー5を示す図であり、折り畳まれた状態を示している。また、図18は、実施例5のマスクカバー5を使用するために、広げた状態を示している。
【0057】
このマスクカバー5では、実施例1と同様に、斧の刃型のような形状の酸化銅不織布を2枚重ねて、斧の刃の部分5aを圧着している。これを広げると、図18に示したような立体的な形状となる。このマスクカバー5の酸化銅不織布も、上記の通り、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されている。
【0058】
やはり、衛生マスクへの装着には、図15に示した実施例4と同様に、内側(斧の根本の部分)に設けられた左右一対の面ファスナー(雄ファスナー)53を用いる。また、実施例4と同様に、衛生マスクに対してマスクカバー5がずれることを防止する目的で、マスクカバー5の内側(斧の根本の部分)の上部には、左右一対の面ファスナー55が設けられている。
【0059】
上記実施例と同じように、この面ファスナー53、55は雄ファスナーであり、装着する衛生マスクが不織布や綿布のような細かい繊維状の面となっている場合には、十分にしっかりと衛生マスクへ固定することができる。また、この実施例でも、酸化銅不織布が生成する銅イオンによってウイルスが不活性化され、衛生マスクMのウイルス除去機能を補うことが期待できる。
【実施例0060】
次に、本発明によるマスクカバーの実施例6を説明する。図19は、本発明の実施例6によるマスクカバー6を示す正面図である。図20は、図12のAーA線に沿った断面図である。図21は、本発明の実施例6によるマスクカバー4を示す背面図である。図22は、本発明の実施例6によるマスクカバー6を、衛生マスクMに装着した様子を示す部分拡大斜視図である。
【0061】
実施例4と同様に、このマスクカバー6は、プリーツ状にヒダ61が形成されており、このヒダ61を広げるようにすることで立体的な形状となる。そして、マスクカバー6の両サイドには係止ベルト63が設けられ、この係止ベルト63は、マスクカバー6の両サイドと上下端65のみで固定されている。従って、図20に示すように、マスクカバー6の本体と係止ベルト63との間に開口部63hが形成されている。
【0062】
また、係止ベルト63の中央にはマジックテープ(登録商標)の雄ファスナー63mが設けられ、この雄ファスナー63mと対向するマスクカバー6の両サイド面には雌ファスナー63fが設けられている。これら雄ファスナー63mと雌ファスナー63fを接着させることで、開口部63hが上下に分割される。
【0063】
更に、ここでも、図14に示した実施例4と同様に、マスクカバー6の裏面の上部に、面ファスナー67が設けられている。このマスクカバー6を衛生マスクに装着するには、雄ファスナー63mと雌ファスナー63fが離れた状態で、図22に示すように、衛生マスクの紐5Mを開口部63hに通し、その後、雄ファスナー63mと雌ファスナー63fを接着させる。そして、衛生マスクに対するマスクカバー6の位置を整えて、面ファスナー67を衛生マスクの表面に押し付けるようにして固定する。従って、衛生マスクに対してマスクカバー6が下方にずれ落ちることが防止される。
【0064】
なお、ここでも、マスクカバー6の本体と係止ベルト63は、実施例4と同様の酸化銅不織布からなっており、マスクカバー6を衛生マスクに装着することで、衛生マスクのウイルス除去機能を補うことが期待できる。また、上記実施例と同様に、マスクカバーの再利用も可能である。
【実施例0065】
次に、本発明によるマスクカバーの実施例7を説明する。紐を使って装着する衛生マスクとしては、一般的な耳に懸けるタイプの衛生マスクの他に、医療用マスクに見られる頭部(首部)に懸けるタイプがある。実施例1~3および実施例6のマスクカバーは、一般的な耳に懸けるタイプに対応しており、頭部(首部)に懸けるタイプには対応していない。この実施例7によるマスクカバー7は、頭部(首部)に懸けるタイプにも対応する。
【0066】
図23は、本発明の実施例7によるマスクカバー7を示す正面図である。図24は、図12のAーA線に沿った断面図である。図25は、本発明の実施例7によるマスクカバー7を示す背面図である。図26は、本発明の実施例によるマスクカバー7を、衛生マスクMに装着する様子を示す斜視図である。
【0067】
実施例6と同様に、このマスクカバー7は、プリーツ状にヒダ71が形成されており、このヒダ71を広げるようにすることで立体的な形状となる。そして、マスクカバー7の両サイドには、夫々上下一対の係止ベルト73a、73bが設けられている。
【0068】
この係止ベルト73a、73bは、マスクカバー7の両サイドと上下端75のみで固定されている。また、係止ベルト73a、73bは、マスクカバー7の縦方向の長さの約半分の長さを有し、上から伸びた係止ベルト73aの下端と、下から伸びた係止ベルト73bの上端は、自由端となっており、若干の隙間を空けて向かい合っている。
【0069】
また、係止ベルト73aの下端と係止ベルト73bの上端には、マジックテープ(登録商標)の雄ファスナー73mが設けられ、この雄ファスナー73mと対向するマスクカバー7の両サイド面には雌ファスナー73fが設けられている。従って、これら雄ファスナー73mと雌ファスナー73fを接着させることで、マスクカバー7の両サイドに衛生マスクの紐を係止することができる。
【0070】
更に、ここでも、図21に示した実施例6と同様に、マスクカバー7の裏面の上部に、面ファスナー77が設けられている。このマスクカバー7を医療用マスクMに装着するには、図26に示すように、医療用マスクMの上側の紐7aを挟むようにして、係止ベルト73aの下端の雄ファスナー73mを、雌ファスナー73fに接着させる。同様に、医療用マスクMの下側の紐7bを挟むようにして、係止ベルト73bの上端の雄ファスナー73mを、雌ファスナー73fを接着させる。そして、医療用マスクMに対するマスクカバー7の位置を整えて、面ファスナー77を医療用マスクMの表面に押し付けるようにして固定する。従って、医療用マスクMに対してマスクカバー7が下方にずれ落ちることが防止される。
【0071】
ここでも、マスクカバー7の本体と係止ベルト73は、実施例4と同様の酸化銅不織布からなっており、マスクカバー7を衛生マスクに装着することで、衛生マスクのウイルス除去機能を補うことが期待できる。また、上記実施例と同様に、マスクカバーの再利用も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係わるマスクカバーによれば、衛生マスクの中央上部表面に接着して、衛生マスクに装着されたマスクカバーが下方にずれ落ちることを防止する接着部材を備えており、衛生マスクに対してマスクカバーが下方にずれ落ちることが防止される。従って、マスクカバーがずれてしまうことによってフィルター効果が落ちてしまうこともなく、見た目も悪くなることもない。
【0073】
また、マスクカバーを酸化銅などの抗ウイルス活性を有する素材で作成すれば、衛生マスクの表面に感染力のあるウイルスが残ることを防止し、衛生マスクそのものが感染経路となることを防止することもできる。
【0074】
また、上記実施例では、抗ウイルス活性を有する素材の担体として不織布を用いているが、本発明はこれに限らない。例えば、ジャージー素材やスポンジ素材を担体として、酸化銅などの抗ウイルス活性を有する素材を含有させることもできる。このジャージー素材やスポンジ素材のマスクカバーの表面に、サッカーや野球チーム等のロゴや各種デザインを印刷すれば、見た目がよく広告効果を向上させることができる。
【0075】
なお、本発明に係わるマスクカバーは、基本的には衛生マスクの外面に装着するが、衛生マスクの内側に装着することもできる。本人が感染者であれば、内側に装着することで、他人へ感染させてしまうというリスクを更に減らす効果がある。また、内側に装着することで、口鼻周りの雑菌の繁殖を抑え、匂いの発生も抑制するという効果もある。更に、肌荒れ対策にも有効であるという報告もある。
【0076】
例えば、図1ないし図4に示した実施例1のマスクカバー1の場合、内側上端の縁に沿って左右一対設けられた面ファスナー14を、図27に示したように、外側上端の縁に沿って左右一対設けるようにする。このようにすることで図28に示したように、衛生マスクMの内側に装着できる。この場合も、衛生マスクMに対するマスクカバーの位置を整えて、衛生マスクMの上部裏面を、面ファスナー14に押し付けるようにして固定する。従って、衛生マスクMに対してマスクカバー1が下方にずれ落ちることが防止される。
【0077】
図17および図18に示した実施例5のマスクカバー5を、衛生マスクMの内側に装着するためには、図29および図30に示したように、左右両端内側に設けられた面ファスナー53と、上部内側に設けられた面ファスナー55を、夫々外側に移す必要がある。これで衛生マスクに対してマスクカバー5が下方にずれ落ちることが防止される。
【0078】
実施例2ないし実施例4のマスクカバーに関しては、マスクカバー本体に裏表がない場合、裏返して用いることでそのまま衛生マスクの内側に装着することができる。ただし、マスクカバー本体に裏表がある場合には、衛生マスクの内側に装着する為のマスクカバーとするには、面ファスナーを反対面に設ける必要がある。
【0079】
このようにマスクカバーを衛生マスクの内側に装着する場合、マスクカバーは顔と衛生マスクの間に挟まれる格好となる。この状態では、マスクカバーを衛生マスクの外側に装着する場合と比べて、マスクカバーは衛生マスクから外れにくくなっている。従って、図31に示したように、左右両端に設けられたスリットや面ファスナーのような装着手段を省略し、代わりにマスクカバーの中央下側の左右にも面ファスナー61を設けても良い。この場合、面ファスナー61は、上部の面ファスナー14と共に、マスクカバーを衛生マスクの内側に装着する為の装着手段として機能する。
【0080】
なお、上記実施例の各マスクカバーは、ウイルス除去を目的としたマスクカバーとなっている。しかし、本発明はこれに限らない。例えば、衛生マスクに装飾性を付与することを目的とするマスクカバーでも同様に、下の衛生マスクからずれ落ちるという点では同様である。従って、キャラクターや企業トレードマークやデザイン性の高い図柄などを印刷したような装飾マスクカバーに対しても、本発明を適用して衛生マスクに対してマスクカバーが下方にずれ落ちることを防止することができる。
【符号の説明】
【0081】
1、2、3、4、5、6、7 マスクカバー
3a ヒダ
7a、7b 紐
16、17、26、27、37 スリット
16h、17h、26h、27h 係止孔
41、61、71 ヒダ
14、29、39、45、55、67、77 雄ファスナー(接着部材)
43、53、61 雄ファスナー(装着手段)
63、73 係止ベルト
63f、73f 雌ファスナー
63h 開口部
63m、73m 雄ファスナー
73a、73b 係止ベルト
75 上下端
M 衛生マスク
S 紐
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