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特開2023-49305ガラス物品の製造装置、及びガラス物品の製造方法
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  • 特開-ガラス物品の製造装置、及びガラス物品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049305
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】ガラス物品の製造装置、及びガラス物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/42 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
C03B5/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158969
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】浅井 宏介
(72)【発明者】
【氏名】徳永 真吾
(57)【要約】      (修正有)
【課題】溶融ガラスを移送する移送管の表面温度を、長期間に渡り安定的に測定するガラス物品の製造装置を提供する。
【解決手段】溶融ガラスGMを移送する移送管6と、移送管6の外側表面の温度を測定する温度測定装置5と、を備えたガラス物品の製造装置であって、温度測定装置5は、外側表面の測定領域から放射された放射光を受光し、温度を測定する測定部51と、放射光を測定部へ伝達する導光部52と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融ガラスを移送する移送管と、
前記移送管の外側表面の温度を測定する温度測定装置と、を備えたガラス物品の製造装置であって、
前記温度測定装置は、前記外側表面の測定領域から放射された放射光を受光し、温度を測定する測定部と、前記放射光を前記測定部へ伝達する導光部と、を備えることを特徴とするガラス物品の製造装置。
【請求項2】
前記導光部は、両端が開口した筒状の保護管を備えることを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の製造装置。
【請求項3】
前記移送管は、前記測定領域の周囲を囲う筒状部を備えることを特徴とする請求項2に記載のガラス物品の製造装置。
【請求項4】
前記保護管は、第一フランジを備え、
前記筒状部は、第二フランジを備え、
前記第一フランジは、前記第二フランジに突き合わされることを特徴とする請求項3に記載のガラス物品の製造装置。
【請求項5】
前記第一フランジと前記第二フランジとの隙間は、セラミックペーストで封止されていることを特徴とする請求項4に記載のガラス物品の製造装置。
【請求項6】
前記保護管は、前記筒状部の内側に挿入されることを特徴とする請求項3~5のいずれかに記載のガラス物品の製造装置。
【請求項7】
前記保護管は、セラミックス製であることを特徴とする請求項2~6のいずれかに記載のガラス物品の製造装置。
【請求項8】
前記導光部は、前記放射光を前記測定部へ伝達する光学素子を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のガラス物品の製造装置。
【請求項9】
前記光学素子は、集光レンズと光ファイバを備えることを特徴とする請求項8に記載のガラス物品の製造装置。
【請求項10】
前記移送管は、白金製又は白金合金製であることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のガラス物品の製造装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のガラス物品の製造装置が備える前記移送管を用いて、前記溶融ガラスを移送する移送工程と、前記温度測定装置を用いて前記移送管の温度を測定する測定工程とを備えることを特徴とするガラス物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融ガラスを移送する移送管を備えたガラス物品の製造装置、及びガラス物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板やガラス管等のガラス物品を製造する際には、溶融炉から成形装置に溶融ガラスを移送することが行われる。この溶融ガラスを移送する経路の途中には、複数の移送管が配設される。
【0003】
主たる移送管としては、移送経路の上流側から順に、清澄槽、攪拌槽、冷却パイプなどをそれぞれ構成するものが挙げられる。また、溶融炉と清澄槽とを連結する上流連結パイプ、清澄槽と攪拌槽とを連結する中流連結パイプなどをそれぞれ構成する移送管も存在する。
【0004】
製造されるガラス物品の品質を向上させるために、移送管の表面温度の測定が行われることがある。特許文献1には、清澄槽を覆う耐火断熱材料に埋め込んだ熱電対を用いて、清澄槽の表面温度を監視する方法が記載されている。
【0005】
また、移送管の表面のように、1400℃を超える高温の物体の温度を測定する場合、JIS C 1602に規定されるB熱電対(白金ロジウム6%合金/白金ロジウム30%合金、常用限度1500℃)やR熱電対(白金/白金ロジウム13%合金、常用限度1400℃)、S熱電対(白金/白金ロジウム10%合金、常用限度1400℃)を使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-163205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、高温環境下でB熱電対やR熱電対、S熱電対を使用した場合、白金の結晶粒界に沿ったクリープ破断や、ロジウムの揮発・再付着による白金ロジウム合金素線の組成変化に起因する温度ドリフトが発生し、数か月から数年単位の長期間に渡る安定的な温度測定が困難であった。
【0008】
本発明は、移送管の表面温度を、長期間に渡り安定的に測定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく創案された本発明は、溶融ガラスを移送する移送管と、前記移送管の外側表面の温度を測定する温度測定装置と、を備えたガラス物品の製造装置であって、前記温度測定装置は、前記外側表面の測定領域から放射された放射光を受光し、温度を測定する測定部と、前記放射光を前記測定部へ伝達する導光部と、を備えることを特徴とする。このような構成によれば、測定領域から放射された放射光の強度に基づいて温度を測定することで、移送管の外側表面の温度を正確に測定することができる。また、熱電対を使用する場合と比較し、素線のクリープ破断や温度ドリフトが発生しないため、長期間に渡り安定的に移送管の外側表面の温度を測定することができる。
【0010】
上記の構成において、前記導光部は、両端が開口した筒状の保護管を備えることが好ましい。このような構成によれば、保護管によって導光部への異物の侵入を抑制することで、放射光が異物により遮られることが無く、正確に温度を測定することができる。
【0011】
上記の構成において、前記移送管は、前記測定領域の周囲を囲う筒状部を備えることが好ましい。このような構成によれば、筒状部により、移送管の周囲の気流の測定領域への流入を、効果的に抑制することができ、より正確に温度を測定することができる。
【0012】
上記の構成において、前記保護管は、第一フランジを備え、前記筒状部は、第二フランジを備え、前記第一フランジは、前記第二フランジに突き合わされることが好ましい。このような構成によれば、保護管の第一フランジと筒状部の第二フランジ部を突き合わせることにより、保護管と筒状部の隙間を無くすことができる。これにより、放射光以外の光の測定部への入射を抑制することができる。また、放射光の光路への異物の侵入及び移送管の周囲の気流の測定領域への流入を、より効果的に抑制することができ、より正確に温度を測定することができる。
【0013】
上記の構成において、前記第一フランジと前記第二フランジとの隙間は、セラミックペーストで封止されていることが好ましい。このような構成によれば、保護管と筒状部の隙間が封止されるので、放射光の光路への異物の侵入、移送管の周囲の気流の測定領域への流入、及び放射光以外の光の測定部への入射を、より効果的に抑制することができ、より正確に温度を測定することができる。
【0014】
上記の構成において、前記保護管は、前記筒状部の内側に挿入されることが好ましい。このような構成によれば、筒状部の内側に保護管が配置されるので、筒状部の内側表面の放射光が導光部に侵入するのを抑制できる。このため、例えば筒状部を白金又は白金合金といった熱伝導率が高い部材で構成し、移送管からの熱伝導で筒状部が高温になったとしても、筒状部の内側表面の放射光が導光部に侵入するのを抑制し、より正確に温度を測定することができる。また、例えば保護管をセラミックス等の熱伝導率の低い材料で作製すると、保護管の温度上昇を抑制できるため、保護管から放射される放射光の強度を低く保つことができ、より正確に温度を測定することができる。
【0015】
上記の構成において、前記保護管は、セラミックス製であることが好ましい。このような構成によれば、セラミックスは高い耐熱性を有するため、保護管の劣化を抑制できる。また、熱電対用の保護管として一般的に使用されているセラミックス製保護管を流用することで、保護管の製造コストを削減できる。さらに、保護管の温度上昇を抑制できるため、保護管から放射される放射光の強度を低く保つことができ、より正確に温度を測定することができる。
【0016】
上記の構成において、前記導光部は、前記放射光を前記測定部へ伝達する光学素子を備えることが好ましい。このような構成によれば、測定部を移送管近傍の高温環境から切り離すことができ、測定部への熱的負荷を低減できるため、測定部の劣化を抑制できる。
【0017】
上記の構成において、前記光学素子は、集光レンズと光ファイバを備えることが好ましい。このような構成によれば、放射光を効率良く測定部に伝達することができるため、より正確に移送管の外側表面の温度を測定することができる。
【0018】
上記の構成において、前記移送管は、白金製又は白金合金製であることが好ましい。このような構成によれば、白金又は白金合金は溶融ガラスに対して高い耐食性を有するため、長期間に渡り移送管を使用することができる。また、白金又は白金合金は熱伝導率が高いため、移送管内外の温度差が小さい。従って、移送管の外側表面の温度を測定することで、移送管内部の溶融ガラスの温度を正確に把握することができる。
【0019】
また、本発明に係るガラス物品の製造方法は、上記の構成におけるガラス物品の製造装置が備える前記移送管を用いて、前記溶融ガラスを移送する移送工程と、前記温度測定装置を用いて前記移送管の温度を測定する測定工程とを実行することを特徴とする。このような構成によれば、測定領域から放射された放射光の強度に基づいて温度を測定することで、移送管の外側表面の温度を正確に測定することができる。また、熱電対を使用する場合と比較し、素線のクリープ破断や温度ドリフトが発生しないため、長期間に渡り安定的に移送管の外側表面の温度を測定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、移送管の表面温度を、長期間に渡り安定的に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るガラス物品の製造装置を表す側面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るガラス物品の製造方法を表すフローチャートである。
図3図3は、図2に表す移送工程の詳細を表すフローチャートである。
図4図4は、図1のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面に従って、本発明に係るガラス物品の製造装置、及びガラス物品の製造方法の一実施形態について説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係るガラス物品の製造装置は、上流側から順に、溶解槽1と、移送装置2と、成形装置3とを備える。移送装置2は、清澄槽21と、均質化槽(撹拌槽)22と、ポット23と、これらの各構成要素1~3を連結するガラス供給路41~44と、ガラス供給路42の温度を測定する温度測定装置5と、を備える。この他、製造装置は、成形装置3により成形された板ガラスGR(ガラス物品)を徐冷する徐冷炉(図示せず)及び徐冷後に板ガラスGRを切断する切断装置(図示せず)を備える。
【0024】
図2に示すように、本実施形態に係るガラス物品の製造方法は、溶解工程S1と、移送工程S2と、成形工程S3とを備える。図3に示すように、移送工程S2は、清澄工程S21と、均質化工程S22と、状態調整工程S23と、を備える。なお、移送工程S2は、これらの工程S1~S3間をガラス供給路41~44で移送する工程を含む。また、移送工程S2は、ガラス供給路42の温度を測定する測定工程S4を備える。
【0025】
溶解槽1は、投入されたガラス原料を溶解して溶融ガラスGMを得る溶解工程S1を行うための容器である。溶解槽1は、ガラス供給路41によって清澄槽21に接続されている。溶解工程S1によって得られた溶融ガラスGMは、ガラス供給路41によって清澄槽21へ移送される。
【0026】
清澄槽21は、溶融ガラスGMを移送しながら清澄剤等の作用により脱泡する清澄工程S21を行う。清澄槽21は、ガラス供給路42によって均質化槽22に接続されている。清澄工程S21によって脱泡された溶融ガラスGMは、ガラス供給路42によって均質化槽22へ移送される。
【0027】
均質化槽22は、清澄された溶融ガラスGMを攪拌し、均質化する均質化工程S22を行うための白金材料製の底付容器である。均質化槽22は、攪拌翼を有するスターラ221を備える。均質化槽22は、ガラス供給路43によってポット23に接続されている。均質化工程S22によって均質化された溶融ガラスGMは、ガラス供給路43によってポット23へ移送される。
【0028】
ポット23は、溶融ガラスGMを成形に適した状態に調整する状態調整工程S23を行うための容器である。ポット23は、溶融ガラスGMの粘度調整及び流量調整のための容積部として例示される。ポット23は、ガラス供給路44によって成形装置3に接続されている。状態調整工程S23によって粘度調整及び流量調整された溶融ガラスGMは、ガラス供給路44によって成形装置3へ移送される。
【0029】
成形装置3は、溶融ガラスGMを所望の形状(例えば板状)に成形する成形工程を行うためのものである。本実施形態では、成形装置3は、オーバーフローダウンドロー法によって溶融ガラスGMを板状に成形する成形体31を備えている。詳細には、成形体31は、断面形状(図1の紙面と直交する断面形状)が略楔形状を成しており、この成形体31の上部には、オーバーフロー溝(図示せず)が形成されている。
【0030】
成形体31は、溶融ガラスGMをオーバーフロー溝から溢れ出させて、成形体31の両側の側壁面(紙面の表裏面側に位置する側面)に沿って流下させる。成形体31は、流下させた溶融ガラスGMを側壁面の下頂部で融合させる。これにより、帯状の板ガラスGRが成形される。なお、成形体31は、スロットダウンドロー法などの他のダウンドロー法を実行するものであってもよい。
【0031】
このようにして得られた帯状の板ガラスGRを切断することにより、枚葉状の板ガラスが切り出される。板ガラスは、例えば、厚みが0.01~2mmであって、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのディスプレイ、有機EL照明、太陽電池などの基板や保護カバーに利用される。本発明に係るガラス物品は、板ガラスに限定されず、ガラス管その他の各種形状を有するものを含む。例えば、ガラス管を形成する場合には、成形装置3に代えてダンナー法を利用する成形装置が配備される。
【0032】
板ガラスの材料としては、ケイ酸塩ガラス、シリカガラスが用いられ、好ましくはホウ珪酸ガラス、ソーダライムガラス、アルミノ珪酸塩ガラス、化学強化ガラスが用いられ、最も好ましくは無アルカリガラスが用いられる。ここで、無アルカリガラスとは、アルカリ成分(アルカリ金属酸化物)が実質的に含まれていないガラスのことであって、具体的には、アルカリ成分の重量比が3000ppm以下のガラスのことである。本発明におけるアルカリ成分の重量比は、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、最も好ましくは300ppm以下である。
【0033】
図4は、ガラス供給路42の断面図である。図4に示すように、移送管6は耐火物7により保持され、耐火物7はケーシング8に固定される。移送管6は、白金又は白金合金により筒状(例えば円筒状)に構成される。移送管6は、外側表面に測定領域61と、測定領域61を囲う円筒状の筒状部62と、を備える。筒状部62は、白金又は白金合金により構成され、移送管6の外側表面に接合(例えば溶接)される。筒状部62は、先端に円盤状の第二フランジ63を備える。
【0034】
温度測定装置5は、測定領域61から放射された放射光を受光し、放射光の強度に基づいて測定領域61の温度を測定する測定部51と、放射光を測定部51へと導く導光部52と、を備える。測定部51は、例えば放射温度センサーで構成できる。
【0035】
導光部52は、円筒状の保護管521と、測定領域61から放射された放射光を集光する集光レンズ527と、集光レンズ527により集光された放射光を測定部51へ導く光ファイバ528と、を備える。
【0036】
保護管521は両端(前端522及び後端523)が開口した円筒状部材である。保護管521は、前端522と後端523の間かつ外周面に、円盤状の第一フランジ524を備える。保護管521の外径は、筒状部62の内径よりも小さく、保護管521の前端522は、測定領域61に近接又は当接するよう、筒状部62の内側に挿入される。保護管521の前端522と、測定領域61との隙間は、好ましくは0mm以上50mm以下であり、さらに好ましくは5mm以上30mm以下である。保護管521の前端を測定領域61に近接又は当接させることにより、筒状部62の内面からの放射光を遮ることができる。測定領域61から保護管521への熱移動を抑制する観点では、保護管521の前端を測定領域61に近接させることが好ましい。第一フランジ524の外径は、第二フランジ63の外径より小さくても良く、大きくても良い。保護管521の材質としては、セラミックスが利用できる。本実施形態では、アルミナセラミックス製の保護管521を使用する。アルミナセラミックス製保護管は、熱電対用の保護管として広く流通しており、これを保護管521に流用することで、温度測定装置5の製造コストを削減できる。また、アルミナセラミックスは熱伝導率が低く、保護管521の温度上昇を抑制できるため、保護管521から放射される放射光の強度を低く保つことができ、より正確に測定領域61の温度を測定することができる。
【0037】
保護管521は、第一フランジ524と第二フランジ63とを突き合わせた状態で、ケーシング8に取り付けられる。測定領域61は耐火物7で覆われていないため、移送管6の周囲の気流の流入により、測定領域61の温度が変動するおそれがある。また、測定領域61から放射される放射光の光路525に異物が侵入し、測定領域61の温度を正確に測定できないおそれもある。第一フランジ524と第二フランジ63を突き合せた状態とすることで、移送管6の周囲の気流による光路525への異物の侵入を抑制することができ、測定領域61の温度をより正確に測定することができる。また、移送管6の周囲の気流が測定領域61に向かって流れることを抑制し、測定領域61の温度の変動をさらに抑制することができる。
【0038】
第一フランジ524と第二フランジ63との隙間は、セラミックペースト526用いて封止される。セラミックペースト526としては、例えばアルミナペーストを使用することができる。これにより、測定領域61へ流れる気流や、光路525への異物の侵入をさらに抑制することができ、測定領域61の温度をより正確に測定することができる。
【0039】
保護管521の後端523には集光レンズ527及び光ファイバ528が取り付けられる。集光レンズ527及び光ファイバ528は、測定領域61から放射される放射光を光ファイバ528の端面に集光するよう、取り付け位置が調整される。これにより測定部51の設置位置を移送管6近傍の高温環境から遠ざけることができ、測定部51への熱的負荷を低減できるため、測定部51の劣化を防ぐことができる。
【0040】
また、測定領域61から放射された放射光は、保護管521の内側(光路)525を通過した後、集光レンズ527により集光され、光ファイバ528の一端に入射する。このため、測定領域61から放射された放射光以外の光の光検出部511への入射を抑制し、測定領域61の温度を正確に測定することができる。
【0041】
測定部51は、光検出部511及び制御部512を有する。導光部52によって導かれた放射光は、光検出部511に入射し、電気信号へと変換される。光検出部511としては、フォトダイオード等を使用できる。電気信号は、制御部512によって、補正された後、温度に換算され、出力される。制御部512としては、マイコンやPCを使用できる。
【0042】
以上のような製造装置及び製造方法によれば、測定領域61から放射される放射光に基づいて温度を測定することで、移送管6の表面温度を正確に測定することができる。また、導光部52が保護管521を備えることで、光路525への異物の侵入を抑制でき、移送管6が筒状部62を備えることで、測定領域61へ流れる気流、測定領域61から放射された放射光以外の光の光検出部511への入射を抑制することができる。これらにより、測定領域61の温度を正確に測定することができる。さらに、測定領域61から放射された放射光を集光レンズ527及び光ファイバ528を用いて測定部51へ導くことで、測定部51を移送管6近傍の高温環境から遠ざけることができ、熱的負荷を低減できるため、測定部51の劣化を抑制することができる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0044】
上記実施形態では、集光レンズ527と光ファイバ528を用いて測定領域61から放射された放射光を測定部51へ導いていたが、これに限定されない。反射鏡を用いて放射光を測定部51へ導いても良い。
【0045】
上記実施形態では、温度測定装置5を移送管6の水平方向から取り付けていたが、これに限定されない。上下方向、あるいは斜め方向から取り付けても良い。このような構成によれば、ガラス物品の製造装置全体の装置構成に応じて、最適な位置に温度測定装置5を取り付けることができる。
【0046】
上記実施形態では、保護管521及び筒状部62は円筒形状であったが、これに限定されない。矩形等の多角形状や、楕円形状であっても良い。
【0047】
上記実施形態では、第一フランジ524及び第二フランジ63は円盤形状であったが、これに限定されない。矩形等の多角形状や、楕円形状であっても良い。
【0048】
上記実施形態では、保護管521の後端523がケーシング8から突出し、集光レンズ527及び光ファイバ528がケーシングの外部に設置されていたが、これに限定されない。
【0049】
上記実施形態では、第一フランジ524と第二フランジ63との隙間にセラミックペースト526を充填していたが、これに限定されない。第一フランジ524と第二フランジ63とを直接接触させても良い。このような構成によれば、温度測定装置5の取り付け工数を削減できる。
【0050】
上記実施形態では、保護管521の前端522は筒状部62の内側に挿入されていたが、これに限定されない。保護管521の前端522が第一フランジ524と面一であっても良い。このような構成によれば、保護管521の製造コストを削減することができる。また、この場合、保護管521の外径は筒状部62の内径と同一か、大きくても良い。
【0051】
上記実施形態では、保護管521は第一フランジ524を備え、筒状部62は第二フランジ63を備えていたが、これに限定されない。このような構成によれば、移送管6及び温度測定装置5の製造コストを削減することができる。
【0052】
上記実施形態では、ガラス供給路42を構成する移送管6に温度測定装置5を設けたが、これに限定されない。温度測定装置5は、例えば清澄槽21、均質化槽22、ポット23及びガラス供給路41~44のいずれに設けてもよく、複数の装置に設けてもよい。また、一つの装置に複数の温度測定装置5を設けても良い。
【符号の説明】
【0053】
5 温度測定装置
51 測定部
52 導光部
521 保護管
524 第一フランジ
526 セラミックペースト
527 集光レンズ
528 光ファイバ
6 移送管
61 測定領域
62 筒状部
63 第二フランジ
GM 溶融ガラス
S2 移送工程
S4 測定工程
図1
図2
図3
図4