(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049322
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】消毒乾燥方法および消毒乾燥装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/06 20060101AFI20230403BHJP
A47L 19/00 20060101ALI20230403BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A61L2/06
A47L19/00 B
A61L2/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158992
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390007456
【氏名又は名称】株式会社中西製作所
(72)【発明者】
【氏名】栫井 正博
(72)【発明者】
【氏名】喜夛 康紀
(72)【発明者】
【氏名】小黒 仁
【テーマコード(参考)】
3B082
4C058
【Fターム(参考)】
3B082JC05
4C058AA06
4C058BB04
4C058DD02
4C058DD04
4C058DD05
4C058DD16
4C058EE01
4C058EE02
4C058EE03
4C058EE26
(57)【要約】
【課題】電源設備との接続を切り離したとしても収納する厨房用品を継続的に消毒し乾燥し、厨房用品を消毒し乾燥する場所を柔軟に選択することができる消毒乾燥方法および消毒乾燥装置を提供する。
【解決手段】内部に収納空間60を設けた略直方体形状の本体部2と、加熱手段72により加熱した収納空間内の空気を循環させる送風手段53と、収納空間を略密閉する本体部の上部に取付けた開閉自在の扉部18と、本体部を移動可能とする車輪部4と、施設内に設けた電源設備と着脱自在に接続可能な電源線56を通じて、送風手段および加熱手段へと電力を供給する電源部55とを備え、収納空間内で加熱手段により加熱した空気を送風手段により循環させて所定の温度となった後に、電源設備から電源部を切り離して電源設備からの電力の供給を停止した状態で、略密閉した収納空間内で洗浄後の厨房用品を消毒し乾燥しつつ、移動させることを可能とする消毒乾燥装置。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄された食器等である厨房用品を消毒乾燥装置の内部に有する収納空間内に収納し、前記消毒乾燥装置に取付けた扉部を閉めて前記収納空間を略密閉する収納ステップと、
前記収納ステップの後に、施設内に設けた電源設備から電源線を通じて供給する電力を使用して、前記収納空間内の空気を加熱手段により加熱しつつ、送風手段により循環させて、前記収納空間内の空気の温度を所定の時間、所定の温度に維持できるように加熱する加熱循環ステップと、
前記加熱循環ステップの後に、前記電源設備へと接続した電源線を前記電源設備から切り離し、前記加熱手段および前記送風手段への電力の供給を停止する電力供給停止ステップと、
前記電力供給停止ステップの後に、前記送風手段および前記加熱手段への前記電源設備からの電力の供給を停止した状態で、所定の温度に加熱した空気により前記略密閉した収納空間内に収納した厨房用品を消毒し乾燥しつつ、前記消毒乾燥装置を移動させる移動ステップと、を含む
ことを特徴とする消毒乾燥方法。
【請求項2】
移動ステップでは、
送風手段を停止し、
加熱循環ステップで蒸発した厨房用品に付着していた水分を含んだ空気を、収納空間内の上部に連通して設けた空間である冷却空間内に滞留させるとともに冷却し、厨房用品に付着していた水分を前記冷却空間を形成する壁面に結露させるとともに、
前記冷却空間内で冷却された空気を前記収納空間内で対流させて前記収納空間内で加熱し、厨房用品を消毒し乾燥する
ことを特徴とする請求項1に記載の消毒乾燥方法。
【請求項3】
移動ステップでは、
冷却空間を形成する壁面に結露させた水分を、前記冷却空間内から下方へと落下させる
ことを特徴とする請求項2に記載の消毒乾燥方法。
【請求項4】
移動ステップの後に、
加熱循環ステップで加熱手段および送風手段へと電力を供給していた電源設備とは異なる電源設備に電源線を接続することにより電力を供給して、略密閉した収納空間内の空気を前記加熱手段により加熱しつつ、前記送風手段により循環させる再加熱循環ステップを行う
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の消毒乾燥方法。
【請求項5】
独立して移動させることのできる消毒乾燥装置を複数台用意し、
収納ステップでは、前記複数台用意した消毒乾燥装置の内、少なくとも2台の前記消毒乾燥装置にはそれぞれ異なる種類の厨房用品を収納する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の消毒乾燥方法。
【請求項6】
洗浄された食器等である厨房用品を収納空間内に収納し、扉部を閉めて略密閉された前記収納空間内の加熱された空気により、厨房用品を消毒し乾燥する消毒乾燥装置であって、
略直方体形状のフレームにパネルを取付けた本体部と、
前記本体部内に設けた前記収納空間と、
前記収納空間内の空気を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段により加熱した空気を吸い込み吹き出すことにより、前記収納空間内の空気を循環させる送風手段と、
前記収納空間を略密閉する前記本体部の上部に取付けた開閉自在の前記扉部と、
前記本体部の下部に取付けられ、転動させることにより本体部を移動可能とする車輪部と、
施設内に設けた電源設備と着脱自在に接続可能な電源線を通じて、前記送風手段および前記加熱手段へと電力を供給する電源部と、を備え、
前記収納空間内で、前記加熱手段により加熱した空気を前記送風手段により循環させ、
前記収納空間内の空気が所定の温度となった後に、前記電源設備から前記電源部を切り離し、
前記送風手段および前記加熱手段への前記電源設備からの電力の供給を停止した状態で、前記略密閉した収納空間内で厨房用品を消毒し乾燥しつつ、前記車輪部を転動させて移動させることを可能とする
ことを特徴とする消毒乾燥装置。
【請求項7】
収納空間内の上部に、上方および側方を扉部および前記収納空間の壁面により囲んだ冷却空間を形成し、
前記冷却空間を前記収納空間から連通させるとともに、前記壁面の一部を前記冷却空間の内部から外部へと連続した壁面とし、
送風手段を停止した状態で、
前記壁面の一部を通じて前記冷却空間内の空気の熱を放熱して前記冷却空間内の空気を冷却し、冷却した空気に含まれる水分を前記壁面に結露させ、
前記冷却空間内で冷却された空気を前記収納空間内で対流させて前記収納空間内の加熱された空気で加熱し、前記収納空間内に収納した厨房用品を消毒し乾燥する
ことを特徴とする請求項6に記載の消毒乾燥装置。
【請求項8】
囲むことで冷却空間を形成する壁面に結露した水分を、前記冷却空間内から収納空間内の下部に落下させる
ことを特徴とする請求項7に記載の消毒乾燥装置。
【請求項9】
本体部内に、少なくとも加熱手段を運転するための蓄電池を設けた
ことを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の消毒乾燥装置。
【請求項10】
消毒乾燥装置を複数台用意し、前記複数台の消毒乾燥装置の内、少なくとも2台の前記消毒乾燥装置にはそれぞれ異なる種類の厨房用品を収納する
ことを特徴とする請求項6~9のいずれか一項に記載の消毒乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫食後の食器や、その食器を載置するために使用したトレイ、又は喫食後の食器を収納した篭等の厨房用品に加熱した空気を接触させることにより、厨房用品に付着していた水分を蒸発させて湿熱により消毒し、加熱した空気の熱により乾燥させる消毒乾燥方法および消毒乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄水により洗浄した後の、喫食後の食器を収納した篭や、その食器を載置するために使用したトレイ、喫食後のディッシュプレート等の厨房用品は、移動式もしくは固定式の消毒乾燥装置の収納空間内に収納され、収納空間内で循環する加熱した空気により消毒し乾燥していた。
【0003】
特許文献1に記載されたものは、介護施設等において、食器、調理器具等の厨房用品を消毒保管室(収納空間)内に収納して加熱した空気により消毒し乾燥する移動式の加熱消毒保管装置である。電源設備へと電源線を接続して電力を供給することにより、収納空間内の空気を加熱手段で加熱して送風ファンにより循環させ、収納空間内に収納した厨房機器を消毒し乾燥するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたものは、電源線を電源設備へと継続的に接続した状態で、収納空間内の空気を加熱手段で加熱して送風ファンにより循環し、収納空間内に収納した厨房用品を消毒し乾燥するものである。そのため、収納空間内に収納した厨房用品を消毒し乾燥し終えるまで、電源設備へと電源線を接続した状態のままとする必要があり、その間、限りのある施設内の電源設備近辺の床面積を圧迫するという課題があった。
【0006】
本発明は、電源設備との接続を切り離したとしても収納する厨房用品を継続的に消毒し乾燥し、厨房用品を消毒し乾燥する場所を柔軟に選択することができる消毒乾燥方法および消毒乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る消毒乾燥方法は、
洗浄された食器等である厨房用品を消毒乾燥装置の内部に有する収納空間内に収納し、前記消毒乾燥装置に取付けた扉部を閉めて前記収納空間を略密閉する収納ステップと、
前記収納ステップの後に、施設内に設けた電源設備から電源線を通じて供給する電力を使用して、前記収納空間内の空気を加熱手段により加熱しつつ、送風手段により循環させて、前記収納空間内の空気の温度を所定の時間、所定の温度に維持できるように加熱する加熱循環ステップと、
前記加熱循環ステップの後に、前記電源設備へと接続した電源線を前記電源設備から切り離し、前記加熱手段および前記送風手段への電力の供給を停止する電力供給停止ステップと、
前記電力供給停止ステップの後に、前記送風手段および前記加熱手段への前記電源設備からの電力の供給を停止した状態で、所定の温度に加熱した空気により前記略密閉した収納空間内に収納した厨房用品を消毒し乾燥しつつ、前記消毒乾燥装置を移動させる移動ステップと、を含む
ことを特徴とするものである。
【0008】
また、上記目的を達成するために本発明に係る消毒乾燥装置は、
洗浄された食器等である厨房用品を収納空間内に収納し、扉部を閉めて略密閉された前記収納空間内の加熱された空気により、厨房用品を消毒し乾燥する消毒乾燥装置であって、
略直方体形状のフレームにパネルを取付けた本体部と、
前記本体部内に設けた前記収納空間と、
前記収納空間内の空気を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段により加熱した空気を吸い込み吹き出すことにより、前記収納空間内の空気を循環させる送風手段と、
前記収納空間を略密閉する前記本体部の上部に取付けた開閉自在の前記扉部と、
前記本体部の下部に取付けられ、転動させることにより本体部を移動可能とする車輪部と、
施設内に設けた電源設備と着脱自在に接続可能な電源線を通じて、前記送風手段および前記加熱手段へと電力を供給する電源部と、を備え、
前記収納空間内で、前記加熱手段により加熱した空気を前記送風手段により循環させ、
前記収納空間内の空気が所定の温度となった後に、前記電源設備から前記電源部を切り離し、
前記送風手段および前記加熱手段への前記電源設備からの電力の供給を停止した状態で、前記略密閉した収納空間内で厨房用品を消毒し乾燥しつつ、前記車輪部を転動させて移動させることを可能とする
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の消毒乾燥方法および消毒乾燥装置によれば、電源設備との接続を切り離したとしても収納する厨房用品を継続的に消毒し乾燥し、厨房用品を消毒し乾燥する場所を柔軟に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の消毒乾燥装置の構成を示す概略斜視図。
【
図2】上記消毒乾燥装置の内、扉部であるシャッターを開いた状態の概略斜視図。
【
図3】上記消毒乾燥装置の構成を示す概略上面図であって、(a)はシャッターを閉じた状態、(b)はシャッターを開いた状態を示す。
【
図5】上記消毒乾燥装置の内、
図4の消毒乾燥装置の正面扉およびシャッターを開いた状態の概略正面図。
【
図6】上記消毒乾燥装置の内、支持部の構成を示す概略斜視図。
【
図7】上記消毒乾燥装置の内、
図5の消毒乾燥装置から隔壁面を取り外した状態の概略正面図。
【
図8】上記消毒乾燥装置の右パネルを取り外した状態の概略右側面図。
【
図9】上記消毒乾燥装置の背面パネルを取り外した状態の概略背面図。
【
図10】上記消毒乾燥装置の内、
図4のA-A線における概略右側面断面図。
【
図11】上記消毒乾燥装置の内、加熱循環ステップ、および再加熱循環ステップで加熱手段および送風手段を運転している状態での収納空間内の空気の流れを示す
図4のA-A線における右側面端面の模式図。
【
図12】上記消毒乾燥装置の内、加熱循環ステップ、第2の移動ステップ、および再加熱循環ステップで加熱手段および送風手段を停止した状態での収納空間内の空気の流れを示す
図4のA-A線における右側面端面の模式図。
【
図13】本発明の変形例1に係る消毒乾燥装置の構成を示す概略斜視図。
【
図14】上記変形例1に係る消毒乾燥装置の内、加熱循環ステップ、および再加熱循環ステップで加熱手段および送風手段を運転している状態での収納空間内の空気の流れを示す正面断面の模式図。
【
図15】本発明の変形例2に係る消毒乾燥装置の構成を示す概略斜視図。
【
図16】上記変形例2に係る消毒乾燥装置の内、加熱循環ステップ、および再加熱循環ステップで加熱手段および送風手段を運転している状態での収納空間内の空気の流れを示す正面断面の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、
洗浄された食器等である厨房用品を消毒乾燥装置の内部に有する収納空間内に収納し、前記消毒乾燥装置に取付けた扉部を閉めて前記収納空間を略密閉する収納ステップと、
前記収納ステップの後に、施設内に設けた電源設備から電源線を通じて供給する電力を使用して、前記収納空間内の空気を加熱手段により加熱しつつ、送風手段により循環させて、前記収納空間内の空気の温度を所定の時間、所定の温度に維持できるように加熱する加熱循環ステップと、
前記加熱循環ステップの後に、前記電源設備へと接続した電源線を前記電源設備から切り離し、前記加熱手段および前記送風手段への電力の供給を停止する電力供給停止ステップと、
前記電力供給停止ステップの後に、前記送風手段および前記加熱手段への前記電源設備からの電力の供給を停止した状態で、所定の温度に加熱した空気により前記略密閉した収納空間内に収納した厨房用品を消毒し乾燥しつつ、前記消毒乾燥装置を移動させる移動ステップと、を含む
ことを特徴とする消毒乾燥方法である。
【0012】
これにより、電源設備との接続を切り離したとしても収納する厨房用品を継続的に消毒し乾燥し、厨房用品を消毒し乾燥する場所を柔軟に選択することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
移動ステップでは、
送風手段を停止し、
加熱循環ステップで蒸発した厨房用品に付着していた水分を含んだ空気を、収納空間内の上部に連通して設けた空間である冷却空間内に滞留させるとともに冷却し、厨房用品に付着していた水分を前記冷却空間を形成する壁面に結露させるとともに、
前記冷却空間内で冷却された空気を前記収納空間内で対流させて前記収納空間内で加熱し、厨房用品を消毒し乾燥する
ことを特徴とする消毒乾燥方法である。
【0014】
これにより、送風手段を停止した状態となる移動ステップでは、冷却空間内の水分を含んだ空気を結露させて乾燥させることができる。そして、乾燥させた冷却空間内の空気を収納空間内で対流させて加熱し、収納空間内の空気を可能な限り乾燥した状態として厨房用品を効果的に消毒し乾燥することができる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、
移動ステップでは、
冷却空間を形成する壁面に結露させた水分を、前記冷却空間内から下方へと落下させる
ことを特徴とする消毒乾燥方法である。
【0016】
これにより、移動ステップで、結露させることにより乾燥させた空気に、冷却空間内で結露した水分を接触させないようにすることができる。そして、収納空間内の空気をより確実に乾燥した状態とし、乾燥させた冷却空間内の空気を収納空間内で対流させて加熱し、厨房用品を効果的に消毒し乾燥することができる。
【0017】
第4の発明は、第1~3のいずれ1つの発明において、
移動ステップの後に、
加熱循環ステップで加熱手段および送風手段へと電力を供給していた電源設備とは異なる電源設備に電源線を接続することにより電力を供給して、略密閉した収納空間内の空気を前記加熱手段により加熱しつつ、前記送風手段により循環させる再加熱循環ステップを行う
ことを特徴とする消毒乾燥方法である。
【0018】
これにより、消毒乾燥装置を電源設備の近辺から移動させている間に収納空間内の空気の温度が低下した場合でも、移動させた先にある電源設備から電力を供給して、再び収納空間内の空気を加熱しつつ循環させることができる。そして、効果的に収納空間内に収納した厨房用品を消毒し乾燥させることができる。
【0019】
第5の発明は、第1~4のいずれか1つの発明において、
独立して移動させることのできる消毒乾燥装置を複数台用意し、
収納ステップでは、前記複数台用意した消毒乾燥装置の内、少なくとも2台の前記消毒乾燥装置にはそれぞれ異なる種類の厨房用品を収納する
ことを特徴とする消毒乾燥方法である。
【0020】
これにより、異なる種類の厨房用品、例えば食器と、食器を載置して搬送するためのトレイ等とを同時に乾燥し消毒しつつ移動させることができる。
【0021】
第6の発明は、
洗浄された食器等である厨房用品を収納空間内に収納し、扉部を閉めて略密閉された前記収納空間内の加熱された空気により、厨房用品を消毒し乾燥する消毒乾燥装置であって、
略直方体形状のフレームにパネルを取付けた本体部と、
前記本体部内に設けた前記収納空間と、
前記収納空間内の空気を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段により加熱した空気を吸い込み吹き出すことにより、前記収納空間内の空気を循環させる送風手段と、
前記収納空間を略密閉する前記本体部の上部に取付けた開閉自在の前記扉部と、
前記本体部の下部に取付けられ、転動させることにより本体部を移動可能とする車輪部と、
施設内に設けた電源設備と着脱自在に接続可能な電源線を通じて、前記送風手段および前記加熱手段へと電力を供給する電源部と、を備え、
前記収納空間内で、前記加熱手段により加熱した空気を前記送風手段により循環させ、
前記収納空間内の空気が所定の温度となった後に、前記電源設備から前記電源部を切り離し、
前記送風手段および前記加熱手段への前記電源設備からの電力の供給を停止した状態で、前記略密閉した収納空間内で厨房用品を消毒し乾燥しつつ、前記車輪部を転動させて移動させることを可能とする
ことを特徴とする消毒乾燥装置である。
【0022】
これにより、電源設備との接続を切り離したとしても収納する厨房用品を継続的に消毒し乾燥し、厨房用品を消毒し乾燥する場所を柔軟に選択することができる。
【0023】
第7の発明は、第6の発明において、
収納空間内の上部に、上方および側方を扉部および前記収納空間の壁面により囲んだ冷却空間を形成し、
前記冷却空間を前記収納空間から連通させるとともに、前記壁面の一部を前記冷却空間の内部から外部へと連続した壁面とし、
送風手段を停止した状態で、
前記壁面の一部を通じて前記冷却空間内の空気の熱を放熱して前記冷却空間内の空気を冷却し、冷却した空気に含まれる水分を前記壁面に結露させ、
前記冷却空間内で冷却された空気を前記収納空間内で対流させて前記収納空間内の加熱された空気で加熱し、前記収納空間内に収納した厨房用品を消毒し乾燥する
ことを特徴とする消毒乾燥装置である。
【0024】
これにより、送風手段を停止した状態では、冷却空間内の水分を含んだ空気を結露させて乾燥させることができる。そして、乾燥させた冷却空間内の空気を収納空間内で対流させて加熱し、収納空間内の空気を可能な限り乾燥した状態として厨房用品を効果的に消毒し乾燥することができる。
【0025】
第8の発明は、第7の発明において、
囲むことで冷却空間を形成する壁面に結露した水分を、前記冷却空間内から収納空間内の下部に落下させる
ことを特徴とする消毒乾燥装置である。
【0026】
これにより、送風手段を停止した状態で、結露させることにより乾燥させた空気に、冷却空間内で結露した水分を接触させないようにすることができる。そして、収納空間内の空気をより確実に乾燥した状態とし、乾燥させた冷却空間内の空気を収納空間内で対流させて加熱し、厨房用品を効果的に消毒し乾燥することができる。
【0027】
第9の発明は、第6~8のいずれか1つの発明において、
本体部内に、少なくとも加熱手段を運転するための蓄電池を設けた
ことを特徴とする消毒乾燥装置である。
【0028】
これにより、電源設備からの電力の供給がない状態でも、少なくとも加熱手段を運転して収納空間内に収納した厨房用品を消毒し乾燥することができる。
【0029】
第10の発明は、第6~9のいずれか1つの発明において、
消毒乾燥装置を複数台用意し、前記複数台の消毒乾燥装置の内、少なくとも2台の前記消毒乾燥装置にはそれぞれ異なる種類の厨房用品を収納する
ことを特徴とする消毒乾燥装置である。
【0030】
これにより、異なる種類の厨房用品、例えば食器と、食器を載置して搬送するためのトレイ等とを同時に乾燥し消毒しつつ移動させることができる。
【0031】
(実施形態1)
(消毒乾燥装置の構成)
まず、本実施形態の消毒乾燥装置1の構成について説明する。
【0032】
図1および
図2に示すように、消毒乾燥装置1は、
略直方体形状のフレームに取付けられ、取り付けられる側である内側に断熱材を設けた金属製、例えばステンレス鋼である板金のパネルを取付けた本体部2と、
消毒乾燥装置1に備える機器の運転および停止を操作する操作用スイッチや、各種数値等を表示する表示部等が設けられた操作部3と、
本体部2の下部の四隅に設け、転動させることにより本体部2を移動可能とした車輪部4と、
を備える。
【0033】
(本体部)
本体部2は、開閉自在に取り付けられた屈曲自在な扉部であるシャッター(扉部)18が設けられている本体上部10と、メンテナンス等を行うための正面扉22が設けられている本体下部20とに分かれる。
【0034】
(本体上部)
本体上部10には、正面側には正面パネル(壁面)21、右側面側には右枠部11、左側面側には左枠部12、および背面側に奥枠部13を有し、正面パネル21、右枠部11、左枠部12、および奥枠部13は、それらにより囲まれた正面側および上面側に開口する収納開口14を形成する。また、奥枠部13の上部には操作部3を設ける。
【0035】
右枠部11と左枠部12との対向する面である右枠部内壁面(壁面)11aおよび左枠部内壁面(壁面)12aには、一対のシャッターレール(扉部)16を設けている。一対のシャッターレール16には、挟み込むように保持し、取手18aを操作して摺動させることにより収納開口14を開閉可能としたシャッター18を取付けている。
【0036】
図10に示すように、一対のシャッターレール16は天地を逆にしたU字状に取付けられている。U字状の一端側を本体上部10の正面パネル21の上部まで延設し、他端側を背面側のシャッター止め部(扉部)17まで延設している。
【0037】
そのため、シャッター18を正面パネル21の上部に当接させて閉じると、シャッター18には、本体上部10の正面側で鉛直方向に立設する箇所と、本体上部10の上面側で水平方向に延設する箇所とが形成される。また、
図2に示すように、シャッター18を開けることにより、収納開口14は、正面側と上面側に開口するよう構成し、本体上部10内の後述する収納空間60を外部と連通させた状態とすることができる。
【0038】
(本体下部)
図1に示すように、本体下部20には、正面側に本体部2のフレームに取付けた丁番23により開閉可能とした正面扉22を設けている。正面扉22は、把持して手前側に引くことで正面扉22を開くことができる取手22aを有する。
【0039】
図5に示すように、正面扉22の内側の面にはマグネット24を取付け、正面扉22を閉めたときにマグネット24が当接する部分であるフレーム、つまり受け板25を、例えばSUS430のようなマグネット24が吸着する材質により形成し、正面扉22が意に反して開いてしまうことを防止する。
【0040】
本体下部20の正面扉22は、開くことにより本体下部20内の収納空間60を外部と連通させた状態とすることができる。また、本体上部10のシャッター18と正面扉22とを閉じることにより、収納空間60を略密閉することができる。
【0041】
図1に示すように、本体下部20には略直方体形状のフレームに着脱自在に取り付けた右側面側の右パネル(パネル)31を有する。そして、本体下部20は、右パネル31同様に着脱自在に取り付けた図示しない左側面側の左パネル(パネル)41、および背面側の背面パネル(パネル)51を有する。
【0042】
なお、本体上部10を本体下部20から取り外せるように構成してもよい。その場合、本体下部20から、本体上部10の内、右枠部11、左枠部12、および奥枠部13が、本体下部20に着脱自在に取り付けられる。本体上部10を本体下部20から取り外した場合、右枠部11のシャッターレール16および左枠部12のシャッターレール16により挟み込むように保持しているシャッター18が、本体上部10から取り外すことができる。これにより、万が一シャッター18が変形等した場合に、容易に交換することができる。
【0043】
なお、正面扉22に取付けたマグネット24と、本体下部20の受け板25とは、ここで例示した構成とは異なる構成としてもよい。例えば、正面扉22にはラッチを取付け、本体下部20にラッチが嵌まり込む穴を設けることにより構成してもよい。
【0044】
なお、本体部2に取付けるパネルの外側には、シート状の保護材を貼り付けてもよい。これにより、消毒乾燥装置1の外部から物品が本体部2に衝突したとしても、パネルに傷が付かないように保護し、例え保護材が傷ついたとしてもシートを貼り直してパネルを保護することができる。そして、消毒乾燥装置1の装置の寿命を延ばすことができる。
【0045】
なお、車輪部4には、操作することにより車輪部4が転動しないようにすることのできるロック機構を設けてもよい。
【0046】
(収納空間)
図5、
図7および
図10に示すように、厨房用品(被消毒乾燥物)Wを収納する収納空間60は、
載置した厨房用品Wを下方から支持して厨房用品Wの質量に合わせて下降し、所定の高さ位置で停止する支持部80と、
隔壁面63を取り外したときに露出する、収納空間60内の空気が鉛直方向に流通する加熱空気流通路70と、
加熱空気流通路70の上端に位置する送風手段53へと吸い込む空気が流通する開口である上部開口65を設けた上部開口パネル64と、
隔壁面63を収納空間60内に取り付けたときに形成される、送風手段53より送風される空気を流通させるための開口である下部開口66と、
を備えている。
【0047】
収納空間60は、本体上部10では上方と側方とが、
図1および
図2に示すシャッター18の内側の面と、それぞれ壁面である正面パネル21と、右枠部11の内側壁面である右枠部内壁面11aと、左枠部12の内側壁面である左枠部内壁面12aと、奥枠部13の内側壁面である奥枠部内壁面(壁面)13aと、により囲まれている。
【0048】
図7に示す本体下部20では、収納空間60は側方と下方とが、正面パネル21の内側の面と、正面扉22の内側の面と、収納空間60内の右側面側の壁面である右壁面61と、左側面側の壁面である左壁面62と、背面側の壁面である流通路奥壁面71と、加熱空気流通路70内の右壁面および左壁面と、収納空間60の底面である底壁面67と、により囲まれている。
【0049】
また、
図1および
図2に示すように、収納空間60は、シャッター18を開くことにより、厨房用品W、例えば複数の食器を収納した篭、積重ねたトレイまたはディッシュプレート等を支持部80の載置面81に載置することができるよう構成している。
【0050】
(支持部)
図6に示すように、略直方体形状である支持部80は、
載置される厨房用品Wを下方から支持する載置面81と、
載置面81の中央部に設けた空気を流通させる流通開口81aと、
載置面81の四つ角から下方へと延びる正面右側脚部82、背面右側脚部83、正面左側脚部84、および背面左側脚部85と、
正面右側脚部82および正面左側脚部84の正面側の下端側と、背面右側脚部83および背面左側脚部85の背面側の下端側とに取付けられたガイドローラ88と、
右側面側に水平方向に張り出して正面右側脚部82と背面右側脚部83とを接続する右支持部86と、左側面側に水平方向に張り出して正面左側脚部84と背面左側脚部85とを接続する左支持部87と、
右支持部86および左支持部87とに設けられた複数の孔86a、87aと、
を有する。
【0051】
図5および
図6に示すように、支持部80は、正面側と背面側とに取付けたガイドローラ88により、本体下部20内の鉛直方向に延設された柱であるフレームに沿って、安定して上下動させることができるように構成している。
【0052】
なお、支持部80を安定して上下動させることができる構成であれば、ガイドローラ88は他の構成、例えば、本体下部20内のフレームに対して摺動可能な樹脂材を設け、その樹脂材を支持部80に固定することにより、支持部80を安定して上下動させる構成にしてもよい。
【0053】
図8に示すように、本体下部20の右側面側の右パネル31を取り外すことにより露出する右空間部32内で、右支持部86に有する複数の孔86aと、本体下部20に固定された右吊下げ部(吊下げ部)33に有する複数の孔と、を右スプリング(弾性部材)34により接続し、支持部80の右支持部86を吊下げて保持している。
【0054】
収納空間60の右側面側の壁面である右壁面61の正面側と背面側の両側には、鉛直方向に設けられたスリット61aを設けている。そして、
図6に示す右支持部86を、右壁面61の正面側と背面側の両側のスリット61aを水平方向に貫通するように設けて、支持部80に載置される厨房用品Wの荷重に合わせて右スプリング34が伸び、支持部80を所定の高さ位置で停止させることができるよう構成している。
【0055】
また、本体下部20の左側面側は図示しないが、右側面側と同様な構成となっている。つまり、左側面側の左パネル41を取り外すことにより露出する左空間部42内で、左支持部87に有する複数の孔87aと、本体下部20に固定された左吊下げ部(吊下げ部)43に有する複数の孔と、を左スプリング(弾性部材)44により接続し、支持部80の左支持部87を吊下げて保持している。
【0056】
収納空間60の左側面側の壁面である左壁面62の正面側と背面側の両側には、鉛直方向に設けられたスリット62aを設けている。そして、
図6に示す左支持部87を、左壁面62の正面側と背面側の両側のスリット62aを水平方向に貫通するように設けて、支持部80に載置される厨房用品Wの荷重に合わせて左スプリング44が伸び、支持部80を所定の高さ位置で停止させることができるよう構成している。
【0057】
つまり、支持部80に厨房用品Wが載置されたときには、右空間部32内の右スプリング34および左空間部42内の左スプリング44により、支持部80は下降して所定の高さ位置に安定して停止するよう構成している。
【0058】
図8に示すように、支持部80の載置面81に載置する厨房用品Wを増やすごとに、右スプリング34および左スプリング44により載置面81は略水平の状態を保ちつつ、右支持部86および左支持部87の高さ位置が下降していく。
【0059】
ここでは説明のために、載置面81に何も載置していない右支持部86の高さ位置を位置A、所定の質量の厨房用品Wを載置面81に載置したときの右支持部86の高さ位置を位置B、支持部80が支持することのできる限界となる質量を載置面81に載置したときの右支持部86の高さ位置を位置Cとする。なお、
図8では図の見やすさを考慮して位置Bおよび位置Cの右スプリング34の記載を省略している。
【0060】
また、右支持部86が位置Aにあるときの左支持部87の高さ位置は位置Aにあり、右支持部86が位置Bにあるときの左支持部87の高さ位置は位置Bにあり、右支持部86が位置Cにあるときの左支持部87の高さ位置は位置Cにある。
【0061】
そして、右側面側の右支持部86が位置Aから位置B、位置Cへと下降するに従い、
図10に示すように、支持部80の載置面81の高さ位置は位置Aから位置B、位置Cへと下降していく。また、位置Cでは、支持部80の各脚部である正面右側脚部82、背面右側脚部83、正面左側脚部84、および背面左側脚部85の下端が、収納空間60の底面である底壁面67に当接し、支持部80は位置Cからは下降しない構成となっている。
【0062】
(加熱空気流通路)
図7に示すように、収納空間60内の背面側の壁面である隔壁面63を取り外すと、隔壁面63のさらに背面側の、鉛直方向に設けた加熱空気流通路70が露出した形となる。
【0063】
加熱空気流通路70の背面側の壁面である流通路奥壁面71には、流動する空気を加熱する加熱手段72と、加熱空気流通路70を流通する空気の温度を検知する温度センサ73が設けられている。
【0064】
図5に示すように、隔壁面63を取付けたときには、隔壁面63は収納空間60の一部を水平方向に区切り、これにより鉛直方向に設けた加熱空気流通路70を形成する。そして、加熱手段72および送風手段53を運転することにより、上部開口65を介して収納空間60内の空気を送風手段53へと吸い込み、加熱空気流通路70内へと吹き出し、加熱手段72により空気を加熱して下部開口66から収納空間60へと吹き出す構成となっている。これにより、隔壁面63を取付けた状態で本体上部10のシャッター18および本体下部20の正面扉22を閉めて収納空間60を略密閉し、加熱手段72および送風手段53を運転すると、収納空間60内の空気を加熱しつつ循環させることができる。
【0065】
(背面空間部)
図9に示すように、本体下部20の背面側の背面パネル51を取り外すことにより露出する背面空間部52には、
上部開口65を介して収納空間60内の空気を吸い込み、加熱空気流通路70内へと吹き出す送風手段53と、
本体上部10のシャッター18を開いた時に、シャッター18の後端に当接させてシャッター18の摺動を止めるシャッター止め部17と、
加熱手段72および送風手段53の運転および停止を制御する制御部54と、
消毒乾燥装置1を設置した施設内の電源設備へと電源線56を通じて接続することにより、加熱手段72、送風手段53に制御部54を通じて電力を供給する電源部55と、
を備える。
【0066】
制御部54には、加熱手段72および送風手段53の運転および停止を制御するための回路が組み込まれている。制御部54に組み込まれる回路は例えば、加熱空気流通路70に設けた温度センサ73により検知した空気の温度が所定の温度、例えば収納空間60内に収納した厨房用品Wが熱により悪影響を受けてしまう温度となる前に、加熱手段72を停止するよう構成されている。また、例えば、温度センサ73により検知する加熱空気流通路70を流動する空気の温度が、所定の時間、所定の温度となるように、加熱手段72および送風手段53を運転するよう構成されている。
【0067】
なお、制御部54は回路を組み込む以外にも、プログラムを組み込むことができる機器により構成してもよい。その場合、制御部54に組み込んだ運転動作や、その運転動作を制御する数値を容易に変更することができる。
【0068】
本発明の説明のなかで電源設備の近辺、という言葉を使用している。電源設備の近辺とは、本発明の消毒乾燥装置1の電源部55に有する電源線56が、電源設備へと接続できる範囲の内側を示している。そのため、電源線56が短いほどに電源設備の近辺の範囲は狭くなるが、本発明の属する技術分野で使用される装置の電源線56の長さは、一般的に3m~5mである。なお、電源線56の長さはあくまで例示であり、より短い電源線56、もしくはより長い電源線56を使用してもよい。電源線56は、例えば端部にプラグを有するものであり、電源設備に設けたコンセントへと着脱自在に挿入して消毒乾燥装置1へと電力を供給するものである。
【0069】
(消毒乾燥装置を用いた消毒乾燥方法)
次に、本実施形態の消毒乾燥装置1を用いた消毒乾燥方法について説明する。
【0070】
消毒乾燥装置1を用いた消毒乾燥方法は、以下のステップにより成り立っている。
1.収納空間60内に厨房用品Wを収納する収納ステップ
2.収納ステップを行った場所から次の加熱循環ステップを行う場所へと消毒乾燥装置1を移動させる第1の移動ステップ(移動ステップ)
3.収納空間60内の空気を加熱しつつ循環させる加熱循環ステップ
4.第1の電源設備(電源設備)101への電源線56の接続を切り離す電力供給停止ステップ
5.電源線56を第1の電源設備101から切り離した状態で消毒乾燥装置1を移動させる第2の移動ステップ(移動ステップ)
6.消毒乾燥装置1から厨房用品Wを取り出す取出しステップ
【0071】
(収納ステップ)
最初に、収納空間60内に厨房用品Wを収納する収納ステップについて説明する。
【0072】
洗浄水を噴射して厨房用品Wを洗浄する洗浄装置、もしくは作業員により厨房用品Wを洗浄した後に、洗浄した厨房用品Wを消毒乾燥装置1の収納空間60内に収納できるよう姿勢を整える。厨房用品Wが例えば、食器である場合は篭に入れる、トレイやディッシュプレートである場合は積重ねる、等によりその姿勢を整える。なお、厨房用品Wがトレイやディッシュプレートである場合は、洗浄が終わり次第、1枚づつ載置面81に載置し積重ねるようにして収納空間60内に収納してもよい。
【0073】
図2に示すシャッター18を開き、収納開口14を通じて支持部80の載置面81に厨房用品Wを載置すると、収納空間60内に収納できるように整えられた厨房用品Wは、支持部80に支持されて所定の高さ位置、例えば厨房用品Wの上端側の水平面が本体上部10と本体下部20との境目に位置する高さ位置まで下降する(
図11参照)。
【0074】
このとき、収納開口14は、正面側と上面側とに開口するよう構成される。これにより、厨房用品Wを収納空間60へと収納するとき、正面パネル21の上部に厨房用品Wを載置して、摺動させて支持部80の載置面81へと厨房用品Wを載置することができ、厨房用品Wを収納空間60へと収納する作業員の負荷を軽減することができる。
【0075】
また、収納開口14は正面側と上面側とに開口し、開いたシャッター18は消毒乾燥装置1から突出せず消毒乾燥装置1内に収まるので、狭い室内で厨房用品Wを収納空間60内へと収納するときや、複数台の消毒乾燥装置1を隣接させて使用するときには、容易に厨房用品Wを収納空間60内へと収納することができる。また、後の取出しステップでは、容易に厨房用品Wを収納空間60から取出すことができる。
【0076】
そして、厨房用品Wを収納空間60内に収納した後には、シャッター18を閉じて収納空間60を略密閉した状態とする。
【0077】
なお、
図8に示す右スプリング34、および図示していない左スプリング44の設計的な要素、例えば線形、外径、および材質等は、収納空間60内に厨房用品Wを収納したときに、厨房用品Wの上端側の水平面が所定の高さ位置に停止するよう決定しておくのが好ましい。これにより、第2の移動ステップで説明する収納空間60内の空気の結露による乾燥をより確実に行うことができる。また、収納ステップでの収納空間60内への厨房用品Wの収納と、取出しステップで説明する収納空間60内からの厨房用品Wの取出しを容易とすることができる。
【0078】
なお、収納空間60内に収納する厨房用品Wに合わせ、支持部80に厨房用品Wを載置したときに厨房用品Wの上端側の水平面が、本体上部10と本体下部20との境目に位置するよう、右スプリング34および左スプリング44を増やす、減らす、もしくはそれらを交換するようにしてもよい。
【0079】
(第1の移動ステップ)
次に、収納ステップを行った場所から次の加熱循環ステップを行う場所へと消毒乾燥装置1を移動させる第1の移動ステップについて説明する。
【0080】
収納ステップで収納空間60内に厨房用品Wを収納した後は、次の加熱循環ステップを行うために、消毒乾燥装置1を施設内の第1の電源設備101の近辺へと移動させる。
【0081】
(加熱循環ステップ)
次に、収納空間60内の空気を加熱しつつ循環させる加熱循環ステップについて説明する。
【0082】
図11に示すように、電源部55に有する電源線56を消毒乾燥装置1を設置した施設内の第1の電源設備101へと接続し、操作部3を操作して加熱手段72および送風手段53を運転する。なお、
図11における白抜き矢印は、収納空間60内の空気の流れを表す。
【0083】
シャッター18および正面扉22を閉じた略密閉状態で、加熱手段72および送風手段53を運転して収納空間60内の空気を加熱しつつ循環させると、収納空間60内の空気は、収納空間60内に収納された厨房用品Wを消毒し乾燥させるために必要な所定の温度、例えば80~100度Cまで加熱される。
【0084】
このとき、支持部80の載置面81の上に載置された厨房用品Wが、例えば食器を複数収納した篭であるなど、その厨房用品Wの中を収納空間60内の空気が流れる構造であれば、収納空間60内の所定の温度の空気は、載置面81に設けた流通開口81aを下方から載置面81の流通開口81aと厨房用品Wの内部を抜けて、上方へと流れる(
図6参照)。
【0085】
収納空間60内の空気を所定の時間、例えば略10~60分間、所定の温度を維持した状態で循環させた後に、制御部54の回路により、もしくは操作部3を操作することにより、加熱手段72および送風手段53の運転を停止する。
【0086】
なお、操作部3を操作することにより加熱手段72および送風手段53を停止する場合は、操作部3の表示部が電源の供給を停止してもよい旨の通知、例えば操作部3に設けた表示部にメッセージの表示、ライトの点灯、もしくはアラーム音の鳴動等をしてもよい。
【0087】
これにより、収納空間60内が所定の温度に達したことが作業員の視覚および聴覚で察知することができ、よりよいタイミングで加熱手段72および送風手段53を停止させることができる。そして、次々工程である第2の移動ステップで、いち早く消毒乾燥装置1を移動させて、限りある第1の電源設備101の近辺の床面積を有効に使用することができる。そして、厨房用品Wを消毒し乾燥する場所を、より早く柔軟に選択することができるようにすることができる。
【0088】
なお、載置面81の上面に複数の孔をあけた載置板を載置し、その上に厨房用品Wを載置してもよい。これにより、流通開口81aに下方から流れる所定の温度の空気を複数の孔へと拡散し、中に空気が流れる構造である厨房用品Wを、上方へと流れる所定の温度の空気により効果的に消毒し乾燥することができる。その場合、
図6に示す流通開口81aの大きさは、流れる所定の温度の空気の量等により適宜決定するのが好ましい。
【0089】
(電力供給停止ステップ)
次に、第1の電源設備101への電源線56の接続を切り離す電力供給停止ステップについて説明する。
【0090】
加熱循環ステップで、加熱手段72および送風手段53の運転を停止した後に、
図11に示す施設内の第1の電源設備101へと接続した電源部55に有する電源線56を、第1の電源設備101から切り離す。この状態でも、シャッター18および正面扉22は閉じたままとし、収納空間60を略密閉状態に保つ。
【0091】
(第2の移動ステップ)
次に、電源線56を第1の電源設備101から切り離した状態で消毒乾燥装置1を移動させる第2の移動ステップについて説明する。
【0092】
電力供給停止ステップにより電源線56を第1の電源設備101から切り離した後は、シャッター18および正面扉22を閉じた状態の消毒乾燥装置1を、第1の電源設備101の近辺から、消毒し乾燥させた後の厨房用品Wを使用する場所へと移動させる。
【0093】
消毒し乾燥させた後の厨房用品Wを使用する場所は、収納空間60内に収納した厨房用品Wによって異なる。厨房用品Wが例えば、複数の食器を収納した篭またはディッシュプレートである場合は、食品を食器へと盛り付けを行う場所となる調理した食品を入れた回転釜や鍋、バットの付近へと消毒乾燥装置1を移動させる。また、収納空間60内に収納した厨房用品Wが例えば、積重ねたトレイである場合は、食品が盛り付けられた食器の受け取りを開始する喫食を行う部屋の入口へと消毒乾燥装置1を移動させる。すなわち、配膳作業を行う所定の位置へと移動させるものである。
【0094】
図1に示す本体部2に設けられた正面扉22の内部、および本体部2に取付けたパネルの内側には、収納空間60内の空気の温度を消毒乾燥装置1の外側へと逃さないようにするための断熱材が設けられている。そのため、電力の供給を停止した状態でも収納空間60内の空気の温度を所定の温度、例えば80度C~100度Cに維持しやすくして、収納空間60内に収納した厨房用品Wを消毒し乾燥し続けることができる。
【0095】
これにより、電源線56と第1の電源設備101との接続を切り離したとしても収納する厨房用品Wを継続的に消毒し乾燥し、厨房用品Wを消毒し乾燥する場所を柔軟に選択することができる。
【0096】
(冷却空間にて生じる冷却について)
一般的に、飽和水蒸気量に達しない範囲で、空気は水分を多く含むほどに比重が小さくなる。そのため、
図12に示すように、加熱手段72および送風手段53を停止している第2の移動ステップの間は、蒸発した厨房用品Wに付着していた水分を多く含む加熱された空気は、収納空間60内のより高い高さ位置、特に、収納空間60内の上部で斜線により示す冷却空間60a内に滞留しやすい状態となっている。
【0097】
なお、
図12における白抜き矢印は、収納空間60内の空気の流れを表す。また、
図12での収納空間60内の空気の流れは時計回りとなっているが、収納空間60内の空気の流れは一様ではなく、収納空間60内の空気の流れの説明を理解しやすくするために、便宜的に時計回りとなるように記載している。
【0098】
冷却空間60aは、収納空間60内で、上方と側方とを
図1および
図2に示すシャッター18の内側の面と、正面パネル21と、収納空間60の壁面である右枠部内壁面11aと、左枠部内壁面12aと、奥枠部内壁面13aと、により囲まれた範囲の空間である。つまり、収納空間60の内の本体上部10側の空間となる。
【0099】
そして、その冷却空間60aはシャッター18により外気との接触を遮断しているため、冷却空間60a内の空気の熱をシャッター18を介して外気へと放熱し、冷却空間60a内の空気を冷却する。
【0100】
加えて、冷却空間60aの壁面を構成する正面パネル21と、右枠部内壁面11a、左枠部内壁面12a、および奥枠部内壁面13aは、金属製、例えばステンレス鋼である板金を折り曲げることにより形成しており、正面パネル21と、右枠部内壁面11a、左枠部内壁面12a、および奥枠部内壁面13aはシャッター18およびシャッターレール16よりも外側で冷却空間60a内の空気の温度よりも低い外気と接している。そのため、冷却空間60aの内部と外部とで連続する壁面である正面パネル21と、右枠部内壁面11a、左枠部内壁面12a、および奥枠部内壁面13aとを通じて、冷却空間60a内の空気の熱を放熱して冷却空間60a内の空気を冷却する。
【0101】
これにより、
図12に示す冷却空間60a内に滞留させた水分を多く含む加熱された空気を冷却して、冷却された水分を多く含む加熱された空気の飽和水蒸気量を低下させて結露させやすい状態とし、冷却空間60a内に滞留する水分を多く含む加熱された空気に含まれる水分を、冷却空間60aを囲むシャッター18の内側の面、正面パネル21の内側の面、右枠部内壁面11a、左枠部内壁面12a、および奥枠部内壁面13aに結露させることができる。そして、冷却空間60a内の空気に含まれる水分の量を減少させて、冷却空間60a内の空気を乾燥させることができる。
【0102】
また、収納空間60内に収納した厨房用品Wの上端側の水平面は、右スプリング34および左スプリング44により、所定の高さ位置である本体上部10と本体下部20との境目に位置させている。そのため、冷却空間60a内で冷却される空気に厨房用品Wが触れにくく、安定して厨房用品Wを収納空間60内の空気の内、高い温度の空気により消毒し乾燥することができる。
【0103】
さらに、冷却空間60a内で冷却し結露させることにより、含む水分の量が減少して比重が大きくなった空気は、収納空間60内の下方へ向かって対流する。収納空間60内の下方へと対流した空気は、周囲の加熱された空気により加熱されるとともに、厨房用品Wに付着した水分を蒸発させて水分を比較的多く含むこととなり、再び比重が小さくなって冷却空間60a内へと対流する。この対流により、連続的に収納空間60内の空気に含まれる水分を結露により減少させて乾燥させつつ、厨房用品Wに付着した水分を蒸発させて消毒し乾燥させることができる。
【0104】
また、対流による空気の乾燥が継続して行われると収納空間60内の空気の温度は低下していくが、低い温度の空気は、収納空間60内の下方に位置する下部空間60b内に滞留する。下部空間60bは、最も低い高さ位置である位置Cまで下降させた支持部80の載置面81よりも下方で、斜線により示す範囲の空間である。
【0105】
これにより、もし支持部80に載置された厨房用品Wの質量が大きく、支持部80の高さ位置が位置Cとなっていたとしても、収納空間60内の空気の内、高い温度の空気を支持部80の載置面81に載置される厨房用品Wに接するようにして厨房用品Wに付着した水分を蒸発させ、効果的に厨房用品Wを消毒し乾燥させることができる。
【0106】
そして、収納空間60内の空気の内、下部空間60b内に滞留した低い温度の空気を厨房用品Wに接触しないようにすることで、低い温度の空気に含まれる水分が厨房用品Wの表面で結露してしまうことを抑制し、収納空間60内での厨房用品Wの乾燥を促進することができる。
【0107】
また、冷却空間60aを囲むシャッター18の内側の面、正面パネル21の内側の面、右枠部内壁面11a、左枠部内壁面12a、および奥枠部内壁面13aに結露させた水分の内、正面パネル21の内側の面、右枠部内壁面11a、左枠部内壁面12a、および奥枠部内壁面13aに結露させた水分は、
図2に示す正面パネル21と支持部80との間の隙間、右枠部内壁面11aと支持部80との間の隙間、左枠部内壁面12aと支持部80との間の隙間、および奥枠部内壁面13aと支持部80との間の隙間を通じて、収納空間60を構成する正面扉22の内側の面、右壁面61、左壁面62、および隔壁面63を伝って、
図12に示す収納空間60の内の下部空間60bへと落下させることができる。
【0108】
これにより、継続的に収納空間60内の空気の水分を正面パネル21の内側の面、右枠部内壁面11a、左枠部内壁面12a、および奥枠部内壁面13aに結露させ、その結露させた水分を落下させて、冷却空間60a内の空気を乾燥させることができる。
【0109】
そして、正面パネル21の内側の面、右枠部内壁面11a、左枠部内壁面12a、および奥枠部内壁面13aに結露した水分を下部空間60bへと落下させることにより、収納空間60内でより高い高さ位置に滞留しやすい高い温度の空気に結露した水分を接触させないようにして、収納空間60内の空気を可能な限り乾燥した状態にし、厨房用品Wを効果的に消毒し乾燥することができる。
【0110】
このように、加熱手段72および送風手段53を停止している移動ステップの間は、収納空間60内の空気を冷却空間60a内で乾燥させるとともに、収納空間60内の空気の内、低い温度の空気を下部空間60b内に滞留させて、収納空間60内に収納した厨房用品Wの消毒および乾燥を促進することができる。
【0111】
また、加熱循環ステップで加熱手段72および送風手段53を停止した後にも、移動ステップと同様に、収納空間60内の空気を冷却空間60a内で乾燥させるとともに、収納空間60内の空気の内、低い温度の空気を下部空間60b内に滞留させて、収納空間60内に収納した厨房用品Wの消毒および乾燥を促進することができる。
【0112】
なお、下部空間60bの底面である底壁面67の中央が凹形状となるように形成し、冷却空間60aの壁面から落下する水分を受けることができるようにしてもよい。これにより、万が一、底壁面67へと落下する水分の量が多い場合でも安定して受けることができる。
【0113】
また、次工程である取出しステップの後に、正面扉22を開けて、底壁面67の水分を受けた部分を取り外せるようにしてもよい。これにより、底壁面67に受けた水分を廃棄することが容易となる。
【0114】
なお、
図1に示すシャッター18は複数の平板を連結して長手方向に屈曲するように構成しているが、シャッター18が屈曲自在となる範囲内において、複数の平板のシャッター18が動く方向の断面形状を、山型形状となるようにしてもよい。
【0115】
これにより、シャッター18の内側の面に付着した水分を、厨房用品Wに落下させることなく、シャッターレール16から右枠部内壁面11aおよび左枠部内壁面12aへと流動させ、さらには収納空間60の右壁面61および左壁面62の内側の面を伝って下部空間60bへと落下させることができる。
【0116】
なお、また、複数の平板の形状は、シャッター18を開閉することができ、収納開口14を閉じて収納空間60を略密閉することができるのであれば、どのような形状をとってもよい。
【0117】
なお、本実施形態1では扉部であるシャッター18を1枚の屈曲自在なシャッターとしたが、他の異なる構成としてもよい。他の異なる構成としては、例えば、シャッター18の内側にもう1枚のシャッターや引き戸を設けることにより、シャッター18である扉部を二重に構成する等のように構成してもよい。もしくは、扉部を1枚の断熱性の高い扉を設けることにより、構成してもよい。
【0118】
特に、シャッター18の内側に引き戸を設けた場合の内、シャッター18と内側に設けた引き戸との間に隙間がある場合は、冷却空間60a内で冷却された空気に含まれる水分をシャッター18の下面に結露させ、その結露した水分が落下したとしても、内側の引き戸の上面でとどめ、厨房用品Wの上へと落下して厨房用品Wを再び濡らすことを防止することができる。
【0119】
また、シャッター18の内側に引き戸を設けた場合の内、シャッター18と内側に設けた引き戸との間に隙間がない場合は、引き戸の下面に水分を結露させ、シャッター18に冷却空間60a内の空気の熱の影響が及びにくくすることができる。
【0120】
加えて、シャッター18の内側に引き戸を設けた場合の内、シャッター18の動く方向に、重なりつつ開く構造の複数枚の引き戸を設けた場合は、重なりつつ開く構造の複数枚の引き戸を開くとき、複数枚の引き戸の内の下方に位置する引き戸は、その引き戸よりも上側の引き戸の下面に付着した水滴を受けて、その水滴が厨房用品Wへと落下することを防ぐことができる。また、その場合は、シャッター18の開閉と、重なりつつ開く構造の複数枚の引き戸の開閉を連動させてもよい。
【0121】
なお、これらシャッター18の内側に引き戸を設けた3つの場合では、シャッター18および引き戸により扉部を二重に構成しているため、冷却空間60a内の空気の熱が扉部を通じて放熱されにくくなり、シャッター18および引き戸の下面には水分が結露しにくくなる。しかし、冷却空間60a内の空気に含まれた水分は、冷却空間60aを囲む、正面パネル21の内側の面、右枠部内壁面11a、左枠部内壁面12a、および奥枠部内壁面13aに結露させることができるため、十分に冷却空間60a内の空気を乾燥させることができる。これは、扉部を1枚の断熱性の高い扉とした場合も同様である。
【0122】
このようにシャッター18である扉部を二重に構成する等により、扉部の断熱性を向上させ、加熱循環ステップで加熱手段72および送風手段53を運転している間は、収納空間60内の空気が扉部を通じて冷却されるのを抑制し、時間効率よく収納空間60内の空気を所定の温度に加熱することができる。もちろん、シャッター18である扉部は、二重に限ることなく三重、もしくはそれ以上としてもよい。
【0123】
なお、消毒乾燥装置1に蓄電池を搭載し、加えて、例えば右枠部11および左枠部12等を冷却するためのファンを取付けてもよい。これにより、厨房用品Wを消毒し乾燥する空気の温度の低下を抑制しながら、冷却空間60a内の空気を時間効率よく冷却することができる。また、ファン以外でも、本質的に右枠部11および左枠部12等を時間効率よく冷却して冷却空間60a内の空気を冷却することができるものであれば、他の機器や部材を取付けてもよく、右枠部11および左枠部12の形状や材質を変更してもよい。
【0124】
なお、消毒乾燥装置1に蓄電池を搭載し、移動ステップの間に加熱手段72のみを運転してもよい。これにより、収納空間60内の空気の対流を活発化させ、より効果的に収納空間60内の空気を冷却空間60aで乾燥させて、厨房用品Wを効果的に消毒し乾燥させることができる。
【0125】
なお、消毒乾燥装置1に蓄電池を搭載し、電源部55に有する電源線56を電源設備101、102に接続しなくとも第2の移動ステップの間に加熱手段72および送風手段53を運転させるようにしてもよい。
【0126】
これにより、加熱手段72および送風手段53を運転している間は、冷却空間60a内で空気を乾燥させることはできないが、第2の移動ステップで消毒し乾燥させた後の厨房用品Wを使用する場所へと消毒乾燥装置1を移動させている間にも、厨房用品Wを効果的に消毒し乾燥させることができる。
【0127】
なお、本体部2のいずれかの箇所、例えばシャッター18とシャッターレール16との間や、正面扉22と正面パネル21等の間等に、収納空間60内と外部とを連通させる隙間を設けてもよい。この場合、収納空間60内の空気が水分を多く含んだ状態で加熱手段72により加熱されて膨張したとき、その膨張した空気を水分と共に外部へと流動させることができる。これにより、収納空間60内で膨張し圧力の高まった空気を外部へと流動させて収納区間60内の圧力を調整しつつ、収納空間60内の空気に含まれる水分の総量を減らすことができる。
【0128】
(取出しステップ)
次に、消毒乾燥装置1から厨房用品Wを取り出す取出しステップについて説明する。
【0129】
第2の移動ステップが終了した後、収納空間60内に収納した厨房用品Wが例えば、複数の食器を収納した篭、またはディッシュプレートである場合は、食品を食器へと盛り付けを行う場所となる調理した食品を入れた回転釜や鍋、バットの付近でシャッター18を開ける。そして、消毒乾燥装置1から食器、またはディッシュプレートを取出し、食品を入れて提供する。
【0130】
また、収納空間60内に収納した厨房用品Wが例えば、積重ねたトレイである場合は、食品が盛り付けられた食器の受け取りを開始する喫食を行う部屋、例えば食堂の入口でシャッター18を開ける。そして、食品を入れた食器を載せて運ぶために、喫食を行う人が消毒乾燥装置1からトレイを1枚ずつ取り出す。
【0131】
これにより、消毒乾燥装置1は、厨房用品Wを収納空間60内で消毒し乾燥しつつ移動した後には、配膳作業を行う所定の位置にて厨房用品Wを必要な分だけ取り出せるディスペンサーとしての役割を果たすことができる。
【0132】
なお、取出しステップでシャッター18を開け、シャッター18の後端をシャッター止め部17に当接させることによりシャッター18の内側の面に付着していた水分を下方へと落下させることができるが、その場合は、背面空間部52に備える制御部54の回路および電源部55に水滴が侵入しないよう構成するのが好ましい。
【0133】
このように、本発明の消毒乾燥方法および消毒乾燥装置1は、収納ステップで、洗浄後の厨房用品Wを消毒乾燥装置1の収納空間60へと収納し、第1の移動ステップで、厨房用品Wを収納した消毒乾燥装置1を第1の電源設備101の近辺へと移動させる。
【0134】
第1の電源設備101の近辺へと移動させた消毒乾燥装置1の電源線56を第1の電源設備101へと接続し、加熱手段72および送風手段53を運転して加熱循環ステップを行い、所定の時間、所定の温度を維持した状態で収納空間60内の空気を循環した後に、電力供給停止ステップで電源線56を第1の電源設備101から切り離す。
【0135】
第2の移動ステップで第1の電源設備101の近辺から、消毒し乾燥させた後の厨房用品Wを使用する場所へと消毒乾燥装置1を移動させている間に、収納空間60内の空気を乾燥させつつ厨房用品Wを消毒し乾燥させる。
【0136】
これにより、電源設備との接続を切り離したとしても収納する厨房用品Wを継続的に消毒し乾燥し、厨房用品Wを消毒し乾燥する場所を柔軟に選択することができる。
【0137】
そして消毒乾燥方法の最後に、取出しステップとして、消毒し乾燥した厨房用品Wを使用する場所でシャッター18を開けて、厨房用品Wを取り出す。
【0138】
なお、意に反してシャッター18および正面扉22が開いてしまわないように、シャッター18および正面扉22にインターロックを設けてもよい。これにより、加熱循環ステップ、電力供給停止ステップ、および第2の移動ステップで、温度センサ73が検知する収納空間60内の空気の温度が高い場合に、シャッター18および正面扉22をロックして、安全に消毒乾燥装置1を使用することができる。なお、インターロックによりシャッター18および正面扉22をロックしている間は、操作部3の表示部にロック中である旨を表示するのが好ましい。
【0139】
なお、第1の移動ステップで消毒乾燥装置1を移動させる先を、消毒し乾燥させた後の厨房用品Wを使用する場所としてもよい。その場合、第2の移動ステップを行わず、収納ステップ、第1の移動ステップ、加熱循環ステップ、電力供給停止ステップ、取出しステップの順に行うこととなる。
【0140】
なお、第2の移動ステップと取出しステップとの間で、以下に記載する再加熱循環ステップを行ってもよい。
【0141】
(再加熱循環ステップ)
再加熱循環ステップでは、電源部55に有する電源線56を、第2の移動ステップで移動させた先にある消毒し乾燥させた後の厨房用品Wを使用する場所に設置した第2の電源設備(電源設備)102へと接続して、収納空間60内の空気を加熱しつつ循環させる。
【0142】
図11に示すように、第2の移動ステップで移動させた消毒乾燥装置1の電源部55に有する電源線56を、その場所の近辺にある第2の電源設備102へと接続する。
【0143】
第2の電源設備102へと電源線56を接続した後には、操作部3を操作して再び加熱手段72および送風手段53を運転し、収納空間60内の空気を所定の時間、例えば略10~60分間、所定の温度に維持した状態で循環させる。これにより、移動ステップで低下した収納空間60内の空気を加熱して、収納空間60内に収納した厨房用品Wを効果的に継続して消毒し乾燥させることができる。
【0144】
そして、収納空間60内の空気を所定の時間、所定の温度に維持した状態で循環させた後に、加熱循環ステップ同様、制御部54の回路により、もしくは操作部3を操作することにより、加熱手段72および送風手段53の運転を停止する。そして、施設内の第2の電源設備102へと接続した電源部55に有する電源線56を、第2の電源設備102から切り離す電力供給停止ステップを行い、シャッター18および正面扉22を閉じた状態のままとして、収納空間60内に収納した厨房用品Wを消毒し乾燥させる。
【0145】
なお、加熱循環ステップ同様、操作部3を操作することにより加熱手段72および送風手段53を停止する場合は、操作部3の表示部が電源の供給を停止してもよい旨の通知、例えば操作部3に設けた表示部にメッセージの表示、ライトの点灯、もしくはアラーム音の鳴動等をしてもよい。
【0146】
なお、第2の移動ステップにより消毒乾燥装置1を移動させる先は、消毒し乾燥させた後の厨房用品Wを使用する場所とは異なる、第2の電源設備102を備えた消毒乾燥装置1の一時保管場所でもよい。その場合は、再加熱循環ステップの後に、消毒し乾燥させた後の厨房用品Wを使用する場所へと移動させる第3の移動ステップ(移動ステップ)を行う。
【0147】
また、その第3の移動ステップで消毒乾燥装置1を一時的に保管しておく場所へと移動させた場合は、その場所に設置した第3の電源設備に電源線56を接続して第2の再加熱循環ステップを行ってもよく、その後には第4の移動ステップを行い、消毒乾燥装置1を消毒し乾燥させた後の厨房用品Wを使用する場所へと移動させる。
【0148】
このように、第2の移動ステップと取出しステップとの間には、複数の再加熱循環ステップと移動ステップとを行うことができる。これにより、消毒乾燥装置1に収納した厨房用品Wを消毒し乾燥する場所を選ばず、柔軟に厨房用品Wを消毒し乾燥することができる。
【0149】
なお、再加熱循環ステップで加熱手段72および送風手段53を停止している間と、移動ステップの間は、前述した冷却空間60aにて収納空間60内の空気を乾燥させる作用とその効果が生じる。
【0150】
(変形例1)
(消毒乾燥装置の構成)
変形例1として、実施形態1の消毒乾燥装置1とは異なる構成の消毒乾燥装置201について説明する。
【0151】
図13に示すように、変形例1の消毒乾燥装置201は、
略直方体形状のフレームに金属製、例えばステンレス鋼である板金のパネルを取付けた本体部202と、
本体部202の上部の正面側に設けた操作部203と、
本体部202の下部の四隅に設け、転動させることにより消毒乾燥装置201を移動可能とした車輪部204と、を備える。
【0152】
実施形態1の消毒乾燥装置1とは異なり、変形例1の消毒乾燥装置201は本体の上部にシャッターが設けられておらず、正面扉(扉部)222を開くことにより、
図14に示す収納空間260内に複数段設けたパイプ棚(支持部)280の載置面281へと厨房用品Wを載置する。そして、正面扉222を閉めることにより、収納空間260を略密閉した状態とすることができる構成とする。
【0153】
略密閉された収納空間260の上方には、加熱手段291および送風手段292を設けた上部空間290を設けている。そして、収納空間260の上部と、上部空間290とは、収納空間260の上方側を区画する天板264に開けた上部開口265から送風手段292を介して連通している。
【0154】
収納空間260の右壁面(壁面)261と本体部202の右パネル(パネル)231との間には、上部空間290で加熱手段291により加熱された空気が流動する右側加熱空気流通路271を設けている。また、収納空間260の左壁面(壁面)262と本体部202の左パネル(パネル)241との間には、上部空間290で加熱手段291により加熱された空気が流動する左側加熱空気流通路272を設けている。
【0155】
そして、収納空間260の右壁面261および左壁面262には、パイプ棚280の高さ位置に合わせて右側加熱空気流通路271および左側加熱空気流通路272から収納空間260へと連通する複数の開口261aおよび複数の開口262aが設けられている。そのため、右側加熱空気流通路271および左側加熱空気流通路272を流動する空気が、右壁面261の複数の開口261aおよび左壁面262の複数の開口262aから、各パイプ棚280に載置された厨房用品Wに向けて加熱手段291により加熱された空気が送風手段292により吹き出す構成となっている。
【0156】
また、収納空間260の内、上部の斜線で示した空間が冷却空間260aであり、下部の斜線で示した空間が下部空間260bとなる。
【0157】
図13および
図14では図示していないが、実施形態1と同様に、変形例1の消毒乾燥装置201は、加熱手段291および送風手段292の運転および停止を制御するための回路が組み込まれた制御部254と、有する電源線256を電源設備101、102へと接続することにより、加熱手段291、送風手段292に、制御部254を通じて電力を供給する電源部255と、を備える。
【0158】
(消毒乾燥装置を用いた消毒乾燥方法)
次に、変形例1の消毒乾燥装置201を用いた消毒乾燥方法について説明する。基本的には実施形態1の消毒乾燥装置1を用いた消毒乾燥方法と同様であるため、ここでは実施形態1の消毒乾燥方法とは異なる部分について特に記載する。
【0159】
(収納ステップ)
実施形態1の収納ステップでは、
図2に示すシャッター18を開いて、収納空間60内の支持部80の載置面81に洗浄した後に姿勢を整えた厨房用品Wを載置し、シャッター18および正面扉22を閉じた状態として収納空間60を略密閉していた。
【0160】
変形例1の収納ステップでは、
図13および
図14に示す正面扉222を開いて、収納空間260内のパイプ棚280の載置面281に洗浄した後に姿勢を整えた厨房用品Wを載置し、正面扉222を閉じて収納空間260を略密閉する。なお、厨房用品Wがトレイやディッシュプレートである場合は、洗浄が終わり次第、1枚づつ載置面281に載置し積重ねるようにして収納してもよい。
【0161】
(第1の移動ステップ)
実施形態1と同様に、変形例1でも次の加熱循環ステップを行うために消毒乾燥装置201を施設内の第1の電源設備101の近辺へと移動させる。
【0162】
(加熱循環ステップ)
実施形態1の加熱循環ステップでは、シャッター18を閉じた状態で、
図11に示す電源部55に有する電源線56を施設内の第1の電源設備101へと接続し、加熱手段72および送風手段53を運転して、収納空間60内の空気を所定の時間、所定の温度となるように加熱し循環させていた。
【0163】
変形例1の加熱循環ステップでは、正面扉222を閉じた状態で、電源部255に有する電源線256を施設内の第1の電源設備101へと接続し、
図14に示す加熱手段291および送風手段292を運転して、右側加熱空気流通路271および左側加熱空気流通路272を通じて、収納空間260内の空気を所定の時間、所定の温度となるように加熱し循環する。なお、
図14における白抜き矢印は、収納空間260内の空気の流れを表す。
【0164】
(電力供給停止ステップ)
実施形態1と同様に、変形例1でも第1の電源設備101から電源線256を切り離す。
【0165】
(第2の移動ステップ)
実施形態1の第2の移動ステップと同様に、変形例1では正面扉222を閉めた状態で、電源線256を第1の電源設備101から切り離した消毒乾燥装置201を、消毒し乾燥させた後の厨房用品Wを使用する場所へと移動させるとともに、冷却空間260a内で空気を乾燥させつつ、収納空間260内の空気の内、低い温度の空気を下部空間260b内に滞留させ、収納空間260内の加熱された空気により厨房用品Wを消毒し乾燥する。
【0166】
(取出しステップ)
実施形態1の取出しステップでは、消毒し乾燥した厨房用品Wを使用する場所で、
図2に示すシャッター18を開いて、収納空間60内の支持部80の載置面81に載置した厨房用品Wを必要な分だけ取り出していた。
【0167】
変形例1の取出しステップでは、
図13および
図14に示す正面扉222を開いて、収納空間260内のパイプ棚280の載置面281に載置した厨房用品Wを取り出す。変形例1では、正面扉222を開くことにより収納空間260が大きく外部と連通する状態となるため、実施形態1に比較して収納空間260内に収納した厨房用品Wを一度に取り出すことのできる量を多くすることができる。これにより、取出しステップを時間効率よく行うことができる。
【0168】
(変形例2)
(消毒乾燥装置の構成)
変形例2として、実施形態1および変形例1の消毒乾燥装置1、201とは異なる構成の消毒乾燥装置301について説明する。
【0169】
図15に示すように、変形例2の消毒乾燥装置301は、
略直方体形状のフレームに金属製、例えばステンレス鋼である板金のパネルを取付けた本体部302と、
本体部302の上部の正面側に設けた操作部303と、
本体部302の下部の四隅に設け、転動させることにより消毒乾燥装置301を移動可能とした車輪部304と、を備える。
【0170】
図15および
図16に示すように、正面扉(扉部)322を開くことにより、収納空間360内に複数段設けたパイプ棚(支持部)380の載置面381へと厨房用品Wを載置する。そして、正面扉322を閉めることにより、収納空間360を略密閉した状態とすることができる構成とする。
【0171】
略密閉された収納空間360の上方には、加熱手段391および送風手段392を設けた上部空間390を設けている。そして、収納空間360の上部と、上部空間390とは、収納空間360の上方側を区画する天板364に開けた上部開口365から送風手段392を介して連通している。
【0172】
収納空間360の右壁面(壁面)361と本体部302の右パネル(パネル)331との間には、上部空間390で加熱手段391により加熱された空気が流動する右側加熱空気流通路371を設けている。
【0173】
また、
図14に示す変形例1では収納空間260と本体部202の左パネル241との間には、上部空間290で加熱手段291により加熱された空気が流動する左側加熱空気流通路272を設けていたが、
図16に示すように、変形例2の構成には設けていない。これにより、変形例1の消毒乾燥装置201に比較して機器の設置床面積を小さくして、限りのある施設内の床面積を有効に使用することができる。
【0174】
そして、収納空間360の右壁面361には、パイプ棚380の高さ位置に合わせて右側加熱空気流通路371から収納空間360へと連通する複数の開口361aが設けられている。そのため、右側加熱空気流通路371を流動する空気が右壁面361の開口361aから、各パイプ棚380に載置された厨房用品Wに向けて加熱手段391により加熱された空気が送風手段392により吹き出す構成となっている。なお、
図16における白抜き矢印は、収納空間360内の空気の流れを表す。
【0175】
また、収納空間360の内、上部の斜線で示した空間が冷却空間360aであり、下部の斜線で示した空間が下部空間360bとなる。
【0176】
図15および
図16では図示していないが、実施形態1と同様に、変形例2の消毒乾燥装置301は、加熱手段391および送風手段392の運転および停止を制御するための回路が組み込まれた制御部354と、有する電源線356を電源設備101、102へと接続することにより、加熱手段391、送風手段392に、制御部354を通じて電力を供給する電源部355と、を備える。
【0177】
なお、変形例2の消毒乾燥装置301による消毒乾燥方法は、基本的に変形例1に記載した消毒乾燥方法と同様であるため、省略する。
【0178】
なお、実施形態1で記載したように、変形例1および変形例2でも再加熱循環ステップや、さらなる移動ステップを行ってもよい。
【0179】
なお、変形例1および変形例2の本体部202、302に取付けた金属製、例えばステンレス鋼である板金のパネルの内側もしくは外側にはその他部材、例えば断熱材や少なくとも1枚の板金のパネル等を設けてもよい。これにより、電力の供給を停止した状態でも収納空間260、360内の空気の温度を所定の温度に維持しやすくして、収納空間260、360内に収納した厨房用品Wを消毒し乾燥し続けることができる。
【0180】
なお、天板264、364や、少なくとも冷却空間260a、360aに位置する奥側壁面263、363に断熱材を設けない等により、第2の移動ステップでの冷却空間260a、360a内における空気の冷却を促進するよう構成してもよい。
【0181】
(複数台の消毒乾燥装置の使用)
本発明ではさらに、1つの施設内で、
図1、
図13および
図15に示す消毒乾燥装置1、201、301を複数台組み合わせて用いることにより、より効果的に厨房用品Wを消毒し乾燥させることができる。具体的には、乾燥し消毒する厨房用品Wの種類の数だけ消毒乾燥装置1、201、301を用意しておく。
【0182】
この場合、収納空間60、260、360内に収納する厨房用品Wの種類に合わせて、実施形態1の消毒乾燥装置1、変形例1の消毒乾燥装置201、変形例2の消毒乾燥装置301のいずれかを選択することが可能である。
【0183】
これにより、厨房用品Wの形状や質量、量、消毒や乾燥のしやすさに合わせて消毒乾燥装置1、201、301を選択することができ、より効果的に収納ステップ、第1の移動ステップ、加熱循環ステップ、第2の移動ステップ、および取出しステップを行うことができる。
【0184】
収納ステップにおいては、厨房用品Wの種類ごとに洗浄する場所が異なる場合、洗浄した後の厨房用品Wの種類に合わせて消毒乾燥装置1、201、301を配置して、円滑に厨房用品Wを適切な消毒乾燥装置1、201、301へと収納し、消毒し乾燥することができる。
【0185】
また、収納ステップにおいて、異なる種類の厨房用品Wを1つの洗浄装置で洗浄した場合、洗浄装置の出口付近に消毒乾燥装置1、201、301を複数台配置して、厨房用品Wを適切な消毒乾燥装置1、201、301へと円滑に収納し、消毒し乾燥することができる。
【0186】
そして、第2の移動ステップにおいては、収納される厨房用品Wの種類に合わせて、消毒乾燥装置1、201、301を異なる場所へと移動させることができ、次の取出しステップでは、取出しに適切な場所で厨房用品Wの取出しを行い、配膳作業に供することができる。
【0187】
これにより、洗浄後に消毒乾燥装置1、201、301に収納した食器等の厨房用品Wに直接触れることなく消毒し乾燥し、適切な場所に移動させることができる。そして、消毒し乾燥した複数の厨房用品Wに応じた適切な場所で、配膳作業に供することができる。
【0188】
なお、当然のことながら、第2の移動ステップと取出しステップの間に、再加熱循環ステップやさらなる移動ステップを行ってもよい。
【0189】
これにより、多種の厨房用品Wに対し、電源部55、255、355と電源線56、256、356を電源設備101、102等との接続を切り離したとしても、収納する厨房用品Wを継続的に消毒し乾燥し、厨房用品Wを消毒し乾燥する場所を柔軟に選択することができる
【0190】
また、消毒乾燥装置として実施形態1の消毒乾燥装置1を使用する場合は、右スプリング34および左スプリング44を収納する厨房用品Wの質量や高さに合わせることで、上端側の水平面を所定の高さ位置に確実に位置させることができる。
【0191】
さらに、収納空間60、260、360内に収納した厨房用品Wが加熱された空気に接触した際の温まりやすさに合わせて、加熱手段72、291、391および送風手段53、292、392の選定を行い、制御部54、254、354に回路を組み込むのが好ましい。
【0192】
これにより、洗浄後の厨房用品Wが多い場合にあっても、厨房用品Wを同時に大量に効果的に消毒し乾燥しつつ、施設内に設けた第1の電源設備101の近辺から複数台の消毒乾燥装置1、201、301を移動させ、限りのある第1の電源設備101の近辺の床面積を有効に使用することができる。加えて、電源線56、256、356と第1の電源設備101との接続を切り離したとしても収納する厨房用品Wを継続的に消毒し乾燥し、厨房用品Wを消毒し乾燥する場所を柔軟に選択することができる。
【0193】
なお、消毒し乾燥する厨房用品Wの種類の数より少ない数の消毒乾燥装置1、201、301を用意してもよい。
【0194】
なお、制御部54、254、354をプログラムを組み込むことができる機器により構成した場合には、収納空間60、260、360内に収納する厨房用品Wに合わせて設定を変更するようにしてもよい。
【0195】
なお、上記実施形態1、変形例1および変形例2に示す構成は構成要素の具体例を挙げたものである。各構成、形状、又は取り付け態様は本発明の趣旨を逸脱しない限り、実施形態1、変形例1および変形例2として示すものに限定されることなく、種々の変形ないし変更が可能である。
【符号の説明】
【0196】
1 消毒乾燥装置
2 本体部
3 操作部
4 車輪部
10 本体上部
11 右枠部
11a 右枠部内壁面(壁面)
12 左枠部
12a 左枠部内壁面(壁面)
13 奥枠部
13a 奥枠部内壁面(壁面)
14 収納開口
16 シャッターレール(扉部)
17 シャッター止め部(扉部)
18 シャッター(扉部)
18a 取手
20 本体下部
21 正面パネル(壁面)
22 正面扉
22a 取手
23 丁番
24 マグネット
25 受け板
31 右パネル(パネル)
32 右空間部
33 右吊下げ部(吊下げ部)
34 右スプリング(弾性部材)
41 左パネル(パネル)
42 左空間部
43 左吊下げ部(吊下げ部)
44 左スプリング(弾性部材)
51 背面パネル(パネル)
52 背面空間部
53 送風手段
54 制御部
55 電源部
56 電源線
60 収納空間
60a 冷却空間
60b 下部空間
61 右壁面(壁面)
61a スリット
62 左壁面(壁面)
62a スリット
63 隔壁面
64 上部開口パネル
65 上部開口
66 下部開口
67 底壁面
70 加熱空気流通路
71 流通路奥壁面
72 加熱手段
73 温度センサ
80 支持部
81 載置面
81a 流通開口
82 正面右側脚部
83 背面右側脚部
84 正面左側脚部
85 背面左側脚部
86 右支持部
86a 孔
87 左支持部
87a 孔
88 ガイドローラ
101 第1の電源設備(電源設備)
102 第2の電源設備(電源設備)
201 消毒乾燥装置
202 本体部
203 操作部
204 車輪部
222 正面扉(扉部)
222a 取手
223 丁番
231 右パネル(パネル)
241 左パネル(パネル)
254 制御部
255 電源部
256 電源線
260 収納空間
260a 冷却空間
260b 下部空間
261 右壁面(壁面)
261a 開口
262 左壁面(壁面)
262a 開口
263 奥側壁面
264 天板
264a 開口
265 上部開口
267 底壁面
271 右側加熱空気流通路
272 左側加熱空気流通路
280 パイプ棚(支持部)
281 載置面
290 上部空間
291 加熱手段
292 送風手段
301 消毒乾燥装置
302 本体部
303 操作部
304 車輪部
322 正面扉(扉部)
322a 取手
323 丁番
331 右パネル(パネル)
354 制御部
355 電源部
356 電源線
360 収納空間
360a 冷却空間
360b 下部空間
361 右壁面(壁面)
361a 開口
362 左壁面(壁面)
363 奥側壁面
364 天板
364a 開口
365 上部開口
367 底壁面
371 右側加熱空気流通路
380 パイプ棚(支持部)
381 載置面
390 上部空間
391 加熱手段
392 送風手段
W 厨房用品(被消毒乾燥物)