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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049323
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】自走式床清掃装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 11/282 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
A47L11/282
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158993
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】箱守 大典
(72)【発明者】
【氏名】吉田 大輔
(57)【要約】
【課題】装置の旋回半径を小さくして壁際等の床面の清掃を可能としつつ、1走行あたりの清掃幅の狭小化を抑制することのできる自走式床清掃装置を提供する。
【解決手段】自走式床清掃装置は、床面を自走するための走行部2と清掃パッド33とを有し、清掃パッド33を待機位置から清掃位置に下降させて床面に接触させ且つ回転させることで床面の清掃を行い、清掃パッド33を前記清掃位置からさらに下降させるように駆動することで走行部2を床面から浮かせ、その後、清掃パッド33を回転させるように駆動することで走行方向を変更するように構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面を自走するための走行部と清掃パッドとを有し、前記清掃パッドを待機位置から清掃位置に下降させて前記床面に接触させ且つ回転させることで前記床面の清掃を行い、前記清掃パッドを前記清掃位置からさらに下降させるように駆動することで前記走行部を前記床面から浮かせ、その後、前記清掃パッドを回転させるように駆動することで走行方向を変更するように構成されている、自走式床清掃装置。
【請求項2】
前記床面の清掃は自走しながら行い、走行方向の変更は自走を停止して行う、請求項1に記載の自走式床清掃装置。
【請求項3】
走行方向の変更後、前記清掃パッドを上昇させるように駆動することで前記清掃パッドを前記待機位置から前記清掃位置に下降させたときの状態に戻し且つ回転させることで前記床面の清掃を再開する、請求項1又は2に記載の自走式床清掃装置。
【請求項4】
上下方向に延びると共に下端部に前記清掃パッドが取り付けられた駆動シャフトと、
前記駆動シャフトを上下方向に進退させること及び回転させることが可能なシャフト駆動部と、
を含み、
前記シャフト駆動部が前記駆動シャフトを下方の第1進出位置まで進出させることで前記清掃パッドを前記待機位置から前記清掃位置に下降させて前記床面に接触させ、その状態で前記シャフト駆動部が前記駆動シャフトを回転させて前記清掃パッドを回転させることで前記床面の清掃を行い、
前記シャフト駆動部が前記駆動シャフトを前記第1進出位置からさらに下方に進出させて前記清掃パッドを前記清掃位置からさらに下降させるように駆動することで前記走行部を前記床面から浮かせ、その状態で前記シャフト駆動部が前記駆動シャフトを回転させて前記清掃パッドを回転させるように駆動することで走行方向を変更する、
請求項1~3のいずれか一つに記載の自走式床清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走しながら床面の清掃を行う自走式床清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自走式床清掃装置の一例として、特許文献1には、床面の清掃等を行う装置であって、動力を備えた車輪を有し、全体として360度の旋回をすることが可能な装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-212467公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自走式床清掃装置の多くは、自走するための駆動輪と、床面に接触させるパッドやブラシなどの清掃具とを有している。また、自走式床清掃装置の中には、左右の駆動輪を逆転させて旋回する、いわゆる超信地旋回を行って方向転換するものがある。超信地旋回は、装置の旋回半径が小さくなり、その結果、壁際の床面などの、装置が清掃することができない(清掃具が届かない)範囲を小さくすることができるからである。
【0005】
ここで、超信地旋回による方向転換が可能な自走式床清掃装置において、装置の旋回半径が小さい状態を維持するためには、装置の概略底面図の一例である図10に示されるように、左右の駆動輪間の中央位置(すなわち、超信地旋回の中心)が装置本体の中心近傍に位置するように左右の駆動輪を配置すると共に、清掃具を左右の駆動輪の間(つまり、超信地旋回の中心又はその近傍)に配置する必要がある。しかし、そのような左右の駆動輪や清掃具の配置は、装置全体の不安定化を招きやすい。また、清掃具の大きさが制限されてしまい、装置全体の大きさに対する清掃具の大きさが小さくならざるを得ない。換言すれば、超信地旋回による方向転換が可能な自走式床清掃装置では、装置全体が不安定になりやすくなると共に、装置の大きさに対して装置の1走行あたりの清掃幅が狭く、清掃効率が悪いという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、装置の旋回半径を小さくして壁際等の床面の清掃を可能としつつ、1走行あたりの清掃幅の狭小化や装置全体の不安定化を抑制することのできる自走式床清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、自走式床清掃装置は、床面を自走するための走行部と清掃パッドとを有し、前記清掃パッドを待機位置から清掃位置に下降させて前記床面に接触させ且つ回転させることで前記床面の清掃を行い、前記清掃パッドを前記清掃位置からさらに下降させるように駆動することで前記走行部を前記床面から浮かせ、その後、前記清掃パッドを回転させるように駆動することで走行方向を変更するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置の旋回半径を小さくして壁際等の床面の清掃を可能としつつ、1走行あたりの清掃幅の狭小化や装置全体の不安定化を抑制することのできる自走式床清掃装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る自走式床清掃装置の斜視図である。
図2】前記自走式床清掃装置の模式的な底面図である。
図3図1におけるA-A断面図に相当する図であり、前記自走式清掃装置の内部の要部を示す図である。
図4】前記自走式床清掃装置の制御系構成を示すブロック図である。
図5】清掃ユニットの斜視図である。
図6】清掃ユニットの動作の一例を説明するための図である。
図7】自動清掃モードにおける前記自走式床清掃装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図8】自動清掃モードにおける前記自走式床清掃装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】前記自走式床清掃装置の効果の1つを説明するための図である。
図10】従来技術の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る自走式床清掃装置の斜視図であり、図2は、実施形態に係る自走式床清掃装置の模式的な底面図である。また、図3は、図1におけるA-A断面図に相当する図であり、実施形態に係る自走式床清掃装置の内部の要部を示しており、図4は、実施形態に係る自走式床清掃装置の制御系構成を示すブロック図である。なお、実施形態における自走式床清掃装置は、バッテリ等の電源を内蔵しているが、当該電源については図示及び説明を省略する。
【0012】
図1図4を参照すると、実施形態に係る自走式床清掃装置(以下単に「床清掃装置」という)1は、床面を自走するための走行部2を有する。走行部2は、床清掃装置1の下部に配置されている。本実施形態において、走行部2は、走行用モータ21,21と、走行用モータ21,21によって駆動される左右一対の駆動輪22,22と、左右一対の従動輪23,23とを含む。左右一対の駆動輪22,22は、床清掃装置1の下部後側に配置され、左右一対の従動輪23,23は、床清掃装置1の下部前側に配置されている。そして、走行用モータ21,21が制御部10の制御に基づき一対の駆動輪22,22を駆動する(回転させる)ことにより、床清掃装置1が床面を走行する。なお、ここでは、左右一対の従動輪23,23が設けられているが、これに限られるものではなく、従動輪は1つであってもよい。
【0013】
また、実施形態に係る床清掃装置1は、床面を清掃するための清掃ユニット3を内部に有している。清掃ユニット3は、床清掃装置1の内部において、前後方向における左右一対の駆動輪22,22と左右一対の従動輪23,23との間に配置されている。図5は、清掃ユニット3の斜視図である。
【0014】
主に図3及び図5を参照すると、清掃ユニット3は、上下方向に延びる駆動シャフト31と、駆動シャフト31を駆動するシャフト駆動部32と、駆動シャフト31に取り付けられた清掃パッド33とを有する。
【0015】
シャフト駆動部32は、駆動シャフト31の上端側を収容している。シャフト駆動部32は、駆動シャフト31を上下方向に進退させること及び回転(回動を含む。以下同じ)させることが可能に構成されている。具体的には、本実施形態において、シャフト駆動部32は、駆動シャフト31を下方に進出させること、進出させた駆動シャフト31を上方に後退させること、及び任意の進出位置において駆動シャフト31を正転方向及び逆転方向のそれぞれに回転させることが可能に構成されている。シャフト駆動部32は、一例として、正転及び逆転が可能な駆動モータと、前記駆動モータの回転を駆動シャフト31に伝達する回転伝達機構と、前記モータの回転を駆動シャフト31の軸方向の直線運動に変換する変換機構と、前記駆動モータと前記回転伝達機構又は前記変換機構とを連結させる連結機構とを含んで構成され得る。但し、これに限られるものではなく、シャフト駆動部32は、駆動シャフト31を進退させる第1駆動部と、駆動シャフト31を回転させる第2駆動部とを別々に有してもよい。
【0016】
清掃パッド33は、平面視で円形に形成され、その中心部が駆動シャフト31の下端部に取り付けられている。清掃パッド33は、駆動シャフト31の下端部に固定されたパッド保持部331と、パッド保持部331の下面に取り外し可能に取り付けられたパッド部材332とで構成されている。パッド保持部331は、剛体として形成されている。パッド部材332は、床面に接触する部材であり、弾性体で形成されている。
【0017】
ここで、本実施形態において、清掃ユニット3は、床面を清掃するために用いられるだけではなく、床清掃装置1の走行方向を変更する場合にも利用される。以下、清掃ユニット3の動作を説明する。
【0018】
図6は、清掃ユニット3の動作の一例を説明するための図であり、図3に対応する図である。
【0019】
図6(a)は、床清掃装置1が床面の清掃を行わない場合の清掃ユニット3を示している。この場合、駆動シャフト31は、進出していない状態(以下「初期位置」という)にある。このとき、清掃パッド33は、床面の上方の待機位置に位置しており、清掃パッド33(パッド部材332)は、床面に接触していない。
【0020】
床清掃装置1が床面の清掃を行う場合、シャフト駆動部32が、制御部10の制御に基づいて、駆動シャフト31を前記初期位置から第1進出位置まで下方に進出させることで清掃パッド33を前記待機位置から清掃位置まで下降させて床面に接触させ(図6(a)→図6(b))、その状態で駆動シャフト31を回転させることで清掃パッド33を回転させる。つまり、清掃ユニット3は、清掃パッド33(パッド部材332)を床面に接触させた状態、さらに言えば、清掃パッド33(パッド部材332)を床面に押圧した状態で回転させる。
【0021】
床清掃装置1が走行方向を変更する場合、清掃ユニット3は、制御部10の制御に基づき次のように動作する。まず、シャフト駆動部32が駆動シャフト31を前記第1進出位置よりもさらに下方の第2進出位置に向かって進出させる。これにより、清掃パッド33は、床面に接触する前記清掃位置までは駆動シャフト31の進出に伴って下降し、床面に接触した後は駆動シャフト31の進出に伴い、清掃パッド33のパッド部材332がパッド保持部331と床面との間で圧縮される。そして、パッド部材332が圧縮限界に達すると、その後は、駆動シャフト31の進出に伴い、清掃ユニット3によって床清掃装置1が押し上げられる。つまり、清掃ユニット3は、清掃パッド33を前記清掃位置からさらに下降させるように駆動することで床清掃装置1を床面から持ち上げて、すなわち、走行部2を床面から浮かせた状態で床清掃装置1支持する(図6(c))。
【0022】
次いで、シャフト駆動部32が駆動シャフト31を所定の回転方向に所定の角度だけ回転させる。つまり、清掃ユニット3は、走行部2を床面から浮かせた状態で清掃パッド33を回転させるように駆動する。これにより、床清掃装置1が駆動シャフト31を中心に回転して床清掃装置1の走行方向が変更される。例えば、シャフト駆動部32が駆動シャフト31を第1方向に90°回転させることで床清掃装置1の走行方向を左向きに変更することができ、シャフト駆動部32が駆動シャフト31を第1方向と反対の第2方向に90°回転させることで、床清掃装置1の走行方向を右向きに変更することができる。
【0023】
そして、シャフト駆動部32が駆動シャフト31を後退させて前記進出していない状態又は前記第1進出位置まで戻す。すなわち、清掃ユニット3は、清掃パッド33を上昇させるように駆動する(図6(c)→図6(a)、図6(b))。これにより、浮いていた走行部2が床面に着地して床清掃装置1が走行可能な状態となり、床清掃装置1の走行方向を変更するための清掃ユニット3の動作が終了する。
【0024】
再び図1を参照すると、床清掃装置1の上部には、操作パネル4が設けられている。本実施形態において、操作パネル4は、各種情報が入力されると共に各種情報を表示可能なタッチパネル部41を有している。また、操作パネル4には、床清掃装置1の動作モードを選択するためのモード選択スイッチ42及び床清掃装置1を緊急停止させるための緊急停止ボタン43を含む各種操作部が配置されている。
【0025】
また、床清掃装置1の前面には、情報表示部51、3D距離画像センサ52、ドライブレコーダ53、超音波センサ54、測域センサ55及びバンパースイッチ56が上から下に向かってこの順で配置されている。
【0026】
情報表示部51は、床清掃装置1の状態、例えば、床清掃装置1が清掃中であることや床清掃装置1に異常が発生したことなどを表示することが可能に構成されている。3D距離画像センサ52及び測域センサ55は、主に床清掃装置1の前方側の所定範囲の形状データ等を取得するために利用される。3D距離画像センサ52及び測域センサ55は、床清掃装置1の前方の障害物を検知するためにも利用される。ドライブレコーダ53は、床清掃装置1の動作時の状況を記録(録画)することが可能に構成されている。超音波センサ54は、主に床清掃装置1の前方の障害物を検知するために利用される。バンパースイッチ56は、床清掃装置1が障害物等と接触(衝突)した場合にこれを検知して緊急停止信号を出力するように構成されている。
【0027】
床清掃装置1の動作は、制御部10によって統括的に制御される。例えば、モード選択スイッチ42により手動清掃モードが選択されると、制御部10は、床清掃装置1を手動清掃モードで動作させる。この場合、床清掃装置1の後部上側に設けられた左右一対のハンドル5,5が作業者によって把持され、また、制御部10は、作業者よる操作パネル4等を介した入力に基づいて床清掃装置1を動作させる。前記手動清掃モードにおいては、例えば、作業者が清掃開始指令を入力すると、制御部10は、清掃ユニット3のシャフト駆動部32を制御して清掃ユニット3による床面の清掃を開始させると共に走行部2の走行用モータ21,21を制御して床清掃装置1の走行を開始させる。また、作業者が走行方向の変更指令を入力すると、制御部10は、清掃ユニット3のシャフト駆動部32を制御して床清掃装置1の走行方向を前記変更指令に応じた方向に変更する。そして、作業者が清掃終了指令を入力すると、制御部10は、清掃ユニット3のシャフト駆動部32を制御して清掃ユニット3による床面の清掃を終了させると共に走行部2の走行用モータ21,21を制御して床清掃装置1の走行を停止させる。
【0028】
他方、モード選択スイッチ42により自動清掃モードが選択されると、制御部10は、床清掃装置1を自動清掃モードで動作させる。この場合、制御部10は、対象となる清掃エリアのマップ情報と、3D距離画像センサ52及び/又は測域センサ55で取得された情報とに基づいて床清掃装置1の位置(すなわち、自己位置)を推定し、予め作成された前記清掃エリアにおける清掃ルートに沿って床清掃装置1を走行させつつ、清掃ユニット3によって床面の清掃を行う。また、制御部10は、床清掃装置1の前方に障害物が検知された場合、床清掃装置1の走行を停止させて床清掃装置1を待機状態とし、その後、床清掃装置1の前方に障害物が検知されなくなると床清掃装置1の走行を再開させる。さらに、制御部10は、緊急停止ボタン43が操作され、又はバンパースイッチ56から前記緊急停止信号が入力されると、床清掃装置1を緊急停止させる。
【0029】
図7及び図8は、前記自動清掃モードにおける床清掃装置1の動作の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、例えば、対象となる清掃エリアにおける清掃ルートが作成された後、清掃開始指令が入力され又は清掃開始時刻になると開始される。
【0030】
ステップS1では、清掃ユニット3のシャフト駆動部32によって駆動シャフト31を前記初期位置から前記第1進出位置へと下方に進出させることにより、清掃パッド33を前記待機位置から前記清掃位置まで下降させる。つまり、清掃パッド33(パッド部材332)を床面に接触させる。
【0031】
ステップS2では、清掃ユニット3のシャフト駆動部32によって駆動シャフト31を回転させることにより、清掃パッド33を回転させる。
【0032】
ステップS3では、走行部2の走行用モータ21,21によって一対の駆動輪22,22を駆動することにより、走行を開始する。
【0033】
ステップS1~ステップS3により、床清掃装置1は、前記走行ルートに沿って移動しながら床面の清掃を行うことを開始する。
【0034】
ステップS4では、自己位置の推定を開始する。自己位置の推定は、上述のように、基本的には、前記清掃エリアのマップ情報と、3D距離画像センサ52及び/又は測域センサ55で取得された情報とに基づいて行われるが、他の方法によって自己位置の推定を行ってもよい。
【0035】
ステップS5では、前記清掃ルートと推定された自己位置とに基づき、自己(床清掃装置1)が走行方向を変更すべき地点(以下「走行方向変更地点」という)に到達したか否かを判定する。そして、前記走行方向変更地点に到達するとステップS6に進む。他方、前記走行方向変更地点に到達していない場合には、ステップS14に進む。
【0036】
ステップS6では、走行部2の走行用モータ21,21による一対の駆動輪22,22の駆動を停止して走行を停止する。ステップS7では、清掃ユニット3のシャフト駆動部32による駆動シャフト31の回転を停止して清掃パッド33の回転を停止させる。これにより、床清掃装置1は、前記走行ルートに沿って移動しながら床面を清掃することを中断する。
【0037】
ステップS8では、清掃ユニット3のシャフト駆動部32によって駆動シャフト31を前記第1進出位置よりもさらに下方の第2進出位置に向かって進出させる。すなわち、清掃パッド33を前記清掃位置からさらに下降させるように駆動する。これにより、床清掃装置1が清掃ユニット3によって持ち上げられ、走行部2(一対の駆動輪22,22及び一対の従動輪23,23)が床面から浮く。
【0038】
ステップS9では、現在の走行方向と変更後の走行方向とに基づいて清掃ユニット3の駆動シャフト31の目標回転角(回転方向及び回転角度)を設定する。
【0039】
ステップS10では、ステップS9で設定された目標回転角に基づき、清掃ユニット3のシャフト駆動部32によって駆動シャフト31を回転させる。すなわち、設定された目標回転角に基づき清掃パッド33を回転させるように駆動する。これにより、床清掃装置1の走行方向が変更される。
【0040】
ステップS11では、清掃ユニット3のシャフト駆動部32によって駆動シャフト31を前記第1進出位置まで後退させる。すなわち、清掃パッド33を上昇させるように駆動して清掃パッド33をステップS1の状態(前記待機位置から前記清掃位置まで下降させたときの状態)に戻す。これにより、ステップS8で床面から浮いた走行部2(一対の駆動輪22,22及び一対の従動輪23,23)が床面に着地(接触)する。
【0041】
ステップS12では、ステップS2と同様、清掃ユニット3のシャフト駆動部32によって駆動シャフト31を回転させることにより、清掃パッド33を回転させる。また、ステップS13では、走行部2の走行用モータ21,21によって一対の駆動輪22,22を駆動することにより、走行を再開する。これにより、床清掃装置1は、前記走行ルートに沿って移動しながら床面の清掃を行うことを再開する。
【0042】
ステップS14では、前記清掃ルートと推定された自己位置とに基づき、自己(床清掃装置1)が清掃終了地点に到達したか否かを判定する。清掃終了地点に到達していない場合にはステップS5に戻る。これにより、床清掃装置1は、前記走行ルートに沿って移動しながら床面の清掃を行うことを継続する。清掃終了地点に到達した場合にはステップS15に進む。
【0043】
ステップS15では、床面の清掃を終了する。すなわち、清掃ユニット3の駆動シャフト31を前記第1進出位置から前記初期位置へと上方に後退させて清掃パッド33を前記清掃位置から前記待機位置まで上昇させる。また、走行部2の走行用モータ21,21による一対の駆動輪22,22の駆動を停止する。
【0044】
図9は、実施形態に係る床清掃装置1の効果の1つを説明するための図であり、図2に対応する図である。図9(a)は、実施形態に係る床清掃装置1の旋回軌跡(最外郭)を示し、図9(b)は、実施形態に係る床清掃装置1が一対の駆動輪22,22を逆転させて超信地旋回を行った場合の旋回軌跡(最外郭)を示している。図9(a)、図9(b)を参照すると、実施形態に係る床清掃装置1の旋回半径は、一対の駆動輪22,22を逆転させて超信地旋回を行った場合の旋回半径に比べて明らかに小さい。したがって、実施形態に係る床清掃装置1によれば、左右一対の駆動輪を逆転させて超信地旋回を行う従来に比べて、壁際などにより近い床面を清掃することが可能である。
【0045】
以上説明したように、実施形態に係る床清掃装置1は、床面を自走するために走行部2と、床面を清掃するための清掃ユニット3を有する。走行部2は、走行用モータ21,21によって駆動される一対の駆動輪22,22を含み、清掃ユニット3は、駆動シャフト31と、シャフト駆動部32と、清掃パッド33とを含む。
【0046】
そして、床清掃装置1は、清掃パッド33を前記待機位置から前記清掃位置に下降させて清掃パッド33を床面に接触させ、且つ清掃パッド33を回転させることで床面の清掃を行うように構成されている。具体的には、シャフト駆動部32が駆動シャフト31を下方の第1進出位置まで進出させることにより、清掃パッド33を前記待機位置から前記清掃位置に下降させて前記床面に接触させ、その状態でシャフト駆動部32が駆動シャフト31を回転させて清掃パッド33を回転させることにより、床面の清掃を行う。
【0047】
また、床清掃装置1は、清掃パッド33を前記清掃位置からさらに下降させるように駆動することで走行部2を床面から浮かせ、その後、清掃パッド33を回転させるように駆動することで走行方向を変更するように構成されている。具体的には、シャフト駆動部32が駆動シャフト31を前記第1進出位置からさらに下方に進出させて清掃パッド33を前記清掃位置からさらに下降させるように駆動することにより、走行部2を床面から浮かせ、その状態でシャフト駆動部32が駆動シャフト31を回転させて清掃パッド33を回転させるように駆動することにより、走行方向を変更する。
【0048】
このため、実施形態に係る床清掃装置1によれば、装置の旋回半径を従来に比べて小さくすることができ、壁際等により近い床面を清掃することが可能である。また、床清掃装置1は、駆動シャフト31、すなわち、円形の清掃パッド33の中心を旋回中心として旋回するため、装置の旋回半径の増加を防止しつつ、駆動輪22,22と清掃パッド33とをずらして配置することができる。このため、装置全体を安定化させることができると共に、従来に比べて清掃パッド33を大きくするこができ、1走行あたりの清掃幅の狭小化も抑制される。
【0049】
なお、以上では説明を省略したが、実施形態に係る床清掃装置1は、床面の清掃時に床面に洗浄水を散布する洗浄水散布ユニット及び清掃後の汚水を回収する汚水回収ユニットを有してもよい。この場合、床清掃装置1は、前記走行ルートに沿って移動しながら床面の清掃を行っているときに、前記洗浄水散布ユニット及び前記汚水回収ユニットを動作させるように構成されればよい。
【0050】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上述の実施形態や変形例に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらなる変形及び変更が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0051】
1…自走式床清掃装置、2…走行部、3…清掃ユニット、10…制御部、21…走行用モータ、22…駆動輪、23…従動輪、31…駆動シャフト、32…シャフト駆動部、33…清掃パッド、331…パッド保持部、332…パッド部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10