(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049331
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】外構構造体
(51)【国際特許分類】
E04H 17/16 20060101AFI20230403BHJP
E05D 7/081 20060101ALI20230403BHJP
E05F 5/00 20170101ALI20230403BHJP
【FI】
E04H17/16 104
E05D7/081
E05F5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159005
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】世古口 雅利
(72)【発明者】
【氏名】小坂部 裕介
【テーマコード(参考)】
2E030
2E142
【Fターム(参考)】
2E030BB00
2E030HA02
2E030HB01
2E030HC01
2E030HD02
2E030HE01
2E142AA01
2E142HH01
2E142JJ06
(57)【要約】
【課題】強風などの大きな外力が扉に加わる場合でも、扉の支持部の損傷防止効果を高くできる外構構造体を提供する。
【解決手段】外構構造体10aは、複数の支柱12,13,14と、複数の支柱の正面側に固定された表面下地材15と、複数の支柱の上部に設けられた天板18とを含み、後端に開口を有する収納部11aが形成される。収納部の開口端には扉40を設けることが可能である。第1支柱14の上部及び下部には2つのヒンジ60,61が取付けられる。各ヒンジは、第1支柱の内側横面に取付けられる第1取付け面を有する側面取付け部と、第1支柱の後面F1に取付けられる第2取付け面を有する後面取付け部と、後面取付け部から後方に延びる延伸部とを有する。延伸部と扉との一方には、上下方向に延伸するボス部が設けられ、延伸部と扉との他方に設けられた穴部にボス部が係合して扉を開閉するように摺動する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に間隔をあけて立設された複数の支柱と、
前記複数の支柱及び前記複数の支柱の間の正面側を覆うように前記複数の支柱の正面側に固定された表面下地材であって、正面側に化粧材を固着可能な表面下地材と、
前記複数の支柱の上部に設けられた天板と、を備え、
後端に開口を有する収納部が形成された、外構構造体であって、
前記収納部の開口端には前記開口を覆う扉を設けることが可能であり、
前記複数の支柱のうち、第1支柱の上部及び下部には2つのヒンジが取付けられ、
前記2つのヒンジのそれぞれは、
前記第1支柱の内側横面に取付けられる第1取付け面を有する側面取付け部と、
前記第1支柱の後面に取付けられる第2取付け面を有する後面取付け部と、
前記後面取付け部から後方に延びる延伸部と、を有し、
前記延伸部と前記扉の上端部または下端部との一方には、上下方向に延伸するボス部が設けられ、前記延伸部と前記扉の上端部または下端部との他方に設けられた穴部に前記ボス部が係合して前記扉を開閉するように摺動する、
外構構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の外構構造体において、
前記第1支柱の後面において、2つのヒンジの間の位置に戸当たりゴムが取り付けられ、前記扉が開動作したときに、前記扉の前記ヒンジ側端部に前記戸当たりゴムを突き当て可能である、
外構構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外構構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載されているように、住宅棟の建物等の門部、すなわち敷地などの内外を区画する門部に、外構構造体としての門柱を配置することが考えられる。門柱は、複数の縦フレーム(支柱)と、横方向の両端に設けられた複数の縦フレームを接続する横フレームと、複数の縦フレームの上端に設けられた天板と、複数の縦フレームの一方面側に設けられた化粧パネルとを含んでいる。門柱の化粧パネルには後端に開口を有する中空部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
門柱として使用される外構構造体として、横方向に間隔をあけて立設された複数の支柱と、複数の支柱及び複数の支柱の間の正面側を覆うように複数の支柱の正面側に固定された表面下地材であって、正面側に化粧材を固着可能な表面下地材と、複数の支柱の上部に設けられた天板とを含む構造が考えられる。この構造では、後端に開口を有する収納部が形成される。このような外構構造体は、屋外に設置されるため、収納部の開口を覆うように開閉可能な扉を設けた場合において、強風などの大きな外力が扉に加わるときに、扉に設けたヒンジの支持部に高い負荷がかかる可能性がある。この場合に、従来から知られている扉の支持構造を採用しただけでは、扉の支持部の損傷防止効果を高くする面から改良の余地がある。
【0005】
本開示の目的は、後端に開口を有する収納部を覆う扉を設ける構造において、強風などの大きな外力が扉に加わる場合でも、扉の支持部の損傷防止効果を高くできる外構構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の外構構造体は、横方向に間隔をあけて立設された複数の支柱と、複数の支柱及び複数の支柱の間の正面側を覆うように複数の支柱の正面側に固定された表面下地材であって、正面側に化粧材を固着可能な表面下地材と、複数の支柱の上部に設けられた天板と、を備え、後端に開口を有する収納部が形成された、外構構造体であって、収納部の開口端には開口を覆う扉を設けることが可能であり、複数の支柱のうち、第1支柱の上部及び下部には2つのヒンジが取付けられ、2つのヒンジのそれぞれは、第1支柱の内側横面に取付けられる第1取付け面を有する側面取付け部と、第1支柱の後面に取付けられる第2取付け面を有する後面取付け部と、後面取付け部から後方に延びる延伸部と、を有し、延伸部と扉の上端部または下端部との一方には、上下方向に延伸するボス部が設けられ、延伸部と扉の上端部または下端部との他方に設けられた穴部にボス部が係合して扉を開閉するように摺動する、外構構造体である。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る外構構造体によれば、後側に開口する収納部を覆う扉を設ける構造において、2つのヒンジの側面取付け部が第1支柱の内側横面に取り付けられ、各ヒンジの後面取付け部が第1支柱の後面に取り付けられる。さらに、各ヒンジの延伸部と扉との間に設けたボス部と穴部との係合構造で扉が開閉可能となる。これにより、扉の支持強度をより高くできるので、扉に強風などの大きな外力が加わる場合でも、扉の支持部の損傷防止効果を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の外構構造体において、外面に表面化粧材を固着した状態を、正面側から見た斜視図である。
【
図2】実施形態の外構構造体において、表面化粧材の固着前の状態を、正面側から見た斜視図である。
【
図3A】
図2に示す外構構造体を、扉を閉じた状態で後側から見た斜視図である。
【
図3B】
図3Aにおいて、扉を開いた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3Aに示す外構構造体を、下端の脚部分も含めて後側から見た図である。
【
図5】
図4に示す外構構造体を右側から見て、一部を透視して示す図である。
【
図6A】扉の収納部側である内側から見た図である。
【
図9】ヒンジ取り付け側の支柱の後面に固着される切面隠し部材を示す図である。
【
図10】扉の上下両端部と2つのヒンジとの関係を扉外側から見た図である。
【
図11】扉の上端部と上側のヒンジとの関係を扉上側から見た場合の透視図である。
【
図12】扉の上下両端部と2つのヒンジとの関係を扉の支持側端から扉の幅方向に沿って見た場合の透視図である。
【
図16】上側のヒンジを側面取付け部の外側から厚み方向に見た図である。
【
図18】扉の開閉動作における複数の扉位置とヒンジとの関係を上から見て一部を透視して示す図である。
【
図19】扉の開動作時において、扉の回転位置が戸当たりゴムで制限される状態を示す図であって、扉の支持部を上から見て一部を透視して示す図である。
【
図20】表面化粧材が固着された外構構造体の後側から見た図(a)と、(a)の状態から一部の支柱から表面化粧材を剥いだ状態を示す図である。
【
図21】
図20(b)の状態から、パネルを剥いだ支柱に切面隠し部材を固着した状態を示す図である。
【
図22】
図21の状態から、表面化粧材を剥いだ支柱に扉を取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本開示の実施形態を説明する。以下で説明する形状、材料、位置及び個数は、説明のための例示であって、外構構造体の仕様に応じて適宜変更することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0010】
以下の説明及び図面で、Fは、外構構造体の正面側であり、Bは、外構構造体の後側である。Rは、外構構造体を正面側Fから見た場合の右側であり、Lは、同じく左側であり、R及びLを結ぶ方向と、F及びBを結ぶ方向とは互いに直交する。F及びBを結ぶ方向は前後方向と記載する場合がある。
【0011】
図1は、実施形態の外構構造体10において、外面に表面化粧材25,26を固着した状態を、正面側から見た斜視図である。
図2は、実施形態の外構構造体10aにおいて、表面化粧材の固着前の状態を、正面側から見た斜視図である。
図3Aは、外構構造体10aを、扉40を閉じた状態で後側から見た斜視図である。
図3Bは、
図3Aにおいて、扉40を開いた状態を示す斜視図である。
図4は、外構構造体10aを、下端の脚部分も含めて後側から見た図である。
図5は、外構構造体10aを右側から見て、一部を透視して示している。
【0012】
図1は、門部に外構構造体10を設置した状態を示しており、例えば屋外で住宅等の建物が設置された敷地において、玄関から道路に続くアプローチの隣、またはアプローチの道路に近づいた位置に外構構造体10が設置される。このとき、外構構造体10の後側がアプローチに向くようにしてもよい。また、外構構造体10の下端部には、埋め込み用の脚12a、13a、14a(
図3A~
図5)が上下方向に延びており、その脚12a、13a、14aがコンクリート製の設置部100に埋設されている。
【0013】
図2~
図5に示す外構構造体10aは、製造メーカーで製造される基本構造であり、製造メーカーからは、この外構構造体10aの状態で出荷され、設置場所で施工業者によって設置部100に脚12a、13a、14aが埋設された状態で設置されると共に、周囲の外面に表面化粧材25、26が固着される。
【0014】
外構構造体10,10aは、少なくとも地上に配置される部分がいわゆる乾式構造である外構として使用される。乾式構造とは、コンクリートのように溶融状態のコンクリートを設置現場で固めることはしない構造である。
【0015】
外構構造体10,10aは、壁としての機能を有し、内側にポスト(図示せず)を設置可能であり、後側Bには異なる収納部を選択的に形成可能な後側空間11a、11bが形成される。外構構造体10に固着された表面化粧材25、26の正面等には、表札やインターホンを取り付け可能としてもよい。表面化粧材の上側を形成する部分として、表札が表示された上側化粧材を取り付け可能としてもよい。外構構造体10の上端には笠木部材30(
図1)が取り付け可能である。
【0016】
図2~
図5に示す外構構造体10aの構造をさらに詳しく説明する。外構構造体10aは、横方向である左右方向に間隔をあけて立設された3つの支柱12,13,14と、表面下地材15と、天板18とを含んで形成される。支柱12,13,14は、例えば鉄、鋼、アルミニウム合金等の金属により、断面矩形の中空の筒状に形成される。支柱12~14の上下方向に対し直交する平面についての断面形状は、前後方向に長い矩形状としてもよい。上記の埋め込み用の脚12a,13a,14aは、支柱12,13,14のうち、後述の表面下地材15より下側に突出した部分により形成される。さらに、複数の支柱12,13,14のうち、右端の支柱14の後端部には、扉40が回動可能に取り付けられる。右端の支柱14は、第1支柱に相当する。
【0017】
表面下地材15は、例えば鉄、鋼、アルミニウム合金等から形成される金属板としてもよい。例えば、表面下地材15は、溶融亜鉛合金、溶融亜鉛、アルミニウムでメッキされた鋼板から形成される。表面下地材15は、3つの支柱12,13,14及び3つの支柱12,13,14の間の正面側Fを覆うように3つの支柱13,14の正面側Fに固定される。表面下地材15は、複数の金蔵板が上下方向または左右方向に並んで溶接等により接合され、1つの金属板として形成されてもよい。表面下地材15は、支柱12,13,14にボルト及びナットで固定されたり、溶接で固定されてもよい。表面下地材15の正面側Fには、
図1に示すように表面化粧材25が接着等により固着可能である。
【0018】
表面下地材15の上部で左側Rには、ポストの投函口と整合する下地孔16が形成される。
図1のように表面下地材15の正面に表面化粧材25が設けられた状態で、表面化粧材25には下地孔16の内側を露出させるように、下地孔16と整合する表孔17が設けられる。
【0019】
天板18は、複数の支柱12,13,14の上部に固定されて設けられる。天板18は、例えば鉄、鋼、アルミニウム合金等の金属製である。天板18は、支柱12,13,14にボルト及びナットで固定されたり、溶接で固定されてもよい。表面下地材15の上端部は、この天板18の正面に取り付けられる。この状態で、外構構造体10の後側Bには、上側が天板18で覆われ、左右方向両側が3つの支柱12,13,14の2つの支柱で覆われ、正面側Fが表面下地材15で覆われた右左2つの後側空間11a、11bが形成される。2つの後側空間11a,11bは、中間の支柱13で互いに仕切られる。
【0020】
2つの後側空間11a,11bのうち、右の後側空間11aには、後端に開口を有する収納部33が形成される。左の後側空間11bの上部には、横桟としての横板21が2つの支柱12,13の内面にかけ渡すように固定される。このため、後側空間11bは、2つの収納部34,35に分けられる。上の収納部34の下地孔16に対向する位置にはポストが設置可能である。下の収納部35には宅配ボックスが収納されてもよい。
【0021】
右の後側空間11a内に横板を設けて、内部を後端に開口を有する複数の収納部に仕切ることもできる。左の後側空間11bにさらに横板を設けて、内部に3つ以上の収納部を形成することもできる。さらに、右の後側空間11aの開口端は、右端の支柱に取り付けられた、開閉可能な扉40で覆われる。扉40及び扉40の支持構造は、後で詳しく説明する。
【0022】
一方、左の後側空間11bは扉で覆われない。右の後側空間11aが扉40で覆われることにより、その後側空間11aには、ホースなどの汚れた物品や、傘などの濡れた物品を収納することが可能であり、外側からの見栄えを向上することができる。また、右の後側空間11aが扉40で覆われることにより、右の後側空間11aに電気自動車、電動自転車の充電用の充電ケーブル、充電器等、雨水で濡れることを防止する必要がある電気機器等の物品を収納することも可能である。
【0023】
3つの支柱12,13,14の後面の上端部には、裏板20が固定され、各後側空間11a、11bの上部の後側Bを覆っている。裏板20は、例えば鉄、鋼、アルミニウム合金等の金属製である。裏板20は、各支柱12,13,14にボルト及びナットで固定されたり、溶接で固定されてもよい。外構構造体において、裏板20は、省略されてもよい。
【0024】
外構構造体10,10aは、屋外で使用されるので、外構構造体10,10aを形成する金属は、耐腐食性を有する金属とすることができる。
【0025】
図4、
図5では、一点鎖線GLにより、各支柱12~14の下端が埋め込まれる設置部100の上面であるグランドラインを示している。また、
図4では、説明のために、扉40の左端部の上下方向中間部を破断して示しており、扉40を吸着する後述のマグネットキャッチ52が見えるようにしている。
【0026】
図6Aは、扉40の収納部33側である内側から見た図である。
図6Bは、扉40の
図6AのA-A断面図である。
図7は、扉40の補強部材46を示す図であり、
図8は、
図7の補強部材46を下から見た図である。
【0027】
扉40は、上下方向に長い略矩形状であり、金属板を曲げ加工する等により形成される。扉40の周縁部には、
図6A、
図6Bに示すように、収納部33側(
図6Aの紙面の表側、
図6Bの下側)に略直角に曲げられた後、幅方向内側、または長手方向内側に向かって略直角に曲げられ、その先端部がさらに扉40の本体外側(
図6Aの紙面の裏側、
図6Bの上側)に向かって略直角に曲げられる折り返し部41a、41b、41c、41dが形成される。このとき、幅方向両端の折り返し部41a、41bの上下方向両端には扉40の本体外側に曲げる部分は形成されず、その上下方向両端が、上下方向両端で幅方向に延びる折り返し部41c、41dの収納部側の外面に重ねられ、互いに溶接される。
【0028】
扉40の収納部33側の面の幅方向中央部には、
図7、
図8に示す補強部材46が固定される。補強部材46は、金属板により、断面矩形で上下方向に長尺な箱形で、幅方向両端の開口周縁部に幅方向外側に伸びるフランジ47を有する形状に形成される。補強部材46は、各フランジ47が扉40の内面に溶接等により固定される。これにより、扉40が長尺状となるのにもかかわらず、扉40の必要な剛性を確保できる。また、扉40の幅方向一端部(
図6Aの右端部)の上端面及び下端面には、上下方向に貫通する穴部42,43(後述の
図11参照)が設けられ、各穴部42,43に、右端の支柱14に固定された後述のヒンジ60,61のボス部70が挿入され係合することで、扉40がボス部70を中心として回動可能となり、それによって扉40の開閉が可能となる。
【0029】
さらに扉40の幅方向他端部(
図3Aの右端部)にはワンロック錠53が設けられ、ユーザがワンロック錠53の掴み部を回転させることでラッチが中間の支柱13、またはこの支柱13に固定された部材に係合して扉40の閉鎖状態が維持される。なお、ワンロック錠53の代わりに、またはワンロック錠53と共に、鍵で解錠する南京錠により扉40が施解錠される構成としてもよい。
【0030】
さらに、
図4において扉40の一部を破断させて示すように、中間の支柱13の後面の上下方向中間部にはマグネットキャッチ52を取り付けて、扉40を閉鎖したときに扉40がマグネットキャッチ52に吸着され閉状態を維持できるようにしている。このような扉40は、簡易な構造であり、後述の表面化粧材25,26,27,28(
図1、後述の
図20~
図22参照)を取り付けて外構構造体10aを構成した後で、後付けで取り付けることもできる。
【0031】
図2~
図5に示した外構構造体10aでは、上記のように表面下地材15の正面側Fを覆うように、表面下地材15に表面化粧材25が固着される。表面化粧材25は、例えば外面にレンガ調等の意匠が施される。例えば、表面化粧材25は、樹脂製または金属製の板により形成される。表面化粧材25は、表面下地材15に接着により貼り付けたり、表面下地材15の裏側からネジで固定することができる。金属板により表面化粧材25を形成する場合に、外面に意匠が施された樹脂シートを金属板の表面に貼り付けることができる。表面化粧材25の外面は、模様が施されても、一色で統一されてもよい。また、表面化粧材は、表面下地材15の表面に貼り付けた複数のタイルにより形成してもよい。
【0032】
さらに、
図1及び後述の
図20~
図22のように、外構構造体10の両端の支柱12,14の左右方向両端の側面、裏板20の後面、及び、左右両端の支柱12,14の後面にも、それぞれ表面化粧材26、27,28が固着される。
図1では、右端の支柱14の右側の側面に表面化粧材26が固着されているが、左端の支柱12の左側の側面にも同様に表面化粧材(図示せず)が固着される。右端の支柱14の後面には上部にのみ表面化粧材28が固着され、中間部から下部にわたる部分には、金属板製の切面隠し部材50が固着される。
【0033】
図9は、切面隠し部材50を示している。切面隠し部材50は、長尺板状であり、右端の支柱14の後面に、ねじ止め、または接着等により固定される。一方、外構構造体10aの正面等の外面に表面化粧材25~28が固着され外構構造体10が構成された後、後付けで支柱14に扉40を取り付ける場合に、支柱14の後面に固着した表面化粧材28の一部を剥いでその後に支柱14の後面に、上記の切面隠し部材50を取り付けてもよい。切面隠し部材50は、その幅方向端部によって、支柱14の右側面に固着した表面化粧材26の切面としての後端面を覆って切面が外部に露出することをなくすか、または少なくする。これにより外構構造体10の意匠性向上を図れる。切面隠し部材50の幅を支柱14の後端面の幅より大きく、例えば8mm程度大きくして、その増大分をオーバーハング部として、表面化粧材26の切面を覆う構成としてもよい。
【0034】
また、
図4、
図5に示すように、右端の支柱14の後面F2において、後述の扉40支持用の2つのヒンジ60,61の間の上下2つの位置には、戸当たりゴム54が取り付けられる。各戸当たりゴム54は、例えば外径が根元端に向かって大きくなるテーパ面を有する柱状であり、中心を貫通するネジによって支柱14の後面に固定される。各戸当たりゴム54は、後述の
図19に示すように扉40が開動作したときに、扉40のヒンジ60側端部に突き当て可能に構成される。これにより、扉40と支柱14との間で人が指を詰めてしまう事故の発生防止の効果をより高くできる。戸当たりゴム54は、1つのみでも効果はあるが、複数個を設けることで事故の発生防止効果をより高くできる。例えば、2つの戸当たりゴム54が扉40の端部側面に当たってそれ以上の開動作を阻止することで戸当たりゴム54間の空間内に人の指が入ってしまった場合でも、その空間内に扉40が入り込んで指に当たることを防止できる。また、金属製の扉40が金属製の部材に衝突することを防止して扉40開放時の衝突音を抑制できる。
【0035】
さらに、外構構造体10では、天板18の上部に笠木部材30が取り付けられる。笠木部材30は上端面が水平面である。なお、笠木部材30として、上端面が水平面に対し傾斜した傾斜面である構造や、上端面が上側に凸となる構造を用いてもよい。
【0036】
上記のように外構構造体10,10aでは扉40が設けられるが、外構構造体10,10aが屋外に設置されるため、強風などの大きな外力が扉40に加わるときに、扉40の支持部に高い負荷がかかる可能性がある。この場合に、従来から知られている扉40の支持構造を採用しただけでは、扉40の支持部の損傷防止効果を高くする面から改良の余地がある。実施形態ではこのような不都合を解消するために、右端の支柱14の上部及び下部には、扉40を支持するための2つのヒンジ60,61が取り付けられる。各ヒンジ60,61は、支柱14の内側横面に取付けられる第1取付け面を有する側面取付け部と、支柱14の後面F2に取付けられる第2取付け面を有する後面取付け部と、を有する。
【0037】
具体的には、扉40の幅方向一端部は、支柱14の上部及び下部に取り付けられた2つのヒンジ60,61で回動可能に支持される。
図10は、扉40の上下両端部と2つのヒンジ60,61との関係を扉40外側から見た図である。
図11は、扉40の上端部と上側のヒンジ60との関係を扉40上側から見た場合の透視図である。
図12は、扉40の上下両端部と2つのヒンジ60,61との関係を扉40の支持側端から扉40の幅方向に沿って見た場合の透視図である。
図10~
図12では、各支柱の図示を省略している。
【0038】
以下、2つのヒンジ60,61の構造について、主に上側のヒンジ60で代表して説明する。以下、上側、下側のヒンジ60,61は、それぞれ上ヒンジ60、下ヒンジ61と記載する。
図13は、上ヒンジ60の斜視図である。
図14は、上ヒンジ60を上から見た図であり、
図15は、上ヒンジ60を後側から見た図である。
図16は、上ヒンジ60を側面取付け部62の外側から厚み方向に見た図である。上ヒンジ60は、金属板を曲げ形成することにより形成される。上ヒンジ60は、前後方向に延びる略矩形板状の側面取付け部62と、側面取付け部62の後端から略直角に曲げられて右側に延びる略矩形板状の後面取付け部64と、後面取付け部64の上端から略直角に曲げられて後方に延びる略台形板状の延伸部66とを有する。側面取付け部62の右面には、右端の支柱14の左側に向く内側横面F1(
図18)に取付けられる第1取付け面63を有する。後面取付け部64の後面には、支柱の後面F2(
図18)に取り付けられる第2取付け面65を有する。各取付け面63,65には複数の貫通孔67,68が形成され、各貫通孔67,68を貫通したネジ80(
図18)により、支柱14の上部の内側横面F1と後面F2とに側面、後面取付け部62,64がそれぞれ固定される。そして、延伸部66には上下方向に延伸する、より具体的には下側に延伸するピン形状のボス部70が設けられる。ボス部70は、例えば延伸部66に設けた上下方向の孔に、円柱状のピンが圧入または溶接等により固定されることにより形成される。そして、扉40の幅方向一端部の上端面に設けられた穴部42(
図12)に上ヒンジ60のボス部70が係合して、扉40を開閉するように穴部42内で摺動する。
【0039】
図17は、下ヒンジ61を後側から見た図である。下ヒンジ61は、延伸部66が、後面取付け部64の下端から略直角に曲げられて後方に延びることにより形成され、延伸部66に、上下方向に延伸する、より具体的には上側に延伸するボス部70が設けられること以外は、上ヒンジ60と略同一構造を有する。下ヒンジ61の側面取付け部62及び後面取付け部64の各取付け面63,65には複数の貫通孔67,68が形成され、各貫通孔67,68を貫通したネジにより、右端の支柱14の下部の内側横面F1(
図18)と後面F2(
図18)とに側面、後面取付け部62,64がそれぞれ固定される。
【0040】
そして、扉40の幅方向一端部の下端面に設けられた穴部43(
図12)に下ヒンジ61のボス部70が係合して、扉40を開閉するように穴部43内で摺動する。このとき、
図10、
図12に示すように、上下2つのヒンジ60,61のボス部70は、中心軸が一致するように上下方向に見て重なる位置に設けられる。各ヒンジ60,61の側面取付け部は前後方向に長い矩形板状としてもよい。各ヒンジ60,61の延伸部は、略矩形板状としてもよい。
【0041】
上記のように、2つのヒンジ60,61の側面取付け部62が支柱14の内側横面F1に取り付けられ、各ヒンジ60,61の後面取付け部64が支柱14の後面F2に取り付けられ、各ヒンジ60,61の延伸部66と扉40との間に設けたボス部70と穴部42,43(
図12)との係合構造で扉40が開閉可能となる。これにより、扉40の支持強度をより高くできるので、扉40に強風などの大きな外力が加わる場合でも、扉40の支持部の損傷防止効果を高くできる。
【0042】
図18は、扉40の開閉動作における複数の扉40位置と上ヒンジ60との関係を上から見て一部を透視して示している。扉40が矢印αで示すように閉状態から開動作した場合には、上ヒンジ60のボス部70に、扉40の穴部42から幅方向外側(矢印β方向)に押し出す方向の力が加わる。これにより、上ヒンジ60の後面取付け部64には、延伸部66を介して支柱14の後面F2から引き離す方向に力が加わる傾向となる。この場合でも、実施形態では、側面取付け部62が支柱14の内側横面F1に取り付けられているので、側面取付け部62と支柱14の内側横面F1との間に押し付け合う方向の力が加わることの効果も加わって、扉40の支持強度を高くでき、ヒンジ60,61が支柱14から剥がされたりヒンジ60,61が損傷することを抑制できる。これにより、扉40の支持部の損傷防止効果を高くできる。
【0043】
図19は、扉40の開動作時において、扉40の回転位置が戸当たりゴム54で制限される状態を示す図であって、扉40の支持部を上から見て一部を透視して示す図である。上記のように支柱14の後面F2には、2つの戸当たりゴム54が固定される。これにより、扉40が矢印αで示すように開動作した場合には、扉40の回動支持側の端部の側面が戸当たりゴム54に突き当たることで、扉40のそれ以上の開動作が阻止される。このため、扉40の最大開放時の外側面と支柱14の後面F2とのなす角度γを十分に大きくできる。したがって、2つの戸当たりゴム54の間の空間内に人の指が入ってしまった場合でも、その空間内に扉40が入り込んで指に当たることを防止できるので、指詰めの事故の発生防止効果を高くできる。
【0044】
図20は、表面化粧材26,27,28が固着された外構構造体10aに後付けで扉40を取り付ける場合において、外構構造体10aの後側から見た図(a)と、(a)の状態から一部の支柱14から表面化粧材28を剥いだ状態を示す図である。
図21は、
図20(b)の状態から、表面化粧材28を剥いだ支柱14に切面隠し部材50を固着した状態を示す図である。
図22は、
図21の状態から、表面化粧材28を剥いだ支柱14に扉40を取り付けた状態を示す図である。
【0045】
扉40、上ヒンジ60、下ヒンジ61及び戸当たりゴム54は、外構構造体10aの外面に表面化粧材を固着した後に、後付けで取り付けることができる。この場合、各ヒンジ60,61及び戸当たりゴム54の取り付けのために支柱14の後面F2から表面化粧材28の一部を剥がす必要があるが、そのときに支柱14の外側横面である右側面に固着した表面化粧材26(
図20(b))の切面としての後面が露出して見栄えが悪化する可能性がある。このために、実施形態では、支柱14の後面F2に金属板製の切面隠し部材50を取り付けて右側面の表面化粧材26の後面を覆う。具体的には、
図20(a)のように外構構造体10の後側に扉40が取り付けられていない状態から、
図20(b)のように右端の支柱14の後面F2の上下方向中間部から下端部にわたる部分の表面化粧材28を剥がす。その後、
図21に示すように支柱14の後面F2にネジ止め等により金属板製の切面隠し部材50を固着する。このとき、切面隠し部材50の幅方向右端部によって、支柱14の右側面に固着された表面化粧材26の後面が覆われて、この後面が露出することが抑制される。次いで、切面隠し部材50の外側等から上下2つのヒンジ60,61と2つの戸当たりゴム54とが支柱14の後面等にネジ止め固定され、扉40がヒンジ60,61を介して支柱14に取り付けられる。これにより、表面化粧材が固着された外構構造体10に後付けで扉40を取り付ける場合でも、外構構造体10の意匠性を向上できる。
【0046】
また、
図4で示したように、切面隠し部材50は、外構構造体10aの外面に表面化粧材を取り付ける前に、支柱14の後面F2に予め固着させていてもよい。この場合、外構構造体10aに扉40を取り付けた後に、外構構造体10aの外面の切面隠し部材50の固着部を除く部分に表面化粧材を取り付ける。
【0047】
また、外構構造体10,10aは、地上に配置される部分が乾式構造であるので、コンクリート製の壁で外構構造体を形成する場合に比べて、設置作業が容易である。さらに、外構構造体10,10aの主要部が金属製であるので、地震などで外構構造体10,10aが転倒する危険性を低くできる。
【0048】
上記の外構構造体10,10aによれば、後端に開口を有する収納部を覆う扉40を設ける構造において、強風などの大きな外力が扉40に加わる場合でも、扉40の支持部の損傷防止効果を高くできる。
【0049】
なお、上記では、ヒンジ60,61の延伸部66にボス部70を設けると共に、そのボス部70を扉40の穴部に係合する構成としているが、ヒンジ60,61の延伸部66に上下方向の穴部を形成し、扉40の上端部または下端部に上下方向に突出するように設けたボス部が、ヒンジ60,61の穴部に係合して扉40を開閉するように摺動する構成としてもよい。
【0050】
また、上記では、扉40が右端の支柱14に取り付けられて、右の収納部33の開口を扉40で覆っているが、右の扉40の代わりに、または右の扉40と共に、左端の支柱12に扉を取り付けて、左の収納部の開口を扉で覆う構成としてもよい。左端の支柱12にのみ扉を取り付ける場合、左端の支柱12が第1支柱に相当する。また、中間の支柱13に扉を、ヒンジを介して取り付けて、右または左の収納部の開口を扉で覆う構成としてもよい。この場合、中間の支柱13が第1支柱に相当する。また、外構構造体に設ける支柱を、左右方向両端の2つの支柱のみとしてもよい。例えば、2つのみ支柱がある場合に、一方の支柱の後端部にヒンジを介して扉を取り付けて、2つの支柱で左右両端を覆われた収納部の後端開口を扉で覆う構成としてもよい。
【0051】
また、ポストの投函口と整合する孔を表面下地材に形成する構成に限定せず、表面下地材に形成された大型の孔にポストの正面端部を露出させた構成としてもよい。
【0052】
また、外構構造体の各支柱の代わりに、左右方向複数位置で前後方向両端に離れて2つずつの角柱状の支柱を設けて、前後に離れた2つの支柱をパネルで連結し、上下方向に延伸する壁部または仕切り部を形成してもよい。その場合、壁部または仕切り部の後端に位置する1つの支柱の後端部にヒンジを介して扉を取り付け、2つの壁部、または壁部と仕切り部とで左右両端が覆われる収納部の開口を扉で覆う構成としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10,10a 外構構造体、11a,11b 後側空間、12,13,14 支柱、12a,13a,14a 脚、15 表面下地材、16 下地孔、17 表孔、18 天板、20 裏板、21 横板、25~28 表面化粧材、26,27 表面化粧材、30 笠木部材、33,34,35 収納部、40 扉、42,43 穴部、46 補強部材、47 フランジ、50 切面隠し部材、52 マグネットキャッチ、53 ワンロック錠、54 戸当たりゴム、60 ヒンジ(上ヒンジ)、61 ヒンジ(下ヒンジ)、62 側面取付け部、63 第1取付け面、64 後面取付け部、65 第2取付け面、66 延伸部、70 ボス部、80 ネジ、100 設置部。