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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049360
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/74 20180101AFI20230403BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20230403BHJP
【FI】
F24F11/74
F24F11/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159054
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】二渡 直樹
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】平松 美紀
(72)【発明者】
【氏名】白川 拓也
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA11
3L260AB02
3L260BA07
3L260BA13
3L260CA15
3L260CA37
3L260CB23
3L260CB65
3L260EA06
3L260EA22
3L260FA07
3L260FB12
3L260GA17
(57)【要約】
【課題】 機外静圧の設定を自動化する。
【解決手段】 制御装置6は、現時のファン特性と想定ファン特性とを比較して電動モータ9Bの制御に用いる制御モードを選択する。これにより、当該送風装置では、自動的な適切な機外静圧に対応した制御モードが選択され得る。延いては、当該送風装置では、作業者の経験と勘とに頼ることなく、機外静圧が設定される。なお、現時のファン特性とは、現時のファン駆動周波数と風量検出部10Bにより検出された現時の送風量との関係をいう。想定ファン特性とは、記憶部10Aに予め記憶されているファン駆動周波数と風量との関係を示す情報をいう。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に繋がるダクトに接続され、当該ダクトを介して空気を送風する送風装置において、
送風用のファンと、
前記ファンを回転させる電動モータと、
前記電動モータを駆動する駆動部と、
予め決められた複数の制御モードのうちいずれかの制御モードを用いて前記電動モータを制御する制御部であって、前記電動モータを制御するための指令信号を前記駆動部に向けて送信する制御部と、
複数の前記制御モードの中から前記電動モータの制御に用いる制御モードを選択する制御モード決定部と、
前記指令信号と送風量との関係を示す情報が予め記憶されている記憶部と、
前記送風量を検出する風量検出部とを備え、
現時の前記指令信号と前記風量検出部10Bにより検出された現時の送風量との関係を現時のファン特性とし、前記記憶部に記憶されている情報を想定ファン特性としたとき、
前記制御モード決定部は、現時のファン特性と想定ファン特性とを比較して前記電動モータの制御に用いる前記制御モードを選択する送風装置。
【請求項2】
室内に繋がるダクトに接続され、当該ダクトを介して空気を送風する送風装置において、
送風用のファンと、
前記ファンを回転させる電動モータと、
前記電動モータを駆動する駆動部と、
予め決められた複数の制御モードのうちいずれかの制御モードを用いて前記電動モータを制御する制御部であって、前記電動モータを制御するための指令信号を前記駆動部に向けて送信する制御部と、
複数の前記制御モードの中から前記電動モータの制御に用いる制御モードを選択する制御モード決定部と、
前記指令信号と前記電動モータの消費電力との関係を示す情報が予め記憶されている記憶部と、
前記電動モータの消費電力を検出する消費電力検出部とを備え、
現時の前記指令信号と前記消費電力検出部により検出された現時の消費電力との関係を現時のファン特性とし、前記記憶部に記憶されている情報を想定ファン特性としたとき、
前記制御モード決定部は、現時のファン特性と想定ファン特性とを比較して前記電動モータの制御に用いる前記制御モードを選択する送風装置。
【請求項3】
前記指令信号は、前記電動モータを駆動する際の駆動周波数であり、
複数の前記制御モードそれぞれは、最小駆動周波数及び最大駆動周波数が異なっている請求項1又は2に記載の送風装置。
【請求項4】
室内の温度を調節する空調装置において、
冷熱又は温熱を発生する熱交換器と、
前記熱交換器にて冷却又は加熱された空気を送風する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の送風装置と
を備える空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内に繋がるダクトを介して空気を送風する送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダクトを介して空気を送風するには、送風装置の吐出口、つまりダクトの入口において当該送風装置が発生する静圧(以下、機外静圧という。)が、ダクトで発生する圧力損失より大きな圧力である必要がある。
【0003】
このため、例えば、特許文献1に記載の送風装置では、「給気静圧と予め記憶されている最大静圧とを比較し、給気静圧が最大給気静圧よりも大きい場合に使用者に対して警報を発する機能」を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-280330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機外静圧は、送風装置が据え付けられる現場毎に異なる。換言すれば、同一仕様の送風装置であっても、据え付けられる現場毎が異なると、現実のファン特性も異なる。つまり、同一仕様の送風装置においてファンの回転数が同じであっても、現実の送風量が据え付け現場毎に異なってしまう。
【0006】
このため、従来では、据え付けられる現場毎に、据え付け作業者が手動にて、その据え付け現場に適した制御モードを選択することにより、設計時に設計者が想定したファン特性が得られるようにしている。
【0007】
なお、「制御モードを選択する」ことを「機外静圧を設定する」ともいう。このため、ビル用空調装置等においては、通常、機外静圧を設定するための設定部が設けられている。そして、作業者は、据え付け工事等の際に、適切な機外静圧を自ら選択して設定する。
【0008】
しかし、作業者が適切な機外静圧、つまりダクトで発生する圧力損失の大きさを選定することは難しいので、現状では、機外静圧の選択は、作業者の経験と勘とに頼らざるを得ない。本開示は、当該点に鑑みた送風装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
室内に繋がるダクトに接続され、当該ダクトを介して空気を送風する送風装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0010】
すなわち、当該構成要件は、送風用のファン(9A)と、ファン(9A)を回転させる電動モータ(9B)と、電動モータ(9B)を駆動する駆動部(9C)と、予め決められた複数の制御モードのうちいずれかの制御モードを用いて電動モータ(9B)を制御する制御部(6)であって、電動モータ(9B)を制御するための指令信号を駆動部(9C)に向けて送信する制御部(6)と、複数の制御モードの中から電動モータ(9B)の制御に用いる制御モードを選択する制御モード決定部(6)と、指令信号と送風量との関係を示す情報が予め記憶されている記憶部(10A)と、送風量を検出する風量検出部(10B)とを備え、制御モード決定部(6)は、現時のファン特性と想定ファン特性とを比較して電動モータ(9B)の制御に用いる制御モードを選択することである。
【0011】
なお、現時のファン特性とは、現時の指令信号と風量検出部(10B)により検出された現時の送風量との関係をいう。想定ファン特性とは、記憶部(10A)に記憶されている情報をいう。
【0012】
これにより、当該送風装置では、自動的な適切な機外静圧に対応した制御モードが選択され得る。延いては、当該送風装置では、作業者の経験と勘とに頼ることなく、機外静圧が設定される。
【0013】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る空調装置を示す図である。
図2】第1実施形態における制御モードの選択制御フローチャートである。
図3】指令信号(ファン駆動周波数)と送風量との関係を示す情報の図表である。
図4】第1実施形態に係る空調装置を示す図である。
図5】第1実施形態における制御モードの選択制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0016】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された空調装置は、少なくとも符号が付されて説明された構成要素、並びに図示された構造要素を備える。
【0017】
(第1実施形態)
<1.空調装置の概要>
本実施形態は、データセンターや通信機械室等のサーバ室の空調を行う空調装置に本開示に係る空調装置及び送風装置の一例が適用されたものである。なお、当該空調装置は、蒸気圧縮式冷凍機にて構成された、いわゆる「パッケージエアコン」である。
【0018】
図1に示される空調装置1は、サーバ室内の空調を行うための冷熱又は温熱(本実施形態では、冷熱)を生成する。当該空調装置1は、圧縮機2、凝縮器3、膨張弁4、蒸発器5、制御装置6、第1温度センサ7A~第4温度センサ7D、第1圧力センサ7E、第2圧力センサ7F、第1送風機8及び第2送風機9等を有している。
【0019】
圧縮機2は、低圧の気相冷媒を圧縮して凝縮器3に供給する。当該圧縮機2は、電動モータ(図示せず。)により駆動される。電動モータは、インバータ方式の駆動回路(図示せず。)に駆動される。駆動回路の作動は、制御装置6により制御される。
【0020】
駆動回路は、電動モータに駆動電流を供給するとともに、駆動電流の周波数(以下、圧縮機駆動周波数という。)を変更可能である、当該駆動回路は、制御装置6から指令周波数に応じた圧縮機駆動周波数の駆動電流を電動モータに供給する。つまり、圧縮機2の作動は、駆動回路を介して制御装置6により制御される。
【0021】
凝縮器3は、圧縮機2にて圧縮された高圧冷媒を冷却する高圧側熱交換器である。当該凝縮器3では、気相冷媒が冷却されて液化(凝縮)する。膨張弁4は、凝縮器3から流出した高圧冷媒を減圧・膨張させて蒸発器5に供給する。
【0022】
蒸発器5は、液相の低圧冷媒を蒸発させて冷熱を発生する。第1送風機8は、凝縮器3に冷却用の空気を送風する。第2送風機9は、蒸発器5を通過してサーバ室内に供給される気流を発生させる。
【0023】
すなわち、第2送風機9は、サーバ室内の空気を吸い込んで蒸発器5に供給するとともに、蒸発器5で冷却された空気をダクト(図示せず。)を介してサーバ室に供給する。ダクトは、蒸発器5からサーバ室内に繋がる空気通路を構成する部材である。
【0024】
当該ダクトは、いわゆる金属板にて構成されたダクトは勿論のこと、サーバ室の床下又は天井に構成された空気通路等も含む意味である。つまり、ダクトは、第2送風機9にて誘起された気流をサーバ室に導入するための空気通路を構成するものである。
【0025】
制御装置6には、第1温度センサ7A~第4温度センサ7D、第1圧力センサ7E及び第2圧力センサ7Fの検出信号が入力されている。第1温度センサ7Aは、蒸発器5にて冷却される前の空気の温度を検出する。第2温度センサ7Bは、当該蒸発器5にて冷却された後の空気の温度を検出する。
【0026】
第3温度センサ7Cは、蒸発器5の冷媒出口での冷媒温度を検出する。第4温度センサ7Dは、蒸発器5の冷媒入口での冷媒温度を検出する。第1圧力センサ7Eは、蒸発器5内の冷媒圧力を検出する。第2圧力センサ7Fは、圧縮機2の吐出圧力、つまり高圧冷媒の圧力を検出する。
【0027】
<制御装置>
制御装置6は、圧縮機2、第2送風機9及び膨張弁4の開度等を少なくとも制御する。つまり、制御装置6は、圧縮機制御部、膨張弁制御部及びファン制御部等を有する。当該制御装置6は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータにて構成されている。
【0028】
そして、ROM等の不揮発性記憶部に記憶されたソフトウェアがCPUにて実行されることにより、上記の各制御部が実現される。なお、圧縮機制御部は、圧縮機2の作動、つまり圧縮機駆動周波数を制御する。膨張弁制御部は膨張弁4の開度を制御する。ファン制御部は第2送風機9の作動を制御する。
【0029】
<圧縮機の制御>
圧縮機制御部、つまり制御装置6は、第2温度センサ7Bにより検出された温度(以下、吹出温度という。)が予め設定された温度(以下、吹出吸込設定温度という。)となるように圧縮機2の回転数を制御する。
【0030】
具体的には、制御装置6は、吹出温度が吹出設定温度より高い場合には圧縮機2の回転数を増大させ、吹出温度が吹出設定温度より低い場合には圧縮機2の回転数を減少させるように、圧縮機駆動周波数をPID制御する。
【0031】
<膨張弁の制御>
膨張弁制御部、つまり制御装置6は、蒸発器5の冷媒出口における冷媒の過熱度が予め決められた過熱度となるよう膨張弁4の開度を制御する。なお、制御装置6は、第3温度センサ7Cの検出温度と第1圧力センサ7Eの検出圧力から演算した蒸発温度との温度差を過熱度として把握する。
【0032】
<2.第2送風機の制御>
第2送風機9は、送風用のファン9A及び当該ファン9Aを回転させる電動モータ9Bを有して構成されている。そして、本実施形態では、第2送風機9に本開示に係る送風装置の一例が適用されている。
【0033】
当該送風装置は、第2送風機9、駆動回路9C及びファン制御部等を備えて構成されている。駆動回路9Cは、電動モータ9Bを駆動する駆動部である。なお、本実施形態に係る駆動回路9Cは、インバータ方式の駆動回路である。
【0034】
ファン制御部は、モータ制御部、制御モード決定部、風量検出部10B及び記憶部10A等を有している。なお、モータ制御部、制御モード決定部及び風量検出部10Bは、不揮発性記憶部に記憶されたソフトウェアがCPUにて実行されることにより実現される。
【0035】
記憶部10Aは、ダクトで発生する圧力損失をパラメータとしたときの指令信号と送風量との関係を示す情報(図3参照)が予め記憶された不揮発性記憶部である。なお、指令信号は、後述するファン駆動周波数と一致する周波数の信号である。
【0036】
風量検出部10Bは送風量を検出する。当該風量検出部10Bは、以下の手法にて送風量を演算する。すなわち、風量検出部10Bは、先ず、第3温度センサ7Cの検出温度と第4温度センサ7Dの検出温度と温度差、及び第1圧力センサ7Eの検出圧力を利用して蒸発器5の冷媒入口と冷媒出口との比エンタルピ差を演算する。
【0037】
次に、風量検出部10Bは、圧縮機2の駆動周波数、第1圧力センサ7Eの検出圧力、第2圧力センサ7Fの検出圧力、及び当該圧縮機2の特性を利用して質量流量を演算する。その後、風量演算部は、比エンタルピ差と質量流量とを乗算することにより蒸発器5で発生した冷凍能力を演算する。
【0038】
そして、風量検出部10Bは、上記の冷凍能力を空気の比熱、密度、及び蒸発器5を通過した空気の温度変化ΔT、つまり第1温度センサ7Aの検出温度と第2温度センサ7Bの検出温度と温度差で除算することにより風量を演算する。
【0039】
なお、サーバ室の空気は、温度及び相対湿度は、通常、予め決められた範囲に維持されているので、本実施形態では、空気の比熱及び密度として固定値が用いられている。
【0040】
<2.1 モータ制御部>
モータ制御部、つまり制御装置6は、駆動回路9Cを介して電動モータ9Bの作動を制御する。つまり、駆動回路9Cは、制御装置6から指令信号に応じた駆動周波数の駆動電流を電動モータ9Bに供給する。
【0041】
つまり、指令信号は、電動モータ9Bを駆動する際の駆動周波数と一致する周波数の信号である。そして、制御装置6は、制御モード決定部によって選択された制御モードの内容に従って指令信号を駆動回路9Cに向けて送信する。
【0042】
なお、指令信号は、電動モータ9Bの駆動周波数(以下、ファン駆動周波数という。)と一致する周波数の信号であるので、記憶部10Aに記憶されている情報とは、ファン駆動周波数と風量との関係を示す情報である。
【0043】
<2.2 制御モード決定部>
<制御モード決定部の概要>
制御モード決定部、つまり制御装置6は、予め決められた複数の制御モードの中から電動モータ9Bの制御に用いる制御モードを選択する。具体的には、制御装置6は、現時のファン特性と想定ファン特性とを比較して電動モータ9Bの制御に用いる制御モードを選択する。
【0044】
現時のファン特性とは、現時の指令信号、つまり現時のファン駆動周波数と風量検出部10Bにより検出された現時の送風量との関係をいう。想定ファン特性とは、記憶部10Aに記憶されている情報をいう。以下、記憶部10Aに記憶されている送風量を想定風量という。当該想定風量に対するファン駆動周波数を想定周波数という。
【0045】
<制御モード>
本実施形態に係る複数の制御モードそれぞれにおいては、ファン駆動周波数f1が圧縮機駆動周波数f2の関数値として決定され、かつ、ファン駆動周波数の最小値fmin及び最大値fmaxが設定されている。
【0046】
つまり、f1=Fn(f2)であり、かつ、fmin≦f1≦fmax なお、Fn(n=1、2、3・・・・)はf1を決定するための関数である。そして、関数Fnは、制御モード毎で決められた関数である。
【0047】
更に、ファン駆動周波数の最小値fmin及び最大値fmaxが制御モード毎で決められ、かつ、それらの値は制御モード毎に異なる。つまり、複数の関数Fn、最小値fmin及び最大値fmaxそれぞれは、機外静圧に対応したものである。
【0048】
なお、関数Fnの添え字nは機外静圧の大きさの度合いを示している。そして、nが大きくなるほど、設定すべき機外静圧が大きいことを意味する。このため、nが大きくなるほど、最小値fmin及び最大値fmaxは大きな値が選択されている。
【0049】
したがって、制御モードの数は関数Fnの数と一致する。このため、以下、複数の制御モードのうちいずれかの制御モードを制御モードn(n=1、2、3・・・・)と表記する。なお、添え字nは、関数Fnの添え字n(以下、テーブル番号nと記す。)に対応する。
【0050】
<制御モード決定部の詳細>
制御モード決定部は、モータ制御部の作動に対して独立して並列作動可能である。具体的には、制御モード決定部は、モータ制御部が作動している状態において、予め決められたタイミング(例えば、2~3時間間隔)で作動する。
【0051】
そして、制御モード決定部、つまり制御装置6は、現時のファン駆動周波数を想定周波数としたときの想定風量と現時の送風量とを比較する。具体的には、制御装置6は、想定風量に対して予め決められた範囲に現時の送風量が属するか否かを判断する。
【0052】
すなわち、現時の送風量が、上記範囲の下限値より小さい場合には、制御装置6は、現実の設定機外静圧より大きい機外静圧の制御モード、つまり、現時のテーブル番号nより1つ大きいテーブル番号nの制御モードを選択する。
【0053】
一方、現時の送風量が、上記範囲の上限値より大きい場合には、制御装置6は、現実の設定機外静圧より小さい機外静圧の制御モード、つまり、現時のテーブル番号nより1つ小さいテーブル番号nの制御モードを選択する。
【0054】
そして、現時の送風量が、上記範囲に属する場合には、現状の制御モードが維持される。なお、設定機外静圧が最も大きくなったとき、つまりテーブル番号nが最大値となった場合には、制御装置6は、警告を発する。
【0055】
図2は、制御モード決定部の作動概要を示す制御フローである。図2に示されるように、当該制御が起動されると、制御装置6は、現時の送風量を算出した後(S1)、現時の送風量が、上記範囲の下限値より小さいか否かを判断する(S2)。
【0056】
現時の送風量が、上記範囲の下限値より小さい場合には(S2:YES)、制御装置6は、現実の設定機外静圧より大きい機外静圧の制御モードを選択する(S3)。次に、制御装置6は、設定機外静圧が最も大きくなったか否かを判断する(S4)。設定機外静圧が最も大きくなった場合には(S4:YES)、制御装置6は、警告を発する(S5)。
【0057】
一方、現時の送風量が、上記範囲の下限値より小さくない場合には(S2:NO)、制御装置6は、現時の送風量が、上記範囲の上限値より大きいか否かを判断する(S6)。現時の送風量が、上記範囲の上限値より大きい場合には(S6:YES)、制御装置6は、現実の設定機外静圧より小さい機外静圧の制御モードを選択する(S7)。
【0058】
<3.本実施形態に係る空調装置(特に、第2送風機の制御)の特徴>
当該空調装置1によれば、制御装置6は、現時のファン特性と想定ファン特性とを比較して電動モータ9Bの制御に用いる制御モードを選択する。これにより、当該送風装置では、自動的な適切な機外静圧に対応した制御モードが選択され得る。延いては、当該送風装置では、作業者の経験と勘とに頼ることなく、機外静圧が設定される。
【0059】
(第2実施形態)
上述の実施形態では、現時のファン駆動周波数を想定周波数としたときの想定風量と現時の送風量とを比較した。これに対して、本実施形態では、現時のファン駆動周波数を想定周波数としたときの想定消費電力と現実の消費電力とを比較することにより、電動モータ9Bの制御に用いる制御モードを選択する。
【0060】
つまり、電動モータ9Bを同一のファン駆動周波数にて駆動した場合において、ダクトで発生する圧力損失が異なると、当該電動モータ9Bの回転数、つまり第2送風機9の動作点が変化する。このため、ダクトで発生する圧力損失が異なると、当該電動モータ9Bの消費電力が変化する。
【0061】
そこで、本実施形態では、図4に示されるように、風量検出部10Bに代えて消費電力検出部10Bを備えている。消費電力検出部10Bは、電動モータ9Bの消費電力(本実施形態では、消費電流)を検出する。
【0062】
記憶部10Aには、ダクトで発生する圧力損失をパラメータとしたときのファン駆動周波数と電動モータ9Bの消費電力(本実施形態では、消費電流)との関係を示す情報が予め記憶されている。以下、記憶部10Aに記憶されている消費電流を想定消費電流という。
【0063】
つまり、本実施形態に係る制御装置6は、現時のファン駆動周波数を想定周波数としたときの想定消費電流と現実の消費電流とを比較することにより、電動モータ9Bの制御に用いる制御モードを選択する。
【0064】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0065】
<制御モード決定部の詳細>
本実施形態に係る制御モード決定部も第1実施形態と同様に、モータ制御部の作動に対して独立して並列作動可能である。具体的には、制御モード決定部は、モータ制御部が作動している状態において、予め決められたタイミング(例えば、2~3時間間隔)で作動する。
【0066】
そして、制御モード決定部、つまり制御装置6は、現時のファン駆動周波数を想定周波数としたときの想定消費電流と現時の消費電流とを比較する。具体的には、制御装置6は、想定消費電流に対して予め決められた範囲に現時の消費電流が属するか否かを判断する。因みに、当該範囲は、想定消費電流を中心値として、検出電流の誤差範囲及び駆動回路9Cの誤差範囲を超える任意の閾値を加えられた範囲である。
【0067】
すなわち、現時の消費電流が、上記範囲の下限値より小さい場合には、制御装置6は、現実の設定機外静圧より大きい機外静圧の制御モード、つまり、現時のテーブル番号nより1つ大きいテーブル番号nの制御モードを選択する。
【0068】
一方、現時の消費電流が、上記範囲の上限値より大きい場合には、制御装置6は、現実の設定機外静圧より小さい機外静圧の制御モード、つまり、現時のテーブル番号nより1つ小さいテーブル番号nの制御モードを選択する。
【0069】
そして、現時の消費電流が、上記範囲に属する場合には、現状の制御モードが維持される。なお、設定機外静圧が最も大きくなったとき、つまりテーブル番号nが最大値となった場合には、制御装置6は、警告を発する。
【0070】
図5は、制御モード決定部の作動概要を示す制御フローである。図5に示されるように、当該制御が起動されると、制御装置6は、現時の消費電流を算出した後(S11)、現時の消費電流が、上記範囲の下限値より小さいか否かを判断する(S12)。
【0071】
現時の消費電流が、上記範囲の下限値より小さい場合には(S12:YES)、制御装置6は、現実の設定機外静圧より大きい機外静圧の制御モードを選択する(S13)。次に、制御装置6は、設定機外静圧が最も大きくなったか否かを判断する(S14)。設定機外静圧が最も大きくなった場合には(S14:YES)、制御装置6は、警告を発する(S15)。
【0072】
一方、現時の消費電流が、上記範囲の下限値より小さくない場合には(S12:NO)、制御装置6は、現時の消費電流が、上記範囲の上限値より大きいか否かを判断する(S16)。現時の消費電流が、上記範囲の上限値より大きい場合には(S16:YES)、制御装置6は、現実の設定機外静圧より小さい機外静圧の制御モードを選択する(S17)。
【0073】
なお、送風機の種類によっては、ファン特性が上記と異なり、消費電流の大小関係が上記と異なる場合がある。しかし、本実施形態は、現時のファン駆動周波数を想定周波数としたときの想定消費電力と現実の消費電力とを比較するものであるので、当該場合であっても本実施形態は適用可能である。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、吹出出温度が吹出吸込設定温度となるように圧縮機2の回転数が制御された。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第1温度センサ7Aの検出温度(以下、吸込温度という。)が予め設定された吸込設定温度となるように圧縮機2の回転数を制御する空調装置にも適用可能である。
【0074】
つまり、当該当該構成においては、制御装置6は、吸込温度が吸込設定温度より高い場合には圧縮機2の回転数を増大させ、吸込温度が吸込設定温度より低い場合には圧縮機2の回転数を減少させる。
【0075】
また、当該構成においては、制御装置6は、吹出温度が予め設定された吹出設定温度となるように、ファン駆動周波数を、例えばPID制御する。そして、制御装置6は、吹出温度が吹出設定温度より高い場合にはファン駆動周波数を低下させ、吹出温度が吹出設定温度より低い場合にはファン駆動周波数を上昇させる。なお、吹出設定温度は、冷房運転においては、吸込温度に予め決められた値を減算した値である。
【0076】
当該構成においては、吹出温度が予め設定された吹出設定温度となるようにファン駆動周波数が制御されるので、制御モードが変更されてもファン駆動周波数の制御それ自体は変わらない。しかし、制御モードが変更されると、ファン駆動周波数の最小値fmin及び最大値fmaxが変更される。
【0077】
上述の実施形態では、風量検出部10Bは間接的に送風量を検出した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、直接的に風量を測定する風量検出部10Bであってもよい。
【0078】
上述の実施形態では、テーブル番号nが最大値となった場合には、警告が発せられた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、テーブル番号nが最大値より小さい所定の値となった場合、又はテーブル番号nが最大値であるときに、S2又はS12の判定がYESの場合に警告が発せられる構成であってもよい。
【0079】
上述の実施形態では、本開示に係る送風装置を空調装置に適用した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、ビルやマンション等の換気装置にも適用可能である。
【0080】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1… 空調装置 2…圧縮機 3… 凝縮器 4… 膨張弁
5… 蒸発器 6…制御装置 8… 第1送風機 9… 第2送風機
図1
図2
図3
図4
図5