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特開2023-49405車両搭載構造体、電磁波透過カバーユニットおよび電磁波透過カバー
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  • 特開-車両搭載構造体、電磁波透過カバーユニットおよび電磁波透過カバー 図1
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  • 特開-車両搭載構造体、電磁波透過カバーユニットおよび電磁波透過カバー 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049405
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】車両搭載構造体、電磁波透過カバーユニットおよび電磁波透過カバー
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20230403BHJP
   G01S 7/03 20060101ALN20230403BHJP
   G01S 7/40 20060101ALN20230403BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
G01S7/03 246
G01S7/40 143
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159115
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 里彩
(72)【発明者】
【氏名】深川 鋼司
【テーマコード(参考)】
5J070
5J084
【Fターム(参考)】
5J070AF03
5J084AC02
5J084DA05
5J084EA34
(57)【要約】
【課題】車両に搭載される電磁波透過カバーにおいて、機能部材の機能を好適に維持し得る技術を提供すること。
【解決手段】
車両に搭載される外装部材5に取り付けられ車両室外に露出するカバー部2と、前記カバー部2に一体化され前記カバー部2の裏面側に配置されている筐体4と、を含み、
前記カバー部2は、機能部材3、35を実装する実装領域a、前記筐体4に接合する第1接合領域b、及び、前記外装部材5に接合する第2接合領域cを有し、
前記第1接合領域b及び前記第2接合領域cは、前記実装領域aを避けた前記実装領域aの外周側に設けられている、電磁波透過カバー1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される外装部材と、
前記外装部材に取り付けられ車両室外に露出するカバー部と、前記カバー部に一体化され前記カバー部の裏面側に配置されている筐体と、を含む電磁波透過カバーと、
前記カバー部の前記裏面側に配置され前記筐体に収容されている電磁波装置と、を具備し、
前記カバー部は、機能部材を実装する実装領域、前記筐体に接合する第1接合領域、及び、前記外装部材に接合する第2接合領域を有し、
前記第1接合領域及び前記第2接合領域は、前記実装領域を避けた前記実装領域の外周側に設けられている、車両搭載構造体。
【請求項2】
前記機能部材は素子を有し、
前記機能部材の電気接点は、前記実装領域、前記第1接合領域を避けた前記第1接合領域の外周側、または、前記第2接合領域を避けた前記第2接合領域の外周側に設けられている、請求項1に記載の車両搭載構造体。
【請求項3】
前記第2接合領域は、前記第1接合領域の外周側に設けられている、請求項1または請求項2に記載の車両搭載構造体。
【請求項4】
車両に搭載される外装部材に取り付けられ車両室外に露出するカバー部と、前記カバー部に一体化され前記カバー部の裏面側に配置されている筐体と、を含む電磁波透過カバーと、
前記カバー部の前記裏面側に配置され前記筐体に収容されている電磁波装置と、を具備し、
前記カバー部は、機能部材を実装する実装領域、前記筐体に接合する第1接合領域、及び、前記外装部材に接合する第2接合領域を有し、
前記第1接合領域及び前記第2接合領域は、前記実装領域を避けた前記実装領域の外周側に設けられている、電磁波透過カバーユニット。
【請求項5】
車両に搭載される外装部材に取り付けられ車両室外に露出するカバー部と、前記カバー部に一体化され前記カバー部の裏面側に配置されている筐体と、を含み、
前記カバー部は、機能部材を実装する実装領域、前記筐体に接合する第1接合領域、及び、前記外装部材に接合する第2接合領域を有し、
前記第1接合領域及び前記第2接合領域は、前記実装領域を避けた前記実装領域の外周側に設けられている、電磁波透過カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両搭載構造体、電磁波透過カバーユニットおよび電磁波透過カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の運転支援システムの開発が活発に行われており、車両には当該運転システムに用いる種々の電磁波装置が取り付けられている。
【0003】
上記の電磁波装置の一種であるLiDAR(Light Detection and Ranging)は、光を用いたリモートセンシング技術であり、運転支援システムに利用されている。
LiDARでは、レーザーを用いて比較的短波長の光を対象物に向けて出射し、かつ、対象物に当たって反射した当該光を検知する。LiDARのなかでも、近赤外線を用いたセンシングを行うものは、比較的近距離の障害物を検知するのに有利である。
【0004】
また、その他の電磁波装置として、ミリ波レーダやレーザレーダ等の電磁波レーダ装置も知られている。当該電磁波レーダ装置は、車両のA.C.C(Adaptive Cruise control)に用いられる。
A.C.C.は、車両前側に搭載されているセンサによって前方車両と自車との車間距離や相対速度等の走行情報を測定し、この走行情報を基にスロットルやブレーキを制御して自車を加減速し、車間距離をコントロールする技術である。A.C.C.は、近年、渋滞緩和や事故減少を目指す高度道路交通システム(ITS)の中核技術の一つとして注目されている。電磁波レーダ装置の一種であるミリ波レーダは、周波数30GHz~300GHz、波長1~10mmのミリ波を送信し、かつ、対象物にあたって反射したミリ波を受信する。この送信波と受信波との差から前方車両と自車との車間距離や相対速度を算出できる。
【0005】
上記した各種の電磁波装置における出射部や検知部は、車両の最外側(つまり、車両の前端側、側端側、後端側等)に搭載される。当該出射部や検知部が車外から視認されると車両の意匠性が損なわれるため、出射部や検知部の更に外側には、これらを覆う電磁波透過カバーを設けるのが一般的である。
【0006】
具体的には、電磁波透過カバーはカバー部を有する。そして当該カバー部は、車両室外に露出し、電磁波装置の電磁波経路上に配置され、当該電磁波の透過を許容する。
ここで、当該カバー部には、各種の機能部材が実装される。カバー部は、車両室外に露出するために、寒冷時に霜がついたり、降雪時に雪が積もったりする場合がある。カバー部が霜雪で覆われると、その裏側、すなわち奥側に配置される電磁波装置のセンシング機能や当該電磁波装置における通信機の通信機能等が阻害される虞がある。
【0007】
特許文献1には、電磁波装置の一種である赤外線センサを覆うための、電磁波透過カバーに関する発明が紹介されている。当該特許文献1に紹介されている電磁波透過カバーは、赤外線センサ用カバー4であり、赤外線センサ3によって送受信される赤外線の経路上に設けられるカバー基材5と、そのカバー基材5の表面に設けられて通電によって発熱するヒータ線8と、を備える。このうちカバー基材5は上記したカバー部に相当し、ヒータ線8は機能部材に相当すると考えられる。
【0008】
この種の電磁波透過カバーによると、機能部材であるヒータ線8が発熱してカバー部が温められることで、当該カバー部を覆う霜雪を溶かすことが可能である。また、これにより、霜雪に因る電磁波装置のセンシング機能や通信機能等の阻害を抑制できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2020-165943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
既述したように、特許文献1に紹介されている電磁波透過カバーでは、カバー部に機能部材が実装されている。
【0011】
電磁波透過カバーは、当該カバー部に加えて電磁波装置を収容する筐体を有する。また当該電磁波透過カバーは、車両に搭載されている種々の外装部材に取り付けられる。より具体的には、電磁波透過カバーは、このうちカバー部によって、車両に搭載されるフロントグリルやバンパ、リヤガーニッシュ等の外装部材に取り付けられる。
したがって、電磁波透過カバーのうちカバー部には、筐体に接合する部分(第1接合部と称する)及び外装部材に接合する部分(第2接合部と称する)が設けられる。
【0012】
カバー部を筐体及び外装部材に取り付けると、カバー部の第1接合部及び第2接合部には外力が作用する。
ここで、既述したとおり、カバー部には機能部材が実装される。上記した外力は、カバー部に実装された機能部材にまで作用する可能性がある。そして、場合によって、当該外力が機能部材に悪影響を及ぼし、当該機能部材の機能が損なわれる虞もある。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、車両に搭載される電磁波透過カバーにおいて、機能部材の機能を好適に維持し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する本発明の車両搭載構造体は、
車両に搭載される外装部材と、
前記外装部材に取り付けられ車両室外に露出するカバー部と、前記カバー部に一体化され前記カバー部の裏面側に配置されている筐体と、を含む電磁波透過カバーと、
前記カバー部の前記裏面側に配置され前記筐体に収容されている電磁波装置と、を具備し、
前記カバー部は、機能部材を実装する実装領域、前記筐体に接合する第1接合領域、及び、前記外装部材に接合する第2接合領域を有し、
前記第1接合領域及び前記第2接合領域は、前記実装領域を避けた前記実装領域の外周側に設けられている、車両搭載構造体である。
【0015】
また、上記課題を解決する本発明の電磁波透過カバーユニットは、
車両に搭載される外装部材に取り付けられ車両室外に露出するカバー部と、前記カバー部に一体化され前記カバー部の裏面側に配置されている筐体と、を含む電磁波透過カバーと、
前記カバー部の前記裏面側に配置され前記筐体に収容されている電磁波装置と、を具備し、
前記カバー部は、機能部材を実装する実装領域、前記筐体に接合する第1接合領域、及び、前記外装部材に接合する第2接合領域を有し、
前記第1接合領域及び前記第2接合領域は、前記実装領域を避けた前記実装領域の外周側に設けられている、電磁波透過カバーユニットである。
【0016】
また、上記課題を解決する本発明の電磁波透過カバーは、
車両に搭載される外装部材に取り付けられ車両室外に露出するカバー部と、前記カバー部に一体化され前記カバー部の裏面側に配置されている筐体と、を含み、
前記カバー部は、機能部材を実装する実装領域、前記筐体に接合する第1接合領域、及び、前記外装部材に接合する第2接合領域を有し、
前記第1接合領域及び前記第2接合領域は、前記実装領域を避けた前記実装領域の外周側に設けられている、電磁波透過カバーである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の車両搭載構造体、電磁波透過カバーユニットおよび電磁波透過カバーによると、機能部材の機能を好適に維持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1の電磁波透過カバーを模式的に表す説明図である。
図2】実施例1の電磁波透過カバーを切断した様子を模式的に表す説明図である。
図3】実施例2の電磁波透過カバーを切断した様子を模式的に表す説明図である。
図4】実施例3の電磁波透過カバーを切断した様子を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a~b」は、下限a及び上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに、これらの数値範囲内から任意に選択した数値を、新たな上限や下限の数値とすることができる。
【0020】
本発明の電磁波透過カバーは、車両に搭載される外装部材に取り付けられ車両室外に露出するカバー部と、当該カバー部に一体化され当該カバー部の裏面側に配置されている筐体と、を含む。
【0021】
このうちカバー部は、機能部材を実装する実装領域、筐体に接合する第1接合領域、及び、外装部材に接合する第2接合領域を有する。そして、このうち第1接合領域及び第2接合領域は、実装領域を避けた、当該実装領域の外周側に設けられている。
【0022】
つまり、本発明の電磁波透過カバーでは、カバー部のうち機能部材を実装する実装領域と、同じくカバー部のうち筐体に接合する第1接合領域、及び、同じくカバー部のうち外装部材に接合する第2接合領域と、をカバー部の径方向における内側-外側方向に離している。さらに換言すると、本発明の電磁波透過カバーにおける実装領域には、筐体との接合部や外装部材との接合部は設けられない。これにより、本発明の電磁波透過カバーによると、カバー部と筐体との接合に因る外力やカバー部と外装部材との接合に因る外力が、カバー部の実装領域に実装された機能部材に作用し難い。これにより、本発明の電磁波透過カバーによると、当該外力が機能部材に及ぼす悪影響を抑制でき、ひいては、機能部材の機能を好適に維持することが可能である。
【0023】
また、上記の本発明の電磁波透過カバーを具備する本発明の電磁波透過カバーユニット、および、本発明の車両搭載構造体についても同様に、カバー部と筐体との接合に因る外力やカバー部と外装部材との接合に因る外力が、カバー部の実装領域に実装された機能部材に作用し難い。これにより、本発明の電磁波透過カバーユニット、および、本発明の車両搭載構造体についても同様に、上記の外力が機能部材に及ぼす悪影響を抑制でき、ひいては、機能部材の機能を好適に維持することが可能である。
【0024】
以下、本発明の車両搭載構造体、電磁波透過カバーユニットおよび電磁波透過カバーをその構成要素毎に詳説する。
【0025】
本発明の電磁波透過カバーにおけるカバー部は、電磁波装置の表側に配置され車両室外に露出する。当該カバー部は、電磁波装置の電磁波経路上にあるといい得る。
当該電磁波装置は、電磁波を出射するための出射部および/または電磁波を受信するための検知部を有するものであれば良く、特に限定しない。電磁波の種類もまた特に限定しない。
【0026】
電磁波装置として、具体的には、上記したLiDARやミリ波レーダ、レーザレーダ等のレーダ装置、デジタルカメラや光学カメラ等のカメラ装置、ドア開閉のためのフットセンサ等を例示することができる。
【0027】
電磁波は、上記した各種の電磁波装置が出射および/または受信するものであれば良く、当該電磁波として、赤外線、ミリ波、レーザー波、種々の波長の可視光線等を例示できる。
【0028】
本発明の電磁波透過カバーにおけるカバー部は、電磁波装置に由来する電磁波を透過可能であれば良く、その材料は特に問わないが、電磁波を透過できる材料を選択すれば良い。
【0029】
本発明の電磁波透過カバーが車両に搭載されることを考慮すると、カバー部の材料としては、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)等の樹脂を選択するのが好適である。カバー部は、一層構造であっても良いが、コート層等が基層上に形成された多層構造であっても良い。
【0030】
カバー部には機能部材が実装されている。当該機能部材としては、ヒータ線等の発熱素子や、LEDや液晶、有機EL等の発光素子、各種の意匠層を例示できるが、これに限定されない。また、本発明の電磁波透過カバーは2以上の機能部材を有しても良い。
【0031】
機能部材としての意匠層は、塗装、印刷、金属蒸着等により各種の意匠を表示し得るものであれば良く、その組成や形状等は特に限定されない。意匠層は、カバー部の裏面に実装されても良いし、カバー部の表面に実装されても良いし、カバー部における厚さ方向の中央部分に埋設されても良い。さらには、意匠層はコート層等の他の層に覆われていても良い。
【0032】
機能部材としての発熱素子についても同様に、その作用機構や形状等は特に限定されず、カバー部の裏面に実装されても良いし、カバー部の表面に実装されても良いし、カバー部における厚さ方向の中央部分に埋設されても良い。さらには、発熱素子はコート層等の他の層に覆われていても良い。機能部材としての発光素子についても同様である。
【0033】
筐体は、本発明の電磁波透過カバーのうちカバー部に一体化されかつ当該カバー部の裏側に配置される部分である。
本発明の電磁波透過カバーにおいて、筐体は電磁波装置を収容し得る形状をなせば良い。当該筐体の具体的な形状として、箱状や、有底または無底の筒状、枠状等の形状を例示し得る。
【0034】
筐体とカバー部とを一体化する方法は特に限定されない。これらを一体化する具体的な方法として、係合、嵌合、ビス留め、溶着、または接着を例示できる。
【0035】
本発明の電磁波透過カバーにおけるカバー部は、車両に搭載される外装部材に取り付けられる。
当該外装部材は車両に搭載される外装部材であれば良く、当該外装部材としては、例えば、既述したようにフロントグリルやバンパ、リヤガーニッシュ等を例示できる。
【0036】
外装部材とカバー部とを一体化する方法もまた特に限定されない。これらを一体化する具体的な方法として、係合、嵌合、ビス留め、溶着、または接着を例示できる。
【0037】
本発明の電磁波透過カバーにおいて、カバー部は、機能部材を実装する実装領域、筐体に接合する第1接合領域、及び、外装部材に接合する第2接合領域を有する。そして、第1接合領域及び第2接合領域は、実装領域を避けた当該実装領域の外周側に設けられている。
【0038】
本発明の電磁波透過カバーにおいて、第1接合領域及び第2接合領域は、実装領域を避けた当該実装領域の外周側に設けられれば良い。第1接合領域と第2接合領域とは、カバー部の径方向内側-外側方向に離れていても良い、または、これらの少なくとも一部が、カバー部の径方向内側-外側方向にオーバーラップしていても良い。
さらに第1接合領域及び第2接合領域は、カバー部における周方向の全周にわたって設けられても良いし、当該周方向の一部のみに設けられても良い。
【0039】
何れの場合にも、第1接合領域及び第2接合領域が、実装領域を避けた当該実装領域の外周側に設けられることにより、第1接合領域及び第2接合領域を、実装領域から構造的に分断できる。これにより、カバー部と筐体とを接合する際や当該接合を維持している間に第1接合領域に生じる外力や、カバー部と外装部材とを接合する際や当該接合を維持している間に第2接合領域に生じる外力が、カバー部の実装領域に実装された機能部材にまで伝搬することを抑制できる。
【0040】
本発明の電磁波透過カバーにおいて、第1接合領域及び第2接合領域と、実装領域とは、カバー部の径方向内側-外側方向において隣り合っていても良い。しかし、第1接合領域及び第2接合領域と、実装領域と、をより効果的に分断するためには、カバー部の径方向内側-外側方向における、第1接合領域と実装領域との距離、および、第2接合領域と実装領域との距離をある程度確保することが有効である。
【0041】
具体的には、カバー部の径方向内側-外側方向における第1接合領域と実装領域との距離、および、第2接合領域と実装領域との距離の好ましい範囲として、5mm以上、7mm以上、または10mm以上を例示することができる。
【0042】
さらに、本発明の電磁波透過カバーにおいて、第1接合領域及び第2接合領域と、実装領域とは、カバー部の厚さ方向において同じ位置にあっても良いし、異なる位置にあっても良い。
実装領域を、第1接合領域及び第2接合領域からより効果的に分断するためには、カバー部の厚さ方向において、実装領域は、第1接合領域または第2接合領域と異なる位置にあるのが好ましく、第1接合領域及び第2接合領域と異なる位置にあるのがより好ましい。
【0043】
特に、外装部材に接合する第2接合領域には比較的大きな外力が作用する可能性があるため、実装領域は当該第2接合領域と異なる位置にあるのが望ましい。具体的には、実装領域がカバー部の裏面またはカバー部における厚さ方向の中央部分にあり、かつ、第2接合領域がカバー部の裏側に向けて突出するのが好ましい。
【0044】
ところで、本発明の電磁波透過カバーにおける筐体には、電磁波装置が収容される。そして、本発明の電磁波透過カバーにおける筐体とカバー部とは、カバー部の第1接合領域で接合されて一体化されている。
したがって、本発明の電磁波透過カバーは、筐体に電磁波装置が収容されかつ当該筐体とカバー部とが接合された状態、すなわち、電磁波装置とユニット化された電磁波透過カバーユニットとして扱われるのが好適である。
【0045】
この場合、当該電磁波透過カバーユニットの取り扱い性が向上するとともに、当該電磁波透過カバーユニットを外装部材に取り付ける作業が煩雑でなくなる利点もある。
【0046】
なお、電磁波透過カバーの形状をシンプルにし、かつ、上記の電磁波透過カバーユニットを外装部材に取り付ける作業をより簡易にするためには、本発明の電磁波透過カバーにおいて、外装部材に接合する第2接合領域を、筐体に接合する第1接合領域の外周側に設けるのが好ましい。
【0047】
以下、具体例を挙げて本発明の電磁波透過カバーを説明する。
【0048】
(実施例1)
実施例1の電磁波透過カバーは、電磁波装置としてのLiDARを具備し、外装部材としての車両のフロントグリルに取り付けられるものである。なお、実施例1の電磁波透過カバーユニットは、当該電磁波装置と実施例1の電磁波透過カバーとを具備するものであり、実施例1の車両搭載構造体は、当該電磁波透過カバーユニットと上記の外装部材とを具備するものである。
【0049】
図1は実施例1の電磁波透過カバーを模式的に表す説明図である。図2は実施例1の電磁波透過カバーを切断した様子を模式的に表す説明図である。
以下、表、裏、上、下、左、右とは、各図に示す表、裏、上、下、左、右を意味する。参考までに、表側は車両進行方向における先側に相当し、裏側は車両進行方向における後側に相当する。
【0050】
図1に示すように、実施例1の電磁波透過カバー1は、カバー部2、発熱素子3および筐体4を具備する。
【0051】
カバー部2は、樹脂製であり、略板状をなす。カバー部2はPCを材料とする基体(図略)と、その表面に形成されているハードコート層(図略)とを有する。
【0052】
カバー部2には、機能部材としての発熱素子3が実装されている。具体的には、発熱素子3は、ヒータ線からなり、カバー部2における裏側の部分に配置されている。
発熱素子3は、インサート成形法によりカバー部2に一部埋設され、カバー部2における略中央部に配置されている。発熱素子3は、図略の電源に接続され、当該電源からの給電を受けて発熱する。
【0053】
カバー部2において、発熱素子3が実装されている領域を、実装領域aと称する。
実施例1の電磁波透過カバー1において、発熱素子3の電気接点30は、図2に示すように、実装領域aに設けられている。
【0054】
カバー部2の裏側には、箱状をなすPP製の筐体4が配置されている。筐体4は開口を表側に向けている。筐体4のうち開口の周縁部には、当該開口の周方向に延びる環状溝40が設けられている。筐体4は、カバー部2のうち実装領域aよりも外周側の部分である第1接合領域bに、環状溝40を対面させつつ、当該カバー部2における第1接合領域bに接着されている。
【0055】
詳しくは、図2に示すように、カバー部2は、実装領域aよりも外周側に、後方に突起する接合突起部20を有する。接合突起部20は、筐体4の環状溝40に入り込み、実装領域aよりもカバー部2の外周側、かつ、実装領域aよりも後方において、筐体4に接合する。実施例1の電磁波透過カバー1では、接合突起部20のうち、筐体4に接合すなわち接着される部分を、第1接合領域bと称する。当該第1接合領域bは、実装領域aよりもカバー部2の径方向外側にあるともいえる。また、第1接合領域bと実装領域aとは、前後方向すなわちカバー部2の厚さ方向において、異なる位置にあるともいい得る。
【0056】
さらにカバー部2は、第1接合領域bよりも外周側に、カバー部2の周方向に沿って配列しかつ後方に突起する係合爪部25を有する。係合爪部25は、圧縮する方向に弾性変形可能であり、外装部材5に設けられている係合穴50に弾性変形しつつ入り込み、当該係合穴50の内部で弾性復元力により元の形状に戻ることで、当該係合穴50の周縁部に係合する。
【0057】
実施例1の電磁波透過カバー1では、カバー部2の係合爪部25のうち、外装部材5における係合穴50の周縁部に接合すなわち係合する部分を、第2接合領域cと称する。当該第2接合領域cは、実装領域aおよび第1接合領域bよりもカバー部2の径方向外側にあるといえる。また、第2接合領域cと実装領域aとは、前後方向すなわちカバー部2の厚さ方向において、異なる位置にあるともいい得る。
【0058】
実施例1の電磁波透過カバー1において、カバー部2の径方向内側-外側方向における第1接合領域bと実装領域aとの距離は10mm以上である。また、カバー部2の径方向内側-外側方向における、第2接合領域cと実装領域aとの距離もまた10mm以上である。
【0059】
電磁波透過カバー1における筐体4の内部には、電磁波装置8としてのLiDARが収容されている。当該電磁波装置8は電磁波としての赤外線を表側に向けて出射し、また表側から入射した赤外線を受信する。
【0060】
なお、カバー部2は電磁波装置8の表側に配置される。したがって、カバー部2は電磁波装置8の電磁波経路上にある。また、カバー部2は電磁波としての赤外線を透過可能である。
【0061】
実施例1の電磁波透過カバー1では、カバー部2の第1接合領域b及び第2接合領域cが、実装領域aを避けた、当該実装領域aの外周側に設けられている。このため、実施例1の電磁波透過カバー1によると、カバー部2と筐体4との接合に因る外力やカバー部2と外装部材5との接合に因る外力が、カバー部2の実装領域aに実装された機能部材(すなわち発熱素子3)に作用し難い。
【0062】
さらに、実施例1の電磁波透過カバー1では、第1接合領域bと実装領域aとはカバー部2の厚さ方向において異なる位置にあり、かつ、第2接合領域cと実装領域aともまた、カバー部2の厚さ方向において異なる位置にある。このことによっても、カバー部2と筐体4との接合に因る外力やカバー部2と外装部材5との接合に因る外力は、カバー部2の実装領域aに実装された機能部材に作用し難い。
これらのことにより、実施例1の電磁波透過カバー1によると、当該外力が機能部材に及ぼす悪影響を抑制でき、ひいては、機能部材の機能を好適に維持することが可能である。
【0063】
また、実施例1の電磁波透過カバー1では、機能部材の電気接点30もまた、実装領域aに配置されている。このため、実施例1の電磁波透過カバー1では、上記の外力が電気接点30に及ぼす悪影響をも抑制できる。このことは、機能部材の機能を好適に維持するために有用である。
【0064】
さらに、実施例1の電磁波透過カバー1では、第2接合領域cが、第1接合領域bの外周側に設けられている。図2に示すように、第2接合領域cを第1接合領域bの外周側に設ければ、電磁波透過カバー1と電磁波装置8とをユニット化した電磁波透過カバーユニット100を、外装部材5に表側から一操作で取り付けることが可能である。これにより、実施例1の電磁波透過カバー1および電磁波透過カバーユニット100は、外装部材5に容易に取り付けることができる。また、実施例1の車両搭載構造体101によると、製造時において、電磁波透過カバーユニット100と外装部材5とを一体化する工程を容易に行い得る。
【0065】
(実施例2)
実施例2の電磁波透過カバーは、カバー部と筐体とが溶着により接合していること、発熱素子の電気接点が、第1接合領域を避けた第1接合領域の外周側、かつ、第2接合領域を避けた第2接合領域の外周側に設けられていること以外は、実施例1の電磁波透過カバーと概略同じものである。したがって、以下、実施例1の電磁波透過カバーとの相違点を中心に、実施例2の電磁波透過カバーを説明する。
図3は実施例2の電磁波透過カバーを切断した様子を模式的に表す説明図である。
【0066】
図3に示すように、実施例2の電磁波透過カバー1では、カバー部2と筐体4とが直接接合されている。カバー部2と筐体4との接合方法としては、超音波溶着が採用されている。
【0067】
また、実施例2の電磁波透過カバー1における発熱素子3の電気接点30は、カバー部2における最外縁部に配置されている。したがって、当該電気接点30は、第1接合領域bを避けた第1接合領域bの外周側であり、かつ、第2接合領域cを避けた第2接合領域bの外周側に配置されている。
【0068】
実施例2の電磁波透過カバー1においても、カバー部2の第1接合領域b及び第2接合領域cが、実装領域aを避けた、当該実装領域aの外周側に設けられている。
【0069】
また、実施例2の電磁波透過カバー1では、第1接合領域bと実装領域aとはカバー部2の厚さ方向において同じ位置にあるものの、第2接合領域cと実装領域aとはカバー部2の厚さ方向において異なる位置にある。
【0070】
このため、実施例2の電磁波透過カバー1でも、カバー部2と筐体4との接合に因る外力やカバー部2と外装部材5との接合に因る外力は、カバー部2の実装領域aに実装された機能部材に作用し難い。
したがって、実施例2の電磁波透過カバー1でも、当該外力が機能部材に及ぼす悪影響を抑制でき、機能部材の機能を好適に維持することが可能である。
【0071】
実施例2の電磁波透過カバー1では、実施例1の電磁波透過カバー1とは異なり、機能部材の電気接点30は第1接合領域bを避けた第1接合領域bの外周側であり、かつ、第2接合領域cを避けた第2接合領域bの外周側に配置されている。しかし、このような実施例2の電磁波透過カバー1においても、電気接点30は、第1接合領域bおよび第2接合領域cをカバー部2の径方向内側-外側方向に避けた位置に配置されている。これにより、実施例2の電磁波透過カバー1においても、上記の外力が電気接点30に及ぼす悪影響を抑制できる。
【0072】
(実施例3)
実施例3の電磁波透過カバーは、発熱素子にかえて機能部材としての意匠層を有すること以外は、実施例2の電磁波透過カバーと概略同じものである。したがって、以下、実施例2の電磁波透過カバーとの相違点を中心に、実施例3の電磁波透過カバーを説明する。
図4は実施例3の電磁波透過カバーを切断した様子を模式的に表す説明図である。
【0073】
図4に示すように、実施例3の電磁波透過カバー1では、カバー部2のうち裏面の中央部分に、機能部材としての意匠層35が実装されている。
【0074】
しかし、実施例3の電磁波透過カバー1においても、カバー部2の第1接合領域b及び第2接合領域cが、実装領域aを避けた、当該実装領域aの外周側に設けられている。また、第2接合領域cと実装領域aとはカバー部2の厚さ方向において異なる位置にある。
【0075】
このため、実施例3の電磁波透過カバー1でも、カバー部2と筐体4との接合に因る外力やカバー部2と外装部材5との接合に因る外力は、カバー部2の実装領域aに実装された機能部材(すなわち意匠層35)に作用し難い。
したがって、実施例3の電磁波透過カバー1でも、当該外力が機能部材に及ぼす悪影響を抑制でき、機能部材の機能を好適に維持することが可能である。
【0076】
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0077】
1:電磁波透過カバー
2:カバー部
3:発熱素子(機能部材)
30:電気接点
35:意匠層(機能部材)
4:筐体
5:外装部材
8:電磁波装置
a:実装領域
b:第1接合領域
c:第2接合領域
101:車両搭載構造体
100:電磁波透過カバーユニット
図1
図2
図3
図4