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特開2023-49429発光制御装置、発光装置および照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049429
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】発光制御装置、発光装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/20 20200101AFI20230403BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20230403BHJP
   H05B 47/185 20200101ALI20230403BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20230403BHJP
【FI】
H05B45/20
H05B45/10
H05B47/185
H05B45/325
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159159
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】三木 正紀
(72)【発明者】
【氏名】林 隆平
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA08
3K273RA02
3K273RA16
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA37
3K273TA62
3K273TA66
3K273TA77
3K273UA02
3K273UA06
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】PWM出力の立ち上がりに遅延が生じた場合でも、光色の異なる複数の発光素子同士の出力比が、既定の出力比から乖離しない発光制御装置、発光装置および照明装置を提供する。
【解決手段】発光制御装置10は、光色が互いに異なる複数の発光素子の調光率を示す調光信号が入力される入力部11と、入力された調光信号に基づいて、複数の発光素子を制御するための複数の制御信号を出力する制御部12と、を備え、複数の制御信号のそれぞれは、入力された調光信号が示す調光率を、当該制御信号の出力先の発光素子の光色に応じてあらかじめ定められた補正値を用いて補正することで定まる制御値を有し、制御部12は、調光率が所定の値よりも小さいときに、第一の光色に対する補正値と第二の光色に対する補正値との差が、調光率が所定の値以上であるときよりも小さくなるように調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光色が互いに異なる複数の発光素子の調光率を示す調光信号が入力される入力部と、
入力された前記調光信号に基づいて、前記複数の発光素子を制御するための複数の制御信号を出力する制御部と、を備え、
前記複数の制御信号のそれぞれは、入力された前記調光信号が示す前記調光率と、当該制御信号の出力先の発光素子の光色に応じてあらかじめ定められた補正値とに基づき計算し補正することで定まる制御値を有し、
前記制御部は、前記調光率が所定の値よりも小さいときに、第一の光色に対する補正値と第二の光色に対する補正値との差が、前記調光率が所定の値以上であるときよりも小さくなるように調整する、
発光制御装置。
【請求項2】
前記調光率が前記所定の値以上であるときに、
前記第一の光色に対する補正値は、入力された前記調光率によらず一定であり、
前記第二の光色に対する補正値は、入力された前記調光率によらず一定である、
請求項1に記載の発光制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、入力された前記調光率が所定の値よりも小さいときに、
前記第一の光色に対する補正値を、入力された前記調光率によらず補正値を一定にし、
前記第二の光色に対する補正値を、入力された前記調光率が小さくなるほど小さい値に調整する、
請求項1または2に記載の発光制御装置。
【請求項4】
調整が行われる前の前記第一の光色に対する補正値は、調整が行われる前の前記第二の光色に対する補正値よりも小さい、
請求項1~3のいずれか1項に記載の発光制御装置。
【請求項5】
調整が行われる前の前記第一の光色に対する補正値は、複数の発光素子の複数の光色に対応する複数の補正値であって調整が行われる前の複数の補正値の中で最も小さい、
請求項4に記載の発光制御装置。
【請求項6】
さらに、前記補正値をあらかじめ記憶する記憶部を備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の発光制御装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の発光制御装置と、
前記複数の発光素子と、を備える、
発光装置。
【請求項8】
請求項7に記載の発光装置と、
前記発光装置を覆う筐体と、を備える、
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光制御装置、発光装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光色の異なる複数の発光素子を制御する発光制御装置において、発光素子を制御するPWM(Pulse Width Modulation)信号のオン幅及びオフ幅の上限値を制限することで、発光素子の出力電流の補正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-159094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発光素子において、PWM出力の立ち上がりに遅延が生じた場合に、光色の異なる複数の発光素子同士の出力比が、既定の出力比から乖離するという課題がある。
【0005】
本発明は、PWM出力の立ち上がりに遅延が生じた場合でも、光色の異なる複数の発光素子同士の出力比が、既定の出力比から乖離しない発光制御装置、発光装置および照明装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る発光制御装置は、光色が互いに異なる複数の発光素子の調光率を示す調光信号が入力される入力部と、入力された前記調光信号に基づいて、前記複数の発光素子を制御するための複数の制御信号を出力する制御部と、を備え、前記複数の制御信号のそれぞれは、入力された前記調光信号が示す前記調光率と、当該制御信号の出力先の発光素子の光色に応じてあらかじめ定められた補正値とに基づき計算し補正することで定まる制御値を有し、前記制御部は、前記調光率が所定の値よりも小さいときに、第一の光色に対する補正値と第二の光色に対する補正値との差が、前記調光率が所定の値以上であるときよりも小さくなるように調整する。
【0007】
本発明の一態様に係る発光装置は、本発明の一態様に係る発光制御装置と、前記複数の発光素子と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る照明装置は、本発明の一態様に係る発光装置と、前記発光装置を覆う筐体と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、PWM出力の立ち上がりに遅延が生じた場合でも、光色の異なる複数の発光素子同士の出力比が、既定の出力比から乖離しない発光制御装置、発光装置および照明装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態における発光制御装置等のブロック図である。
図2図2は、実施の形態における発光制御装置の概要を示す図である。
図3図3は、実施の形態における発光制御装置において、PWM出力の立ち上がりに遅延が生じる現象を説明した図である。
図4図4は、実施の形態における発光制御装置におけるPWM出力の補正について説明した図である。
図5図5は、PWM出力に対する補正がある場合と、補正がない場合の光出力について示した図である。
図6図6は、実施の形態における発光制御装置における、既定の出力比から乖離する出力の例を示した図である。
図7図7は、既定の出力比と、実施の形態における発光制御装置および従来例における出力比とを示した図である。
図8図8は、実施の形態における発光制御装置の、補正値の調整について示す図である。
図9図9は、実施の形態における発光制御装置の動作を表すフローチャートである。
図10図10は、実施の形態における発光制御装置の補正値の調整を行った場合の光出力と、補正値の調整を行わなかった場合の光出力とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態に係る構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0014】
(実施の形態)
[発光制御装置の概要]
まず、発光制御装置の概要について説明する。図1は、実施の形態における発光制御装置10等のブロック図である。
【0015】
発光制御装置10は、入力部11と制御部12と記憶部13とを備える。発光制御装置10は、例えば、マイコンおよび周辺回路等が組み合わされた制御回路で実現される。
【0016】
入力部11は、光色が互いに異なる複数の発光素子である、第1発光素子21~第4発光素子24のそれぞれから出射される光それぞれの調光率を示す調光信号を受け付ける。入力部は、例えば、DC入力を実現するフォトカプラ絶縁入力回路等で実現されてもよい。
【0017】
制御部12は、調光率が所定の値よりも小さいときに、第一の光色に対する補正値と第二の光色に対する補正値との差が、調光率が所定の値以上であるときよりも、小さくなるように、補正値を調整する。
【0018】
記憶部13は、上記補正値をあらかじめ記憶する。記憶部13は、メモリで実現される。
記憶部13は、発光制御装置10の製造段階で、上記補正値を記憶してもよい。
【0019】
発光装置20は、発光制御装置10と、第1発光素子21、第2発光素子22、第3発光素子23および第4発光素子24とを備える。発光素子は、4つに限られず、複数個であればいくつでもよい。例えば、発光素子は、第1発光素子21および第2発光素子22の2つでもよいし、5つ以上でもよい。
【0020】
第1発光素子21、第2発光素子22、第3発光素子23および第4発光素子24は、互いに光色の異なる発光素子である。発光素子は、例えば、発光ダイオードで実現される。
【0021】
例えば、第1発光素子21は、赤色発光ダイオードであり、第2発光素子22は、緑色発光ダイオードであり、第3発光素子23は、青色発光ダイオードであり、第4発光素子は、黄色発光ダイオードでもよい。
【0022】
または、第1発光素子21~第4発光素子24は、白色の発光素子であり、互いに色温度が異なってもよい。また、発光装置20は、第1発光素子21および第2発光素子22のみを備えてもよい。発光装置20は、発光素子を複数個であればいくつ備えていてもよい。
【0023】
照明装置30は、発光装置20と筐体31とを備える。
【0024】
照明装置30は、例えば、スポットライトまたは屋外用のカラー照明等でもよい。照明装置30は、いかなる形態の照明装置でもよい。
【0025】
図2は、実施の形態における発光制御装置10の概要を示す図である。発光制御装置10は、RGBYの各発光素子に対するPWM出力を調整することにより、光出力における色彩の調整、または、調光を行うことができる。例えば、発光制御装置10は、マイコンと周辺回路とを備え、マイコンからの制御信号を周辺回路を通して、発光素子に伝達し、各発光素子を、PWM出力によって、発光させる。なお、光出力とは、調光率100%の時の光の強さを100%としたときの、光の強さの比率のことを指す。
【0026】
[従来の問題点]
本発明の発光制御装置10は、DMX入力信号と、あらかじめ記憶部13に記憶された補正値に基づいて、PWM出力のデューティ比を決定して複数の発光素子に出力を行う。複数の発光素子は、発光装置20を介して電力を供給されることで発光し、発光制御装置10が複数の発光素子に対する調光率を変化させることで、複数の発光素子に供給される電力が変化する。
【0027】
図3は、実施の形態における発光制御装置10において、PWM出力の立ち上がりに遅延が生じる現象を説明した図である。発光制御装置10が各発光素子にPWM出力を行う際に、出力電流が、PWM波形の立ち上がり時において所望の値に達するまでに遅延が生じるという現象が起こりうる。例えば、図3に示されるR出力電流、G出力電流、B出力電流およびY出力電流のうち、楕円形の印で指し示される、PWM波形の立ち上がり時において、領域Aとして示される出力電流が既定の値に達していない領域が発生しうる。領域Aにおいて、出力電流は既定の出力電流に対して小さい値から始まり、一定時間経過後、既定の出力電流に達する。
【0028】
この領域Aのような、PWM波形の立ち上がり時において、出力電流が既定の値に達していない領域が存在することで、デューティ比が低いときに、実際の出力電流が急激に小さくなり、他の発光素子が出力する光とのバランスが崩れることによって、既定の光色が実現されないという課題がある。
【0029】
また、図4は、実施の形態における発光制御装置10におけるPWM出力の補正について説明した図である。
【0030】
図4の(a)に示されるように、補正なし(補正値255)の場合はDMX入力が0で消灯、および、DMX入力が255で100%の出力となる。また、図4の(b)に示されるように、補正率約50%(補正値128)の場合はDMX入力が0で消灯、および、DMX入力が255で50%の出力となる。なお、補正率とは、調光率が100%となる調光信号が状態での、出力を制限したあとのPWM出力のオフ幅の、PWM出力の周期に対する割合のことである。さらに補正値とは、補正率が0%のとき補正値255、補正率100%のとき補正値0と示されるように、補正率を0~255の値の間で数値化したものである。ここで用いられるデューティ比の計算式は、以下のとおりである。
デューティ比=(制御値)/(最大制御値) (1)
ここで、制御値とは、デューティ比の計算に使用される値で、調光信号の調光率と補正値を基に計算される値であり、最大制御値とは制御値が取り得る最大の値である。なお、制御値は、デューティ比(0%~100%)を数値(0~33333)で表したものなので、LEDの電流値に比例する。また発光ダイオードにおいて電流値と光出力は基本的に比例関係なので、実施の形態では制御値と光出力も比例の関係となる。
【0031】
上記の計算により、補正ありと補正無しとのときの、補正率が異なる場合の光出力の差は、図5に示されるとおりとなる。このような補正を複数の発光素子にそれぞれ行うことで既定の光色が実現するが、本発明の発光制御装置10は従来品よりも補正率が非常に大きくなる可能性がある。例えば補正率が50%以上となる場合、補正率が非常に大きいとデューティ比の小さい領域で、発光制御装置10を使用することになるため、発光制御装置10は、領域Aの影響をより顕著に受ける。これにより他の発光素子が出力する光とのバランスが崩れ、既定の光色が実現されないという前記課題が、より顕著に現れてしまう。
【0032】
図6は、実施の形態における発光制御装置における、既定の出力比から乖離する出力の例を示した図である。B出力のみ補正率が非常に大きい場合を考える。各色の調光率を同様に下げていったときに、理想は既定の出力比を保ったまま変化することだが、B出力はデューティ比が小さいため、出力において領域Aの影響が大きく、実際の出力値が既定の出力値よりも小さくなる。具体的には、B出力において、PWM出力のパルス幅の範囲が、図6のように全て領域Aに入る可能性がある。そのため、出力において、領域Aの影響が比較的少ないR出力、G出力およびY出力との出力比が、既定の出力比から乖離してしまう。
【0033】
図7は、既定の出力比と、実施の形態における発光制御装置および従来例における出力比の比較の一例を示した図である。図7の(a)に示されるように、例えば、第1発光素子21の出力1と、第2発光素子22の出力2との出力比が、4:1と既定されているとする。第2発光素子22のデューティ比が低いことにより、第2発光素子22の出力2が領域Aの影響を大きく受けた場合、出力2が既定よりも低い値となることで、第1発光素子21の出力1と、第2発光素子22の出力2との出力比が、ある低い調光率では図7の(b)に示されるように実際には8:1となる。このように、従来技術では、光色が互いに異なる複数の発光素子を使って所望の色を実現するときに、所望の色の明るさ(すなわち、発光素子の調光率)を変更すると、調光率が低いときに所望の色から乖離してしまう。そこで、8:1となった第1発光素子21の出力1と、第2発光素子22の出力2との出力比を本発明の発光制御装置10の動作によって、補正値を是正することで、図7の(c)に示されるように、本条件では、第1発光素子21の出力1と、第2発光素子22の出力2との出力比が、4.5:1まで改善される。
【0034】
[発光制御装置の動作]
次に、発光制御装置10の動作について説明する。図8は、実施の形態における発光制御装置10の、補正値の調整について示す図である。
【0035】
DMX入力が所定値以上(例えば、50~255)の場合、発光制御装置10は、既定の補正値をそのまま使用してデューティ比を決定する。DMX入力が所定値以上(例えば、50~255)の場合、発光制御装置10は、任意の補正値を使用してデューティ比を決定してもよい。
【0036】
DMX入力が所定値以下(例えば、50未満)の場合、発光制御装置10は、以下の動作を行う。
【0037】
まず、発光制御装置10の制御部12は、第1発光素子21~第4発光素子24に対する補正値の中から、最小の値(以下、補正最小値と表す)を探索し、決定する。例えば、図8に示される例では、制御部12がR補正値148、G補正値177、B補正値89、Y補正値143であることを探索し、制御部12は、補正最小値は、B補正値89と決定する。
【0038】
次に、制御部12は、DMX入力が小さくなるにつれて、補正最小値とその他の補正値との差が徐々に小さくなるように、その他の補正値を調整する。ここで、制御部12は、その他の補正値の数値を、DMX入力の値の減少傾向に応じて、滑らかに減少させる。具体的には、制御部12は、以下の式を用いて、補正値を調整し、調整した値を補正確定値とする。
補正確定値=補正値-(補正値-補正最小値)×(200-出力調光値/200) (2)
ここで、補正確定値は、制御部12によって調整された後の補正値であり、式(2)中の補正値は、記憶部13があらかじめ記憶している補正値である。そして、出力調光値は、DMX入力を1023段階に変換した値であり、DMX入力が0のとき出力調光値は0、DMX入力が255のとき出力調光値は1023となる。また式(2)の数値200は出力調光値200(DMX入力50)を基に決定された値である。
【0039】
制御部12は、最終的に、DMX入力の値が0のときに、第1発光素子21~第4発光素子24に対する補正値がすべて補正最小値と等しくなるように、各補正値を調整する。ここでは、DMX入力の値が0のときに第1発光素子21~第4発光素子24に対する補正値がすべて補正最小値と等しくなるよう調整しているが、補正最小値でなく他の任意の数値と等しくなるように各補正値を調整してもよい。
【0040】
以下に、発光制御装置10の動作をまとめて説明する。図9は、実施の形態における発光制御装置の動作を表すフローチャートである。
【0041】
まず、発光制御装置10の入力部11は、調光信号の入力を受け付ける(ステップS10)。調光信号は、発光制御装置10の外部から入力されるDMX入力信号である。調光信号は、0~255の値で示されてもよいし、DMX入力を1023段階に変換した0~1023の値で示されてもよい。
【0042】
制御部12は、調光信号の値が所定の値より小さいか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、制御部12は、調光信号の値が50より小さいか否かを判定してもよい。または、制御部12は、DMX入力を1023段階に変換した出力調光値が200より小さいか否かを判定してもよい。
【0043】
制御部12が調光信号の値が所定の値(例えば、50)より小さいと判定した場合(ステップS11でYes)、第一の光色に対する補正値と第二の光色に対する補正値との差が、小さくなるように補正値を調整する(ステップS12)。ここで、第一の光色および第二の光色とは、複数の発光素子それぞれが示す光色のことである。
【0044】
制御部12が調光信号の値が所定の値(例えば、50)より小さくないと判定した場合(ステップS11でNo)、あらかじめ定められた補正値を用いて制御値を決定する(ステップS13)。制御部12が調光信号の値が50より小さくないと判定した場合、制御部12は、記憶部13があらかじめ記憶している補正値を用いて、制御値を決定する。
なお、制御値は、以下の式を用いて算出されてもよい。
制御値=補正前出力値×補正確定値/255 (3)
ここで、補正前出力値は、調光信号によって決定する出力値のことである。式(3)の計算をすることで、調光信号の指示と補正を反映した制御値で出力することができる。
【0045】
図10は、実施の形態における発光制御装置10の補正値の調整を行った場合の光出力と、補正値の調整を行わなかった場合の光出力とを示す図である。
【0046】
図10には、第3発光素子23の出力値の例が示されている。ここで、第2発光素子22が、補正最小値を有し、第3発光素子23は、補正最小値でない補正値を有するものとする。本発明の発光制御装置10による第3発光素子23の光出力は、従来の発光制御装置による発光素子の光出力よりも、DMX入力50未満の範囲(または、DMX入力信号を1023段階に変換した場合の200未満の範囲)において、出力値が低下している。補正最小値を有しない第1発光素子21および第4発光素子24でも同様に、DMX入力50未満の範囲(または、DMX入力信号を1023段階に変換した場合の200未満の範囲)において、出力値が低下する。
【0047】
なお、補正最小値を有する第2発光素子22については、補正値の調整が行われないため、本発明の発光制御装置10による第2発光素子の光出力は、従来の発光制御装置による発光素子の光出力と変化しない。これにより、本発明の発光制御装置10の動作により、既定の光出力よりも出力値の小さい光を出力する第2発光素子22に合わせて、第1発光素子21、第3発光素子23および第4発光素子24の光出力も低減するため、発光素子各色のバランスが、既定のバランスに近く保たれる。
【0048】
[効果等]
本開示の発光制御装置10は、光色が互いに異なる複数の発光素子の調光率を示す調光信号が入力される入力部11と、入力された調光信号に基づいて、複数の発光素子を制御するための複数の制御信号を出力する制御部12と、を備え、複数の制御信号のそれぞれは、入力された調光信号が示す調光率と、当該制御信号の出力先の発光素子の光色に応じてあらかじめ定められた補正値とに基づき計算し補正することで定まる制御値を有し、制御部12は、調光率が所定の値よりも小さいときに、第一の光色に対する補正値と第二の光色に対する補正値との差が、調光率が所定の値以上であるときよりも小さくなるように調整する。
【0049】
これにより、本開示の発光制御装置10は、調光信号が所定値よりも小さい場合に、複数の発光素子の出力値のバランスを調整することで、複数の発光素子によって実現される光色の規定値からのずれを是正することができる。よって、本開示の発光制御装置10は、期待される光色を実現することができる。
【0050】
本開示の発光制御装置10において、調光率が前記所定の値以上であるときに、第一の光色に対する補正値は、入力された調光率によらず一定であり、第二の光色に対する補正値は、入力された調光率によらず一定である。
【0051】
これにより、本開示の発光制御装置10は、調光率が所定の値以上の時、発光素子に一貫して一定の出力比を維持させる。よって、本開示の発光制御装置10は、期待される光色を実現することができる。
【0052】
本開示の発光制御装置10において、制御部12は、入力された調光率が所定の値よりも小さいときに、第一の光色に対する補正値を、入力された調光率によらず補正値を一定にし、第二の光色に対する補正値を、入力された調光率が小さくなるほど小さい値に調整する。
【0053】
これにより、本開示の発光制御装置10は、調光率が所定の値以下の時、複数の発光素子のうち所定の発光素子の補正値を調整することができる。よって、本開示の発光制御装置10は、期待される光色を実現することができる。
【0054】
本開示の発光制御装置10において、調整が行われる前の第一の光色に対する補正値は、調整が行われる前の第二の光色に対する補正値よりも小さい。
【0055】
これにより、本開示の発光制御装置10は、相対的に小さな補正値を有する光色を維持し、相対的に大きな補正値を有する光色の補正値を調整することができる。よって、本開示の発光制御装置10は、期待される光色を実現することができる。
【0056】
本開示の発光制御装置10において、調整が行われる前の第一の光色に対する補正値は、複数の発光素子の複数の光色に対応する複数の補正値であって調整が行われる前の複数の補正値の中で最も小さい。
【0057】
これにより、本開示の発光制御装置10は、調整が行われる前の補正値のうち最小の補正値の光色を維持し、その他の光色の補正値を調整することができる。よって、本開示の発光制御装置10は、期待される光色を実現することができる。
【0058】
本開示の発光制御装置10は、さらに、補正値をあらかじめ記憶する記憶部13を備える。
【0059】
これにより、発光制御装置10は、製造段階において、補正値をあらかじめ記憶することができる。
【0060】
本開示の発光装置20は、発光制御装置10と、複数の発光素子と、を備える。
【0061】
これにより、発光装置20は、調光信号が所定値よりも小さい場合に、複数の発光素子の出力値のバランスが調整されることで、複数の発光素子によって実現される光色の規定値からのずれを是正された光を出力することができる。よって、本開示の発光装置20は、期待される光色を実現することができる。
【0062】
本開示の照明装置30は、発光装置20と、発光装置20を覆う筐体31と、を備える。
【0063】
これにより、本開示の照明装置30は、調光信号が所定値よりも小さい場合に、複数の発光素子の出力値のバランスが調整されることで、複数の発光素子によって実現される光色の規定値からのずれを是正された光を出力することができる。よって、本開示の発光装置20は、期待される光色を実現することができる。
【0064】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0065】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0067】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0068】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0069】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
10 発光制御装置
11 入力部
12 制御部
13 記憶部
20 発光装置
30 照明装置
31 筐体
図1
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