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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049430
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】媒体搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
G03G15/16 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159160
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】石倉 裕貴
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200FA04
2H200FA17
2H200GA23
2H200GA33
2H200GB41
2H200GB44
2H200HA01
2H200JB10
2H200LA12
2H200LA22
2H200PA12
(57)【要約】
【課題】媒体によって第2の回転体を支持する軸受に外力が加わっても、軸受の位置にズレが生じるのを防止することができるようにする。
【解決手段】第1の回転体と、第2の回転体と、直動方向に移動自在に配設され、第2の回転体を支持する軸受Braと、所定の箇所に突当面を備え、軸受Braを保持する軸受保持部材とを有する。媒体が第1、第2の回転体間のニップ部Npに供給されたときに、軸受Braが突当面に突き当てられ、直動方向と異なる方向への軸受Braの移動が規制される。媒体によって軸受Braに外力が加わっても、軸受Braが突当面に突き当てられ、直動方向と異なる方向への軸受Braの移動が規制される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)回転自在に配設された第1の回転体と、
(b)該第1の回転体と対向させて回転自在に配設された第2の回転体と、
(c)該第2の回転体の両端において所定の直動方向に移動自在に配設され、第2の回転体を回転自在に支持する軸受と、
(d)所定の箇所に突当面を備え、前記軸受を保持する軸受保持部材とを有するとともに、
(e)媒体が前記第1、第2の回転体間のニップ部に供給されたときに、前記軸受が前記突当面に突き当てられ、前記直動方向と異なる方向への軸受の移動が規制されることを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
(a)前記軸受保持部材は、前記突当面と対向する当接面を備え、
(b)前記軸受が直動方向に移動する際に、前記当接面は前記突当面に対して摺動させられる請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
(a)前記軸受と軸受保持部材との間に付勢部材が配設され、
(b)該付勢部材の付勢力によって前記軸受が前記突当面に突き当てられる請求項1又は2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記軸受は、前記直動方向に対して所定の第1の角度傾斜する付勢方向に前記付勢部材によって付勢される請求項3に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記第2の回転体の中心を通り、軸受の直動方向に延びる直線と、前記第1、第2の回転体の中心を結ぶ直線とが成す角度を第2の角度としたとき、前記第1の角度は第2の角度より大きく、90〔°〕より小さい請求項4に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記軸受は、媒体の搬送方向における前記ニップ部より下流側に向けて付勢される請求項4又は5に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記付勢方向は、前記第1、第2の回転体の中心を結ぶ直線、及び媒体の搬送方向に延びる直線によって分割される象限のうち、第2の回転体側で媒体の搬送方向における上流側の象限から、第1の回転体側で媒体の搬送方向における下流側の象限に向けられる請求項6に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記第2の回転体の中心を通り前記付勢方向に延びる直線上に、前記軸受保持部材の突当面が置かれる請求項4~7のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
前記付勢力の前記媒体の搬送方向における分力が、ニップ部を搬送される媒体に加わる搬送反力より大きくされる請求項3~8のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の媒体搬送装置を備える画像形成装置。
【請求項11】
前記第1の回転体は像担持体であり、前記第2の回転体は転写ローラである請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、電子写真式のプリンタには、画像形成ユニット、媒体搬送装置としての用紙搬送装置、定着器等が配設され、前記画像形成ユニットにおいて、帯電ローラによって一様に帯電させられた第1の回転体としての感光体ドラムの表面がLEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像がトナーによって現像されてトナー像が形成されるようになっている。
【0003】
また、前記画像形成ユニットにおいて、感光体ドラムに第2の回転体としての転写ローラが押し付けられてニップ部が形成され、前記用紙搬送装置によってニップ部に媒体としての用紙が供給され、感光体ドラム上のトナー像が用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙は定着器に送られ、定着器において前記トナー像が用紙に定着させられる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-265368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、転写ローラを回転自在に支持する軸受に、ニップ部に供給される用紙による外力が加わると、軸受の位置にズレが生じ、転写ローラを精度良く支持することできなくなってしまう。
【0006】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、第1の回転体と第2の回転体との間のニップ部に供給される媒体によって第2の回転体を支持する軸受に外力が加わっても、軸受の位置にズレが生じるのを防止することができ、第2の回転体を精度良く支持することができる媒体搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の媒体搬送装置においては、回転自在に配設された第1の回転体と、該第1の回転体と対向させて回転自在に配設された第2の回転体と、該第2の回転体の両端において所定の直動方向に移動自在に配設され、第2の回転体を回転自在に支持する軸受と、所定の箇所に突当面を備え、前記軸受を保持する軸受保持部材とを有する。
【0008】
そして、媒体が前記第1、第2の回転体間のニップ部に供給されたときに、前記軸受が前記突当面に突き当てられ、前記直動方向と異なる方向への軸受の移動が規制される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体搬送装置においては、回転自在に配設された第1の回転体と、該第1の回転体と対向させて回転自在に配設された第2の回転体と、該第2の回転体の両端において所定の直動方向に移動自在に配設され、第2の回転体を回転自在に支持する軸受と、所定の箇所に突当面を備え、前記軸受を保持する軸受保持部材とを有する。
【0010】
そして、媒体が前記第1、第2の回転体間のニップ部に供給されたときに、前記軸受が前記突当面に突き当てられ、前記直動方向と異なる方向への軸受の移動が規制る。
【0011】
この場合、媒体が第1、第2の回転体間のニップ部に供給されたときに媒体によって軸受に外力が加わっても、軸受が前記突当面に突き当てられ、前記直動方向と異なる方向への軸受の移動が規制されるので、軸受の位置にズレが生じるのを防止することができる。
【0012】
したがって、第2の回転体を精度良く支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態における転写ローラの支持状態を示す図である。
図2】本発明の実施の形態におけるプリンタの第1の斜視図である。
図3】本発明の実施の形態におけるプリンタの第2の斜視図である。
図4】本発明の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
図5】本発明の実施の形態におけるプリンタの断面図である。
図6】参考例のプリンタにおける転写ローラの支持状態を示す図である。
図7】本発明の実施の形態におけるプリンタの要部断面図である。
図8】本発明の実施の形態における軸受収容部にスプリングが配設されていない状態を示す図である。
図9】本発明の実施の形態における軸受収容部にスプリングが配設されている状態を示す図である。
図10】本発明の実施の形態におけるニップ部及び転写ローラのシャフトに発生する力の関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタ及び媒体搬送装置としての用紙搬送装置について説明する。
【0015】
図2は本発明の実施の形態におけるプリンタの第1の斜視図、図3は本発明の実施の形態におけるプリンタの第2の斜視図、図4は本発明の実施の形態におけるプリンタの概念図、図5は本発明の実施の形態におけるプリンタの断面図である。なお、図2、3及び5において、X軸正方向はプリンタ10における後方向であり、X軸負方向はプリンタ10における前方向であり、Y軸正方向はプリンタ10における左方向であり、Y軸負方向はプリンタ10における右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
【0016】
図において、10はプリンタ、Bdはプリンタ10の本体、すなわち、装置本体、Csは、装置本体Bdを包囲する、プリンタ10の装置外装としての筐体である。
【0017】
該筐体Csは、前壁Wf、背壁Wr、前壁Wfの正面から見て左側に配設された第1の壁部材としての、かつ、第1の側壁としての左側壁Ws1、前壁Wfの正面から見て右側に配設された第2の壁部材としての、かつ、第2の側壁としての右側壁Ws2、及び頂壁Wtを備える。
【0018】
前記前壁Wfの上半部Wfaから頂壁Wtの前半部WtbにかけてフロントカバーPfが開閉自在に配設され、該フロントカバーPfを開くことによって、プリンタ10の操作者は装置本体Bd内にアクセスすることができる。また、前記前壁Wfの下半部に、媒体収容部としての用紙カセット22のフロントパネル22fが開閉自在に配設され、前記用紙カセット22に媒体としての用紙Pが収容される。
【0019】
前記頂壁Wtにおける前壁Wf及び右側壁Ws2に隣接する部分には操作パネル65が配設される。該操作パネル65は、プリンタ10の状態を表示するためのLED画面等から成る表示部66、及び操作者がプリンタ10への指示を入力するためのスイッチ、キー等から成る操作部67を備える。なお、操作パネル65がタッチパネルによって形成される場合、操作パネル65は表示部として機能するとともに、操作部としても機能する。また、頂壁Wtにおける中央部から背壁Wrにかけて、媒体積載部としてのスタッカskが形成され、該スタッカskに臨ませて、画像が形成された用紙Pを排出するための排出口Hh1が形成され、該排出口Hh1に排出部材としての排出ローラ対26が回転自在に配設される。
【0020】
さらに、頂壁Wtにおける左側壁Ws1に隣接する部分にトップカバーPtが開閉自在に配設され、操作者は、該トップカバーPtを開くことによって左側壁Ws1内にアクセスすることができる。
【0021】
そして、前記筐体Cs内に画像形成ユニット20及び前記用紙カセット22が装置本体Bdに対して着脱自在に配設されるとともに、露光装置としてのLEDヘッド21が、前記画像形成ユニット20に配設された像担持体としての、かつ、第1の回転体としての感光体ドラム11と対向させて配設され、画像形成ユニット20の下方に、転写部材としての、かつ、第2の回転体としての転写ローラ24が感光体ドラム11と対向させて回転自在に配設され、画像形成ユニット20に隣接させて定着装置としての定着器25が配設される。
【0022】
画像形成ユニット20は、本体部20a、及び現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容部としてのトナー収容部17を備える。前記本体部20a内におけるトナー収容部17の下方に現像剤貯蔵部としてのトナー貯蔵部18が形成され、該トナー貯蔵部18に、トナー収容部17から供給されたトナーが貯蔵される。
【0023】
また、前記画像形成ユニット20は、前記感光体ドラム11、該感光体ドラム11と対向させて回転自在に配設され、感光体ドラム11にトナーを付着させて現像剤像としてのトナー像を形成する現像剤担持体としての現像ローラ12、該現像ローラ12にトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ13、前記感光体ドラム11と対向させて回転自在に配設され、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ14、先端を前記現像ローラ12に押し当てて配設され、現像ローラ12上に供給されたトナーを薄層化し、トナー層を形成する現像剤規制部材としての現像ブレード19、前記感光体ドラム11上の転写残現像剤としての残留トナーを掻き取り、除去するクリーニング部材としてのクリーニングブレード15、及び該クリーニングブレード15によって掻き取られ、除去された残留トナーを廃棄現像剤である廃トナーとして搬送する廃棄現像剤搬送路としての廃トナー搬送路16を備える。
【0024】
前記LEDヘッド21は、本体部20aの上方において感光体ドラム11と対向させて配設され、帯電ローラ14によって帯電させられた感光体ドラム11を画像データに基づいて露光し、感光体ドラム11の表面に潜像としての静電潜像を形成する。前記現像ローラ12は、トナーを静電潜像に付着させることによって感光体ドラム11上にトナー像を形成する。
【0025】
前記転写ローラ24は、前記本体部20aの下方において感光体ドラム11に押し付けられて配設され、感光体ドラム11との間にニップ部を形成し、感光体ドラム11上のトナー像をニップ部に供給された用紙Pに転写する。
【0026】
前記定着器25は、第1の定着部材としての加熱ローラR1、及び第2の定着部材としての加圧ローラR2を備え、加熱ローラR1内に、図示されないハロゲンランプ等の発熱体が配設される。定着器25において、用紙Pに転写されたトナー像が、加熱ローラR1によって加熱され、加圧ローラR2によって加圧されて、用紙Pに定着させられる。
【0027】
また、図4において、27は、フィルム等によって形成され、先端を現像ローラ12に押し当てて配設されたシール部材であり、該シール部材27は、トナー貯蔵部18内のトナーが本体部20a外に漏れるのを防止する。
【0028】
前記感光体ドラム11、現像ローラ12、供給ローラ13、帯電ローラ14及び転写ローラ24はそれぞれ矢印方向に回転させられる。
【0029】
前記用紙カセット22内の用紙Pは、繰出ローラ23によって媒体搬送路としての用紙搬送路Rt1に矢印A方向に繰り出され、第1の搬送部材としての搬送ローラ対m1によって矢印B方向に搬送され、感光体ドラム11と転写ローラ24との間に形成された前記ニップ部に供給される。該ニップ部において用紙Pにトナー像が転写され、定着器25においてトナー像が定着させられて用紙Pに画像が形成される。続いて、用紙Pは、矢印C方向に搬送され、前記排出ローラ対26によって排出口Hh1を介して矢印D方向に(装置本体Bd外に)排出され、スタッカskに積載される。
【0030】
ところで、前記装置本体Bdに内おいて転写ローラ24は軸受によって回転自在に支持されるが、該軸受に、ニップ部に供給される用紙Pによる外力が加わると、軸受の位置にズレが生じ、転写ローラ24を精度良く支持することできない。
【0031】
図6は参考例のプリンタにおける転写ローラの支持状態を示す図である。なお、図において、X軸正方向はプリンタ10における後方向であり、X軸負方向はプリンタ10における前方向であり、Y軸正方向はプリンタ10における左方向であり、Y軸負方向はプリンタ10における右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
【0032】
図において、20aは画像形成ユニット20(図4)の本体部、Rt1は用紙搬送路、11は感光体ドラム、12は現像ローラ、24は転写ローラ、sh1は転写ローラ24の両端に突出させて形成されたシャフト、Brpは該シャフトsh1を介して転写ローラ24を回転自在に支持する軸受、Hdpは、ガイドGdを介して軸受BrpをZ軸方向である軸受直動方向Eに移動自在に保持する軸受ホルダ、Sppは、軸受Brpを、感光体ドラム11に向けたZ軸正方向である付勢方向Fに付勢するスプリング、Kpは、前記軸受ホルダHdpの両端において軸受Brpを収容する軸受収容部である。
【0033】
参考例のプリンタ10における転写ローラ24の支持状態では、軸受収容部Kp内において軸受BrpのX軸正方向への移動が規制されるようになっていないので、ニップ部に供給される用紙Pによる外力が軸受Brpに加わると、軸受ホルダHdp内において軸受BrpがX軸負方向に移動し、軸受Brpの位置にズレが生じ、転写ローラ24を精度良く支持することができない。
【0034】
そこで、本実施の形態においては、後述されるように、付勢部材としてのスプリングSpa(図1)による転写ローラ24の軸受Braの付勢方向Gが、軸受Braの軸受直動方向Eに対して所定の第1の角度θ1傾斜させられ、それにより、ニップ部において、ニップ部に供給される用紙Pによる外力が軸受Braに加わって軸受Braの位置にズレが生じるのを防止することができるようになっている。
【0035】
図1は本発明の実施の形態における転写ローラの支持状態を示す図、図7は本発明の実施の形態におけるプリンタの要部断面図、図8は本発明の実施の形態における軸受収容部にスプリングが配設されていない状態を示す図、図9は本発明の実施の形態における軸受収容部にスプリングが配設されている状態を示す図である。なお、図1及び7において、X軸正方向はプリンタ10における後方向であり、X軸負方向はプリンタ10における前方向であり、Y軸正方向はプリンタ10における左方向であり、Y軸負方向はプリンタ10における右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
【0036】
図において、20aは画像形成ユニット20(図4)の本体部、Rt1は用紙搬送路、11は感光体ドラム、12は現像ローラ、13は供給ローラ、14は帯電ローラ、15はクリーニングブレード、16は廃トナー搬送路、18はトナー収容部、19は現像ブレード、24は転写ローラ、27はシール部材である。
【0037】
また、Npは感光体ドラム11と転写ローラ24との間のニップ部、sh1は転写ローラ24の両端に突出させて形成されたシャフト、Braは、シャフトsh1の両端に配設され、シャフトsh1を介して転写ローラ24を回転自在に支持する軸受、Hdaは、用紙搬送路Rt1の下方において用紙Pの幅方向に延在させて配設され、軸受Braを図1におけるZ軸方向である前記軸受直動方向Eに移動自在に保持する軸受保持部材としての軸受ホルダ、Spaは、軸受Braを、用紙搬送路Rt1におけるニップ部Npより下流側に向けて前記付勢方向Gに付勢するスプリング、Kaは、軸受ホルダHdaの両端に形成され、軸受Braを移動自在に収容する軸受収容部である。
【0038】
なお、感光体ドラム11、転写ローラ24、用紙搬送路Rt1、軸受Bra、軸受ホルダHda、スプリングSpa等によって媒体搬送装置としての用紙搬送装置が構成される。
【0039】
本実施の形態において、前記軸受ホルダHdaは、移動することがないように装置本体Bdに対して固定され、軸受Braは、前述されたように、軸受ホルダHdaによって直動方向、すなわち、軸受直動方向Eに移動自在に保持される。そのために、前記軸受ホルダHdaの両端に、軸受Bra及びスプリングSpaを収容する前記軸受収容部Kaが形成される。
【0040】
該軸受収容部Kaは、五角形の形状を有し、軸受ホルダHdaの所定の箇所、本実施の形態においては、上縁の近傍から下縁の近傍までZ軸負方向に延在する突当面としての後内周縁ef1、該後内周縁ef1の下端からX軸負方向に延在する下内周縁ef2、該下内周縁ef2の前端から斜め上前方に延在する下傾斜内周縁ef3、該下傾斜内周縁ef3の前端から斜め上後方に延在する上傾斜内周縁ef4、及び該上傾斜内周縁ef4の後端から後内周縁ef1の上端までX軸正方向に延在する上内周縁ef5を備える。
【0041】
また、前記軸受Braは、五角形の形状を有し、軸受収容部Ka内において、軸受ホルダHdaの上縁の近傍から下縁の近傍までZ軸負方向に延在し、かつ、前記後内周縁ef1と対向する当接面としての後外周縁eg1、該後外周縁eg1の下端からX軸負方向に延在する下外周縁eg2、該下外周縁eg2の前端から斜め上前方に延在する下傾斜外周縁eg3、該下傾斜外周縁eg3の前端から斜め上後方に延在する上傾斜外周縁eg4、及び該上傾斜外周縁eg4の後端から後外周縁eg1の上端までX軸正方向に延在する上外周縁eg5を備える。
【0042】
図8に示されるように、前記軸受収容部Ka内に、軸受Braを、前記後内周縁ef1と後外周縁eg1とが、下内周縁ef2と下外周縁eg2とが、下傾斜内周縁ef3と下傾斜外周縁eg3とが、上傾斜内周縁ef4と上傾斜外周縁eg4とが、上内周縁ef5と上外周縁eg5とがそれぞれ平行になるように配設し、続いて、図9に示されるように、下傾斜内周縁ef3と下傾斜外周縁eg3との間にスプリングSpaを圧縮させた状態で配設すると、前記後内周縁ef1に後外周縁eg1が摺動自在に突き当てられ、軸受Braが、後内周縁ef1に後外周縁eg1を摺動させて軸受直動方向Eに移動させられるようになる。そして、後外周縁eg1と上外周縁eg5の交点であるコーナ部Deが、後内周縁ef1と上内周縁ef5との交点に突き当てられる。
【0043】
その結果、軸受Braは、用紙Pの搬送方向におけるニップ部Npより下流側に向けて前記付勢方向Gに付勢され、軸受ホルダHdaによって保持される。
【0044】
このとき、下内周縁ef2と下外周縁eg2との間、及び下傾斜内周縁ef3と下傾斜外周縁eg3との間には、所定の隙間が形成される。
【0045】
転写ローラ24の中心C24を通り、軸受直動方向Eに延びる直線をL1とし、前記中心C24を通り、付勢方向Gに延びる直線をL2とし、感光体ドラム11の中心C11と前記中心C24とを結び、ニップ方向に延びる直線をL3とし、ニップ部Npにおける感光体ドラム11及び転写ローラ24の共通の接線から成り、用紙Pの搬送方向に延びる直線をL4とし、直線L1と直線L2とが成す角度を第1の角度θ1とし、直線L1と直線L3とが成す角度を第2の角度θ2としたとき、第1、第2の角度θ1、θ2は、
θ1<θ2<90〔°〕
になり、直線L3と直線L4とが成す角度は90〔°〕になる。
【0046】
なお、前記付勢方向Gは、前記直線L3と直線L4によって分割される象限のうち、転写ローラ24側の用紙Pの搬送方向における上流側の象限から、感光体ドラム11側の用紙Pの搬送方向における下流側の象限に向けられる。
【0047】
次に、軸受Braが図1及び9に示される状態に置かれているときに、用紙搬送路Rt1を搬送される用紙Pがニップ部Npに供給され、軸受Braに外力が加わった場合に、ニップ部Np及び転写ローラ24のシャフトsh1に発生する力について説明する。
【0048】
図10は本発明の実施の形態におけるニップ部及び転写ローラのシャフトに発生する力の関係を説明するための図である。なお、図において、X軸正方向はプリンタ10における後方向であり、X軸負方向はプリンタ10における前方向であり、Y軸正方向はプリンタ10における左方向であり、Y軸負方向はプリンタ10における右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
【0049】
図において、Rt1は用紙搬送路、11は感光体ドラム、24は転写ローラ、Npはニップ部、sh1はシャフト、Braは軸受、Hdaは軸受ホルダ、Spaはスプリング、Kaは、軸受ホルダHdaの両端に形成され、軸受Braを移動自在に収容する軸受収容部である。
【0050】
スプリングSpaによってシャフトsh1に発生させられる前記付勢方向G(図1)の力を付勢力F1としたとき、該付勢力F1は、用紙P(図4)の搬送方向における分力である軸受付勢力F2、及びニップ方向における分力であるローラニップ力F3に分けられ、前記軸受付勢力F2で軸受Braが軸受ホルダHdaの前記後内周縁ef1に押し付けられ、前記ローラニップ力F3で転写ローラ24が感光体ドラム11に押し付けられる。
【0051】
したがって、ニップ部Npに供給される用紙Pによる外力が軸受Braに加わっても、軸受Braは軸受ホルダHdaの後内周縁ef1に突き当てられた状態に置かれ、前記軸受直動方向Eと異なる方向への軸受Braの移動が規制されるので、軸受Braの位置にズレが生じることはない。
【0052】
また、付勢方向Gに延びる前記直線L2上に前記後内周縁ef1が置かれ、軸受Braの後外周縁eg1と上外周縁eg5の交点である前記コーナ部Deが直線L2よりニップ部Np側に位置させられるので、シャフトsh1に付勢力F1が発生させられても、軸受Braを図10における反時計周り方向に回転させるモーメントが発生することがない。
【0053】
そして、用紙Pと感光体ドラム11及び転写ローラ24との摩擦係数をμとしたとき、転写ローラ24がローラニップ力F3で感光体ドラム11に押し付けられることによって、ニップ部Npを搬送される用紙Pに搬送反力F4
F4=μ×F3
が加わる。
【0054】
なお、搬送反力F4が軸受付勢力F2より大きい場合、軸受Braを後内周縁ef1に押し付けることができず、搬送反力F4が用紙Pの搬送力F5より大きい場合、ニップ部Npにおいて用紙Pを搬送することができなくなるので、搬送反力F4が軸受付勢力F2及び用紙Pの搬送力F5より小さくなるようにスプリングSpaによる付勢力F1が設定される。
【0055】
このように,本実施の形態においては、用紙Pが感光体ドラム11と転写ローラ24との間のニップ部Npに供給されたときに、用紙Pによって軸受Braに外力が加わっても、軸受Braが前記後内周縁ef1に突き当てられ、軸受直動方向Eと異なる方向への軸受Braの移動が規制されるので、軸受Braの位置にズレが生じるのを防止することができる。
【0056】
したがって、転写ローラ24を精度良く支持することができる。
【0057】
また、軸受Braが前記後内周縁ef1に突き当てられる際に、軸受Braのコーナ部Deが後内周縁ef1と上内周縁ef5との交点に突き当てられるので、軸受Braを回転させるモーメントが発生することがない。したがって、転写ローラ24のアライメントを保持することができる。
【0058】
そして、軸受ホルダHdaの両端において、軸受Braによって転写ローラ24を精度良く支持することができるので、転写ローラ24の位置が両端で揃い、用紙Pを斜行させることなく精度良く搬送することができる。
【0059】
さらに、スプリングSpaによる付勢方向Gを軸受直動方向Eに対して傾斜させることによって軸受Braを後内周縁ef1に突き当てるようになっているので、スプリングSpaを一つ配設するだけでよく、プリンタ10を小型化することができる。
【0060】
本実施の形態においては、プリンタ10に画像形成ユニット20が一つだけ配設されるようになっているが、プリンタ10に複数の画像形成ユニットを配設し、カラーの画像を形成することもできる。また、本実施の形態においては、媒体として、カット紙から成る用紙Pが使用されるようになっているが、カット紙に代えて、ロール紙、ファンフォールディング紙などを使用することができる。さらに、本実施の形態においては、軸受Braが軸受直動方向Eに移動するようになっているが、軸受Braを回転方向に移動させたり、揺動させたりすることもできる。
【0061】
また、本実施の形態においては、スプリングSpaとして圧縮スプリングが使用されるようになっているが、圧縮スプリングに代えて、引張りスプリング、ネジリコイルスプリング等を使用することができる。
【0062】
本実施の形態においては、プリンタ10について説明したが、本発明を複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0063】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0064】
11 感光体ドラム
24 転写ローラ
Bra 軸受
E 軸受直動方向
ef1 後内周縁
Hda 軸受ホルダ
Np ニップ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10