(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049433
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】管路材および管路材の曲げ半径測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 5/213 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
G01B5/213
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159166
(22)【出願日】2021-09-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000221502
【氏名又は名称】東拓工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 正英
(72)【発明者】
【氏名】小川 智裕
(72)【発明者】
【氏名】福山 靖英
(72)【発明者】
【氏名】前田 太成
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA53
2F062BB04
2F062GG03
2F062GG29
2F062LL03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】管路材の湾曲部位の曲げ半径を簡単に測定できる測定方法を提供する。
【解決手段】大径部10と小径部20とが交互に設けられ、曲げ半径測定手段を備えた波形の管路材1。曲げ半径測定手段は、第1の大径部10Aの第1マーク100と、第2の大径部10Bの第2マーク200と、第3の大径部10Cの中央ゲージ部300とから構成されている。中央ゲージ部300には、第1マーク100と第2マーク200の中心となる第3マーク310、320が設けられている。第3マーク310、320の真ん中は、第3マークから下記式1の距離Yだけ離れた基準点500となる。
(式1)Y=R(1-cosθ
1)
(式2)θ
1=(90X)/(Rπ)
「R」は中心軸の曲げ半径Sで管路材を湾曲させたとき、湾曲した第1直線F1(円弧A
F1)の曲げ半径を示す。「X」は湾曲した前記第1直線の第1マークと第2マークの長さを示す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ半径測定手段が設けられ、断面多角形の大径部を備えた波形の管路材であって、
前記曲げ半径測定手段は、
第1の大径部の第一面に表示された第1点と、
第2の大径部の第一面に設けられ、かつ、前記第1点を通る前記管路材の中心軸と平行な第1直線上に表示された第2点と、
前記第1の大径部と前記第2の大径部との間にある第3の大径部の第1面に設けられた中央ゲージ部とを有し、
前記中央ゲージ部には、前記第1直線上の第3点から前記第1直線に対して垂直な方向に下記の(式1)から(式3)で表される距離Yだけ離れた基準点を特定する手段が設けられている、
管路材。
(式1)Y=R(1-(cosθ1/cosθ2))
(式2)θ1=(90X)/(Rπ)
(式3)θ2=(90|X-2W|)/(Rπ)
(「R」は、前記中心軸の曲げ半径が所定値となるように管路材を湾曲させたとき、湾曲した前記第1直線の曲げ半径を示す。「X」は、前記中心軸の曲げ半径が所定値となるように管路材を湾曲させたとき、湾曲した前記第1直線であって、前記第1点と前記第2点の長さを示す。「W」は、前記中心軸の曲げ半径が所定値となるように管路材を湾曲させたとき、湾曲した前記第1直線であって、前記第1点と前記第3点の長さを示す。)
【請求項2】
前記所定値が、前記管路材の最小曲げ半径である、
請求項1記載の管路材。
【請求項3】
前記距離Yが(式4)を満たす、
請求項1または2に記載の管路材。
(式4)W=1/2X
【請求項4】
前記中央ゲージ部に、前記基準点が表示されている、
請求項1から3いずれかに記載の管路材。
【請求項5】
前記第1点は、前記第1の大径部の第一面に2つ設けられており、
前記第2点は、前記第2の大径部の第一面に2つ設けられており、
前記中央ゲージ部には、一方の前記第1点および一方の前記第2点を結ぶ一方の前記第1直線上の一方の第3点から前記一方の第1直線に対して垂直な方向に前記距離Yだけ離れた一方の前記基準点を特定する一方の手段と、他方の前記第1点および他方の前記第2点を結ぶ他方の前記第1直線上の他方の第3点から前記他方の第1直線に対して垂直な方向に前記距離Yだけ離れた他方の前記基準点とを特定する他方の手段とが設けられている、
請求項1から4のいずれかに記載の管路材。
【請求項6】
前記2つの第1点は前記中心軸と垂直な方向に距離2Yで離れており、
前記2つの第2点は前記中心軸と垂直な方向に距離2Yで離れており、
前記一方の基準点と他方の基準点が同じ位置にある、
請求項5記載の管路材。
【請求項7】
前記2つの第1点は前記中心軸と垂直な方向に距離Yで離れており、
前記2つの第2点は前記中心軸と垂直な方向に距離Yで離れており、
前記一方の第3点が前記他方の基準点であり、前記他方の第3点が前記一方の基準点である、
請求項5記載の管路材。
【請求項8】
前記第1点は、前記第1の大径部の第一面に設けられた第1マークの中心であり、
前記第2点は、前記第2の大径部の第一面に設けられた第2マークの中心である、
請求項1から7のいずれかに記載の管路材。
【請求項9】
前記第1マークおよび第2マークは、円または多角形の外形と、前記外形の中心点を通る少なくとも2つの線とを備えている、
請求項8記載の管路材。
【請求項10】
前記第1点、前記第2点および前記中央ゲージ部は、前記管路材の表面に塗料を塗布することによって設けられている、前記管路材の表面を改質することによって設けられている、前記管路材の表面に貼設されている、あるいは、前記管路材の表面に凹凸として表示されている、
請求項1から9のいずれかに記載の管路材。
【請求項11】
前記第1点、前記第2点および前記中央ゲージ部は、視認性を良くする手段にて設けられている、
請求項1から10のいずれかに記載の管路材。
【請求項12】
前記第1の大径部の全ての面に前記第1点が設けられており、
前記第2の大径部の全ての面に前記第2点が設けられており、
前記第3の大径部の全ての面に前記中央ゲージ部が設けられている、
請求項1から11のいずれかに記載の管路材。
【請求項13】
前記第1点、前記中央ゲージ部および前記第2点が、前記管路材の長さ方向に複数設けられている、
請求項1から12のいずれかに記載の管路材。
【請求項14】
前記大径部が、断面四角形または断面八角形である、
請求項1から13のいずれかに記載の管路材。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の管路材が複数本固定された、管路材。
【請求項16】
管路材の湾曲部の曲げ半径を測定する方法であって、
前記管路材を真っすぐにしたとき、前記管路材の中心軸と平行な第1直線で結ばれる第1点および第2点を特定する工程と、
前記第1直線上の第3点から前記第1直線に対して垂直で、かつ、水平な方向に下記の(式1)から(式3)で表される距離Yだけ離れた基準点を特定する工程と、
前記第1点と前記第2点とを結ぶ弦相当直線を形成する工程と、
前記弦相当直線が前記第3点と前記基準点との間を通る場合、前記管路材の中心軸の曲げ半径は所定値より小さいと判断し、前記弦相当直線が前記第3点と前記基準点の間を通らない場合、前記湾曲部の曲げ半径は所定値より大きいと判断する工程とを有する、
管路材の曲げ半径測定方法。
(式1)Y=R(1-(cosθ1/cosθ2))
(式2)θ1=(90X)/(Rπ)
(式3)θ2=(90|X-2W|)/(Rπ)
(「R」は、前記中心軸の曲げ半径が所定値となるように管路材を湾曲させたとき、湾曲した前記第1直線の曲げ半径を示す。「X」は、前記中心軸の曲げ半径が所定値となるように管路材を湾曲させたとき、湾曲した前記第1直線であって、前記第1点と前記第2点の長さを示す。「W」は、前記中心軸の曲げ半径が所定値となるように管路材を湾曲させたとき、湾曲した前記第1直線であって、前記第1点と前記第3点の長さを示す。)
【請求項17】
前記管路材が、請求項1から14のいずれかに記載の管路材である、
請求項16記載の管路材の曲げ半径測定方法。
【請求項18】
前記管路材に連結させることにより前記第1点、前記第2点または前記基準点を特定する治具を用いた、
請求項16記載の管路材の曲げ半径測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル保護管等の管路材および管路材の曲げ半径測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
街の景観向上等の目的で電線や光ファイバー等のケーブル類は地中に埋設されており、これらケーブル類を保護するため、ケーブル類は地中に埋設したケーブル保護管に挿通される。例えば、特許文献1に示すように、断面方形の大径部を備えた合成樹脂波形管が知られている。この特許文献1の
図11には、大径部の表面に突起や窪みが設けられた合成樹脂波形管が開示されているが、この突起や窪みは曲げ半径を測定するものではなく、複数の波形管を多条に配管するためのものである。
このようなケーブル保護管は、設置時に、湾曲部位の曲げ半径が小さすぎると、ケーブルを挿通するための通線治具やケーブルが通しにくくなり、ケーブルの引き込み作業が困難になる。そのため、ケーブル保護管の施工管理として、例えば、施工主等のマニュアルに沿ってケーブル保護管の湾曲部位の中心軸の曲げ半径を所定値以上(例えば、5m以上)にすることが求められている。
【0003】
このような施工管理を守るべく、現場では、ケーブル保護管を設置後、ケーブル保護管の一端から他端まで検査装置を通して管路内の様子と共にケーブル保護管の湾曲部位の曲げ半径の確認している。例えば、特許文献2の
図2や
図10には、管路検査用の試験棒を挿通させる方法が開示されている。また特許文献3には、内面にガイドマークが設けられた撓み管の管路を測定する管路測定装置であって、管路内における当該装置の座標位置をガイドマークに基づいて演算させるものが開示されている。これら特許文献2、3の検査方法は、管路内の様子が正確にわかるために施工完了後の最終検査としては好ましい。
しかし、これらの検査で異常が確認された場合、ケーブル保護管を再度掘り起こして異常部分の修正を行わなければならない。そのため、現場では、湾曲部位の形状(または湾曲部位の曲げ半径)を、例えば、曲げ半径5mに曲げられた長さ約1mの専用定規と比較させることによって、随時、確認する方法を採用している。
【0004】
またケーブル保護管の湾曲部位の外形からその曲げ半径を測定する手段として、次の特許文献4、5のようなものも知られている。
特許文献4には、配管内径の曲率半径を測定して配管の歪みを検査する検査装置であって、湾曲部の内側の少なくとも3点と接触する接触子を備えた装置が開示されている。
特許文献5には、地中に埋設する電気ケーブルを通すための可撓管の曲りを測定する測定器であって、湾曲した可撓管の湾曲部を囲むように取り付けられる2本の第1の棒材および第2の棒材と、それら第1の棒材および第2の棒材を架け渡すように連結される第3の棒材とを備えた測定器が開示されている。湾曲した可撓管の円弧の3点を結ぶ三角形を、第1の棒材、第3の棒材および第3の棒材で形成することにより、第3の棒材の表示「5R」、「6R」、「10R」から湾曲部の曲率半径が確認できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-219333号公報
【特許文献2】特開平7-293747号公報
【特許文献3】特開平9-119834号公報
【特許文献4】特開2016-109491号公報
【特許文献5】特開2007-278988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、施工現場において、専用定規および特許文献4、5の装置を使用できないことがある。例えば、施工現場では、施工期間の短縮と工事費用の削減のため、掘削幅を最小限としており、これらの定規または装置を使用するスペースが十分に確保できないことがあった。
本発明はこのような事情を鑑みて研究・開発されたものであり、特殊な装置を用いることなく施工途中の管路材の湾曲部位の曲げ半径を簡単に測定できる管路材および管路材の曲げ半径の測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の管路材は、曲げ半径測定手段が設けられており、断面多角形の大径部を備えた波形の管路材であって、前記曲げ半径測定手段は、第1の大径部の第一面に表示された第1点と、第2の大径部の第一面に設けられ、かつ、前記第1点を通る前記管路材の中心軸と平行な第1直線上に表示された第2点と、前記第1の大径部と前記第2の大径部との間にある第3の大径部の第1面に設けられた中央ゲージ部とを有し、前記中央ゲージ部には、前記第1直線上の第3点から前記第1直線に対して垂直な方向に下記の(式1)から(式3)で表される距離Yだけ離れた基準点を特定する手段が設けられていることを特徴としている。
(式1)Y=R(1-(cosθ1/cosθ2))
(式2)θ1=(90X)/(Rπ)
(式3)θ2=(90|X-2W|)/(Rπ)
なお、「R」は、前記中心軸の曲げ半径が所定値となるように管路材を湾曲させたとき、湾曲した前記中心軸と平行で、かつ、第1点および第2点を結ぶ円弧、つまり、湾曲した前記第1直線の曲げ半径を示す。「X」は、前記中心軸の曲げ半径が所定値となるように管路材を湾曲させたとき、湾曲した前記第1直線であって、前記第1点と前記第2点の長さを示す。「W」は、前記中心軸の曲げ半径が所定値となるように管路材を湾曲させたとき、湾曲した前記第1直線であって、前記第1点と前記第3点の長さを示す。
【0008】
上記(式1)~(式3)について
図12を用いて詳述する。なお、
図12は、中心軸Cの曲げ半径が所定値Sとなるように管路材を湾曲させた概略図である。
この
図12において、符号Aは、曲げ半径Sで湾曲させた中心軸Cと平行曲線の関係(あるいは、中心軸Cを第3の大径部の第1面に投影させた中心線C1と同心円)であり、かつ、第1点P1および第2点P2を結ぶ円弧(湾曲した第1直線)である。この円弧Aの半径が「R」となる。この円弧Aにおける第1点P1と第2点P2の長さが「X」となり、第1点P1と第3点P3の長さが「W」となる。符号Oは、円弧Aの円中心である。符号Hは、第1点と第2点を直線でつなぐ円弧Aの弦である。符号L1は第1点P1または第2点P2および円中心Oを結ぶ直線であり、符号L2は第1点P1と第2点P2との真ん中の点Pcおよび円中心Oとを結ぶ直線であり、符号L3は第3点P3および円中心Oとを結ぶ直線である。
本発明の基準点とは、
図12の符号「B」であり、弦Hと直線L3の交点になる。
つまり、角度「θ
1」は、直線L1と、直線L2との間の角度を示すものである。角度「θ
2」は、直線L3と、直線L2との間の角度を示すものであり、0以上、θ
1未満である。そして、距離Yとは、第3点P3と、基準点Bとの間の距離を示すものである。
所定値「S」としては、管路材の大きさ等によって異なるため、特に限定されるものではないが、例えば、1m~10mが挙げられる。そして、「R」は、一般式「S±α」と表すことができる。「α」は、中心軸Cを第3の大径部の第1面に投影させた中心線C1と円弧Aとの距離である。この「α」は、管路材の大径部の大きさ等によって異なるため、特に限定されるものではないが、例えば、10mm~150mmが挙げられる。また第1点P1と第2点P2との長さ「X」も特に限定されるものではないが、例えば、0.5m~5mが挙げられる。そして、「Y」は、第3の大径部の第1面上に表れるものであり、第3の大径部の大きさによって異なるため、特に限定されるものではないが、例えば、10mm~200mmとなるように上記「S」、「α」、「X」が設定される。
【0009】
本発明の管路材は、直尺や巻き尺等を用いることによって、簡単に管路材の中心軸の曲げ半径を測定することができる。つまり、管路材の円弧状の湾曲部位において、第1点と第2点との間を直線(湾曲部位の弦相当直線)で繋ぎ、その直線が、第3点と基準点との間を通るか否かを確認することによって、当該湾曲部位の中心軸の曲げ半径が所定値より大きいかあるいは小さいかを確認することができる。つまり、湾曲部位の曲げ半径が、所定値である中心軸の曲げ半径より大きい場合、湾曲部位の弦相当直線は、
図12の弦Hより上側に形成され、弦相当直線は、第3点P3と基準点Bとの間を通る。一方、湾曲部位の曲げ半径が、所定値である中心軸の曲げ半径より小さい場合、湾曲部位の弦相当直線は、
図12の弦Hより下側に形成され、第3点P3と基準点Bとの間を通らない。
【0010】
本発明の管路材であって、前記所定値が管路材の最小曲げ半径であるものが好ましい。ここで「最小曲げ半径」とは、施工主等のマニュアル等に基づいて設置に求められている湾曲部位の曲げ半径の最小値をいう。また本発明において、所定値が最小曲げ半径であるとは、本発明の理論値と管路材の弾性変形等によって生じる計測値の誤差を予め考慮し、実際の最小曲げ半径より若干大きく設定し、最小曲げ半径以上であると確認する場合も含む。
【0011】
本発明の管路材であって、前記距離Yが(式4)を満たすものが好ましい。
(式4)W=1/2X
この場合、
図12において、第3点P3は、第2点P2との真ん中の点PCになる。このように第3点を規定することにより、湾曲部位の弦相当直線と、第3点P3と基準点Bとからなる直線とは常に直角となるため、現場において2つの直線が交差するか確認しやすい。
【0012】
本発明の管路材であって、前記中央ゲージ部に前記基準点が表示されているものが好ましい。この場合、基準点が一目でわかる。
【0013】
本発明の管路材であって、前記第1点は、前記第1の大径部の第一面に2つ設けられており、前記第2点は、前記第2の大径部の第1面に2つ設けられており、前記中央ゲージ部には、一方の前記第1点および一方の前記第2点を結ぶ一方の前記第1直線上の一方の第3点から前記一方の第1直線に対して垂直な方向に前記距離Yだけ離れた一方の前記基準点を特定する一方の手段と、他方の前記第1点および他方の前記第2点を結ぶ他方の前記第1直線上の他方の第3点から前記他方の第1直線に対して垂直な方向に前記距離Yだけ離れた他方の前記基準点を特定する他方の手段とが設けられているのが好ましい。
特に、前記2つの第1点が前記中心軸と垂直な方向に距離2Yで離れており、前記2つの第2点が前記中心軸と垂直な方向に距離2Yで離れており、前記一方の基準点と他方の基準点が同じ位置にあるもの、あるいは、前記2つの第1点は前記中心軸と垂直な方向に距離Yで離れており、前記2つの第2点は前記中心軸と垂直な方向に距離Yで離れており、前記一方の第3点が前記他方の基準点であり、前記他方の第3点が前記一方の基準点であるものが好ましい。
この場合、管路材を平面視したとき、左右の両側に湾曲したときの曲げ半径を確認することができる。そして、両方の基準点を同じ位置に設けたり、一方の第3点と他方の基準点とを兼用させたりすることにより、管路材に設ける表示を簡素化できる。
【0014】
本発明の管路材であって、前記第1点は、前記第1の大径部の第一面に設けられた第1マークの中心であり、前記第2点は、前記第2の大径部の第一面に設けられた第2マークの中心であるものが好ましい。特に、前記第1マークおよび第2マークは、円または多角形の外形と、前記外形の中心点を通る少なくとも2つの線とを備えているものが好ましい。この場合、第1点および第2点が特定しやすく、曲げ半径の測定精度を向上させることができる。なお、前記第1マーク、第2マークおよび基準マークはすべて同じ形状であるのが好ましい。
【0015】
本発明の管路材であって、前記第1点、前記第2点および前記中央ゲージ部は、前記管路材の表面に塗料を塗布することによって設けられている、前記管路材の表面を改質することによって設けられている、前記管路材の表面に貼設されている、あるいは、前記管路材の表面に凹凸として表示されているものが好ましい。
【0016】
本発明の管路材であって、前記第1点、前記第2点および前記中央ゲージ部は、視認性を良くする手段にて設けられているものが好ましい。視認性を良くする手段としては、例えば、各マーク等を蛍光塗料や蓄光塗料などで設けたり、各マーク等を立体的に設けたりすることなどが挙げられる。このように視認性を良くすることにより、現場における作業性および測定精度を向上させることができる。特に、各マーク等を蛍光塗料または蓄光塗料で設ける場合、夜間工事においての作業性も向上させることができて好ましい。
【0017】
本発明の管路材であって、前記第1の大径部の全ての面に前記第1点が設けられており、前記第2の大径部の全ての面に前記第2点が設けられており、前記第3の大径部の全ての面に前記中央ゲージ部が設けられているものが好ましい。この場合、管路材がねじれたり、回転したりしても、各点を確認することができるため、現場での湾曲部位の曲げ半径の測定において、作業性が高まる。
【0018】
本発明の管路材であって、前記第1点、前記中央ゲージ部および前記第2点が、前記管路材の長さ方向に複数設けられているものが好ましい。この場合、管路材において長さ方向のどの部分が湾曲しても曲げ半径を測定することができるため、想定してない部分が湾曲したとしても、その湾曲部位の曲げ半径を測定することができる。
【0019】
本発明の管路材であって、前記大径部が断面四角形または断面八角形であるものが好ましい。
本発明の管路材が複数本固定されたものが好ましい。このように多条構造となっていても湾曲部位の曲げ半径の測定が可能である。
【0020】
本発明の管路材の曲げ半径測定方法は、管路材の湾曲部の曲げ半径を測定する方法であって、前記管路材を真っすぐにしたとき、前記管路材の中心軸と平行な第1直線で結ばれる第1点および第2点を特定する工程と、前記第1直線上の第3点から前記第1直線に対して垂直で、かつ、水平な方向に下記の(式1)から(式3)で表される距離Yだけ離れた基準点を特定する工程と、前記第1点と前記第2点とを結ぶ弦相当直線を形成する工程と、前記弦相当直線が前記第3点と前記基準点との間を通る場合、前記管路材の中心軸の曲げ半径は所定値より小さいと判断し、前記弦相当直線が前記第3点と前記基準点の間を通らない場合、前記湾曲部の曲げ半径は所定値より大きいと判断する工程とを有することを特徴としている。
(式1)Y=R(1-(cosθ1/cosθ2))
(式2)θ1=(90X)/(Rπ)
(式3)θ2=(90|X-2W|)/(Rπ)
なお、「R」は、前記中心軸の曲げ半径が所定値となるように管路材を湾曲させたとき、湾曲した前記中心軸と平行曲線の関係で、かつ、第1点および第2点を結ぶ円弧、つまり、湾曲した第1直線の曲げ半径を示す。「X」は、前記中心軸の曲げ半径が所定値となるように管路材を湾曲させたとき、湾曲した前記第1直線であって、前記第1点と前記第2点の長さを示す。「W」は、前記中心軸の曲げ半径が所定値となるように管路材を湾曲させたとき、湾曲した前記第1直線であって、前記第1点と前記第3点の長さを示す。
【0021】
本発明の管路材の曲げ半径測定方法は、湾曲部位にある第1点と第2点を直尺や巻き尺等で直線につなぐことにより、簡単に最小曲げ半径より大きいかを測定することができる。
【0022】
本発明の管路材の曲げ半径の測定方法であって、前記管路材が本発明の管路材であるのが好ましい。このように本発明の管路材は、本発明の管路材の曲げ半径測定方法を行うのに特に適している。
本発明の管路材の曲げ半径の測定方法であって、前記管路材に連結させることにより前記第1点、前記第2点または前記基準点を特定する治具を用いるのが好ましい。このような治具を用いることにより、従来公知の管路材に対しても簡単に湾曲部位の曲げ半径を測定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、管路材の湾曲部位の曲げ半径を特殊な装置を用いることなく簡単に確認することができ、曲げすぎによる施工不良を低減することができる。特に、施工中(埋め戻し前)でも湾曲部位の曲げ半径を確認することができるため、たとえ、曲げ過ぎた湾曲部位が見つかっても掘り返しなどの補正作業を行うことなく管路の修正ができ、全体としての施工ロスを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1aは本発明の管路材の第1の実施形態を示す平面図であり、
図1bはその管路材を最小曲げ半径Sで湾曲させたときを示す平面図であり、
図1cはそのZ1-Z1線断面図である。
【
図3】
図3aは
図1の管路材の曲げ半径測定方法の一工程を示す概略図であり、
図3b、
図3cはそれぞれ他の工程を示す概略図である。
【
図4】
図4a、
図4bはそれぞれ本発明の管路材の変形例を示す断面図であり、
図4c、d、eはそれぞれ本発明の管路材の変形例を示す平面図であり、
図4fは
図1の管路材を4本固定した多条構造を示す断面図である。
【
図5】
図5aは本発明の第2の実施形態を示す管路材の平面図であり、
図5bはそれを用いた曲げ半径測定方法の一工程を示す概略図であり、
図5cはその変形例を示す平面図である。
【
図6】
図6aは本発明の第3の実施形態を示す管路材の平面図であり、
図6bはそれを用いた曲げ半径測定方法の一工程を示す概略図である。
【
図7】
図7a、
図7b、
図7cはそれぞれ本発明の第4の実施形態およびその変形例を示す管路材の平面図であり、
図7dは
図7cの管路材を用いた曲げ半径測定方法の一工程を示す概略図である。
【
図8】
図8a~
図8cはそれぞれ本発明の第5の実施形態をおよびその変形例を示す管路材の平面図である。
【
図9】
図9aは本発明の第6の実施形態を示す管路材の平面図であり、
図9bはその管路材を最小曲げ半径Sで湾曲させたときを示す平面図である。
【
図10】
図10aは本発明の曲げ半径の測定方法に用いられる従来公知の管路材であり、
図10b、
図10cはそれぞれ本発明の曲げ半径の測定方法に用いられる治具を示す平面図、正面図であり、
図10dは本発明の曲げ半径の測定方法の一工程を示す概略図である。
【
図11】
図11a、
図11bはそれぞれ本発明の曲げ半径の測定方法に用いられる管路材の一例を示す平面図、Z2-Z2線断面図であり、
図11cは本発明の曲げ半径の測定方法に用いられる管路材の他の例を示す平面図であり、
図11dはその管路材の曲げ半径の測定方法の一工程を示す概略図である。
【
図12】中心軸Cの曲げ半径が所定値Sとなるように管路材を湾曲させたときを示す概略図である。
【
図13】
図13aは本発明の管路材の実施例を示す概略図であり、
図13bはそれに用いられた目盛り用紙である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の管路材の第1の実施形態について説明する。
図1aの管路材1は、施工により湾曲されたとき、当該湾曲部位の曲げ半径が最小曲げ半径S以上であるかを確認できる曲げ半径測定手段が設けられている。なお、最小曲げ半径Sとは、施工主等のマニュアル等に基づいて設置に求められている湾曲部位の中心軸Cの曲げ半径の最小値をいう。
【0026】
図1aの管路材1は、断面四角形の大径部10と断面円形の小径部20とが中心軸方向に交互に設けられた波形管である。そして、管路材1の第1の大径部10Aの第一面10A1には、第1点(第1マーク100)が設けられている。管路材1の第2の大径部10Bの第一面10B1には、第2点(第2マーク200)が設けられている。管路材1の第3の大径部10Cの第一面10C1には、中央ゲージ部300が設けられている。なお、第3の大径部10Cは、第1の大径部10Aと第2の大径部10Bの真ん中に位置する。第3の大径部10Cの第1面上の中央ゲージ部300には、第1マーク100と第2マーク200の中心となる第3点(第3マーク310または320)から中心軸Cと垂直な方向(または
図1aにおける第1点および第2点とつなぐ第1直線F1、F2に対して垂直な方向)に下記の式1から式3で表される距離Yだけ離れた基準点500を特定する手段が設けられている。
(式1)Y=R(1-cosθ
1/cosθ
2)
(式2)θ
1=(90X)/(Rπ)
(式3)θ
2=(90|X-2W|)/(Rπ)=0
式1中、「R」は、
図1bに示すように、中心軸Cの曲げ半径が所定値Sとなるように管路材1を湾曲させたとき、湾曲した中心軸Cと平行曲線の関係であり、かつ、第1点(第1マーク100)および第2点(第2マーク200)を結ぶ円弧A
F1(または湾曲した第1直線F1)の曲げ半径を示す。つまり、円弧A
F1と、湾曲した中心軸Cとは、全ての点で法線を共有し、円弧A
F1と中心軸Cの間の距離は一定となる。そして、湾曲した中心軸Cが第3の大径部10Cに投影された中心線C1と円弧A
F1とは、同心円となる。「X」は、中心軸Cの曲げ半径が所定値Sとなるように管路材1を湾曲させたとき、湾曲した第1直線F1の第1点(第1マーク100)と第2点(第2マーク200)の長さを示す。そして、
図1aに示すように、管路材1を真っすぐにしたときの第1点(第1マーク100)と第2点(第2マーク200)との距離X
1とする場合、「X」は、「X
1±β」と表すことができる。「β」は、管路材を湾曲させることによって生じる弾性変形に基づいた第1直線の伸縮を補正するものであり、管路材の材質によって変動する値である。そして、「W」は、中心軸Cの曲げ半径が所定値Sとなるように管路材を湾曲させたとき、湾曲した第1直線F1であって、第1点(第1マーク100)と第3点(第3マーク310)との長さを示す。この管路材1において、「W」は「1/2X」となり、式3の「θ
2」は0となる。
【0027】
中心軸Cを曲げ半径Sで湾曲した管路材1において、円弧A
F1と、第3の大径部10Cの第1面に投影される管路材の中心軸C(中心線C1)との距離αは、Yとなっている。つまり、曲げ半径「R」は、「S+Y」で表すことができる。
なお、「R」は、一般式「S±α」と表すことができる。この「±」は湾曲方向に対する第1点および第2点の位置によって決定する。例えば、
図1bに示すように、管路材1を湾曲させたとき、第1点(第1マーク100)を湾曲した中心線C1の外側として距離Yを計算する場合は「+」となり、第1点(第1マーク100)を湾曲した中心線C1の内側として距離Yを計算する場合は「-」となる。そして、第1点(第1マーク100)が中心線C1上にある場合は、後述する
図7のように、R=Sとなる。
【0028】
このように管路材1の曲げ半径測定手段は、第1マーク100と、第2マーク200と、中央ゲージ部300とによって構成されている。そして、この管路材1の上面(各第一面)に設けられた曲げ半径測定手段は、後述するように、管路材1の長さ方向に対して左右(
図1aの上下)方向に湾曲させたとき、湾曲部の曲げ半径が最小曲げ半径S以上であるか測定することができる。
【0029】
「管路材1の構造」
管路材1の大径部10と小径部20とは、中心軸Cに沿って一定の間隔で交互に設けられている。つまり、隣り合う大径部10の距離は一定となっている。そして、各大径部は平行であり、各大径部10の第一面は同一平面上に設けられている。そのため、第1マーク100と第2マーク200との距離は簡単に求めることができる。
図1の管路材1において、第1の大径部10Aと、第2の大径部10Bとの間には、7つの大径部10が介在しており、その中央の大径部が第3の大径部10Cとなっている。しかし、第1の大径部10Aと第2の大径部10Bとの間に奇数の大径部10があり、その中心に第3の大径部10Cがあれば、それらの位置関係は、特に限定されるものではない。なお、第1の大径部10Aと第2の大径部10Bとの間に介在される大径部10の
数は、管路材のサイズおよび後述する第1点と第2点との間の距離X1にもよるため、特に限定されるものではないが、例えば、下限としては5以上、11以上が好ましく、上限としては51以下、35以下が好ましい。
【0030】
管路材1の大径部10は、断面四角形となっており、各外面(第一面を含む)は平面となっているため、第1マーク100、第2マーク200および中央ゲージ部300の表示が簡単にでき、また、現場において正確に位置関係を把握することができる。よって、後述するように湾曲部位の曲げ半径の測定を正確に行うことができる。
管路材の第1の大径部10Aを構成する4つの面(10A1、10A2、10A3、10A4)の全てに、第1マーク100は設けられている(
図1b参照)。同様に、第2の大径部10Bおよび第3の大径部10Cの4つの面に、それぞれ第2マーク200および中央ゲージ部300は設けられている。このように全ての面に設けることにより、施工時に管路材1が回転したり、ねじれたりしても、いずれかのマークを使用することにより、曲げ半径を測定することができる。
【0031】
管路材1の大きさは、特に限定されるものではないが、例えば、大径部の外接円の直径は50mm~300mm、小径部の外接円の直径は、35mm~250mmである。なお、管路材1のように大径部10が断面正方形である場合、一辺の長さは、例えば70mm~250mmである。
管路材1の最小曲げ半径Sは、管路材の大きさ等によって異なるため、特に限定されるものではないが、例えば、10m以下であって、0.5nあるいはn(nは自然数)で表すことができる数値が一般的である。
【0032】
「第1マーク100、第2マーク200」
第1マーク100は、
図2aに示すように、第1の大径部10Aの第一面10A1に2つ設けられている。2つの第1マーク100は、中心線C1と垂直な方向に距離2Yで離れている。同様に、第2マーク200も第2の大径部10Bの第一面10B1に2つ設けられており、2つの第2マーク200も同様に中心線C1と垂直な方向に距離2Yで離れている。
そして、一方の第1マーク100(
図2aの上側)と一方の第2マーク200(
図2aの上側)とを結ぶ一方の第1直線F1および他方の第1マーク100(
図2aの下側)と他方の第2マーク200(
図2aの下側)とを結ぶ他方の第1直線F2は、それぞれ管路材1の中心軸Cと平行となっており、その距離はX
1となっている。この第1点(第1マーク100)と、第2点(第2マーク200)の間の長さ(距離)X
1は、特に限定されるものではないが、0.5m~5mが挙げられ、その好ましい上限は3m以下、2.5m以下、特に2m以下であり、その好ましい下限は0.8m以上、0.9m以上、特に1m以上である。長さX
1が大きくなると、測定に必要なスペースが大きくなり好ましくない。つまり、長さX
1は小さい方が測定スペースを小さくでき、かつ、作業人数を少なくすることができて好ましい。しかし、長さX
1が小さすぎると距離Yが小さくなり、現場において測定誤差が生じやすくなる。
【0033】
平面的な第1マーク100および第2マーク200の形状は、円と、その円の中心を通り、互いに垂直な2つの直線とからなる。つまり、同じ形状の4つの扇からなっている。このように2つの直線の交点が、第1マーク100の中心点(第1点)となるため、後述する測定を正確に行うことができる。なお、4つの扇を市松模様とすることにより、中心点がより視認しやすい。このように各マークの中心点が表示されている場合、現場において、より正確に曲げ半径の測定ができる。
第1マーク100および第2マーク200の形成方法は特に限定されるものではない。例えば、大径部10の表面に塗料を塗布したり、大径部の表面を化学物質等で改質したり、大径部の表面にシール等を貼設したり、あるいは、大径部の表面に凹凸を設けてもよい。
また第1マーク100、第2マーク200を、例えば、各マーク等を蛍光塗料や蓄光塗料などで設けたり、各マーク等を立体的に設けたりすることにより、視認性を向上させ、現場の作業性を向上させることができる。特に、各マーク等を蛍光塗料または蓄光塗料で設ける場合、夜間工事においての作業性も向上させることができて好ましい。
【0034】
「中央ゲージ部300」
中央ゲージ部300は、一方の第1マーク100と一方の第2マーク200の中心に位置する一方の第3マーク310(
図2aの上側)と、他方の第1マーク100と他方の第2マーク200の中心に位置する他方の第3マーク320(
図2aの下側)とからなる。そして、一方の第3マーク310と他方の第3マーク320とは、中心軸Cと垂直な方向に距離2Yで離れている。つまり、一方の第3マーク310と他方の第3マーク320との中心が基準点500となる。この管路材1の中央ゲージ部300に、基準点500は明示されていない。しかし、基準点500は、一方の第3マーク310と他方の第3マーク320との中心となるため、現場において、簡単に特定することができる。そのため、この管路材1において、一方の第3マーク310と他方の第3マーク320との2点が、基準点を特定する手段として作用する。このように中央ゲージ部300には、第3点(第3マーク310、320)および基準点500を特定する手段を備えており、これにより第3点と基準点との範囲が特定できる。
【0035】
第3マーク310、320の形状は、第1マーク100および第2マーク200と同じとしている。そのため、第3マーク310、320の中心である第3点を容易に確認することができる。また、第1マーク100,第2マーク200および第3マーク310の全てを同じマークとしているため、第1の大径部10A、第2の大径部10B、第3の大径部10Cの各面には、すべて2つのマークからなる同じ表示が設けられている。つまり、
図2bに示すように、管路材1は、長さ方向において4つの大径部ごとに同じ表示が設けられている。これらの各表示は、管路材1の湾曲部位によって、第1マーク100、第2マーク200、または、中央ゲージ部300として作用する。このように管路材1は、長さ方向に対して所定の間隔で連続して曲げ半径測定手段が設けられているため、管路材1のいずれの部分が湾曲してもその曲げ半径を測定することができる。なお、各表示は、
図2bのように1または2以上の大径部を介して設けられるのが好ましい。特に、下限としては3以上、5以上、10以上が好ましく、上限としては、上限としては25以下、20以下が好ましい。なお、各表示が長さ方向にある全ての大径部に設けられていてもよいが、その場合、現場において第1点および第2点の特定が煩雑になる。
なお、第3マーク310、320との距離2Yは、大径部の第1面より小さければよい。しかし、「2Y」としては、10mm~200mm、その好ましい上限は、150mm以下、110mm以下、特に100mm以下であり、その好ましい下限は、20mm以上、23mm以上、特に25mm以上である。
【0036】
次に、管路材1の曲げ半径測定手段を用いた湾曲部位の曲げ半径の測定方法について説明する。
その測定方法は、管路材1を真っすぐにしたとき、管路材1の中心軸Cと平行な第1直線F1(F2)で結ばれる第1点(第1マーク100)および第2点(第2マーク200)とを特定する第1工程と、第1直線上の第3点(第3マーク310、320)から第1直線F1に対して垂直な方向に距離Yだけ離れた基準点500を特定する第2工程と、第1点(第1マーク100)と第2点(第2マーク200)とを結ぶ弦相当直線H1を形成する第3工程と、弦相当直線H1が第3点(第3マーク310または320)と基準点500との間を通る場合、管路材1の曲げ半径は最小曲げ半径Sより大きいと判断し、弦相当直線H1が第3点(第3マーク310または320)と基準点500との間を通らない場合、管路材1の湾曲部の曲げ半径は最小曲げ半径Sより小さいと判断する第4工程とを有する。
【0037】
次に各工程について、説明する。
第1工程は、管路材1を真っすぐにしたときの管路材1の中心軸と平行な第1直線F1で結ばれる第1点(第1マーク100)および第2点(第2マーク200)とを特定する工程である。言い換えると、湾曲した管路材1における測定対象となる湾曲部位を定め、その湾曲部位における湾曲した管路材の中心軸Cと平行曲線の関係で、長さがXの円弧A
F1(湾曲した第1直線F1)で結ばれる第1点および第2点とを特定する工程である。
例えば、
図3aにおいて点線で囲まれた範囲が湾曲部位となり、管路材1は下側に向かって湾曲しているため、湾曲部位の円弧A
F1に結ばれる上の第1マーク100と上の第2マーク200とを選択する。
なお、管路材1が逆に湾曲している場合は、下の第1マーク100および下の第2マーク200を選択することになる。
【0038】
第2工程は、第1直線F1上の第3点(第3マーク310)から第1直線F1に対して垂直で、かつ、水平な方向に距離Yだけ離れた基準点500を特定する工程である。
例えば、
図3a、bの湾曲した管路材1において、円弧A
F1(湾曲した第1直線F1)の第1点と第2点の間(真ん中)にある第3点(第3マーク310)を特定し、かつ、その第3点(第3マーク310)から円弧A
F1の円中心Oに向かって距離Yだけ離れている基準点500を特定する。
【0039】
第3工程は、第1点(第1マーク100)と第2点(第2マーク)とを結ぶ弦相当直線H1を形成する工程である。
例えば、
図3bに示すように、選択した第1マーク100と第2マーク200とを直尺や巻き尺等で直線に結び、弦相当直線H1を形成する。
なお、第2工程および第3工程との順番は特に限定されるものではない。第3工程で弦相当直線H1を形成してから基準点500を特定してもよい。
【0040】
第4工程は、弦相当直線H1が第3点(第3マーク310または320)と基準点500との間を通る場合、管路材1の曲げ半径は最小曲げ半径Sより大きいと判断し、弦相当直線H1が第3点(第3マーク310または320)と基準点500の間を通らない場合、管路材1の湾曲部の曲げ半径は最小曲げ半径Sより小さいと判断する。
つまり、
図3bの場合、弦相当直線H1が、第3マーク310と、2つの第3マークの中心点(基準点500)との間を通っているため、当該湾曲部位は、最小曲げ半径に到達していないことがわかる。逆に
図3cに示すように、弦相当直線H1が、第3マーク310と、基準点500との間を通らない場合、当該湾曲部位の曲げ半径は、最小曲げ半径Sより小さいことがわかる。
【0041】
このように管路材1を用いた湾曲部位の曲げ半径測定方法は、湾曲部位内にある第1マーク100と第2マーク200とを直線で繋ぐだけで、当該湾曲部位が最小曲げ半径を満たしているかどうか確認できる。
つまり、管路材1は、配管時等において、一部が湾曲したとしても、当該湾曲部位の曲げ半径を簡単に確認することができる。そのため、異常があったとしても、再度、管を掘り起こす必要がない。また各マークは、長さ方向に所定の大径部毎に設けられ、かつ、それらの大径部10の全面に設けられているため、湾曲部位が管路材1のどの部分であっても測定が簡単にできる。
なお、管路材の材質等による誤差を考慮して、式1における所定値と、最小曲げ半径とが若干異なっていてもよい。例えば、所定値を最小曲げ半径より若干大きく設定することにより、測定手段による誤差を補正することができる。
【0042】
次に変形例について説明する。
図1の管路材1は、湾曲部位が最小曲げ半径であるかを判定する曲げ半径測定手段を備えたものであるが、測定半径は最小曲げ半径に限定されるものではない。なお、最小曲げ半径S以外とする場合、所定の曲げ半径が細かすぎると現場での曲げ半径確認作業が煩雑になるため、0.5n(nは自然数)で表すことができる数値とするのが好ましい。
図1の管路材1は、断面四角形の大径部と、断面円形の小径部とが連続して交互に設けられた筒体であるが、断面多角形の大径部が連続的に設けられた波形の筒体であれば、その形状は特に限定されるものではない。
例えば、
図4aのように、断面八角形の大径部10と、断面円形の小径部20とが交互に設けられた管路材1Aとしてもよい。大径部の断面形状は、限定されるものではなく、三角形、五角形、六角形あるいはそれ以上としてもよい。
例えば、
図4bのように、断面四角形の大径部10と、断面四角形の小径部20とが交互に設けられた管路材1Bとしてもよい。管路材の小径部の断面形状は、特に限定されるものではない。
例えば、
図4cのように、断面四角形の大径部10と、断面円形の小径部20と、断面四角形の中径部30とが交互に設けられた管路材1Cや、
図4dのように、隣り合う大径部10の間に、断面円形の小径部20や断面四角形の中径部30の異なる大きさのものが介在した管路材1Dでもよい。
さらに、
図1、
図4c、
図4dは、いずれの大径部も長さが同じになっているが、大径部毎に長さが異なっていてもよい。また小径部、中径部も長さが異なっていてもよい。このように不規則な波形を呈していてもよい。
【0043】
図1の管路材1の第1マーク100、第2マーク200、第3マーク310、320は、円に2つの直線が設けられた形状としているが、マークの形状は特に限定されるものではない。例えば、二重丸、三角、四角形(例えば、ひし形)などの形状が挙げられる。特に、線対称性や円対称性を有する形状が好ましい。なお、各マークは、平面マークとするのが好ましいが、立体的にしてもよい。
また
図4eの管路材1Eのように、大径部10の第一面の長さ方向に対する左右の辺の中心に第1マーク100または第2マーク200がくるようにしてもよい。この場合、実質的に、マークは表示されないことになる。
そして、第1マーク100、第2マーク200、第3マーク310、320を全て同じ形状としているが、これらの形状は同じでなくてもよい。
【0044】
図4fの管路材1Fは、4本の管路材1を上下・左右に固定した多条構造のものである。なお、複数の管路材1は上下だけや、左右だけに固定してもよい。各管路材1の固定方法は、特に限定されるものではない。このように多条配管する場合でも、一番外の管路材1の曲げ半径測定手段から全体の曲げ半径を測定することができる。なお、多条に配管する場合、曲げ半径測定手段が確認できれば少なくとも一つを管路材1とすればよい。また多条構造の管路材の曲げ半径を測定する場合、最も曲げ半径が厳しくなる内側の管路材1の曲げ半径を測定するのが好ましい。
【0045】
次に他の実施形態について説明する。
図5aの管路材2は、中央ゲージ部300が基準点を含む基準マーク550を備えたものである。つまり、基準点を特定する手段は、基準マーク550となる。
なお
図5aの管路材2は、管路材2の長さ方向において、4つの大径部ごとに長さ方向に対して左右交互(
図5aの上下)に1つのマークが設けられている。そして、
図5bに示すように、管路材2が下側に湾曲する場合、上側のマークが第1マーク100および第2マーク200として作用し、その間にある下側のマークが基準マーク550として作用する。そして、管路材2が上側に湾曲する場合、下側のマークが第1マーク100および第2マーク200として作用し、その間にある上側のマークが基準マーク550として作用する。このようにマークを交互に設けることにより、管路材2に設けるマークの数を最小限にでき、管路材の製造工程を簡素化でき、生産効率を向上させることができる。
なお、
図5cの管路材2Aのように、長さ方向において4つの大径部ごとに2つのマークが距離Yで設けられてもよい。この場合、
図1の管路材1との違いは、R=S+(1/2Y)としている点である。管路材2Aは、
図5aの管路材2よりも曲げ測定手段が長さ方向で多く設けられている。つまり、管路材2は、9つの大径部毎に測定手段が設けられることになるが、管路材2Aは、5つの大径部毎に測定手段が設けられることになる。
【0046】
図6aの管路材3は、4つおきの大径部10に3つのマークが設けられたものである。そして、湾曲部位の位置に応じてこれらの大径部10が第1の大径部、第2の大径部、第3の大径部として作用する。例えば、
図6bに示すように、管路材3が下側に湾曲している場合、湾曲部位にある大径部10の上側の点が第1マーク100となり、8つ先の大径部の上側の点が第2マーク200となり、真ん中の大径部のマークが中央ゲージ部300となる。そして、中央ゲージ部300の上側の点が第3マーク310となり、中央の点が基準マーク(基準点)550となる。逆に、図示しないが上側に湾曲している場合、湾曲部位にある大径部10の下側の点が第1マーク100となり、8つ先の大径部の下側の点が第2マーク200となり、真ん中の大径部のマークが中央ゲージ部300となる。そして、中央ゲージ部300の下側の点が第3マーク310となり、中央の点が基準マーク(基準点)550となる。
【0047】
図7aの管路材4は、
図1の管路材1と異なり、管路材4の第1の大径部10Aの第一面10A1の中央に1つの第1マーク100が設けられており、管路材4の第2の大径部10Bの第一面10B1の中央に1つの第2マーク200が設けられている。そして、管路材4の第3の大径部10Cの第一面10C1の中央ゲージ部300に、管路材4が一方(
図7aの下側)に湾曲したときの一方の基準マーク(基準点)550aと、他方(
図7aの上側)に湾曲したときの他方の基準マーク(基準点)550bが設けられている。そして、上下の基準マーク550a、550bの真ん中が第3点となる。
この管路材4では、中心軸の曲げ半径Sで管路材を湾曲させたとき、湾曲した中心軸Cと平行曲線の関係であり、かつ、第1点および第2点を結ぶ円弧(
図12の円弧A)と、第3の大径部10Cの第1面に投影される中心軸(
図12の中心軸C)とが重複し、円弧Aの曲げ半径Rは、「S」となる。
【0048】
なお、
図7bの管路材4Aのように、2つの基準マーク550a、550bの間の領域400をセーフティゾーンマークとして表示してもよい。この場合、領域400の端部が基準点となる。さらに、
図7cの管路材4Bのように、4つおきの大径部に3つのマークを設けてもよい。外観上、
図6aの管路材3と、
図7cの管路材4Bとは似ているが、
図6aの管路材3は「R=S+Y」で式1が計算されるのに対し、
図7cの管路材4Bは「R=S」で式1が計算されることになり、それぞれの「Y」が異なる。つまり、管路材4Bは、上下にあるマークが基準マーク550として作用し、真ん中にあるマークが湾曲部位に応じて第1マーク100、第2マーク200または第3マーク310として作用する。そのため、例えば、
図7dのように、管路材4Bが下側に湾曲する場合、大径部10の中央の点が第1マーク100となり、8つ先の大径部の中央の点が第2マーク200となり、真ん中の大径部の3つのマークが中央ゲージ部300となる。そして、中央ゲージ部300の中央の点が第3マーク310となり、湾曲方向に応じて上側の点または下側の点が基準マーク(基準点)550となる。
いずれの場合も、湾曲部位における第1マーク100と第2マーク200とを繋いだ弦相当直線H1が、上側に湾曲させたとき中央ゲージ部300の第3点(第3マーク310)から一方の基準マーク550aの領域を通る、または、下側に湾曲させたとき中央ゲージ部300の第3点(第3マーク310)から他方の基準マーク550bの領域を通る場合、最小曲げ半径Sより湾曲部位の曲げ半径が大きいことが確認できる。なお、
図7aの管路材4と
図7bの管路材4Aとは中央ゲージ部300に、その第3点(第3マーク310)は表示されていないが、基準マーク550aと基準マーク550bの中心となるため、現場において、特定は簡単にできる。
【0049】
図8aの管路材5は、上述してきた管路材と異なり、管路材5の第1の大径部10Aの第一面10A1に設けられた2つの第1マーク100の距離、および、管路材5の第2の大径部10Bの第一面10B1に設けられた2つの第2マーク200の距離が2YまたはYではないものである。つまり、第1マーク100と中心線C1との距離αがYまたは1/2Yでないものである。「α」は、大径部の第1面より小さければ特に限定されない。しかし、「α」としては、10mm~200mm、その好ましい上限は、150mm以下、特に100mm以下であり、その好ましい下限は、20mm以上、特に25mm以上である。
管路材5の第3の大径部10Cの第一面10C1に設けられた中央ゲージ部300は、一方の第1マーク100および一方の第2マーク200に対応する一方の基準マーク550a(
図8aの下側に湾曲させたときの基準点)と、他方の第1マーク100および他方の第2マーク200に対応する他方の基準マーク550b(
図8aの上側に湾曲させたときの基準点)との間の領域450をアウトゾーンとしたものである。つまり、表示されていない第3点と、領域450の上側の端部との間を弦相当直線H1が通ると管路材5の中心軸の曲げ半径が所定値S以上であることがわかる。
なお、
図8bの管路材5Aのように、アウトゾーンとした領域450以外をセーフティゾーン400a、400bと表してもよい。さらに、
図8cの管路材5Bのように、中央ゲージ部300に曲げ半径を数字として記載してもよい。つまり、最小曲げ半径を「5」とした場合、上側の「7」、「6」、「5」は、下側の第1マーク100および第2マーク200に対応した上側に湾曲したときの曲げ半径となり、下側の「7」、「6」、「5」は、上側の第1マーク100および第2マーク200に対応した下側に湾曲したときの曲げ半径となっている。真ん中の数字「4」は、いずれの方向に湾曲しても使用する。このように中央ゲージ部300として現場において確認したい管路材の曲げ半径を記載してもよい。
【0050】
図5の管路材2から
図8の管路材5は、第3点を第1点と第2点との中心に設けたものである。
図9aの管路材6は、第3の大径部10Cが第1の大径部10Aと第2の大径部10Bとの真ん中でない位置にある。特に限定されるものではないが、管路材6は、第1の大径部10Aと第3の大径部10Cとの間に、5つの大径部があり、第2の大径部10Bと第3の大径部10Cとの間に、1つの大径部がある。第3の大径部10Cの中央ゲージ部300には、第3点(第3マーク310)および基準マーク550が設けられている。
つまり、
図9bのような湾曲部位において、第1工程にて第1点(第1マーク100)と第2点(第2マーク200)と特定し、第2工程にて第3点(第3マーク310)および基準点(基準マーク550)を特定し、第3工程にて弦相当直線H1を形成し、第4工程にて弦相当直線H1の位置から当該湾曲部位の曲げ半径が最小曲げ半径Sより大きいか小さいかを判断する。
図9bは、弦相当直線H1は、第3点(第3マーク310)と基準点550との間を通るため、最小曲げ半径Sより大きいことがわかる。
このように
図9aの管路材6も、
図1の管路材1と同様に、第1工程から第4工程による湾曲部位の曲げ半径測定方法によって、当該湾曲部位の曲げ半径が所定値(最小曲げ半径S)以上であるかを確認することができる。
【0051】
このように
図5の管路材2から
図9の管路材6のいずれにおいても、
図1の管路材1と同様の効果を有し、湾曲部位における曲げ半径を簡単に測定できる。
【0052】
次は、本発明の管路材を用いない本発明の測定方法について説明する。
図10aの管路材Qは、断面四角形の大径部Q1と、断面円形の小径部Q2とが交互に設けられた従来公知のものである。
図10b、cの治具60は、上面60aに2つのマーク65が設けられたものである。この治具60を、大径部Q1の上面に被せることにより、大径部Q1の上面に、
図1の管路材1の第1の大径部10Aの第一面10A1と同等の2つの第1マーク100を付与するものである。
この治具60を用いた測定方法は、
図10dに示すように、管路材Qの湾曲部位において、まっすぐにしたときに所定の距離だけ離れた2つの大径部Q1(第1の大径部と第2の大径部に相当)、および、それらの真ん中にある大径部Q1(第3の大径部に相当)に治具60を被せる。これにより、
図1の管路材1と同様に、第1マーク100、第2マーク200および中央ゲージ部300からなる曲げ半径測定手段が構成される。後は、管路材1と実質的に同じ方法にて曲げ半径を測定することができる。
このように治具60を管路材Qに装着することにより、従来公知の管路材でも本発明の測定方法を用いて湾曲部位の最小曲げ半径を測定することができる。なお、ここでは大径部として断面四角形のものを挙げているが、この方法は、大径部の断面形状に関わらず湾曲部位の曲げ半径を測定することができる。
なお、
図10dでは、大径部Q1に治具を取り付けているが、小径部Q2に治具を取り付けるようにしてもよい。また治具を管路材Qに装着しなくても、現場において、直尺や巻き尺等の治具を用いて管路材の大径部の面に、直接、第1マーク100、第2マーク200、中央ゲージ部300をペン等で記し、曲げ半径を測定してもよい。
【0053】
図11aは、波形ではなく、外形が一様な円筒状の管路材7に、第1マーク100、第2マーク200、中央ゲージ部300を設けたものである。この場合、外周面は、湾曲しているため、基準マーク550は、
図11bに示すように、第3マーク310から水平に距離Yだけ離れた基準点から管路材7に投影した位置に設けられることになる。現場において、管路材を平面視して測定するため、この投影された基準マーク550は、基準点を特定する手段として作用する。
なお、
図11cの管路材7Aは、長さ方向に目盛Mが設けられたものである。この目盛Mに基づいて、
図10b、cのような治具であって、管路材7に被せる治具66、67を、取り付けることにより、
図11dのように、現場において、第1マーク100、第2マーク200、中央ゲージ部300を管路材に付与することができる。なお、ここでは円筒状の管路材を挙げているが、断面形状は特に限定されるものではない。また管路材7Aは目盛Mが設けられているが、現場において、長さを測定した上で治具を被せることによって、本発明の測定方法を使用できる。
【0054】
このように本発明の測定方法は、長さ方向に起伏を伴う波形管や長さ方向に一様な形状の筒管等のあらゆる管路材において使用することができる。しかし、波形の管路材は、現場等において、大径部の位置によって長さ方向の距離を簡単に把握することができるため、煩雑でなく好ましい。
【実施例0055】
断面正方形の大径部10と断面円形の小径部20とが中心軸方向に交互に設けられたポリエチレン製の波形の管路材であって、大径部10の一辺がそれぞれ125.5mmであり、隣接する大径部10間の長さが49.4mmの管路材(呼び径100)を準備した。
図13aに示すように、この管路材を5mR(中心軸)に曲げ、Nピッチずつ離れた(Nコの大径部を介して)3つの大径部10の第1面の中央に目盛り用紙S1を張り付けた。なお、目盛り用紙S1は、
図13bのように、中心を0とし、上下に目盛りが設けられている。次いで、直尺等を用いて3つの目盛り用紙S1と交差する直線であって、3つの目盛り用紙S1と交差する点の数値が全て等しい直線(弦相当直線H1)を探る。つまり、それぞれ左右目盛り用紙S1の上側の弦相当直線H1と交差した目盛り用紙S1の数値(α)が第1点P1および第2点P2となり、真ん中の目盛り用紙S1の下側の弦相当直線H1と交差した目盛り用紙S1の数値(α)が基準点となる。このときの弦相当直線の長さT1と、目盛り用紙S1の数値(α)を読み取った。なお、第1点と第2点とを通る円弧の半径Rは、「5000+α」となり、距離Yは、「α×2」となる。
次いで、この測定値から
図12の角度θ1と、第1点P1と第2点P2を通る円弧の長さXおよび半径Rを計算した。最後に、距離Yの測定値と計算値とを比較して誤差を求めた。これらを次の表1として表す。
【0056】
【0057】
断面正方形の大径部10と断面円形の小径部20とが中心軸方向に交互に設けられたポリエチレン製の波形管であって、大径部10の一辺がそれぞれ162.9mmであり、隣接する大径部10間の長さが74.6mmの波付管(呼び径130)の大径部10の第1面の中央に目盛り用紙S1を張り付けて実施例2の管路材を製造した。そして、実施例1と同じ方法で検証試験を実施した。その結果を表2に示す。
【0058】
【0059】
上記のようにして第1点、第2点および基準点を設定した呼び径100および呼び径130の管路材は、距離Yの理論値と計算値との間に誤差が生じるものも見られたが、現場での使用に支障ない程度であることが確認できた。なお、管路材の材質によっては、誤差が大きくなることが想定されることも確認された。そのため、最小曲げ半径以下という確認にならないように、所定の曲げ半径(所定値S)を最小曲げ半径より若干大きい数値として第1点、第2点および基準点を設定することも有効であることがわかった。