(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049452
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】スクレーパ及び軸流ファン並びに軸流ファンの運転方法
(51)【国際特許分類】
F04D 29/70 20060101AFI20230403BHJP
F04D 29/08 20060101ALI20230403BHJP
F04D 29/32 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
F04D29/70 Q
F04D29/08 E
F04D29/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159192
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱パワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 直靖
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC30
3H130BA23C
3H130BA48C
3H130CB00
3H130CB11
3H130EA04C
3H130EC16C
(57)【要約】
【課題】耐摩耗性を向上させて寿命を長くすることを目的とする。
【解決手段】スクレーパ30は、下流側内筒3Bと対向する面から翼車5側に凹むホルダ凹部を有し、翼車5に固定されるホルダ40と、ホルダ凹部に収容されホルダ凹部と係合する係合部52を備え、ホルダ40に保持されるとともに、ホルダ40よりも下流側内筒3B側に突出し、セラミックで形成されるスクレーパピース50と、を備えている。ホルダ凹部の周方向の両端を規定する一対の凹部側面は、下流側内筒3B側に向かうにしたがって凹部側面同士が近接するように傾斜している。また、スクレーパピース50の周方向の面である一対の突出部側面は、凹部側面と当接している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが流通する流路を規定する筒部と、前記筒部と対向する対向部を有し駆動源からの駆動力によって中心軸線を中心として回転することで前記流路に前記ガスを流通させる翼車と、を備える軸流ファンの前記対向部に設けられるスクレーパであって、
前記筒部と対向する面から前記翼車側に凹む凹部を有し、前記対向部に固定される保持部と、
前記凹部に収容され該凹部と係合する係合部を備え、前記保持部に保持されるとともに、前記保持部よりも前記筒部側に突出し、セラミックで形成される突出部と、を備えたスクレーパ。
【請求項2】
前記保持部は、着脱可能に前記対向部に固定されている請求項1に記載のスクレーパ。
【請求項3】
前記凹部の周方向の両端を規定する一対の凹部側面は、前記筒部側に向かうにしたがって前記凹部側面同士が近接するように傾斜していて、
前記突出部の周方向の面である一対の突出部側面は、前記凹部側面と当接するとともに、前記筒部側に向かうにしたがって前記突出部側面同士が近接するように傾斜している請求項1または請求項2に記載のスクレーパ。
【請求項4】
前記保持部は、前記突出部の半径方向の外側への移動を規制する規制部を有する請求項1から請求項3のいずれかに記載のスクレーパ。
【請求項5】
前記突出部の半径方向の外側端部は、前記筒部に設けられたライナの半径方向の外側端部と同じ位置又は前記ライナの前記外側端部よりも半径方向の内側の位置に位置している請求項1から請求項4のいずれかに記載のスクレーパ。
【請求項6】
前記保持部は、前記対向部に形成された翼車凹部に嵌合している請求項1から請求項5のいずれかに記載のスクレーパ。
【請求項7】
前記保持部と前記突出部とは固定されている請求項1から請求項6のいずれかに記載のスクレーパ。
【請求項8】
ガスが流通する流路を規定する筒部と、
前記筒部と対向する対向部を有し、駆動源からの駆動力によって中心軸線を中心として回転することで前記流路に前記ガスを流通させる翼車と、
前記対向部に設けられる請求項1から請求項7のいずれかに記載のスクレーパと、を備える軸流ファン。
【請求項9】
ガスが流通する流路を規定する筒部と、前記筒部と対向する対向部を有し前記流路を流通する前記ガスによって回転する翼車と、前記対向部に設けられるスクレーパと、を備える軸流ファンの運転方法であって、
前記スクレーパは、
前記筒部と対向する面から前記翼車側に凹む凹部を有し、前記対向部に固定される保持部と、
前記凹部に収容され該凹部と係合する係合部を備え、前記保持部に保持されるとともに、前記保持部よりも前記筒部側に突出し、セラミックで形成される突出部と、を備え、
前記スクレーパによって、前記筒部に付着した付着物を除去する除去工程を備える軸流ファンの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スクレーパ及び軸流ファン並びに軸流ファンの運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軸流ファンは、外筒と、外筒の内部に設けられる内筒と、内筒の内側に設けられる主軸と、を備える。主軸は、軸受に軸支されており、駆動源からの駆動力によって中心軸線を中心として回転する。また、主軸には、翼車が取り付けられている。翼車の半径方向の外側端部には、半径方向の外側に突出する複数の動翼が設けられている。複数の動翼は、周方向に等間隔で取り付けられる。動翼は、内筒と外筒との間に形成された円環状の流路に突出するように設けられている。翼車及び動翼が回転することで、流路にはガスが流通する。この流路には、動翼の上流側及び下流側に、各々、静翼が配置されている。また、翼車の外側端部の下流側端面及び上流側端面は、内筒の端面と、所定の長さ(3mmから5mm程度)の隙間を形成するように対向している。翼車の外側端部の下流側端面及び上流側端面と内筒の端面とが対向することで、内筒の内側空間と内筒の外側空間(すなわち、ガスが流通する流路)との間をシールするシール部を形成している。
【0003】
例えば、軸流ファンがボイラから排出される排ガス系統に用いられる場合、動翼が回転することで、燃焼灰などの異物を含有する排ガスが流路を流通する。流路を排ガスが流通すると、シール部に異物が流れ込み、固化した異物が内筒の端面に付着して成長する。内筒に付着した異物(付着物)が成長すると、翼車の回転時に付着物が翼車に接触し、翼車が摩耗する。翼車が摩耗すると、翼車が振動する等の問題が発生する。この問題を解消するために、軸流ファンを分解し、摩耗した部分に肉盛溶接を行い、再度軸流ファンを組み立てる補修作業を行う必要があった。このため、作業員のメンテナンスに係る手間及びコストが増大するという課題があった。
【0004】
この対策として、従来は翼車の入口側及び出口側端面の外側端部に、内筒に付着した付着物を削り取るスクレーパを設けるとともに、内筒の端面にスクレーパと対向するように、円環状のライナを取り付けることが知られている(例えば、特許文献1)。
【0005】
特許文献1には、翼車の出口側及び入口側端面の外周縁に周方向に等間隔を隔てて複数のU字状の凹所が穿設され、これらの凹所にステライト硬化肉盛を施工することによってスクレーパが形成されている軸流ファンが記載されている。この軸流ファンは、車室内筒の端面には耐腐食性及び撥水性に富むテフロン(登録商標)等からなる円環状のライナーが皿小螺子によって締結され、このライナーはスクレーパと微少の隙間(3~5mm)を隔てて対向している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スクレーパは、燃焼灰等の付着物を削り取ることで摩耗する。このため、軸流ファンの定期点検時等に、スクレーパの補修等を行う必要がある。特許文献1に記載の構造は、ステライト硬化肉盛を施工することによってスクレーパを形成しているので、定期点検時等に、肉盛溶接補修を行う必要がある。さらに、スクレーパを取り付けている翼車まで摩耗が進行すると、翼車の周方向の全域に肉盛溶接補修を行う必要があり、補修作業が煩雑化する可能性があった。また、翼車に肉盛溶接補修を行うと、翼車に溶接歪みが生じる可能性があった。また、肉盛り溶接後には、所定の微小隙間を得るために機械加工が必要であり、翼車及びスクレーパの補修作業がさらに煩雑化し、定期点検が長期間化する可能性があった。
【0008】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、耐摩耗性を向上させるとともにメンテナンスを簡便化することができるスクレーパ及び軸流ファン並びに軸流ファンの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示のスクレーパ及び軸流ファン並びに軸流ファンの運転方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係るスクレーパは、ガスが流通する流路を規定する筒部と、前記筒部と対向する対向部を有し駆動源からの駆動力によって中心軸線を中心として回転することで前記流路に前記ガスを流通させる翼車と、を備える軸流ファンの前記対向部に設けられるスクレーパであって、前記筒部と対向する面から前記翼車側に凹む凹部を有し、前記対向部に固定される保持部と、前記凹部に収容され該凹部と係合する係合部を備え、前記保持部に保持されるとともに、前記保持部よりも前記筒部側に突出し、セラミックで形成される突出部と、を備えている。
【0010】
本開示の一態様に係る軸流ファンの運転方法は、ガスが流通する流路を規定する筒部と、前記筒部と対向する対向部を有し前記流路を流通する前記ガスによって回転する翼車と、前記対向部に設けられるスクレーパと、を備える軸流ファンの運転方法であって、前記スクレーパは、前記筒部と対向する面から前記翼車側に凹む凹部を有し、前記対向部に固定される保持部と、前記凹部に収容され該凹部と係合する係合部を備え、前記保持部に保持されるとともに、前記保持部よりも前記筒部側に突出し、セラミックで形成される突出部と、を備え、前記スクレーパによって、前記筒部に付着した付着物を除去する除去工程を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、耐摩耗性を向上させるとともにメンテナンスを簡便化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態に係る軸流ファンの縦断面図である。
【
図2】
図1の要部拡大図であって、
図1のII部分を示している。
【
図3】本開示の実施形態に係る翼車の要部及びスクレーパを示した分解斜視図である。
【
図4】本開示の実施形態に係るホルダの斜視図である。
【
図5】本開示の実施形態に係るホルダの正面図である。
【
図6】本開示の実施形態に係るホルダの平面図である。
【
図7】本開示の実施形態に係るホルダの側面図である。
【
図8】本開示の実施形態に係るスクレーパピースの斜視図である。
【
図9】本開示の実施形態に係るスクレーパピースの側面図である。
【
図10】本開示の実施形態に係るスクレーパピースの平面図である。
【
図11】本開示の実施形態の変形例に係るホルダ及びスクレーパを示す図である。
【
図12】本開示の実施形態の変形例に係るホルダ及びスクレーパを示す図である。
【
図13】本開示の実施形態の変形例に係るホルダ及びスクレーパを示す図である。
【
図14】本開示の実施形態の参考例に係るホルダ及びスクレーパを示す図である。
【
図15】本開示の実施形態の参考例に係るホルダ及びスクレーパを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示に係るスクレーパ及び軸流ファン並びに軸流ファンの運転方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、「軸方向」と称した場合には、軸流ファンの回転翼が回転する際の中心軸線Cが延在する方向を意味し、「半径方向」及び「周方向」と称した場合には、各々、中心軸線Cを基準とした半径方向及び周方向を意味する。また、各図では、軸方向をX方向とし、半径方向をZ軸方向とし、周方向をY軸方向として図示している。
【0014】
本実施形態に係る軸流ファン1は、例えば、燃料を燃焼することで蒸気を生成するボイラ(図示省略)から排出される燃焼排ガスが流通する排ガス系統に設けられる。例えば、軸流ファン1は、排ガス系統に設けられ、燃焼排ガスから硫黄酸化物を除去する脱硫装置に設けられてもよい。脱硫装置に設けられる場合、軸流ファン1の内部は高腐食環境雰囲気となることがある。
【0015】
軸流ファン1は、
図1に示すように、中心軸線Cを中心として軸方向に延在する外筒2と、外筒2の内部に設けられ外筒2と同心円状に設けられる内筒3と、内筒(筒部)3の内側に設けられる主軸4と、主軸4の軸方向の端部に取り付けられる翼車5と、を備える。内筒3は、翼車5の上流側に設けられる上流側内筒3Aと、翼車5の下流側に設けられる下流側内筒3Bと、を有する。内筒3の内部には、シール用の空気が充填されている。主軸4は、軸受によって中心軸線Cを中心として回転可能に軸支されている。翼車5の半径方向の外側端部には、半径方向の外側に突出する複数の動翼6が設けられている。複数の動翼6は、周方向に等間隔で取り付けられる。動翼6は、内筒3と外筒2との間に形成された円環状のガス流路7に突出するように設けられている。ガス流路7には、動翼6の上流側に上流側静翼8が配置されている。また、ガス流路7には、動翼6の下流側に下流側静翼9が設けられている。上流側静翼8及び下流側静翼9は、内筒3と外筒2との間に架設されている。
【0016】
軸流ファン1は、主軸4に連結された電動機(図示省略)からの駆動力によって、主軸4が中心軸線Cを中心として回転する。主軸4が回転すると、翼車5及び動翼6も中心軸線Cを中心として回転駆動する。このとき、動翼6はガス流路7内で回転するので、
図1の矢印で示すように、灰等を含有する排ガスがガス流路7に吸込まれ、ガス流路7内を流通する。ガス流路7内を流通する排ガスは、上流側静翼8、動翼6、下流側静翼9を順番に経て、ガス流路7から吐出される。
【0017】
翼車5の半径方向の外側端部の下流側端面5aは、内筒3と対向している。詳細には、
図2に示すように、翼車5の下流側端面5aは、下流側内筒3Bの上流側端部3Baと対向している。翼車5の下流側端面5aと、下流側内筒3Bの上流側端部3Baとの間には、周方向の全域に亘って、第1隙間G1が形成されている。第1隙間G1の軸方向の長さは、3mmから5mm程度とされている。翼車5と下流側内筒3Bとの間には、内筒3の内側空間と内筒3の外側空間(すなわち、ガス流路7)との間をシールするシール構造10が設けられている。
【0018】
シール構造10は、下流側端面5aから軸方向の下流側に突出する突出シール部11と、下流側内筒3Bの内周面3Bbから半径方向内側に突出する複数のシールフィン12と、を有する。突出シール部11は、円筒状の部材であって、外周面が下流側内筒3Bの内周面3Bbと対向している。突出シール部11の外周面11aと下流側内筒3Bの内周面3Bbとの間には、第2隙間G2が形成されている。複数のシールフィン12は、軸方向に沿って所定の間隔で並んで配置されている。シールフィン12は略円環状の部材であって、半径方向の外端が下流側内筒3Bの内周面3Bbに埋め込まれるように固定されている。シールフィン12の半径方向の内端は、突出シール部11の外周面11aに近接している。
【0019】
次に、スクレーパ30及びスクレーパ30が設けられる翼車凹部31について
図2から
図10を用いて詳細に説明する。
本実施形態に係るスクレーパ30は、
図2及び
図3に示すように、翼車5に設けられている。詳細には、翼車5のうち、下流側内筒3Bの軸方向の上流端と対向する下流側端面(対向部)5aに設けられている。スクレーパ30は、下流側端面5aに周方向の所定の間隔で並んで複数配置されているとさらに好適である。なお、
図3では、図示の関係上、翼車5の周方向の一部のみを図示している。
【0020】
下流側端面5aには、軸方向の上流側方向へ凹む翼車凹部31が形成されている。スクレーパ30は、この翼車凹部31に嵌合している。詳細には、翼車凹部31の内部に形成された空間の半径方向の外側を規定する壁部(図示省略)は、翼車凹部31を囲う他の壁部よりも低く形成されている。以下の説明では、半径方向の外側の壁部を外側壁部32と称する。外側壁部32は、翼車凹部31の内部に形成された空間と、翼車5の半径方向外側の空間(すなわち、ガス流路7)とを隔てている。
【0021】
翼車凹部31の底面31aにはボルト33が挿入されるボルト孔34が複数(本実施形態では、一例として4つ)形成されている。各ボルト孔34の内周面には雌ネジが形成されている。各ボルト孔34には、ボルト33の先端が螺合する。
【0022】
スクレーパ30は、
図3に示すように、翼車凹部31に固定されるホルダ(保持部)40と、ホルダ40よりも下流側内筒3B側(軸方向下流側)に突出するスクレーパピース(突出部)50と、を有する。スクレーパ30は、ホルダ40が翼車凹部31に嵌合している。
【0023】
スクレーパ30の半径方向の外側の端部の半径方向の位置は、ライナ20の半径方向の外端の半径方向の位置と同じである。すなわち、スクレーパ30は、ライナ20よりもガス流路7へ突出していない。スクレーパ30は、半径方向の外側の端部が、翼車5の半径方向の外周面5bよりも、可及的に半径方向に突出しないように設けられている。このように構成することで、ガス流路7を流通する排ガスの流通をスクレーパ30が阻害することを抑制できる。
【0024】
ホルダ40は、金属材料(例えば、ステンレス系材料)で形成されている。ホルダ40は、翼車凹部31に嵌合している。また、ホルダ40は、複数(本実施形態では、一例として4本)のボルト33によって、着脱可能に翼車凹部31に固定されている。
【0025】
ホルダ40は、
図4から
図7に示すように、翼車凹部31に嵌合する嵌合部41と、嵌合部41よりも下流側内筒3B側(軸方向下流側)に配置される2つの固定部42と、2つの固定部42の間に設けられるホルダ凹部43と、半径方向外側に設けられる外板部44と、を有する。
【0026】
嵌合部41は、翼車凹部31に嵌合する。これにより、翼車5に対するホルダ40の半径方向及び周方向の相対移動が規制される。特に、嵌合部41の半径方向の外側面が翼車5の外側壁部32と当接するので、翼車5に対するホルダ40の半径方向の外側への相対移動が規制される。
【0027】
2つの固定部42は、周方向の両端部に設けられている。各固定部には、2つのボルト挿通孔45が形成されている。2つのボルト挿通孔45は、半径方向に並んで配置されている。各ボルト挿通孔45は、ホルダ40を軸方向に貫通している。各ボルト挿通孔45には、ボルト33が挿通している。各ボルト挿通孔45は、ボルト33の頭部33aを収納可能な大径部と、ボルト33の軸部33bを収納可能な小径部と、を有する。ボルト33の頭部33aは、ボルト挿通孔45内に全て収容され、固定部42から下流側内筒3B側へは突出していない。
【0028】
ホルダ凹部43は、周方向の中央部に設けられている。ホルダ凹部43は、半径方向の略全域に亘って形成されている。ホルダ凹部43の半径方向の内側端は開放されており、内側端からスクレーパピース50を挿入可能とされている。ホルダ凹部43の半径方向の外側端は外板部44の規制部47によって閉鎖されている。すなわち、ホルダ凹部43に係合するスクレーパピース50は、規制部47によって、半径方向の外側への移動を規制される。
【0029】
ホルダ凹部43の周方向の両端は、一対の凹部側面46によって規定されている。一対の凹部側面46は、下流側内筒3B側(軸方向下流側)に向かうにしたがって、対向する凹部側面46同士が近接するように傾斜している。すなわち、凹部側面46は、テーパ面とされている。
図6に示すように、凹部側面46の傾斜角度θ1は、45度よりも小さい角度とされている。ここで、傾斜角度θ1は、ホルダ40を平面視した際に、凹部側面46と軸方向とが為す角度である。ホルダ凹部43にスクレーパピース50が収容されている状態において、凹部側面46とスクレーパピース側面51とは、当接又は近接している。なお、傾斜角度θ1の値は上記の値に限定されず、45度以外の角度であってもよい。
また、
図11に示すように、ホルダ凹部43の周方向の両端は、後述するようにスクレーパピースをT字形状で形成してもよい。この場合は、ホルダ40から突出する先端部53を除いてスクレーパピース50の周囲を覆い包むように凹部側面46を形成するようにしてもよい。
【0030】
外板部44は、半径方向の外側端部に設けられている。また、
図2に示すように、外板部44の半径方向の外側端部は、下流側内筒3Bに設けられたライナ20の半径方向の外側端部と、半径方向の位置が同じ位置とされている。
図4に示すように、外板部44の周方向の中央部は、ホルダ凹部43の底面43aよりも軸方向に突出している。この突出部分が、スクレーパピース50の半径方向の外側への移動を規制する規制部47とされている。
【0031】
スクレーパピース50は、セラミックで形成されている。
図2に示すように、スクレーパピース50の半径方向の外側端部は、例えば、下流側内筒3Bに設けられたライナ20の半径方向の外側端部と、半径方向の位置が同じ位置とされている。スクレーパピース50は、
図8及び
図10に示すように、平面視で台形状に形成されている。スクレーパピース50の周方向の面である一対のスクレーパピース側面(突出部側面)51は、凹部側面46と当接するとともに、下流側内筒3B側(軸方向下流側)に向かうにしたがって、スクレーパ側面同士が近接するように傾斜している。すなわち、スクレーパピース側面51はテーパ面とされている。スクレーパピース側面51の傾斜角度θ2は、45度よりも小さい角度とされている。ここで、傾斜角度θ2は、スクレーパピース50を平面視した際に、スクレーパピース側面51と軸方向とが為す角度である。スクレーパピース側面51の傾斜角度θ2は、凹部側面46の傾斜角度θ1と略同一とされている。
また、スクレーパピース50は、上述したようにT字形状に形成してもよい。
【0032】
スクレーパピース50は、
図6及び
図8から
図10に示すように、ホルダ凹部43に収容され、ホルダ凹部43と係合する係合部52と、ホルダ40から突出する先端部53と、を一体的に有している。係合部52と先端部53とは別々の部材を固定したものではなく、一体物として形成されている。先端部53は、係合部52の下流側内筒3B側(軸方向下流側)に接続されている。
【0033】
係合部52は、
図8及び
図9に示すように、半径方向の外側に段部54が形成されている。
図2に示すように、段部54の半径方向の外側の面が、規制部47の半径方向の内側の面と当接する。段部54と規制部47とが当接することより、スクレーパピース50の半径方向の外側へ移動が規制される。
【0034】
スクレーパピース50は、
図6の矢印Pで示すように、下流側内筒3B側に押圧された状態で固定されている。すなわち、スクレーパピース50のスクレーパピース側面51が、ホルダ40の凹部側面46に押し付けられるように固定されている。なお、スクレーパピース50を下流側内筒3B側に押圧する手段は問わない。例えば、ボルト等でスクレーパピース50を押圧してもよい。また、接着剤等を圧入することでスクレーパピース50を押圧してもよい。
【0035】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、スクレーパピース50がホルダ40よりも下流側内筒3B側に突出している。これにより、ガス流路7を流通する排ガスに含まれる物質(灰等)が下流側内筒3Bに設けられたライナ20の表面に付着し、この付着物が成長した場合、付着物とスクレーパピース50(特に先端部53)とが接触する。スクレーパピース50はホルダ40を介して回転する翼車5に固定されているので、翼車5とともに回転する。このため、回転するスクレーパピース50によって、下流側内筒3Bに付着する付着物を削り取ることができる。また、付着物を削り取る際にスクレーパピース50が摩耗するが、本実施形態ではスクレーパピース50がセラミックで形成されている。セラミックは耐摩耗性が高いので、スクレーパピース50を摩耗し難くすることができる。よって、スクレーパ30の寿命を長くすることができる。また、ガス流路7を流通するガスが腐食性を有するガスであった場合であっても、セラミックは耐腐食性が高いので、スクレーパピース50を腐食し難くすることができる。よって、スクレーパ30の寿命を長くすることができる。
【0036】
また、一般的に、セラミックは溶接等が難しいため、セラミックで形成されたスクレーパピース50を、溶接等によって翼車5に直接固定することは難しい。一方、本実施形態では、セラミックで形成されたスクレーパピース50を保持するホルダ40を備え、ホルダ40が翼車5の下流側端面5aに固定されている。これにより、セラミックで形成されたスクレーパピース50を翼車5の下流側端面5aに設けることができる。
【0037】
また、本実施形態では、ホルダ凹部43の周方向の両端を規定する一対の凹部側面46は、下流側内筒3B側に向かうにしたがって凹部側面46同士が近接するように傾斜している。また、スクレーパピース50の周方向の面である一対のスクレーパピース側面51は、凹部側面46と当接するとともに、下流側内筒3B側に向かうにしたがって側面同士が近接するように傾斜している。このように、凹部側面46とスクレーパピース側面51とが当接することによって、スクレーパピース50の下流側内筒3B側への移動をホルダ40によって規制することができる。すなわち、ホルダ40に対するスクレーパピース50の下流側内筒3B方向の相対位置を位置決めすることができる。これにより、ホルダ40を製造する際に凹部側面46の傾斜角度等を調整することで、ホルダ40からスクレーパピース50が突出する先端部53の長さ(突出長さ)を所定の長さとすることができる。例えば、スクレーパピース側面51の現物寸法に合わせて、ホルダ40の凹部側面46の加工を行ってもよい。
【0038】
また、セラミックは複雑な加工を施し難い。本実施形態では、スクレーパピース側面51を傾斜面に形成するだけの比較的簡易な加工を施すだけで、スクレーパピース50の先端部53の長さを所定の長さとすることができる。
【0039】
また、本実施形態では、ホルダ40が着脱可能に翼車5の下流側端面5aに固定されている。これにより、軸流ファン1の定期点検時等に、スクレーパピース50を保持した状態のホルダ40を翼車5の下流側端面5aから取り外すことができる。したがって、ホルダ40とスクレーパピース50とが、別々に翼車5の下流側端面5aに固定されている場合と比較して、スクレーパ30の補修を容易化することができる。
【0040】
また、本実施形態では、ホルダ40がスクレーパピース50の半径方向の外側への移動を規制する規制部47を有している。これにより、翼車5が回転することでスクレーパピース50に遠心力が作用した場合であっても、規制部47がスクレーパピース50の半径方向の外側への移動を規制することができる。したがって、ホルダ40からスクレーパピース50が脱落し難くすることができる。
【0041】
また、本実施形態では、スクレーパピース50の半径方向の外側端部が、ライナ20の半径方向の外側端部と同じ位置又はライナ20の外側端部よりも半径方向の内側の位置に位置している。これにより、例えば、スクレーパピース50がガス流路7に突出し難い構成とすることができる。したがって、ガス流路7内を流通するガスの流れを阻害することを抑制できる。
【0042】
また、本実施形態では、スクレーパピース50及びホルダ40の下流側内筒3B側の面が樹脂によって覆われている。これにより、スクレーパピース50及びホルダ40の耐腐食性を向上させることができる。したがって、ガス流路7を流通するガスが腐食性を有するガスであった場合であっても、スクレーパピース50及びホルダ40を腐食し難くすることができる。よって、スクレーパ30の寿命を長くすることができる。
【0043】
また、本実施形態では、ホルダ40が翼車5の下流側端面5aに形成されたホルダ凹部43に嵌合している。これにより、例えば、ホルダ40と翼車5の下流側端面5aとを固定するボルト33が破損し、ホルダ40と翼車5の下流側端面5aとの固定が解除された場合であっても、翼車5に対するホルダ40の半径方向及び周方向の相対移動を規制することができる。したがって、ホルダ40と翼車5の下流側端面5aとの固定が解除され、翼車5が回転することでホルダ40に遠心力が作用した場合であっても、翼車5の下流側端面5aからホルダ40が脱落し難くすることができる。
【0044】
また、本実施形態では、スクレーパピース50が加工し難いセラミックで形成されているので、スクレーパピース50を精密に加工することが難しい。特に、本実施形態では、凹部側面46の傾斜角度θ1及びスクレーパピース側面51の傾斜角度θ2が、45度よりも小さい角度であるので、ホルダ凹部43とスクレーパピース50の係合部52とを係合させる際に、周方向の公差が軸方向の公差に大きく影響する。軸方向の公差が大きくなると、スクレーパピース側面51の先端部53の突出長さを精度よく設定できない可能性がある。本実施形態では、ホルダ40をセラミックよりも加工し易い金属材料で形成している。これにより、ホルダ40を精度よく加工することができる。したがって、ホルダ凹部43と係合部52との周方向の公差を小さくすることができるので、先端部53の突出長さを精度よく設定することができる。
【0045】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、ホルダ40を4本のボルト33で翼車5に固定する例について説明したが、本開示はこれに限定されない。ホルダ40と翼車5とを他の固定部材で固定してもよい。ただし、ホルダ40と翼車5とは着脱可能に固定されることが望ましい。
【0046】
また、例えば、
図12及び
図13に示すように、ホルダ40とスクレーパピース50とをボルト60で固定してもよい。本変形例のスクレーパピース50は、T字形状をしている。また、ホルダ40に形成されたホルダ凹部43の凹部側面46は、スクレーパピース50に応じた形状や傾斜面ではなく、単純な平面とされている。ボルト60はスクレーパピース50を貫通し、先端がホルダ40のボルト孔に螺合している。なお、ボルト60は、
図12に示すように、頭部がスクレーパピース50の表面を押圧するように設置されてもよく、また、
図13に示すように、頭部がスクレーパピース50に埋め込まれるように設置されてもよい。
【0047】
このように構成することで、ホルダ40とスクレーパピース50とを一体化することができる。これにより、ホルダ40とスクレーパピース50とが固定された状態で、スクレーパ30を翼車5の下流側端面5aに取り付ける現場まで搬送することができる。したがって、現場において、ホルダ40とスクレーパピース50とを固定する作業を省略することができる。よって、現場における作業を簡易化することができる。
【0048】
[参考例]
次に、本開示の参考例について
図14及び
図15を用いて説明する。
本参考例では、ホルダとスクレーパピースとをセラミックで一体的に形成し一体型スクレーパ70としてもよい。一体型スクレーパ70は、翼車5の下流側端面5aに形成された凹部(翼車凹部80)の内部に設置される。
一体型スクレーパ70は、T字形状をしている。一体型スクレーパ70の先端部71(ライナ20側の端部)は、翼車5の下流側端面5aよりも突出している。一体型スクレーパ70は、ボルト60で翼車5に固定されている。ボルト60は一体型スクレーパ70を貫通し、先端が翼車凹部80の底面に形成されたボルト孔に螺合している。なお、ボルト60は、
図14に示すように、頭部が一体型スクレーパ70の表面を押圧するように設置されてもよく、また、
図15に示すように、頭部が一体型スクレーパ70に埋め込まれるように設置されてもよい。
【0049】
以上説明した実施形態に記載のスクレーパ及び軸流ファン並びに軸流ファンの運転方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の一態様に係るスクレーパは、ガスが流通する流路(7)を規定する筒部(3)と、前記筒部(3)と対向する対向部(5a)を有し駆動源からの駆動力によって中心軸線(C)を中心として回転することで前記流路(7)に前記ガスを流通させる翼車(5)と、を備える軸流ファンの前記対向部(5a)に設けられるスクレーパ(30)であって、前記筒部(3)と対向する面から前記翼車(5)側に凹む凹部(43)を有し、前記対向部(5a)に固定される保持部(40)と、前記凹部(43)に収容され該凹部(43)と係合する係合部(52)を備え、前記保持部(40)に保持されるとともに、前記保持部(40)よりも前記筒部(3)側に突出し、セラミックで形成される突出部(50)と、を備えている。
【0050】
上記構成では、突出部が保持部よりも筒部側に突出している。これにより、流路を流通するガスに含まれる物質が筒部に付着し、この付着物が成長した場合、付着物と突出部とが接触する。突出部は保持部を介して回転する翼車に固定されているので、翼車とともに回転する。このため、回転する突出部によって、筒部に付着する付着物を削り取ることができる。また、付着物を削り取る際に突出部が摩耗するが、上記構成では突出部がセラミックで形成されている。セラミックは耐摩耗性が高いので、突出部を摩耗し難くすることができる。よって、スクレーパの寿命を長くすることができる。また、流路を流通するガスが腐食性を有するガスであった場合であっても、セラミックは耐腐食性が高いので、突出部を腐食し難くすることができる。よって、スクレーパの寿命を長くすることができる。
また、一般的に、セラミックは溶接等が難しいため、セラミックで形成された突出部を翼車に直接固定することは難しい。一方、上記構成では、セラミックで形成された突出部を保持する保持部を備え、保持部が対向部に固定されている。これにより、セラミックで形成された突出部を対向部に設けることができる。
また、セラミックは複雑な加工を施し難い。上記構成では、突出部傾斜面を形成するだけの加工を施すだけで、突出部の出代(保持部から突出部が突出する部分)の長さを所定の長さとすることができる。
【0051】
また、本開示の一態様に係るスクレーパは、前記保持部(40)は、着脱可能に前記対向部(5a)に固定されている。
【0052】
上記構成では、保持部が着脱可能に対向部に固定されている。これにより、軸流ファンの定期点検時等に、突出部を保持した状態の保持部を対向部から取り外すことができる。したがって、保持部と突出部とが別々に対向部に固定されている場合と比較して、スクレーパの補修を容易化することができる。
【0053】
また、本開示の一態様に係るスクレーパは、前記凹部(43)の周方向の両端を規定する一対の凹部側面(46)は、前記筒部(3)側に向かうにしたがって前記凹部側面(46)同士が近接するように傾斜していて、前記突出部(50)の周方向の面である一対の突出部側面(51)は、前記凹部側面(46)と当接するとともに、前記筒部(3)側に向かうにしたがって前記突出部側面(51)同士が近接するように傾斜している。
【0054】
上記構成では、凹部の周方向の両端を規定する一対の凹部側面は、筒部側に向かうにしたがって凹部側面同士が近接するように傾斜している。また、突出部の周方向の面である一対の突出部側面は、凹部側面と当接するとともに、筒部側に向かうにしたがって側面同士が近接するように傾斜している。このように、凹部側面と突出部側面とが当接することによって、突出部の筒部側への移動を保持部によって規制することができる。すなわち、保持部に対する突出部の筒部方向の相対位置を位置決めすることができる。これにより、保持部を製造する際に凹部側面の傾斜角度等を調整することで、保持部から突出部が突出する部分(以下、「出代」と称する)の長さ(突出長さ)を所定の長さとすることができる。
【0055】
また、本開示の一態様に係るスクレーパは、前記保持部(40)は、前記突出部(50)の半径方向の外側への移動を規制する規制部(47)を有する。
【0056】
上記構成では、保持部が突出部の半径方向の外側への移動を規制する規制部を有している。これにより、翼車が回転することで突出部に遠心力が作用した場合であっても、規制部が突出部の半径方向の外側への移動を規制することができる。したがって、保持部から突出部が脱落し難くすることができる。
【0057】
また、本開示の一態様に係るスクレーパは、前記突出部(50)の半径方向の外側端部は、前記筒部(3)に設けられたライナ(20)の半径方向の外側端部と同じ位置又は前記ライナ(20)の前記外側端部よりも半径方向の内側の位置に位置している。
【0058】
上記構成では、突出部の半径方向の外側端部が、ライナの半径方向の外側端部と同じ位置又はライナの外側端部よりも半径方向の内側の位置に位置している。これにより、例えば、内筒の半径方向の外側にガスが流通する流路が形成されたいた場合、突出部が流路に突出し難い構成とすることができる。したがって、流路内を流通するガス流れの阻害を抑制することができる。
【0059】
また、本開示の一態様に係るスクレーパは、前記保持部(40)が前記対向部(5a)に形成された翼車凹部(31)に嵌合している。
【0060】
上記構成では、保持部が対向部に形成された凹部に嵌合している。これにより、例えば、保持部と対向部とを固定する固定部材が破損し、保持部と対向部との固定が解除された場合であっても、対向部(翼車)に対する保持部の半径方向及び周方向の相対移動を規制することができる。したがって、保持部と対向部との固定が解除され、翼車が回転することで保持部に遠心力が作用した場合であっても、対向部から保持部が脱落し難くすることができる。
【0061】
また、本開示の一態様に係るスクレーパは、前記保持部(40)と前記突出部(50)とは固定されている。
【0062】
上記構成は、保持部と突出部とが固定されている。すなわち、保持部と突出部とが一体化されている。これにより、保持部と突出部とが固定された状態で、スクレーパを対向部に取り付ける現場まで搬送することができる。したがって、現場において、保持部と突出部とを固定する作業を省略することができる。よって、現場における作業を簡易化することができる。
【0063】
本開示の一態様に係る軸流ファンは、ガスが流通する流路(7)を規定する筒部(3)と、前記筒部(3)と対向する対向部(5a)を有し、駆動源からの駆動力によって中心軸線(C)を中心として回転することで前記流路(7)に前記ガスを流通させる翼車(5)と、前記対向部(5a)に設けられる上記のいずれかに記載のスクレーパ(30)と、を備える。
【0064】
また、本開示の一態様に係る軸流ファンの運転方法は、ガスが流通する流路(7)を規定する筒部(3)と、前記筒部(3)と対向する対向部(5a)を有し前記流路(7)を流通する前記ガスによって回転する翼車(5)と、前記対向部(5a)に設けられるスクレーパ(30)と、を備える軸流ファンの運転方法であって、前記スクレーパ(30)は、前記筒部(3)と対向する面から前記翼車(5)側に凹む凹部(43)を有し、前記対向部(5a)に固定される保持部(40)と、前記凹部(43)に収容され該凹部(43)と係合する係合部(52)を備え、前記保持部(40)に保持されるとともに、前記保持部(40)よりも前記筒部(3)側に突出し、セラミックで形成される突出部(50)と、を備え、前記凹部(43)の周方向の両端を規定する一対の凹部側面(46)は、前記筒部(3)側に向かうにしたがって前記凹部側面(46)同士が近接するように傾斜していて、前記突出部(50)の周方向の面である一対の突出部(50)側面は、前記凹部側面(46)と当接するとともに、前記筒部(3)側に向かうにしたがって前記突出部側面(50)同士が近接するように傾斜していて、前記スクレーパ(30)によって、前記筒部(3)に付着した付着物を除去する除去工程を備える。
【符号の説明】
【0065】
1 :軸流ファン
2 :外筒
3 :内筒(筒部)
3A :上流側内筒
3B :下流側内筒
4 :主軸
5 :翼車
5a :下流側端面(対向部)
5b :外周面
6 :動翼
7 :ガス流路
8 :上流側静翼
9 :下流側静翼
10 :シール構造
11 :突出シール部
12 :シールフィン
20 :ライナ
30 :スクレーパ
31 :翼車凹部
31a :底面
32 :外側壁部
33 :ボルト
33a :頭部
33b :軸部
34 :ボルト孔
40 :ホルダ(保持部)
41 :嵌合部
42 :固定部
43 :ホルダ凹部(凹部)
43a :底面
44 :外板部
45 :ボルト挿通孔
46 :凹部側面
47 :規制部
50 :スクレーパピース(突出部)
51 :スクレーパピース側面(突出部側面)
52 :係合部
53 :先端部
54 :段部