(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049455
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】軌陸両用荷物運搬台車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/00 20060101AFI20230403BHJP
E01B 37/00 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
B62B3/00 J
E01B37/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159197
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】391030125
【氏名又は名称】保線機器整備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】細川 誠二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友昭
【テーマコード(参考)】
2D057
3D050
【Fターム(参考)】
2D057DA02
3D050AA33
3D050BB11
3D050DD01
3D050DD02
3D050EE09
3D050EE15
3D050FF04
3D050HH01
(57)【要約】
【課題】荷物を載せて踏切や法面等の地面を走行できると共に、鉄道のレール上も走行することができる軌陸両用荷物運搬台車を提供する。
【解決手段】荷物を載せる台車本体11と、台車本体11の背面側に設けられ、台車本体11をその背面側に斜めに倒した際、地面に接地して回転する地面用タイヤ12,12と、台車本体11の背面側に設けられ、台車本体11をその背面側に斜めに倒した際、レールに接触して、地面用タイヤ12,12のタイヤ回転軸とはほぼ直交するタイヤ回転軸で回転してレール上を走行するレール用車輪14,14とを備え、レール用車輪14,14は、台車本体11それぞれの背面側であって地面用タイヤ12,12よりも上方に設けられたレール用車輪支持固定板15b,15bに回動軸15b1,15b1を中心に回動可能に支持されたレール用車輪支持回動板15c,15cの先端部に回転可能に設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を載せる台車本体と、
前記台車本体の背面側に設けられ、前記台車本体をその背面側に斜めに倒した際、地面に接地して回転する地面用タイヤと、
前記台車本体の背面側に設けられ、前記台車本体をその背面側に斜めに倒した際、レールに接触して、前記地面用タイヤのタイヤ回転軸とはほぼ直交するタイヤ回転軸で回転してレール上を走行するレール用車輪とを有することを特徴とする軌陸両用荷物運搬台車。
【請求項2】
請求項1記載の軌陸両用荷物運搬台車において、
前記レール用車輪は、
前記台車本体それぞれの背面側であって前記地面用タイヤよりも上方に設けられたレール用車輪支持固定板に回動軸を中心に回動可能に支持されたレール用車輪支持回動板の先端部に回転可能に設けられており、
前記回動軸を中心に前記レール用車輪支持回動板を回動してその先端部を上昇させることにより前記レール用車輪を上方に上げた際には、前記レール用車輪のレール接地面が前記地面用タイヤの接地面よりも高く上がって前記地面用タイヤで地面を走行可能な一方、
前記回動軸を中心に前記レール用車輪支持回動板を回動してその先端部を下降させることにより前記レール用車輪を下方に降ろした際には、前記レール用車輪のレール接地面が前記地面用タイヤの接地面よりも下がってレール上を走行可能に構成されていることを特徴とする軌陸両用荷物運搬台車。
【請求項3】
請求項2記載の軌陸両用荷物運搬台車において、
前記レール用車輪支持固定板には、固定ピンが挿入される固定板側ピン孔が設けられている一方、
前記レール用車輪支持回動板には、前記固定ピンが挿入される回動板側高所ピン孔と回動板側低所ピン孔とが設けられており、
前記固定板側ピン孔と前記回動板側高所ピン孔とを位置合わせして固定ピンを通すことによって前記レール用車輪のレール接地面を前記地面用タイヤの接地面よりも高く上げた状態で固定して前記地面用タイヤで地面を走行可能な一方、
前記固定板側ピン孔と前記回動板側低所ピン孔とを位置合わせして固定ピンを通すことによって前記レール用車輪のレール接地面を前記地面用タイヤの接地面よりも下げた状態で固定して前記レール用車輪でレール上を走行可能に構成されていることを特徴とする軌陸両用荷物運搬台車。
【請求項4】
請求項3記載の軌陸両用荷物運搬台車において、
前記レール用車輪支持固定板において前記固定板側ピン孔は、前記回動軸が設けられた位置よりも高所に設けられていることを特徴とする軌陸両用荷物運搬台車。
【請求項5】
請求項2~請求項4のいずれか一の請求項に記載の軌陸両用荷物運搬台車において、
前記レール用車輪支持回動板には、前記レール用車輪を下方に降ろして前記レール用車輪のレール接地面を前記地面用タイヤの接地面よりも下げた際に、当該レール用車輪支持回動板以外の部分に当接する回動板以外当接部が設けられていることを特徴とする軌陸両用荷物運搬台車。
【請求項6】
請求項5に記載の軌陸両用荷物運搬台車において、
前記回動板以外当接部は、前記レール用車輪を下方に降ろして前記レール用車輪のレール接地面を前記地面用タイヤの接地面よりも下げた際に、前記地面用タイヤのタイヤ回転軸を支持する回転軸支持パイプに当接することを特徴とする軌陸両用荷物運搬台車。
【請求項7】
請求項6に記載の軌陸両用荷物運搬台車において、
前記回動板以外当接部は、前記回転軸支持パイプが嵌るように凹形状に形成されていることを特徴とする軌陸両用荷物運搬台車。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一の請求項に記載の軌陸両用荷物運搬台車において、
前記台車本体を直立状態にした場合、前記台車本体下端部は、前記地面用タイヤの接地面および前記レール用車輪支持部を回動させて前記レール用車輪のレール接地面を前記地面用タイヤの接地面よりも下げた前記レール用車輪のよりも下方に位置して前記台車本体を直立状態に立てることができるように構成したことを特徴とする軌陸両用荷物運搬台車。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか一の請求項に記載の軌陸両用荷物運搬台車において、
さらに、前記台車本体の背面側には、当該軌陸両用荷物運搬台車を傾斜状態で支持する傾斜状態スタンドが設けられていることを特徴とする軌陸両用荷物運搬台車。
【請求項10】
請求項9に記載の軌陸両用荷物運搬台車において、
前記傾斜状態スタンドは、
長尺のスタンド棒と、
前記台車本体の背面側に固定され、前記スタンド棒が前記台車本体に対し斜めの角度で設けられるように前記スタンド棒の上部を固定するスタンド棒支持部とを有することを特徴とする軌陸両用荷物運搬台車。
【請求項11】
請求項10に記載の軌陸両用荷物運搬台車において、
前記スタンド棒には、その長手方向に任意の間隔で複数の高さ調整穴が設けられている一方、
前記スタンド棒支持部には、前記スタンド棒の複数の高さ調整穴に先端のプランジャピンを挿脱可能なプランジャスイッチが設けられており、前記スタンド棒支持部に対する前記スタンド棒の長さを調整できるように構成されていることを特徴とする軌陸両用荷物運搬台車。
【請求項12】
請求項9または請求項10に記載の軌陸両用荷物運搬台車において、
さらに、前記台車本体の背面側には、前記スタンド棒の不使用時に前記スタンド棒を前記スタンド棒支持部から取り外して前記台車本体の背面に沿って保管するスタンド棒不使用時保管部が設けられていることを特徴とする軌陸両用荷物運搬台車。
【請求項13】
請求項1~請求項12のいずれか一の請求項に記載の軌陸両用荷物運搬台車において、
前記台車本体には、荷物としてボンベを積んで運搬するためボンベの形状に湾曲したボンベ支持部が設けられていることを特徴とする軌陸両用荷物運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロパン等の荷物を載せて踏切や法面等の地面を走行すると共に、鉄道のレール上も走行可能な軌陸両用荷物運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
プロパン等の荷物を載せて地面を走行する台車として、例えば、プロパンを積んだ台車本体を斜めにし、ハンドルを作業員が掴んで押すボンベ等の簡易運搬車が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1のボンベ等の簡易運搬車は、踏切や法面等の地面の上は容易に走行することができるものの、レール上を走行することはできず、砕石(バラスト)が埋設された路盤上での移動は困難で鉄道の保線作業用のボンベ等の簡易運搬車としては、使い勝手が今一つであった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、荷物を載せて踏切や法面等の地面を走行できると共に、鉄道のレール上も走行することができる軌陸両用荷物運搬台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車は、荷物を載せる台車本体と、前記台車本体の背面側に設けられ、前記台車本体をその背面側に斜めに倒した際、地面に接地して回転する地面用タイヤと、前記台車本体の背面側に設けられ、前記台車本体をその背面側に斜めに倒した際、レールに接触して、前記地面用タイヤのタイヤ回転軸とはほぼ直交するタイヤ回転軸で回転してレール上を走行するレール用車輪と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車では、前記レール用車輪は、前記台車本体それぞれの背面側であって前記地面用タイヤよりも上方に設けられたレール用車輪支持固定板に回動軸を中心に回動可能に支持されたレール用車輪支持回動板の先端部に回転可能に設けられており、前記回動軸を中心に前記レール用車輪支持回動板を回動してその先端部を上昇させることにより前記レール用車輪を上方に上げた際には、前記レール用車輪のレール接地面が前記地面用タイヤの接地面よりも高く上がって前記地面用タイヤで地面を走行可能な一方、前記回動軸を中心に前記レール用車輪支持回動板を回動してその先端部を下降させることにより前記レール用車輪を下方に降ろした際には、前記レール用車輪のレール接地面が前記地面用タイヤの接地面よりも下がってレール上を走行可能に構成されていることも特徴とする。
また、本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車では、前記レール用車輪支持固定板には、固定ピンが挿入される固定板側ピン孔が設けられている一方、前記レール用車輪支持回動板には、前記固定ピンが挿入される回動板側高所ピン孔と回動板側低所ピン孔とが設けられており、前記固定板側ピン孔と前記回動板側高所ピン孔とを位置合わせして固定ピンを通すことによって前記レール用車輪のレール接地面を前記地面用タイヤの接地面よりも高く上げた状態で固定して前記地面用タイヤで地面を走行可能な一方、前記固定板側ピン孔と前記回動板側低所ピン孔とを位置合わせして固定ピンを通すことによって前記レール用車輪のレール接地面を前記地面用タイヤの接地面よりも下げた状態で固定して前記レール用車輪でレール上を走行可能に構成されていることも特徴とする。
また、本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車では、前記レール用車輪支持回動板には、前記レール用車輪を下方に降ろして前記レール用車輪のレール接地面を前記地面用タイヤの接地面よりも下げた際に、当該レール用車輪支持回動板以外の部分に当接する回動板以外当接部が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車では、前記回動板以外当接部は、前記レール用車輪を下方に降ろして前記レール用車輪のレール接地面を前記地面用タイヤの接地面よりも下げた際に、前記地面用タイヤのタイヤ回転軸を支持する回転軸支持パイプに当接することも特徴とする。
また、本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車では、前記回動板以外当接部は、前記回転軸支持パイプが嵌るように凹形状に形成されていることも特徴とする。
また、本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車では、前記台車本体を直立状態にした場合、前記台車本体下端部は、前記地面用タイヤの接地面および前記レール用車輪支持部を回動させて前記レール用車輪のレール接地面を前記地面用タイヤの接地面よりも下げた前記レール用車輪のよりも下方に位置して前記台車本体を直立状態に立てることができるように構成したことも特徴とする。
また、本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車では、さらに、前記台車本体の背面側には、当該軌陸両用荷物運搬台車を傾斜状態で支持する傾斜状態スタンドが設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車では、前記傾斜状態スタンドは、長尺のスタンド棒と、前記台車本体の背面側に固定され、前記スタンド棒が前記台車本体に対し斜めの角度で設けられるように前記スタンド棒の上部を固定するスタンド棒支持部とを有することも特徴とする。
また、本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車では、前記スタンド棒には、その長手方向に任意の間隔で複数の高さ調整穴が設けられている一方、前記スタンド棒支持部には、前記スタンド棒の複数の高さ調整穴に先端のプランジャピンを挿脱可能なプランジャスイッチが設けられており、前記スタンド棒支持部に対する前記スタンド棒の長さを調整できるように構成されていることも特徴とする。
また、本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車では、さらに、前記台車本体の背面側には、前記スタンド棒の不使用時に前記スタンド棒を前記スタンド棒支持部から取り外して前記台車本体の背面に沿って保管するスタンド棒不使用時保管部が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車では、前記台車本体には、荷物としてボンベを積んで運搬するためボンベの形状に湾曲したボンベ支持部が設けられていることも特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車では、荷物を載せる台車本体には、地面に接地して地面上を走行可能な地面用タイヤと、レール上を走行可能なレール用車輪とを備える。
そのため、本発明に係る軌陸両用荷物運搬台車では、荷物を載せて踏切や法面等の地面を走行できると共に、鉄道のレール上も走行することができるので、砕石が設置された路盤等を走行する保線作業用の運搬台車でとして最適であり、保線作業の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車においてレール用車輪を上げた状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車においてレール用車輪を下げた状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車においてレール用車輪を下げた状態を示す背面図である。
【
図4】本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車においてレール用車輪を上げた状態を示す正面図である。
【
図5】本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車においてレール用車輪を下げた状態を示す平面図である。
【
図6】本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車においてレール用車輪を上げた状態を示す側面図である。
【
図7】本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車においてレール用車輪を上げた際の要部の状態を示す要部拡大側面図である。
【
図8】本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車の地面用タイヤによって踏切や法面等の地面で走行している状態を示す側面図である。
【
図9】本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車においてレール用車輪を下げた際の要部の状態を示す要部拡大側面図である。
【
図10】本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車においてレール用車輪を下げてレール用車輪によってレール上を走行している状態を示す側面図である。
【
図11】本発明に係る実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車においてレール用車輪を下げた状態であって、かつ、スタンド棒を保管した状態を示す背面図である。
【
図12】本発明に係る実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車においてレール用車輪を上げた状態であって、かつ、スタンド棒を保管した状態を示す側面図である。
【
図13】本発明に係る実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車においてレール用車輪を上げた状態であって、かつ、スタンド棒を保管した状態を示す平面図である。
【
図14】(a)~(c)それぞれ本発明に係る実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車のスタンド棒の背面図、側面図、平面図である。
【
図15】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車の傾斜状態スタンドを構成するスタンド棒支持部およびスタンド棒上部保管部の取付け状態を示す拡大要部背面図、拡大要部平面図である。
【
図16】本発明に係る実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車の傾斜状態スタンドを構成するスタンド棒支持部およびスタンド棒上部保管部の取付け状態を示す拡大要部側面図である。
【
図17】(a)~(c)それぞれ本発明に係る実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車の傾斜状態スタンドを構成するスタンド棒下部保管部の取付け状態を示す拡大要部平面図、拡大要部正面図、
図17(a)におけるA-A線拡大要部断面図である。
【
図18】本発明に係る実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車においてスタンド棒支持部にスタンド棒を固定してレール用車輪をレールに乗せた状態で軌陸両用荷物運搬台車を斜めの状態で停止させた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態1,2の軌陸両用荷物運搬台車を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、下記に説明する実施形態1は、あくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態1に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0010】
実施形態1.
<実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1の構成>
実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1は、台車本体11と、地面用タイヤ12,12と、地面用タイヤ支持部13と、レール用車輪14,14と、レール用車輪支持部15と、固定ピン16等を備えて構成される。
【0011】
(台車本体11)
台車本体11は、荷物としてガス溶接に使用する2台のボンベ2a,2b等を積載して搬送するもので、台車本体11を立てた際、2台のボンベ2a,2bの外側を通って上下方向に延びる縦フレーム11a,11aと、縦フレーム11a,11aの下端部に溶接して設けられ、2台のボンベ2a,2b等の荷物の底部が載る荷物載置台11bと、縦フレーム11a,11aの下部および上部にそれぞれ溶接して設けられ、2台のボンベ2a,2bの下側の背面(側面)を受けるためボンベ2a,2bの形状に湾曲したボンベ下側受け棒部11cおよびボンベ上側受け棒部11dと、縦フレーム11a,11aそれぞれの上端部を連結するように設けられ、作業員が手で掴んで押すためのハンドル部11e等が設けられて構成されている。
【0012】
そして、台車本体11の縦フレーム11a,11aの背面側下方であって荷物載置台11bよりも高い位置には、台車本体11を斜めに倒した際、地面に接地して回転するゴム製で空気の入った左右一対の地面用タイヤ12,12を支持する地面用タイヤ支持部13が設けられている一方、縦フレーム11a,11aの背面側であって地面用タイヤ支持部13の上方には、レールR上を走行する一対のレール用車輪14,14を支持するレール用車輪支持部15が設けられている。
【0013】
(地面用タイヤ12,12)
地面用タイヤ12,12は、左右一対で構成されており、それぞれ、ゴム等で構成された通常のタイヤであって、タイヤ回転軸12aによって連結され、地面用タイヤ支持部13に回転可能に支持されている。
【0014】
(地面用タイヤ支持部13)
地面用タイヤ支持部13は、台車本体11の縦フレーム11a,11aそれぞれの背面側下方に地面用タイヤ支持板13a,13aが溶接して設けられていると共に、地面用タイヤ支持板13a,13a間に中空のパイプからなるタイヤ回転軸支持パイプ13bが設けられており、そのタイヤ回転軸支持パイプ13bの中に図示しないベアリング等を介し左右の地面用タイヤ12,12を連結するタイヤ回転軸12aを通して回転可能に支持している。尚、地面用タイヤ支持部13は地面用タイヤ12,12を回転可能に支持できれば十分であるため、本発明ではタイヤ回転軸支持パイプ13bは必須ではなく、地面用タイヤ支持板13a,13aにベアリング等を直接設けてタイヤ回転軸支持パイプ13bを省略するようにしても勿論良い。
【0015】
(レール用車輪14,14)
レール用車輪14,14も、左右一対で構成されているものの、レールR上を走行するため、プラスチックや金属の車輪で構成されており、レール用車輪支持部15の後述するレール用車輪支持枠15aに車輪軸14aを介し回転可能に支持されている。
【0016】
(レール用車輪支持部15)
レール用車輪支持部15は、左右一対のレール用車輪14,14を地面用タイヤ12,12の回転方向とはほぼ90度の直交する方向に回転可能に支持するレール用車輪支持枠15aと、台車本体11の縦フレーム11a,11aそれぞれの背面であって地面用タイヤ支持板13a,13aよりも上方に設けられたレール用車輪支持固定板15b,15bと、レール用車輪支持固定板15b,15bそれぞれに回動軸15b1,15b1を中心に回動可能に支持され、先端部にレール用車輪支持枠15aが溶接等によって設けられたレール用車輪支持回動板15c,15c等を備える。
【0017】
レール用車輪支持枠15aは、タイヤ回転軸12aと平行に延びる一対の長尺板15a1,15a1と、レール用車輪支持回動板15c,15cそれぞれの先端部内側に溶接等される短尺板15a2,15a2とで長方形状に形成されており、短尺板15a2,15a2と平行に延びるレール用車輪軸14a,14aによってレール用車輪14,14を回転可能に支持する。
【0018】
レール用車輪支持固定板15b,15bは、台車本体11の縦フレーム11a,11aそれぞれの背面であって地面用タイヤ支持板13a,13aよりも上方に溶接等によって設けられており、レール用車輪支持固定板15b,15bには、レール用車輪支持回動板15c,15cを回動可能に支持する回動軸15b1,15b1が設けられている共に、その回動軸15b1,15b1より高所に固定ピン16、16が挿入される固定板側ピン孔15b2,15b2が設けられている。
【0019】
レール用車輪支持回動板15c,15cは、先端部にはレール用車輪14,14を回転可能に支持するレール用車輪支持枠15aが溶接等して設けられたもので、回動軸15b1,15b1によってレール用車輪支持固定板15b,15bに回動可能に取り付けられており、回動軸15b1,15b1が通る軸孔とレール用車輪支持枠15aが設けられた先端部との間に回動板側高所ピン孔15c1,15c1が設けられていると共に、回動軸15b1,15b1が通る軸孔を介して回動板側高所ピン孔15c1,15c1の反対側には回動板側低所ピン孔15c2,15c2が設けられている。
【0020】
これにより、
図7等に示すように固定板側ピン孔15b2,15b2と回動板側高所ピン孔15c1,15c1とを位置合わせして固定ピン16を通すことによってレール用車輪14,14のレール接地面を地面用タイヤ12,12の接地面よりも高く上げた状態で固定して地面用タイヤ12,12で地面を走行可能な一方、
図9等に示すように固定板側ピン孔15b2,15b2と回動板側低所ピン孔15c2,15c2とを位置合わせして固定ピン16を通すことによってレール用車輪14,14のレール接地面を地面用タイヤ12,12の接地面よりも下げた状態で固定してレール用車輪14,14でレールR上を走行可能に構成している。
【0021】
また、レール用車輪支持部15のレール用車輪支持回動板15c,15cには、
図9等に示すようにレール用車輪14,14を下方に降ろしてレール用車輪14,14のレール接地面が地面用タイヤ12,12の接地面よりも下方に位置するように下げた際に、左右の地面用タイヤ12,12を連結するタイヤ回転軸12aを支持するタイヤ回転軸支持パイプ13bに当接する回動板以外当接部15c3を設けている。尚、地面用タイヤ支持板13a,13aにベアリング等を直接設けてタイヤ回転軸支持パイプ13bを省略した場合には、回動板以外当接部15c3はタイヤ回転軸12aに直接当接することになる。
【0022】
回動板以外当接部15c3は、
図7や
図9等に示すように、タイヤ回転軸支持パイプ13bに当接して嵌って安定するようにほぼ90度の角度で凹んだ三角形の凹形状に形成されている。
【0023】
(固定ピン16)
固定ピン16は、上述したようにレール用車輪支持固定板15b,15bに対しレール用車輪支持回動板15c,15cを固定するためのピンで、紛失しないようにその基端部がワイヤー16a等によってレール用車輪支持固定板15b,15b等に連結されている。
【0024】
<実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1の使用方法>
次に、以上のように構成された軌陸両用荷物運搬台車1の使用方法について説明する。
【0025】
(軌陸両用荷物運搬台車1の保管時やボンベ2a,2bの積載時)
軌陸両用荷物運搬台車1の保管時やボンベ2a,2bの積載時は、
図6に示すように台車本体11の下端部に設けた荷物載置台11bを地面に着けて立てる。
【0026】
すると、本実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1では、台車本体11の下端部に設けた荷物載置台11bは、地面用タイヤ12,12およびレール用車輪14,14の設置面よりも下方の位置に設けているため、荷物載置台11bが地面に着くように台車本体11を直立状態にした場合、地面用タイヤ12,12およびレール用車輪14,14は宙に浮き、台車本体11を直立状態かつ安定した状態に立てることができる。尚、台車本体11を立てた場合には、
図6および
図7に示すように地面用タイヤ12,12の接地面をレール用車輪14,14の設置面よりも高く上げた場合だけでなく、
図9に示すようにレール用車輪14,14の設置面を地面用タイヤ12,12の接地面よりも下げた場合でも、地面用タイヤ12,12およびレール用車輪14,14の設置面よりも荷物載置台11bが低く、荷物載置台11bを地面に着けて立てると、地面用タイヤ12,12およびレール用車輪14,14が宙に浮くことが理解できる。
【0027】
そのため、台車本体11の下端部に設けた荷物載置台11bを地面に着けて立てた安定した状態で、軌陸両用荷物運搬台車1を保管したり、ボンベ2a,2bを積載したり下ろしたりする。
【0028】
(軌陸両用荷物運搬台車1の地面等のレールR上以外での走行時)
軌陸両用荷物運搬台車1をレールR上以外の踏切や法面等の地面で走行する場合は、
図6および図等に示すようにレール用車輪支持固定板15b,15bの固定板側ピン孔15b2,15b2と、レール用車輪支持回動板15c,15cの回動板側高所ピン孔15c1,15c1とを位置合わせして固定ピン16を通すことによってレール用車輪14,14のレール接地面を地面用タイヤ12,12の接地面よりも高く上げた状態で固定する。
【0029】
すると、
図6および
図7に示すように地面用タイヤ12,12の接地面がレール用車輪14,14のレール接地面よりも下方に突出するため、作業員が台車本体11のハンドル部11eを掴んで、
図8に示すように陸両用荷物運搬台車1を斜めにして押すことによって地面用タイヤ12,12で踏切や法面等の地面で走行することができる。
【0030】
(軌陸両用荷物運搬台車1のレールR上の走行時)
軌陸両用荷物運搬台車1をレールR上で走行する場合は、
図9に示すように回動板側低所ピン孔15c2,15c2を回動軸15b1,15b1を介して時計周りに回転して下ろし、レール用車輪支持固定板15b,15bの固定板側ピン孔15b2,15b2と、レール用車輪支持回動板15c,15cの回動板側低所ピン孔15c2,15c2とを位置合わせして固定ピン16を通すことによってレール用車輪14,14のレール接地面を地面用タイヤ12,12の接地面よりも低く下げた状態で固定する。
【0031】
すると、
図9に示すようにレール用車輪14,14のレール接地面が地面用タイヤ12,12の接地面よりも下方に突出するため、作業員が台車本体11のハンドル部11eを掴んで、
図10に示すように陸両用荷物運搬台車1を斜めにして横方向に移動することによってレール用車輪14,14でレールR上を走行することができる。
【0032】
そして、レール用車輪14,14でレールR上を走行して踏切や法面等の所望の作業場所に到着してレールR上以外の地面の上を走行の必要がある場合には、レール用車輪支持固定板15b,15bの固定板側ピン孔15b2,15b2とレール用車輪支持回動板15c,15cの回動板側低所ピン孔15c2,15c2とに挿入していた固定ピン16を抜き、
図6および
図7に示すようにレール用車輪支持回動板15c,15cを回動軸15b1,15b1を中心に回動してレール用車輪14,14側を持ち上げ、再度、レール用車輪支持固定板15b,15bの固定板側ピン孔15b2,15b2と、レール用車輪支持回動板15c,15cの回動板側高所ピン孔15c1,15c1とを位置合わせして固定ピン16を通すことによってレール用車輪14,14のレール接地面を地面用タイヤ12,12の接地面よりも高く上げた状態で固定して、地面用タイヤ12,12で踏切や法面等の地面で走行することになる。
【0033】
<実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1のまとめ>
以上説明したように、本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1では、荷物を載せる台車本体11には、地面に接地して回転する地面用タイヤ12,12と、レール上を走行するレール用車輪14,14とを設けている。
【0034】
そのため、本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1では、台車本体11にガスボンベ2a,2b等の重量のある荷物を積載した場合でも、荷物を載せて踏切や法面等の地面では地面用タイヤ12,12を走行できると共に、レールRではレール用車輪14,14によって走行することが可能となるので、軌陸両用の運搬台車となり、保線作業の作業効率を向上させることができる。
【0035】
また、本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1では、レール用車輪14,14は、台車本体11それぞれの背面側であって地面用タイヤ12,12よりも上方に設けられたレール用車輪支持固定板15b,15bに回動軸15b1,15b1を中心に回動可能に支持されたレール用車輪支持回動板15c,15cの先端部に設けたレール用車輪支持枠15aに回転可能に設けられており、回動軸15b1,15b1を中心にレール用車輪支持回動板15c,15cを回動してその先端部を上昇させることによりレール用車輪を上方に上げた際には、レール用車輪14,14のレール接地面が地面用タイヤ12,12の接地面よりも高く上がって地面用タイヤで地面を走行可能な一方、回動軸15b1,15b1を中心にレール用車輪支持回動板15c,15cを回動してその先端部を下降させることによりレール用車輪14,14を下方に降ろした際には、レール用車輪14,14のレール接地面が地面用タイヤの接地面よりも下がってレールR上を走行可能に構成している。
【0036】
そのため、本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1によれば、レール用車輪支持回動板15c,15cを回動軸15b1,15b1を中心にレール用車輪支持固定板15b,15bに対し回動して昇降することによって、レール用車輪14,14のレール接地面を地面用タイヤ12,12の接地面よりも高く上げたり、レール用車輪14,14のレール接地面を地面用タイヤ12,12の接地面よりも低く下げることが簡単にできるので、地面用タイヤ12,12による走行と、レール用車輪14,14による走行とを容易に切り替えることができる。
【0037】
また、本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1では、レール用車輪支持固定板15b,15bには回動軸15b1,15b1以外に固定ピン16が挿入される固定板側ピン孔15b2,15b2を設ける一方、レール用車輪支持回動板15cには、固定ピン16が挿入される回動板側高所ピン孔15c1と回動板側低所ピン孔15c2とを設け、固定板側ピン孔15b2,15b2と回動板側高所ピン孔15c1,15c1とを位置合わせして固定ピン16を通すことによってレール用車輪14のレール接地面を地面用タイヤ12の接地面よりも高く上げた状態で固定して地面用タイヤ12で地面を走行可能な一方、固定板側ピン孔15b2,15b2と回動板側低所ピン孔15c2とを位置合わせして固定ピン16を通すことによってレール用車輪14のレール接地面を地面用タイヤ12の接地面よりも下げた状態で固定してレール用車輪14でレールR上を走行可能に構成している。
【0038】
そのため、レール用車輪14を地面用タイヤ12よりも高く上げて地面用タイヤ12で地面を走行する場合も、レール用車輪14のレール接地面を地面用タイヤ12の接地面よりも下げてレール用車輪14でレールR上を走行する場合も、レール用車輪14を支持するレール用車輪支持回動板15c,15cをレール用車輪支持固定板15b,15bに固定することができるので、この点でも保線作業の作業効率を向上させることができる。
【0039】
特に、本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1では、レール用車輪支持固定板15bにおいて固定板側ピン孔15b2,15b2の位置は、回動軸15b1が設けた位置よりも高所に設けているため、作業員が固定ピン16を楽な姿勢で抜き差しすることが可能となり、この点でも保線作業の作業効率を向上させることができる。
【0040】
また、本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1では、レール用車輪支持部15のレール用車輪支持回動板15c,15cには、
図9等に示すようにレール用車輪14,14を下方に降ろして固定板側ピン孔15b2,15b2と回動板側低所ピン孔15c2,15c2とに固定ピン16を通してレール用車輪14,14のレール接地面が地面用タイヤ12,12の接地面よりも下方に位置するように下げた際に、タイヤ回転軸支持パイプ13bに当接する回動板以外当接部15c3を設けている。
【0041】
そのため、例えば、
図10に示すように台車本体11にガスボンベ2a,2b等の重量のある荷物を積載してレール用車輪14,14によってレールR上を走行する場合、レール用車輪14,14は、ガスボンベ2a,2b等の重量のある荷物を積載して傾斜させた台車本体11の荷重を回動軸15b1および固定ピン16だけでなく、タイヤ回転軸支持パイプ13bを介して回動板以外当接部15c3で受けることになるので、台車本体11に積載した荷物の荷重を3点で受けることが可能となり、ガスボンベ2a,2b等の重量のある荷物をさらに容易かつ安定してレールR上で運搬することができる。
【0042】
特に、タイヤ回転軸支持パイプ13bに当接する回動板以外当接部15c3は、タイヤ回転軸支持パイプ13bが嵌るように正面視、ほぼ三角の凹形状に窪んで形成されているため、回動板以外当接部15c3にタイヤ回転軸支持パイプ13bが当接した際、安定した状態でタイヤ回転軸支持パイプ13bを支持することが可能になるので、この点でもガスボンベ2a,2b等の重量のある荷物をさらに容易かつ安定してレールR上で運搬することができる。
【0043】
また、本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1では、台車本体11を直立状態にした場合、台車本体11下端部は、地面用タイヤ12,12の接地面およびレール用車輪支持部15を回動させてレール用車輪14,14のレール接地面を地面用タイヤ12,12の接地面よりも下げたレール用車輪14,14よりも下方に設けている。
【0044】
そのため、本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1によれば、荷物載置台11bが地面に着くように台車本体11を直立状態にした場合、地面用タイヤ12,12およびレール用車輪14,14は宙に浮き、台車本体11を直立状態かつ安定した状態に立てることができるので、軌陸両用荷物運搬台車1を保管したり、安定した状態で台車本体11にボンベ2a,2bを積載することができる。
【0045】
また、本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1では、台車本体11には、ボンベ2a,2bを積んで運搬するためボンベ2a,2bの形状に湾曲したボンベ下側受け棒部11cおよびボンベ上側受け棒部11dを設けている。
【0046】
そのため、本発明に係る実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1によれば、台車本体11にボンベ2a,2bを傾斜させた状態でも、安定した状態で積載地面用タイヤ12,12によって地面を走行したり、レール用車輪14,14によってレールR上を走行して運搬することが可能となり、作業効率を向上させることができる。
【0047】
尚、上記実施形態1の説明では、回動板以外当接部15c3は、レール用車輪14,14を下方に降ろしてレール用車輪14,14のレール接地面が地面用タイヤ12,12の接地面よりも下方に位置するように下げた際、タイヤ回転軸支持パイプ13bやタイヤ回転軸12aに当接するものとして説明したが、本発明ではこれに限らず、台車本体11や地面用タイヤ12、地面用タイヤ支持板13a、レール用車輪支持固定板15b等のレール用車輪支持回動板15c以外の部分に当接するように構成しても勿論良く、このことは次に説明する実施形態2でも同様である。
【0048】
実施形態2.
実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車1は、レール用車輪14がレールR上にあっても軌陸両用荷物運搬台車1を斜めに立てた状態で簡単に停止させることが可能に構成したもので、上述の実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1に対し傾斜状態スタンド17等を追加したものである。よって、実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車1の基本的な構成は、上述の実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1と同様であるため、実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1と同じ構成要素には同一符号を付して説明は省略し、傾斜状態スタンド17等の実施形態2の新しい構成要素のみ説明する。
【0049】
図11~
図13は、実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車1のレール用車輪14を下げてスタンド棒17aを保管している状態の背面図、レール用車輪14を上げてスタンド棒17aを保管している状態の側面図、レール用車輪14を下げてスタンド棒17aを保管している状態の平面図である。
【0050】
図11~
図13に示すように、実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車1では、台車本体11の背面側のボンベ下側受け棒部11cおよびボンベ上側受け棒部11dに、
図8等に示すようにその背面側が地面に近付くように軌陸両用荷物運搬台車1を傾斜状態にした際に、軌陸両用荷物運搬台車1を支持する傾斜状態スタンド17を追加したことを特徴とする。
【0051】
具体的には、傾斜状態スタンド17は、スタンド棒17aと、台車本体11の背面側のボンベ上側受け棒部11dに取付けられたスタンド棒支持部17bおよびスタンド棒上部保管部17cと、ボンベ下側受け棒部11cに取付けられたスタンド棒下部保管部17dとで構成される。
【0052】
スタンド棒17aは、
図14(a)~(c)に示すように、軌陸両用荷物運搬台車1から着脱可能な全長が例えば960mmの角パイプ等から構成されたもので、その外周面には任意の例えば50mm前後の任意の間隔で複数(ここでは、例えば、11個とする。)の高さ調整穴17a1が設けられている。
【0053】
ここで、スタンド棒17aに任意の間隔で複数(ここでは、例えば、11個とする。)の高さ調整穴17a1を設けた理由は、後述する
図18に示すように軌陸両用荷物運搬台車1のレール用車輪14をレールR上に乗せた軌陸両用荷物運搬台車1を斜めに立てた状態で停めて置く場合、レールRは踏切部分等を除いて路盤から高い位置であり、また路盤には砕石があるため、軌陸両用荷物運搬台車1を立てて停めておく場所毎にスタンド棒17aの高さを変える必要があるからである。
【0054】
スタンド棒支持部17bは、スタンド棒17aを台車本体11に対し例えば65度前後の角度で、かつ、現場に応じた任意の長さで固定するもので、
図15(a),(b)および
図16に示すようにスタンド棒17aを通す環状のスタンド棒支持部本体17b1と、スタンド棒支持部本体17b1に設けられ、先端のプランジャピン17b21をスタンド棒17aの複数の高さ調整穴17a1のいずれかに挿入してスタンド棒支持部本体17b1にスタンド棒17aを任意の長さで固定するプランジャスイッチ17b2で構成されている。
【0055】
スタンド棒上部保管部17cは、スタンド棒支持部本体17b1と同様に、スタンド棒17aを通すように環状に構成され、台車本体11背面側のボンベ上側受け棒部11dに取付けられている。
【0056】
スタンド棒下部保管部17dは、
図17(a)~(c)に示すように環状でかつスタンド棒上部保管部17cとは異なり底部が設けられ、スタンド棒上部保管部17cを通ったスタンド棒17aの下部が下方へ抜け落ちないように構成されており、台車本体11背面側のボンベ下側受け棒部11cに取付けられている。
【0057】
<実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車1の傾斜状態スタンド17の使用方法>
次に、以上のように構成された実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車1の傾斜状態スタンド17の使用方法について説明する。
【0058】
(傾斜状態スタンド17の不使用時)
傾斜状態スタンド17を使用しない場合、例えば、
図6に示すように台車本体11の下端部に設けた荷物載置台11bを地面に着けて立てた軌陸両用荷物運搬台車1の保管時やボンベ2a,2bの積載時、地面用タイヤ12,12での地面での走行時、さらにはレール用車輪14,14によるレールR上の走行時には、傾斜状態スタンド17を使用しないため、
図11~
図13に示すようにスタンド棒17aをスタンド棒上部保管部17cからスタンド棒下部保管部17dに挿入して保管しておく。
【0059】
図11~
図13に示すようにスタンド棒上部保管部17cおよびスタンド棒下部保管部17dは、それぞれ、台車本体11背面側のボンベ上側受け棒部11dおよびボンベ下側受け棒部11cに取付けられているため、長尺のスタンド棒17aを台車本体11背面に沿って保管することが可能となり、傾斜状態スタンド17の不使用時に長尺のスタンド棒17aが作業の邪魔になることを防止することができる。
【0060】
(傾斜状態スタンド17の使用時)
レール用車輪14,14によるレールR上で走行時は、
図10に示すようにレールRの頭面が路盤より高く、かつ、路盤に砕石があって凸凹しており、荷物載置台11bを地面に着けて立てておくことが困難であるため、傾斜状態スタンド17を使用して、軌陸両用荷物運搬台車1を傾斜状態のまま立てる。
【0061】
具体的には、スタンド棒上部保管部17cおよびスタンド棒下部保管部17dから長尺のスタンド棒17aを抜き、抜いたスタンド棒17aをスタンド棒支持部17bに通し、その軌陸両用荷物運搬台車1を停車させるレールR周辺の路盤の高さや状態に応じてプランジャスイッチ17b2のプランジャピン17b21をスタンド棒17aの複数の高さ調整穴17a1の内の最適な高さの高さ調整穴17a1に挿入して、傾斜状態スタンド17の先端部を路盤に接地させ軌陸両用荷物運搬台車1を傾斜状態のまま立てる。
【0062】
すると、
図18に示すように軌陸両用荷物運搬台車1のレール用車輪14,14をレールR上に乗せたまま軌陸両用荷物運搬台車1を傾斜状態で停めておくことができるので、レール用車輪14,14をレールR上に乗せた状態のまま軌陸両用荷物運搬台車1に積載したガスボンベ2a,2b等を使用して溶接作業等を行うことが出来ると共に、その場所での作業終了後は、次の作業場所に移動する場合、近場であればそのまま軌陸両用荷物運搬台車1をレール用車輪14,14でレールR上を走行し、距離が離れている場合にはスタンド棒17aをスタンド棒上部保管部17cおよびスタンド棒下部保管部17dに保管して軌陸両用荷物運搬台車1をレール用車輪14,14でレールR上を走行して迅速に移動してまた新しい作業場所で溶接作業等を行うことが可能となる。
【0063】
<実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車1のまとめ>
以上説明したように、本発明に係る実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車1では、実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1と同様に地面に接地して回転する地面用タイヤ12,12と、レール上を走行するレール用車輪14,14とを設けているため、台車本体11にガスボンベ2a,2b等の重量のある荷物を積載した場合でも、荷物を載せて踏切や法面等の地面では地面用タイヤ12,12を走行できると共に、レールRではレール用車輪14,14によって走行することが可能となるので、実施形態1の軌陸両用荷物運搬台車1と同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、本発明に係る実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車1では、台車本体11の背面側に、軌陸両用荷物運搬台車1を傾斜状態にした際に軌陸両用荷物運搬台車1を支持する傾斜状態スタンド17を設けている。
【0065】
そのため、軌陸両用荷物運搬台車1のレール用車輪14,14をレールR上に乗せ、かつ、ガスボンベ2a,2b等を積載したまま軌陸両用荷物運搬台車1を傾斜状態で停めておくことが可能となるので、軌陸両用荷物運搬台車1にガスボンベ2a,2b等を積載したまま作業を行うことが出来ると共に、その場所での作業終了後、次の作業場所にレールR上を走行する際に迅速に移動することも可能となり、保線作業の作業効率を大幅に向上させることができる。
【0066】
また、本発明に係る実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車1では、傾斜状態スタンド17は、長尺で着脱自在のスタンド棒17aと、台車本体11の背面側に固定され、スタンド棒17aが台車本体11に対し斜めの角度で設けられるようにスタンド棒17aの上部を固定するスタンド棒支持部17bとで構成する。
【0067】
そのため、傾斜状態スタンド17を簡単に構成することが出来るので、製造コストを低減することができる。
【0068】
また、本発明に係る実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車1では、スタンド棒17aには、その長手方向に任意の間隔で複数の高さ調整穴17a1が設けられている一方、スタンド棒支持部17bには、スタンド棒17aの複数の高さ調整穴17a1に先端のプランジャピン17b21を挿脱可能なプランジャスイッチ17b1が設けられており、スタンド棒支持部17bに対するスタンド棒17aの長さを調整できるように構成されている。
【0069】
そのため、軌陸両用荷物運搬台車1を立てて停めておく場所毎にスタンド棒17aの長さを調整して、軌陸両用荷物運搬台車1を最適な角度で傾斜させて停めておくことが可能となるので、軌陸両用荷物運搬台車1に積載したガスボンベ2a,2b等を安定した状態で立てて作業を行うことが出来、保線作業の作業効率や作業環境を向上させることができる。
【0070】
また、本発明に係る実施形態2の軌陸両用荷物運搬台車1では、台車本体11の背面側には、スタンド棒17aの不使用時にそのスタンド棒17aをスタンド棒支持部17bから取り外して台車本体11の背面に沿って保管するスタンド棒不使用時保管部としてスタンド棒上部保管部17cおよびスタンド棒下部保管部17dを設けている。
【0071】
そのため、傾斜状態スタンド17を使用しない場合、スタンド棒17aをスタンド棒上部保管部17cおよびスタンド棒下部保管部17dに挿入して保管しておくことができるので、傾斜状態スタンド17の不使用時に長尺のスタンド棒17aが作業の邪魔になることを防止することができ、この点でも保線作業の作業効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 軌陸両用荷物運搬台車
11 台車本体
11a 縦フレーム
11b 荷物載置台
11c ボンベ下側受け棒部
11d ボンベ上側受け棒部
11e ハンドル部
12 地面用タイヤ
12a タイヤ回転軸
13 地面用タイヤ支持部
13a 地面用タイヤ支持板
13b タイヤ回転軸支持パイプ
14 レール用車輪
14a 車輪軸
15 レール用車輪支持部
15a レール用車輪支持枠
15a1 長尺板
15a2 短尺板
15b レール用車輪支持固定板
15b1 回動軸
15b2 回動板側高所ピン孔
15b3 回動板側低所ピン孔
15c レール用車輪支持回動板
15c1 固定板側ピン孔
15c2 回動板以外当接部
15d 回動軸
16 固定ピン
17 傾斜状態スタンド
17a スタンド棒
17a1 高さ調整穴
17b スタンド棒支持部
17b1 スタンド棒支持部本体
17b2 プランジャスイッチ
17b21 プランジャピン
17c スタンド棒上部保管部(スタンド棒不使用時保管部)
17d スタンド棒下部保管部(スタンド棒不使用時保管部)
2a,2b ガスボンベ
R レール