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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049510
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
A63F7/02 352
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159290
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 浩之
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA28
2C088DA23
(57)【要約】
【課題】獲得価値が少量しかない場合に好適に対応し得るようにする。
【解決手段】遊技装置の表示手段は、保有玉が所定基準値に達していないが残存する状態で、対応する遊技機で遊技が行われないまま所定期間経過した場合に、その保有玉を示す待機画面52から当該保有玉を示さない待機画面51(第2画面)に切替え表示するため、保有玉が少量しかない場合に次の遊技者が残存する保有玉を気にして遊技を控える虞を軽減でき、好適に対応し得る。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技機各々と1対1で対応して設けられる遊技装置を備えた遊技場用システムにおいて、
遊技者が遊技により獲得した遊技価値であって、遊技機側で管理される遊技機獲得価値、及び前記遊技装置側で管理される装置獲得価値を合わせた獲得価値を特定する獲得価値特定手段と、
前記遊技装置各々に設けられ、前記獲得価値特定手段により特定された獲得価値を示す第1画面を表示可能な表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記獲得価値が所定基準値に達していないが残存する状態で、対応する遊技機で遊技が行われないまま所定期間経過した場合に、その獲得価値を示す前記第1画面から当該獲得価値を示さない非獲得価値画面、或いは当該獲得価値のうち前記遊技機獲得価値、及び前記装置獲得価値の何れかを示す価値要素画面である第2画面に切替え表示する遊技場用システム。
【請求項2】
前記第2画面は、前記非獲得価値画面であり、
前記非獲得価値画面は、前記獲得価値が残存しなくなり、次の遊技に向けて待機するために表示される待機画面である請求項1に記載の遊技場用システム。
【請求項3】
遊技者が所有する貨幣価値を示す残高を特定する残高特定手段と、
前記残高特定手段により特定された残高が残存する状態で、対応する遊技機で遊技が行われないまま所定期間経過した場合に、従業員を呼び出すための呼出処理を実行する呼出手段と、を備える請求項1又は2に記載の遊技場用システム。
【請求項4】
前記遊技装置各々に設けられ、遊技価値と貨幣価値とのうち少なくとも一方である有価価値を特定可能な記録媒体、或いは貨幣価値を受付けることで有価価値を特定可能な受付手段と、
前記表示手段において前記第2画面を表示している状態で、前記受付手段にて受付けられた前記記録媒体或いは前記貨幣価値から当該有価価値が特定された場合に、当該受付前から残存する有価価値を対象としたクリア処理を実行するクリア手段と、を備える請求項1から3の何れか一項に記載の遊技場用システム。
【請求項5】
前記クリア処理は、前記第2画面が表示されること、及び前記受付手段にて有価価値が特定されること以外に、前記受付前から残存する有価価値が所定の有価価値基準値に達していないことをクリア条件として実行され、
前記表示手段は、前記クリア条件のうちの少なくとも一部が成立した場合に前記クリア処理に関する案内表示を行う請求項4に記載の遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では遊技者が入替り遊技するため、先の遊技者が遊技を終了したにも関わらず少量の有価価値を残したまま立ち去るケースもあり、有価価値が残っていることで次の遊技者が遊技を躊躇することも多い。
このようなケースを想定して例えば特許文献1では、所謂残高や持玉が基準値に達していない場合に例えば従業員を呼び出して、従業員に残高や持玉をクリアさせるような強制精算処理を行うことが提案されている。
【0003】
一方で、遊技場では以下のようなことが暗黙の了解として以下のような傾向が見受けられる。即ち、例えばスロットマシンであれば1ゲームに最大3枚のメダルを使用して遊技が行われるが、その3枚に満たないメダルしかない場合に、遊技機によっては3枚掛け専用仕様もあるため、そのメダルをクレジットに残したまま立ち去ったり、例えばパチンコ遊技機であれば上皿に少量の玉が残っていることに気づかずに立ち去ったりすることもある。その場合にクレジットや上皿に残った玉やメダルといった獲得価値を所謂貸出装置のような遊技装置では特定できないことから、その遊技装置の表示により遊技価値がないことを見て、次の遊技者が遊技を行うといった傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-52907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に示されるような所謂封入式の遊技機の場合、当該遊技機から遊技装置へ獲得価値を特定可能な情報を通信していることから遊技装置にて少量の獲得価値があることが表示可能となるので、その表示を確認して遊技者が遊技を躊躇する虞がある。
この場合、例えば上記の如く従業員を呼び出して処分させると、残高についてはそれで問題ないが、残存する獲得価値が暗黙の了解の範疇のものでしかないときには、従業員を呼び出すことにより従業員の負担が増加することが懸念され、そのような獲得価値を時間経過によりクリアするにしても、先の遊技者が偶々上記の状態で休憩していた場合にトラブルになる虞がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、獲得価値が少量しかない場合に好適に対応し得る遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、複数の遊技機各々と1対1で対応して設けられる遊技装置を備えた遊技場用システムにおいて、
遊技者が遊技により獲得した遊技価値であって、遊技機側で管理される遊技機獲得価値(例えば遊技玉)、及び前記遊技装置側で管理される装置獲得価値(例えば持玉)を合わせた獲得価値(例えば保有玉)を特定する獲得価値特定手段(例えば制御部40)と、前記遊技装置各々に設けられ、前記獲得価値特定手段により特定された獲得価値を示す第1画面(例えば待機画面52や一般カード画面53)を表示可能な表示手段(例えば液晶表示部36とその表示制御を行う制御部40)と、を備え、前記表示手段は、前記獲得価値が所定基準値に達していないが残存する状態で、対応する遊技機で遊技が行われないまま所定期間経過した場合に、その獲得価値を示す前記第1画面から当該獲得価値を示さない非獲得価値画面(例えば待機画面51)、或いは当該獲得価値のうち前記遊技機獲得価値及び前記装置獲得価値の何れかを示す価値要素画面(例えば持玉画面55や遊技玉画面)である第2画面に切替え表示する。
【0008】
請求項1の発明によれば、残存する獲得価値を示す第1画面を表示し、当該獲得価値が所定基準値に達していない状態で遊技されないまま所定期間経過した場合に、その残存する獲得価値を示さない非獲得価値画面或いは当該獲得価値のうち遊技機獲得価値と装置獲得価値との何れかを示す価値要素画面である第2画面に切替え表示するため、獲得価値が少量しかない場合に好適に対応し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態における遊技場用システムの構成を示す概略図
図2】遊技機及び遊技装置の正面図
図3】遊技装置を中心に示す電気的ブロック図
図4】モード別スペック値を例示する図
図5】遊技装置において表示される第1画面及び第2画面を含む画面の説明図
図6】クリア処理の案内表示を例示する図
図7】クリア処理と切替え表示における処理の流れを示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、それら遊技機1各々と1対1で対応して、遊技装置2及び情報表示装置3が付設されている。
遊技機1、遊技装置2及び情報表示装置3は、2台ずつ中継装置4に接続され、中継装置4は、LAN5を介して管理装置6と接続されている。管理装置6は、遊技機1における遊技状況を示す遊技情報を受信することにより、遊技機1毎に遊技情報を管理する。この場合、遊技機1における遊技情報は、当該遊技機1側から遊技装置2、中継装置4を順次経由して管理装置6にて受信される。一方、管理装置6において設定される、後述する遊技装置2の各種設定情報は、当該管理装置6側から中継装置4を経由して遊技装置6にて受信される。
【0011】
遊技場には、景品交換端末(以下、POS)7や、図示しない精算機も設置されており、LAN5を介して管理装置6と接続されている。
POS7は、遊技装置2で発行された会員カード10aや一般カード10bといったICカード10(図3参照)により特定される持玉や貯玉等の遊技価値に基づいて景品交換処理を実行する。POS7は、景品交換処理する場合、遊技者が獲得した持玉や持メダルをICカード10から読取ったり、景品交換を希望する会員を特定することで当該会員としての遊技者が遊技場へ預入れた貯蓄価値(貯玉、貯メダル)を管理装置6からオンラインで取得することで景品交換可能な遊技価値を特定したりする。
【0012】
図示は省略するが、前記精算機は、ICカード10がカード挿入口に挿入されると、挿入されたICカード10を受付け当該ICカード10に記録されている入金残高(貨幣価値、以下「残高」と略す)をカードリーダ(図示せず)により読取り、その読取った入金残高に対応する紙幣や硬貨を返却口から返却する。また、精算機には、紙幣が投入される紙幣投入口が設けられており、ICカード10に記録されている入金残高に投入金額を加算可能となっている。
【0013】
ICカード10としての、会員カード10aと一般カード10bは、何れも図示しないICチップが内蔵され、遊技価値と貨幣価値とのうち少なくとも一方である有価価値を特定可能な記録媒体である。このうち、一般カード10bは、不特定多数の一般遊技者に対して発行される一般記録媒体であり、予め会員登録を行った会員に対して発行される会員カード10aと区別する。以下では説明の便宜上、「カード10b」というとき一般カード10bを指すものとする(ICカード10について一般カード10bを中心に説明する)。
【0014】
図1に示す管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード14、モニタ15、図示しないプリンタ等が接続されている。
図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。管理装置6は、遊技場内に設置された遊技機1、遊技装置2、POS7、精算機等の稼動状況を管理する。
【0015】
続いて、遊技機1及び遊技装置2について説明する。
本実施形態の遊技機1は、所謂封入式のパチンコ機を例とする。遊技機1は、遊技者が所有する残金や、持玉、貯玉を換算した遊技玉を記憶・管理している管理遊技機であり、その記憶している遊技玉が残っていることを条件として内部のパチンコ玉を発射装置に供給して盤面に発射し、入賞して遊技者が遊技玉を獲得すると、遊技玉を払出すことなくデータ上の獲得玉として加算するといったように、その増減につき主となって管理する。
遊技機1各々において、遊技者が遊技により獲得した遊技価値であって、遊技機1側で主として管理される遊技価値である遊技玉を遊技機獲得価値とも称し、遊技装置2側で主として管理される遊技価値である持玉を装置獲得価値とも称する。また本実施形態では、それら遊技機獲得価値及び装置獲得価値を合わせた(遊技玉と持玉とを合計した)保有玉を獲得価値とも称する。
【0016】
図2に示すように、遊技機1は、パチンコ玉が発射される盤面1a、発射装置を構成する操作ハンドル16、残高を遊技玉に換算するための貸出釦17、会員カード10aや一般カード10bを発行するための返却釦18、残高を表示する残高表示部19、遊技玉を持玉に換算するための計数釦20、遊技玉数を表示する遊技玉表示部21を有する。盤面1aには、普図表示部22、普図保留表示部23、特図表示部24、普図入賞口25、一般入賞口26,27、第1保留数表示部28、第2保留数表示部29、第1始動口30、第2始動口31、大入賞口32を有する。また、計数釦20及び遊技玉表示部21の下方に、装飾用パネル33を有する。
【0017】
遊技機1は以下のように動作する。
(1)第1始動口30は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口31は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。各始動口30,31への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果を特図表示部24にて行う図柄変動(単位遊技)にて報知し、その変動結果に応じて大当りとなる。
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。なお、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0018】
(3)遊技機設定値(モード)が6段階で設けられている。このモードにより、図4のモード別スペック値に例示する通り、大当り抽選の当選確率(大当り確率)を通常遊技状態(通常状態、通常)と確変状態(確変状態、確変)とを対象として調整可能となっている。大当りがその後に確変となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率(例えば66%で全モード共通)も定められている。また、通常状態と確変の大当り確率は、高設定ほど高い確率に設定されているが、当該大当り確率をモードにより不変とする一方、確変率を調整可能とするように、通常状態と確変の大当り確率や確変率、後述するラウンド振分率等の少なくとも1つがモードにより調整可能であればよい。
【0019】
(4)大当りが発生すると対応するラウンド(R)分だけ大入賞口32を開放する。1Rの上限入賞数は10個、上限開放期間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放期間の何れか満たされた場合に1Rを終了する。対応するラウンドも大当り抽選と同様に抽選され、その振分率は、第1始動口30に入賞した場合は、2Rが10%、8Rが50%、15Rが40%であるが、第2始動口31に入賞した場合は、8Rが10%、15Rが90%であり、入賞に応じた図柄変動の保留消化優先順位は第1始動口30よりも第2始動口31の方が高く設定される。
【0020】
(5)確変中は大当り確率が向上すると共に、第2始動口31の入賞率が高くなる時短状態(時短)になる。また、確変大当りでない大当り(通常大当り)が発生した場合は大当り後に確変でない時短(単独時短)となり、所定の時短回数(例えば100回)分の図柄変動を行うか大当りが発生するまで時短を継続し、大当りが発生せずに時短回数分の図柄変動を行うと通常状態に戻る。
【0021】
(6)第2始動口31は普図入賞口25への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に通常の状態よりも入賞率の高い開放状態となる。この場合、普図1回の変動期間は通常状態では30秒であり、時短状態では3秒である。又、開放期間は通常状態では0.3秒であり、時短では5秒である。即ち、時短では通常状態と比較して普図変動期間が短くなる一方、開放期間が長くなることで開放状態になり易くなり、第2始動口31の入賞率が高くなる。
【0022】
(7)大入賞口32や第2始動口31が盤面1aの右側にあることから時短中や大当り中には盤面1aの右側を狙って打つ所謂右打ちが行われる。以上は機種Aを例にして説明したが、例示した値は例えば機種Bであればラウンドの振分が異なる等、機種に応じて様々な値となり、遊技性も異なる。また、遊技機1の構成については、カード10の発行時に操作される返却釦18を遊技装置2側に設ける等、適宜変更しうるものである。
【0023】
遊技機1は、遊技者による玉の打ち込みや各始動口30,31への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示すデータ項目を出力する。
・アウト=前回データ送信時からの消費(使用、打込)価値(アウト)を1玉単位で示す信号。
・セーフ=前回データ送信時からの入賞に応じて付与された入賞付与価値(セーフ)を1玉単位で示す信号。
【0024】
・S入賞(回数)=前回データ送信時からの始動入賞(S入賞)を1回単位で示す信号。
・スタート(回数)=前回データ送信時からのS入賞により作動(変動)する役物(特図表示部24)のスタート(図柄変動数、役物作動数、単位遊技数)を示す信号。確定した時点で計数されるが、開始した時点で計数してもよい。
・作動中(状態)=データ送信時に図柄変動中等の役物が作動中であればON、非作動中ならOFFを示す信号であり、ONとなってからOFFとなるまでの期間が役物作動中として特定される。
【0025】
・大当り(回数)=前回データ送信時から発生した大当り数を1回単位で示す信号。発生した時点で計数されるが、終了した時点で計数してもよい。
・大当り(状態)=データ送信時に大当り状態の発生中であればON、大当り状態の発生中でなければOFFを示す信号であり、ONとなってからOFFとなるまでの期間が大当り中として特定される。
【0026】
・甘中(状態)=データ送信時に、特別状態中(甘中)或いは大当り状態の発生中であればON、それ以外であればOFFを示す信号であり、ONとなってからOFFとなるまでの期間が甘中或いは大当り中として特定される。例えば甘中(状態)がONの場合、大当り(状態)がONであれば大当り中、OFFなら甘中と特定される。また、大当り(状態)と甘中(状態)のいずれもOFFであれば通常状態と特定される。なお、大当り中では、甘中が必ずしもONにならなくてもよい。甘中は、上記した時短や確変といった特別状態に対応しており、甘中或いは大当り中は、特賞中に相当する。
【0027】
・遊技玉数=遊技機1にて記憶している遊技玉数であって、当該遊技機1での遊技に使用可能な遊技玉の数を1玉単位で示す信号。
上記のデータ項目たる遊技信号は、これを特定可能な電文のようなデータ信号として、前回送信時からの累計データ(更新データ)が遊技機1から遊技装置2に対し一定間隔(例えば200ミリ秒毎)で送信され、上記のデータ項目以外の不正情報等も出力対象となる。
【0028】
図2に示すように、遊技装置2は、遊技機1の遊技状態や遊技装置2の状態を示す状態表示灯34、貨幣(貨幣価値)が投入される貨幣投入口35、遊技者からの操作入力を受付けると共に後述する各種の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部36、持玉(会員であれば貯玉も含む)を払出すための遊技釦37、会員カード10a或いは一般カード10bが挿入されるカード挿入口38、遊技者の顔を含む上半身を撮影するカメラ39(図2では保護カバーのみ図示)、従業員が携帯して操作する従業員リモコン42(図1参照)からの信号を受信するリモコン受光部41等を有する。
【0029】
図3の機能ブロック図は、遊技装置2の構成を中心に示している。遊技装置2の制御部40は、CPU40a、ROM40b、RAM40c、I/O40d等を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。
制御部40に接続された周辺部としては、上記した状態表示灯34を構成するLED、液晶表示部36及び当該表示部36上に設けられたタッチパネル36a、遊技釦37、リモコン受光部41を含むとともに、管理装置6や遊技機1との間で各種信号や各種データを送受信するI/F部40e、貨幣投入口35に投入された紙幣の真贋を判定する紙幣処理部35a、カード挿入口38に挿入されたカード10a,10bに記録されている各種情報を読取ったり、書込んだりするカードRW(リーダライタ)38a、最大10枚の一般カード10bをストック可能なカードストック部38b等を含む。
【0030】
遊技装置2は以下のように動作する。
(1)貨幣を受付けると(貨幣受付処理)、遊技機1と遊技装置2との双方に入金額を残高に加算して表示し、残高がある状態で遊技機1の貸出釦17の押下(貸出操作)が行われると、貸出1単位(例えば125玉)分を貸出玉として遊技機1から払出し(貸出処理、対価付与処理)、遊技レートに応じた対価分を残高から引落とす。なお、貨幣は複数回の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0031】
(2)遊技機1では遊技玉を管理しており、盤面1aへの玉の打出し(使用)に応じて遊技玉を減算し、入賞に応じて遊技玉を加算する。遊技装置2は持玉を管理し、持玉は直接的には遊技に使用できないが、遊技釦37の押下(再プレイ操作、付与操作)に応じて払出1単位分の持玉を遊技玉に変換する付与処理(再プレイ処理)を行う。この場合、換算率を別途設けている(以下の計数処理についても同様)。
【0032】
(3)遊技に応じて遊技機1の遊技玉が増加した場合、遊技機1の計数釦20の押下(計数操作)に応じて遊技玉を持玉へ変換する計数処理を行う。この場合、1回の押下に応じて1玉を換算対象とするが、押下した状態を継続させると連続的、且つ加速的に換算可能となる。このようにして遊技玉と持玉とを更新し、遊技装置2では残高や持玉が残存する状態で遊技機1の返却釦18を押下する等の発行操作を行うと、その残高や持玉を特定可能な一般カード10bを発行する(発行処理)。
【0033】
(4)一般カード10bが挿入口38に挿入されている状態で返却釦18が押下されたときには、その挿入口38に挿入されている一般カード10bに残高及び持玉の情報を記録して発行し、一般カード10bが挿入口38に挿入されていない状態で返却釦18が押下されたときには、カードストック部38bにストックしているカード10bをカードRW38a側に繰出して残高及び持玉を記録する(対応付ける)ことで、一般カード10bとして挿入口38外側へ繰り出して発行する(発行処理)。一般カード10bを発行すると、自装置2を特定可能な情報(遊技装置ID)、発行した一般カード10bを特定可能な情報(カードID)、一般カード10bに記録した残高や持玉の情報等を含む発行情報を管理装置6に送信する。なお、残高や持玉の一部を発行対象とする分割発行も可能とする。
【0034】
(5)発行処理には遊技機1における遊技玉に応じた発行条件が設けられている。例えば、一般カード10bの発行条件は、残高があり又は持玉が発行基準値(例えば25玉)に達している場合であって、遊技玉が残存基準値(例えば1玉)に達して(残存して)いない場合に成立する。
なお、係る発行条件の例外として、分割発行のときには遊技玉が残存していても一般カード10bの発行を許容するように設定されている。また、発行された一般カード10bは遊技装置2にて受付可能であるが、対応する遊技機1の遊技玉が所定数(例えば50玉)に達していないことを条件としている。
【0035】
(6)遊技機1から送信される遊技情報には、遊技への使用や計数処理等により遊技玉が「0」になった旨の情報(遊技玉数に係る情報)も含むことから、遊技装置2における、発行条件の成否の判定や、遊技玉並びにこれと持玉を合算した保有玉の特定(管理)をも可能としている。なお、持玉が主に遊技装置2にて管理されている点に関して、遊技装置2では管理装置6や従業員リモコン42からの指令操作や自装置2自体への操作入力等により持玉をクリアすることや発行処理の対象とすることは可能だが、遊技玉をクリアすることや発行処理の対象とすることは不能としていること等を例示できる。
【0036】
(7)中継装置4とのシリアル通信により管理装置6にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持玉、貸出玉数、換算(変換)玉数、入金額、計数玉数や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、及び持玉券(カード10b)の受付や発行処理等の各種情報を特定可能とするが、これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としてもよい。
【0037】
(8)従業員リモコン42からの指令をリモコン受光部41で受信(受光)し、指令内容に応じた各種処理(エラー解除等)を実行する。
上記したように、遊技装置2の制御部40は、対応する遊技機1側で管理される遊技玉(遊技機獲得価値)と、持玉(装置獲得価値)とを合わせた保有玉を特定する獲得価値特定手段として機能する。また、制御部40、カードRW38a、カード挿入口38及び貨幣投入口35は、遊技装置2各々に設けられ、カード10b或いは貨幣価値を受付けることで有価価値を特定可能な受付手段、遊技者が所有する貨幣価値を示す残高を特定する残高特定手段として機能する。
【0038】
さて、上記した封入式の遊技機1にあっては、遊技装置2へ保有玉を特定可能な情報を通信していることから遊技装置2にて少量の保有玉があることを液晶表示部36に表示可能となるので、その表示を確認して遊技者が遊技を躊躇する虞がある。この場合の対応について、「背景技術」で述べたように、残存する保有玉が暗黙の了解の範疇のものでしかないときに従業員を呼び出すものとすれば、従業員の負担増加が懸念される。
【0039】
そこで、本実施形態における遊技装置2の液晶表示部36では、保有玉が所定基準値に達していないが残存する状態で、対応する遊技機1で遊技が行われないまま所定期間経過した場合に、その保有玉を示す第1画面(例えば図5の画面52,53参照)から当該保有玉を示さない非獲得価値画面等(例えば同図の画面51等)に切替え表示するようになっている。この場合、遊技装置2の制御部40及び液晶表示部36は、獲得価値特定手段により特定された獲得価値を示す第1画面等を表示可能な表示手段として機能する。なお、残存するとの判定は保有玉や残高等とその残存基準値(残存しないと見做せれば必ずしも1でなくともよい)とを比較することで判定すればよいが、単純に有無により判定してもよい。
以下では、「1.表示部における表示画面と切替え表示」について、表示手段としての液晶表示部36を「表示部36」、その制御主体としての制御部40を単に「遊技装置2」と称し、図5も参照しながら詳述する。
【0040】
<1.表示部における表示画面と切替え表示>
図5は、遊技装置2の表示部36に表示される各種の画面51~55を例示している。
同図中、左端に示す画面51は、例えば開店時のように遊技装置2において残高がなく且つ保有玉もなく、新たな遊技者による遊技を待つ遊技開始前の待機画面51を示している。待機画面51には、当該遊技装置2における種別「4円貸」・単位付与数「125玉」を表す欄51aと、「紙幣を投入できます」として貨幣を投入口35へ投入するイメージ画像を表す欄51Tが設けられている。
このように、待機画面51は、保有玉が残存しなくなり、獲得価値を示さない非獲得価値画面を例示するものであって、次の遊技に向けて待機するために表示される。遊技装置2は、待機画面51の表示中に貨幣が投入口35から投入されて、これを残高として特定した場合に、待機画面51から一般カード画面53に遷移する(矢印α参照)。
【0041】
これに対し、待機画面51の右隣りに示す待機画面52は、遊技装置2において残高がなく且つ保有玉が少量しかない場合に表示される第1画面52である。即ち、持玉と遊技玉とを足しても所定基準値に達していないが、その保有玉が少しでも残存している状態であれば遊技が終了したとまでは言えないことから、このような場合には、遊技をしていた遊技者の遊技を待つ待機画面52が表示される。待機画面52は、従来からの暗黙の了解により次の遊技者が遊技するために処分されたとして遊技者からクレームになり難い程度の有価価値しかない状態に対応するものといえる。
【0042】
従って、遊技装置2では、保有玉が予め設定された所定基準値(例えば15玉(後述のメダルレス遊技機では3枚))に達しておらず、少量しかないと判定した場合に、待機画面52を表示させる。この待機画面52には、種別・単位付与数を表す欄51aの他、保有玉(同図では1玉)を表す欄52Hが設けられるとともに、「遊技台の計数ボタンで玉を計数」する旨を説明する欄52bと、その「持玉払出」が可能であることを表す欄52dが設けられている。
【0043】
前記一般カード画面53は、残高がある場合または保有玉が少量とは言えない場合のうちの少なくとも一方の場合、即ち、遊技中である旨を保有玉とともに示す画面である。遊技装置2は、この画面53を表示している場合、残高や持玉のような有価価値と一般カード10bを対応付けており、例えば上記した待機画面51,52から当該一般カード画面53に遷移したときには(矢印α、β参照)、カードストック部38bにストックしているカード10bをカードRW38a側に繰り出して有価価値と対応付ける。他方、一般カード画面53から待機画面51,52に遷移したときには、一般カード10bがカードRW38a側にない状態(発行処理を行ったか、遊技に応じて有価価値が基準値に達しなくなってカードストック部38bにカード10bを退避させた状態)となる。
【0044】
それ故、一般カード画面53は、同図5に示す種別・単位付与数等を表す欄51a,52b,52dの他、「一般カード」を表す欄53cにおいて「入金残高」たる残高と「保有玉(同図では1000玉)」とを表す欄53Hが設けられた第1画面として表示される。
遊技装置2は、一般カード画面53の表示中に従業員を呼出す呼出処理を行った場合、当該画面53から次の呼出画面54に遷移させる(矢印γ参照)。
【0045】
呼出画面54には、一般カード画面53と同じ表示欄51a,52b,52d,53c,53Hに加えて、その画面下方に「係員呼出中」とポップアップ表示する欄54Yが設けられている。
「係員呼出中」の表示欄54Yは、待機画面51,52のような他の画面を表示している状態で、呼出処理が行われた場合にも、その対応する画面51,52の下方に表示させることができる。
【0046】
ここで、本実施形態の呼出処理は、情報表示装置3における周知の呼出釦(図示略)が押下された場合の他、遊技装置2において残高が残存する状態で、対応する遊技機1で遊技が行われないまま所定期間経過した場合にも実行される。
具体的には例えば、遊技装置2(呼出手段)では予め残高基準値(100円)と保有玉基準値(100玉)が設定されており、一般カード画面53に表示される残高と保有玉と(何れも有価価値)が何れも夫々の基準値に達していないものの残高が残存する状態で、所定期間(例えば3分)経過した場合に、従業員を呼び出すべく呼出処理を実行する。
【0047】
この場合、詳しくは図7のフローチャートでも説明するように、呼出処理は、遊技装置2の内部タイマ(制御部40の呼出タイマ)が作動してから前記所定期間の経過によりタイムアップした時点で、一般カード画面53から呼出画面54に遷移する表示処理と、これを従業員に対して報知する報知処理とを含む。報知処理は、図示しない周知の場内放送装置により或いは従業員が装着するインカム装置により該当する遊技機1の台番号を通知することにより行われる。
【0048】
こうして、従業員のリモコン42操作により、遊技装置2のリモコン受光部41を介して台整理の指示が行われると、当該遊技装置2は、カード10bに対応付けられていた100玉に達していない保有玉をゼロクリアする保有玉クリア処理と、100円に達していない残高をゼロクリアする残高クリア処理を行い、そのカード10bをカードストック部38bに収納して、待機画面51を表示させる。或いは、呼出画面54が表示されている状態で、従業員のリモコン42操作により元の一般カード画面53に戻す解除指示を行い、この解除指示後、カード10bの発行処理を実行してもよく、この場合も、呼出画面54から(一般カード画面53を介して)、待機画面51へ遷移する。
こうして例えば、図5の一般カード画面53において、残高が残存する状態で遊技が行われないまま所定期間経過した場合、呼出画面54への遷移を含む呼出処理により、従業員のリモコン42を用いた迅速な対応が可能となる。なお、呼出処理は残高が残存する状態で遊技が行われないまま所定期間経過した場合に行われれば、必ずしも残高や保有玉が夫々の基準値に達していないことを条件とすることなく行ってもよい。
【0049】
図5中、右端の画面55は、待機画面52を表示している状態で当該画面52上の「持玉」のタグ釦Mbをタッチ操作した場合に遷移する持玉画面55を示している。持玉画面55には、待機画面52と同じ種別・単位付与数等を表す欄51a,52b,52dが設けられるとともに、保有玉を表す欄52Hに代えて、持玉(同図では0玉)を表す欄55Mが設けられている。
即ち、遊技装置2は、従来同様に自装置2にて管理する持玉を表示対象とするだけでなく、タグ釦Mb,Hbのタッチ操作に応じて持玉と保有玉の選択的な表示を可能としており(矢印δ参照)、持玉画面55上の「保有玉」のタグ釦Hbのタッチ操作により、保有玉を表す待機画面52に遷移させることができる。
【0050】
こうして、遊技者は、持玉と保有玉の双方を把握することができ、例えば持玉があっても遊技玉がなければ(遊技できないため)、遊技釦37の押下により持玉を遊技玉に変換する再プレイ処理を行う。勿論、残高があれば貸出釦17の押下により残高を遊技玉に変換する貸出処理を行えばよい。一方、遊技玉があっても持玉がなければ発行処理を行えないが、計数釦20の押下により遊技玉を持玉に変換する計数処理を行えばよいし、分割発行が行われたときには遊技玉が残存していても一般カード10bの発行が許容される。
【0051】
このため、遊技装置2では、こうした再プレイ処理、貸出処理、計数処理、分割発行処理といった有価価値が増減する処理に伴い、当該処理後に残った有価価値に応じて図5の何れかの画面51~53,55が表示される。
なお、貸出操作時の釦17と再プレイ操作時の釦37とを別個の釦として異ならせたが、例えば、それら釦17,37を一個の共通釦として遊技装置2に設けるように構成してもよい。この構成においては、共通釦を操作することで条件(例えば、持玉→残高→再プレイといった優先順位で、その優先順位の高い有価価値から処理対象とする)に応じた処理を行うようにしてもよい。
【0052】
そして、遊技装置2は、上記した第1画面としての待機画面52や一般カード画面53を表示しており、残存する保有玉が所定基準値に達していないが残存する状態で、対応する遊技機1で遊技が行われないまま所定期間経過したと判定した場合、例えば保有玉が所定基準値である15玉に達していないが残存する(例えば5玉)状態になると、遊技情報が更新されることで再作動する前記内部タイマとしての待機タイマを作動させ、待機タイマが所定期間(例えば1分)の経過によりタイムアップした場合に、その保有玉を示す待機画面52や一般カード画面53から当該保有玉を示さない非獲得価値画面としての待機画面51に遷移する(矢印ε,α参照)。
換言すれば、遊技装置2において、待機画面52や一般カード画面53で表示される保有玉が少量で、且つ所定期間遊技が行われていない場合には、その第1画面52,53から待機画面51に切替え表示することで、保有玉の欄52H,53Hを表示しないようになっている。なお、所定基準値は、前述した保有玉クリア処理のような従業員によるリモコン42の操作によりクリアされる際に参照される基準値(例えば保有玉基準値100玉)よりも小さな値(例えば15玉)にすることが望ましい。
【0053】
或いは、遊技装置2において待機タイマがタイムアップした場合に、保有玉を示す待機画面52や一般カード画面53から、当該保有玉のうち持玉を示す持玉画面55(価値要素画面)に切替え表示してもよいし、当該保有玉のうち遊技玉を示す遊技玉画面(図示しない価値要素画面)に切替え表示してもよい。このような持玉画面55や遊技玉画面に切替える場合、遊技装置2において、その持玉や遊技玉が残存しないこと(同画面55の「持玉0玉」参照)を切替え表示の条件に含み、残存しない方の価値要素画面に切り替えるものとする。
【0054】
上記した待機画面52や一般カード画面53は第1画面に相当し、非獲得価値画面としての待機画面51並びに価値要素画面としての持玉画面55及び遊技玉画面は、何れも第2画面に相当する。従って、上記した切替え表示については、第1画面52,53から第2画面51,55等への画面遷移によるものとすることができるが、以下では第1画面52から第2画面51への画面遷移が行われるものとして、つまりは待機画面52から待機画面51への画面遷移を中心に説明する。
【0055】
また、遊技装置2において、係る待機画面51を表示している状態で、カード挿入口38に挿入されたカード10b或いは貨幣投入口35に投入された貨幣から当該有価価値が特定された場合に、待機画面51から一般カード画面53に切替えるとともに、当該カード10b或いは貨幣の受付前から残存する有価価値を対象としたクリア処理を実行するようになっている(図7のS1~S3参照)。以下の「2.クリア処理と案内表示」では、係るクリア処理と併せて、クリア処理に関する案内表示についても説明する。
【0056】
<2.クリア処理と案内表示>
保有玉のうちクリア処理の対象となるのは、遊技装置2で管理されるクリア可能な持玉であり、遊技機1にて管理される遊技玉は、遊技装置2ではクリア不能である。従って、カード10b等の受付前から残存する保有玉のクリア処理、或いは従業員のリモコン42操作を介した保有玉のクリア処理を行う場合には、遊技玉をクリア対象に含むことから、これを一旦持玉に変換する計数処理(別途操作不要)と、その変換された持玉をクリアするクリア処理とを順次実行する手順となる。
【0057】
また、クリア処理は、保有玉のクリア処理の他、従業員のリモコン42操作を介した残高のクリア処理を含み、管理装置6は、係る処理によりクリアされた持玉や残高を閉店処理後に雑収入として計上する。即ち、係る有価価値は、特別救済期限切れによる将来的な雑収入に含まれるべきものであるが、クリア処理によってクリアされた有価価値は、閉店後の閉め処理後に当日雑収入として集計し、確定させる。当日雑収入として閉め処理後に確定させるのは、後日遊技者から「実はカード忘れ」との申告があっても受付けない運用とする一方、クリア処理後、当日中に遊技者から申告があった際に、そのクリア処理の対象となった保有玉や残高を実精算する対応が必要となる場合に、返却可能とするためである。
【0058】
例えば、遊技者から申告された残高を返却する場合、従業員が前記精算機における液晶表示部(図示略)を操作して実精算を行うものとし、持玉を返却する場合、POS7にて景品交換したり、新たな入金後の貸出分の遊技玉に加算するといった処理により返却すればよい。なお、こうした残高の実精算や持玉の返却の対応にあたって、申告した遊技者が本人かどうかは、管理装置6で管理される遊技者の顔画像(対応する遊技装置2のカメラ39で撮像された顔画像)と照合することで、確認可能である。
【0059】
そして、遊技装置2は、クリア処理を実行する前提として、第2画面としての待機画面51が表示されること(クリア条件1)、及びカード10bが挿入口38に挿入され或いは貨幣が投入口35に投入されることにより前記受付手段にて当該有価価値が特定されること(クリア条件2)が必要条件として設定されている。これ以外にも、そのカード10b或いは貨幣の受付前から残存する有価価値が所定の有価価値基準値に達していないことをクリア条件3として含む。この有価価値基準値は、例えば残高がなく且つ残存する保有玉が前記所定基準値(15玉、3枚。以下、端玉と称する場合もある)に達していないとする、待機画面52の表示条件に対応して設定されている。
【0060】
このように、本実施形態では、待機画面51の表示中に貨幣等が受付けられる等してクリア条件1~3を満たした場合にクリア処理することを例とするが、例えば持玉画面55を表示している状態では、貨幣等が受付けられても保有玉のクリア処理を実行しないようにすれば、遊技者が遊技を中断する場合に持玉画面55を表示させることで保有玉のクリアを回避する運用も可能となる。勿論、遊技場のニーズにより設定に応じて持玉画面55を表示している状態で貨幣等が受付けられた場合に保有玉をクリアするかを切替える構成としてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、クリア処理に起因する遊技者とのトラブルを避けるために、クリア条件1~3のうちの少なくとも一部が成立した場合には、クリア処理に関する図6の画面61で案内表示を行うように構成されている。
即ち、遊技者が立ち去った後に保有玉をクリアすることには暗黙の了解があるが、遊技者が遊技を継続する意思があり、遊技者自身が貨幣を投入したにも関わらず保有玉をクリアすればトラブルとなる虞があることから、遊技装置2において図6の案内画面61を表示部36に表示させるものとする。
【0062】
図6の案内画面61には、図5の画面52と同じ種別・単位付与数や保有玉等を表す欄51a,52H,52dが設けられる一方、「計数ボタン」の説明欄52bに代わる「※注意」書きとして、「保有玉が少量ある状態で放置すると待機画面(51)に戻りますが、待機画面(51)にタッチすれば保有玉表示に戻ります」とのメッセージ欄61Aが設けられている。よって、遊技装置2では、一旦待機画面51を表示しても、その画面51をタッチする切替操作を行えば(図7のS23参照)、待機画面52を表示することで、貨幣を投入しても保有玉はクリアされず、その後の貸出処理により加算される保有玉と合わせて遊技に使用できるようになっている。
【0063】
なお、遊技者とのトラブルを避けるために、案内画面61に代えて、案内画面62を表示してもよい。案内画面62のメッセージ欄62Aには、「保有玉が少量の状態で放置されると次の遊技者のために処分される場合があります」と表示される。これは、少量の保有玉を残して立ち去った場合、次の遊技者が遊技するといった暗黙の了解を明示的に示し、保有玉を精算する旨を示すことで遊技者とのトラブルを軽減することができる。こうした案内画面61,62は、例えばクリア条件3が成立した場合に、つまり待機画面52が表示される状況下で表示することが望ましい。
以下のフローチャートにおける案内画面61の表示は、待機画面52として当該画面52の「計数ボタン」の説明欄52bに代えて「※注意」書きの欄61Aが表示されることにより行われるものとする。
【0064】
<3.クリア処理と切替え表示における処理の流れ>
図7のフローチャートは、遊技装置2により所定周期で繰り返し実行される処理の流れを示しており、同図のS1,S2,…は各ステップを示している。なお、遊技装置2では、クリア条件1~3の全部が成立した場合にクリア処理を実行するように設定されているものとする。
【0065】
遊技装置2は、待機フローとして、貨幣の投入口35への投入よる入金が行われたか(S1:NO)、貸出操作、再プレイ操作または計数操作が行われたか(S7:NO)、遊技情報が更新されたか(S9:NO)、発行操作が行われたか(S10:NO)、待機画面52の表示中か(S16:NO)、一般カード画面53の表示中か(S19:NO)、保有玉有り且つ待機画面51の表示中か(S22:NO)を判定する処理を実行する。
【0066】
ここで、遊技装置2は、貨幣の投入口35への投入より入金が行われたと判定すると(S1:YES)、待機画面51の表示中か否かを判定する(S2)。これにより、遊技装置2は、待機画面51の表示中と判定したとき(S2:YES)、保有玉のクリア処理を実行する。
即ちこの場合、入金によって当該有価価値が特定されるとともに(S1でYES:クリア条件2)、第2画面たる待機画面51が表示されている(S2でYES:クリア条件1)。また、待機画面51は、残高がなく且つ保有玉がないときに表示される(S12:NO、S13:NO、S18)だけでなく、残高がなく且つ保有玉が端玉(有価価値基準値、例えば15玉)に達していないが残存する状態で(S12:NO、S13:YES)所定期間が経過した場合(S17:YES)に待機画面52から遷移する画面でもあり(S18)、当該待機画面52の表示条件は、残高がなく且つ残存する保有玉が端玉以下つまり入金前から残存する有価価値が所定の前記有価価値基準値に達していないとするクリア条件3を含む(S12~S18参照)。
【0067】
それ故、遊技装置2は、S3においてクリア条件1~3の全部が成立している場合に残存する保有玉のクリア処理を実行する。なお、S3を実行する際に保有玉が残存していなければ、クリア処理を実行しなくてもよい。
次いで、遊技装置2は、待機画面51から一般カード画面53に遷移させ(S4)、残高と保有玉とが夫々残高基準値(100円)と保有玉基準値(100玉)とに達しているか否かを判定する(S5)。
【0068】
この場合、遊技装置2は、残高と保有玉とが何れも夫々の基準値に達していないと判定した場合(S5:YES)、呼出タイマの作動を開始させる(S6)。
これにより呼出タイマの作動を開始した場合、または残高と保有玉との何れか一方でも基準値に達していると判定した場合(S5:NO)、若しくは前記S1で入金がないと判定した場合(S1:NO)でも、貸出操作と再プレイ操作と計数操作とのうち、何れかの操作が行われたか否かを判定する(S7)。
【0069】
遊技装置2は、貸出操作、再プレイ操作または計数操作の何れかの操作が行われた場合(S7:YES)、当該操作に応じた対応処理として、貸出処理、再プレイ処理または計数処理を実行する(S8)。
また、遊技装置2は、遊技機1からの信号によりアウトやセーフといった遊技情報が更新された旨を特定した場合(S9:YES)、或いは発行操作が行われて(S10:YES)残高や保有玉が残る場合のある分割発行のような発行処理を実行した場合(S11)、残高があり又は保有玉が端玉を超えるか否かを判定する(S12)。
【0070】
ここで、S12は一般カード画面53の表示条件、S12,S13は待機画面52の表示条件に対応しており、残高があり又は保有玉が端玉に達している場合には(S12:YES)、S4へリターンして一般カード画面52を表示させ、残高がなく且つ残存する保有玉が端玉に達していない(S12:NO、S13:YES)場合には、待機画面52を表示させ(S14)、残高も保有玉もない場合には(S12:NO、S13:NO)、待機画面51を表示させる。
なお、S12の「端玉」の値は、有価価値基準値に対応するものではあるが、少量しかないと判定するための指標となるものであればよく、例えば5玉に設定する等、レート等に応じて適宜変更しうるものである。
【0071】
そして、遊技装置2は、S14で待機画面52を表示させた場合、待機タイマの作動を開始させる(S15)。この場合、遊技情報が更新されず(S9:NO)且つ発行操作も行われていない(S10:NO)状態が継続すると、遊技装置2は、その待機画面52の表示中に(S16:YES)、待機タイマが所定期間(例えば1分)の経過によりタイムアップ(対応する遊技機1で遊技が行われないまま所定期間経過)した場合に(S17:YES)、保有玉を残したまま当該待機画面52を第2画面たる待機画面51に切替え表示して(S18)、前記S1へとリターンする。
なお、待機タイマや呼出タイマは、その作動中に残高のような有価価値或いは遊技情報が変化すると(S9:YES、或いはS10:YES)、その都度当該タイマの計時がリセットされて再作動する(S15)。また、発行操作があった場合に間接的に遊技機1で遊技が行われたとみなすため発行操作が行われた場合にも待機タイマを再作動することを例示したが、待機タイマは遊技情報が更新された際だけ再作動させてもよいし、貸出操作や計数操作等の他に間接的に遊技が行われたことを特定できるような場合に再作動させてもよい。
【0072】
一方、遊技装置2は、一般カード画面53の表示中に(S19:YES)、呼出タイマが所定期間(例えば3分)の経過によりタイムアップした場合(S20:YES)、呼出処理を実行する(S20)。呼出処理としては、一般カード画面53から呼出画面54へ切替える表示処理や、これを従業員に対して報知する報知処理を例示できる。呼出画面54を表示する場合の残高は100円に達しておらず且つ保有玉も100玉に達していないことから(S5,S6参照)、そのような残高や保有玉を従業員のリモコン42操作を介して処理することが可能となる。
【0073】
他方、遊技装置2は、保有玉が有り且つ待機画面51の表示中に(S22:YES)、切替操作(例えば当該画面51のタッチ操作)があったか否かを判定する(S23)。これにより、遊技装置2は、当該画面51の切替操作があったと判定すると(S23:YES)、待機画面52を表示して待機タイマの作動を開始させて(S24,25)、この処理を終了する(S1へリターンする)。
それ故、遊技装置2において、保有玉が残存している状態で待機画面51が表示されていても、遊技者は、当該画面51で切替操作を行い待機画面52を表示させることで、貨幣を投入しても保有玉はクリアされず、その後の貸出処理により加算される保有玉と合わせて遊技に使用できる。
【0074】
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を奏する。
遊技装置2の表示手段は、獲得価値としての保有玉が所定基準値に達していないが残存する状態で、対応する遊技機1で遊技が行われないまま所定期間経過した場合に、その保有玉を示す待機画面52から当該保有玉を示さない非獲得価値画面たる待機画面51、或いは当該保有玉のうち遊技玉(遊技装置獲得価値)及び持玉(装置獲得価値)の何れかを示す価値要素画面たる遊技玉画面や持玉画面55、としての第2画面に切替え表示するため、保有玉が少量しかない場合に次の遊技者が残存する保有玉を気にして遊技を控える虞を軽減でき、好適に対応し得る。
【0075】
前記第2画面は非獲得価値画面であり、非獲得価値画面は、保有玉が残存しなくなり、次の遊技に向けて待機するために表示される待機画面51であることから、保有玉が少量で所定基準値に達していない場合に、その待機画面51が表示されることで、次の遊技者が気兼ねする虞を軽減できる。
【0076】
遊技装置2は、前記残高特定手段により特定された残高が残存してする状態で、対応する遊技機1で遊技が行われないまま所定期間経過した場合に、例えば従業員を呼び出すための報知処理や呼出画面54の表示処理を含む呼出処理を実行する呼出手段として構成されていることから、例えば残高が残存せず保有玉が残存する場合には従業員を介さずに処理し、残高が残存する場合には従業員を介して処理するといった運用が可能となり、そのような遊技場のニーズに対応可能となる。
【0077】
遊技装置2は、表示手段において第2画面(例えば待機画面51)を表示している状態で、受付手段にて受付けられたカード10b或いは貨幣から当該有価価値が特定された場合に、当該受付前から残存する有価価値を対象としたクリア処理を実行するクリア手段として構成されている。これによれば、例えば保有玉が残存した状態で貨幣を受付けた場合に、一般カード画面53で身に覚えのない保有玉が表示されるといった、新たな遊技者が違和感を持つ虞のある事象の発生を抑制することができる。
【0078】
上記のクリア処理に関して、例えば遊技者が遊技を継続する意思があり、遊技者自身が貨幣を投入したにも関わらず保有玉がクリアされるものとすればトラブルとなる虞がある。この点、遊技装置2の表示手段は、例えばクリア条件1~3のうちの少なくとも一部が成立した場合にクリア処理に関する案内表示(例えば案内画面61,62の表示)を行うことから、遊技者は案内表示により、意図しない保有玉のクリアが行われないようにすることができ、トラブルとなる虞を軽減できる。
【0079】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張するようにしてもよい。
本発明について封入式の遊技機1及びその遊技装置2を例に説明したが、所謂メダルレス遊技機及びその遊技装置といった例示した以外の態様についても同様に適用することが可能である。
【0080】
第1画面として一般カード画面53と待機画面52とを例示したが、何れか一方でもよい。同様に、第2画面として待機画面51と持玉画面55と前記遊技玉画面とを例示したが何れか一方でもよい。
保有玉が残存し且つ第2画面を表示した状態で、カード10bや貨幣を受付けた場合に保有玉を精算する(クリアする)ことを例示したが、精算しなくともよい。また、同じく保有玉が残存し且つ第2画面を表示した状態で切替操作を行った場合に第1画面を表示すること(図7のS22~S25)を例示したが切替えなくともよい。
【0081】
獲得価値として遊技玉と持玉との合計を示す保有玉を例示したが、遊技者が獲得した価値であれば何れか一方とするといったようにどのような獲得価値であってもよい。また、遊技機獲得価値や装置獲得価値を、遊技玉や持玉と表現しているが、メダル或いはクレジットのような異なる獲得価値を対象としてもよいことは勿論である。
切替操作として表示部36のタッチ操作を例示したが、例えば計数釦20のような何らかの処理に対応した釦と兼用した釦の押下或いは別途設けた図示しない釦の押下を切替操作としてもよい。貸出操作や発行操作といった他の操作も同様である。
【0082】
図7のフローチャート上では貸出処理や再プレイ処理等を行った場合に画面切替えしない処理の流れにしており、これは再プレイ処理や計数処理を行っても残高や保有玉に変化はなく、貸出処理を行っても保有玉が端玉に達しないことがなく画面切替の対象にならないためだが、例えば従来の払出式のような遊技玉を特定できない場合には画面を切替える条件が成立する場合も考えられるので、画面切替の条件が成立したかを判定してもよい。
クリア処理に関する案内表示を行うときのクリア条件3を他のクリア条件に変更してもよいし、上記した1~3のクリア条件以外のクリア条件を設定してもよい。
【0083】
また、上記した通り各種タイマを再作動させる対象とするために各種の対応処理を遊技情報更新と同様に取扱っても勿論よい。
待機画面52を残高がある場合に表示しないことを例示したが、獲得価値と同様に基準値(例えば50円)に達していない場合に待機画面52を表示してもよい。つまり、待機画面52を表示する際に参照する有価価値として残高を含めてもよい。また、保有玉クリアの対象として保有玉を例示したが、残高を対象としてもよい。即ち、所定基準値と有価価値基準値とを同じ15玉で例示したが、所定基準値は残高を対象に含めず、有価価値基準値は残高を対象に含むようにしてもよい。また、両者ともに保有玉しか対象としなくとも異なる値を設定するようにしてもよい。
【0084】
各設定値は管理者が任意に操作入力により設定しても、予め管理装置6の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)のサーバから設定情報をダウンロードして設定してもよい。なお、この場合もサーバにて操作入力により入力された設定値となる。また、過去の遊技情報を基準値として設定しても勿論よい。
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定してもよい。また、遊技信号としてデータ信号を例示したがパルス信号のような他の信号を採用してもよい。
【0085】
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。また、識別出力についても例示した以外に記号を付ける等、どのような出力態様としてもよく、出力としては印字、表示出力が少なくとも想定される。
以上と超過についてはどちらを採用してもよく、「達した」等の表現は以上となった或いは超過した、の何れにも対応する表現となる。以下と未満についても同様で、「達していない」等の表現は双方に対応する表現となる。
【0086】
遊技価値のように「価値」と表現しているのは本例のようなデータで管理される獲得価値を包含する概念として表すためである。
管理装置6が行う処理の一部を中継装置4、遊技装置2等にて行ってもよく、どのように構成してもよい。更に例示した構成は変形例も含めて、どのように組合せてもよいし、適宜、採用しない構成を設けてもよい。
【符号の説明】
【0087】
図面中、1は遊技機、2は遊技装置(獲得価値特定手段、表示手段、残高特定手段、呼出手段、受付手段)、10aは会員カード(記録媒体)、10bは一般カード(記録媒体)、35は貨幣投入口(残高特定手段、受付手段)、36は表示部(表示手段、呼出手段)、38はカード挿入口(残高特定手段、受付手段)、38aはカードRW(残高特定手段、受付手段)、40は遊技装置の制御部(獲得価値特定手段、表示手段、残高特定手段、呼出手段、受付手段)、51は待機画面(第2画面、非獲得価値画面)、52は待機画面(第1画面)、53は一般カード画面(第1画面)、55は持玉画面(第2画面、価値要素画面)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7