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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004955
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】消毒用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/045 20060101AFI20230110BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230110BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20230110BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 31/728 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230110BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
A61K31/045
A61P31/04
A61P17/16
A61P43/00 121
A61K31/728
A61K47/36
A61K9/12
A61K9/08
A61Q19/00
A61K8/34
A61K8/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101131
(22)【出願日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2021104951
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594134833
【氏名又は名称】藤本化学製品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100158724
【弁理士】
【氏名又は名称】竹井 増美
(72)【発明者】
【氏名】村上 辰也
(72)【発明者】
【氏名】秋元 隆宜
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA24
4C076BB31
4C076CC18
4C076CC32
4C076EE37G
4C076FF17
4C083AC101
4C083AC102
4C083AD331
4C083AD332
4C083CC02
4C083DD08
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE12
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA25
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB35
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA03
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA33
4C206MA37
4C206MA83
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZB35
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】保湿性および皮膚の保護効果に優れ、さらに使用感にも優れる皮膚用の消毒用組成物を提供する。
【解決手段】殺菌作用を有する低級アルコールを60(v/v)%~95(v/v)%、ならびに炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸およびその塩からなる群より選択される1種以上を、組成物の全重量に対し0.01重量%~3重量%含有する、皮膚の消毒用組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌作用を有する低級アルコールを60(v/v)%~95(v/v)%、ならびに炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸およびその塩からなる群より選択される1種以上を、組成物の全重量に対し0.01重量%~3重量%含有する、皮膚の消毒用組成物。
【請求項2】
殺菌作用を有する低級アルコールが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、メタノール変性アルコールおよびゲラニオール変性アルコールからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の消毒用組成物。
【請求項3】
炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸が、アセチル化ヒアルロン酸である、請求項1または2に記載の消毒用組成物。
【請求項4】
アセチル化ヒアルロン酸の極限粘度が0.5dL/g~2.8dL/gである、請求項3に記載の消毒用組成物。
【請求項5】
アセチル化ヒアルロン酸のアセチル化率が、ヒアルロン酸の繰り返し単位あたり2.6~3.9である、請求項3に記載の消毒用組成物。
【請求項6】
アセチル化ヒアルロン酸のアセチル化率が、ヒアルロン酸の繰り返し単位あたり2.6~3.9である、請求項4に記載の消毒用組成物。
【請求項7】
塗布前に対する塗布後30分後の角質水分量の増加量が、1.5A.U.~2.5A.U.である、請求項1または2に記載の消毒用組成物。
【請求項8】
スプレー剤として提供される、請求項1または2に記載の消毒用組成物。
【請求項9】
エアゾール剤として提供される、請求項1または2に記載の消毒用組成物。
【請求項10】
殺菌作用を有する低級アルコールを60(v/v)%~95(v/v)%、ならびに炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸およびその塩からなる群より選択される1種以上を、組成物の全重量に対し0.01重量%~3重量%含有し、皮膚への繰り返し使用に適する、皮膚の消毒用組成物。
【請求項11】
皮膚への塗布と水洗を5回繰り返した後の角質水分量の増加量が、塗布前に対して6A.U.~12A.Uである、請求項10に記載の消毒用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚、特に手指の消毒に好適な消毒用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴い、テーブル、ドアノブ等の器具、機器、設備や手指の殺菌、消毒が、これまで以上に求められている。
手指の殺菌、消毒には、70(v/v)%~95(v/v)%のエタノールの使用が推奨されているが、エタノールの乾燥、脱脂作用により、前記のような高濃度のエタノールの使用は、皮膚を乾燥させ、肌荒れを引き起すことから、手指の消毒に用いる組成物にはグリセリンやヒアルロン酸等の保湿剤が併用されることが多い。
しかし、グリセリンのような保湿剤はべたつきを生じ、消毒用組成物の使用感を損なうことが問題であった。
また、ヒアルロン酸は高分子量のムコ多糖であって、その水溶液は高粘度となり、エタノールを高含有量で含有する消毒用組成物に用いると、ゲル化してしまい、製剤化に際し取扱いが困難であった。
【0003】
上記のような問題点を解決し、肌荒れ防止作用に優れ速乾性の殺菌剤を得る試みとして、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムと低級アルコールを組み合わせた速乾性殺菌剤が提案され、エタノール等の低級アルコールを30重量%~90重量%含有する殺菌剤に、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムを添加したことが開示されている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1には、速乾性殺菌剤に含有されるアセチル化ヒアルロン酸ナトリウムについて、化学構造や分子量等の詳細は記載されておらず、速乾性殺菌剤における含有量等についても具体的には記載されていない。また、速乾性殺菌剤の形態等についても、具体的かつ詳細な記載はなされていない。
【0004】
それゆえ、依然として、保湿性および皮膚の保護効果に優れ、さらに使用感にも優れる皮膚用の消毒用組成物が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-089388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、保湿性および皮膚の保護効果に優れ、さらに使用感にも優れる皮膚用の消毒用組成物を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、エタノール等、殺菌作用を有する低級アルコールを60(v/v)%~95(v/v)%、ならびに炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸およびその塩からなる群より選択される1種以上を、組成物の全重量に対し0.01重量%~3重量%含有する消毒用組成物が、殺菌作用に加えて、優れた保湿性および皮膚の保護効果を示し、さらに使用感にも優れ、皮膚の消毒用組成物として好適であることを見出し、さらに検討して本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]殺菌作用を有する低級アルコールを60(v/v)%~95(v/v)%、ならびに炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸およびその塩からなる群より選択される1種以上を、組成物の全重量に対し0.01重量%~3重量%含有する、皮膚の消毒用組成物。
[2]殺菌作用を有する低級アルコールが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、メタノール変性アルコールおよびゲラニオール変性アルコールからなる群より選択される1種以上である、[1]に記載の消毒用組成物。
[3]炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸が、アセチル化ヒアルロン酸である、[1]または[2]に記載の消毒用組成物。
[4]アセチル化ヒアルロン酸の極限粘度が0.5dL/g~2.8dL/gである、[3]に記載の消毒用組成物。
[5]アセチル化ヒアルロン酸のアセチル化率が、ヒアルロン酸の繰り返し単位あたり2.6~3.9である、[3]または[4]に記載の消毒用組成物。
[6]塗布前に対する塗布後30分後の角質水分量の増加量が、1.5A.U.~2.5A.U.である、[1]~[5]のいずれかに記載の消毒用組成物。
[7]スプレー剤として提供される、[1]~[6]のいずれかに記載の消毒用組成物。
[8]エアゾール剤として提供される、[1]~[6]のいずれかに記載の消毒用組成物。
[9]殺菌作用を有する低級アルコールを60(v/v)%~95(v/v)%、ならびに炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸およびその塩からなる群より選択される1種以上を、組成物の全重量に対し0.01重量%~3重量%含有し、皮膚への繰り返し使用に適する、皮膚の消毒用組成物。
[10]皮膚への塗布と水洗を5回繰り返した後の角質水分量の増加量が、塗布前に対して6A.U.~12A.Uである、[9]に記載の消毒用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、殺菌作用に加えて、優れた保湿性および皮膚の保護効果を示し、さらに使用感にも優れる皮膚の消毒用組成物を提供することができる。
本発明の消毒用組成物は、塗布後、皮膚において良好な残存性を示す。それゆえ、皮膚の保湿効果の持続性に優れ、持続的な角質の水分保持効果を有する。また、皮膚の保護効果の持続性にも優れる。
さらに、本発明の消毒用組成物は、皮膚に塗布し、馴染ませた後に、さらっとしてなめらかな独特の感触を生じる。
従って、本発明の消毒用組成物は、手指等の皮膚の殺菌、消毒に適し、日常的に継続して使用することができる。
さらにまた、本発明の消毒用組成物は、皮膚の洗浄と消毒を繰り返し行う場合の使用に適し、かかる場合において、持続的かつ良好な皮膚保護効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、試験例1において、各試料を塗布した後の角質水分量について、塗布前の角質水分量に対する変化量を示す図である。図中、「*」は、比較例1の消毒用製剤を塗布した場合に対し、p<0.05にて有意差があることを示す。
図2図2は、試験例3において、第1回目から第5回目の各回の試料塗布直後および水洗後の皮膚表面水分量(角質水分量)の変化を示す図である。図中、「*」は、各試料塗布群において、塗布前の皮膚表面水分量に比べて、p<0.05にて有意であることを示す。
図3図3は、試験例3において、第1回目から第5回目の各回の試料塗布直後および水洗後の皮膚表面水分量(角質水分量)について、塗布前からの変化量を示す図である。図中、「*」は、比較例1の消毒用製剤塗布群に対し、P<0.05にて有意であることを示し、「†」は、比較例2の消毒用製剤塗布群に対し、p<0.05にて有意であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、皮膚用の消毒用組成物(以下、本明細書にて「本発明の組成物」ということがある)を提供する。
本発明の組成物は、殺菌作用を有する低級アルコールを60(v/v)%~95(v/v)%、ならびに炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸およびその塩からなる群より選択される1種以上を、組成物の全重量に対し0.01重量%~3重量%含有する。
【0012】
本発明の組成物に含有される殺菌作用を有する低級アルコールとしては、殺菌、消毒用のアルコール製剤として利用される低級アルコールであれば特に制限されないが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、メタノール変性アルコール、ゲラニオール変性アルコール等が例示され、1種または2種以上を用いることができる。
ウイルスや細菌に対する殺菌、消毒作用および皮膚に対する刺激性を考慮すると、本発明の組成物には、殺菌作用を有する低級アルコールとして、エタノールおよびイソプロパノールが好ましく用いられる。
上記した殺菌作用を有する低級アルコールとしては、消毒用組成物の製造用として提供
されている市販の製品を用いることができる。
本発明の組成物における殺菌作用を有する低級アルコールの含有量は、通常60(v/v)%~95(v/v)%であり、好ましくは70(v/v)%~95(v/v)%であり、より好ましくは75(v/v)%~85(v/v)%である。
殺菌作用を有する低級アルコールの含有量が上記の範囲内であると、ウイルスや細菌に対し、良好な殺菌、消毒作用を示す。
【0013】
本発明の組成物に含有される炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸を構成するN-アセチルグルコサミンとD-グルクロン酸における水酸基の一部が、炭素数1~4のアシル基に置換されたヒアルロン酸の誘導体である。
炭素数1~4のアシル基としては、メタノイル(ホルミル)、エタノイル(アセチル)、プロパノイル(プロピオニル)、2-メチルエタノイル(イソプロパノイル)、ブタノイル(ブチリル)、2-メチルプロパノイル(イソブタノイル)等が挙げられる。
ヒアルロン酸における水酸基の上記アシル基による置換(アシル化)は、自体公知のアシル化方法、たとえば所望のアシル基に対応するアシル化試薬を用いた反応等により行うことができる。
本発明においては、炭素数1~4のアシル基によるアシル化率は、ヒアルロン酸の繰り返し単位[D-グルクロン酸-β-1,3-D-N-アセチルグルコサミン-β-1,4]中に存在する4個の水酸基あたり、2~3.9であることが好ましく、2.5~3.9であることがより好ましい。
【0014】
炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸は、塩の形態でも用いることができる。前記アシル化ヒアルロン酸の塩としては、薬学的に許容される塩であれば特に限定されないが、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が例示される。
本発明の目的には、アルカリ金属塩が好ましく用いられ、ナトリウム塩がより好ましく用いられる。
炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸の塩は、前記アシル化ヒアルロン酸より、自体公知の方法に従って製造することができる。
【0015】
本発明においては、炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸として、アシル基としてアセチル基を有するアセチル化ヒアルロン酸を好ましく用いることができる。
本発明の目的には、アセチル化ヒアルロン酸の極限粘度は、好ましくは0.5dL/g~2.8dL/gであり、より好ましくは0.8dL/g~1.5dL/gである。ここで、アセチル化ヒアルロン酸の極限粘度は、医薬部外品原料規格2006 一般試験法53.粘度測定法に記載の第1法により求めることができ、その値から、アセチル化ヒアルロン酸の粘度平均分子量を求めることができる。
また、アセチル化ヒアルロン酸のアセチル化率(ヒアルロン酸の繰り返し単位[D-グルクロン酸-β-1,3-D-N-アセチルグルコサミン-β-1,4]中に存在する4個の水酸基におけるアセチル基置換率)は、好ましくは2.6~3.9であり、より好ましくは、2.8~3.8である。
アセチル化ヒアルロン酸は、自体公知の製造方法、たとえば特開平8-053501号公報に記載された方法に従って製造し、精製して調製することができる。
【0016】
また、アセチル化ヒアルロン酸の塩としては、薬学的に許容される塩であれば特に限定されないが、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が例示される。
本発明の目的には、アルカリ金属塩が好ましく用いられ、ナトリウム塩がより好ましく用いられる。
アセチル化ヒアルロン酸の塩は、アセチル化ヒアルロン酸より、自体公知の方法に従って製造することができる。
【0017】
本発明の組成物には、炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸およびその塩は、1種を選択して単独で用いてもよく、2種以上を選択して組み合わせて用いてもよい。
炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸およびその塩、たとえばアセチル化ヒアルロン酸およびその塩は、それぞれ自体公知の製造方法に従って製造して用いることもできるが、藤本化学製品株式会社等より提供されている市販の製品を利用することもできる。
本発明の組成物における炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸およびその塩からなる群より選択される1種以上の含有量は、組成物の全重量に対し通常0.01重量%~3重量%であり、好ましくは0.05重量%~3重量%であり、より好ましくは0.1重量%~3重量%であり、さらに好ましくは0.3重量%~2.5重量%であり、より一層好ましくは0.6重量%~2重量%であり、特に好ましくは1重量%~1.5重量%である。
炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸およびその塩からなる群より選択される1種以上の含有量が上記の範囲内であると、良好な使用感と皮膚の保護効果を発揮することができ、また、本発明の組成物を使用した後の角質の水分保持効果も良好となる。
【0018】
本発明の組成物は、殺菌作用を有する低級アルコールならびに炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸およびその塩からなる群より選択される1種以上に加えて、水を含有する。水としては、蒸留水、イオン交換水等の精製水、滅菌精製水等、医薬品、医薬部外品、化粧品等の製造に適する水が用いられる。
【0019】
さらに、本発明の組成物は、本発明の特徴を損なわない範囲で、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等の殺菌剤;アボカド油、オリーブ油、ゴマ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、ヤシ油等の植物性油;ホホバ油等の植物性ロウ;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル油;グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、ビサボロール等の抗炎症剤;アロエエキス、カミツレエキス、カンゾウエキス、シソエキス、セージエキス等の保湿作用または消炎作用を有する植物抽出物;カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤;リン酸、リン酸二水素ナトリウム等のpH調整剤;着色料;香料等の一般的な添加剤を含有することができる。
また、本発明の組成物は、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール、ヒアルロン酸およびその誘導体等の保湿剤を、べたつきや粘度の上昇を生じない程度の低濃度で含有することができる。
【0020】
本発明の組成物は、殺菌作用を有する低級アルコール、炭素数1~4のアシル基を有するアシル化ヒアルロン酸およびその塩からなる群より選択される1種以上、ならびに必要に応じて他の添加剤を水に添加して混合し、製剤の分野における一般的な製剤化手段により、溶液状、懸濁液状、乳液状等の液状の形態とすることができる。
使用に際し、振とう等の操作が必要なく、手指等に塗布しやすい等の理由で、本発明の組成物は、好ましくは溶液状の形態で提供される。
液状の本発明の組成物は、粘度の上昇が抑制されるため、トリガータイプのスプレー容
器、スクイズタイプもしくはディスペンサータイプのポンプスプレー容器等に充填してスプレー剤として提供することができ、また、液化石油ガス、ジメチルエーテル、炭酸ガス、窒素ガス等の噴射剤とともにエアゾール容器に充填して、エアゾール剤として提供することができる。
【0021】
本発明の組成物は、ウイルスや細菌に対する殺菌作用に加えて、優れた保湿性および皮膚の保護効果を示し、べたつきのない良好な使用感を有する。
本発明の組成物は、塗布後、皮膚において良好な残存性を示す。それゆえ、皮膚の保湿効果の持続性に優れ、持続的な角質の水分保持効果を有する。たとえば、皮膚に塗布した後30分経過後においても、塗布前に比べて1.5A.U.~2.5A.U.の角質水分量の増加を示す。また、皮膚の保護効果の持続性にも優れる。
また、本発明の組成物は、皮膚に塗布して馴染ませた後に、さらっとしてなめらかな独特の感触を生じる。
従って、本発明の組成物は、手指等の皮膚の殺菌、消毒に適し、日常的に継続して使用することができる。
【0022】
さらに、本発明の組成物は、皮膚における良好な残存性を示すことから、皮膚に塗布した後に水洗等を行っても、皮膚の角質の水分量は高いまま維持され、持続的で良好な皮膚の保湿効果が認められる。たとえば、本発明の組成物は、塗布および水洗を5回繰り返した場合、5回目の水洗後の皮膚において、塗布前に比べて6A.U.~12A.U、好ましくは6A.U.~10A.U.の角質水分量の増加を示す。
それゆえ、本発明の組成物は、皮膚の洗浄と消毒を繰り返し行う場合の使用に適し、かかる場合において、持続的かつ良好な皮膚保護効果を発揮し得る。
【実施例0023】
さらに、本発明について、実施例により詳細に説明する。
【0024】
[実施例1]消毒用製剤
イオン交換水7.5mLに、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム(極限粘度=1.0dL/g、アセチル化率=3.38;藤本化学製品株式会社)0.29gを加えて溶解し、次いでエタノール(日本薬局方無水エタノール)22.5mLを加えて均一に溶解して、エタノールを75(v/v)%、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムを製剤の全重量に対し1重量%含有する溶液状の製剤を調製し、実施例1の消毒用製剤とした。
【0025】
[実施例2]消毒用製剤
イオン交換水7.5mLに、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム(極限粘度=1.0dL/g、アセチル化率=3.38;藤本化学製品株式会社)0.59gを加えて溶解し、次いでエタノール(日本薬局方無水エタノール)22.5mLを加えて均一に溶解して、エタノールを75(v/v)%、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムを製剤の全重量に対し2重量%含有する溶液状の製剤を調製し、実施例2の消毒用製剤とした。
【0026】
[比較例1~4]消毒用製剤
イオン交換水7.5mLに、エタノール(日本薬局方無水エタノール)22.5mLを加えて均一に溶解して、75(v/v)%エタノール水溶液を調製し、比較例1の消毒用製剤とした。
また、上記実施例1の消毒用製剤において、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムをグリセリン(日本薬局方グリセリン)0.29g、0.78gおよび1.33gにそれぞれ代替し、エタノール75(v/v)%に加えて、グリセリンを製剤の全重量に対しそれぞれ1重量%、3重量%および5重量%含有する溶液状の製剤を同様に調製し、比較例2~4の各消毒用製剤とした。
【0027】
[試験例1]消毒用製剤の保湿性の評価
実施例1、2および比較例1~4の各消毒用製剤について、下記の通り保湿性の評価を行った。
(1)被験者および評価部位
アルコールに対し、発赤等の皮膚刺激性反応を示さない成人女性10名を被験者とし、各被験者の左右前腕内側に3cm四方の評価部位を計6部位設定した。
(2)試料
実施例1、2および比較例1~4の各消毒用製剤を、それぞれ試料とした。
(3)評価方法
各被験者に、洗顔料を用いて評価部位を洗浄させ、室温21±1℃、湿度35±5%に調節した部屋内にて20分間以上安静に待機させ、馴化させた。
次いで、設定した6部位の評価部位のそれぞれについて、角質水分量を測定した後、各評価部位に各試料30μLをそれぞれ塗布させ、40秒間かけて馴染ませた。試料塗布の5分後、10分後、20分後および30分後に、角質水分量を測定した。
角質水分量の測定は、コルネオメーターCM825(Courage & Khazaka electronic GmbH)を用いて行った。
(4)評価結果
各試料について、塗布前ならびに塗布の5分後、10分後、20分後および30分後の角質水分量を、平均値±標準偏差にて表1に示した。また、塗布前の角質水分量に対する変化量を図1に示した。角質水分量の測定結果に関し、各試料について塗布前と塗布後の各測定値との間で、また、塗布前と塗布後の各測定値について、比較例1を塗布した場合と比較例2~4および実施例1、2のそれぞれを塗布した場合との間で、対応のあるt検定を実施した。
【0028】
【表1】
【0029】
表1に示されるように、エタノールのみを含有する比較例1の消毒用製剤を塗布した場合には、塗布の5分後において角質水分量が有意に(p<0.05)増加した他は、角質水分量の有意な変化は認められなかった。
エタノールとともにグリセリンを含有する比較例2~4の各消毒用製剤を塗布した場合には、塗布の5分後~30分後のそれぞれにおいて、塗布前に比べて角質水分量の有意な(p<0.001)増加が認められた。
エタノールとともにアセチル化ヒアルロン酸ナトリウムを含有する実施例1、2の各消毒用製剤を塗布した場合にも、塗布前に比べて角質水分量の増加が認められた(実施例1の消毒用製剤では、塗布の5分後および10分後についてはp<0.001にて有意、塗布の20分後についてはp<0.01にて有意、塗布の30分後についてはp<0.05にて有意、実施例2の消毒用製剤では、塗布の5分後についてp<0.001にて有意、塗布の10分後についてp<0.01にて有意、塗布の20分後についてp<0.05にて有意)。
【0030】
また、図1に示されるように、エタノールのみを含有する比較例1の消毒用製剤を塗布した場合には、塗布前の角質水分量に対する変化量は、塗布後時間の経過とともに徐々に小さくなり、塗布の30分後には、負の値に転じていた。
エタノールとともにグリセリンを含有する比較例2~4の消毒用製剤を塗布した場合は、角質水分量の顕著な増加が認められ、比較例1の消毒用製剤を塗布した場合に比べて、有意差が認められた(p<0.05)。比較例2~4の消毒用製剤を塗布した場合の角質
水分量の増加は、グリセリンの含有濃度に依存的に認められた。
エタノールとともにアセチル化ヒアルロン酸ナトリウムを含有する実施例1、2の各消毒用製剤を塗布した場合には、比較例2~4の各消毒用製剤を塗布した場合に比べて小さいものの、角質水分量の増加が認められ、いずれも、塗布の10分後および30分後において、比較例1の消毒用製剤を塗布した場合に比べて有意差が認められた(p<0.05)。なお、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムの含有量による保湿効果の差は、見られなかった。
【0031】
試験例1の上記評価結果から、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムは、グリセリンには劣るものの、良好な角質水分保持効果を有し、高濃度の低級アルコールによる皮膚の乾燥を改善し得ることが示唆された。
また、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムの保湿効果は、1重量%程度の含有濃度で最大となることが示唆された。
さらに、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムを1重量%程度含有する本発明の組成物は、塗布の20分後~30分後において、2.5A.U.~3A.U.程度の角質水分量の増加を示すことが確認された。
【0032】
[試験例2]消毒用製剤の使用感の評価
上記10名の各被験者に、実施例2および比較例4の各消毒用製剤を左右の手の甲にそれぞれ塗布させ、べたつきおよび皮膚表面における皮膜感について、下記評価基準に従って評価させた。
<評価基準>
かなり感じる ;1点
やや感じる ;2点
あまり感じない;3点
全く感じない ;4点
評価結果は、10名の平均値にて、表2に示した。また、上記評価の際に、各被験者より得られたコメントを表3に示した。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
表2に示されるように、エタノールとともにアセチル化ヒアルロン酸ナトリウム2重量%を含有する実施例2の消毒用製剤については、べたつきがほとんどなく、皮膚における皮膜感がわずかに感じられると評価された。
一方、エタノールとともにグリセリン5重量%を含有する比較例4の消毒用製剤については、べたつきおよび皮膜感ともに「あまりない」と評価された。
また、実施例2の消毒用製剤については、10名中7名の被験者が、皮膚に塗布して馴染ませた後にさらっとした感触またはすべすべした感触があるとコメントしており、本発明の消毒用製剤は、皮膚に塗布し、馴染ませた後に、さらっとしてなめらかな独特の感触を生じることが示唆された。
これに対し、比較例4の消毒用製剤については、上記のような独特の感触は、ほとんどの被験者において認められていなかった。
【0036】
[試験例3]消毒用製剤を繰り返し使用する場合の保湿性の評価
実施例1および比較例1、2の各消毒用製剤について、下記の通り、繰り返し使用する場合の保湿性の評価を行った。
(1)被験者および評価部位
前腕内側部の皮膚に外観上の異常がない成人男女計5名(平均年齢=29±5歳)を被験者とし、各被験者の左右いずれかの前腕内側に、肘窩部から末端側に5cm離れた点を基点として、3cm四方の評価部位を計4部位、1cm以上の間隔を空けて設定した。試料を塗布する3か所の評価部位は、前腕内側の肘窩部から末端側に向けて横一列に配置し、その近傍に試料無塗布部位を設けた。なお、試料の塗布範囲の設定は、周辺部位を観察して、体毛、丘疹、炎症等の存在する部位を避けて行った。
(2)試料
実施例1および比較例1、2の各消毒用製剤を、それぞれ試料とした。
(3)試験方法
下記の通り、無作為化比較試験を実施した。
各被験者に、試験実施機関が指定するクレンジング料と洗顔料を用いて、評価部位が設定された前腕を洗浄させ、ペーパータオルで押さえるようにして水分を拭き取らせた。洗浄後、一定の温度環境下(21±1℃、湿度=30%程度)の試験室内にて、20分間以上安静に待機させ、馴化させた。馴化時間中に、試験担当者が被験者の前腕部を目視観察し、試験に適した4か所の評価部位を設定し、各試料の塗布部位および試料無塗布部位を決定した。
試験室への入室から20分後に、各被験者について、試料塗布前の皮膚表面(角質層)水分量を測定した。次いで、各被験者に、それぞれの試料塗布部位に、指定された試料各30μLをそれぞれ塗布させ、同環境下で5分間待機させた後に皮膚表面水分量を測定した。測定後、前腕内側部を30秒間水洗させて、ペーパータオルで押さえるようにして水分を拭き取らせ、同環境下で5分間乾燥させた後、皮膚表面水分量を測定した。
上記した試料塗布、皮膚表面水分量の測定、前腕内側部の水洗および皮膚表面水分量の測定を1セットとして、計5セットを繰り返し実施した。
なお、皮膚表面水分量の測定は、コルネオメーターCM825(Courage & Khazaka electronic GmbH)を用いて行った。
(4)有効性の評価方法
上記の試験を終了した被験者について、試験機関が定める解析対象不採用基準に該当する者はなく、5名全員を有効性の解析対象とした。
各試料について、試料塗布前と1回目塗布直後から5回目水洗後までの各時点における皮膚表面水分量の測定値を比較し、対応のあるt検定を実施してp値を算出した(群内比較)。また、各時点における皮膚表面水分量の測定値について、試料間にて比較し、対応のあるt検定を実施してp値を算出した(群間比較)。有意水準は両側5%とした。
【0037】
(5)結果
(i)試料塗布前と1回目塗布直後から5回目水洗後までの各時点の皮膚表面水分量の平均値および標準偏差と、当該平均値について、塗布前との群内比較を行った結果を表4に示し、1回目塗布直後から5回目水洗後までの各時点の皮膚表面水分量について、塗布前からの変化量の平均値および標準偏差を表5に示した。また、各時点の皮膚表面水分量について、群間比較を行った際のp値を表6に、試料塗布前からの皮膚表面水分量の変化量について、群間比較を行った際のp値を表7に示した。さらに、各時点における皮膚表面水分量および塗布前からの皮膚表面水分量の変化量について、平均値±標準偏差にて図2および3に示した。
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】
(ii)表4および図2に示されるように、試料塗布前と第1回目~第5回目の試料塗布直後および水洗後の各時点の皮膚表面水分量を比較すると、実施例1の消毒用製剤を塗布した部位では、皮膚表面水分量は、第1回目塗布直後に有意に増加し、さらに水洗後においても 、塗布直後より高い値が認められた。第2回目の塗布以降も、塗布と水洗を繰り返すたびに皮膚表面水分量は漸増し、全ての測定時点において塗布前よりも有意に高い値が認められ、第5回目の塗布直後では32.9±4.3A.U.、第5回目の水洗後では33.2±5.3A.U.であった。
比較例2の消毒用製剤を塗布した部位では、皮膚表面水分量は、第1回目の塗布直後に有意に増加したが、水洗後には試料塗布前の皮膚表面水分量に近い値にまで低下したことが認められた。第2回目の塗布以降も、同様に、塗布直後に増加し水洗後に低下する皮膚表面水分量の変化が繰り返し観察された。第5回目の塗布直後では32.1±5.3A.U.であり、試料塗布前に比べて有意に高値が認められたが、第5回目の水洗後では27.8±7.3A.U.に低下しており、試料塗布前と比べて有意差は認められなかった。
比較例1の消毒用製剤を塗布した部位では、試料無塗布部位と同様に、試料塗布前に比べて、皮膚表面水分量の有意な変化は認められなかった。
(iii)表6、7および図3に示されるように、実施例1の消毒用製剤を塗布した部位では、比較例1の消毒用製剤を塗布した部位に比べて、第1回目の塗布直後から第5回目の水洗後のすべての時点において、皮膚表面水分量およびその変化量ともに有意に高いことが認められた。
比較例2の消毒用製剤を塗布した部位では、比較例1の消毒用製剤を塗布した部位に比べて、第1回目から第5回目までの塗布直後には、皮膚表面水分量およびその変化量ともに有意に高い値が認められたが、水洗後は第1回目から第5回目のいずれの時点においても、皮膚表面水分量およびその変化量に有意な差は認められなかった。
また、実施例1の消毒用製剤を塗布した部位では、第5回目の水洗後において、皮膚表面水分量およびその変化量の双方について、比較例2の消毒用製剤を塗布した部位に比べて有意に高値であった。
(iv)実施例1、比較例1および2の各消毒用製剤について、皮膚刺激性反応等、有害な事象が発現した被験者はいなかった。
【0043】
(6)考察
試験例3の上記結果から、従来より保湿剤として汎用されるグリセリンを含有する消毒用製剤は、塗布した際には皮膚表面の水分量は大幅に向上するが、皮膚を水洗すると、皮膚表面の水分量は塗布前と同程度まで低下することが示された。
これに対し、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムを含有する消毒用製剤については、塗布後に増加する皮膚表面の水分量が、皮膚を水洗した後にも高値のまま維持されることが示された。
すなわち、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムを含有する本発明の消毒用組成物は高い皮膚吸着性を示し、皮膚に繰り返し使用される際に、皮膚に吸着して持続的な皮膚保湿効果および皮膚保護効果を奏する可能性が示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上、詳述したように、本発明により、殺菌作用に加えて、優れた保湿性および皮膚の保護効果を示し、さらに使用感にも優れる皮膚の消毒用組成物を提供することができる。
本発明の消毒用組成物は、塗布後、皮膚において良好な残存性を示す。それゆえ、皮膚の保湿効果の持続性に優れ、持続的な角質の水分保持効果を有する。また、皮膚の保護効果の持続性にも優れる。
さらに、本発明の消毒用組成物は、皮膚に塗布し、馴染ませた後に、さらっとしてなめらかな独特の感触を生じる。
従って、本発明の消毒用組成物は、手指等の皮膚の殺菌、消毒に適し、日常的に継続して使用することができる。
さらにまた、本発明の消毒用組成物は、皮膚の洗浄と消毒を繰り返し行う場合の使用に適し、かかる場合において、持続的かつ良好な皮膚保護効果を発揮することができる。
【0045】
本願は、わが国で出願された特願2021-104951を基礎としており、その内容は、本明細書にすべて包含されるものである。
図1
図2
図3