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特開2023-49583駆動ユニット、操舵ユニットおよび運搬装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049583
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】駆動ユニット、操舵ユニットおよび運搬装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/025 20120101AFI20230403BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20230403BHJP
   F16H 1/46 20060101ALI20230403BHJP
   B60K 7/00 20060101ALI20230403BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20230403BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
F16H57/025
F16H1/32 B
F16H1/46
B60K7/00
H02K5/173 A
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159392
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】日本電産シンポ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】岡村 暉久夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 仁
【テーマコード(参考)】
3D235
3J027
3J063
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
3D235AA18
3D235AA28
3D235BB25
3D235BB32
3D235CC42
3D235FF32
3D235FF33
3D235FF35
3D235GA02
3D235GA13
3D235GA32
3D235GB04
3D235GB26
3J027FA37
3J027FB01
3J027GB03
3J027GC06
3J027GC13
3J027GC22
3J027GC24
3J063AA16
3J063AB12
3J063AB14
3J063AC01
3J063BA04
3J063BB11
3J063CD02
3J063CD06
3J063CD09
3J063CD42
3J063CD43
3J063CD44
5H605BB05
5H605CC04
5H605CC08
5H605CC10
5H605EB10
5H605EB16
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB26
5H607CC03
5H607DD03
5H607DD19
5H607EE36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】荷重が直接駆動機構に作用することを抑制する駆動ユニットおよび操舵ユニットを提供する。
【解決手段】駆動ユニットは、駆動機構と、出力部と、支持部とを有する。駆動機構は、中心軸回りの回転駆動力を出力可能である。出力部は、駆動機構に接続される。出力部は、中心軸回りに回転可能である。出力部は、ベース部と、出力壁部とを有する。ベース部は、少なくとも一部が駆動機構の軸方向一方側に配置される。ベース部は、径方向成分を有する方向に広がる。出力壁部は、ベース部の径方向外縁から軸方向他方側に延びる。支持部は、支持壁部と、結合部とを有する。支持壁部は、出力壁部の径方向内方に配置される。支持壁部は、軸方向に延びる。結合部は、支持壁部の軸方向一方端部に配置される。結合部は、支持壁部に駆動機構の少なくとも一部を相対回転不能に支持する。出力壁部の径方向内側面は、軸受を介して支持壁部の径方向外側面に支持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸回りの回転駆動力を出力可能な駆動機構と、
前記駆動機構に接続され、前記中心軸回りに回転可能な出力部と、
支持部と
を有し、
前記出力部は、
少なくとも一部が前記駆動機構の軸方向一方側に配置され、径方向成分を有する方向に広がるベース部と、
前記ベース部の径方向外縁から軸方向他方側に延びる出力壁部と
を有し、
前記支持部は、
前記出力壁部の径方向内方に配置され、軸方向に延びる支持壁部と、
前記支持壁部の軸方向一方端部に配置され、前記支持壁部に前記駆動機構の少なくとも一部を相対回転不能に支持する結合部と
を有し、
前記出力壁部の径方向内側面は、軸受を介して前記支持壁部の径方向外側面に支持される、駆動ユニット。
【請求項2】
前記軸受は、
前記支持壁部の軸方向中点よりも軸方向一方側に配置される第1軸受と、
前記支持壁部の軸方向中点よりも軸方向他方側に配置される第2軸受と、
を有する、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記出力壁部は、
前記ベース部の径方向外縁から軸方向他方側に延びる第1領域と、
前記第1領域よりも軸方向他方側に配置され、軸方向に延びる第2領域と、
前記第1領域の軸方向他方端部と前記第2領域の軸方向一方端部とを接続する第3領域と、
を有し、
前記軸受は、前記第2領域の径方向内側面に支持され、
前記支持壁部の軸方向の長さは、前記第2領域の軸方向の長さ以上である、請求項1または請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記結合部の径方向内側面は、前記駆動機構の径方向外側面に接続される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記駆動機構は、
前記中心軸回りに回転可能であり、前記中心軸と直交する断面が非真円の波動発生器と、
前記波動発生器の径方向外方に配置される外歯歯車と、
前記外歯歯車の径方向外方に配置される内歯歯車と、
を有し、
前記外歯歯車は、
径方向外方に延びる複数の外歯を有し、軸方向に延びる筒状であり、可撓性を有する筒部と、
前記筒部の軸方向一方側端部または軸方向他方側端部から径方向に延びるダイヤフラム部と
を有し、
前記内歯歯車は、径方向内方に延び、前記複数の外歯と噛み合う複数の内歯を有し、
前記ダイヤフラム部および前記内歯歯車のいずれか一方が、前記出力部に固定される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
前記駆動機構は、
前記中心軸回りに回転可能な第1太陽歯車と、
前記第1太陽歯車の径方向外方に配置され、前記第1太陽歯車と噛み合い、前記中心軸と平行な方向に延びる第1遊星軸回りに回転可能な第1遊星歯車と、
前記第1遊星歯車の径方向外方に配置され、前記第1遊星歯車と噛み合う内歯歯車と、
前記第1遊星歯車と連動可能であり、前記中心軸回りに回転可能な第2太陽歯車と、
前記第2太陽歯車の径方向外方に配置され、前記第2太陽歯車と噛み合い、前記中心軸と平行な方向に延びる第2遊星軸回りに回転可能であり、前記内歯歯車と噛み合う第2遊星歯車と
を有し、
前記第2遊星歯車は、前記出力部と連動可能であり、
前記内歯歯車は、前記結合部に固定される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項7】
前記駆動機構は、
前記中心軸回りに回転可能な第3太陽歯車と、
前記第3太陽歯車と噛み合い、前記中心軸と平行な遊星軸回りに自転可能な第1歯車と、前記第1歯車とともに前記遊星軸回りに自転可能な第2歯車とを有する遊星歯車と、
前記結合部に固定され、前記第1歯車と噛み合う円環状の固定内歯歯車と、
前記出力部に固定され、前記第2歯車と噛み合う円環状の回転内歯歯車と、
前記遊星歯車を、前記遊星軸を中心として自転しつつ、前記中心軸を中心として公転可能に支持する第3キャリアと、
を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項8】
前記支持部は、前記支持壁部の軸方向他方端部から径方向外方に広がるフランジ部を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項9】
前記出力壁部は、径方向外側面に車輪を有する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の駆動ユニットと、
前記駆動ユニットに固定され、径方向成分を有する方向に延びる支持フレームと、
前記支持フレームを支持する操舵ベース部と
を有する、操舵ユニット。
【請求項11】
前記支持フレームは、クロスローラ軸受を介して前記操舵ベース部に支持され、前記中心軸と交差する操舵軸回りに回転可能である、請求項10に記載の操舵ユニット。
【請求項12】
前記操舵軸は、前記出力壁部のうち外径が最大となる領域を通る、請求項11に記載の操舵ユニット。
【請求項13】
前記支持フレームは、前記駆動機構の軸方向一方端と前記他方端との軸方向間に配置される、請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の操舵ユニット。
【請求項14】
前記出力壁部の径方向外側面に車輪をさらに有し、
前記出力部の軸方向一方端と前記駆動機構の軸方向他方端との軸方向長さは、前記車輪の外径よりも短い、請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の操舵ユニット。
【請求項15】
請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の操舵ユニットを有する、運搬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動ユニット、操舵ユニットおよび運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の車両駆動装置は、電気モータと、カウンタギアと、遊星歯車機構と、ハブとを備える。ホイールがシャフトに回転可能に支持されている。シャフトは遊星歯車機構の一部であるカウンタギアに結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-44959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車両駆動装置においては、ホイールが遊星歯車機構の一部に支持されている。したがって、ホイールに作用する大きな荷重が遊星歯車機構に直接作用する。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は出力壁部に作用する荷重が直接駆動機構に作用することを抑制することができる駆動ユニットおよび操舵ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な駆動ユニットは、駆動機構と、出力部と、支持部とを有する。前記駆動機構は、中心軸回りの回転駆動力を出力可能である。前記出力部は、前記駆動機構に接続される。前記出力部は、前記中心軸回りに回転可能である。前記出力部は、ベース部と、出力壁部とを有する。前記ベース部は、少なくとも一部が前記駆動機構の軸方向一方側に配置される。前記ベース部は、径方向成分を有する方向に広がる。前記出力壁部は、前記ベース部の径方向外縁から軸方向他方側に延びる。前記支持部は、支持壁部と、結合部とを有する。前記支持壁部は、前記出力壁部の径方向内方に配置される。前記支持壁部は、軸方向に延びる。前記結合部は、前記支持壁部の軸方向一方端部に配置される。前記結合部は、前記支持壁部に前記駆動機構の少なくとも一部を相対回転不能に支持する。前記出力壁部の径方向内側面は、軸受を介して前記支持壁部の径方向外側面に支持される。
【0007】
本発明の例示的な操舵ユニットは、上記に記載の駆動ユニットと、支持フレームと、操舵ベース部とを有する。前記支持フレームは、前記駆動ユニットに固定される。前記支持フレームは、径方向成分を有する方向に延びる。前記操舵ベース部は、前記支持フレームを支持する。
【0008】
本発明の例示的な運搬装置は、上記に記載の操舵ユニットを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、出力壁部に作用する荷重が直接駆動機構に作用することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態の駆動ユニットを備えた操舵ユニットを示す縦断面図である。
図2図2は、本実施形態の駆動ユニットを示す縦断面図である。
図3図3は、本実施形態の駆動ユニットを示す縦断面図である。
図4図4は、本実施形態の駆動ユニットを示す縦断面図である。
図5図5は、本実施形態の駆動ユニットを示す縦断面図である。
図6図6は、本実施形態の運搬装置を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解の容易のため、三次元直交座標系のX軸、Y軸、およびZ軸を適宜記載している。
【0012】
本明細書では、駆動ユニット100の中心軸AXと平行な方向を「軸方向AD」と記載し、中心軸AXに直交する方向を「径方向RD」と記載する。なお、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。
【0013】
図1を参照して、本実施形態の駆動ユニット100を備えた操舵ユニット1を説明する。図1は、本実施形態の駆動ユニット100を備えた操舵ユニット1を示す縦断面図である。
【0014】
図1に示すように、操舵ユニット1は、駆動ユニット100と、支持フレーム200と、操舵ベース部300とを有する。操舵ユニット1は、例えば、フォークリフトや無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)の車体に取り付けられる。
【0015】
支持フレーム200は、駆動ユニット100に固定される。支持フレーム200は、径方向RD成分を有する方向に延びる。本実施形態においては、支持フレーム200は、Z方向の正の向きに延びる。支持フレーム200は、クロスローラ軸受310を介して操舵ベース部300に支持される。支持フレーム200は、中心軸AXと交差する操舵軸AX2回りに回転可能である。したがって、駆動ユニット100の走行方向を変更できる旋回能力を有することができる。また、クロスローラ軸受310の装着によって、操舵ユニット1の操舵軸AX2方向の長さを小さくすることができる。
【0016】
操舵軸AX2は、出力壁部124のうち外径が最大となる領域を通る。したがって、操舵軸AX2上に接地点が位置する。その結果、操舵操作によって駆動ユニット100が接地点を中心にして操舵軸AX2との偏心分だけ振られることを抑制することができる。
【0017】
支持フレーム200は、駆動機構110の軸方向一方端と他方端との軸方向間に配置される。したがって、支持フレーム200を駆動ユニット100の中央部近傍に配置して操舵ユニット1に作用するモーメントを軽減させることができる。
【0018】
操舵ベース部300は、支持フレーム200を支持する。
【0019】
駆動ユニット100は、駆動機構110と、出力部120と、支持部130と、軸受140とを有する。
【0020】
駆動機構110は、中心軸AX回りの回転駆動力を出力可能である。駆動機構110は、モータ112と、減速機114とを有する。
【0021】
モータ112は、減速機114を駆動する。減速機114は、モータ112の回転速度を減速する。具体的には、減速機114は、モータ112による第1回転数の回転運動を、第1回転数よりも低い第2回転数の回転運動に変換する。
【0022】
出力部120は、駆動機構110に接続される。出力部120は、中心軸AX回りに回転可能である。
【0023】
出力部120は、ベース部122と、出力壁部124とを有する。
【0024】
ベース部122の少なくとも一部は、駆動機構110の軸方向一方側(-Y方向側)に配置される。ベース部122は、径方向RD成分を有する方向に広がる。本実施形態においては、ベース部122は、径方向RD外方かつ軸方向他方側(+Y方向側)に広がる。
【0025】
出力壁部124は、ベース部122の径方向RD外縁から軸方向他方側(+Y方向側)に延びる。
【0026】
支持部130は、支持壁部132と、結合部134と、を有する。本実施形態においては、支持部130は、フランジ部136をさらに有する。
【0027】
支持壁部132は、出力壁部124の径方向RD内方に配置される。支持壁部132は、軸方向ADに延びる。駆動機構110の少なくとも一部は、支持壁部132の径方向内方に配置される。
【0028】
結合部134は、支持壁部132の軸方向一方端部(-Y方向側端部)に配置される。結合部134は、支持壁部132に駆動機構110の少なくとも一部を相対回転不能に支持する。結合部134の径方向内側面は、駆動機構110の径方向外側面に接続される。したがって、結合部134は、駆動機構110を支持することができ、同軸度を向上させることができる。
【0029】
出力壁部124の径方向内側面は、軸受140を介して支持壁部132の径方向外側面に支持される。特に、本実施形態においては、駆動機構110は結合部134を介して支持壁部132に支持される。したがって、出力壁部124に作用する荷重が直接駆動機構110に作用することを抑制することができる。さらに、ベース部122は駆動機構110の回転力を伝達するだけでよく、強度を考慮した場合、薄型の軽量化構造が可能になる。
【0030】
フランジ部136は、支持壁部132の軸方向他方端部(+Y方向側端部)から径方向外方に広がる。したがって、支持部130を安定的に支持することができる。
【0031】
軸受140は、第1軸受141と、第2軸受142とを有する。軸受140は、例えば、ボールベアリングである。第1軸受141は、支持壁部132の軸方向中点よりも軸方向一方側(-Y方向側)に配置される。第2軸受142は、支持壁部132の軸方向中点よりも軸方向他方側(+Y方向側)に配置される。したがって、出力壁部124にかかる荷重を支持壁部132の軸方向ADの広い範囲で安定的に受けられる。なお、本実施形態においては、支持壁部132の軸方向中点の軸方向位置は、操舵軸AX2の軸方向位置と略同一である。
【0032】
出力壁部124は、第1領域R1と、第2領域R2と、第3領域R3とを有する。第1領域R1は、ベース部122の径方向外縁から軸方向他方側(+Y方向側)に延びる。第2領域R2は、第1領域R1よりも軸方向他方側(+Y方向側)に配置され、軸方向ADに延びる。第3領域R3は、第1領域R1の軸方向他方端部(+Y方向側端部)と第2領域R2の軸方向一方端部(-Y方向側端部)とを接続する。軸受140は、第2領域R2の径方向内側面に支持される。支持壁部132の軸方向ADの長さは、第2領域R2の軸方向ADの長さ以上である。したがって、結合部134による駆動機構110の支持位置の自由度が向上する。本実施形態においては、支持壁部132の軸方向ADの長さは、第2領域R2の軸方向ADの長さと第3領域R3の軸方向ADの長さとの和以上である。
【0033】
出力壁部124は、径方向外側面に車輪150を有する。したがって、車輪150は、接地点に作用する荷重が直接出力壁部124に作用することを抑制しつつ、車体の滑らかな走行と旋回が可能になる。
【0034】
出力部120の軸方向一方端と駆動機構110の軸方向他方端との軸方向長さは、車輪150の外径よりも短い。したがって、駆動ユニット100の旋回範囲に含まれる空間内を縮小化できるので、装置(車体)全体の小型化が可能になる。
【0035】
図2を参照して、本実施形態の駆動ユニット100を説明する。図2は、本実施形態の駆動ユニット100を示す縦断面図である。図1を参照して説明した駆動ユニット100と重複する部分については、説明を省略する。
【0036】
図2に示すように、本実施形態においては、駆動機構110は、波動歯車機構とモータ112とを有する。駆動機構110は、波動発生器1141と、外歯歯車1142と、内歯歯車1143とを有する。
【0037】
波動発生器1141は、中心軸AX回りに回転可能である。波動発生器1141は、中心軸AXと直交する断面が非真円である。
【0038】
外歯歯車1142は、波動発生器1141の径方向外方に配置される。つまり、波動発生器1141は、外歯歯車1142の内部に配置される。
【0039】
内歯歯車1143は、外歯歯車1142の径方向外方に配置される。外歯歯車1142は、波動発生器1141の回転に応じて、内歯歯車1143に対して相対回転する。
【0040】
内歯歯車1143は、結合部134に固定される。
【0041】
外歯歯車1142は、筒部1144と、ダイヤフラム部1145とを有する。
【0042】
筒部1144は、複数の外歯を有する。複数の外歯は、径方向RD外方に延びる。筒部1144は、軸方向ADに延びる筒状である。筒部1144は、可撓性を有する。
【0043】
ダイヤフラム部1145は、筒部1144の軸方向一方側端部(-Y方向端部)から径方向RDに延びる。本実施形態においては、ダイヤフラム部1145は、筒部1144の軸方向一方側端部(-Y方向端部)から径方向RD内方に延びる。
【0044】
内歯歯車1143は、複数の内歯を有する。複数の内歯は、径方向RD内方に延びる。複数の内歯は、複数の外歯と噛み合う。
【0045】
ダイヤフラム部1145は、出力部120に固定される。
【0046】
本実施形態によれば、波動歯車機構で大きな減速比を実現し、かつ、駆動ユニット100の軸方向長さを短くできる。さらに、他の減速機と比較して軽量化することができる。また、特にダイヤフラム部1145と出力部120が固定される場合、車輪150の荷重が波動歯車機構に直接作用することを抑制することができる。
【0047】
図3を参照して、本実施形態の駆動ユニット100を説明する。図3は、本実施形態の駆動ユニット100を示す縦断面図である。図1および図2を参照して説明した駆動ユニット100と重複する部分については、説明を省略する。
【0048】
図3に示すように、駆動機構110は、波動発生器1141と、外歯歯車1142と、内歯歯車1143とを有する。駆動機構110は、波動歯車機構およびモータ112で構成される。波動発生器1141は、外歯歯車1142の内部に配置される。
【0049】
本実施形態では、ダイヤフラム部1145は、筒部1144の軸方向他方側端部(+Y方向端部)から径方向RDに延びる。本実施形態においては、ダイヤフラム部1145は、筒部1144の軸方向他方側端部(+Y方向端部)から径方向RD外方に延びる。
【0050】
本実施形態では、内歯歯車1143が、出力部120に固定される。
【0051】
本実施形態では、ダイヤフラム部1145は、結合部134に固定される。
【0052】
本実施形態によれば、波動歯車機構で大きな減速比を実現し、かつ、駆動ユニット100の軸方向長さを短くできる。さらに、他の減速機と比較して軽量化することができる。また、特に内歯歯車1143と出力部120が固定される場合、車輪150の荷重が波動歯車機構に直接作用することを抑制することができる。
【0053】
図4を参照して、本実施形態の駆動ユニット100を説明する。図4は、本実施形態の駆動ユニット100を示す縦断面図である。図1図3を参照して説明した駆動ユニット100と重複する部分については、説明を省略する。
【0054】
図4に示すように、駆動機構110は、遊星歯車機構とモータ112とで構成される。駆動機構110は、第1太陽歯車161と、第1遊星歯車162と、内歯歯車163と、第2太陽歯車164と、第2遊星歯車165と、を有する。本実施形態においては、駆動機構110は、第1キャリア166と、第2キャリア167と、をさらに有する。第1太陽歯車161は、第1遊星歯車162の内部に配置される。
【0055】
第1太陽歯車161は、中心軸AX回りに回転可能である。
【0056】
第1遊星歯車162は、第1太陽歯車161の径方向外方に配置される。第1遊星歯車162は、第1太陽歯車161と噛み合う。第1遊星歯車162は、中心軸AXと平行な方向に延びる第1遊星軸AX3回りに回転可能である。
【0057】
内歯歯車163は、第1遊星歯車162の径方向外方に配置される。内歯歯車163は、第1遊星歯車162と噛み合う。
【0058】
第1遊星歯車162は、第1キャリア166によって支持されている。第1キャリア166は、第2太陽歯車164に結合されている。したがって、第2太陽歯車164は、第1遊星歯車162と連動可能である。第2太陽歯車164は、中心軸AX回りに回転可能である。
【0059】
第1キャリア166は、第1遊星歯車162を、遊星軸AX3を中心として自転しつつ、中心軸AXを中心として公転可能に支持する。
【0060】
第2遊星歯車165は、第2太陽歯車164の径方向外方に配置される。第2遊星歯車165は、第2太陽歯車164と噛み合う。第2遊星歯車165は、中心軸AXと平行な方向に延びる第2遊星軸AX4回りに回転可能である。第2遊星歯車165は、内歯歯車163と噛み合う。
【0061】
第2遊星歯車165は、第2キャリア167によって支持されている。第2キャリア167は、出力部120に結合されている。したがって、第2遊星歯車165は、出力部120と連動可能である。内歯歯車163は、結合部134に固定される。また、出力部120と第2キャリア167とは、一体構造であってもよく、別体構造であってもよい。
【0062】
第2キャリア167は、第2遊星歯車165を、第2遊星軸AX4を中心として自転しつつ、中心軸AXを中心として公転可能に支持する。
【0063】
本実施形態によれば、2段以上の遊星歯車機構で高い減速比を実現することができる。さらに、単一の内歯歯車163で2段以上の遊星歯車を支持し、内歯歯車163を結合部134で支持することで回転精度と同軸度を向上させることができる。
【0064】
図5を参照して、本実施形態の駆動ユニット100を説明する。図5は、本実施形態の駆動ユニット100を示す縦断面図である。図1図4を参照して説明した駆動ユニット100と重複する部分については、説明を省略する。
【0065】
図5に示すように、駆動機構110は、差動歯車機構とモータ112とで構成される。駆動機構110は、第3太陽歯車171と、遊星歯車172と、固定内歯歯車173と、回転内歯歯車174と、第3キャリア175とを有する。第3太陽歯車171は、遊星歯車172の内部に配置される。
【0066】
第3太陽歯車171は、中心軸AX回りに回転可能である。
【0067】
遊星歯車172は、第1歯車1721と、第2歯車1722とを有する。第1歯車1721は、第3太陽歯車171と噛み合う。第1歯車1721は、中心軸AXと平行な遊星軸AX5回りに自転可能である。第2歯車1722は第1歯車1721とともに遊星軸AX5回りに自転可能である。第1歯車1721と、第2歯車1722の歯数は異なる。第1歯車1721と、第2歯車1722の歯数の差が減速比となる。
【0068】
固定内歯歯車173は、結合部134に固定される。固定内歯歯車173は、第1歯車1721と噛み合う。固定内歯歯車173は、円環状である。
【0069】
回転内歯歯車174は、出力部120に固定される。回転内歯歯車174は、第2歯車1722と噛み合う。回転内歯歯車174は、円環状である。
【0070】
第3キャリア175は、遊星歯車172を、遊星軸AX5を中心として自転しつつ、中心軸AXを中心として公転可能に支持する。
【0071】
本実施形態によれば、出力壁部124に作用する荷重が直接駆動機構110に作用することを抑制することができる。また、差動歯車機構を利用することで、少ない部品点数で高い減速比を実現できる。さらに、軸方向ADに短くすることができる。
【0072】
図6を参照して、本実施形態の運搬装置400を説明する。図6は、本実施形態の運搬装置400を示す模式的な斜視図である。
【0073】
図6に示すように、運搬装置400は、操舵ユニット1を有する。運搬装置400は、さらに車体410を有する。本実施形態では、運搬装置400は、無人搬送車である。なお、運搬装置400は、フォークリフトでもよい。
【0074】
操舵ユニット1は、車体410に取り付けられる。本実施形態によれば、操舵ユニット1によって、車体410を旋回させることができる。
【0075】
以上、図面(図1図6)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 操舵ユニット
100 駆動ユニット
110 駆動機構
114 減速機
120 出力部
122 ベース部
124 出力壁部
130 支持部
132 支持壁部
134 結合部
136 フランジ部
140 軸受
141 第1軸受
142 第2軸受
150 車輪
161 第1太陽歯車
162 第1遊星歯車
163 内歯歯車
164 第2太陽歯車
165 第2遊星歯車
171 第3太陽歯車
172 遊星歯車
173 固定内歯歯車
174 回転内歯歯車
175 第3キャリア
200 支持フレーム
300 操舵ベース部
310 クロスローラ軸受
1141 波動発生器
1142 外歯歯車
1143 内歯歯車
1144 筒部
1145 ダイヤフラム部
1721 第1歯車
1722 第2歯車
図1
図2
図3
図4
図5
図6