(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049635
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】ガス検知システム
(51)【国際特許分類】
G08B 21/16 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
G08B21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159491
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】田中 康孝
(72)【発明者】
【氏名】西岡 吉行
(72)【発明者】
【氏名】松尾 剛志
(72)【発明者】
【氏名】松尾 賢
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡本 宣仁
【テーマコード(参考)】
5C086
【Fターム(参考)】
5C086AA02
5C086AA38
5C086BA20
5C086DA07
5C086DA16
5C086FA17
(57)【要約】
【課題】設置環境での用途や設置環境における既設機器に対して柔軟に対応可能としながら、システム構成が複雑化することを抑制可能なガス検知システムを提供する。
【解決手段】このガス検知システム100は、表示部14および第1ガス検知部12を備えたメインユニット110と、メインユニット110とは異なる機能部(131、141)を有する1つ以上のサブユニット120と、を備える。メインユニット110とサブユニット120とは、並んで配置されるとともに連結され、通信可能に接続されている。メインユニット110は、第1ガス検知部12によるガス検知判定処理を行い、ガス検知結果を表示部14に表示するとともに、サブユニット120の機能部を用いた処理をさらに行うように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部および第1ガス検知部を備えたメインユニットと、
前記メインユニットとは異なる機能部を有する1つ以上のサブユニットと、を備え、
前記メインユニットと前記サブユニットとは、並んで配置されるとともに連結され、通信可能に接続されており、
前記メインユニットは、前記第1ガス検知部によるガス検知判定処理を行い、ガス検知結果を前記表示部に表示するとともに、前記サブユニットの前記機能部を用いた処理をさらに行うように構成されている、ガス検知システム。
【請求項2】
前記サブユニットは、第2ガス検知部を有する前記機能部を備えたガス検知ユニットを含み、
前記メインユニットは、前記第2ガス検知部の出力信号を取得して前記ガス検知ユニットのガス検知判定処理を行うように構成されている、請求項1に記載のガス検知システム。
【請求項3】
前記第1ガス検知部および前記第2ガス検知部は、それぞれ交換可能なガスセンサを有し、
前記メインユニットは、前記ガスセンサの交換対象となるユニットにおけるガス検知動作を停止させ、他のユニットにおけるガス検知動作を継続させる制御を行うように構成されている、請求項2に記載のガス検知システム。
【請求項4】
前記ガス検知ユニットの前記機能部は、表示部を備えておらず、
前記メインユニットは、前記第1ガス検知部による検知ガス濃度および前記第2ガス検知部による検知ガス濃度を前記表示部に表示可能に構成されている、請求項2または3に記載のガス検知システム。
【請求項5】
前記メインユニットおよび前記ガス検知ユニットの各々は、検知ガス濃度が所定値以上であることを示すインジケータランプをそれぞれ備え、
前記メインユニットは、前記第1ガス検知部のガス検知結果に基づいて前記メインユニットの前記インジケータランプの点灯制御を行い、前記第2ガス検知部のガス検知結果に基づいて前記ガス検知ユニットの前記インジケータランプの点灯制御をさらに行うように構成されている、請求項2~4のいずれか1項に記載のガス検知システム。
【請求項6】
前記サブユニットは、信号を入力および/または出力するための接続部を有する前記機能部を備えた接続ユニットを含み、
前記メインユニットは、前記接続ユニットに接続された外部機器との間で信号の入力処理または出力処理を行うように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のガス検知システム。
【請求項7】
前記接続ユニットの前記機能部は、前記接続部のインターフェースが異なる複数種類の接続モジュールを搭載可能に構成されている、請求項6に記載のガス検知システム。
【請求項8】
前記メインユニットは、前記サブユニットに対する電力供給を行うように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のガス検知システム。
【請求項9】
前記メインユニットは、通信により前記サブユニットに対する設定処理を行うように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のガス検知システム。
【請求項10】
複数の前記サブユニットを備え、
各々の前記サブユニットは、隣り合うユニット同士で通信可能に接続され、一方に隣接するユニットと他方に隣接するユニットとの間で信号を中継する機能を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のガス検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス検知システムに関し、特に、複数のユニットを備えたガス検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のユニットを備えたガス検知システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、同一構成を有する複数のガス濃度監視ユニットを並べて配置し連結したガス濃度監視装置が開示されている。このガス濃度監視装置は、所望の数のガス濃度監視ユニットを連結することができ、工場等に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
工場等に設置されるガス検知システムでは、その設置環境に応じて検知すべきガス種や検知箇所が異なるとともに、既存の設備と接続して用いられるため、用途に応じた様々な機能や、既設機器との互換性などが求められる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のガス濃度監視装置では、同一構成のガス濃度監視ユニットの数を増減することしかできないため、設置環境での用途や設置環境の既設機器によっては、仕様の異なる装置を別途設ける必要があり、システム構成が複雑化してしまうという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、設置環境での用途や設置環境における既設機器に対して柔軟に対応可能としながら、システム構成が複雑化することを抑制可能なガス検知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面によるガス検知システムは、表示部および第1ガス検知部を備えたメインユニットと、メインユニットとは異なる機能部を有する1つ以上のサブユニットと、を備え、メインユニットとサブユニットとは、並んで配置されるとともに連結され、通信可能に接続されており、メインユニットは、第1ガス検知部によるガス検知判定処理を行い、ガス検知結果を表示部に表示するとともに、サブユニットの機能部を用いた処理をさらに行うように構成されている。なお、本明細書における「ガス検知判定処理」とは、検知ガス濃度が予め設定された所定値に達したか否かを判定する処理を意味する。また、「機能部」とは、ユニットの機能を実現するためのハードウェアおよびソフトウェアのまとまりである。
【0009】
この発明の一の局面によるガス検知システムでは、上記構成により、単独でガス検知判定処理が可能なメインユニットに対して、メインユニットとは異なる機能部を備えたサブユニットを設けることによって、設置環境におけるガス検知システムの用途や設置環境の既設機器の仕様に応じて、メインユニットの機能拡張を図ることができる。また、機能拡張のためにメインユニットとは機能の異なる独立した装置を設ける場合と異なり、サブユニットの機能部を用いた処理をメインユニットが実施でき、サブユニットは単独で動作する必要がないため、無駄な機能を省いてサブユニットの構成を簡素化することができる。これらの結果、設置環境での用途や設置環境における既設機器に対して柔軟に対応可能としながら、システム構成が複雑化することを抑制可能なガス検知システムを提供できる。
【0010】
上記一の局面によるガス検知システムにおいて、好ましくは、サブユニットは、第2ガス検知部を有する機能部を備えたガス検知ユニットを含み、メインユニットは、第2ガス検知部の出力信号を取得してガス検知ユニットのガス検知判定処理を行うように構成されている。このように構成すれば、メインユニットの検知対象ガスとは異なるガス種のガス検知をガス検知ユニットにより行ったり、メインユニットが接続されるガス採取箇所とは異なるガス採取箇所にガス検知ユニットを接続してガス検知を行ったりできる。そのため、設置環境における用途に応じて、ガス検知システムのガス検知機能を柔軟に拡張できる。また、ガス検知判定処理をメインユニットで行うことにより、ガス検知ユニットにはガス検知判定機能を設ける必要がないので、ガス検知ユニットの構成を効果的に簡素化することができる。
【0011】
この場合において、好ましくは、第1ガス検知部および第2ガス検知部は、それぞれ交換可能なガスセンサを有し、メインユニットは、ガスセンサの交換対象となるユニットにおけるガス検知動作を停止させ、他のユニットにおけるガス検知動作を継続させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、ユニット全体を交換することなく、ガスセンサを交換することで、様々なガス種の中から用途に応じたガス種のセンサを選択できるとともに、使用期間の満了に伴い新品のガスセンサと交換することができる。そして、特定のユニットだけを選択的に動作停止させてガスセンサの交換を行えるので、複数のユニットを相互接続したガス検知システムであっても、ガスセンサの交換時にシステム全体を停止させることなくガス検知動作を継続することができる。
【0012】
上記サブユニットがガス検知ユニットを含む構成において、好ましくは、ガス検知ユニットの機能部は、表示部を備えておらず、メインユニットは、第1ガス検知部による検知ガス濃度および第2ガス検知部による検知ガス濃度を表示部に表示可能に構成されている。このように構成すれば、メインユニットは、ガス検知ユニットのガス検知判定処理を行うだけでなく、ガス検知ユニットの検知ガス濃度の表示処理も行うので、ガス検知ユニットの構成をさらに簡素化することができる。その結果、サブユニットの増設によって設置環境での用途に応じた柔軟な構成変更が可能でありながら、そのサブユニットの増設に起因するシステム構成の複雑化を効果的に抑制することができる。
【0013】
上記サブユニットがガス検知ユニットを含む構成において、好ましくは、メインユニットおよびガス検知ユニットの各々は、検知ガス濃度が所定値以上であることを示すインジケータランプをそれぞれ備え、メインユニットは、第1ガス検知部のガス検知結果に基づいてメインユニットのインジケータランプの点灯制御を行い、第2ガス検知部のガス検知結果に基づいてガス検知ユニットのインジケータランプの点灯制御をさらに行うように構成されている。このように構成すれば、メインユニットおよびガス検知ユニットの各ガス検知結果に基づくガス検知判定処理をメインユニットに集約する構成でありながら、個々のユニットにおいて、検知ガス濃度が所定値以上であることをインジケータランプにより報知することができる。これにより、どの配管と接続するユニットで高いガス濃度が検知されたのかを、高いガス濃度を検知したユニット自体のインジケータランプによって一見して確実に把握することができる。
【0014】
上記一の局面によるガス検知システムにおいて、好ましくは、サブユニットは、信号を入力および/または出力するための接続部を有する機能部を備えた接続ユニットを含み、メインユニットは、接続ユニットに接続された外部機器との間で信号の入力処理または出力処理を行うように構成されている。このように構成すれば、メインユニットは、接続ユニットを介して、メインユニットで接続可能な機器数よりも多い数の外部機器と接続したり、メインユニットには設けられていない種類のインターフェースを備えた外部機器と接続したりできる。そのため、設置環境における既設機器の数や仕様に応じて、ガス検知システムの外部接続(既設機器との連携)機能を柔軟に拡張できる。これにより、メインユニットに過剰な数の入出力端子を設けたり、メインユニットに過剰な種類のインターフェースを設けたりする必要がなく、メインユニットの構成を効果的に簡素化することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、接続ユニットの機能部は、接続部のインターフェースが異なる複数種類の接続モジュールを搭載可能に構成されている。このように構成すれば、入力チャンネル数を拡張する、出力チャンネル数を拡張する、インターフェースの種類を変更する、といった目的に応じた専用の接続モジュールを複数種類用意し、設置環境に応じて接続ユニットに搭載する接続モジュールを選択することにより、設置環境に応じて必要な接続機能だけを接続ユニットに設けることができる。そのため、必要な接続機能を選択的に拡張可能としつつ接続ユニットの構成を簡素化することができる。
【0016】
上記一の局面によるガス検知システムにおいて、好ましくは、メインユニットは、サブユニットに対する電力供給を行うように構成されている。このように構成すれば、個々のユニットへ個別に電力供給を行わなくても、メインユニットに対する電力供給を行うだけで、各ユニットへの電力供給を行うことができ、システム構成を簡素化できる。また、メインユニットが他のユニットへ電力供給を行う構成により、ガス検知システムに電力供給専用のユニットを設ける必要もないので、ユニット数の増大を抑制できる。
【0017】
上記一の局面によるガス検知システムにおいて、好ましくは、メインユニットは、通信によりサブユニットに対する設定処理を行うように構成されている。このように構成すれば、メインユニットとサブユニットとで個別に設定を行う必要がなく、メインユニットにおいて各ユニットの設定処理を集約して行うことができる。このため、ガス検知システムが複数のユニットを備える構成でも、ユーザによる設定作業が煩雑化することを抑制できる。このような効果は、特にサブユニットの数が多くなるほど有用である。
【0018】
上記一の局面によるガス検知システムにおいて、好ましくは、複数のサブユニットを備え、各々のサブユニットは、隣り合うユニット同士で通信可能に接続され、一方に隣接するユニットと他方に隣接するユニットとの間で信号を中継する機能を有する。このように構成すれば、メインユニットを含めて隣り合うユニット同士の間を接続するだけで、全てのサブユニットをメインユニットと通信可能に接続することができる。これにより、メインユニットに多数の接続口を設ける必要がなく、メインユニットの構成を簡素化できる。また、各々のサブユニットを全てメインユニットと接続する場合にユニット間の配線が煩雑になるのと比べて、隣接するユニット間の配線だけで済むので、ユニット間の配線を簡素かつ容易に行える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、設置環境での用途や設置環境における既設機器に対して柔軟に対応可能としながら、システム構成が複雑化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】4つのサブユニットを備えたガス検知システムを例示した斜視図である。
【
図2】ガス検知システムの各ユニットと配管との接続を示した模式図である。
【
図3】ガス検知システムの各ユニットの構成を示したブロック図である。
【
図4】接続ユニットに搭載可能な接続モジュールの種類を説明するための模式図である。
【
図5】ガス検知ユニットに関するメインユニットの機能を説明するための模式図である。
【
図6】接続ユニットに関するメインユニットの機能を説明するための模式図である。
【
図7】メインユニットの表示機能を説明するための模式図である。
【
図8】ガスセンサおよびポンプの交換を説明するための模式図である。
【
図9】メインユニットおよび各ガス検知ユニットに取り付けるガスセンサの組み合わせの例(A)および(B)を説明するための図である。
【
図10】メインユニットによるガスセンサおよびポンプの交換処理を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1~
図10を参照して、一実施形態によるガス検知システム100の構成について説明する。
【0023】
(ガス検知システムの構成)
図1に示すガス検知システム100は、監視対象環境の雰囲気を取り込み、雰囲気中に含有される検知対象ガスの検知を行うシステムである。ガス検知システム100は、採取ガス中の検知対象ガス濃度が予め設定された所定値以上の高濃度である場合に、高濃度の検知対象ガスが検知されたことを報知する機能を有する。検知対象ガスは、特に限定されないが、人体に対する毒性を有するガスや、可燃性を有するガスなど、監視が必要とされるガスである。
【0024】
ガス検知システム100は、たとえば、検知対象ガスを使用する工場などに設置される。一例としては、ガス検知システム100は半導体製造工場に設置され、半導体材料ガス、水素ガス等の可燃性ガスの漏洩を検知する。この場合、ガス採取される監視対象環境は、たとえばガス供給装置の設置箇所、排気ダクト、作業員の作業領域などである。
【0025】
図1に示すように、本実施形態のガス検知システム100は、複数のユニットを備えて構成されている。ガス検知システム100は、1つのメインユニット110と、1つ以上のサブユニット120とを備える。サブユニット120は、メインユニット110とは構成が異なるユニットであり、メインユニット110の機能拡張用のユニットである。
図1の構成例では、サブユニット120には、ガス検知ユニット130と、接続ユニット140との2種類が含まれる。ガス検知ユニット130および接続ユニット140は、それぞれ、特許請求の範囲の「サブユニット」の一例である。
図1は、4つのサブユニット120を設けた例を示している。
【0026】
メインユニット110と各サブユニット120とは、並んで配置されるとともに連結され、通信可能に接続されている。
図1の例では、メインユニット110および各サブユニット120は、相似した外形形状を有する。すなわち、メインユニット110および各サブユニット120は、共通して、直方体形状の筐体を有し、縦長(上下)の長方形状の前面部を有する。メインユニット110および各サブユニット120は、幅方向(左右方向)に直線状に配列される。メインユニット110および各サブユニット120は、各々の背面が取付部材(図示せず)を介して設置場所の壁面などに対して固定される。
【0027】
図2に示すように、メインユニット110は、機能部111と、機能部111を収容する筐体112とを備える。機能部111は、制御部10、表示部14および第1ガス検知部12を有する。メインユニット110は、ガス導入口114およびガス排出口115を有する。第1ガス検知部12は、ガス導入口114から導入された採取ガス中に含まれる検知対象ガスを検知し、採取ガスをガス排出口115から排出する。制御部10は、第1ガス検知部12によるガス検知結果(検知ガス濃度)を取得する。メインユニット110は、制御部10により、第1ガス検知部12によるガス検知判定処理を行い、ガス検知結果を表示部14に表示するように構成されている。また、メインユニット110は、サブユニット120の機能部を用いた処理をさらに行うように構成されている。
【0028】
サブユニット120は、メインユニット110とは異なる機能部を有する。機能部は、サブユニット120の種類によって異なる。
【0029】
具体的には、ガス検知ユニット130は、第2ガス検知部42を有する機能部131を備える。ガス検知ユニット130は、機能部131を収容する筐体132を備える。ガス検知ユニット130は、ガス導入口134およびガス排出口135を有する。第2ガス検知部42は、ガス導入口134から導入された採取ガス中に含まれる検知対象ガスを検知し、採取ガスをガス排出口135から排出する。第2ガス検知部42の検知対象ガスは、第1ガス検知部12の検知対象ガスと同じであってもよく、異なっていてもよい。ガス検知ユニット130は、メインユニット110の制御部10と通信を行う制御部40を備える。制御部40は、メインユニット110の制御部10に対して、第2ガス検知部42の出力信号を送信する。後述するが、メインユニット110は、第2ガス検知部42の出力信号を取得してガス検知ユニット130のガス検知判定処理を行うように構成されている。
【0030】
第1ガス検知部12の検知対象ガスと同じガス検知ユニット130は、メインユニット110に対して、ガス検知部の数を増大させる拡張機能を有する。第1ガス検知部12の検知対象ガスと異なるガス検知ユニット130は、メインユニット110に対して、同時検知可能なガス種を増大させる拡張機能を有する。
【0031】
また、接続ユニット140は、信号を入力および/または出力するための接続部を有する機能部141を備える。接続ユニット140は、機能部141を収容する筐体142を備える。接続部は、外部機器90と接続される信号の入力端子または出力端子のことである。接続ユニット140は、メインユニット110に対して、信号入力の最大接続数を増大させたり、信号出力の最大接続数を増大させたり、あるいは接続可能なインターフェースの種類数を増大させたりする拡張機能を有する。
【0032】
メインユニット110は、接続ユニット140に接続された外部機器90との間で信号の入力処理または出力処理を行うように構成されている。接続ユニット140は、たとえば外部機器90として複数の報知器と接続され、メインユニット110は、接続ユニット140を介して、それぞれの報知器へ信号出力を行う。接続ユニット140は、たとえば外部機器90として複数のガス検知器と接続され、メインユニット110は、接続ユニット140を介して、それぞれのガス検知器からの信号入力を受け付ける。
【0033】
図2では、4つのサブユニット120のうち、3つがガス検知ユニット130である。3つのガス検知ユニット130は、メインユニット110の一方側面(
図2の右側)に並んで(連続して)配置される。これにより、ガス検知可能なユニットがまとまって並ぶので、ガス検知システム100は、複数のユニットに対して採取ガスを分配し、複数のユニットからの排出ガスを集約する集合配管150を接続可能に構成されている。
【0034】
集合配管150は、1つのガス入口151および1つのガス出口152と、ガス入口151から分岐して複数のユニットのガス導入口(ガス導入口114、ガス導入口134)に並列接続される分配路153と、複数のユニットのガス排出口(ガス排出口115、ガス排出口135)に並列接続されてガス出口152に接続する集合路154と、を含む。
【0035】
集合配管150は、ガス入口151に接続される配管160と、ガス出口152に接続される配管160との2本の配管160を、複数(
図2では3つ)のユニットにまとめて接続させるので、接続する配管160の数を削減できる。集合配管150は、複数のユニットの全部に接続してもよいし、
図2のように複数のユニットの一部のみに接続してもよい。
図2のように、残りのユニットには、集合配管150に接続される配管160とは別の監視対象環境に繋がる配管160を接続できる。
【0036】
図2の例では、4つのサブユニット120のうち、1つが接続ユニット140である。接続ユニット140は、複数のユニットの配列方向の端部(
図2の右端または左端)に配置される。
図2では、接続ユニット140は、メインユニット110の他方側面(
図2の左側)に配置され、複数のユニットの左端に配置されている。これにより、接続ユニット140が他のユニットに両側から挟まれる場合と異なり、接続ユニット140の片側に他のユニットが配置されずにスペースが空くため、接続ユニット140を複数の外部機器90と接続するためのケーブル処理が容易に行える。
【0037】
(ユニットの詳細構成)
次に、ガス検知システム100の各ユニットの詳細な構成を説明する。
【0038】
〈メインユニット〉
図3に示すように、メインユニット110の機能部111は、制御部10、記憶部11、第1ガス検知部12、インジケータランプ13、表示部14、入力部15、無線通信部16、有線通信部17、電源部18、および、外部入出力のためのインターフェース(I/O部19a、19b、19c)を備える。
【0039】
制御部10は、プロセッサにより構成され、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、メインユニット110の全体の制御処理を行う。また、制御部10は、各サブユニット120の制御部との通信を行う。制御部10は、プログラムを実行することによる機能ブロックとして、ガス検知判定処理を行う判定部10aを有する。制御部10は、メインユニット110の制御に加えて、各サブユニット120の機能部を用いた所定の処理を実行する。本実施形態では、メインユニット110と各サブユニット120とは、メインユニット110をマスタ-ユニット、サブユニット120をスレーブユニットとした、マスタースレーブ制御方式で動作するように構成されている。
【0040】
判定部10aは、第1ガス検知部12および第2ガス検知部42の各出力信号に基づき、検知対象ガスの検知ガス濃度を取得する。判定部10aは、検知ガス濃度が予め設定された所定値(判定閾値)以上であるか否かを判定するガス検知判定処理を行う。判定閾値は、第1レベルと、第1レベルよりも高濃度の第2レベルとが設定されている。判定部10aは、検知ガス濃度が第1レベル未満の場合に、正常の判定結果を出力する。判定部10aは、検知ガス濃度が第1レベル以上第2レベル未満の場合に、第1段階の判定結果を出力する。判定部10aは、検知ガス濃度が第2レベル以上の場合に、第2段階の判定結果を出力する。第2段階は、第1段階よりも緊急度が高い判定結果である。後述するように、第1段階または第2段階の判定結果が出力される場合、制御部10が、判定結果の段階に応じた所定の報知処理を実行する。
【0041】
記憶部11は、プログラム、ガス検知結果のログデータ(判定結果、検知ガス濃度)、各種設定情報などを記憶する。記憶部11は、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置により構成される。
【0042】
第1ガス検知部12は、ガスセンサ80およびポンプ81を含む。ポンプ81は、ガス導入口114(
図2参照)からガスセンサ80へ採取ガスを吸引し、ガスセンサ80に暴露した採取ガスをガス排出口115(
図2参照)から排出するように構成されている。ガスセンサ80は、検知対象ガスを検知し、検知対象ガスの濃度に応じた信号を出力することが可能である。制御部10が、ガスセンサ80の出力信号(ガス検知信号)を取得して、出力信号に応じた検知対象ガスの濃度値を取得する。
【0043】
インジケータランプ13は、点灯や点滅により、メインユニット110における情報の報知を行う。
図1に示した例では、メインユニット110の前面部113の上部に、5つのインジケータランプ13が横一列に並んで設けられている。5つのインジケータランプ13は、制御部10の制御により点灯、消灯し、それぞれ異なる状態を点灯により報知する。
【0044】
具体的には、各インジケータランプ13は、1つ目が電源オン状態を報知し、2つ目がメインユニット110自体に何らかの異常があること(異常状態)を報知し、3つ目が第1段階のガス濃度検知を報知し、4つ目が第2段階のガス濃度検知を報知し、5つ目がメンテナンスモードにあることを報知する。
【0045】
表示部14は、文字又は図形により各種情報を表示可能なディスプレイ装置により構成されている。ディスプレイ装置は、たとえばLCD(液晶表示装置)である。
図1に示した例では、表示部14は、メインユニット110の前面部113の中央に設けられている。
【0046】
入力部15は、メインユニット110に対する操作入力を受け付ける入力装置により構成されている。
図1に示した例では、入力部15は、メインユニット110の前面部113の下部に設けられた複数(4つ)のキースイッチを含む。
【0047】
図3に戻り、無線通信部16は、無線通信モジュールにより構成されている。無線通信部16は、たとえばBluetooth Low Energy(「Bluetooth」は登録商標)による無線通信を行い、制御部10と外部の機器との無線通信接続を可能にする。
【0048】
有線通信部17は、たとえばイーサネット(登録商標)に準拠した有線通信を行うように構成されている。電源部18は、外部の電力源と接続され、メインユニット110の各部に電力を供給する機能を有する。メインユニット110は、I/O部19bを介して制御装置201と接続され、さらに制御装置201を介して上位コンピュータ202と接続されている。メインユニット110は、PoE(Power over Ethernet(登録商標))機能により、I/O部19bに接続されたLANケーブルを介して、有線通信部17による通信信号の伝送と、電源部18への電力供給との両方が可能なように構成されている。
【0049】
メインユニット110は、制御装置201および上位コンピュータ202を備えた上位システム200との通信により、上位システム200に対して、メインユニット110および各サブユニット120のステータス情報を送信する。また、メインユニット110は、上位システム200に対して、メインユニット110が取得した検知ガス濃度のデータ、各ガス検知ユニット130にて取得された検知ガス濃度のデータ、接続ユニット140を介して接続された外部機器90から取得した検知ガス濃度のデータを送信する。上位システム200は、ガス検知システム100が設置されている施設(工場など)の全体を管理するためのシステムである。
【0050】
I/O部19aは、ユニット間接続部20、アナログ入力部21、接点出力部22、アナログ出力部23を含んでいる。
【0051】
ユニット間接続部20は、ガス検知システム100に設けられた他のユニットとの通信接続を可能にするインターフェースである。メインユニット110は、ユニット間接続部20を介して、ケーブル等の接続部材85により、隣接する2つのサブユニット120と接続可能である。このため、
図1に示したように、メインユニット110は、
図1の右隣の1つのガス検知ユニット130と、
図1の左隣の1つの接続ユニット140とに、接続されている。
【0052】
アナログ入力部21は、外部機器90(ガス検知器)からのアナログ出力信号の入力用インターフェースである。アナログ信号は、4-20mA電流信号である。接点出力部22は、外部機器90(警報ブザーや報知灯など)を作動させるためのオンオフ信号(接点信号)の出力用インターフェースである。アナログ出力部23は、外部機器90に対して、第1ガス検知部12の出力信号を4-20mAアナログ出力信号として出力するための出力用インターフェースである。メインユニット110は、接続ユニット140を介することなく、これらのアナログ入力部21、接点出力部22、アナログ出力部23によって外部機器90と接続することができる。
【0053】
I/O部19bは、上記の通り、イーサネット(登録商標)通信用のLANケーブルを接続するためのインターフェースである。I/O部19cは、設定端末210との通信を行うためのインターフェースであり、たとえばUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)インターフェースである。設定端末210は、たとえば可搬型PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型端末、スマートフォンなどである。
【0054】
〈ガス検知ユニット〉
本実施形態では、ガスセンサ80の種類が異なる場合がある他は、各ガス検知ユニット130の装置構成は同一である。そのため
図3では、メインユニット110に隣接する1つのガス検知ユニット130の構成のみを詳細に図示しており、残りの2つのガス検知ユニット130の詳細な構成については図示を省略している。
【0055】
ガス検知ユニット130の機能部131は、制御部40、記憶部41、第2ガス検知部42、インジケータランプ43、および、外部入出力のためのインターフェース(I/O部44)を備える。
【0056】
制御部40は、プロセッサにより構成され、記憶部41に記憶されたプログラムを実行することにより、ガス検知ユニット130の全体の制御処理を行う。制御部40は、メインユニット110(制御部10)からの制御に基づいて、第2ガス検知部42によるガス検知を行うように構成されている。
【0057】
記憶部41は、プログラム、メインユニット110から送信された設定情報などを記憶する。記憶部41は、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置により構成される。制御部40は、記憶部41に記憶された設定情報に基づいて、第2ガス検知部42のガス検知動作(ポンプ81の動作、ガスセンサ80の出力信号の取得)を制御する。制御部40は、第2ガス検知部42のガス検知信号を、I/O部44(ユニット間接続部45)を介してメインユニット110に出力する。
【0058】
第2ガス検知部42は、ポンプ81およびガスセンサ80を含む。ポンプ81は、ガス導入口134(
図2参照)からガスセンサ80へ採取ガスを吸引し、ガスセンサ80に暴露した採取ガスをガス排出口135(
図2参照)から排出するように構成されている。
【0059】
インジケータランプ43は、メインユニット110のインジケータランプ13と同様であり、5つ設けられている。5つのインジケータランプ43の各々の機能も、5つのインジケータランプ13の各々の機能と同じである。
図1に示した例では、ガス検知ユニット130のインジケータランプ43は、メインユニット110のインジケータランプ13と同じ位置(前面部133の上部)に、同じ配置で設けられている。制御部40は、メインユニット110(制御部10)からの制御に基づいて、各インジケータランプ43の点灯制御を行う。
【0060】
図3に戻り、I/O部44は、ユニット間接続部45を有する。ガス検知ユニット130は、ユニット間接続部45を介して、接続部材85により、隣接する2つのユニット(メインユニット110、ガス検知ユニット130または接続ユニット140)と接続可能である。これにより、3つのガス検知ユニット130の各々は、互いに隣接するユニットと、ユニット間接続部45を介して通信可能に接続されている。
【0061】
このように、本実施形態では、各々のサブユニット120は、隣り合うユニット同士で通信可能に接続され、一方に隣接するユニットと他方に隣接するユニットとの間で信号を中継する機能を有する。
【0062】
たとえば
図2の右端のガス検知ユニット130は、メインユニット110との間で、中間の2つのガス検知ユニット130を介して通信を行う。つまり、メインユニット110および各サブユニット120は、数珠つなぎに(いわゆるデイジーチェーン方式で)接続され、隣接するサブユニット120同士で順次信号を受け渡すことにより、メインユニット110と各サブユニット120との間の通信を行うように構成されている。なお、
図2では、便宜的に、各ユニットのユニット間接続部を省略し、各ユニットの制御部同士が接続されているように図示している。
【0063】
図3に示すように、ガス検知ユニット130の機能部131は、メインユニット110の機能部111とは異なり、表示部を備えていない。この他、ガス検知ユニット130の機能部131は、入力部(入力用キースイッチ)、無線通信部(無線通信機能)、有線通信部(イーサネット(登録商標)に準拠した有線通信機能)を備えていない。また、ガス検知ユニット130のI/O部44は、メインユニット110のI/O部19aとは異なり、ユニット間接続部45以外のアナログ入力部21、接点出力部22、アナログ出力部23を備えていない。
【0064】
このように、メインユニット110とガス検知ユニット130とは、共にガス検知機能を有するユニットであるが、ガス検知ユニット130の機能部131は、メインユニット110の機能部111と比べて構成が簡素化されている。
【0065】
〈接続ユニット〉
図3に示すように、接続ユニット140の機能部141は、接続モジュール60、インジケータランプ61、および、I/O部62を備える。
【0066】
インジケータランプ61は、
図1の例では3つ設けられており、個々の接続モジュール60に対してメインユニット110からの給電状態をそれぞれ点灯により報知するランプが2つと、後述するデジタル通信モジュール60dが設けられた場合の通信状態を点灯により報知するランプが1つある。
【0067】
図3に戻り、I/O部62は、ユニット間接続部63を有する。接続ユニット140は、ユニット間接続部63を介して、接続部材85により、隣接する2つのユニット(メインユニット110、ガス検知ユニット130または接続ユニット140)と接続可能である。
【0068】
接続ユニット140の機能部141は、接続部のインターフェースが異なる複数種類の接続モジュール60を搭載可能に構成されている。これにより、接続ユニット140は、搭載されている接続モジュール60の種類に応じた接続機能を有している。
【0069】
本実施形態では、機能部141は最大で2つの接続モジュール60を搭載でき、機能部141には、少なくとも1つの接続モジュール60が搭載されている。
【0070】
複数種類の接続モジュール60は、いずれも、制御部64と、インターフェース(I/O部65)とを含む。接続モジュール60の制御部64は、ユニット間接続部63を介して、メインユニット110(制御部10)との間で信号の入出力を行う。制御部64は、I/O部65により、外部機器90と接続される。
【0071】
接続モジュール60の種類について、
図4を参照して説明する。
【0072】
複数種類の接続モジュール60の1つは、アナログ入力モジュール60aである。アナログ入力モジュール60aのI/O部65(
図3参照)は、アナログ出力信号(4-20mAアナログ信号)の入力用接続部を、複数備える。アナログ入力モジュール60aが接続可能な外部機器90の最大数は、メインユニット110のアナログ入力部21(
図3参照)が接続可能な外部機器90の最大数よりも多い。アナログ入力モジュール60aには、たとえば外部機器90としてガス検知器が接続され、それぞれのガス検知器からのガス検知信号であるアナログ出力信号が入力される。メインユニット110の制御部10は、アナログ入力モジュール60aを介して取得したそれぞれのガス検知器からの信号についてガス検知判定処理を行う。
【0073】
複数種類の接続モジュール60の1つは、接点出力モジュール60bである。接点出力モジュール60bのI/O部65(
図3参照)は、接点信号の出力用接続部を、複数備える。接点出力モジュール60bが接続可能な外部機器90の最大数は、メインユニット110の接点出力部22(
図3参照)が接続可能な外部機器90の最大数よりも多い。接点出力モジュール60bには、たとえば外部機器90として報知器(警報ブザーや報知灯など)が接続される。メインユニット110の制御部10は、接点出力モジュール60bを介して、それらの制御機器に接点信号を出力させることにより、各報知器を作動させることが可能である。
【0074】
複数種類の接続モジュール60の1つは、アナログ出力モジュール60cである。アナログ出力モジュール60cのI/O部65(
図3参照)は、アナログ信号の出力用接続部を、複数備える。アナログ出力モジュール60cが接続可能な外部機器90の最大数は、メインユニット110のアナログ出力部23(
図3参照)が接続可能な外部機器90の最大数よりも多い。アナログ出力モジュール60cには、たとえば外部機器90として、アナログ入力対応の上位システムや信号処理装置が接続される。メインユニット110の制御部10は、アナログ出力モジュール60cを介して、それらの機器に対して、検知ガス濃度信号を4-20mAアナログ信号として出力させる処理を行う。
【0075】
複数種類の接続モジュール60の1つは、デジタル通信モジュール60dである。デジタル通信モジュール60dのI/O部65(
図3参照)は、デジタル通信用接続部を備える。デジタル通信モジュール60dのデジタル通信用接続部は、メインユニット110が備える通信用インターフェースとは異なるインターフェースである。たとえば、メインユニット110のI/O部19b(
図3参照)がRJ-45コネクタを使用したインターフェースであり、イーサネット(登録商標)またはModbus(登録商標)/TCPに準拠した通信を行うのに対して、デジタル通信モジュール60dのI/O部65は、RS-485コネクタを使用したデジタル通信用接続部であり、Modbus(登録商標)/RTUに準拠した通信を行う。これにより、メインユニット110の制御部10は、デジタル通信モジュール60dを介して、メインユニット110には設けられていないインターフェースを採用する上位システムとの間でデジタル通信を行うことが可能である。
【0076】
接続モジュール60は、上記した以外の種類であってもよい。接続ユニット140の機能部141には、設置環境における接続機器の台数や、設置環境の既存設備のインターフェース、通信規格などに応じた種類の1つまたは2つの接続モジュール60が予め選択された上で搭載されている。
【0077】
(メインユニットの機能)
次に、上記構成を備えたメインユニット110の詳細な機能について説明する。
【0078】
〈電力供給機能〉
本実施形態では、メインユニット110は、サブユニット120に対する電力供給を行うように構成されている。具体的には、
図3に示したように、メインユニット110は、I/O部19bを介して電源部18により取得した電力を、メインユニット110の機能部111に供給するとともに、ユニット間接続部20を介して、各サブユニット120に対して供給するように構成されている。
【0079】
〈設定機能〉
また、本実施形態では、メインユニット110は、通信によりサブユニット120に対する設定処理を行うように構成されている。
【0080】
具体的には、
図3に示したように、制御部10は、入力部15への操作入力により、設定情報を取得可能である。また、制御部10は、無線通信部16による無線接続、またはI/O部19cを介した有線接続により設定端末210との通信を行い、設定端末210から設定情報を取得可能である。また、制御部10は、有線通信部17およびI/O部19bを用いた上位システム200との通信により、上位システム200から設定情報を取得可能である。
【0081】
制御部10は、取得したメインユニット用の設定情報によりメインユニット110の各種処理に関する設定処理を行う。制御部10は、取得したサブユニット用の設定情報を、ユニット間接続部20を介してサブユニット120に送信することにより、サブユニット120に対する設定処理を行う。サブユニット120に対する設定処理は、たとえばガス検知ユニット130に対するガス検知動作の設定処理を含む。サブユニット120に対する設定処理は、たとえば接続ユニット140に対するデジタル通信の設定処理を含む。
【0082】
〈サブユニットの制御機能〉
また、
図5に示すように、メインユニット110は、各ガス検知ユニット130から、そのガス検知ユニット130のステータス(動作情報)およびガス検知信号を取得する。メインユニット110は、取得したガス検知信号に基づき、個々のガス検知ユニット130のガス検知判定処理を行う。メインユニット110は、ガス検知判定と、取得した動作情報とに基づいて、各ガス検知ユニット130に対して、個別にランプ点灯指令を送信し、インジケータランプ43を用いた報知を実行させる。
【0083】
たとえば、判定部10aによる第2ガス検知部42のガス検知信号に対するガス検知判定処理の結果、第1段階または第2段階の判定結果が出力されると、メインユニット110(制御部10)から制御部40に対して、判定結果に対応する第1段階のガス濃度検知または第2段階のガス濃度検知のインジケータランプ43を点灯させるランプ点灯指令が出力される。ガス検知ユニット130の制御部40は、ランプ点灯指令に応じて対応するインジケータランプ43を点灯させる。このように、メインユニット110は、第2ガス検知部42のガス検知結果に基づいてガス検知ユニット130のインジケータランプ43の点灯制御を行う。
【0084】
この他、メインユニット110は、各ガス検知ユニット130に対してモード切替指令を送信することにより、個々のガス検知ユニット130の動作モードを切り替える処理を行う。動作モードの切り替えについては、後述する。
【0085】
図6に示すように、メインユニット110は、接続ユニット140に対して、電力供給を行う。また、メインユニット110は、接続ユニット140に接続された外部機器90との間で信号の入力処理または出力処理を行う。
【0086】
すなわち、メインユニット110は、接続ユニット140に搭載された接続モジュール60の種類に応じて、外部機器へのアナログ信号の出力処理、外部機器90への接点信号の出力処理、外部機器90からのアナログ信号の入力(受付)処理、外部機器90との間でのデジタル通信処理のいずれか1つまたは2つを行う。
【0087】
〈表示機能〉
また、
図7に示すように、メインユニット110は、第1ガス検知部12による検知ガス濃度および第2ガス検知部42による検知ガス濃度を表示部14に表示可能に構成されている。
【0088】
図7は、メインユニット110の表示部14に表示される画面の一例として、検知結果表示画面70を示す。
図7の検知結果表示画面70は、複数(4つ)の検知結果表示領域71a~71dを含む。検知結果表示領域71aは、メインユニット110の第1ガス検知部12による検知結果を表示し、検知結果表示領域71bは、1つ目のガス検知ユニット130の第2ガス検知部42による検知結果を表示し、検知結果表示領域71cは、2つ目のガス検知ユニット130の第2ガス検知部42による検知結果を表示し、検知結果表示領域71dは、3つ目のガス検知ユニット130の第2ガス検知部42による検知結果を表示する。
【0089】
検知結果表示領域71a~71dの各々は、チャンネル表示欄72とガス濃度表示欄73と、報知表示欄74と、を含む。
【0090】
チャンネル表示欄72は、メインユニット110が処理するガス検知信号のチャンネルを識別するためのチャンネル番号を表示する。ここでは、メインユニット110および3つのガス検知ユニット130にそれぞれ1番~4番のチャンネル番号が割り当てられている。アナログ入力部21や接続ユニット140を介して外部機器90(ガス検知器)からのガス検知信号がメインユニット110に入力される場合、それぞれのガス検知信号について個別のチャンネル番号が割り当てられる。
【0091】
ガス濃度表示欄73は、検知対象ガスを特定するガス種情報73aと、ガス濃度値73bとを表示する。ガス種情報73aは、設定情報としてチャンネル番号毎に予め登録される。ガス濃度値73bは、ガス検知信号に基づいて取得された検知ガス濃度の値である。各検知結果表示領域71a~71dのガス濃度表示欄73により、第1ガス検知部12による検知ガス濃度および第2ガス検知部42による検知ガス濃度が表示される。
【0092】
報知表示欄74は、メインユニット110のインジケータランプ13およびガス検知ユニット130のインジケータランプ43で報知される報知内容が、表示部14において確認可能なように表示される。報知表示欄74では、5つのインジケータランプによる報知内容のうちの電源オン状態以外の、1段階のガス濃度検知(アイコン74a)、第2段階のガス濃度検知(アイコン74b)、異常状態(アイコン74d)、メンテナンスモード(アイコン74c)、の4つの状態がアイコンで表示される。
図7では、便宜的に全てのアイコンを表示した状態を示しているが、実際には、報知内容に応じたアイコンのみが表示され、いずれの状態にも該当しない場合には全てのアイコンが非表示となる。
【0093】
なお、5番以降のチャンネルの検知結果表示領域は、メインユニット110の入力部15に対する操作入力に応じて、画面切替によって表示される。
図7の例では、4つの検知結果表示領域71a~71dを1画面で表示しているが、1画面に表示する検知結果表示領域の数は任意である。
【0094】
(ガスセンサ、ポンプの交換処理)
図3に示すように、本実施形態では、メインユニット110の第1ガス検知部12およびガス検知ユニット130の第2ガス検知部42は、それぞれ交換可能なガスセンサ80を有している。また、メインユニット110の第1ガス検知部12およびガス検知ユニット130の第2ガス検知部42は、それぞれ交換可能なポンプ81を有している。
【0095】
具体的には、
図8に示すように、メインユニット110は、筐体112の一部が開閉可能に構成され、開放状態で筐体112の内部に配置されたガスセンサ80およびポンプ81を着脱することが可能である。
図8の例では、筐体112が第1部分112aと第1部分112aに対して開閉可能な第2部分112bとを含む。第2部分112bは筐体112の前面部113を含む前面カバーである。第1部分112aに対し第2部分112bを閉じることで、ガスセンサ80およびポンプ81が筐体112の内部に収納される。
【0096】
なお、
図1に示すように、ガス検知ユニット130の筐体132も、第1部分132aおよび第2部分132bを含んでおり、メインユニット110の筐体112と同様にガスセンサ80およびポンプ81を交換可能となっている。
【0097】
ガスセンサ80は、各種の半導体材料ガス、水素ガスその他の可燃性ガスなど、検知対象ガス種に応じて複数種類が用意されている。これにより、メインユニット110の第1ガス検知部12および各ガス検知ユニット130の第2ガス検知部42は、用途に応じたガスセンサ80を取り付けることにより、複数種類のガス種のうちから所望のガス種を検知対象ガス種として選択することができる。
【0098】
たとえば
図9(A)は、各ユニットに異なる種類のガスセンサ80が取り付けられた例を示しており、各ユニットの検知対象ガス種をG1~G4で示している。たとえば同一の監視対象環境からの採取ガスを各ユニットに分配供給することによって、同じ採取ガス中に含まれる複数種類の検知対象ガスを検知できる。
図9(B)は、各ユニットに同じ種類のガスセンサ80(検知対象ガス種:G1)が取り付けられた例を示している。たとえばそれぞれ異なる監視対象環境からの採取ガスを各ユニットに別々に供給することによって、複数の監視対象環境における特定の検知対象ガスの検知処理を1つのガス検知システム100に集約できる。
【0099】
ガスセンサ80およびポンプ81は、いずれも使用期間が設定されている。使用期間の経過に伴って、作業者により各ユニットに対してガスセンサ80およびポンプ81の交換作業が行われる。
【0100】
本実施形態では、メインユニット110は、ガスセンサ80の交換対象となるユニットにおけるガス検知動作を停止させ、他のユニットにおけるガス検知動作を継続させる制御を行うように構成されている。なお、メインユニット110は、ポンプ81の交換時にも同様の制御を行う。
【0101】
ガスセンサ80(およびポンプ81)の交換時の処理を、
図10を参照して説明する。
図10は、メインユニット110および各ガス検知ユニット130の動作モードの遷移例を示したタイムチャートであり、
図10の上方から下方に向けて時間の流れを示している。
図10では、便宜的に、2つのガス検知ユニット130(ユニットA、ユニットBとする)のみを図示している。以下の各ユニットの動作制御は、それぞれのユニットの制御部(制御部10、制御部40)によって実行される。
【0102】
メインユニット110および各ガス検知ユニット130は、それぞれのガス検知部を用いてガス検知を行うガス検知モード(通常稼働時のモード)と、ガスセンサ80(およびポンプ81)の交換作業を行うための交換モードと、で動作するように構成されている。そして、交換モードで動作する場合、メインユニット110およびガス検知ユニット130は、ガス検知部(ガスセンサ80およびポンプ81)への電力供給を停止するように構成されている。交換モードは、メンテナンスモードの一種である。交換モードで動作中のユニットでは、メンテナンスモードを報知するインジケータランプが点灯する。交換モードで動作中のユニットについて、検知結果表示画面70において該当するアイコン74dが表示される。
【0103】
図10に示すように、通常稼働時、検知モードで動作するメインユニット110は、第1ガス検知部12(
図2参照)に電力供給を行い、ガス検知信号(ガスセンサ80の出力信号)を取得して、ガス検知判定処理を行う。また、検知モードで動作するガス検知ユニット130は、第2ガス検知部42(
図2参照)に電力供給を行い、ガス検知信号を取得する。メインユニット110は、検知モードで動作するガス検知ユニット130からガス検知信号を取得して、ガス検知判定処理を行う。
【0104】
ガスセンサ80およびポンプ81の一方または両方を交換する場合、作業者が、メインユニット110の入力部15に対して操作入力を行い、交換対象となるユニット(メインユニット110またはいずれかのガス検知ユニット130)を指定する。
【0105】
メインユニット110は、いずれかのガス検知ユニット130が交換対象として指定された場合、そのガス検知ユニット130に対して、モード切替信号を送信する。
図10は、2つのガス検知ユニット130のうち、ユニットAが交換対象として指定された場合を示している。
【0106】
モード切替信号を受信したガス検知ユニット130(ユニットA)は、動作モードを検知モードから交換モードに切り替える。すなわち、ユニットAの制御部40は、第2ガス検知部42(
図3参照)のガスセンサ80およびポンプ81に対する電力供給を停止する。交換モードに切り替わると、作業者は、交換モードに移行したガス検知ユニット130(ユニットA)の筐体132の第2部分132bを開放してガスセンサ80、ポンプ81の交換作業を行う。
【0107】
交換作業の間、交換対象でないメインユニット110および他のガス検知ユニット130(ユニットB)は、検知モードで動作し、ガス検知信号を生成する。ガス検知ユニット130(ユニットB)は、ガス検知信号をメインユニット110に送信する。
【0108】
作業者は、交換作業が完了すると、メインユニット110の入力部15に対して操作入力を行い、交換作業が完了したガス検知ユニット130(ユニットA)を指定して検知動作の再開を指示する。
【0109】
メインユニット110は、検知動作の再開指示を受け付けた場合、指定されたガス検知ユニット130(ユニットA)に対して、モード切替信号を送信する。
【0110】
モード切替信号を受信したガス検知ユニット130(ユニットA)は、動作モードを交換モードから検知モードに切り替える。これにより、ガス検知ユニット130(ユニットA)は、第2ガス検知部42への電力供給を再開し、ガス検知動作を再開する。
【0111】
メインユニット110は、メインユニット110が交換対象として指定された場合、メインユニット110自身の動作モードを検知モードから交換モードに切り替える。メインユニット110は、交換モードで動作している間、第1ガス検知部12(
図3参照)のガスセンサ80およびポンプ81に対する電力供給を停止し、第1ガス検知部12によるガス検知動作を停止する一方、それぞれのガス検知ユニット130から取得したガス検知信号に対するガス検知判定処理は継続する。
【0112】
メインユニット110は、作業者による交換作業が完了した後、入力部15を介して、メインユニット110を指定した検知動作の再開指示を受け付ける。これにより、メインユニット110は、メインユニット110自身の動作モードを交換モードから検知モードに切り替え、第1ガス検知部12への電力供給を再開し、ガス検知動作を再開する。
【0113】
なお、メインユニット110は、入力部15(
図3参照)に対する操作入力の代わりに、無線通信部16またはI/O部19cを介した設定端末210との通信により、交換対象の指定の受付および検知動作の再開指示の受付を行うことが可能である。
【0114】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0115】
本実施形態では、上記のように、ガス検知システム100は、表示部14および第1ガス検知部12を備えたメインユニット110と、メインユニット110とは異なる機能部(131、141)を有する1つ以上のサブユニット120と、を備え、メインユニット110とサブユニット120とは、並んで配置されるとともに連結され、通信可能に接続されており、メインユニット110は、第1ガス検知部12によるガス検知判定処理を行い、ガス検知結果を表示部14に表示するとともに、サブユニット120の機能部(131、141)を用いた処理をさらに行うように構成されている。
【0116】
上記構成により、単独でガス検知判定処理が可能なメインユニット110に対して、メインユニット110とは異なる機能部(131、141)を備えたサブユニット120を設けることによって、設置環境におけるガス検知システム100の用途や設置環境の既設機器の仕様に応じて、メインユニット110の機能拡張を図ることができる。また、機能拡張のためにメインユニット110とは機能の異なる独立した装置を設ける場合と異なり、サブユニット120の機能部を用いた処理をメインユニット110が実施でき、サブユニット120は単独で動作する必要がないため、無駄な機能を省いてサブユニット120の構成を簡素化することができる。これらの結果、設置環境での用途や設置環境における既設機器に対して柔軟に対応可能としながら、システム構成が複雑化することを抑制可能なガス検知システム100を提供できる。
【0117】
また、本実施形態では、上記のように、サブユニット120は、第2ガス検知部42を有する機能部131を備えたガス検知ユニット130を含み、メインユニット110は、第2ガス検知部42の出力信号を取得してガス検知ユニット130のガス検知判定処理を行うように構成されている。これにより、メインユニット110の検知対象ガスとは異なるガス種のガス検知をガス検知ユニット130により行ったり、メインユニット110が接続されるガス採取箇所とは異なるガス採取箇所にガス検知ユニット130を接続してガス検知を行ったりできる。そのため、設置環境における用途に応じて、ガス検知システム100のガス検知機能を柔軟に拡張できる。また、ガス検知判定処理をメインユニット110で行うことにより、ガス検知ユニット130にはガス検知判定機能を設ける必要がないので、ガス検知ユニット130の構成を効果的に簡素化することができる。
【0118】
また、本実施形態では、上記のように、第1ガス検知部12および第2ガス検知部42は、それぞれ交換可能なガスセンサ80を有し、メインユニット110は、ガスセンサ80の交換対象となるユニットにおけるガス検知動作を停止させ、他のユニットにおけるガス検知動作を継続させる制御を行うように構成されている。これにより、ユニット全体を交換することなく、ガスセンサ80を交換することで、様々なガス種の中から用途に応じたガス種のセンサを選択できるとともに、使用期間の満了に伴い新品のガスセンサ80と交換することができる。そして、特定のユニットだけを選択的に動作停止させてガスセンサ80の交換を行えるので、複数のユニットを相互接続したガス検知システム100であっても、ガスセンサ80の交換時にシステム全体を停止させることなくガス検知動作を継続することができる。
【0119】
また、本実施形態では、上記のように、ガス検知ユニット130の機能部131は、表示部14を備えておらず、メインユニット110は、第1ガス検知部12による検知ガス濃度および第2ガス検知部42による検知ガス濃度を表示部14に表示可能に構成されている。これにより、メインユニット110は、ガス検知ユニット130のガス検知判定処理を行うだけでなく、ガス検知ユニット130の検知ガス濃度の表示処理も行うので、ガス検知ユニット130の構成をさらに簡素化することができる。その結果、サブユニット120の増設によって設置環境での用途に応じた柔軟な構成変更が可能でありながら、そのサブユニット120の増設に起因するシステム構成の複雑化を効果的に抑制することができる。
【0120】
また、本実施形態では、上記のように、メインユニット110およびガス検知ユニット130の各々は、検知ガス濃度が所定値以上であることを示すインジケータランプ(13、43)をそれぞれ備え、メインユニット110は、第1ガス検知部12のガス検知結果に基づいてメインユニット110のインジケータランプ13の点灯制御を行い、第2ガス検知部42のガス検知結果に基づいてガス検知ユニット130のインジケータランプ43の点灯制御をさらに行うように構成されている。これにより、メインユニット110およびガス検知ユニット130の各ガス検知結果に基づくガス検知判定処理をメインユニット110に集約する構成でありながら、個々のユニットにおいて、検知ガス濃度が所定値以上であることを報知することができる。その結果、どの配管160と接続するユニットで高いガス濃度が検知されたのかを、高いガス濃度を検知したユニット自体のインジケータランプ(13、43)によって一見して確実に把握することができる。
【0121】
また、本実施形態では、上記のように、サブユニット120は、信号を入力および/または出力するための接続部を有する機能部141を備えた接続ユニット140を含み、メインユニット110は、接続ユニット140に接続された外部機器90との間で信号の入力処理または出力処理を行うように構成されている。これにより、接続ユニット140を介して、メインユニット110で接続可能な機器数よりも多い数の外部機器90と接続したり、メインユニット110には設けられていない種類のインターフェースを備えた外部機器90と接続したりできる。そのため、設置環境における既設機器の数や仕様に応じて、ガス検知システム100の外部接続(既設機器との連携)機能を柔軟に拡張できる。これにより、メインユニット110に過剰な数の入出力端子を設けたり、メインユニット110に過剰な種類のインターフェースを設けたりする必要がなく、メインユニット110の構成を効果的に簡素化することができる。
【0122】
また、本実施形態では、上記のように、接続ユニット140の機能部141は、接続部のインターフェースが異なる複数種類の接続モジュール60を搭載可能に構成されている。これにより、入力チャンネル数を拡張する、出力チャンネル数を拡張する、インターフェースの種類を変更する、といった目的に応じた専用の接続モジュール60を複数種類用意し、設置環境に応じて接続ユニット140に搭載する接続モジュール60を選択することにより、設置環境に応じて必要な接続機能だけを接続ユニット140に設けることができる。そのため、必要な接続機能を選択的に拡張可能としつつ接続ユニット140の構成を簡素化することができる。
【0123】
また、本実施形態では、上記のように、メインユニット110は、サブユニット120に対する電力供給を行うように構成されている。これにより、個々のユニットへ個別に電力供給を行わなくても、メインユニット110に対する電力供給を行うだけで、各ユニットへの電力供給を行うことができ、システム構成を簡素化できる。また、メインユニット110が他のユニットへ電力供給を行う構成により、ガス検知システム100に電力供給専用のユニットを設ける必要もないので、ユニット数の増大を抑制できる。
【0124】
また、本実施形態では、上記のように、メインユニット110は、通信によりサブユニット120に対する設定処理を行うように構成されている。これにより、メインユニット110とサブユニット120とで個別に設定を行う必要がなく、メインユニット110において各ユニットの設定処理を集約して行うことができる。このため、ガス検知システム100が複数のユニットを備える構成でも、ユーザによる設定作業が煩雑化することを抑制できる。このような効果は、特にサブユニット120の数が多くなるほど有用である。
【0125】
また、本実施形態では、上記のように、複数のサブユニット120を備え、各々のサブユニット120は、隣り合うユニット同士で通信可能に接続され、一方に隣接するユニットと他方に隣接するユニットとの間で信号を中継する機能を有する。これにより、メインユニット110を含めて隣り合うユニット同士の間を接続するだけで、全てのサブユニット120をメインユニット110と通信可能に接続することができる。そのため、メインユニット110に多数の接続口を設ける必要がなく、メインユニット110の構成を簡素化できる。また、各々のサブユニット120を全てメインユニット110と接続する場合にユニット間の配線が煩雑になるのと比べて、隣接するユニット間の配線だけで済むので、ユニット間の配線を簡素かつ容易に行える。
【0126】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0127】
たとえば、上記実施形態では、4つのサブユニット120を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。サブユニット120の数は、1つ以上であればいくつでもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、サブユニット120がガス検知ユニット130および接続ユニット140を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。サブユニット120は、ガス検知ユニット130および接続ユニット140の一方のみを含んでいてよく、ガス検知ユニット130および接続ユニット140以外の他のユニットをさらに含んでいてもよい。なお、メインユニット110が実行する「サブユニットの機能部を用いた処理」は、そのサブユニット120の機能(つまりサブユニット120の種類)に応じた処理であって、特定の1つの処理には限定されない。
【0129】
また、上記実施形態では、メインユニット110(第1ガス検知部12)および各ガス検知ユニット130(第2ガス検知部42)が、それぞれ1つのガスセンサ80を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。メインユニット110(第1ガス検知部12)が2つ以上のガスセンサ80を備えていてもよいし、ガス検知ユニット130(第2ガス検知部42)が2つ以上のガスセンサ80を備えていてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、メインユニット110(第1ガス検知部12)および各ガス検知ユニット130(第2ガス検知部42)が、それぞれ交換可能なガスセンサ80を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。ガスセンサ80が交換不能であってもよい。その場合でも、ユニット自体を交換することができる。
【0131】
また、上記実施形態では、メインユニット110が、ガスセンサ80の交換対象となるユニットにおけるガス検知動作を停止させ、他のユニットにおけるガス検知動作を継続させる制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。いずれかのユニットのガスセンサ80を交換する場合、ガス検知可能な全てのユニットのガス検知動作を停止させる構成であってもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、ガス検知ユニット130の機能部131は、表示部14を備えておらず、メインユニット110が、ガス検知ユニット130の第2ガス検知部42による検知ガス濃度を表示部14に表示可能である例を示したが、本発明はこれに限られない。ガス検知ユニット130の機能部131に表示部を設けて、第2ガス検知部42による検知ガス濃度についてはガス検知ユニット130の表示部に表示するようにしてもよい。
【0133】
なお、表示部14における検知ガス濃度の表示態様の例として、
図7に示した検知結果表示画面70を説明したが、検知ガス濃度の表示態様は任意であり、検知結果表示画面70とは異なる表示画面で検知ガス濃度を表示してもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、メインユニット110およびガス検知ユニット130の各々が、インジケータランプ13(43)を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、サブユニット120(ガス検知ユニット130)にインジケータランプ43を設けなくてもよい。接続ユニット140にもインジケータランプ61を設けなくてもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、接続ユニット140の機能部141は、接続部のインターフェースが異なる複数種類の接続モジュール60を搭載可能に構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。接続ユニット140の機能部141は、1つまたは3つ以上の接続モジュール60を搭載可能であってもよい。また、上記実施形態では4種類の接続モジュール60を例示したが、これらの全ての接続モジュール60を接続ユニット140の機能部141が備えていてもよい。また、接続ユニット140の機能部141が、例示した4種類の接続モジュール60以外の種類の接続モジュールを備えていてもよい。また、接続ユニット140の機能部141は、モジュール構造を採用する代わりに、予め決められた種類および数のインターフェースが交換不能に組み付けられた構造を有していてもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、メインユニット110がサブユニット120に対する電力供給を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、それぞれのユニットに対して個別に電力供給が行われてもよい。なお、上記実施形態では、メインユニット110が、PoE(Power over Ethernet(登録商標))機能により電力供給を受ける例を示したが、各ユニットに対する電力供給方法は特に限定されない。メインユニット110および各サブユニット120は、商用電源または施設内の電源設備に接続されて電力供給を受ける構成であってもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、メインユニット110が、通信によりサブユニット120に対する設定処理を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、設定処理は個々のサブユニット120で個別に実行してもよい。たとえば各サブユニット120に入力部を設けて各サブユニット120が設定処理の入力操作を受け付けてもよい。また、各サブユニット120に設定端末210と接続するためのI/O部または無線通信部を設けてもよい。
【0138】
また、上記実施形態では、各々のサブユニット120が、一方に隣接するユニットと他方に隣接するユニットとの間で信号を中継する機能を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、各サブユニット120が、それぞれメインユニット110と直接接続されていてもよい。
【0139】
また、上記実施形態では、メインユニット110が、I/O部19aのアナログ入力部21、接点出力部22、アナログ出力部23によって、外部機器90と接続(有線接続)することが可能な例を示したが、本発明はこれに限られない。メインユニット110が、無線通信部16によって、無線接続式の外部機器90(たとえば無線接続式のガス検知器)と無線接続することが可能であってもよい。無線通信部16の通信方式は、Bluetooth Low Energy(「Bluetooth」は登録商標)には限られず、たとえばWifi(登録商標)、LoRaWAN(登録商標)、ローカル5G(登録商標)など、他の無線通信方式でもよい。
【符号の説明】
【0140】
12 第1ガス検知部
13 インジケータランプ
14 表示部
42 第2ガス検知部
43 インジケータランプ
60 接続モジュール
60a アナログ入力モジュール(接続モジュール)
60b 接点出力モジュール(接続モジュール)
60c アナログ出力モジュール(接続モジュール)
60d デジタル通信モジュール(接続モジュール)
80 ガスセンサ
90 外部機器
100 ガス検知システム
110 メインユニット
120 サブユニット
130 ガス検知ユニット(サブユニット)
131 機能部(サブユニットの機能部)
140 接続ユニット(サブユニット)
141 機能部(サブユニットの機能部)