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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049704
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/383 20210101AFI20230403BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20230403BHJP
   H01M 50/358 20210101ALI20230403BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20230403BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20230403BHJP
【FI】
H01M50/383
H01M50/342 101
H01M50/358
H01G11/78
H01G11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159611
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】川崎 浩徳
(72)【発明者】
【氏名】井戸 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】熊野 圭司
【テーマコード(参考)】
5E078
5H012
【Fターム(参考)】
5E078AA11
5E078HA24
5E078JA02
5H012AA07
5H012BB02
5H012BB08
5H012CC08
5H012CC10
5H012JJ10
(57)【要約】
【課題】 電池セルから排出される高温或いは高圧のガスによる排煙ダクトの変形及び類焼を防止可能な蓄電装置を提供すること。
【解決手段】 ガスを排出させる安全弁を有する複数の電池セルと、上記複数の電池セルからのガスを排出させるガス排出口を配置した排煙ダクトと、を備える蓄電装置であって、上記排煙ダクト内の少なくとも一部に、LOI値が30~80である有機繊維を含む耐炎繊維層が設けられることを特徴とする蓄電装置。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを排出させる安全弁を有する複数の電池セルと、前記複数の電池セルからのガスを排出させるガス排出口を配置した排煙ダクトと、を備える蓄電装置であって、
前記排煙ダクト内の少なくとも一部に、LOI値が30~80である有機繊維を含む耐炎繊維層が設けられることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記LOI値が30~80である有機繊維は、酸化アクリル繊維、PBO繊維及び塩化ビニリデン繊維からなる群より選択される少なくとも一種の繊維を含む請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記耐炎繊維層は、繊維成分として、前記LOI値が30~80である有機繊維を50重量%以上含有する請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記耐炎繊維層の透気度は、0.005~0.090kPa・sec/mである請求項1~3のいずれかに記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記耐炎繊維層の坪量は、25~500g/mである請求項1~4のいずれかに記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置は、リチウムイオン等の非水系電解液、セパレータ、正極及び負極の電極、安全弁等を有する電池セルやガスを排出するためのガス排出口等が設置された排出ダクトを備えている。また、温度或いは圧力等を測定するセンサやそのセンサを管理する回路基板により、適切な充放電の制御及び管理を行っている。
【0003】
電池セルで発生した高温及び高圧のガスは安全弁から排出され、排煙ダクトを通り、ガス排出口から放出される。このとき、排煙ダクトが排出ガスにより損傷することを防止する技術として、特許文献1では、排出ガスを通過できる無数の空隙を有する緩衝材を排煙ダクト内に設けている。排煙ダクト内に設けた緩衝材は、微細な空隙に排出ガスを通過させて排出ガスのエネルギーを減衰させることで排出ガスを安全に外部に排出させる。また、特許文献1には、排煙ダクト内の緩衝材として、セラミック製又は金属製で、連続気泡を有する発泡体、或いは無数の線材を立体的に集合して線材の間に微細な隙間を設けている不織布状のものを用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-108788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄電装置の使用する温度領域は、100℃未満の低温領域、100℃以上、200℃以下である高温領域、200℃を超える超高温領域に分かれ、通常時は、低温領域と高温領域であり、異常時は、超高温領域である。
【0006】
蓄電装置の使用で超高温領域になると、電池セル内での高温のガスの発生により、圧力で電池セルが膨らんでしまう。そこで、電池セルの膨張による蓄電装置の破損を防ぐために、セル内で発生したガスは安全弁(噴出口)より排出され、排煙ダクトを通じて、外部へ排出させるように設計されている。
【0007】
このように、排煙ダクトは、発生したガスによる熱或いは高圧力の影響を受けるため、その影響を抑制することが求められている。その具体策の例として、高温或いは高圧力となったガスが排煙ダクトを損傷するのを抑制しつつ、ガスの中に含まれる異物を外部に排出させない等が挙げられる。
【0008】
また、200℃を超える超高温領域となると、蓄電装置内で発火する可能性が高まり、その発火した火が排煙ダクトへ類焼することが想定される。そのため、排煙ダクトは、発火の耐性として、1000℃で数分間を耐えることが求められている。また、その際、類焼以外に、電池セル或いはその周辺の爆発等の不具合を発生させないことも求められている。
【0009】
発明者らが鋭意検証した結果、特許文献1に記載のように、排煙ダクト内の緩衝材にセラミック繊維或いは金属繊維を用いると、200℃を超える超高温領域となった場合、電池セル内で発生したガスが噴出している最中でも、排出ガスの異物が緩衝材に付着し、目詰まり状態となることを見出した。さらに、その目詰まり状態の緩衝材に高温或いは高圧力の排出ガスが接触すると、排煙ダクトを押し上げて、蓄電装置内での爆発を引き起こすことが想定される。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、電池セルから排出される高温或いは高圧のガスによる排煙ダクトの変形及び類焼を防止可能な蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の蓄電装置は、ガスを排出させる安全弁を有する複数の電池セルと、上記複数の電池セルからのガスを排出させるガス排出口を配置した排煙ダクトと、を備える蓄電装置であって、上記排煙ダクト内の少なくとも一部に、LOI値が30~80である有機繊維を含む耐炎繊維層が設けられることを特徴とする。
【0012】
本発明の蓄電装置によれば、上記排煙ダクト内の少なくとも一部に、LOI値が30~80である有機繊維を含む耐炎繊維層が設けられることから、200℃を超える超高温領域となり発火した場合でも、この耐炎繊維層が断熱することで排煙ダクトの変形、類焼を防ぐことができる。さらに、LOI値が30~80である有機繊維は熱により徐々に線細りし得るものである。これにより、繊維間の隙間が広がることになり、電池セルから排出された異物が付着しても、目詰まりを起こしにくい。そのため、高圧の排出ガスが耐炎繊維層に接触しても、排煙ダクトは変形し難くなり、電池セルから発生したガス内の異物を外部に漏らさずに、ガスだけをガス排出口から排出することができる。その結果、高温或いは高圧の排出ガスが排煙ダクトを押し上げて、蓄電装置内で爆発が発生するのを防止しつつ、発火の耐性として、1000℃で数分間を耐えることも達成することができる。
【0013】
上記耐炎繊維層は、耐炎繊維として、LOI値が40~70である有機繊維を含むことが望ましい。LOI値がこの範囲であることで200℃を超える超高温領域となり発火した場合でも、この耐炎繊維層が断熱することで排煙ダクトの変形、類焼をより防ぎやすくなる。また、蓄電装置内で爆発が発生するのを防止しつつ、発火の耐性として、1000℃で数分間を耐えることも達成することが容易となる。
さらに、上記耐炎繊維層は、耐炎繊維として、LOI値が40~60である有機繊維を含むことがより望ましい。燃焼性試験や形状試験の結果から、LOI値がこの範囲であると、耐炎繊維層が断熱することで排煙ダクトの変形、類焼をより防ぐ効果が得られやすいし、発火の耐性として、1000℃で数分間を耐えることの効果も得られやすいからである。
【0014】
本発明におけるLOI値が30~80である有機繊維とは、JIS K 7201-2「プラスチック-酸素指数による燃焼性の試験方法」によりIII形の試験片で測定及び算出した結果であるLOI(限界酸素指数)値が30~80となった有機繊維である。
以下、本発明におけるLOI値が30~80である有機繊維を耐炎繊維という場合がある。
【0015】
上記耐炎繊維は、例えば、アクリル等の合成樹脂を紡糸等の工程を経て、繊維状にしたものを空気等の酸化雰囲気下で加熱して酸化することによって得られる。加熱温度は200~300℃の範囲、加熱時間は10分以上で加熱処理することが望ましい。
【0016】
また、上記耐炎繊維は、電気絶縁性に優れているため、上記耐炎繊維層を蓄電装置の一部である排煙ダクト内に配置したとして、絶縁性が担保される。
【0017】
上記耐炎繊維は、酸化アクリル繊維、PBO(ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール)繊維及び塩化ビニリデン繊維からなる群より選択される少なくとも一種の繊維を含むことが望ましい。酸化アクリル繊維としては、例えばアクリロニトリル系繊維等が挙げられ、酸化アクリル繊維のLOI値は、40~70であることが望ましい。PBO繊維のLOI値は、40~70であることが望ましく、塩化ビニリデン繊維のLOI値は、42~50であることが望ましい。
【0018】
上記耐炎繊維の繊維径としては特に限定はされないが、5~30μmの範囲にすることが好ましい。耐炎繊維の形状としては特に限定はされないが、不織布であってもよいし、織布、撚糸等にしてもよい。
このように、上記耐炎繊維層は、耐炎繊維を含む繊維からなる不織布であってもよい。
【0019】
上記耐炎繊維層は、繊維成分として、耐炎繊維のみを含有していてもよいし、耐炎繊維以外の繊維を含有したものであってもよい。例えば、耐炎繊維と、無機繊維、有機繊維及び金属繊維のいずれか一種類以上との組み合わせであってもよい。
【0020】
上記耐炎繊維層は、繊維成分として、耐炎繊維を50重量%以上含有することが望ましく、60重量%以上含有することがより望ましく、70重量%以上含有することがさらに望ましい。耐炎繊維を50重量%以上含有することで、電池セルから高温或いは高圧のガスが排出されても形状保持や異物除去という効果が得られやすいため、排煙ダクトの類焼や変形をより効果的に防ぐことができる。
【0021】
上記耐炎繊維層の透気度は、0.005~0.090kPa・sec/mであることが望ましく、0.010~0.080kPa・sec/mの範囲であることがより望ましい。
【0022】
上記耐炎繊維層の透気度を0.005~0.090kPa・sec/mの範囲にすることで、耐炎繊維を含む繊維の成形体(例えばシート)である耐炎繊維層は発生したガスによる熱もしくは圧力の影響を受けたとしても変形がより抑制される。すなわち、耐炎繊維層の形状をより効果的に維持することができる。その結果、内部に耐炎繊維層が設けられた排煙ダクトの形状もより効果的に維持することができる。したがって、通常時の高温領域以上の温度領域で排出されるガスが漏れる等の不具合の発生をより抑制できる。また、ガスに含まれる異物を耐炎繊維層により付着させることができ、蓄電装置の外部へ異物が漏れ出すこともより防止することができる。また、耐炎繊維層の形状がより効果的に維持されるため、通常時の使用において蓄電装置に想定される問題を発生させることなく、蓄電装置を長期間にわたり使用することができる。
【0023】
上記耐炎繊維層の透気度が0.005kPa・sec/m未満であると、発生したガスの熱や圧力の影響を受けて、耐炎繊維層が変形等を想定以上に早く引き起こすことがある。また、上記耐炎繊維層の透気度が0.090kPa・sec/mを超えると、発生したガスに含まれる異物が耐炎繊維層に付着にくくなることがあり、蓄電装置の外部に異物が漏れだしてしまうことがある。
【0024】
さらに、上記耐炎繊維層の透気度を0.010~0.080kPa・sec/mの範囲にすることで、耐炎繊維層の形状維持がさらにしやすくなり、蓄電装置から発生したガスもしくはガスの異物による上記不具合の発生をより一層防止することができる。
【0025】
ここで、耐炎繊維層の透気度は、定常流差圧測定方式の通気性試験機(例えばカトーテック社製のKES-F8)を使用して測定される。約200mm×200mmの試験片を5枚採取し、通気性試験機に試験片を取り付け、各々の試験片の通気抵抗を計測し、5枚の平均値を透気度とする。この通気抵抗[kPa・sec/m]は一定通気量(4×10-2[m/sec])の空気を、試験片を通じて排気した際の圧力と吸気した際の圧力との平均で求められる。
【0026】
上記耐炎繊維層の坪量は特に限定されないが、25~500g/mであることが望ましく、50~400g/mであることがより望ましい。
【0027】
上記耐炎繊維層の坪量を25~500g/mの範囲にすることで、耐炎繊維を含む繊維の成形体(例えばシート)である耐炎繊維層は発生したガスによる熱、もしくは圧力の影響を受けたとしても変形がより抑制される。すなわち、耐炎繊維層の形状をより効果的に維持することができる。その結果、耐炎繊維層によって、発生したガスの熱を充分に断熱、もしくは圧力を充分に緩和することができるため、排煙ダクトの類焼、変形がより抑制される。また、内部に耐炎繊維層が設けられた排煙ダクトの形状がより効果的に維持されるので、200℃以上で排出されるガスが漏れる等の不具合の発生をより抑制できる。また、ガスに含まれる異物を耐炎繊維層により付着させることができ、蓄電装置の外部に異物が漏れ出すこともより防止することができる。
【0028】
また、上記耐炎繊維層の坪量を50~400g/mの範囲にすることで、上記の作用を安定的に発現させることができる。
【0029】
上記耐炎繊維層の透気度は0.005~0.090kPa・sec/mであり、上記耐炎繊維層の坪量は25~500g/mであることが望ましく、上記耐炎繊維層の透気度は0.010~0.080kPa・sec/mであり、上記耐炎繊維層の坪量は50~400g/mであることがより望ましい。
上記耐炎繊維層の透気度が0.005~0.090kPa・sec/mであり、上記耐炎繊維層の坪量が25~500g/mであることで、耐炎繊維を含む繊維の成形体(例えばシート)である耐炎繊維層は発生したガスによる熱もしくは圧力の影響を受けたとしても変形がさらに抑制される。すなわち、耐炎繊維層の形状をさらに効果的に維持することができる。その結果、耐炎繊維層によって、発生したガスの熱をさらに充分に断熱、もしくは圧力をさらに充分に緩和することができるため、排煙ダクトの類焼、変形がさらに抑制される。また、内部に耐炎繊維層が設けられた排煙ダクトの形状がさらに維持されるので、電池セルから排出されるガスが漏れる等の不具合の発生をさらに抑制できる。また、ガスに含まれる異物を耐炎繊維層にさらに付着させることができ、蓄電装置の外部に異物が漏れ出すこともさらに防止することができる。
【0030】
また、上記耐炎繊維層の透気度が0.010~0.080kPa・sec/mであり、上記耐炎繊維層の坪量は50~400g/mであることで、上記の作用を安定的に発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明の蓄電装置の実施形態1を模式的に示す斜視透視図である。
図2図2は、図1に示す蓄電装置のX-X線に沿った断面模式図である。
図3図3は、図1に示す蓄電装置のY-Y線に沿った断面模式図である。
図4図4は、本発明の蓄電装置の実施形態2を模式的に示す断面図であり、図2のX-X線に沿った断面図に対応する。
図5図5は、本発明の蓄電装置の実施形態3を模式的に示す断面図であり、図2のX-X線に沿った断面図に対応する。
図6図6は、本発明の蓄電装置の実施形態3を模式的に示す断面図であり、図3のY-Y線に沿った断面図に対応する。
図7図7は、燃焼性試験の方法を説明する模式図である。
【0032】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の蓄電装置について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0033】
本発明の蓄電装置は、ガスを排出させる安全弁を有する複数の電池セルと、上記複数の電池セルからのガスを排出させるガス排出口を配置した排煙ダクトと、を備える蓄電装置であって、上記排煙ダクト内の少なくとも一部に、耐炎繊維(すなわちLOI値が30~80である有機繊維)を含む耐炎繊維層が設けられることを特徴とする。
【0034】
図1は、本発明の蓄電装置の実施形態1を模式的に示す斜視透視図である。図2は、図1に示す蓄電装置のX-X線に沿った断面模式図である。図3は、図1に示す蓄電装置のY-Y線に沿った断面模式図である。
【0035】
図1図3に示す蓄電装置1は、複数の電池セル10と、排煙ダクト20と、を備える。各電池セル10は、ガスを排出させる安全弁11を有する。排煙ダクト20には、複数の電池セル10からのガスを排出させるガス排出口21が配置される。また、排煙ダクト20内の少なくとも一部には、耐炎繊維を含む耐炎繊維層30(図1では図示せず)が設けられる。
そして、少なくとも1つの電池セル10の安全弁11から高温高圧のガスが排出されると、このガスは、排煙ダクト20内を流通し、ガス排出口21から外部に排出される。このとき、耐炎繊維層30が安全弁11から排出された高温高圧のガスと排煙ダクト20との間に介在して断熱、もしくは圧力を充分に緩和することで、排煙ダクト20の変形及び類焼を防いでいる。
【0036】
蓄電装置は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置は、電力貯蔵用途又は電源用途等に使用される高電圧の電池モジュールである。
【0037】
蓄電装置は、複数の電池セル及び排煙ダクトに加えて、基板と、複数の電池セル及び基板を収容する外装体とを備える。
【0038】
外装体は、複数の電池セル及び基板等を所定の位置に配置し、複数の電池セル及び基板等を衝撃等から保護する。また、外装体は、例えばポリカーボネート又はポリプロピレン(PP)等の樹脂等の絶縁性の材料により構成されており、電池セル及び基板等が外部の金属部材等と接触することを回避する。
【0039】
外装体は、複数の電池セルを収容する箱型の本体と、蓋体とを有する。蓋体は、本体の上部の開口を覆うように、本体に取り付けられる。
なお、外装体本体は、複数の部材で構成されてもよいし、単一の部材、例えば、複数の電池セルを収容可能な1つのケースによって実現されてもよい。
【0040】
ここで、蓄電装置は、電池セル間を電気的に接続するバスバー、並びに、外装体に配置された、外部の装置等との間で電気の充放電を行うための電極端子(外部正極端子及び外部負極端子)等の要素も備えている。
【0041】
電池セルは、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。
【0042】
各電池セル10は、上面に安全弁11を備えている。つまり、各電池セル10は、安全弁11が上方に向くように外装体本体内に収容されており、内圧が上昇した場合に、安全弁11から上方へ向けてガスを放出する。
【0043】
また、各電池セル10は、正極端子12及び負極端子13を有しており、複数の電池セル10の正極端子12同士がバスバー(図示せず)で接続されるとともに、複数の電池セル10の負極端子13同士がバスバー(図示せず)で接続される。
さらに、複数の電池セル10は、連結部材40により互いに連結されている。
【0044】
電池セルは、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
【0045】
基板は、少なくとも1つの電池セルに電気的に接続される電気機器である。基板は、複数の電池セルの状態を取得し、監視し、制御することのできる基板であり、配線(リード線)によって複数の電池セルの正極端子又は負極端子に接続されている。
【0046】
具体的には、基板は、複数の電池セルの充電状態や放電状態(電圧、温度等の電池状態)等を監視するための制御基板である。基板には、例えば、当該監視、リレーのオン及びオフの制御、並びに、他の機器との通信を行うための制御回路が設けられている。
【0047】
排煙ダクトは、例えば金属製又は樹脂製のダクトであり、蓄電装置の上部に配置されていて、ガス排出口を有し、温度等を測定するセンサが付与させており、ガスを排出する経路を構成している。
【0048】
図1図3に示した排煙ダクト20は、内部をガスが流通する管、具体的には四角管であり、電池セル10に対向する下面には各安全弁11に対向する部分に貫通口22が設けられている。そして、各安全弁11が対応する貫通口22を介して排煙ダクト20の内部空間に対向するように排煙ダクト20が配置されている。また、排煙ダクト20は、一方端にガス排出口21が設けられており、他方端は閉じられている。
そして、安全弁11から上方に排出されたガスは、対応する貫通口22を介して排煙ダクト20の内部空間に進行し、水平方向に向きを変えて排煙ダクト20内を流通し、最終的にガス排出口21から外部に放出される。
【0049】
ただし、本発明における排煙ダクトの形状は、特に限定されず、排煙ダクトのガスを排出する経路の断面形状としては、例えば、正方形、長方形、台形、四角形以上の多角形等が挙げられる。
また、本発明における排煙ダクトは、下方に開口している溝型であってもよく、その開口を下方にして複数の電池セルの安全弁を蓋うように配置されてもよい。
また、本発明における排煙ダクトの厚みも特に限定されないが、排煙ダクトが設置される蓄電装置に応じて、適切な厚みにすることが望ましい。
【0050】
本発明における排煙ダクトは、蓄電装置に対して少なくとも1つ配置されればよい。排煙ダクトの貫通口の数と電池セルの安全弁の数は、同数にしてもよいし、異なっていてもよい。ガス排出を問題なくできるように、蓄電装置の発電量や容量、排煙ダクトの大きさや長さ等の設計に応じて、両者の数を適宜設定することが望ましい。
【0051】
排煙ダクト内の少なくとも一部には、耐炎繊維を含む耐炎繊維層が設けられる。
排煙ダクトの内面をすべて耐炎繊維層で覆ってもよいし、排煙ダクトの内面に部分的に耐炎繊維層を貼り付ける等、耐炎性を付与することが必要な部分にだけ耐炎繊維層を設けてもよい。言い換えると、本発明における耐炎繊維層は、排煙ダクト内の全部に配置されてもいいし、排煙ダクト内の一部だけに配置されてもよい。
また、耐炎繊維層は、繊維成分として耐炎繊維を含む不織布であってもよいし、織布、撚糸等にしてもよい。
さらに、耐炎繊維層が複数種の繊維成分を含む場合(耐炎繊維以外の繊維を含む場合も含む)、複数種の繊維成分は、例えば、混抄されてもよいし、混紡されてもよい。
【0052】
耐炎繊維層の実施形態での具体的な例としては、例えば、排煙ダクトの断面を見たときに、排煙ダクトの内側の下部、上部及び側部の少なくとも一部に配置させる。すなわち、排煙ダクトの断面を見たときに、排煙ダクトの上面、側面及び下面の少なくとも1つの面の内側に配置させてもよい。
【0053】
図2及び図3に示した実施形態1では、耐炎繊維層30が、排煙ダクト20内の下部に配置されており、各安全弁11を覆うように配置されている。すなわち、耐炎繊維層30は、排煙ダクト20の下面(電池セル10側の面)を内側から被覆するように略長方形状に形成され、複数の安全弁11上に配置されている。
【0054】
図4は、本発明の蓄電装置の実施形態2を模式的に示す断面図であり、図2のX-X線に沿った断面図に対応する。
図4に示す実施形態2では、耐炎繊維層30が、排煙ダクト20内の上部と側部に配置されている。すなわち、耐炎繊維層30は、排煙ダクト20の断面を見たときに排煙ダクト20の上面(電池セル10と反対側の面)と側面を内側から被覆するように略U字状に設けられ、排煙ダクト20の経路に沿って配置されている。
耐炎繊維層30は、各安全弁11及び対応する貫通口22を塞がないように配置されている
【0055】
或いは排煙ダクトの断面を見たときに、排煙ダクトの中間位置に耐炎繊維層を配置させてもよい。
【0056】
図5は、本発明の蓄電装置の実施形態3を模式的に示す断面図であり、図2のX-X線に沿った断面図に対応する。図6は、本発明の蓄電装置の実施形態3を模式的に示す断面図であり、図3のY-Y線に沿った断面図に対応する。
図5及び図6に示す実施形態3では、耐炎繊維層30が、排煙ダクト20の中間位置に、仕切り材として配置されている。すなわち、耐炎繊維層30が略長方形状に形成され、排煙ダクト20の上下方向における中間位置に配置され、耐炎繊維層30によって排煙ダクト20内が上方の空間と下方の空間とに二分されている。ガス排出口21は、図6に示したように、排煙ダクト20の一方端の上部に設けられており、耐炎繊維層30によって区画された上方の空間とつながっている。実施形態3によれば、安全弁11から排出されるガスの圧力を分散することが可能である。
【0057】
いずれの場合でも、耐炎繊維層を排煙ダクト内の少なくとも一部に配置させればよく、その配置範囲を蓄電装置に応じて適宜設計して耐炎繊維層を配置することが望ましい。
また、排煙ダクトが曲げ部分等を有する場合は、その曲げ部分等の一部分に耐炎繊維層を設けることもできる。
【0058】
蓄電装置が200℃を超える超高温領域となった場合、電池セルが発火するが、その際、その電池セルから排出されたガスの熱を耐炎繊維層で断熱することで排煙ダクトの類焼及び変形を防ぐことができる。さらに、耐炎繊維はガスの熱により徐々に線細りとなる。これにより、繊維間の隙間も徐々に広がることになり、電池セルから排出された異物が付着しても、目詰まりを起こしにくい。そのため、高温高圧の排出ガスが耐炎繊維層に接触しても、排煙ダクトを変形させることを抑制し、電池セルから発生したガスの異物を外部に漏らさずに、ガスのみをガス排出口から排出することができる。その結果、高温或いは高圧の排出ガスが排煙ダクトを押し上げて、蓄電装置内で爆発が発生するのを防止しつつ、発火の耐性として、1000℃で数分間を耐えることも達成することができる。
【0059】
本発明における耐炎繊維は、LOI値が30~80であればよいが、耐炎繊維のLOI値は40~70であることが望ましく、40~60であることがより望ましい。耐炎繊維層は、耐炎繊維として、単一の材質の繊維のみを含んでいてもよいし、複数の材質の繊維を含んでいてもよい。後者の場合、複数の材質の耐炎繊維のLOI値は、同じであってもよいし、少なくとも一種(各種でもよい)の耐炎繊維のLOI値が他の耐炎繊維のLOI値と異なっていてもよい。
【0060】
また、本発明における耐炎繊維は、酸化アクリル繊維、PBO(ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール)繊維及び塩化ビニリデン繊維からなる群より選択される少なくとも一種の繊維を含むことが望ましい。酸化アクリル繊維としては、例えばアクリロニトリル系繊維等が挙げられ、酸化アクリル繊維のLOI値は、40~70であることが望ましい。PBO繊維のLOI値は、40~70であることが望ましく、塩化ビニリデン繊維のLOI値は、42~50であることが望ましい。
【0061】
耐炎繊維層に含まれる繊維成分は、耐炎繊維を含有するものであればよく、繊維成分のすべてを耐炎繊維としてもよいし、繊維成分の一部のみを耐炎繊維としてもよい。例えば、耐炎繊維と、無機繊維、有機繊維及び金属繊維のいずれか一種類以上との組み合わせであってもよい。
【0062】
耐炎繊維と組み合わされる無機繊維は、特に限定されず、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維等が挙げられるが、なかでも、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維が好適である。炭素繊維では、絶縁性が低く、蓄電装置に用いることで絶縁性が担保されない可能性があるためである。
【0063】
耐炎繊維と組み合わされる有機繊維、すなわち、LOI値が30未満、又は80を超える有機繊維は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリテレフタレート繊維等が挙げられる。
【0064】
耐炎繊維と組み合わされる金属繊維は、特に限定されず、例えば、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅繊維等が挙げられる。
【0065】
耐炎繊維層は、繊維成分として、耐炎繊維を50重量%以上含有することが望ましい。すなわち、耐炎繊維層に含まれる全繊維成分に対する耐炎繊維の割合は、50重量%以上であることが望ましい。耐炎繊維層は、繊維成分として、耐炎繊維を60重量%以上含有することがより望ましく、70重量%以上含有することがさらに望ましい。
【0066】
耐炎繊維層は、繊維以外の成分や構成部材を含んでいてもよく、このような成分や構成部材としては、例えば、樹脂フィルム、無機粒子、結合剤等が挙げられる。
【0067】
耐炎繊維層は、燃焼性試験において、バーナの炎を接炎してから少なくとも2分間引火しないことが望ましい。燃焼性試験の引火までの時間を2分以上とすることで、高温領域において、発生したガスが排出される際にガスが耐炎繊維層に接触して耐炎繊維層が加熱されても、耐炎繊維層が引火するのを防止できる。そのため、排煙ダクトが類焼したり、変形したりすることをより効果的に防ぐことが可能である。
燃焼性試験の引火までの時間が2分未満であると、発生したガスの熱を受けて排煙ダクトが類焼、もしくは変形を早期に発生してしまう恐れがある。
【0068】
ここで、上記燃焼性試験は以下の方法に従う。
まず、試験体(サンプル)の含有水分率を均一するために、23℃、50%RHで24時間放置する。その後、火炎長さが45mmであるバーナを鉛直方向と45°をなす方向に向け、リング部の厚さが2mmの三脚台上に試験体を水平に配置し、試験体を加熱する。このとき、火炎の先端が試験体に接するように高さを調整する。そして、バーナに着火してから2分間で試験体が引火するか否かを確認する。
【0069】
耐炎繊維層の透気度は特に限定されないが、0.005~0.090kPa・sec/mであることが望ましく、0.010~0.080kPa・sec/mであることがより望ましい。
【0070】
耐炎繊維層の坪量は特に限定されないが、25~500g/mであることが望ましく、50~400g/mであることより望ましい。
【0071】
耐炎繊維層は、透気度が0.005~0.090kPa・sec/mであり、かつ坪量が25~500g/mであることが望ましく、透気度が0.010~0.080kPa・sec/mであり、かつ坪量が50~400g/mであることより望ましい。
【0072】
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0073】
(実施例1)
耐炎繊維層として、酸化アクリル繊維を乾式スパンレース製法によりシート状にした不織布(日本バイリーン社製のXL‐4050DN(品名)、LOI値:52、厚み:0.6mm、坪量:50g/m)を準備した。この不織布の酸化アクリル繊維の含有率は、100重量%であった。
【0074】
(実施例2)
耐炎繊維層として、酸化アクリル繊維を乾式スパンレース製法によりシート状にした不織布(日本バイリーン社製のXL‐4100(品名)、LOI値:52、厚み:1mm、坪量:100g/m)を準備した。この不織布の酸化アクリル繊維の含有率は、100重量%であった。
【0075】
(実施例3)
耐炎繊維層として、酸化アクリル繊維をシート状にした不織布(旭化成社製のTOP-8150Z(品名)、LOI値:53、厚み:2.5mm、坪量:150g/m)を準備した。この不織布の酸化アクリル繊維の含有率は、100重量%であった。
【0076】
(実施例4)
耐炎繊維層として、酸化アクリル繊維をシート状にした不織布(旭化成社製のTOP‐8400Z(品名)、LOI値:53、厚み:5.0mm、坪量:400g/m)を準備した。この不織布の酸化アクリル繊維の含有率は、100重量%であった。
【0077】
(実施例5)
耐炎繊維層として、酸化アクリル繊維と熱可塑性樹脂の組合せ(混合物)をシート状にした不織布(LOI値:41、厚み:2.5mm、坪量:150g/m)を準備した。この不織布の酸化アクリル繊維の含有率は、80重量%であった。
【0078】
(比較例1)
シリカ繊維をシート状にした不織布(日本グラスファイバー工業社製のMSS―500(品名)LOI値:測定不可(不燃性のため)、厚み:4.0mm、坪量:500g/m)を準備した。この不織布の耐炎繊維の含有率は、0重量%であった。
【0079】
(比較例2)
有機繊維(ポリエステル)をシート状にした不織布(東洋紡社製のボランス4421N、LOI値:20、厚み:4.2mm、坪量:432g/m)を準備した。この不織布の耐炎繊維の含有率は、0重量%であった。
【0080】
(燃焼性試験)
図7は、燃焼性試験の方法を説明する模式図である。
まず、含有水分率を均一とするために試験体(不織布)を23℃、50%RHで24時間放置した。
その後、図7に示すように、火炎長さが45mmであるバーナAAを鉛直方向と45°をなす方向に向け、リング部の厚さが2mmの三脚台BB上に試験体CCを水平に配置し、試験体CCを加熱した。このとき、火炎の先端が試験体CCに接するように高さを調整した。そして、バーナAAに着火してから2分間で試験体CCが引火するか否かを確認した。
【0081】
(透気度の評価試験)
試験体(不織布)の透気度を、定常流差圧測定方式の通気性試験機(カトーテック社製のKES-F8)を使用して測定した。約200mm×200mmの試験片を5枚採取し、通気性試験機に試験片を取り付け、各々の試験片の通気抵抗を計測し、5枚の平均値を透気度とした。この通気抵抗[kPa・sec/m]は一定通気量(4×10-2[m/sec])の空気を、試験片を通じて排気した際の圧力と吸気した際の圧力との平均で求めた。
【0082】
(形状試験)
通気度の測定を行った試験片を常温(25℃、保持時間:20分)と250℃(保持時間:5分)の間で加熱及び冷却を1サイクルとして繰り返した。そして、この加熱冷却サイクルを50サイクル行った試験片の通気度を測定し、加熱冷却サイクルを実施する前の通気度と比較した。加熱冷却サイクルの実施前の透気度に対する加熱冷却サイクルの実施後の透気度の変化が5%以内であれば問題なし、5%を超えると問題ありと判断した。
【0083】
また、通気度の測定を行った試験片を、図7に示した燃焼性試験と同様に配置して加熱した。すなわち、火炎長さが45mmであるバーナを鉛直方向と45°をなす方向に向け、リング部の厚さが2mmの三脚台上に、通気度の測定を行った試験体を水平に配置し、試験体を加熱した。このとき、火炎の先端が試験体に接するように高さを調整した。そして、試験片に接する火炎の先端の温度が1000℃となるように設定し、この設定温度にて、2分間、バーナで試験片を加熱させた。その後、加熱させた試験片の通気度を測定し、加熱前の通気度と比較した。加熱前の透気度に対する加熱後の透気度の変化が5%を超えると問題なし、5%以内であれば問題ありと判断した。
【0084】
上記試験結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
燃焼性試験の結果から、電池セルが発火して電池セルから放出された高温のガスが、耐炎繊維(LOI値が30~80である有機繊維)を含む耐炎繊維層に接触して耐炎繊維層が加熱されたとしても、耐炎繊維層が引火するのを防止できることが分かる。さらに、形状試験(燃焼試験)の結果から、耐炎繊維は熱により徐々に線細りし、繊維間の隙間が広がることから、電池セルから排出された異物が付着しても、目詰まりを起こしにくいことが分かる。したがって、耐炎繊維層を排煙ダクト内の少なくとも一部に設けることによって、電池セルから排出される高温高圧のガスによる排煙ダクトの変形及び類焼を防止することができる。
【0087】
また、形状試験(サイクル試験)の結果からは、耐炎繊維層の透気度を0.005~0.090kPa・sec/mの範囲にすることで、200℃を超える超高温に耐炎繊維層が曝されても耐炎繊維層の形状が維持されることが分かる。そのため、通常時の使用において耐炎繊維層を備える蓄電装置に問題が発生せず、蓄電装置を長期間にわたり使用することができる。
【0088】
耐炎繊維の含有率が50重量%以上であれば、形状試験でのサイクル試験及び燃焼試験は、表1と同等の結果を得ることができる。
【0089】
なお、耐炎繊維を酸化アクリル繊維の代わりに、PBO繊維或いは塩化ビニリデン繊維に置き換えたとしても、形状試験でのサイクル試験及び燃焼試験は、表1と同等の結果を得ることができる。
【符号の説明】
【0090】
1 蓄電装置
10 電池セル
11 安全弁
12 正極端子
13 負極端子
20 排煙ダクト
21 ガス排出口
22 貫通口
30 耐炎繊維層
40 連結部材
AA バーナ
BB 三脚台
CC 試験体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7